車いすテニス や障害者スポーツは、なかなかテレビで見る機会がありません。
世界を転戦するアスリート、吉木修二のマネージメントの話がありました。
梅屋敷の新しい姿が見ることができた今回。
そんな第7話のネタバレです。
主な出演者
新町亮太郎 綾野剛
新町果奈子(旧姓:糸山) 榮倉奈々
高柳雅史 反町隆史
深沢塔子 芳根京子
城拓也 中川大志
梅屋敷聡太 増田貴久
真崎かほり 岡崎紗絵
葛飾吾郎 高橋克実
吉木修二 福山翔大
伊垣尚人 神尾楓珠
第7話ストーリー
レシピ本の発売
新町は、本屋に来ていました。今日は、果奈子のレシピ本の発売日です。
本屋では、コーナーが作られていて、大々的に宣伝されていました。
「この本売れてますか?」
新町は、店員に本の売上を聞きます。店員は「ああ、良く出てますよ」と言っていました。
その時、塔子から電話が入ります。
「ポップがかわいい。3冊買っちゃいます」
塔子も果奈子ファンとして、書店で買ってくれていました。その塔子に負けじと、新町は5冊買っていました。
そして、果奈子ファンと言えば、社長の高柳です。すんごい笑顔で10冊買っていました。
吉木修二
「吉木修二さんいらっしゃいました」
真崎がそう言って案内したのは、車いすテニスプレイヤーの吉木でした。オフィスは車いすが通れるスペースにはなっていないので、みんながイスを引いて通ることになります。そして、打ち合わせスペースには細かい段差がありました。そこは、スタッフに手を借りて、乗り越えていました。
吉木は、車いすテニスで世界ランキング12位。国内4位です。
車いすテニスのグランドスラムの出場権を得ていて、パリパラリンピックの出場4枠にも入っている選手です。
「吉木さんは、富島印刷という会社に所属されているんですね」
真崎がそう聞くと、吉木は答えました。
「一応、社員と言う形で。世界を転戦するには、富島印刷からの援助だけでは足りなくて。
今、スイスオープンから帰ってきたところで。次はスーパーシリーズの日本オープン。その後はすぐにベルギーオープンが控えています」
高柳は「つまり、我々にスポンサーを探して欲しいと?」と聞きます。
「僕のマネージメントをお願いしたいです。とにかく今は、グランドスラムやパリパラリンピックに出るためのランキングポイントを取らないといけません。そのためには、できるだけ試合に出ないといけないんです」
そう吉木は答えるのでした。
理念に含まれる
吉木が帰ったあと、高柳はスタッフを集めて、話をしていました。
しかし、今までビクトリーにパラスポーツのアスリートが所属したことはありません。ノウハウもありませんし、パラスポーツはビジネスになりにくそうだという印象もあります。
その時、梅屋敷は積極的な発言をします。
「僕は吉木さんを所属させてもいいと思っています。ビクトリーの理念は、”全てのアスリートへのリスペクトを”ですよね。それには当然、パラアスリートも含まれるはずです。それに、吉木さんがグランドスラムで上位に入ったり、パリパラリンピックでメダルを取れば、会社もビジネスになるはずです」
いつもと違う梅屋敷に新町も塔子も驚きます。
「吉木くんのプレイを実際に見て決めよう」
高柳がそう言うと、梅屋敷、塔子、新町が名乗りをあげました。
競技用車いす
練習を見にきた新町、塔子、梅屋敷。あまりの迫力に、驚かされています。
競技用車いすは、車輪がハの字に設置されています。それは、車輪を傾けることによって、回転性能が上がって、素早いターンが可能になるからです。車輪の横のリムを操作して、ターンすることもできます。そして、ブレーキはありません。手で止めるので、手の皮がむけ、固くなっているのでした。
「ラケットを持ったままリムを操作する?」
新町がそう聞くと、吉木は説明をしてくれました。
「そうです。僕がフォアハンドで打つ時、左手でリムを操作して、車いすの回転を利用して打つんですけど、腹筋を全部使える選手の中には、ボールを打つ瞬間にブレーキをかけて体感を安定させて打つ選手もいます」
障害の度合いに応じて、プレイスタイルが違ってくるものだと言うのです。
課題
そして、吉木は自分の過去を話してくれました。
「僕は小学生の頃からテニスをやってたんですけど、高1の時に交通事故にあって下半身不随に。
その時はもう、目の前が真っ暗になりましたよ。僕を立ち直らせてくれたのは、車いすテニス。
高2の時から始めて今30歳ということは、キャリア13年。もう選手生命の終え方を考える時期に入りました。僕にとってはこの2~3年が最後の勝負なんです」
そして、今プレイをする上での課題を塔子が聞きます。
「課題は、この車いすです」
自分の足代わりの車いすが吉木の課題でした。
OXエンジニアリング
「吉木!今日はどうしたんだよ」
吉木がビクトリーの3人を連れてきたのは、車いすを作ってくれている「OXエンジニアリング」という会社でした。
そこで、パラアスリートのマネージメントをするのが初めてのビクトリーの3人は、話を聞くのでした。
OXエンジニアリングのオコノギが対応してくれました。そして、ヤベは吉木の車いすの担当です。
「なんかしっくり来なくて」
吉木はそう言うと、ヤベに車いすを見てもらうことにしました。
「ヤベは吉木君とは長い付き合いですし、パラアスリートだからってぜんぜん遠慮しないやつなんです。選手とメカニックの関係としては理想的だと思います。」
オコノギはそう言って吉木とヤベの関係を説明してくれました。選手とメカニックの
世界を取れる選手
もっと強いサーブが打てるようになりたいという吉木の意見をヤベは積極的に聞きます。
「座面を上げて、打点を高くしたいのか?
座面高くすると低い球が拾いにくくなるぞ。リムとの距離が大きくなって、ひとこぎの可動域が小さくなる。それに、旋回の時に体が振られるぞ」
気的確なアドバイスをしながら、吉木の希望に添うように考えてくれるヤベ。
「車いすの調整って、すぐにできるですか?」
そう聞くと、オコノギは簡単ではないと言うのでした。
「簡単じゃありません。座面の高さにしてもミリ単位の調整になります。それに合わせて他の部分の調整も必要になりますから、なかなか大変な作業に」
そして、競技用の車いすは、基本的にフルオーダーで40万~50万円かかります。しかし、OXエンジニアリングでは、無償で吉木に提供していました。
「そういう選手は限られています。吉木君は世界を取れる選手だと思っていますから。私も、もちろんヤベも」
ビジネスとしての成立
「吉木さんをビクトリーでマネージメントしましょう」
帰社すると、3人は高柳にそう談判するのでした。理由を聞かれると、3人はぞれぞれ感想を言います。
塔子 「プレイがすごかったです」
新町 「メカニックのヤベさんの情熱に感動したというか」
梅屋敷「パラアスリートをサポートすることは、マネージメント会社にとって社会的意義があると思います。会社のイメージアップにも繋がると思います。短期的な儲けにはならないかもしれないけど、長期的に考えれば、マイナスにはならないんじゃないでしょうか?」
3人の意見を聞いて高柳は「ビジネスとして成立するよう頑張ってみろ」と言って了承するのでした。
家族の反応
吉木をマネージメントすることになったことを果奈子や子供達に聞かせる新町。
「それにしてもびっくりだよ。梅屋敷さんがあんなに熱くなってるの初めてみるんだよ。いつもだったら、ドライというか・・・」
梅屋敷の反応に驚く新町。香菜子は冷静に分析します。
「パラスポーツにチャンスがあると思ったんじゃないの?」
そして、子供たちの反応はイマイチです。
「車いすテニスっておもしろいの?」
泉実にそう聞かれた新町は、「むちゃくちゃおもしろいよ」と答えます。
しかし、明紗は「車いすってなに?」というレベルです。小さいから仕方がありません。それに、車いすテニスをテレビで見る機会もありません。
本の反応
「そう言えば、出版社の人から電話あったの。予想外の売れ行きだって。
それで、今度テレビで私の本を紹介してくれるっていうから、出ることにした。しっかり宣伝してくるから」
元女子アナは、たくましいのでした。それは、結婚して表舞台から降りた果奈子のセカンドキャリアです。
新町が引退して経済的な困窮があってのセカンドキャリアでしたが、忙しくしている果奈子のことを新町は応援するのでした。
パラスポーツの現状
「吉木くん、世界12位で満足されたら困るんや。せめて次の大会では結果残して、トップ10入りしてもらわんと」
吉木の所属する富島印刷で、吉木はそう言われていました。
「なんか、大きく変えなきゃあかんのとちゃうか?」
更に上を目指すために、吉木は変化を求められていました。
そんな時、新町、塔子、梅屋敷の3人は、スポンサー探しをしていました。
「吉木修二選手は日本トップクラスの選手です。毎年グランドスラムにも出場しています。パリパラリンピックの日本代表候補でもあります」
そう売り込む3人。しかし、反応はイマイチです。
「でも、誰も知らないでしょ?試合がテレビで放送されるわけでもないし」
それが、現状の反応なのかもしれません。
「もし、御社がスポンサーになっていただければ、私たちが吉木選手を世の中に知られるようにサポートします」
塔子は食い下がります。そして、梅屋敷も言います。
「パラスポーツには、障害を持つ人に生きる目標や勇気をプレゼントするという価値があります。障害を持つ子供たちの人生を変えることができるんです」
しかし、企業の反応は変わりませんでした。
「だから、そう言う人はごくごく少数でしょう?お金を出したところでうちの宣伝にはなりませんよ」
レベルアップするために
吉木にスポンサー獲得状況を報告する3人。
「まだ4社ほどしか回ってないですから」
「そう簡単には見つかりませんから」
「もう少し待ってください。必ず決めます」
それぞれが吉木に諦めていないことを伝えます。
「車いすを変えます。今世界ランキング1位のオランダの選手が使ってるのが、日本のツバメ技研ってところの車いすなんです。OXエンジニアリングさんは、今無償で提供して下さっていますけど、ツバメ技研のものだと購入することになります。ビクトリーさんがスポンサーを見つけてくれるなら、そのスポンサー料で購入します」
OXエンジニアリングからライバル会社に乗り換えると言い出す吉木。
「僕が簡単にこんな決断をすると思いますか?この年からレベルアップするとなると、何かを大きく変えなきゃ。ヤベさんから離れることが、今の僕には必要だと思ったんです。次の大会で負けたら、人生終わりですから」
悲壮な決意で吉木は、向き合っていたのでした。
「健常者のアスリートなら、競技生活が終わっても次の選択肢はたくさんあるだろうけど、僕たちは、僕たちは・・・。比べ物にならないぐらい、限られているんです。
だから、パラスポーツを知らない人達にも知ってもらえるぐらい強くならなきゃ、僕のセカンドキャリアはないんです。勝つためなら僕はなんでもやります。ヤベさんに遠慮している訳にはいかないんです」
泣きながら練習する吉木の姿がありました。
契約解消
「契約解消?待ってくださいよ。今まで我々がどれだけ吉木くんに・・・」
新町はOXエンジニアリングに契約の解消を伝えに行きました。
理由を聞かれた新町は「ツバメ技研の車いすに変る」ことを伝えます。
ヤベは落胆しながらも受け入れるのでした。
「そうですか。アイツが決めたんなら、仕方がない。吉木に日本オープン頑張れって伝えて下さい」
新町が会社に戻ると、OXエンジニアリングがあっさり受け入れてくれたことをみんなに話します。
「吉木君にとっては大変なギャンブルだよ。彼はあえて、それを選んだんだ」
葛飾は、吉木の決断は重いものだと言うのです。そして、スポンサーは決まっていませんが、ツバメ技研と吉木が話しをして、制作に入ることが決まっています。支払は車いすが出来上がってからになるので、それまでに費用の準備をしないといけません。
「とりあえず、吉木さんの所属会社に費用の増額をお願いしてみるとか?」
富島印刷に交渉に行くことになりました。
テレビ出演準備と留美の進捗
留美が家に来て、子供達とお菓子を食べながら、果奈子がテレビ出演の時に着る服を選んでいました。
「テレビに映ったら、ちょっと地味かな?もっと華やかな方がいいか」
そう言って果奈子は着替え、留美が写真を撮り、それを見て検討します。
「美味しい?これ代官山でめっちゃ人気のシナモンロールなんだよ」
そう言って、子供達に食べさせている留美。新町の分まで食べちゃダメだよと子供達に言うのでした。
「スポンサーがなかなか見つからないんだって」
新町の帰宅が遅い理由を泉実は留美にそう教えていました。明紗は「スポンサーって何?」と聞きます。
「そう言えば城くんから聞いた。車いすテニスの選手でしょ?」
そう留美が言うと、明紗は「城くんって誰?」と聞きます。
「留美ちゃんの彼氏」
泉実はそう答えますが、留美は「残念ながら、まだそこまではいってないんだな」と言うのでした。
狙った獲物は逃がさない
留美は城ともんじゃを食べに行っていました。しかし、二人の関係は、なかなか進展しません。
「留美さんは美味しいお店たくさん知ってるんですね」
城にそう言われると
「その他人行儀な言い方止めてって。留美でいいから」
と言うのですが、城は年上で恋人でもないと断ります。そこで留美は、城のヘラを取って、あーんしてあげるのでした。
「私は狙った獲物は逃がさない」
子供たちの前で言葉にしてしまう留美。
「獲物って何?」
「逃がさないってどういう意味?」
そう聞かれて「そんなことはまだ知らなくっていいのー」と答えていました。
ボランティア
「我々もスポンサーを探しますが、吉木さんのことを一番理解しているのは御社だと思いますので。もちろん、無理のない範囲でかまいませんので」
そう言って、富島印刷に援助額の増額をお願いしに新町達はいきました。
「どういうことや吉木くん。スポーツマネージメント会社っていうのは、そういうことされるんですか?今まで何の関係もなかったあなたたちが、いきなり僕と吉木くんの間に入ってきて、もっとお金を出せって」
富島印刷がそう言うのも、理解できます。
「吉木さんがこちらの社員だということは理解しています」
そう取り繕いますが、担当者の怒りは収まりませんでした。
「うちはね、あくまでボランティアで吉木君を応援してるんです。僕が辞めるといったら、いつでも辞めることができるんです。わかってるやろ、吉木くん」
会社のメリット
富島印刷では、増額は認められませんでした。吉木もお世話になっているのに、更に増額というのは心苦しかったのでした。
「でも、あの人の言うことは間違っていますよ。あの会社は、あなたをボランティアでサポートしているんじゃありません。日本では障害者の雇用が義務化されています。基準以上の規模の企業では、全従業員の2.3%以上の障害者を雇わなければならない。だからあなたをアスリート採用したのは、決して慈善事業ではない。会社にとって、それだけのメリットがあるんです」
感情的になってしまった担当者の気持ちもわかりますが、実際には大きな恩恵を受けているのも事実です。
「吉木さんが富島印刷の名前が入ったユニホームを来て世界を転戦し、世界ランキング12位まであがってこられました。それにパリパラリンピックに出場できたら、会社にとって莫大な宣伝効果になるんです。吉木さんが、引け目を感じることなんてありません」
そう言われても、吉木は強気になれません。
「でも、僕は、勝つしかないんですよね。試合に勝ち続けていかないと、結局切られる。絶対に負けられないんです」
聡太おじちゃん
ベッドでゲームする車いすの少女。そこに梅屋敷がやってきました。
「桜、俺。聡太おじちゃんだよ」
その少女は梅屋敷の姪・桜でした。
「まだ学校行かないんだって?姉ちゃん心配してるぞ。友達からも連絡くるでしょ?学校おいでよって」
しかし、桜は邪魔になるだけだと思って、学校に行くことができません。
「桜、車いすテニスって知ってる?桜みたいに車いす乗ってる人がテニスするの。かっこいいんだよ。
ものすごい勢いでボール追いかけて、バンって打ち返すの。今度、練習一緒に見に行こうよ」
そう誘う梅屋敷に桜は、冷めた感じで話してしまうのでした。
「もう構わないでいいよ。私の事、かわいそうだとか思わなくていいから」
それでも構わず、梅屋敷は誘っていました。
新しい車いす
国枝選手と練習する吉木。新しい車いすを使っての練習で、見た感じは良さそうです。
そこに、練習を見に来ている桜の姿がありました。
「どんな感じですか?アジャストしているように見えましたけど」
ツバメ技研のエンジニアにそう聞かれて、吉木は感想を話します。
「サーブの威力は上がった気がします。けど、チアワークの時の安定性が。体がフラれるような気がします」
エンジニアは「リアキャスターの位置を調整してみる」と言うのでした。
やっぱり、車いすを変えて正解だったのかも知れません。しかし、まだ調整段階です。
私には無理
梅屋敷は吉木に「僕の姉と姪っこの桜です」と紹介しました。
桜に吉木のプレイを見てもらいたくて、梅屋敷が呼んだのでした。
「桜ちゃんか、いい名前だね。車いすテニス見たの初めて?どうだった?」
吉木がそう聞くと、桜は「ビックリしました」と感想を伝えます。そりゃ、生涯グランドスラムの国枝選手ですから、びっくりして当然です。
「楽しいよ、テニス。桜ちゃんもやろうよ」
吉木に誘われますが、桜は「私には無理」と言うのでした。そう言われた吉木は無理強いせず、気が向いたらやってみてと言うのでした。
こだわりすぎている
新町、塔子、梅屋敷の3人は、高柳にスポンサーはどうなってるか聞かれました。しかし、まだ見つかっていません。
「やっぱりパラスポーツのマネージメントは難しいかもしれないな」
そう言う高柳に、必死に食い下がる梅屋敷でした。
「待って下さい、社長。吉木さんに関しては、長期的に考えるってことになったじゃないですか?社会的意義とか会社のイメージアップとか」
しかし、それが間違っていると指摘する高柳。
「車いすテニスがパラスポーツだということにこだわりすぎていないか?吉木君のプレイを私に熱く語ってくれた君たちは、普通のアスリートの凄さを語るのと変わらなかった。だから、私はゴーサインを出した。吉木君がパラアスリートだという概念は忘れろ。本当の意味で彼をリスペクトしろ。君たちが変わらないと、相手に熱意が伝わらない」
そう指摘され、3人は意識を変えることにしました。
意識を変える
車いすでトレーニングする吉木。それを見る3人。
そこには、車いすには乗っていますが、激しく自分を追い込むアスリートの姿がありました。それは、高柳の言う通りでした。
それを見て、気持ちを新たにスポンサー探しをする3人。
梅屋敷は「吉木さんは超高速サーブが打てる、数少ない選手です。とにかくプレイが凄いです。高校1年生で下半身不随になり車いすの生活となりましたが、グランドスラムに出場するなど、実力は確かです」
塔子は「吉木さんは四六時中競技のことを考え、日々最善のプレイを追及しています。追及する彼の姿勢と御社の企業理念が絶妙にマッチしています」
新町は「常に努力をしてきた吉木さんは勝利の喜びを知っています。だからこそ、もっともっと強くなって世界に通用する選手なんです」
それぞれが、それぞれの言葉で、吉木を売り込んでいました。
桜の様子
梅屋敷は、吉木の練習を見た後の桜の様子が気になっていました。姉に電話し、桜の様子を聞きます。
「私には何も言わないけど・・・車いすの動画を見まくってるみたい」
自室に籠ってゲームばかりしていた桜ですが、少し意識が変わったようです。その変化に嬉しそうにする梅屋敷でした。
テレビ出演
果奈子が出演するテレビを新町は、子供達と留美と一緒に見ていました。
結婚する前までは、人気女子アナとして活躍していた果奈子。しかし、子供たちはテレビに出ているママを見るのは初めてです。みんなでテレビを見て盛り上がっていました。
まさに水を得た魚って感じです。
「吉木さんにとって、それはテニスコートなんだよな」
新町はそう思いながら、ハンバーグを焦していました。
そして、果奈子のテレビ出演を見たビクトリースタッフみんなにいじられる新町。
そんな時、電話かかってきたのでした。
かわいそうではない
「ビクトリーさんからパラスポーツ選手のスポンサー依頼の話しがきたと聞きまして。
その時はお断りしたと聞きましたが、私は前向きに考えたいと思ったんです。
まずは、パラスポーツを応援する意義とはなにか、それを教えていただきたい」
一度断られたスポンサー候補の会社の社長に呼ばれ、新町、塔子、梅屋敷はやってきました。そして、意義を聞かれ、困ってしまいました。そんな時、声を出したのは、梅屋敷でした。
「僕には、障害を持つ姪っ子がいます。小学生の時からテニスをやっていて、中学生になってもテニス部に入って頑張っていたんですが、中1の秋に脊髄の病気になって車いす生活に。僕はずっと彼女を、桜をかわいそうって思ってたんです。
吉木さんを始めてみた時、彼のテニスプレイに驚きながらも、どこかでかわいそうって思ってたんです。でも、必死に頑張っている彼を見て、自分の考えが間違っていることに気が付きました」
梅屋敷の熱意
そして、梅屋敷は続けます。
「パラスポーツは特別な物じゃなありません。アスリートの努力や闘志や勝利への喜びは、どのスポーツともなんら変わりないんです。
僕はこれから、桜との向き合い方を変えていきます。障害はハンデじゃない、君の個性だよって。
だから社長、もし吉木さんを応援してくださるのであれば、一人のアスリートとして向き合って下さい。決して、ボランティアのような気持ちでスポンサードしないで下さい。そうすれば必ず、吉木さんはそれ以上の何かを返してくれるはずです」
梅屋敷の熱意に触発された社長は「吉木さんの実際のプレイを見てみたい」と言うのでした。
吉木のわがまま
吉木にスポンサーが決まったことを報告します。
「まずは年間100万円からサポートして下さって、吉木さんのランキングが上がっていけば、援助額も上げてくれることになっています」
その会社は「日本海上運送」という会社でした。
しかし、スポンサーが決まっても、素直に喜べない吉木の姿がありました。
「もしかして、車いすが合わないとか?」
新町がそう聞くと、吉木は話し出しました。
「やっぱり、OXエンジニアリングのヤベさんの車いすの方がしっくりくるんです」
それを聞いて、新町は気持ちが理解できました。
「わかります。僕もサッカーシューズのスポンサーを変えた時、なんかしっくりこなくって。結局、元に戻したことがありますから。アスリートにとってしっくりくるって、とっても大事なことなんです」
しかし、ツバメ技研の車いすを断ることもそうですが、OXエンジニアリングに戻すことも、問題はありそうです。
「申し訳ありません。僕のわがままで。でもやっぱり、ヤベさんの車いすに戻させて下さい。お願いします」
エンジニアのプライド
「正直言って、今更どの面下げてって感じですよ」
OXエンジニアリングのオコノギが言うことは、当然の事です。しかし、ヤベは違っているようです。
「ツバメ技研の車いす、何が気に入らなかったんだ?」
そう聞くヤベに吉木は答えます。
「自分の体の一部になってくれなかった。それだけです」
新町は、吉木に代わって謝ります。
「やっぱり吉木さんは、ヤベさんの作った車いすで戦いたいんです。本当に申し訳ありませんでした」
しかし、ヤベは謝る必要はないと言うのでした。
「俺にだってな、誰よりもお前のことをわかってるってプライドがあるんだ。この前のお前の注文通り、お前の車いすは直ってる。乗ってみろ。まだ直したいところがあったら、遠慮なく言え。日本オープンギリギリまで粘ってやる」
そう言われ、吉木は「本当にありがとうございます」と涙ながらに伝えました。
むしろ嬉しい
「勉強は進んでますか?新町さん」
新町は伊垣にそう聞かれ、勉強していることを伝えました。読んでいるのは「世界基準の交渉術」という本です。しかし、それは資格をとるために読む本なんでしょうか?
「シーズンが終わるまでに絶対に取るから、エージェント資格」
伊垣はシーズンオフに海外移籍を考えています。そして、その時には新町に代理人になって欲しいと思っているのでした。
「そうだ、テレビ見ましたよ」
伊垣も果奈子のテレビを見ていました。みんなにからかわれたという新町に伊垣は「羨ましがられてるんですよ」と言うのでした。
そんな果奈子は、今日も何かの雑誌の取材を受けていました。テーマは「女性のセカンドキャリアについて」という内容です。
「俺は裏方になっちゃったけど、果奈子はどんどん輝いてるんだよなー」
伊垣にやっかみかと聞かれますが、新町は「むしろ嬉しいんだよ」と言うのでした。
サッカーがいいな
果奈子は、レシピ本を出版してから、忙しくしていました。
「今度の土日、仕事で大阪に行かなきゃいけないの。亮ちゃんは、日本オープンだよね?泉実と明紗、留美に任せようと思って」
そういう果奈子に、新町は一緒に車いすテニスを見に行こうと言うのでした。しかし、娘たちは車いすテニスよりサッカーがいいと言います。
新町は仕事がありますが、娘達に一流のスポーツを見せたいと思うのでした。それは、果奈子も同じです。いろいろなスポーツを見た方がいいと言って、日本オープンにいくことになりました。
なんでも買ってあげるから
「行こうよ桜。凄いんだよ。車いすテニス、日本オープン」
梅屋敷が桜を熱心に誘いますが、桜は「行きたくない」と言うのでした。
「世界中から選手が集まってくるんだよ?つまらなかったら、なんでも買ってあげるから」
つい言ってしまった梅屋敷ですが、それに桜は反応しました。そして、日本オープンを見に行くことになりました。
日本オープン
日本オープンの1回戦。
新町は、塔子と梅屋敷と一緒に見ています。
そして、新町の家族の留美と子供立ち二人は、ちょっと離れた席で見ていました。
桜は、母親と一緒に車いす用の席にきました。梅屋敷も一安心です。
吉木は、ラケットに向かって気合を入れると、コートに出ていきました。
気合の入ったプレイをする吉木。車いすの調子も、ヤベに調整してもらって、いいようです。
そんな吉木の頑張りを見て、涙する桜。
そして、大盛り上がりする新町の娘たちの姿がありました。
試合後
吉木は、無事1回戦を突破しました。
新町の子供達と留美は、吉木に挨拶しました。
そして、桜も来ています。梅屋敷は桜に試合の感想を聞きます。しかし、桜の反応は予想外のものでした。
「つまらなかった・・・つまらなかったから、車いす買って」
買ってもらうためにつまらなかったと言う桜。そんな桜の真意を理解した梅屋敷は「おお、任せておけ」と言って、競技用車いすを買う約束をしました。
そして、桜は吉木の前まで進むと、質問します。
「私もできますか?車いすテニス」
それを聞いて、吉木は嬉しそうな顔で言うのでした。
「もちろんだよ、桜ちゃんを受け入れてくれるテニスクラブもあるから」
それを聞いて、桜は「やりたい」と言います。吉木は、試合で使ったラケットを桜にプレゼントするのでした。
桜がやる気になってくれて、嬉しそうに泣く梅屋敷の姿がありました。
アイ・ハブ・ア・ドリーム
吉木は日本オープンで準優勝でした。決勝の相手は、世界ランキング1位の選手で、フルセットまでいっての惜敗でした。
そして、この準優勝で12位だった世界ランキングが8位になることが決まりました。
「スポンサーも、もう1社つきそうだし、海外遠征にコーチまで帯同できちゃうよ」
吉木の環境は、いい方向に進んでいるようです。しかし、吉木が狙うものは、まだ先です。
「これでグランドスラム出て、パリパラリンピック金メダル取っちゃたら・・・」
夢は広がります。
梅屋敷は新町の「アイ・ハブ・ア・ドリーム!」を自己流にアレンジして使っていました。
梅屋敷の変化
みんなと和気あいあいとしている梅屋敷の姿を見て、高柳と真崎は話していました。
「梅屋敷さん、なんだか随分変わりましたね」
そう真崎が言うと、高柳は「新町くんの影響か?」と言うのでした。しかし、真崎には、それは悪いことではないと思います。ただ、高柳は良く思っていなさそうでした。
真崎が楽観的にも見えますが、高柳の新町への評価が低いのが気になります。なにか、新町に思うところがあるのでしょうか?まさか、果奈子の夫だから!?
塔子と梅屋敷の関係
新町、塔子、梅屋敷は、一緒に帰っていました。
「桜ちゃん、テニス始めたんですか?」
塔子がそう聞くと、梅屋敷は「もう夢中」だと嬉しそうに言うのでした。
「梅屋敷さんの新しい顔見せてもらったな。優しい聡太おじちゃん」
新町からいじられます。
「じゃあ、聡太おじちゃん、これからご飯行きます?」
塔子に誘われ、驚く梅屋敷。それに新町も乗って、3人で行こうと言うのでした。
しかし、梅屋敷は納得いきません。
「塔子ちゃんは俺だけ誘ってるんだから」
いつもは「深沢」と塔子を呼んでいる梅屋敷ですが、最近急に距離感が近くなっています。新町はその「塔子ちゃん」と呼ぶのが気になって、梅屋敷につっかかります。
「いいじゃないですか、三人でも」と言う塔子に「新町くんはいらないよ」と言う梅屋敷。それでも新町は「塔子ちゃん」呼びが気になって、梅屋敷に絡んでいました。
「じゃあ、やめますか?」
3人で行くことを拒否する梅屋敷に塔子がそう言うと、梅屋敷は渋々3人で食事に行くことを了承するのでした。
最後に
スポーツマネージメントの仕事が板についてきた新町。しかし、それと同時に、果奈子の活動も活発になってきました。これから二人の関係がおかしくならないか、心配です。
そして、塔子と梅屋敷の関係はどうなるのでしょうか?さらに、城と留美の関係はどうなるのでしょう?
新町が既婚者ということで、塔子と新町にロマンスの要素がないことが、安心材料です。「真犯人フラグ」でも、既婚者の上司のバディだった共通点は、たまたまなんでしょうか?
今度はバレーボール。塔子もそうですが、真崎がメインにやってくる?のかも知れません。
たのしみです。