カルテル 競争の番人 (3) ネタバレ

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カルテル の調査は難航しています。

ホテル天沢あまさわの専務・天沢雲海は、とても賢く、強敵です。

ホテルの業者イジメからカルテルにまで踏み込むことができるのでしょうか?

そんな第3話のネタバレです。

競争の番人公式HP

主な登場人物

小勝負こしょうぶ勉  坂口健太郎
白熊しろくまかえで   杏
桃園千代子 小池栄子
風見慎一  大倉孝二
六角洸介  加藤清史郎
大森徹也  黒羽麻璃央
本庄聡子  寺島しのぶ

天沢あまさわ雲海うんかい  山本耕史
藤堂清正  小日向文世

第3話のストーリー

閉じ込められる

カルテルは、複数の企業が連絡を取り合い、商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為です。そして、カルテルを行うことで、価格の競争がなくなり、高い値段で売ることになります。

ホテル天沢が主導で行っているカルテルの証拠を見つけたい公正取引委員会ですが、雲海はなかなか尻尾を現しません。そのため、納入業者いじめの立ち入り検査で、カルテルの資料を集めることになりました。

立ち入り検査後、ホテル長・長澤から小勝負に連絡が入ります。カルテルの資料の保管場所がわかったと言うのです。小勝負は白熊に連絡し、一緒に行きました。

しかし、長澤は裏切り、白熊と小勝負は旧ホテルの書庫に閉じ込められてしまったのでした。

彼氏との約束

閉じ込められた部屋は、カードで開閉するタイプの扉です。カバンも通信機器も外に置いてきてしまい、中から外へ出る方法も、連絡する方法もありません。

「俺たちここに監禁されたんです。ここは書庫です。公取の職員が不法侵入したと警察に突き出すつもりなんですよ。
 そして、明日の朝、見回りに来た警備員に発見されますよ」

小勝負はそう言います。しかし、白熊は明日の朝まで待っている訳には行きません。なぜなら、今日はクリスマス。彼氏の徹也とイタリアンを食べる約束をしていました。

「え?白熊さん、今夜予定あったんですか?」

そう聞く小勝負に「私にも彼氏ぐらいいますよ」と答えると、固まるほど小勝負は驚いていました。

長澤の立場

「コートを着たままでもいいと言ったのは、君なりの優しさかな?」

雲海にそう聞かれた長澤は、「凍死されても困ると思いましたので」と答えました。

せっかく、長澤が雲海と戦う気持ちになったと思ったのですが、簡単に寝返ってしまいました。白熊は、長澤が裏切ったことが信じられません。

「立ち入り検査の後、きっと雲海に言われたんですよ。協力するならホテルの仕事に戻してやる。断るなら、家族共々この町に住めなくなると思えってね」

小勝負の見立ては正しそうです。しかし、どんな状況に置かれても、裏切らない人もいます。裏切ってしまう長澤は弱い人だと小勝負は言うのでした。

「弱くっても長澤さんなりに戦ってるんだと思います」

白熊は長澤のことを信じたい気持ちでした。

面白い物

何かに気づいた白熊は、部屋の奥の棚をどかしてみました。そして、壁を調べると、一部だけ材質が違う箇所がありました。

呼吸を整えると、「せいやー!」と掛け声をかけ、壁を打ち抜きます。なんと、隣の部屋へ移動できるようになりました。しかし、外には出れそうにありません。ただ、トイレと給湯室に行けるようになったのは、少し助かりました。

白熊の行動に驚いた小勝負ですが、すぐに入口の近くに戻ります。

「そっち戻っても何もないじゃないですか?」

そう言う白熊に「さっき、面白い物見つけたんです」と小勝負は言うのでした。

宿泊台帳と顧客カード

「そんなにおもしろいですか?過去の宿泊台帳と顧客カード」

熱心に宿泊台帳を見る小勝負に白熊は話しかけます。

「これ見て下さい。クラシカルホテルの安藤と温泉郷絆の政岡の名前があります。そして、どちらも1107号室を利用してる」

ウェディングカルテルの調査対象者の2人。さらに、過去に摘発されたカルテルの当事者の名前を見つけました。山下和史、新名雅道、荒井雅美。みんな、1107号室を利用していました。

そして、豊島浩平の名前も、そこにはあったのでした。その豊島は、談合事件で窓口になった男性で、自殺してしまったのでした。

「そうか、ホテルの一室なら、会社の重役が立ち入っても目立たない。
 ここだったんですよ、カルテルの密談場所」

密談場所を見つけましたが、その宿泊台帳を持ち出すことができません。

「許可なく持ち出せば窃盗です。その前に、白熊さんは壁を壊してますけど」

白熊は警察にいましたが、警察であれば簡単に押収することができました。しかし、弱小官庁の公正取引委員会では、許可なく押収することができないのでした。

違法調査

なにもすることがなく、寝てしまう白熊。その白熊に自分のコートをかけてあげる小勝負。クリスマス時期の栃木の寒さは、凍える寒さです。長澤がコートを着ていいと言わなければ、本当に凍死していたかも知れません。

そんな時、やっと扉が開き、警備員がやってきました。そして、白熊と小勝負は通報され、連行されるのでした。

「間違いなく公正取引委員会の違法調査です。不法侵入までするなんて。私たちは本当に何もやましいことはしていません。
 これは、行政の立場を利用した弱いものいじめです。」

そうテレビのインタビューに答える天海。メディアの力を使って、世論を味方につけようという作戦です。そして、問題が大きくなれば、公正取引委員会も下手に動けなくなるという判断でしょう。

やっと帰ってこられた白熊は、みんなに謝ります。

「謝ることないわ。おかげでウェディングカルテルの密談場所がわかったんだから。
 しかもその部屋が他のカルテルや談合にも利用されていたなんてね」

しかし、貴重な情報があったのに持ち出すことはできませんでした

そんな話をしている間、小勝負は一人パソコンの前で作業していました。

戦うことを決めました

そんな時、公正取引委員会にフラワーショップ石田の夫婦がやってきました。

「小勝負さんが言った通りでした。あの後、主人は釈放されました。
 それで、主人と話し合ったんです。このままでいいのか?雲海さんの言いなりでいいのか?
 それで、私たち、戦うことに決めました。
 生まれてくるこの子にこれが俺たちの花屋だと胸を張っていいたい。そう思ったんです。天沢グループからは、抜けるつもりです。
 これからは、ホテルに依存せず、自分たちの力でやっていくつもりです」

そう強い決意を話してくれました。

「それで今日は、お伝えしたいことがあってきたんです。
 皆さんは、ホテル同士のカルテルについて調べてらっしゃるんですよね?
 あの人たちがどうやって連絡を取り合ってるか、わかってますか?
 実は、私たち納入業者がメッセンジャーとなって、ホテル間の伝言を伝えているんです」

貴重な情報を教えてもらえました。納入業者ならどのホテルに出入りしていてもおかしくありません。そして、次は1月17日に雲海は政岡と会うようです。

盗聴

会合当日。ホテルの近くに車を止め、そこを基地に公正取引委員会のメンバーが集まっていました。

桃園が、雲海と会う予定の政岡と電話で話しています。

「桃ちゃんを泣かせる訳にはいかないからね。行ってくるよ」

携帯電話の電源を入れたまま、それを録音しています。しかし、いつ政岡を協力者にしたのでしょうか?桃園は「密談場所と日時がわかったんだから、楽勝よ」と言うのですが、詳細は描かれませんでした。

そして、問題の1107号室に政岡が入ります。

「ご無沙汰しております。雲海さん」

挨拶もそこそこに、雲海は「念のため、盗聴発見器を持ってきました」と言って、探り始めます。盗聴発見器は特定の周波数を検知するようになっているため、携帯電話には反応しないはずです。しかし、盗聴発見器はピーピーと鳴っています。

「ありましたよ。こんなところに盗聴器が」

部屋の時計の中に盗聴器は仕掛けられていました。そして、雲海は犯人がわかっていると言うのでした。

「安藤です」

ウェディングカルテルのメンバーで、ちょっと前に刺されたクラシカルホテルの安藤のことでした。

録音データの在処

「実は今日、このことをお話するために政岡さんに来ていただいたんです。
 安藤はこの部屋に盗聴器を仕掛け、この部屋で行われる密談を録音していたんです。
 音声を公開されたくなければ金を払え。そんなやり口で儲けていたようです。
 安藤に脅された会社から、うちのホテルが盗聴されているのではないかとクレームが入りましてね。それで気が付いたんです」

雲海は政岡にそう説明します。政岡は初耳で驚いています。

「ということは、我々のカルテルも録音されていたんじゃないですか?」

そう政岡が聞くと「そうです」と雲海は、カルテルの存在を認めました。しかし、音声だけなので、雲海が実際に認めない限りは、正式な証拠にはなりません。ただ、揺さぶりに使えます。

「ところが、安藤が刺されてしまったでしょ?録音データがどこに保管されているかわからないんです。何度かクラシカルホテルにも足を運んだんですが」

そう言うと、政岡に手を貸して欲しいと言うのでした。

安藤

そこにタイミングよく電話が入ります。電話は、キャップの風見からで、安藤の意識が戻ったという連絡でした。

しかし、意識が戻ったのは2週間も前だったようです。公正取引委員会は、警察に舐められている弱小官庁なんです。

それを聞いた小勝負は、白熊と一緒に安藤のお見舞いに出かけました。

安藤は栃木記念総合病院の個室に入院していました。

「公取に目を付けられる覚えはない。帰ってくれ」

そう言う安藤に「本当ですか?私たち、かなりの情報掴んでるんですけど」と白熊は揺さぶりをかけます。しかし、安藤は「そんなことより、俺を刺した犯人を捕まえるのが先だろ」と話しを聞きません。

「録音データ、どこに隠してるんです?」

相変わらず、小勝負は直球勝負です。しかし、当然と言えば当然ですが、安藤は認めませんでした。しかたなく、差し入れのどら焼きをもらって、白熊と小勝負は部屋を出ました。

犯人

部屋を出ると、白熊は小勝負に話します。

「録音データ、どうやって探します?やっぱり自宅ですかね」

その時、黒づくめの人とすれ違いました。その姿は、安藤を刺した犯人の特徴と一緒です。それい気づいた白熊。黒づくめの人物は、安藤の部屋の前で立ち止まり、扉に手をかけます。

「あの?すみません」

白熊は声をかけます。声をかけられると、黒づくめの人物は逃げ出しました。追いかける二人。会談を降りてる途中で、捕まえることができました。

「美月ちゃん」

その人物は、豊島の娘・美月でした。

刺した動機

検察から公正取引委員会に出向してきている緑川が、美月の捜査状況を教えてくれました。

「美月さん、安藤を刺したことを認めたわ」

そう言うと、美月の語った内容を教えてくれました。

豊島が自殺を図ったあと、豊島の手帳を見つけた美月。その手帳には、たびたびホテル天沢、天沢雲海と書かれていました。そこで、父親が自殺を図った真相を知るため、美月は雲海に会いに行ったのでした。

「実はお父さん、脅されてたんだ。安藤という男に」

雲海はそう美月に教えたのでした。それで、美月は、安藤を刺したのです。

空腹

しかし、美月は、自分のしてしまったことの重大さに気づき、自首することにしました。ただ、その前に安藤に謝罪しようと病室に行ったところ、白熊に見つかったのでした。

「安藤は豊島さんも脅してたってこと?」

白熊はそう聞きますが、緑川は「今のところ二人の接点は見つかっていない」と言うのでした。

どうして雲海がそんなこと言ったのかわからない白熊。小勝負はそんな白熊に仮説を話すのでした。

「美月ちゃんを利用して安藤を始末しようとしたんですよ。
 録音データが流出すれば、これまで金を巻き上げてきたカルテルの当事者たちからは恨みを買う。ただでは済まないでしょ。
 どうしても安藤を止めたかったんだと思います」

安藤は豊島ことも、美月のことも知らないと証言しています。その安藤をどうにか切り崩ずしたい公正取引委員会。

その時、白熊の腹が鳴りました。集中していた雰囲気は、一気に崩れ休憩になりました。

どら焼き

キャップの風見が、どら焼きを見つけました。それは、白熊と小勝負が安藤の所からもらってきたどら焼きです。

どら焼きを一口食べ、白熊が倒れてしまいました。

そのまま入院することになった白熊。徹也がお見舞いに来て、差し入れをもらって嬉しそうです。

「よくそんなに食べれるね。2日間も意識なかったのに」

白熊がどら焼きを食べてから2日経過していました。白熊は「元気になったら、急にお腹すいてきちゃって」と言って、バクバク食べていました。

「監禁されたと思ったら、今度は毒入りのどら焼きって。どうなってるの公取は?
 しばらくはしっかり休むんだぞ」

徹也にそう言われしまいました。

リーチ

白熊が入院した病室に小勝負が顔を出しました。

「え?え?もしかして、彼氏さんですか?」

白熊に紹介されて、挨拶する小勝負と徹也。小勝負は徹也に会って、喜んでいました。

「お見舞いにきてくれたんですか?」

そう聞く白熊に小勝負は、労災の申請書を渡しにやってきたと伝えます。そして、調査の状況について、「リーチです。いよいよ勝負ですよ」と言うのでした。

会議

白熊が復帰すると、すぐに会議が開催されました。

「これって、なんなんですか?この人数」

大きな会議室に第一から第六までの各部署の人が、ほぼみんなが集まっている会議でした。そして、小勝負が作った資料を渡されます。

「白熊ちゃんが入院している間も、一人でずっとパソコンに向かってた」

小勝負が作ったのは、カルテル部屋の1107号室を使った人のリストでした。

そして、第六審査長・本庄が入ってきました。

「ご存じの通り、第六は世間に目の敵にされています。
 しかし、我々は違法調査などしておりません。我々の仲間は、騙され、監禁され、あらぬ疑いを掛けられたのです。
 先日は、仲間の一人が危うく命を落とすところでした。
 その全ての元凶は、天沢雲海です。
 公正取引委員会として、このまま終わりにしていいのでしょうか?やられっぱなしでいいのでしょうか?
 私は彼を逃がさない。そのためにも、皆さんのお力が必要なんです。
 同か我々を信じて、力を貸して下さい」

別行動

「それでは割り振りをお伝えします」

そう言うと、各部署に担当の割り振りをしました。その時、桃園が六角に対してお願いごとをしていました。六角は、雲海を尾行したり、何かと別行動させられています。

今回も何かあるようです。

長澤の戦い

ホテル天沢に第六のメンバーがやってきました。それを見て、ホテル長の長澤が飛び出してきます。

「なにしに来たんですか?」

そう言われ「雲海さんの聴取にやってきました」と風見が伝えます。

しかし、長澤は言います。

「会う訳ないじゃないですか?お帰り下さい」

そこに小勝負が口を挟みます。

「長澤さん、この前はどうも。見事な裏切りっぷりでしたね。
 長澤さんなりに戦ってる。私はそう思ってます。協力して下さい」

聴取

第六のメンバーを案内する長澤。場所はスイートルームです。長澤がカードキーで開け、中に通します。

「公取?長澤、なぜ通した?
 立ち入り検査なら拒否します。お帰り下さい」

取り付く島もありません。しかし、今日は立ち入り検査ではなく、聴取です。

「今日はお話を聞きにいたんです。なかなかお会いできないので」

しかし、雲海は「話すことはありませんからね」と言うのでした。

「こっちにはあるんです。山のように。
 ホテル天沢の1107号室について、話しましょうか?」

小勝負がそう言うと、雲海の手が止まりました。

カルテル部屋

「あなたは様々な業者に対して、1107号室をカルテル部屋として提供していましたね?安全な密室として」

しかし、雲海は認めません。

「宿泊代とは別に高額な使用料をもらってたんでしょ?
 使い道は、慈善団体への寄付。パソコンの中身はわかっています。
 しかし、その中身が安藤にバレてしまった。
 彼は1年ほど前から1107号室を盗聴し、そこでの会話を録音していた。
 そして安藤は、その録音データを使って、カルテルをしてる人達を脅し始めた」

そう小勝負が話すと「憶測でものを語るのはやめていただきたい」と雲海は抗議します。

「憶測?あなたの肉声が録音されてるんですよ」

政岡の協力で録音したデータを雲海に聞かせました。

安藤を消す

「そこで、あなたは安藤を処分することにした。彼を殺せば録音データは流出しないと考えたんでしょう。豊島美月ちゃんを利用して、安藤を憎むように仕組んだんですよね?」

安藤のことを伝えたことは認めましたが、「まさか刺すとは思っていなかった」と唆したことは認めませんでした。

「高校生だから利用したんですよね?そう言い逃れできるから。
 でも、美月ちゃんは安藤を殺せなかった。だからあなたは違う手段を考えた。
 安藤の意識が戻った後、お見舞いにいったそうじゃないですか?
 持ち出した録音データを全て渡せば、盗聴のことも脅しのことも全て黙ってやる。
 でも、安藤は盗聴していた事実を認めず、しらを切り通した。
 だからあなたは、たくさんのお土産の中に毒入りのどら焼きを忍ばせた。毒殺しようとしたんですよね?」

安藤の自供

そこまで言っても雲海は何一つ認めません。

「毒殺?そんなのでたらめですよ」

そう言って否定しました。

「でたらめ?私の部下はどら焼きを食べて死にかけたんですよ。
 安藤さん、全て話してくれましたよ」

小勝負は安藤の所にいき、この前もらったどら焼きから毒物が検出されたことを伝えます。そして、安藤が刺されたのも、雲海の差し金だとうことを伝えました。

そして、こう言ったのでした。

「次はどんな手を使ってくるんでしょ?やられっぱなしでいいですか?」

安藤は命の危険を感じて、全部話したのでした。

追及

安藤の自供を元に小勝負は畳みかけます。

「そこまでして、流出させたくなかった音声データですが、安藤さんが公取に提出してくれました。
 まあ、殺されるぐらいなら、そうしますよね。
 雲海さん、あなたは一人だ。安藤さん、政岡さん、あなたの周りにいた人は、みんなあなたを見捨てた。
 いい加減、認めてくれませんか?」

しかし、雲海は全く認めません。

「カルテル部屋?なんですか、それ。みなさんが勝手にやってただけでしょ?
 だいたいウェディングカルテルだって、私は知らないよ。
 どら焼きがどうとかって、私が用意したという証拠はないでしょ?」

状況証拠だけでは、雲海から認めることはありませんでした。

別行動の六角

桃園に電話かかってくる。相手は別行動の六角でした。

「小勝負さんの言う通りでした。職員の一人が雲海さんにシアン化合物を融通したことを認めました」

六角は大手化学メーカーに来ていました。

「あなたがカルテルのお手伝いをしていた大手化学メーカーに今立ち入り検査をしているんです。わかっちゃいましたね。どら焼きの毒の出どころ」

小勝負はそう言いますが、雲海はまだ認めません。拍手すると言い出しました。

「いやあ、見事ですよ。ここまですれば私が認めると思ったんでしょ?
 認めませんよ。全部芝居なんでしょ?あなたたちは録音のデータを入手していない」

しかし、証拠はまだありました。

小勝負の能力

「我々は録音データだけを元にして動いている訳ではありませんよ。
 雲海さんあなた、我々の大事な職員2名をホテルの旧館に監禁したことがありましたよね?
 そこに何があったか知ってますか?宿泊代長と顧客カードです。
 それを元に録音データ以外のカルテルの当事者を特定できました」

風見はそう言って雲海を追い詰めます。しかし、雲海は反論します。

「あなた、自分が何を言ってるかわかってるんですか?たとえ、そんなものあったとしても、無断で持ち出したとしたら、窃盗ですよ」

ですが、小勝負は持ち出していません。

「俺たちは、長澤さんに案内されて書庫に入り、そこで見たものを報告書にまとめただけです。違法ではありません。一切の資料を持ち出してません。調べてもらえばわかると思います」

そう言えば、羽男も同じ能力をもっていました。

一斉立ち入り検査

覚えたという小勝負のことを信じられない雲海。しかし、小勝負は「俺、記憶力いいんで。一度見て理解したものは忘れないんです」と言うのでした。

そして、今回の調査の規模を雲海に伝えます。

「言い忘れましたが、今立ち入り検査をしているのは、化学メーカーだけではありませんよ。
 このリストと安藤さんの録音データを元に、カルテル部屋を利用していた関東全域の事業者に対して、一斉に立ち入り検査をしています」

そう言われても雲海は信じられません。その時、部屋の電話が鳴ります。出るように促されて出ると、立ち入り検査が入った会社からのクレームでした。電話を切ると、また電話がなります。雲海は電話線を引っこ抜きました。

「専務、事務所の電話が鳴りやまないそうです。どの会社も専務をだせと」

長澤の電話にも、連絡が入っていました。

雲海の本音

「あなたは終わりだ。認めていただけますね?」

小勝負はそう言います。そうすると、雲海は本音を言うのでした。

「お前たちに俺の考えの何がわかるんだ。
 私利私欲で金儲けをしているやつから奪い取って、正しく使ってやってるんだ。
 慈善団体に寄付して、無能な事象者は傘下に入れて助けてやってる。
 花屋や、不味いタピオカ屋のようにな。
 これのどこが悪い?この街の人間は、みんな俺に感謝してるんだ!」

しかし、小勝負は雲海の言うことを受け入れることはできませんでした。

論破

「あなた、自分がどれだけの不幸を生み出したのか、わからないんですか?
 あなたが作ったカルテル部屋で行われた談合によって、競争にすら参加できなかった数えきれないほどの会社や従業員が苦しめられた。豊島さんは、談合のせいで命まで落とした。
 そして、娘の美月さんまで操って、殺人未遂まで起こした。それだけじゃない。
 あなたのウェディングカルテルによって、この町の人達はなんにも知らずに高額な料金を払い続け、納入業者の花屋は厳しい条件の下で働かされ、必死にそれに耐えてきた。
 あなたは、いつも安全な場所にいた。だから彼らの苦しみはわからなかった。
 でももう、あなたを守るものはなにもない。そろそろ向き合ったらどうですか?彼らの怒りに」

小勝負が論破すると、雲海は逆ギレするのでした。

「お前らに何ができるんだ?殺人未遂で俺を逮捕するつもりか?」

しかし、それは警察の仕事です。公正取引委員会は、独占禁止法第94条に基づいて、告発することです。簡単に言うと、立ち入り検査を拒否した罪(四項の「検査を拒み、妨げ、又は忌避した者」)です。

しかし、その罰則規定は、使われた実績がありませんでした。

白熊の反撃

そこに警察が入ってきました。

「栃木県警です。殺人未遂、ならびに独占禁止法違反で栃木県警までお願いします」

風見は「前例がないだけで、役人が諦めると思ったら間違いですよ」と言うのでした。

そして、連行される雲海。しかし、雲海は警察官を突き飛ばし、花瓶を割り、白熊を人質に取ったのでした。

「動くな!1歩でも動いたら、この女刺すぞ!」

それを見て、小勝負は「雲海さん、運も尽きたみたいですね」と言います。

白熊は呼吸を整え、雲海の足を踏み、みぞおちに肘を入れ、手刃で凶器を弾き飛ばし、雲海を投げました。そして、首を絞め、雲海を落としてしまいました。

「やりすぎだよー大丈夫だなのこれ」

風見は白熊がやり過ぎたことを心配していました。

長澤のアシスト

目を覚ましたあと、雲海は連行されていきます。任意ではなく、現行犯で逮捕されて、手錠をはめられていました。

「終わりましたね、やっと」

そう感想を漏らす白熊に「何言ってるの、これからよ」と桃園は言うのでした。

ウェディングカルテルだけではなく、関東全域の事業者から押収した「ブツ読み」と、関係者への聴取が待っています。

「長澤さん、今日はありがとうございました」

帰り際、長澤に挨拶する小勝負。

「いえ、あの、もし私が部屋に通さなかったら、どうするおつもりだったんですか?」

長澤は素朴な疑問を投げかけます。

「戦ってくれると思ってましたから。あの、宿泊台帳と顧客カードを旧館の書庫に置いてくれたのって長澤さんですよね?」

長澤は閉じ込める罪悪感に対して、せめて何かの役に立てばと置いてくれていたのでした。

目立ちたがり屋

検察庁から出向している緑川が、会見を開いて説明していました。

「独占禁止法第3条により解除措置命令が下され、課徴金2億9000万円がホテル天沢に課されることになります。
 検察は警察に天沢雲海に対する再捜査を指示していましたが・・・・」

テレビを見ていた白熊は「公正取引委員会のコの字も出てきませんね」と悔しがっています。逮捕したのは警察で、いい所は持って行かれるのでした。

「目立ちたがり屋なんですよ、あいつ」

小勝負は、同期の緑川について、そう評価していました。

贈り物

豊島美月は、情状酌量の余地ありと判断され、家裁での保護処分に留まりました。

安心する白熊。

そして、贈り物が第六に届きました。それはフラワーショップ石田からの花のデリバリーでした。その花には手紙が添えられていました。

「公正取引委員会の皆様へ。生まれてくる子と3人で、これから頑張っていきます。ありがとうございました。」

嬉しい気分になりますが、すぐに仕事に戻らなければなりませんでした。

藤堂

国土交通省で藤堂とすれ違う本庄。東堂は本庄に声をかけます。

「大活躍だったそうですね、本庄さん。
 あれほどまとまった案件を一度に摘発するだなんて。
 記憶を元にして作ったリストで、立ち入り検査だったとか。随分と危ない橋を渡りましたね」

本庄は「我ながら、大きな賭けに出たもんです」と言いました。

藤堂と雲海は、深い関係がありました。

藤堂の去り際、本庄は東堂へ話します。

「決め手となったリスト、作ったのは小勝負という捜査官なんです」

その名前を聞いて足が止まる藤堂。しかし、悟られないように返しました。

「ほーそれは、優秀な方がいらっしゃるんですね、期待してますよ」

小勝負と因縁があるようですが、それが明らかになるのは、まだ先の話のようです。

もうちょっと

白熊と徹也は、クリスマスにイタリアンを食べに行く約束をしていましたが、流れに流れて定食屋で食事です。

「いいじゃん、ここ美味しいんだよ」

そう言うと、白熊は大きな口を開けて頬張ります。

「楓、もう辞めろよ、あんな仕事」

徹也は白熊に仕事を辞めさせて、結婚したいと考えていました。

「確かに弱小官庁だし、お金はないし、警察みたいに捜査もできない。ブツ読みは大嫌い。でも、公取だからできることはある、と思うんだよね。だから、もうちょっとやってみたい」

警察とは違った公取の面白さがわかってきたようでした。

取り逃がした男

審査局第六審査では新しい案件の説明が行われていました。

「このアレス電機という企業が優越的地位の濫用にあたる行為を行っているという通報があり、第六で調査することになりました」

アレス電機は世界的電機メーカーです。

そして、資料を見る白熊が驚きました。

「この人知ってます。私が取り逃がした男です」

みんなが驚くのでした。

最後に

やっと天沢天海を追い詰めることができました。もしかしたら、強硬な手段に出なければ、大した罪にはならなかったかも知れません。

しかし、完璧だと思っていた天海も、人の子だったということでしょうか。

そして、次回は白熊が取り逃がした犯人が登場します。公正取引委員会に異動になる原因になった人物です。

次回予告

次回も楽しみです。

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