「姑獲鳥の夏」は、京極堂シリーズと呼ばれるシリーズの第1作目です。
ドラマの『ミステリと言う勿れ』の天使(放火犯)の回を見てたら、なんとなく思い出した作品です。
価格:1,012円 |
あらすじ
時は第二次世界大戦後、東京・雑司ヶ谷の医院に奇怪な噂が流れおり、関口はその噂の真相を知るために京極堂を訪ねる。
噂とは、娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。
さらには、久遠寺病院の久遠寺梗子の夫、牧朗の失踪、連続して発生した嬰児死亡などの事件。
京極堂は驚く様子もなく「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と言うのだった。
登場人物は
- 神主で拝み屋で古本屋・中禅寺秋彦
- 小説家・関口巽
- 人の記憶を視ることができる超能力探偵・榎木津礼二郎
- 京極堂の妹である編集記者・中禅寺敦子
- 東京警視庁の刑事・木場修太郎
- カストリ紙の編集者・鳥口守彦
などを巻き込みながら、事態は展開していく。
さらにこの事件は、関口自身の過去とも深く関係していた。
噂は意外な結末へ、という内容。
感想
基本的に難解な小説に入ると思います。個人的感想。
言葉使いや出てくる漢字、時代背景は簡単に読み進められる感じではありません。
それが、引き付けられる魅力でもあります。
主人公の京極堂こと中禅寺秋彦は、『憑き物落し』をします。
登場するのは前編を通してですが、いろいろな人がいろいろな情報を持ち寄ります。
その情報基に、最後の最後に憑き物を落とすために登場します。
友人の関口の問いかけに中禅寺は、たくさんの言葉を使って、語ります。
蘊蓄や伝承、心理学的側面、そういういろいろな情報をたくさんの言葉を使って表現します。
そのそれぞれが、難解であり、面白いと思う要素でもあります。
この沢山の言葉を経て、物語の真相へたどり着くのですが、この言葉を経たからこその結末なのです。
さらに、見えないものが見える探偵『榎木津』が出てくることで、榎木津だから見えると思わされるミスリードが発生します。
また、精神を病んでしまっている関口が、混乱と錯覚と記憶の狭間で、物語が深みにはまっていくことになります。
そして、中禅寺の手で最後に呪いがかけられます。
難解であり、本が好きな人には読み応えのある、ご褒美のような作品になっています。
原作と映画
この京極堂シリーズは映画にもなっています。
今回紹介した『姑獲鳥の夏』だけでなく『魍魎の匣』も映画化されています。
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ただ、京極堂シリーズを映像で作ってしまうと、圧倒的文字数を使った言葉の波を表現しきれません。
この物語で表現される切なさや悲しさも、とてもチープになっているのが残念です。
映像としてはいいとは思うのですが、物語を紡ぐという点では、あまり評価できないなと思っています。
逆に言えば、この物語を満足できる映像にできたら、ファンにはたまらない作品になるのだと思います。
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