無罪 判決を勝ち取れるのか?
ついに、篠田が6年前に関わった事件の裁判が始まります。
そんな第10話のネタバレです。
第10話のストーリー
裁判の開始
法廷に関係者が集まります。
「開廷します。被告人は前に。名前は?」
篠田こと田中守は、出廷しています。
罪状は強盗殺人です。金銭を強奪し、被害者・小笠原を包丁で刺殺したというものです。
「事実と異なることはありますか?」
裁判長にそう聞かれると、篠田は「僕は殺してなんかいません」とはっきり言いました。
第一回公判後
殺人罪は、「死刑又は無期、あるいは5年以上の懲役」です。
「死刑から5年って幅があり過ぎない?」
紗英はそうやって聞きます。
「殺人罪にもそれぞれ事情がありますからね」
津々井先生はそう答えました。
しかし、篠田はただの殺人罪ではありません。強盗殺人罪です。
「強盗殺人罪は死刑又は無期懲役です」
そして、その強盗殺人罪をひっくり返すことができるのでしょうか?
麗子は証拠一覧を見ています。ただ、検察側の証拠は書ききれないほどあるのに、こちらの弁護側にはほとんどありません。
逃走の方法
「いっそのこと、また逃げちゃえば?」
紗英は勝手なことを言います。しかし、これからまた逃げることは、金銭的な部分を考えても無理です。
その話を聞いて、麗子は気になっていることがありました。
「篠田、6年前はどうやって逃げたんだっけ?」
連絡船の荷物の陰に隠れて逃げた話しは前回していました。
しかし、港まではどうやっていったのか、篠田はあまり覚えていません。
「タクシーだと思うんだよね」
しかし、篠田はお金を持っていなかったはずです。港からレストランまでタクシー代を被害者から借りているぐらいです。
「小銭は持っていた気がするんだよね」
そして、どうしてお金があったのかは、思い出せませんでした。
証拠品
検察側から、証拠品の説明があります。まずは、被害者を刺した包丁です。
しかし、それを黙って聞いていられない麗子。
「被告人は料理人です。
被告人の包丁に被告人の指紋があって、何がおかしいのでしょう?」
裁判官からは、口を出さないように注意されます。
次は、現場に落ちていた被害者の財布です。現金は抜き取られて、中身は空でした。そして、財布からも篠田の指紋が検出されています。財布は、遺体のあった厨房から発見されました。
次は、港で発見されたエプロンから、篠田のDNA型と一致していました。
証拠の説明では、ひっくり返すものはありませんでした。
そして、裁判員は物的証拠や科学的証拠を重視する傾向にあります。
検察側は公判部のエースです。それに対して、物証の提示中に前に出るのは、裁判員の心象が最悪になってしまったと津々井はいいます。
「裁判やったことあるんだよね?」
篠田は不安になって聞きますが、麗子は「ないわよ」と一言で片づけてしまいました。
証人尋問
シェフ
「本当です。激しい言い合いです。激昂っていうんですか、激しかったですよ」
そう証言がありました。篠田にとっては不利です。
それに対して、麗子の反対尋問です。
「カニは好きですか?
口論の原因はカニだったんです。被告人は料理人として、タラバガニにマヨネーズをつける行為が許せず、強い口調で咎めてしまったそうです。
タラバガニで人を殺すでしょうか?」
しかし、シェフは「口論の原因は、お金のことに決まってます」と篠田に決めつける発言です。
酒屋
事件の前日、酒屋がお酒を届けた際、篠田をみかけていました。
「到着した直後だと思います。田中(篠田)さんの声が聞こえたんです。必ず返しますからって」
この証言も篠田にとってはふりです。
しかし、麗子は冷静に反対尋問をします。
「金額は聞きましたたか?
830円です。タクシー代です。
港に着いた時財布を無くして困ってる人がいました。
篠田はタクシー代を渡しました。貸したのは篠田の持っている有り金、全てだったんです。
篠田は仕方なくそのままタクシーに乗り、到着後被害者に830円を借りた。
被害者が言っていたのはこのお金なんです。830円が殺人の動機になりますか?」
麗子が篠田から聞いた事実を述べても、篠田の状況を覆すような状況にはなりませんでした。
滝沢美月
宣誓書を声に出して読みます。
「あなたはレストランのホールスタッフをされていますね。
全ての料理が出された後、ワインを飲んだと言っていますが見ましたか?
被告人は受付の前を通って外に出たと言っています。あなたは、外に出て行く被告人を見ましたか?」
検察側の質問に美月は答えます。
「遠目に田中さんがワインを飲んでいるのが見えました。
いいえ、見ていません。お土産を渡すために受付にいたんです。
私は田中さんが出て行くのを見ていません」
はっきりとした証言です。しかし、麗子は冷静です。
「あなたは篠田にお金を借りたことがありますね?
篠田はあなたに貸したお金の返済を求めなかったと証言していますが、本当ですか?
レストランで再会しました。返しましたか?」
それに対して、美月は答えます。
「はい、何もおっしゃらずに行ってしまって返していません」
追及
そして、重要なポイントを突いて行きます。
「営業している時に上げる旗がありますね。
てっきり考案者のお婆さんの役割だったと思っていました。
あの日、旗を上げ下げしたのは、あなたではないのですか?」
そして、篠田が逃げる際にかかったタクシー代は830円です。それは、篠田のポケットにありました。
篠田は、軽井沢の別荘でも、弁護士事務所でも報酬を受け取っていませんでした。それは、「透明人間」になったからです。
「裁判とは真実を述べる場所です。ただ、誰かが嘘をついたら真実に辿り着くことは難しくなります。
でも、諦めてはいけない。その真実には、ひとりの人間の人生がかかっているから。
そう言う場所にいるです」
そして、篠田の人生を左右することを美月に告げ、再度質問をしました。
「もう一度聴きます。被告人にストールをかけたのはあなたですね?」
美月は、正直に答えました。
「はい。ストールをかけたのは私です」
外に出た篠田を見て、ベンチで居眠りする篠田にストールを掛け、お金をそっとポケットに返したのでした。
名探偵の推理
事件のあったレストランに関係者全員が集められています。警察も同席しています。
「お待たせしました。はじめましょう」
事件が起きて名探偵がその真相を解明する時、関係者全員を集めるのがミステリーのセオリーだと言って、麗子は話しを始めました。
「ご存じのとおり、小笠原さんの公判は続いています。
しかしその裏で、もう一つの死がありました。
高瀬先生です。何故死ななければならなかったのか、6年前の事件と無関係とは思えません」
そう言うと、二つの事件を結びつける鍵は電話だと言います。
6年前、篠田に「逃げろ」と電話してきた声の後ろで、動物の声のような音がしていました。それは、診療所の風見鶏の音だったんです。
事件の時、高瀬先生を旅館の主人が診療所に送りました。電話をしてきたのは、高瀬先生か旅館の主人かのどちらかだと推理していました。
「何の証拠があるんですか?」
そう旅館の主人に言われますが、証拠は何もありません。
高瀬先生
高瀬先生は6年前の事件の手がかりを知っていた。
しかし、彼は死んでしまいました。
「この町で高瀬先生を殺したい程恨んでたひとはいますか?」
そんな人はいませんよとみんな言います。
麗子は、高瀬先生は自殺したと言います。
「篠田を犠牲にしても守らなければならなかったのは、高瀬先生ですね」
犯人
「被害者は殺されても仕方のなかった」
10年前の台風で被害があって、この町の人達は小笠原にお金を借りていました。ギリギリまで利子を釣り上げられ、小笠原をみんな恨んでいました。
6年前のあの夜、小笠原は借金の返済期限を突然今月中にすると言い出しました。そして、返済できなかった人の担保を売り、リゾートホテルを建てる計画です。
「それがビジネスってもんだろう?」
悪びれず、そう言う小笠原を高瀬先生が刺して殺してしまいました。
その時、外で居眠りしていた篠田が戻ってきました。しかし、犯行に気づかず、また寝てしまいました。
麗子の怒り
「偶然聞いたんだ。篠田は身寄りがないって。両親を失って天涯孤独だって」
そして、篠田が捕まっても誰も困りません。
「高瀬先生はな、誰もきたがらない辺鄙な港町にきて、みんなのことを守り続けてきた。20年間も。先生はみんなが思っていることを引き受けてくれていたんだ。
先生はこの町に必要な人間なんだ」
それを聞いて、麗子の怒りは頂点に達しました。
「つまり、高瀬先生は必要で篠田は必要のない人間。そう言うことですか?
ふざけたこと言ってんじゃないわよ!
必要な人のためなら誰かを犠牲にしてもいいなんて誰が決めたの?
身寄りがないからとか、天涯孤独だからとか、いい加減なことばかり言って、必要のない人間なんていない。篠田は私にとって、必要な人間です」
罪状
「高瀬先生が自殺したのは、篠田に罪を着せてしまった罪悪感に耐えられなくなったから。あなたたちの安易な考えが、あなたたちの大切な人を殺したのよ」
そう言うと、麗子は住民たちが犯した罪について説明します。
「みなさんは、とても大きな罪を犯しました。
あなたたちはこれから、罰を受けることになります。
刑法第172条「虚偽告訴罪」。
この罪は10年以上の懲役です。ただし、執行猶予がつくでしょう。
これが皆さんの罪に対する罰です」
誰も答えることができる人はいませんでした。
あとは警察に託し、麗子と篠田は帰りました。
判決
判決を言い渡される時がきました。篠田が前へ出ます。
「主文、被告人は無罪」
住民の告白もあり、無事無罪を勝ち取りました。
その傍聴席には、津々井先生や紗英だけでなく、森川富治がいました。
判決後
「驚きましたよ、傍聴席に英治がいるのかと」
そういう麗子に、未だに栄治に間違われて困っているという富治。
篠田は、ちょっと違う感想で、栄治に感謝していました。
「あの遺言状をどう言うつもりで書いたかわからないけど、僕と麗子ちゃんを引き合わせてくれた」
これから
そして、篠田にたいして、麗子は尋ねます。
「あんたどうするの?もう透明人間じゃなくなったんだし。
ここにいたければ、朝昼晩きっちり食事を作ること。
うちは儲かってないんだから、給与は初任給ぐらいしか渡せないけど」
そう言って、一緒に働くことになりそうです。
しかし、麗子には津々井との約束がありました。
ただ、津々井は麗子に戻ってこなくていいと言います。
「報酬がないのに仕事を引き受けるような人はいりません。
うちは、利益至上主義ですから」
そういう言い方でしたが、麗子と篠田の関係を見守ってくれることにしたようでした。
最後に
裁判で、見事に無罪を勝ち取りました。
それにしても、美月が証言していた裁判のシーンは見ごたえがありました。
そして、なにより、一番驚いたのは「最終回じゃなかった」ことです。
いい感じでエンディングになって、次回予告が流れた時には声を出して驚いてしまいました。
何にしても、もう少し楽しめそうです。