これまでに読んだ本を紹介したいと思います。
第1回目は、村上龍の「5分後の世界」です。
価格:586円 |
あらすじ
突然異世界に迷い込んだ主人公「小田桐」。
そこは、第二次世界大戦から現代に至るまで米軍を中心とする連合軍と戦争を継続している平行世界の日本。
「もう一つの日本」は地下に建設され、人口はたった26万人に激減していた。
だが、第二次世界大戦終結後も日本民族の誇りを失わず、駐留している連合国軍を相手にゲリラ戦を繰り広げてる。
その世界は、現代日本に比べ、時間が5分遅れた世界だった。
という内容。
感想
幻冬舎から1994年3月に刊行されましたが、読んだのは文庫本でした。
最初は、状況がわからない主人公と同じように、どこ?なに?という感覚です。
突然始まる戦闘シーン。生き残るために無我夢中で進んでいきます。
しかし、途中で状況の説明がされることで、この5分遅れた平行世界の状況がわかります。
第二次世界大戦中に計画された地下への避難計画や、分割統治計画が元になっているようです。
現在の日本と比べ、その平行世界は民族的なプライドを持った日本人が描かれています。
第二次世界大戦後の日本の状況、経済発展などと比較すると、羨ましく思える側面もあります。
こんな日本だったら、もっと誇れたのかもと思うこともありました。
しかし、描かれているのは、戦争は継続され、ゲリラ戦を行う日々です。
平和な現在の日本がどれほど安全か、どれほど安心して生活できるかがわかります。
いいなと思う反面、物語の世界で良かったと思う気持ちもありました。
村上龍
10代後半から20代にかけて、村上龍の作品はほとんど読みました。
代表作に『コインロッカー・ベイビーズ』『愛と幻想のファシズム』『69 sixty nine 』『半島を出よ』などがあります。
特に好きなのは、この『5分後の世界』もそうですが、『愛と幻想のファシズム』『半島を出よ』も好きです。
荒廃的でありながら、生に執着する生々しい描写。
当時は、村上龍を読んでいることが、ちょっとカッコイイと思っていました。
友人の誕生日に『69 sixty nine 』をプレゼントしたこともありました。
『69 sixty nine 』も含め、映像化された作品も多いですね。
『KYOKO』は、映画館に見に行った記憶があります。
高岡早紀、良かったです。当時、村上龍が高岡早紀を絶賛してたのも記憶にあります。
他には、幻冬舎で文庫になっているものは、面白いものが多いです。
『イン ザ・ミソスープ』や『オーディション』『ピアッシング』『昭和歌謡大全集』などなど。
日常の中の狂気。日常だと思っていたことが、気づいたら狂気のど真ん中だった、という感じ。
長すぎない物語が多いので、初めての人にもオススメできます。
『昭和歌謡大全集』は、のちの『半島を出よ』の前日譚です。
最近の作品は読んでませんが、こうやって書いているうちに、また読みたくなりました。