石子と羽男 は7月に始まったドラマです。本来1週前に始まる予定でしたが、安倍元首相の事件と重なり、1週ズレてしまいました。
リーガル系のドラマにはあまり見られない「庶民ぽさ」「アットホーム感」のあるドラマになっています。
主な登場人物
石田硝子 有村架純
羽根岡佳男 中村倫也
潮綿郎 さだまさし
大庭蒼生 赤楚衛二
沢村 小関裕太
支店長 丸山智己
第1話のストーリー
代打・羽根岡
東京地方裁判所で父の代わりの弁護士を待つ、石田硝子。しかし、もうすぐ時間ですが、代打の弁護士が現れません。
「待たせたね、初めまして。聞いているよ」
時間ギリギリに現れた羽根岡。丁寧に挨拶しようとする硝子ですが、羽根岡はそれを遮ります。
「君、時間を無駄にする人?資料はすでに読み込んだ。急ごう」
そう言うと、先導して歩いて行くのでした。
離婚調停
硝子の父が受け持っていたのが、離婚調停でした。しかし、妻側は離婚に至る理由がないと言っています。
「まだお分かりいただけませんか?
家事の分担は公平にと話し合いがありました。しかし、夫婦間の諍いがあった際、その役割の洗濯をあえて夫の物を除外しておこなったのです。これはいわば、債務不履行であると考えております。
そして、以前から夫の趣味の喫煙を無条件で禁止。一方的に飲酒も350mlを1本までと決めた行為は耐え難いストレスを与え、モラルハラスメントと断じざるを得ません。
しかも、妻はランチ代として400円しか渡さなかったにも関わらず、自身はコースランチを楽しむという精神的、金銭的な暴挙を・・・」
羽根岡はまさかの勢いでまくしたてます。それを聞いた夫は、逆に妻側に立って「いや、妻にも優しいところがあってね」と言う始末でした。
石子
「依頼人が求めているのは、円満な離婚です」
離婚調停が終わると、硝子は羽根岡に抗議します。しかし、羽根岡も負けてはいません。
「妻の悪行をきちんと植え付けることで、調停員に夫の味方になってもらう」
そう言いますが、硝子は全く聞く耳を持ちません。
「一言いいですか。あなたは弁護士として優秀なのかも知れませんが、弁護士倫理の観点から言うと甚だ危険な発言をする方だと思いました。もう会うことはないと思いますが、今後・・・」
硝子の言葉を遮り「頭が固いね」と言う羽根岡。
「石子さん。石頭の石田硝子で石子さん。どう?」
そう言われ硝子は憮然としてしまいます。
羽男
「Sono contento(ソノ コンテント)。
君の物言い、この先のパートナーに対して失礼じゃない?」
羽根岡は、週明けから正式採用されることになっていると石子に伝えました。それを聞いて、石子は父親に電話します。
「どういうことですかお父さん!
あの人、今日だけじゃないんですか?
どうしてあんな人を・・・」
石子がわーわー言いますが、父親は慣れた様子でのらりくらりとかわします。
「だって決めちゃったんだもん。サイトにも載せてるよ」
事務所のHPを見てみると、羽根岡のプロフィールがすでに掲載されていました。そして、Twitterのアカウントもリンクされてあります。
「call me 羽男」
弁護士だとは思えない、びっくりするほど軽い感じのbioになっていました。その時石子は、カバンにくっついた付箋紙を見つけます。その内容を見て、石子は笑うのでした。
型破りな弁護士
3日後、自転車を飛ばして出勤してくる羽男。電車を抜くほどの勢いですが、スピード違反ですよね、これ。
「うちのモットーはさ。真面目に生きる人の暮らしを守る傘となろう。それは・・・」
堅く挨拶する父・潮ですが、ぎっくり腰のために松葉杖をついていました。羽男は父親に「無理しなくていいですよ」と声をかけて、挨拶はそこで終わりました。
「先日の資料いい?別の角度から検証してみようと思ってね」
そう言うと、石子から離婚調停の資料を受け取ります。慌てて探し物をする羽男。
「カリスマ的に見える言い回し、突然イタリア語を呟くといいかも」
石子のカバンにくっついていた付箋紙は、羽男のメモでした。石子は、それを見て笑っていたのでした。
「あなたは自分がすべき行動や発言する内容のメモを誤って渡してしまい、慌てて回収しようとした。違いますか?
ドラマや小説に出てきそうな型破りな弁護士、目指してません?」
こっちのターン
「メモを見るなんて、プライバシー権の侵害だぞ」
そういう羽男に石子は言います。
「偶然目にしただけなので、過失の範囲かと」
そして、反撃しようとする羽男にストップをかけて、まだこっちのターンだと言って黙らせます。
「そうなってくると、あれもワザとですよね?時間ギリギリに登場した、あれ。おかしいと思ったんですよ。
一度左をみていないから、右を見たら、すぐに声がして左に立ってましたよね?
あの時間で登場できるってことは、柱の陰で隠れてて、タイミングを見て登場したんじゃないですか?
それで、”Sono contento” は満足という意味らしいですが、ぜんぜんピンときませんよ、そのフレーズ。ちょっとごめんなさい、ないですー」
完璧にアナタをサポートしてみせます
「いいだろう、別に。弁護士は飽和状態。色付けが必要なんだよ。
コスプレ弁護士、アイドル弁護士、それが天才弁護士だってだけだ。
ブランディングだよ。天才っぽく振る舞えば、依頼が増えると思ってね」
そう言って、羽男は開き直ります。しかし、石子はさらに上手です。
「依頼が増えることは喜ばしいです。ですが、あなたの言動はトラブルを起こしかねません。
うちは小さな事務所ゆえ、一度の不祥事で潰れるかもしれません。
その振る舞い、即刻おやめください」
しかし、羽男は「いやだ」と譲りません。石子は石子で「ダメ」と譲りません。
そして、羽男は「弁護士になれてない君に言われたくない」と言うのでした。
「私は、成れてないのではなく、成らないのです。
正直、法律家としての資質が、あなたに劣っていると思いません」
石子がそう言うと「ごめんなさい、ないですーーー」と大人気のない態度の羽男。ないです返しをしていました。
「パラリーガルとして完璧にアナタをサポートしてみせますから」
そして、石子はそう啖呵を切りました。
依頼
そんな口論をしていると電話が鳴りました。石子が「潮法律事務所です」と出ると、依頼の電話でした。
「そちらの羽根岡先生に依頼したくて」
その答えに驚き、石子は「え?」聞き直してしまいました。
その依頼人は、大庭という青年で、事務所のHPを見て連絡してきたのでした。
「カフェで携帯充電してたら、訴えられたんです」
そう言って、詳細を話し出しました。話した内容を石子が確認します。
「大庭さんは、この1ヶ月、頻繁に通っていたカフェ・ド・セボンで、19時から21時30分まで滞在し、テーブルの下のコンセントを借用。
スマホを充電していた。そうしたら、突然カフェの店長が電気代だけでなく、精神的苦痛を受けたとして100万円を請求してきた」
店長は「無視したら、刑事とか民事で対処する」と言っています。しかし、スマホの充電だけで訴えるなんておかしいと大庭は怒っています。
財物
カフェに、ほぼ毎日通っていた大庭。仕事帰りにには必ず寄って、雑務などをしていたと言います。大庭の勤務先は「カーキャプテン」という中古車販売店です。毎日通った理由を「居心地が良かったから」と大庭は話していました。
店長から大庭が渡されたという紙を見る羽男。
「まず、これは警告書なので、訴えられた訳ではありません。
ただ、刑法第245条で”電気は財物とみなす”と明文化されており、無断でコンセントを使う行為は窃盗罪に。一旦、刑事事件となれば、逮捕・・・」
そこまで言うと、逮捕されると思いパニックになる大庭。落ち着くと、「なんとか10万円ぐらいで示談に」と相談するのでした。
「ちなみに料金ですが、初回相談料無料。着手金10万。あとは、成功報酬となっております。よろしいでしょうか?」
無料で契約はさせないと、石子は契約書を出し、大庭は契約していました。
安易な気持ち
「なんでついてくるの?」
羽男がカフェ・ド・セボンに向かうと、ついてくる石子。
「いつ問題を起こすかわからないので。少額請求の事案でも刑事事件になったこともありますので」
石子はそう言います。しかし、羽男は「弁護士きたら、引き下がるでしょ」と安易な気持ちで向かっていました。
カフェ・ド・セボン
「ですので、今回の損害賠償請求は、明らかに過大請求だと思われます」
そう説明する羽男。しかし、店長は受け入れることができません。
「それで?難しいことわからないよ。俺の要求は受け入れられないってことだろ。
連日長時間居座られて、充電までされて、腹立つでしょ」
充電禁止の注意書きはありましたが、直接大庭を注意したことはありません。その注意書きも、簡単に書いて、貼っただけの物でした。
「額が少ないからってね、大勢でやられたら、それなりの被害額なんだよ。どれだけのストレスだと思ってるんだよ。
譲れないから。他の客にも、見せしめの100万円だから。だったら、警察でも裁判所にでも任せようよ」
店長の反撃に声が遠く聞こえてくる羽男。そして、羽男の手は震えてしまっていました。
諦めるしかない
一旦、引き下がった石子と羽男。
「どうしたんです?急にしゃべらなくなりましたよね?」
そう石子に言われ、良い訳がましく話し出す羽男。
「ダメだ。あの店長引き下がらない。お金に困ってるみたいだし。
1年前よりコーヒーは50円、ピザトーストは130円も値上げしてた」
羽男は「前に1度だけ行ったことがある」というのですが、それで細かい金額まで覚えていたことを嘘だと思う石子。
「依頼人を説得しよう。100万円が無理なら諦めるしかない」
突然のお手上げ宣言です。たった1度しか交渉に行っていないのに諦めると羽男は言い出したのです。びっくりした石子。不満そうな石子に「なら自分でやれば」と、羽男は突き放すのでした。
「諦めるのが早すぎます。パラリーガルが法的交渉ができないのはご存じですよね。
あくまで私は裏方であり、弁護士の先生にいい仕事をしてもらう手伝いをするのが仕事だと思っています。
弁護士の先生より目立つのは、私のポリシーに反します」
ケンカのようになり、その日はそれで解散になりました。
光が見えた
石子の父親は、お小遣いの追加を石子に相談しますが、秒殺で断られてしまいました。それもそのはず、潮法律事務の経営は、かなり厳しい状態です。そのためにも、受けた案件は、成功させないといけません。
そんな時、大庭は車の整備をしていました。中古車販売店ではなく、その中古車販売店の整備工場で働いていました。
翌朝、考え事をしながら出勤する羽男。事務所では、石子が寝ていました。
そして、9時ちょうどに起こそうとする羽男でしたが、起こす直前に石子は目を覚ましました。
「光が見えました」
羽男に考えたスジを話し、再度カフェに交渉に行きます。
最交渉
話し合いには応じないと先手を打たれた羽男ですが、負けずに話します。
「単刀直入言います。資金繰りに困ってらっしゃるんではないですか?
この店は賃貸ですよね?それで、家賃を滞納している」
石子はカフェ・ド・セボンの大家に会いに行っていました。その時、空いたら貸してもらえるかを聞いたら、「今の借主が家賃を滞納してる」と苦情をもらしたのでした。そして、羽男は続けます。
「家賃を待ってもらう苦肉の策として、今回の件でまとまったお金が入ると大家さんに告げたのではないですか?
今回の大庭さんとの件が前向きに解決できれば、分割で支払うなど、相談に乗ることができます」
あっさり解決
賃貸の契約について、羽男は店長に話します。
「裁判所は、契約の解除には、滞納したというだけでなく、貸主と借主との間の信頼関係が破壊された状態になっていないといけないと基準を示しています。
まずは、支払う意思があるということを明確に示し、信頼関係を維持することが重要です。
交渉の際、毎月の支払計画があれば、円滑に進められます。一応、作成しました。
大庭さんへのことを考えていただけるのであれば、全力で相談にのりますが、いかがでしょう?」
そこまで説明すると、店長は「そうさせてもらえる?」と言って、簡単に受け入れてくれました。店長は、一度滞納しただけで、大家に怒鳴り込まれてパニックになってしまったのでした。
そして、大庭と店長は和解することができました。
後輩
「お世話になりました。”石子”さんもありがとうございました」
そう言う大庭に「石子」と呼ばれてびっくりします。
「実は俺、西高の後輩なんです。体育祭実行員で一緒だった」
大庭はそう自己紹介をし直しました。それを聞いて石子も思い出します。しかし、大庭は、高校時代とはだいぶ印象が違っていました。
「石子さんにあこがれていたんです。頭良くて有名だから。確かあの時弁護士目指してましたよね。
それで思い出して、事務所のHP見たら羽根岡先生しかいなくて。
弁護士にはならいんですか?」
大庭にストレートに聞かれ、返事に困る石子。
「うーん、どうだろう?」
石子は、それだけ答えました。
隠し事
大庭が電車に乗る直前、羽男は大庭に問いかけます。
「あなた、隠し事してますよね?
大庭さんのお住まいは、カーキャプテンの整備工場に対し、あのカフェとは真逆の方向にある。
わざわざ反対方向のカフェに”居心地がいい“という理由だけで通い詰めていた。
そして、あのカフェの正面には、カーキャプテンの支店がある。
座り続けていた席からは、ばっちり見えるんです。
それは、偶然だと思えません。
本当の依頼は、別にあるんじゃないですか?」
しかし、大庭は答えず、電車に乗り込みます。そして、電車の扉が閉まってしまいました。
仕掛けてみるか
石子と羽男が事務所に戻ってくると、ホームパーティーの真っ最中でした。石子の父親が友達を呼んでいたのでした。
「みんなで食べた方が美味しいじゃない」
そう言う父親。そして、石子に大庭の案件が解決したかを聞きます。
「無事。ただ、大庭さんにはまだお悩みがありそうで。しかし、打ち明けていただけず」
そう説明すると、父親は言うのでした。
「日本人の多くは、弁護士に相談するのは最終手段だと思ってるからね。
アメリカの訴えまくるのは、銃社会というのがあるけど、個人同士が争わないいい方法だと思うんだよ。
法律に対する向き合い方が全然違う」
その話しに納得する羽男。そして、経営が厳しい事務所のために「仕掛けてみるか」と言うのでした。
グレーゾーン
カフェで大庭は、スマホを立てかけて、カーキャプテンを盗撮していました。それを確認した羽男は、石子にゴーサインを出します。
石子を私服のミニスカートに着替えさせ、ボールペン落とし、カメラに背を向けて前かがみで拾うよう指示します。
羽男の意図に気づいた石子は途中でやめました。
「集合!話しがあります。続行不可能です。
はなから使えませんよ。性的な瞬間を盗撮させて、大庭さんに詰め寄るつもりですか?」
羽男は、逃げ道をなくして、何をしているか聞き出すつもりでした。しかし、その行為は、石子へのセクハラです。
「今の時代に何考えてるんですか。チッ」
石子に舌打ちされてしまいました。そして、自ら撮影させて、声を上げると言う詐欺的行為は、石子のルールにはありません。
「こんなこと、訴えられかねませんよ」
羽男は「固いこと言わず、グレーゾーンでやっていけばいい」と言うのでした。
そこを大庭に見つけられ、声を掛けられました。
勘違い
大庭は石子と羽男を問い詰めます。
「俺を探ってるんですか?
訴えられかねないって言ってましたよね。
俺が撮影していること、訴えられかねないんですか?
やっぱ、まずいことしてました?」
そういう意味の「訴えられかねない」ではなかったのですが、大庭が勘違いしたことをいいことに、羽男は迫ります。
「そ、そうですよ。盗撮していたことを知って、こんな真似を。ねえ」
石子も同調すると、大庭は「相談しようか迷ってたんです」と言って話し出しました。
職場いじめ
石子は、大庭から聞いた内容を確認します。
「大庭さんはかつて、カフェ・ド・セボンの前に位置するカーキャプテン小井出支店に勤めていた。そこの店長は、支店同士が競わされているのを盾に売り上げアップを社員に迫り、それはパワーハラスメントを越えた職場いじめと呼ばれるようなものであった」
そして、特に大庭へのいじめは執拗で「要領が悪い」「不愛想だ」となじられ、連日長時間の叱責を受けていました。
さらに、仕事を与えない、あるいは膨大な仕事を押し付けていました。それだけではなく、同じ営業部の人間に大庭を無視するように指示していました。そして、営業部の人達は、自分たちが標的にならないように加担し、大庭をいないものとして扱っていたのでした。
沢村
その中で、唯一接してくれたのが、同期の沢村でした。しかし、大庭の膨大な仕事を助けると、今度は沢村が職場いじめを受けることになってしまいました。
さまざまなプレッシャーから、沢村はノイローゼになり、書き損じ等のミスが増えてしまいました。そして、ある日、ミスを理由に支店長が沢村を殴打しました。
それを目撃した大庭は、支店長を会社に告発します。しかし、沢村への聞き取りをせず、支店長のみに聞き取りをし、いじめの事実はないと会社は判断したのでした。
そして、大庭は整備工場に異動させられました。
「たぶん、告発したから。沢村は、今もきっと、やられ続けています。
でも、証拠を残せと言っても、報復を恐れてやれないって言うんです。
だから、俺が毎晩スマホ向けてました。
けれど、ひと月粘っても証拠をおさえられなくて。あの、言わなくてすみませんでした」
大庭は、そう説明してくれました。
依頼を受ける
話しを聞いて、羽男は話します。
「大庭さん、いじめは法律で裁かれるべきです。バカや死ねなどは侮辱罪、根も葉も噂を流されるのは名誉棄損、何かを強要されれば強要罪、誰かを殴れば暴行罪です」
そう聞くと、大庭は石子と羽男に依頼します。
「力を貸して下さい。なんとか、沢村を助けたいんです」
そして、大庭の依頼を受けることになりました。
沢村の反応
刑法230条名誉棄損、刑法208条暴行罪
「沢村」
帰宅途中の沢村に声を掛ける大庭。大庭が近づいてきたことに驚く沢村。その沢村に自己紹介する羽男。
「弁護士の羽根岡と申します。勤務先での職場いじめについて・・・」
しかし、沢村の反応は冷たいものでした。
「話すことはありません。失礼します」
大庭は「きっと、会社に知られるのを恐れて」の反応だと言うのでした。
勘違い?
5周年記念大セールを行うカーキャプテン。忙しいからか、大庭をヘルプで呼んだのでした。呼んだのは支店長です。石子と羽男は、カフェからカーキャプテンを見ています。
「どうなりますかね、明日。証拠掴めますかね」
そういう石子。その時、羽男はノートパソコンで動画を見ていました。
「大庭さんが撮った1ヶ月分の録画。どこかに証拠が映ってないかってさ」
その時、カーキャプテンのスタッフが、石子と羽男に声を掛けました。
「うちの沢村と話しているところをお見かけしまして。何か勘違いされていませんか?
沢村にパワハラしたのは、支店長じゃなくって、大庭なんです。あいつはパワハラで左遷されたんです。
いつも大庭くんは沢村くんに厳しい言葉を投げかけていました。こんなメッセージは日常茶飯事で」
そう言って見せてくれたのは「さっきの件まだ?すぐ電話して」というような急かす内容でした。
しかし、プレッシャーには感じるかもしれませんが、左遷させられる内容ではりませんでした。
パワハラ
そうすると、「一番ひどいのはこれです」と言って違うメッセージのやり取りを見せてきました。
「お前いい加減にしろ。何度繰り返すんだ??もう辞めてくれ。死ねよ」
捏造じゃないという内容に驚く、石子と羽男。とりあえず、名刺をもらいました。
それを聞いて、大庭に連絡しますが、留守電です。そして、大庭の整備工場にも行ってみますが、大庭は休みでした。
沢村に大庭が声を掛けた時、大庭に怯えてるようにも見えました。
「うーん、こうなると左遷を逆恨みして復讐を考えてるってこともあるか。
ダメだ。この件は断ろう」
また断ろうとする羽男。石子は一度受けた以上は最後までやるべきだと言います。
「彼は一度隠し事をしていた。危険な橋は渡りたくない。私のブランドに傷がつく」
そう言って、どうしても手を引こうとする羽男。
「では諦めます。あなたに期待するのは諦めます」
石子はそう言うのでした。
ルールが違う
太極拳教室で、太極拳をやる石子の父腰。しかし、まだ腰が痛いようです。蕎麦屋の塩崎と父親が話していました。
「一緒に暮らして何ですか?」
父親が石子と同居するようになって3年です。しかし、石子は父親に対して、まだ敬語です。父親は「距離あるよな」と言っていました。
そこにやってくる石子。
「お父さん、すみません。ちょっと相談が。担当、変わっていただけますか?」
羽男とはルールが違いすぎると、泣きまねをする石子でした。
大庭を捕まえた
諦めると言ったものの、羽男は確認したくて、自転車で大庭の家に行きました。
「突然すみません。沢村さんへのパワハラメッセージ、あれ本当にあなたが送ったんですか?」
大庭を捕まえ、そう問いただす羽男。大庭は「はい」と言うと、羽男を中に入れます。
「支店を盗撮していたのは、左遷させられた腹いせですか?だとすると、私に依頼して何がしたかったんですか?」
羽男は大庭に問いただすのでした。
羽男と父親の出会い
「彼と初めて会ったのもここでね。券売機で迷ってた彼に、良く来るなら回数券がお得って声かけたんだ」
そんな出会いもあるもんなんですね。しかし、父親はそれで羽男のことは忘れていたと言います。
「再会したのは、3週間後の太極拳教室。
先日はどうもって言われたんだけど覚えてなくてね。
サングラスに帽子だった僕のこと良くわかったねって言ったら、耳の形でって言うんだよ。驚くでしょ?一瞬見ただけで覚えちゃうんだって」
フリーズ
興味が沸いた父親が、羽男にいろいろ聞いてみたのでした。
「彼は高卒ながら、予備試験、司法試験を一発で合格した弁護士だって知った。
でもね、受け持った案件がことごとく依頼人の望む形にもっていけなくって、事務所クビになって仕事さがしてるって言うんだよ」
そして、「フォトグラフィックメモリ」と言う一度見たものを写真みたいに記憶できる能力を持っていることを告白されたのでした。
しかし、弁護士は条文や判例を覚えてるだけでやっていける仕事ではありません。それは、状況に応じて応用していくことが大事です。しかし、羽男は不測の事態が起きたら対応できないのでした。用意していたプランが崩れると、どう対処していいかわからずフリーズしてしまうのです。
それは、石子が見た「手が震えている」状況のことでした。
羽男の隠しごと
事務所で羽男を待つ石子。外から聞こえてきた音が、羽男の自転車の音かと思ったら、豆腐屋のラッパでした。仕方なく電話する石子。
「はーい、なに?」
お気楽な感じで電話にでる羽男。今日は、事務所にはいかないようです。その時、羽男の後ろから「カーキャプテン」と言う声が聞こえてきました。
「パワハラを認めたから、依頼断ったって言ってましたよね?」
羽男は石子にそう説明していました。
「自分プライベートタイムなので」
そう言って、電話は切られました。何か隠していることは明白です。
見張り
羽男が電話を切ったあと、走ってカーキャプテンに向かう石子。
カーキャプテンに着くと、すぐに羽男に捕まります。
「何しに来た。プライベートタイムだって言っただろ」
しかし、何かあると食い下がる石子に羽男は説明します。
「実は、見張ってるだよ。逆恨みした大庭さんが沢村さんにおかしなことをしないか」
そんな時、沢村はお客様を大庭に「サインするだけだ」と引き継いでいました。
石子がきてからも、特に何も起きませんでした。
閉店後
閉店後、支店長に呼ばれる大庭。
「大庭くん、やっちゃったね。走行距離を少なくして売りつけただろう?メーター改ざんして」
大庭は何のことを言っているのかわかりません。
「君が契約した車だろ?売上伸ばすためにやったのか?」
それは、沢村から引き継いだ車のことでした。支店長が沢村に確認すると、沢村は「僕は知りません」と言うのでした。
それを聞いた支店長は、大庭を捕まえます。
「大庭くんさ、嘘はダメだよ。わかった、事務所言って話をしよう。行こう」
そう言って、裏へ連れて行こうとするのでした。
試乗
「やめて下さいって」
連れていかれるのを抵抗する大庭。その大庭の異変に気付いた羽男が、カーキャプテンに行きました。
「ここからは私が引き取らせていただきます。
大庭さんの代理人の弁護士の羽岡です」
そこで羽男は、「大庭さん、もう通話切っていただいても」と言って、通話を切らせました。羽男は、ずっと会話の内容を聞いていたのでした。
そして、沢村と大庭を連れ出そうとします。カーキャプテンに置いてある車に乗り込むと、羽男は言います。
「これは無断占有ではなく、あくまで試乗です」
急発進して、カーキャプテンから出ていくのでした。
裏切り
「沢村さん、支店長に大庭さんを陥れる作戦に加われば、厳しい指導を辞めるって言われたんでしょ?
そして、今日。その作戦に加担してしまった。
大庭さんは気づいていたんです。あなたが自分を裏切ったこと」
羽男は、大庭からパワハラメッセージの真相を聞いていました。
「俺、全部は送ってないんです。
リアクションをせかすものは送ってしまいました。
でも、異動の切っ掛けとなった罵詈雑言は送ってないんです」
罵詈雑言が送信された時間は、勤務日の昼休みでした。沢村と一緒に休憩してた大庭。大庭が支店長に呼び出されて、戻ってくるまでの時間に送信されたものでした。
置いて行ったパソコンをロック画面に変わるまでに触れば、パスワードを知らなくても成りすまして送信できます。それをしたのが沢村でした。
しかし、大庭は沢村を追及しませんでした。その状況で、すぐバレるのにやったということは、支店長に強要されたと大庭は思ったのでした。
フリーズ再び
そこの別の車で追いついてきた支店長達が、石子と羽男の行く手を阻みます。
車を止め、支店長と対峙する羽男。
「たとえヘルプとはいえ、異動させた人間を呼び戻すかなと思いまして。
そこで、あなたが我々の動きに気づき、なにか手を打って来たんじゃないかと思うに至ったんです。
沢村さん、あなたが証拠を提出すれば、全てが終わります。
大庭さんが撮った映像にあなたがボイスレコーダーを確認している瞬間が映っていました。
あなた、証拠を集めていますよね?
今日のデータ改ざんを持ちかけられた音声も録音してたんじゃないですか?
その音声、聞かせて下さい。さあ!」
しかし、沢村は動きません。
「あれ?ダメ??」
手が震える羽男。またフリーズしてしまいました。
言葉を失った羽男をよそに、支店長と大庭がつかみ合いになっています。
悩む石子。そして、一歩、二歩と前に出ます。
声を上げる
「みなさん!みなさん!なぜ声を上げないんですか?
大庭さんはいじめを告発した時、なぜすぐ弁護士に相談しなかったんです?
カフェからカメラを向け始める前に」
そう問いかける石子に大庭は言います。
「それは、やっぱり自分が勤めている会社を訴えるなんて、気が引けて。
あと、内々のことだから、誰かに頼るのは間違っている気がしたし。
それに、情けないって思った」
大庭の言うことを聞いて、石子は話し出します。
「それは違いますよ。人間関係を円滑にするためにあるルール、それが法律なんです。
法律にのっとり、声を上げる行為は、情けなくないし、少しも間違っていません。
憲法第14条で、”全ての国民は、法の下に平等である”ということが規定されています。
法律を知っていれば守られること、避けられることもある。傷を最小限にとどめることができる。そのお手伝いをするのが我々です。
ただ、声をあげていただけなければ、お手伝いすることができません。法律を上手に活用し、幸せに暮らしていただければと存じます」
そう言うと、フリーズしている羽男に促します。
「以上です。ですよね?」
証拠
「もし、証拠を提出していただければ・・・」
そう羽男がやっと声に出した時、録音した音声が流れます。
「大庭にこの書類を渡せ。大庭をクビにしろ」
そして、沢村は「この音声を提出します」と言うのでした。
それを聞いた大庭は、支店長に詰め寄ります。
「支店長、あなたのことを会社に告発し、しかるべき対処を求めます。
もし万が一、隠蔽したら、労基署に訴えますから。俺、駆け込みますから」
それを聞いた支店長は、大庭に掴みかかろうとします。それを遮る羽男。支店長に話しかけます。
「あなたはあなたで声をあげればいいじゃないですか。もしあなたの一連の行為が会社から無謀な業績を迫られそのプレッシャーからなど、労働環境に由来するものであったなら安全配慮義務違反として会社に対し責任を追及することが可能かもしれません。また36協定なしにあなたが長時間労働を強いられていた場合には・・・」
早口で話し、支店長を落ち着かせえることに成功しました。
打ち上げ
2019年パワハラ防止法成立
2022年パワハラ防止法、全ての企業の義務に変わる
蕎麦屋で超大盛りの蕎麦、かつ丼を石子、羽男、大庭で食べます。石子たちの住む「街の売り」のようです。今日は、大庭の奢りです。
「本当に退職なさるんですか?」
石子が大庭に聞きます。
「はい、新しいことを初めてみます。沢村とは友達として付き合えばいいし」
そう言うと、すがすがしい感じで超大盛りに挑んでいました。
帰り際、石子と羽男の後姿を見る大庭の姿がありました。
Sono contento
羽男と大庭と別れた石子は、ビール片手に屋上から電話します。相手は羽男でした。
駅のホームのベンチに座っていた羽男は、電話を取ります。
「意外と小食なんですね」
羽男が上を見ると、屋上に石子の姿が見えます。
「君が食べすぎなんだよ」
そう羽男は返します。
「そうですか?とりあえず、お疲れ様でした。Sono contento(満足)」
羽男は石子に言いたいことがありました。
「実は・・・・」
しかし、電車がきて、その音で石子には届きませんでした。聞き返す石子に羽男は、「いや、なんでもない。じゃあ」と言って、電車に乗り込みました。
アルバイト
石子と羽男が事務所に出勤すると、マカロンがおいてありました。そのマカロンは、離婚調停をした夫婦が「お礼に」とおいていったものでした。
「あの日、羽男くんが奥さんの行為を批判した時、依頼人が思わずかばったんでしょ?
それで相手を思う気持ちがちょっとでもあることに気づいたことで、一旦離婚をストップさせるんだって」
それを聞いて喜ぶ羽男。
「ほらーー!ほらーーー!俺が正しかったんだ」
子供のような反応をする羽男。しかし、石子の反応は冷静です。
「そんなのたまたまでしょ」
一言でぶった切られてしまいました。そこに「戻りました」と帰ってきた男がいました。大庭でした。
「今日からアルバイトで入りました。よろしくお願いします」
そう挨拶する大庭。石子と羽男は、驚いていました。
最後に
リーガルドラマに難しい言葉や言い回しは付き物です。この「石子と羽男」は、雰囲気がアットホームなのに矢継ぎ早に出てくる言葉が多くて多くて。大変です。
でも、ほんわかした雰囲気とのギャップが面白いですよね。
ただ、まだ明らかになっていないものが、気になります。
それは、石子が「石田」という苗字なのに、父親は「潮」という苗字という点です。石子の両親が離婚して、母親と暮らしていたが、3年前に母親が亡くなり、父親と同居するようになった?というところでしょうか。
その辺は、これから出てくる話しだと思います。
次週は「未成年者取消権」のようです。リーガルドラマで取り扱うのが珍しい法律ですね。
楽しみです。