ヤマザクラ らんまん(13) ネタバレ

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ヤマザクラ は第13週のサブタイトルです。

土佐の佐川村に帰省した万太郎、竹雄、寿恵子。

税制が変更された峰屋は、厳しい立場に立たされていました。そして、おばあちゃんの体調も良くない状態です。

らんまん前半の最後は、万太郎と寿恵子の祝言が行われます。

そんな第13週のまとめです。

前回、第12週「マルバマンネングサ」のまとめ

らんまん 公式HP

主な登場人物

牧野万太郎  神木隆之介    植物が大好きな語学の天才。
牧野寿恵子すえこ  浜辺美波     万太郎の妻。まつの娘
井上竹雄   志尊淳      番頭の息子で綾の夫

槙野タキ   松坂慶子     万太郎の祖母
槙野綾    佐久間由衣    万太郎の姉。家業に熱心なしっかり者
西村まつ   牧瀬里穂     寿恵子の母。白梅堂店主
阿部文太   池内万作     白梅堂の菓子職人
大畑義平   奥田瑛二     印刷所の親方。万太郎の仲人
大畑イチ   鶴田真由     義平の妻。

波多野泰久  前原滉      東京大学植物学教室・2年生
藤丸次郎   前原瑞樹     東京大学植物学教室・2年生
田辺彰久   要潤       東京大学植物学教室・教授

第13週のストーリー

熱を出しているおばあちゃんを竹雄の母が看病していました。おばあちゃんは胸が苦しそうです。

そこに呼ばれた医者・徹寛先生がやってきました。徹寛は万太郎の顔を見ると「若旦那は東京にお戻りに?」と聞きます。それは、ちょっと前におばあちゃんと話して、万太郎に峰屋にいてもらいたいと言った方がいいと話していたので聞いたのです。しかし、万太郎は何も答えられませんでした

「ええがよ、もう済んだ話じゃ。わたしがなにができるかじゃ」

答えられなかった万太郎に綾が声を掛けました。それでも、万太郎は育ててくれたおばあちゃんに、何か恩返しがしたいと思っています。

翌日、体調の良くなったおばあちゃんは、呉服屋・仙谷屋を呼んで、寿恵子の着物を見繕います。しかし、寿恵子は高価な着物を着ることに抵抗を感じるのでした。

「お寿恵、わしが見たいがじゃ。峰屋の嫁にふさわしいもんをよう選び」

おばあちゃんに言われ、寿恵子は着物を仕立てることにしました。

その仙谷屋の若旦那から、おばあちゃんは桜の話しを聞きます。仙谷屋は、桜の木が病になったので、切り倒すつもりだと言うのでした。

「こうなった以上は、他所の桜にも移らんように切り倒さないといけんがですけんど、思い出深い木ですけんのう」

その桜は、万太郎と一緒に桜を見に行ったこともある、おばあちゃんにも思い出深い木でした。

助けたいのう

その頃、万太郎はマキシモビッチ博士からの手紙を見ていました。

東京大学の波多野と藤丸に羨ましがられ、褒められるところを想像していました。しかし、納得いかない部分もあります。万太郎が見つけたマルバマンネングサは、学名「セドム・マキノイ・マキシム」です。

最後のマキシムは、マキシモビッチ博士のことです。

「けどなんで、名づけ親がわしじゃないがじゃ。わしのマルバ、取られとうなかった」

そんな気持ちを振り払うように、寿恵子が着物を見立てている中、万太郎は植物採取に行こうとします。そこで、おばあちゃんと仙谷屋の若旦那が話している所に通りかかりました。

「まち、万太郎。なんとかできんがかえ?」

おばあちゃんに仙谷屋の桜の病気のことを聞いた万太郎は、仙谷屋まで桜を見に来ました。

そこに仙石屋の奉公人がやってきました。万太郎が峰屋の者だと名乗ると、若旦那は峰屋に行っているはずだと訝しげに言います。

「お会いしました。この木、切り倒さんといかんじゃそうじゃね」

そう聞くと、植木職人は「病にかかった桜は、たいがい諦めんといかん」と言っていると教えてくれました。

病の枝は、すぐに切り落として燃やしていて、万太郎は見ることができませんでした。仙谷屋の奉公人も、桜を切り倒すのが名残惜しいのでした。

「わしも子供の頃から、おばあちゃんに連れられて、よう見にきましたき。ああ、助けたいよのう」

私にできること

綾も着物を見ていました。女中に「どれがええと思う?」と聞くと、華やかな着物から、刺繍の綺麗な物を選びました。

「初めてお会いする方に礼を尽くし、こちらの誠意と真心を伝え、信用してもらえるがはどれじゃろう?」

女中は万太郎の祝言で着る着物だと思っていましたが、綾は選んだ着物を着て出かけます。その時、竹雄を呼んで、一緒に人力車に乗りました。

「土佐中の酒屋を回るき。考えちょって、私になにができるか。ほら万太郎お役人に言いよったろう。政府が取り締まりを厳しゆうするがは、横流しの酒が出回っちょるってゆうて」

ただでさえ税金が高いのに、横流しの酒が出回るせいで政府がどんどん締め付けてきているのです。

「ほんじゃき、私も組合を作ろう思て。土佐中の酒屋に声を掛けて、どこも横流しの酒を出せんよう互いに目を光らせるがじゃ。それから、酒屋以外の者が勝手に密造酒を出さんよう世間に訴える。せめて闇の酒を無くしたら、まっとうに商いしゆう酒が売れるき」

綾の考えに驚く竹雄。しかし、そんなに上手く行くとは思えません。

「けんど綾様、闇の酒が出回るゆうことは、甘い汁を吸いゆう人がおるゆうことですき。たやすくは・・・」

そんなことは綾でもわかります。しかし、何もしないではいられないのでした。

「ほんじゃき、1軒1軒頭を下げるがじゃ。みんなで土佐の酒を守ろうゆうて。他にわからんき、私にできること」

峰屋立ち位置

綾は、文字通り頭を下げて回りました。しかし、酒蔵の反応は良くありません。

「ようしゃあしゃあと言えたもんじゃ。峰屋さんは先祖代々、深尾の殿様に引き立てられ、さんざんぱら肥えてきたがですろ。それを今、野良に放り出されたき、仲よう組合じゃゆうて、虫のええ話しじゃのう。綺麗な姉さまが、しゃらしゃらしたがを従えて、いつまで土佐一の酒蔵やゆうておれますろうのう」

他の酒蔵も同じような反応です。

「見た所、20、3、4ゆうたところかのう。行き遅れじゃのう。おまんごと、峰屋をもうろうちゃる。のう」

そんなセクハラ発言をされ、竹雄は怒ります。しかし、綾が止めるのでした。

「組合のう、いい思いつきじゃ。ただし、峰屋が抜けるちゅう条件やったら考えてもいい」

そういう酒蔵もありました。それは、「蔵は男の仕事。女が関わったら不造を出す」という理由です。

そんな時代錯誤の考えに、竹雄は「アホばっかりじゃ」と怒り心頭です。

綾と竹雄は、裏山の神社にやってきました。着物姿で寝転ぶ綾。

「私が蔵元じゃゆうだけで、峰屋のこれからが閉ざされるがじゃのう。私が呪いがじゃ。のう竹雄、夫婦になろうか」

当主が女だと抵抗があるなら、竹雄と結婚して竹雄を当主にしようと思う綾。しかし、竹雄はうんとは言いません。

「嫌じゃき。そら心から欲しい言葉じゃ。欲しゅうて欲しゅうてたまらんけんど、今の綾様からほしゅうない」

初めての口づけ

そして竹雄は、とんでもないことを言い出します。

「いっそ、うちが闇の酒をつくるがかえ。隠し蔵を立てて、綾様が作りたい新しい酒も、他所を出し抜いちゃったらええ」

しかし、それは綾が望んでいることではありません。

「やらん、いやじゃ。峰屋の酒は、水も米も磨きぬいて作るがじゃ。ほんじゃき、曇りない味になる。後ろ暗い作り方しとうない。先祖代々、そうしてきたがじゃ。誇りがあるき」

しかし、誇りだけでは生きてはいけません。

「それでも、私が魅せられたがは、うちの蔵だからじゃ。先祖代々、真っ当に守られてきた、暖ったこうて甘い、あの暗闇に心を奪われたがじゃ。私はうちの蔵に背くようなことはできん。隠し蔵で作る酒は、峰の月とは呼べん」

それならば、滅ぶしかないと言う竹雄。それはそれで、困ってしまいます。峰屋で働く人、杜氏や蔵人のことを考えると、簡単に滅ぶ訳にはいかないのです。

「その迷いさえ余計じゃ。峰屋のもんらは、そんな軟じゃないき。ほんまに腹が立って仕方ないけんど、なんで綾様があんなアホらに揺さぶらるがじゃ。はっきり言っとく、あなたは呪いじゃない。祝いじゃ。酒蔵におるのが女神じゃゆうがやったら、あなたこそ峰屋の祝いの女神じゃき。あなたは、心からうちの峰の月が美味い美味いと笑っちょったら、それが最上の寿ぎじゃ」

そう言う竹雄の手を取ると、綾は引き寄せ、静かに口づけするのでした。

初めてのケンカ

仙谷屋を後にした万太郎は、山へ行きました。山では、仙谷屋の桜がなったという病の木を探します。

見て回るうち、それらしい木がありました。木に上側に、鳥の巣のようなこんもりとした枝が生えている桜です。

「草の道を選ばせてもろうたがじゃ。救えんでどうする」

そう言って木に登り、病の枝を折ると、持ち帰ります。帰ってから顕微鏡を覗き込み、食事にも顔を出さない万太郎に怒る寿恵子。

「万太郎さん、お夕飯終わってしまいましたよ。何度もお声がけしましたよ。みなさん、万太郎さんをお待ちしてましたよ」

しかし、それは子供の頃からのことです。来ないとわかったら、先に食べているのがいつもの峰屋です。その会話中も顕微鏡から目を離さない万太郎。寿恵子はランプを遠ざけて、顕微鏡から目を離させました。

万太郎の言葉を遮り、食事をしてから研究すればいいと怒ります。

「ええですか、わしは植物の名を明かすことができても、病のことはなんちゃわからん。目に見えんもんのことがなんもわからん。肝心な時に役に立たん、役立たずじゃき。ほんじゃき、どうにかしようとしゆうがじゃ。すまんが、ほんまに焦っちゅうがじゃ。構わんでくれんか」

それでも寿恵子は納得しません。今日の夕飯は寿恵子も一緒に作ったので、万太郎に食べてもらいたかったのです。

「寿恵子さん、今は邪魔じゃき」

そう言われ、泣きそうになる寿恵子でした。

仲直り

万太郎が気が付くと、そこに寿恵子の姿はありませんでした。ただ、山椒餅だけが置いてあります。

「寿恵子さん?寿恵子さん」

言い過ぎたと思った万太郎は、さすがに焦りました。寿恵子の名前を呼びながら、家の中を探します。

寿恵子は、蔵の前て竹雄と綾に相談していました。

竹雄も万太郎と東京に来た最初の頃、食事や睡眠をちゃんと取るようケンカをしていました。それには綾も「ぜんぜん学んじゃせん」と怒っています。

「私、一人で食べたことないんです。お夕飯はいつも必ずおっかさんと食べていました。おっかさんとケンカした時も、必ずおっかさんと食べていました。二人だけの家族だったから。この先、万太郎さんと私、家族になるんです。万太郎さんは家を出て、私も家を出て、二人きりになるです。幸せな家にしたいのに、万太郎さん邪魔だって。私のこと邪魔だって」

それを聞いた万太郎は、寿恵子の前に飛び出して土下座しました。

「寿恵子さん、すまん。すまんき。ほんまに申し訳ない」

万太郎は、綾に「バカ」と言って殴られます。

「振り返ってくれないのはあんまりです。草花の道、私も一緒に行くっていいました。もう二度と邪魔なんて言わないで。二人で一緒にやって行くんでしょ?」

万太郎は顔を上げ、寿恵子を見つめます。

「はい。寿恵子さん、山椒餅ありがとう」

やっと笑う寿恵子。

そして竹雄が、横倉山に万太郎と寿恵子を誘いました。

植物採取

翌日、横倉山へ行く3人。寿恵子も慣れない山道を一生懸命に登っています。

そして到着した、横倉山の神社。大きな杉の木があります。万太郎はその大木に挨拶し、奥に進んでいきます。

「牧野寿恵子です。よろしくお願いします」

寿恵子も杉の木に挨拶すると、二人の後を追いかけました。

そして、草花の採取方法を竹雄が寿恵子に教えます。

「同じ所にひと固まりに生えちゅう時は?」

寿恵子は「立派なのを選ぶ」と答えますが、ハズレです。竹雄から大きすぎず小さすぎず、一番凡庸な物を選ぶように教えられます。

そして、名前もわからない、見たこともない植物があったら、どこでどう採取したか覚えておくように言われます。竹雄は、細かいことは、帳面につけているとアドバイスしていました。

ただ万太郎は、草花を採取すると、書かなくとも全部覚えるのです。それは、万太郎が特殊なだけで、竹雄や寿恵子はそういう訳にはいきません。

「万太郎の話し相手になりたいがやったら、書いてでも覚えておくがじゃ。何でもない話しの相手でも、助けになれることがあるき」

竹雄に教えられても、寿恵子は自分が竹雄の代わりが務まるのかと不安になるのでした。

「務まらなくて当たり前ながじゃ」

そう言うと竹雄は、万太郎について行くには努力するしかないと言います。そして、「大丈夫、あなたならできるき」と優しく諭すのでした。

寿恵子は「はい」と答えました。

それぞれがそれぞれの道を登る

夢中になる万太郎に声をかけた寿恵子。少し休憩することにしました。

「すごいと思います。万太郎さん昨夜、自分のことを役立たずだっておっしゃったでしょ。目に見えないもののことが、何にもわかってないって。でも、見えているもののことは、そんなにもわかっているじゃないですか」

寿恵子の言うことが当たり前に感じる万太郎。

「だって私、わからないですもん。あなたと同じ所にいても、草、木、山。それだけなんです。けど万太郎さんはそうじゃないんでしょ?見渡す限りもっと細かく、誰がどこにいて何をしているのか、全部見えているんでしょ?」

そして寿恵子は、とことん見て上げたらと、万太郎に言うのでした。

しかし、寿恵子の言うこともわかりますが、言うほど簡単な事ではありません。万太郎一人が、植物の全てを知ることは不可能です。

「今がこの国の植物学ゆう山の入口やったら、波多野さんや藤丸さんもみんなで山に取りかかって行くがですろ。それやったら、全員が同じ道を上ったち仕方ない。それぞれがそれぞれの道を登ることで、山全体が早う見渡せるかもしれませんき」

そこで竹雄が、全てを一人で知るのではなく、みんなで手分けをしたらどうかと言ってくれます。それには万太郎も、考えることがあるようです。

助けを求める

万太郎たちは家に帰ってきました。万太郎は、手紙を書きます。そして、竹雄と寿恵子は、標本作りです。

しかし、慣れない山を登り、寿恵子は疲れてしまいました。竹雄の横でこっくりこっくりしています。

「疲れましたね、けんど頑張りましょう。取って来た日にここまではやらんと」

竹雄にそう言われ、寿恵子は標本づくりを頑張りました。

万太郎の書いた手紙は、東京にいる先生たち宛でした。

そして、東京大学の波多野と藤丸にも、万太郎の手紙が届きました。

「万さん喜んでるだろうな。ほっぺたつねり過ぎて千切れてるんじゃないんか」

そんな話が書いてあるのかと想像しながら手紙を開けると、入っていたのは桜の枝が2本。病の桜と健康な桜の枝です。それは、万太郎が助けを求めて出した手紙でした。

他にも、博物館の野田先生、里中先生にも送っていました。そして、東京大学の田辺教授にも同じ手紙を送っています。

「私では、病の手立てを突き止めることができませんでした。どうかお知恵をお借りできないでしょうか。手立てがありましたら何でもかまいません。ご教授をお願いいたします」

竹雄との別れ

万太郎が手紙を書き終わった時、竹雄がと改まって「万太郎、お話があります」と声を掛けたのでした。

しかし、万太郎は机に向かったまま振り向きません。竹雄が「ちゃんと話したいき」と言うと、やっと振り向きました。振り向いた万太郎は、すでに泣いています。

「竹雄がいつ言い出すがじゃろうがと思うて、心構えはしとうたがじゃけんど、姉ちゃんとは?」

竹雄は万太郎が泣いていることにビックリしながらも応えます。

「万太郎が許してくれたら、二人で大奥様にお願いしにいくき」

その言葉で、更に万太郎は泣き出しました。

「そうか、おめでとう、竹雄。竹雄、ありがとう。姉ちゃんのこと思い続けてくれて。わしのこと、ずっと支えてくれて。わし、竹雄には一生かかっても返しきれんき」

それは竹雄も同じ気持ちです。万太郎からたくさんのことをもらっています。そして、二人で大泣き。

「万太郎、今まで楽しかったのう。わしはもう、東京へは帰らんつもりじゃき」

万太郎は「わかった」と言うと、頭を下げました。

「井上竹雄、9歳の頃より今まで、長らく使えてくれて、ほんまにほんまにありがとうございました」

そして竹雄も同じように頭を下げます。

「牧野万太郎、今までありがとうございました」

そして、二人で抱き合いました。竹雄が万太郎の義兄になるのです。万太郎には「兄ちゃん」とは呼べそうもありませんでした。

祝言のために

高知に印刷所の大畑夫妻と、寿恵子の母・まつと職人で父になった文太がやってきました。

東京からやってきた2組の夫婦は、大きな庫のある峰屋に驚いていました。

峰屋に着くと、万太郎や寿恵子、店の者たち総出で出迎えます。

座敷にみんなが揃うと、おばあちゃんが入ってきました。

「ようおいでになりました。万太郎の祖母にございます。この度は、お武家のお嬢さんに嫁入りいただき、たいそう光栄にございます」

そして、大畑にも挨拶します。義平は、緊張しながらも挨拶しました。

「万さん・・・万太郎くんの仲人を務めると言うことは、責任重大ながら無上の喜び。さらには明日は大安吉日、一粒万倍日でございますから、大変にご結構で末長いお幸せをお祈り申し上げます」

祝言前夜

挨拶を済ませた夜、寿恵子はおっかさんと最後の夜を迎えていました。

「今日来て、よくよくわかったよ。ものすごい大店なんだね。お寿恵、万太郎さんこれだけの大店をあっさり出ちまうなんて、よっぽどのお方なんだね」

布団の中でおっかさんは、寿恵子にそう語り掛けました。

「いや、生まれながらに当たり前にお持ちだったから、無くすということをお分かりにない。一人前の男が実家を離れてやっていく、ご立派だよ。あんたが苦労するのが目に見えている。最初から持たざる人なら、諦めもつくけど」

おっかさんは、寿恵子のことが心配でならないのでした。

「おっかさん、私ね。おとっさんとおっかさんの娘に生まれて、本当に幸せでした。おとっさんとおっかさんから、たくさんの物をもらいました。冒険が好きな所も、しっかり者の所も。だから私、万太郎さんと行きたいと思った。この先も、おとっさんとおっかさんの娘として、もらった物を全部抱えて生きていくつもりです。それでもいい?」

おっかさんは、寿恵子に顔を見られないように背けていました。そうしないと泣いていることがバレてしまいます。

「もう、ダメなんだよ。嫁に行ったら相手の家に染まらなきゃ」

分家の怒り

翌日、寿恵子は白無垢姿で祝言をあげました。

村の人々が峰屋にお祝いを持ってやって来てくれます。そして、分家衆も来きました。

万太郎が結婚し、峰屋を出ることを聞いた分家衆は、分家のせがれと綾が結婚し、本家を継ぐのだと思っています。

「ええ、みなさん、今日はわしと寿恵子の門出を共に祝うて下さり、本当にありがとうございました。わしは、この峰屋に生まれ、祖母と皆様方に見守られここまでやってきました」

そして、後継者として峰屋を継がなければならないのに、家を出ることを了承してくれたお礼をいいました。

「そして、牧野の家の一切を姉である綾、そして伴侶となる井上竹雄に譲る所存でございます」

それを聞いて、分家衆は激怒します。

「いや、認めん。元はとゆうたら、綾は本家の人間じゃない」
「そうじゃ、それに竹雄に添わせるじゃと。こんな腰巾着にご当主様じゃと頭を下げろちゅうがかえ」
「何が本家じゃ。本家の血は、誰っちゃ残らんがじゃき。それでも踏ん反り返るがか」

それぞれが文句を言ました。

本家と分家を区別して、分家に強い立場をとってきたのは、おばあちゃんです。しかし、それは江戸の時代だったからという部分もあります。世は明治、そういう時代ではないのです。互いに手を取り合って力を尽くして欲しいと、おばあちゃんは頭を下げました。

そして、綾と竹雄、店の者たちも頭を下げました。

爛漫じゃ

祝言の後、おばあちゃんは万太郎と寿恵子、綾と竹雄を連れて、仙谷屋の桜を見にやってきました。

「おばあちゃん、すまん。いろいろ先生方にも聞いてみたがじゃけんど、病はまだどうにもできんき」

助けて欲しいと言われましたが、手立てが見つかっていませんでした。

「天寿がありますきのう。ほんじゃきお互い精一杯生きてきましたき」

おばあちゃんは病の桜の木と自分を重ねているようです。

「けんどのう、おばあちゃん。病の出ちゃあせん若い枝を切って接ぎ木したがじゃ。こんなに小さい枝が大きな木に育っていくき」

桜の大木の横に、小さな小さな桜の木が植えられていました。

「大きゅう育つとええのう。楽しみじゃのう。いつか、この桜が咲き誇るがか」

そうおばあちゃんは言うと、未来の姿を想像します。万太郎と寿恵子に子供が生まれ、綾と竹雄にも子供が生まれ、みんなで花見をする姿です。

「爛漫じゃ」

おばあちゃんは孫たちの幸せな未来を想像して、胸いっぱいになるのでした。

そして、万太郎と綾が小さい頃にも、この桜を見に来たことを思い出しました。それは、万太郎が生まれてすぐの頃、綾が養女として万太郎の姉になる時のことです。

「今日から家族になるがじゃ。血のつながりじゃのうて、縁で繋がるのう」

それからしばらくして、おばあちゃんはこの世を去りました。江戸から明治へ。峰屋の大黒柱だったタキの旅立ちは、一つの時代の終わりを告げるものでした。

最後に

らんまんの前半の最後に、おばあちゃんは亡くなってしまいました。

厳しくも愛情深いおばあちゃん。もう出ないのかと思うと、寂しくなります。

そして、峰屋は綾と竹雄とで切り盛りしてくことになりました。しかし、酒蔵に対する風当たりは強いままです。乗り切ることができるのでしょうか?

万太郎は、峰屋を離れると言いました。寿恵子と共に東京で暮らすのでしょう。

ただ、竹雄が働いてくれてた分は、寿恵子が働く?寿恵子には、苦労するフラグが立ちっぱなしです。

しっかりと物語を繋いだ前半でしたが、後半はどうなるのでしょう?

来週からも楽しみです。