さんかく窓の外側は夜 は、2021年に公開された映画です。元々は、2020年に公開予定でしたが、コロナ感染症の影響でずれ込んだものです。
映画だと怖いもの見れるんですけどね。現実世界では見たくないです。
ホラーではありませんが、前回の「キャラクター」も、サスペンスとして怖かったです。
今思うと、その前の「哀愁しんでれら」も怖かったです。
結構好きなんだと思います。
原作
原作は、ヤマシタトモコによる漫画です。
ちょっとBL要素もある原作ですが、映画では露骨な表現はありませんでした。
そして、アニメ化もされているようです。
主な登場人物
冷川理人 岡田将生
三角康介 志尊淳
非浦英莉可 平手友梨奈
逆木一臣 新納慎也
半澤日路輝 滝藤賢一
石黒哲哉 筒井道隆
ストーリー
三角の思い出
小学生の頃、三角は嘘つき呼ばわりされていました。
「お前うざいんだよ。幽霊なんかいないんだよ」
同級生からは、そう否定されてしまいます。しかし、三角には見えていました。
「本当なんだよ、あそこに」
指さす先には霊の姿がはっきり見えます。しかし、どうしても同級生は信二てくれませんでした。
冷川との出会い
大人になった三角が横断歩道を歩いていと、そこに人でないものが見えます。
眼鏡をズラしてみると、やはり幽霊でした。三角は、幽霊だということを確認して、恐ろしくなって逃げだしてしまいました。
そして、三角の仕事は本屋の店員です。本を並べている時にも、同じように感じてしまうことがありました。眼鏡をズラして見ると、やはり幽霊でした。
逃げ出そうとするところを、男に止められました。その男は、冷川理人。三角を後ろから抱きしめ、冷川の手を三角の胸に置きます。そうすると、冷川は三角の中に「入る」とことができました。
イメージは、こんな感じです。
除霊
三角の胸に手を当てると、幽霊が生きていた時の記憶が見えました。これは、三角の「目」を使って見えるもののようです。
冷川は、手をかざして、除霊しました。
「最高だ。君はまさに僕の運命だ」
冷川はそう言うと、「僕の助手になってみないか?」と誘うのでした。
僕といれば怖くなくなりますよ
「仕事は簡単な除霊作業です。時給は今の倍出します」
そう言う冷川の誘いを断ろうとする三角。
「さっきのは、俺の幻覚。ただの幻覚ですから?」
そう言います。しかし、冷川は「君はいままで見てきたものを否定するんですか?」と言って、自分で自分を否定するなと言うのでした。
そう言われても、三角は霊が怖くてたまりません。そして、眼鏡を外して見るのは、眼鏡を外しても見えるのは、霊だとわかっているからです。霊がわかれば、近づかなくて済むためでした。
「怖くなくなります。大丈夫、僕といれば、怖くなくなりますよ」
そう言って、三角を勧誘したのでした。
焼肉
冷川の助手として、ある家の池に入った三角。その池ですべってしまい、水の中に潜ってしまいます。そこには、霊がいました。その霊を除霊する冷川。最初の仕事は、そうやって終わりました。
「簡単な除霊作業だって言いましたよね?死ぬかと思いました」
そういう三角に冷川は言います。
「霊はめったに危害を加えるようなことしてきませんよ。たまに質の悪いのもいますけど」
冷川も子供の頃から「力」を持っていました。そして、冷川は三角も、子供の頃から「目」を持っていることを知っています。冷川が三角の「中に入る」ことで、三角の記憶を見ていました。
「周りの人は知ってるんですか?両親とか友達とか恋人とか」
そう聞く三角に冷川は「両親も友達も恋人もいません」と言うのでした。
そして、正式に契約することを三角に求めます。紙に簡単な契約内容を書いた物を取り出し、三角にサインさせようとします。
「今までぼんやりとしたものが視覚化されました。
おかげで仕事がしやすいです。さあ、サインを。サインを」
サインした時、三角は腰に違和感を覚えました。
新しい仕事
仕事から帰ってくる三角の母親。
「どうだった新しい仕事。かわいいこいた?」
そんな母親に「いないよ。男だけだし」と言って、簡単に三角は返します。そして、母親には「清掃業」だと言っています。それは嘘ではありませんが、本当のことは言えませんでした。三角が「見える」ことも話していません。
「清掃業だって言ってたから、匂いついたらモテないでしょ?」
そう言うと、母親は三角の匂いを嗅ぐのでした。
事件
雨の事件現場。刑事がやってきて、遺体に手を合わせます。
「これで三件目です。手口から見て、おそらく同一犯の犯行でしょう」
そして、刑事・半澤は冷川の元に向かいました。
半澤が事務所にやってくると、冷川達に依頼をします。
「探し物を頼みたい。
県内で起きたコンビニのバラバラ殺人事件だ。
犯人は店員で、客として訪れた女性を狙った。
そして、発見した遺体に、それぞれ見つからない部分がある。
見つからない部分を全て集めると、一人の人間になる。
しかし、犯人は拘留中に自殺した。
犯行を認める供述は取れたが、見つからない部分については口を割らなかった。
とにかく、見つかっていない部分を見つけたい」
犯人の家
冷川と三角は、刑事に伴われて犯人の家にやってきました。三角は入ることを躊躇してしまいます。
しかし、冷川に促されて、犯人の部屋に入っていきます。
三角が眼鏡を外すと、その部屋に佇む霊が見えました。
「無理です。やっぱり無理です」
そう言って出ようとしますが、冷川に止めらえます。
「落ち着いて」
そう言うと、三角の胸に触れ、犯人の記憶が見えました。殺害の様子、見覚えのない建物です。
呪い
横浜のみなとみらい地区で、女子高校生がスーツ姿の女性を呼び止めます。
「横浜駅がどっちの方かわかりますか?」
PASMOの残高がなくって、できれば歩きたいんです」
そう言われた女性は、観覧車のある方へ歩けば横浜駅に着くと説明しました。
その時、女子高生は呪いを掛けます。
「コレカラアナタヲ呪イマス。オマエハ死ヌ。呪ワレテ死ヌ」
女子高生が礼を言うと、女性は離れます。そして、そのままトラックの前に飛び出す女性。轢かれてしまいました。
信じない人
「除霊の際に三角くんを通してみた建物です」
そう言うと、刑事を古い建物に案内する冷川。
「ばけものじみてるな」
半澤はそう言うと、中に入っていきます。冷川は三角に触れ、繋がったまま入っていきます。
建物の中は廃墟になっていて、ポルターガイスト現象が起きていました。そして、三人を蛾の群れが襲ってきます。
しかし、半澤は気にせず先に進みます。心配になる三角。
「あの人は自分で見たものしか信じません。信じない人には作用しない」
そう行って、進んで行くのでした。
腐らない遺体
「三角くん、良く見て。僕は聞きます。何かいるね?」
そう言って入った部屋には、明らかに何かある気配がしていました。
半澤に二人そろって「あそこです」と指さしました。半澤は、気にせずどんどん入って行き、目隠しされていた荷物をどけると、そこに継ぎはぎの遺体が寝かされていました。
しかし、遺体は腐っていません。
「おいおい、なんで腐ってないんだ?お前ら入ってくるなよ。入ってくるなよ」
そう言うと、半澤は応援を呼びます。
三角はこの状況に耐えられませんでした。「息を吸って。深く」と冷川に言われますが、たまらず吐いてしまいました。
「ヒウラエリカに騙された」
現場に残された犯人の記憶から、そう聞き取ることができました。
呪いの装置
焼肉を食べる二人。仕事終わりは、焼肉を食べるのが恒例のようです。
「誰なんだろう?ヒウラエリカ。
あのつぎはぎの遺体が何かわかりますか?」
三角は冷川にそう聞くと、冷川は冷静に答えます。
「おそらく、犯人は操られているだけです。
遺体は呪いの装置です。呪いをかけるためには穢れが必要なんです。
ヒウラエリカは犯人に呪いをかけただけですよ。
それでは、警察は動きません」
しかし、ヒウラエリカを止めないといけないと三角は思います。しかし、冷川は「それは僕たちの仕事ではありません」とあっさり却下します。
呪いは言霊です。無意識に使っている言葉が、場合によっては呪いになるのです。顔色が悪いと言われれば、言われたことで体調が悪くなる、そういうものです。それは、SNS上でも同様の作用をします。
「世の中に拡散した呪いを祓っていたらキリがありません」
冷川はそう言うのでした。
幽霊より人間が怖い
冷川が不在の事務所で、SNSで拡散されている呪いの言葉を検索する三角。
そこに半澤がやってきます。
「三角くんだっけ?冷川とは違うな。妙な力を持っているのに違う。
運命。冷川がそう言ったのか?
この商売は助手を雇えるほど儲かってないと思うんだが、そんなに化け物がうじゃうじゃいるのか?」
半澤はずけずけと話しをします。除霊の依頼の件数は少ないのですが、呪いまで範囲を広げたら、もしかしたらもっとニーズがあるのかも知れません。よくわかっていない半澤に、「幽霊よりも人間の方が怖いってことです」と言う三角。
「そんなことは当たり前だ。あはは」
大笑いされてしまいました。
その半澤に気になる「ヒウラエリカ」のことを伝えました。
非浦英莉可
継ぎはぎの遺体が見つかった現場に女子高生がやってきました。
非浦英莉可です。
そこで、英莉可は冷川の存在を感じ取ります。
「誰?」
しかし、その時は、まだ誰かわかりませんでした。
不吉な場所
「ヒウラエリカね、俺らは現実世界を相手にしてるからよ」
三角に言われた女子高生が、現実の人なのか、そうでないのか、現時点では判断できませんでした。
そこに、冷川が戻ってきます。そして、半澤は冷川と三角を連れてある場所に行きました。
「殺人事件の被害者が最後に目撃されたのがこの場所だ。
ここで足取りが途絶えた行方不明者が何人もいる」
床に埋まっているのではないかという三角に「調べてみたが、収穫なし」と言う半澤。
「ここに店を出していたやつも突然死してる。そして、潰れた後購入者は暴力団のフロント企業で新たに開発するつもりもない」
暴力団関係者がやったのではないようです。謎の多い不吉な場所でした。
結界
「冷川さん、さすがにここはちょっと」
三角が戸惑う程の場所でした。それは冷川も同じように感じたようです。入口の前にサンカクの印を書きました。
「半澤さん、このマークの端を踏んでて下さい。半澤さんの信じない心、強いから」
そう言うと、半澤にマークを踏ませました。これは、結界です。出入口を確保するための結界を作ったのでした。
「俺も行くよ」
そういう半澤に「いざという時の避難場所」だと言って、冷川と三角の二人で中に入っていきました。
故意に作られたポイント
三角の肩に触れる冷川。眼鏡を外す三角。二人で扉を開けます。
入ったとたん呼吸が荒くなる三角。目を伏せがちになる三角に冷川は、よく見るように言います。
少し進んだところで「見えた」のは女子高生の英莉可の姿でした。
「誰?」
そう言う英莉可の姿を見て、進めなくなる二人。ここは、霊が集まるような場所ではなく、誰かが故意に作ったポイントでした。
思わず入口に戻る二人。半澤は何があったのかわかりません。しかし、冷川もよくわかっていませんでした。
そして、三角は気を失ってしまいました。
夢
三角は小学校の頃の夢を見ていました。
子供の頃、嘘つきだと言っていた少年が川へ入っていきます。そこには、三角が指さした幽霊がいます。しかし、聞いてもらえない三角は、その場を立ち去りました。
そして、少し歩いたところで何かが気になり、川へ戻ります。川に降りた少年も霊も消えていました。
そこで三角は目を覚ましました。三角は状況が理解できません。夢の影響で涙が流れてきました。
冷川肩を抱き「大丈夫、大丈夫ですよ」と言ってくれました。
調査結果
昼の公園で、三角は半澤と会っていました。
「ヒウラエリカについて調べてみた。名前だけだと、全国に該当者がいた。
前科のあるものはいなかった。
バラバラ殺人の被害者とも関連している人はない。
どうなんだろうな?そんな女は実在しないんじゃないのか?」
三角の言葉を信じて、半澤が調べてくれたのでした。しかし、名前だけでは調べる事にも限界がありました。そして、三角にも英莉可が実在する人物なのか、本当の名前なのかわかっていません。
「体は、もうなんともないのか?
氷川に巻き込まれて、あんたも大変だよな。
変わったやつだよな。あはは」
三角が困っていると、半澤が気を使って話しを逸らしてくれました。
「ただ、一つだけ言っておく。飲まれるなよ。
あいつが誰かとつるむなんて初めてのことだからよ。
いいことだとは思うがよ。
あいつがまともなやつだって、断言してやれねえ」
そう言うと、「呼び出しだ」と言って去っていきました。
中に入る英莉可
風が吹いて木の葉が鳴ると、三角の隣に英莉可が座っていました。
「え?誰?」
驚く三角。英莉可が三角の腕を触ると、夢で見た子供の頃の川にいました。子供がいなくなり、怖くなった三角少年が逃げるところでした。
三角の姿は、冷川に入れ替わります。
「あなた、誰かに縛られてる」
英莉可がそう言うと、三角の腰が痛くなり、倒れてしまいました。
「ダメですよ、簡単に人を入れたら」
冷川の声が聞こえました。
オープンすぎる
公園にいたはずの三角でしたが、気づくと事務所で寝ていました。
痛んだ腰を鏡に映してみると、腰のところにサンカクの印が刻まれていました。そこに冷川が帰ってきました。
「公園で倒れていたから連れてきたよ」
そう言う冷川に三角が聞きます。
「冷川さん、俺に何かしましたよね?なんなんです?この三角の印」
冷川は、三角の魂がオープン過ぎるからと、冷川との契約を結んだと言うのでした。
装置
「それより、いいことに気づいたんです」
一人で「故意に作られたポイント」を調べた冷川。その結果、よくできた装置だったと言うのでした。
「負のエネルギーを持った人を吸い寄せ、そのエネルギーを貯めておくダムのようなもの」
だと言うのです。それは、負のエネルギーを貯め込む「貯金箱」のようでした。
利益を得る
「僕もちょうど考えていたんです」
そう言うと、冷川は考えていたことを話してくれました。
「今は清掃業です。
けれど、どうせなら汚して片付ける、両方できたらいいなって。
この貯金箱も、何らかの利益を効率よく得るための装置なんですよ。
同じ発想の人がいたなんて驚きでした」
冷川は、呪いをかけて、解いてやることで金儲けができるということを言っていました。冷川は英莉可の存在を知っていました。しかし、なんの対処もしていません。それは、英莉可が呪いをかけ、解くことで報酬を得られるからでした。
「嘘だろ、なんなんだよ、わけわかんない。
人が死んでるのにあんたはなんとも思わないのかよ。
勝手に変な契約で人をしばりつけて。俺も金儲けの道具の一つってことですか?」
そういうと、三角は冷川の胸に手を当て、冷川の中に入って行くのでした。
冷川の過去
冷川の中に入り込むと、小さな窓のある部屋に少年時代の冷川がいました。
万華鏡を覗き込む冷川少年。
しかし、見えたものは、それだけでした。
「そんなの、僕にだってわからない。満足しましたか?」
三角を自分の中に入れ、記憶を見せた冷川。しかし、三角はそれだけでは、何も満足する情報を得ることができませんでした。
「もういいです。お世話になりました」
そう言うと、三角は出ていきました。
呪いの影響
「これ全部、事故か自殺なんですか?」
ある政治家の秘書や弁護士、関連する人たちが亡くなっていました。しかし、容疑者と言われる人はいません。こんなに都合よく人が死ぬなんてありえないと思うのですが、事件の証拠となるようなものは見つかっていません。
その中には、英莉可が呪い、車に飛び出した女性の名前もありました。全部、英莉可がやったことなのかも知れません。
「立件するのは難しいかもしれん」
そう言う半澤。
そんな時、英莉可は、通学中の高校生を見つめていました。
そして、冷川と別れた三角は、半澤を訪ねて警察署に来ていました。
「女子高生?」
あの「貯金箱」で見た女子高生が英莉可だと言う三角。しかし、冷川のように能力のある人に対してでないと、上手く説明できません。
「冷川はどういってんだ」
半澤は、そう聞きます。しかし、三角は「さぁ、俺事務所辞めましたから」と言うだけでした。
冷川の過去
半澤は、冷川の過去を三角に話します。
「俺は数えきれないぐらい、凄惨な事件現場を見てきた。
中でも忘れられないのが、15年前ショウホウ会という宗教法人で起きた奇妙な事件だ。
近所から異臭がするって、通報があってな。
行ってみたら、中は死体だらけだった。
そして、食堂の奥にたった一人の生存者が隠れていた。
まだ幼い、教祖の少年だった。
なんでも、不思議な力を持っていて、信者の病気なんかを治していたそうだ。
それが、冷川だ。
冷川の母親は神の子と呼んで、俗世間から隔離して施設内だけで育てたんだ。
しかし、まともな教育はほぼ受けていない。
だから、あいつにはわからないんだよ。善悪の基準が」
そして、結局何があったのかは、わかりせんでした。一人助けられた冷川は、ひどくショックを受けていて、事件発生時の記憶をなくしていました。
「あれだけ人が死んだんだからな。その中には、あいつの母親もいたんだ」
半澤
半澤が家に帰りました。妻が起きて出迎えてくれました。
妻は「今日宝くじ買ったんだけど、びびってきたの。だから当たってる」と言うのですが、半澤は見た物しか信じません。妻はそれをわかっていて、半澤に圧力を掛けます。
「信じる」
仕方なく、半澤はそう言うしかありませんでした。
信じない力
「信じる力です。信じる力が人を滅ぼすのを良く見ました。
でも、あなたのは信じない力ですよね。すごい」
冷川は半澤にそう言います。しかし、なにが凄いことなのか半澤には分かりません。
「信じないでいてもらえるって、すごくいい感じです。
あなたは僕を信じないでいて下さいね」
半澤はそんなやりとりをしたことを思い出していました。
罰があたる
ある宗教団体。そこに英莉可はいました。英莉可の父は、「先生」と呼ぶ男のことを信じ込んでいます。しかし、英莉可には、その感覚がわかりませんでした。
「英莉可、エリカ、待ちなさい。先生の前であんな態度を取るんじゃない。罰があたるぞ」
しかし、罰を与えられるとは思いません。そして、どんな罰かもわかりませんでした。
そんな時、急に鼻血を出す英莉可。しかし、気にせずに出かけていきました。
「こんなことしてる暇ねえのに」
半澤は、上司の昇進祝いにお呼ばれしていて、妻と向かっていました。そんな時、あの「貯金箱」の近くで、女子高生を見かけました。英莉可だと確信した半澤。妻には手見上げを買っておくように言って、英莉可を追いました。
「貯金箱」に入いろうとする英莉可を止める半澤。
「非浦英莉可さんだね?」
そう声を掛けると、英莉可は名前を呼ばれたことにびっくりして、逃げ出そうとします。半澤は「怪しいものではない」と言って警察手帳を見せます。
<ナゼ名前ヲ知ッテル?>
半澤に呪いをかけようとする英莉可。会話を続けながら、やってみますが、上手く行きません。
<ドコマデ知ッテル?言エ、言エ>
呪いが効かないことに困惑する英莉可。つい「なんで?」と言ってしまいます。
「なんかしようとしてる?まいったね、オカルトの類は信じないんだが」
半澤は信じない力で、呪いから防御していたのでした。
信じないから効かないことに驚く英莉可。どうすることもできません。
そこに半澤の妻がやってきました。
「大丈夫?」
信じてるもの見つけた英莉可は、妻に呪いをかけました。
<アノ人ハ呪ワレテ死ヌ>
そうすると、半澤の妻は、目から血を流し倒れてしまいました。半澤が妻に駆け寄ると、英莉可は逃げることができました。ただ、英莉可の耳から黒い血が流れていました。
拉致
「三角くん、久しぶり」
半澤の家に呼ばれた三角。そこにいたのは冷川でした。
半澤の妻は、目から黒い血を流し続けていました。
「呪いが強すぎる。無理やり剥がせば、奥さんの命が危ない」
冷川は、打つ手がないと言うのでした。しかたなく、半澤の家をあとにする二人。歩きながら、三角が冷川に言います。
「あきらめるんですか?半澤さんと付き合い長いんですよね。
なんとかして助けようと思わないんですか?」
しかし、冷川の経験上、人助けをしてもいいことはあまりありませんでした。そんなことを言われて三角は納得できません。
「じゃあ、冷川さんは自分だけの力だけで生きてきたと思ってるんですか?
誰かに助けられたことは一度もないんですか?
俺が言いたいのは、大事な人は大事にしろってことです」
怒って冷川から離れた時、一台の車が冷川に迫ります。近くに停まると、冷川を殴り、拉致しようとします。
気づいた三角は、戻って助けようとしますが、返り討ちにあってしまいました。
自家中毒
「起きろ、おい、おい」
その声に目を覚ます三角。冷川と一緒に拉致されていました。そして、そこには、黒い血を流す英莉可の姿がありました。
「自家中毒ですか?人を呪うと必ず自分に返ってくるんです」
拉致した逆木は、冷川に「なんとかしろ。絶対に死なせるな」と言います。
しかし、冷川にそんなことをする義理はありません。しかし、三角は気づきました。
「やるべきです。彼女なら、半澤の奥さんに掛けた呪いを解けるかもしれない。
協力してください。お願いします」
三角に頭を下げられ、仕方なく協力することにした冷川。逆木を外に出して、英莉可の中に入ることを決めました。
英莉可
英莉可の「中に入る」ために、三角の胸に手を当てる冷川。
見えたのは、子供の頃、公園のブランコで一人遊ぶ英莉可でした。
そこに霊が現れ、「いーれーて」と言うのです。その霊に対して、「いいよ」と言う英莉可。受け入れて、倒れてしまいます。そして、目から黒い血を流す英莉可の姿がありました。
そして、殺人犯に遭遇してしまう英莉可。母親は英莉可をかばい、刺されてしまいまる。その犯人を呪う英莉可。
呪いは、そうやって使えるようになったのでした。
呪いの力を手に入れた英莉可は、父親がハマった宗教の先生に出会います。そして、父親から「先生のために力を使いなさい」と言われたのでした。
そして、少年の冷川が現れます。先生に対して、「それ、どうしたの?」と尋ねました。
「呪いですよ」
先生はそう答えました。手を差し出す冷川。そこで、英莉可の中から外に出ました。英莉可の呪いは解けたようです。
宝箱の穢れ
呪いが解けた英莉可は、二人にむかって「どうも」とお礼を言いました。
そこで、三角は「半沢さんの奥さんにかけた呪いを解いて欲しい」と頼みます。
しかし、英莉可の答えは「無理」でした。それは、半澤の妻を呪うのに「貯金箱」のエネルギーを使ったからでした。貯金箱は、穢れを貯めておく装置でした。
「あの時初めて使ったけど、強すぎてコントロールできなかった」
英莉可はそう言います。そして、貯金箱は、先生が基盤を作って、英莉可が増幅させたものでした。
そして、最後に少年の冷川が出てきた場面のことを指摘します。
「最後の、あなたの記憶でしょ?先生のこと知ってるの?」
動揺する冷川。しかし、冷川は覚えていませんでした。
どんなに心を砕いても
「この件は、僕たちの手には負えません。失礼します」
半澤にそう告げる冷川。しかし、三角は諦めきれません。
「どういう関係ですか?どうしてあなたの記憶の中に先生がいたんですか?」
なんだかわからない半澤に三角が説明します。
「見たんです。冷川さんの記憶の中で、英莉可と一緒に貯金箱を作った先生が、奇妙な男を連れていた。
もしかして、そいつが呪いを持ち込んで、呪いをおこした?」
そう言われても、冷川は記憶を無くしています。そして、それを言い出しても、この呪いを解くことはできません。
「なにかできることはまだあるはずです。これはあなたの問題でもあるんじゃないんですか?」
そういって食い下がる三角。しかし、半澤には、どうしていいかわかりません。そして、どうしたらいいのかもわかりませんでした。
「もういい。面倒に巻き込んですまなかった」
その言葉を聞いて、頭を下げて出ていく冷川。
「どんなに心を砕いてやっても、救えないこともあるんだよな。まぁ、気にするな」
半澤はそう言うのでした。
先生との記憶
事務所で考え込む冷川。
「どうやるの?」
「穢れをあつめるんです。簡単ですよ、あなたなら」
冷川の記憶がすこし戻ってきていました。先生と呪いの話しをしたことを思いだしたのです。
会えて嬉しかった
一人で貯金箱に行く三角。眼鏡を外し、呼吸を整えます。そして、入ろうとしたとき、英莉可に止められます。
「何してるの?」
三角はもううんざりしていました。貯金箱をぶっ壊すつもりです。
「できるかもしれないし、できないかもしれない。
でも、もううんざりなんだ。
何もしないで逃げるのはもう嫌だ」
幽霊に怯えて過ごしていた三角。しかし、冷川と出会って、少し変わりました。
そんな決意をしている三角に英莉可は言うのでした。
「ワザとだったの、名前。呪いかけるときにワザと非浦英莉可って名乗ったの。
誰かがいつか、気が付いてくれるんじゃないかって。怖かったの、ずっと。
だから、あなたたちに会えて嬉しかった」
三角も同じ思いでした。少年時代に嘘つき呼ばわりされ、誰にも言うことができなかった見る力。でも、冷川と出会い、冷川が力を認めてくれました。
協力
「私が貯金箱の入口を開く」
そして、中に入る三角と英莉可。一番奥の扉を開くと、そこは、穢れが張り巡らされていました。
穢れを受け入れて入口を開いて、中に入る三角。
扉を開いたことで、穢れが街に溢れ出していきました。
穢れの影響
冷川の手ではどうにもならなかった半澤の妻。
しかたなく病院へ入院しました。妻に付き添う半澤のスマホが鳴ります。
「良くわからない事件が多発しています。
通り魔が出たり、放火が多発しているんです」
そう連絡を受け、半澤は現場へと急ぎました。
信じない方の人
街の混乱の原因だと思って、貯金箱に入ろうとする半澤。そこに冷川がやってきて、入るのを止めます。
そして、貯金箱の異変に気付いた先生と、その信者がやってきました。
「あの人たちを停めておいて下さい。
今、三角くんが助けようとしています。僕も行ってきます。あとは任せて下さい」
そう言う冷川に「信じられるか、そんなもの」と半澤は言うのでした。それがいいのです。半澤には、信じない方にいてもらわないと困ります。
「石黒哲哉さんですよね?」
そう言うと、半澤は掴みかかりました。
貯金箱の中で、英莉可が穢れの強さに倒れてしまいました。そして、三角も倒れてしまいます。
そこに現れる冷川。三角に触れて、穢れを払います。
「全く、無謀過ぎて呆れますね。そろそろ彼女も限界です。戻った方がいい」
しかし、三角は戻ると言いません。冷川だけ戻るように言われ、冷川は困ってしまいます。三角は「助手がいなくなるから困るのか」と聞きます。
「いや、違います。なんで、ですかね?」
冷川は、上手く答えることができません。ただ、三角を置いて帰ることができませんでした。
万華鏡
部屋の奥に進もうとする三角。その時、部屋の奥から音が聞こえてきました。その音の先に何かを見つける三角。
部屋の奥へと進むと、中心に壊れた万華鏡がありました。
その万華鏡の持ち主だったのが、少年だった冷川だってことを知り、振り向く三角。振り返ると、冷川の目から血が流れていました。
「どうしたんですか?冷川さん、しっかりしてください」
冷川の手を自分の胸にあて、冷川の中に入っていきます。
事件の記憶
「お食事ですよ」
少年の冷川の世話をしてくれている女性が入ってきました。冷川は一人で過ごしていました。
「お母さんは?」
冷川がそう聞くと、神の子であり「お母さまはいません」と言われます。
そして、準備した食事をするように言われますが、冷川は「お肉食べたい」と言います。しかし、お肉には毒がいっぱい入っていると、受け入れてもらえません。
その記憶を見ている三角と今の冷川。
「あれは、誕生日にお母さんから買ってもらったものです。
あのカレイドスコープを覗いている時だけが、唯一の安らぎの時間だった」
冷川の力
「すごい、体が軽くなった」
これが冷川少年が信者に使った力です。しかし、智からを使うと冷川は疲れてしまいます。
「わがままはいけませんよ。教祖様は私たちの運命なのですから。
運命と言うのは共鳴して、強い力で私たちの命を引き上げてくださる。
そして、この人は運命だと直感でわかるものなんです。
教祖様がお力を尽くしていただけないと、みながあなたを信じているんですから」
そして、逃げても母親と引きはがされてしまいます。何度、母を呼んでも、助けてはもらえませんでした。
壊れていた
「思い出しました、全て。
自分が何をされ、何をして、何を思っていたのか。
僕は、苦しかったのかもしれない。だから、壊した。
それは、僕があらかじめ壊されていたから」
冷川は自分の現在を嘆き、呪ったのです。そして、教団にいる全ての人間を呪ったことで、教団内で殺し合いが始まりました。
しかし、たった一人守りたかった母も、呪いで狂った人に殴られて死ぬことになったのでした。母が目の前で殺されるのを見たことで、冷川の呪いは最高潮に達したのでした。そして、その時落とした万華鏡が、呪いの品となったのです。
それを先生が持ち出し、この貯金箱の中心で穢れを集めさせていたものでした。
「僕がやったんだ。お母さんも、僕が殺した」
そう言うと、冷川は穢れに飲み込まれてしまいました。
俺たちにできること
「冷川さん、行っちゃダメです、戻ってきてください」
懸命に冷川の記憶の中を探す三角。そう言えば、生存者の冷川少年は、食堂にいたことを思い出します。その食堂には、うずくまって肉を食べる、冷川少年がいました。
そして、隣に座る三角。
「俺さ、子供の頃から、なんで自分は他とは違うんだろうってずっと思ってた。
こんな変な力がなければ、どんなに良かったかって
でも、もしかしたら、もしかしたらさ、こんな俺たちでも何かできることがあるかもしれないって、今は思うんだ」
涙を流す三角。
「それを教えてくれたのは、あなたなんだよ、冷川さん」
そう冷川少年に言うと、冷川少年は三角を見つめました。
一緒にいれば怖くない
「俺をみつけてくれて、ありがとう。肉、食べたくないですか?」
そう聞くと、冷川少年は「肉食べたい」と言うのでした。
そして、冷川少年は聞きます。
「これは、運命?」
「そう、運命。俺と一緒にいれば、怖くないですよ」
冷川少年はうなづくと、三角の手をとりました。
朝
手をつないで寝ている二人。全ては終わりました。
そして、一緒に目を覚まし、三角は手に持った万華鏡を冷川に渡します。
倒れてる英莉可も、手をふれて起こします。
「ありがとう」
三角は英莉可に力を貸してくれたお礼をいいます。お礼を言われ、泣き出してしまう英莉可。
「ありがとう」
やっとお礼を言うことができました。
そして、半澤の妻も呪いが解け、無事に戻ってくることができました。
目が良かった
三角は母親に自分が霊が見えることを告白しました。
「わかった」
しかし、母親の返事は、簡単なものでした。ちゃんと聞いてくれていたのか心配になった三角は聞き直します。
「え?でも、俺、霊が見えるんだよ。気味悪くないの?」
しかし、母親の反応は変わりませんでした。
「びっくりはしたけど、あんたは人より目が良かった。
それだけのことでしょ。ご飯冷めちゃうよ」
そう言って、あっさり受け入れてくれたのでした。
そんな時、冷川は事務所にいました。三角を縛っていた契約書を破ります。運命に契約は必要ありません。
そして、英莉可は学校に行っていました。呪いが巻き付いた手は、綺麗になっていました。しかし、そこにまた、呪いの症状が現れ、慌てて手を隠しました。
感想
夏ということもあって、ちょっとホラー系やオカルト系の映画を探していて見つけました。
呪いや言霊、霊や穢れ。そのどれもが、2000年近く日本人の根底にあるものです。
それを現代の方法で表現し、祓っていくのは面白かったです。
最後に英莉可に呪いの症状が現れました。次があるのかも知れません。あって欲しいと思いました。