大きな夢に向かって 舞いあがれ(17) ネタバレ

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大きな夢に向かって は第17週のサブタイトルです。

長いリーマンショックの影響から、やっと脱出した前回。

4年を経て、どうなったか楽しみです。

そんな第17週のまとめです。

第16週「母と私の挑戦」のまとめ

舞あがれ!公式HP

主な登場人物

岩倉舞   福原遥     IWAKURA再建のために働く
梅津貴司  赤楚衛二    舞の幼馴染、旅人で歌人
望月久留美 山下美月    舞の幼馴染、看護師

才津祥子しょうこ  高畑淳子    舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太こうた  高橋克典    舞の父、故人
岩倉めぐみ 永作博美    舞の母、株式会社IWAKURA社長
岩倉悠人はると  横山裕     舞の兄、天才投資家

梅津勝   山口智充    貴司の父。浩太の幼馴染のお好み焼き屋
梅津雪乃  くわばたりえ  貴司の母。勝の妻
望月佳晴  松尾諭     久留美の父。元ラガーマン

笠巻久之  古舘寛治    IWAKURAのベテラン従業員
結城あきら   葵揚      IWAKURAの元従業員
山田紗江  大浦千佳    IWAKURAの合コン好き事務員
荒金正人  鶴見慎吾    菱崎重工の重役

木戸豪   哀川翔     船大工
浦信吾   鈴木浩介    役場職員。めぐみの同級生
一太いった   若林元太    舞の同級生、船大工見習い
山中さくら 長濱ねる    みじょカフェオーナー

第17週のストーリー

舞の現状

2013年8月になりました。舞がIWAKURAの正式な社員になって、4年が経ちました。

舞は営業部のエースとして、IWAKURAを支えていました。一人で営業に出て、打ち合わせ中です。

「Rがかなり小さいですが、密着性は必要でしょうか?」

舞は得意の絵を描いて、客先で提案していました。

「このようにえぐれた形状のアンダーカットなら、密着性が高まります。なおかつ、切削ではなく圧造でできると思います」

打ち合わせが終わると、舞はすぐに会社に戻りました。そして、アキラや担当者に図面を見せます。

「えらい厳しい寸法公差取ってきたやん」

そう言われた舞は、過去のネジを出して説得します。

「寸法公差は、プラマイ0.05ミリで納得してもらいました。これ、一昨年作ったボレロ工業さんのネジに似てません?せやから、できるかなって思って」

アキラは「ほな試作品作ってみよか」と言って、施策に取り掛かりました。

人を増やす

舞が事務所に戻ると、お母ちゃんは仕入れの打ち合わせをしていました。

「9月以降また新規受注が入るので、また10トン増やせたらと思ってるです」

取引先と話している声が聞こえてきます。それを聞いた山田は、舞に「10トンやて」とささやきます。嫌味が多かった山田ですが、今では舞と仲良くなっているようです。

「社長、機械増やさなって悩んでるみたいです」

舞はそう答えました。お母ちゃんが打ち合わせが終わると、舞はお母ちゃんに話しかけます。

「あのーだんだん手も回らへんようになってきましたし、人も増やしたらええんと違います?」

お母ちゃんは、以前辞めてもらった3人に会いに行っていました。

「みんな、今の仕事が順調らしくてな、戻ってきてとは言われへんかった。梱包のパートさんも増やさな」

そして、以前辞めてもらった梱包のパートさんにも声をかけていましたが、断れていました。しかし、舞はみんなに戻ってきてもらえるよう、再度頼んでみることにしました。

デラシネの今

4年前に古本屋デラシネを託された貴司は、以前と同じように子供達に開放し、自分も店番をしながら短歌の創作にいそしんでいました。

貴司だけでなく、舞も久留美も、デラシネを秘密基地にしていたのを思い出します。

子供達が帰って行くと、舞がやってきました。

「何やってんの?」

舞が声を掛けると、貴司は広げた原稿用紙の切れ端を見ていました。

「短歌選んでんねん、50首。長山短歌賞に応募しようかな思って」

舞は貴司の挑戦を歓迎します。長山短歌賞は「短歌界の芥川賞」と呼ばれる賞です。受賞にはかなり高いハードルです。

「無理やって。けど、一人で書いてても上達せんからな。応募して批評してもろて、もっとええ歌作れるようにならな」

舞は応募作品を選ぶのを手伝います。

「桜の花びら載せた時 オダマキの葉の 揺れが止まった」

貴司の短歌を読んで、舞は嬉しい気持ちになるのでした。

「咲いてる桜やなくって、ちっちゃい葉っぱ見てるのが、貴司くんって感じやな。人とちゃうとこ見てる、そこがええねん」

そう言われた貴司も嬉しそうです。貴司は舞に、名古屋で覚えたナポリタンを振る舞いました。

叶えられなかった夢

舞は、今日の仕事の成果をお父ちゃんに報告しまいた。

「お父ちゃん今日な、シラヌイテックさんから、新しい仕事もろたで。どんどん注文入ってきて、機械も人も増やさな間に合えへん。IWAKURAは順調やで。ほんでな、お父ちゃん。私、一歩踏み出したい」

そう言うと、お父ちゃんが生前言っていたことを思い出しました。

「お父ちゃんもな本当は飛行機作りたかってん。いつか、お父ちゃんと一緒に飛行機飛ばそうか」
「飛行機の部品作ってジャンボジェットに載せる」

舞はお父ちゃんの叶えられなかった夢を叶えたいと思っているのです。

それからしばらくして、舞の説得の結果、パートのおばちゃんたちが戻ってきてくれることになりました。

「ホンマ、お嬢さんには負けたわ」

そう言ってワチャワチャしながら、仕事を始めてくれました。

パートのおばちゃんが辞める時にお父ちゃんが約束した、「立て直したら、また戻ってきて欲しい」を舞とお母ちゃんは実現したのでした。

説得

舞は、お母ちゃんを呼び出して話しをしました。

「社長、これ一緒に行きませんか?」

そう言ってお母ちゃんに見せたのは「航空機産業参入支援セミナー」のパンフレットでした。

「航空機の部品作りたいゆう会社が集まるそうです。IWAKURAも参加してみませんか?」

しかし、お母ちゃんは「うちには、まだ無理やて」と言って反対します。

今、人も設備も増やしてますが、それは今の状況をキープするための人と設備です。新しい分野に手を出すには早いと、お母ちゃんは考えていました。

「私はそう思いません。IWAKURAの加工技術は他所に負けてませんし。やる気にさえなれば、決して不可能な話やありません」

人と設備以外にも、お母ちゃんの心配はありました。

「品質保証はどないするの?」

飛行機部品を作ると言うことは、高い品質を保証しなければいけません。しかし、その質問も見越していた舞は、はっきりと答えます。

「JISQ9100を取得します。部品作りのことも、品質保証のことも、もう勉強初めてます。けど、私一人じゃダメなんです。社長、一緒に来ていただけませんか?航空機の部品作ること、真剣に考えてもらいたいんです」

山の頂上へ

そして、舞は熱い思いをお母ちゃんにぶつけます。

「どんだけ大変なことか、勉強すればするほどわかってきました。過酷な状況で使われるから、安全性も耐久性も厳しく要求される。けど、めちゃくちゃ大変やからこそ、IWAKURAのみんなと挑戦したいんです。うちのチームやったら、きっと作れます」

しかし、お母ちゃんも簡単に受け入れることはできません。

「あんたが飛行機部品のこと、勉強してたの知ってたで。お父ちゃんの夢やからな、気持ちもわかる。せやけどな、やっぱりリスクも大きいんちゃうか?」

舞はお母ちゃんにお父ちゃんの夢を話しました。

「山の頂上。お父ちゃんがゆうてた。一歩ずつ上って行ったら、いつか山の頂上に辿り着ける。お母ちゃん、IWAKURAにとっての山の頂上は、航空機の部品作ることやないの?技術磨いて、工場大きくして。私、どないしてもお父ちゃんの夢、叶えたい。航空機の部品、絶対作りたい。お母ちゃん、一緒に行こ。一緒に山の頂上、目指そ」

舞の説得に、お母ちゃんは「わかった」と答えました。

二人、付き合ってるの?

デラシネで塗り絵や読書をする子供達。その中で、貴司は短歌を選び、舞は勉強していました。

「大人も勉強するんや」

そう聞かれて、舞は女の子に答えます。

「せやで。お姉ちゃんな、いつか飛行機の部品作りたいねん。せやからいっぱい勉強せなあかんのよ」

子供達がプールに出かけようとした時、女の子が舞と貴司に聞きました。

「なあ、二人付き合ってるの?」

しかし、舞は「友達やで」と笑って答えていました。

子供達が出かけ、選んだ短歌の見直しを手伝う舞。やっと応募作品がまとまったようです。

選んだ短歌を封筒に入れ、封をする貴司。舞は、閉じた封筒を借りると、念を込めました。

「貴司くんの思いが伝わりますように。はっ!」

その舞の行動を見て、貴司は自分の気持ちを話しました。

「舞ちゃん、ホンマは結構プレッシャーあるねん。短歌は僕の全てで、それ賞に出すってことは、全力でぶつかるってことやから。けど、賞なんか関係なくて、短歌に込めた思いが伝わったら、それでええんやな」

そうやって、舞と貴司は繋がっているのです。

悠人は有名人

悠人とお母ちゃんは、ノーサイドで話しをしていました。

「工場、上手いこといってるやん。赤字出たらすぐ売り払ってやろう思ってたけど、毎月ちゃんと家賃も入ってくるし、悪ない投資先やわ」

悠人は、悠人なりの言い方で、お母ちゃんと舞の頑張りを褒めるのでした。

そして、お母ちゃんが余所行きの恰好をしていることに気が付きます。悠人が休みじゃないのかと聞くと、お母ちゃんが答えました。

「休みやけど、これからセミナーあってな。航空機部品の。今すぐ作ろうと思ってんのとはちゃうねんで。けど、舞がどないしても行きたいって。舞な、お父ちゃんの夢、叶えたいねん」

悠人はケンカ別れした時のことを思い出しました。それから、ちゃんと仲直りしないまま、お父ちゃんは亡くなってしまったのです。そんな後悔もあるのか、悠人は賛同するのでした。

「ええんちゃう、やれるだけやってみたら」

そんな時、他の席から「あれ岩倉悠人ちゃう?」と聞こえてきました。悠人は、天才投資家として、かなり有名人のようです。

めんどくさくなりそうな雰囲気を察した悠人は、テーブルにお金を置いてさっさと出て行きます。

扉の前で「あのー」と声を掛けられましたが、悠人はシカトして帰っていきました。

航空機産業参入セミナー

セミナーでは、航空機産業の現状の説明が行われていました。

「3万点の部品からなる自動車に比べ、航空機に使用される部品は300万点にものぼります。そのため、幅広い産業のすそ野が必要であり、大企業のみならず、技術力の高い中小企業の皆様の力が必要不可欠なんです。我が国の将来を支える基幹産業として、航空機産業を発展させていきましょう」

説明が終わると、質疑応答です。

「そんな大がかりな設備投資をするゆうことは、既存の製造形態を航空機部品に特化した形態に全面的に変えることになります。結局、それだけの体力のある企業しか参入できへんのでは?」

参入を考えている企業からの質問です。しかし、主催者側から資金面での援助はできません。中小企業が参入するのに高いハードルとリスクがあって、難しいと考える会社が多いようでした。

今度は主催者側から、どうすれば高いハードルを乗り越えられるかと質問されます。その質問に、舞が手を上げました。

「亡くなった父の夢が、弊社のネジを航空機に搭載することでして、私も今同じ夢を目標に掲げております。中小企業が航空機産業に参入する一つの方法として、私は複数の会社が協力すればいいのではと考えます。東大阪には様々な工場があります。それぞれの得意な技術を組み合わせれば、高度な製品を生み出すことが可能です」

舞はそう答えました。

同じ思いがあるから

セミナーが終わり、舞は主催者側にいた人物に声をかけられました。

「菱崎重工の荒金と申します」

そう名乗り、舞と名刺交換しました。

「東大阪でネジをやってらっしゃるんですね。先ほどの岩倉さんのご発言、興味深く伺いました。複数の会社が協力して、部品を作る。夢があっていい。本当にそんなことが可能だと思いますか?」

舞は自信を持って答えます。

「はい、東大阪には独自の技術を持つ町工場がたくさんあります。力を合わせれば、素晴らしい物を作りあげれると思うんです」

しかし、話しはそう簡単ではありません。

「力を合わせるのが難しいんですよ。それぞれにプライドがあって、思惑がある。それでも力を合わせることができますか?」

青臭く感じる舞の答えに、正論をぶつけてくる荒金。

「はい。同じ思いがあるからです。自分たちが作った素晴らしい部品を最高の製品に使って欲しい」

舞はその思いがあれば、航空機部品の製造に同調する会社があるはずだと言うのです。

荒金が「御社にも優れた技術がある?」と聞くと、舞は「あります」と力強く答えました。

荒金が去ると、お母ちゃんは菱崎重工について、すごいことを教えてくれました。

「お父ちゃんが工場継ぐ前に働いてた会社」

舞は驚くのでした。

荒金がやってきた

ある日、舞が外出から帰ってくると、山田たちが何やら話していました。舞が山田に聞くと、山田は興奮して話してくれました。

「大変やで。今、誰が来てはると思う?あの、かの菱崎重工のお偉いさん。うちの工場見たいゆうて」

それを聞いて舞は荒金が来ているのかと聞きます。山田たちは、舞が菱崎重工のお偉いさんを知っていることに驚きました。舞は、話しに参加しに行きます。

「設備が新しいようですが、こちらの工場はいつ建てられたんですか?」

荒金がお母ちゃんに質問していました。

「5年前です。自動車部品を製造するために、先代社長やった主人が、思い切って工場を新しくしまして」

そんな時、舞が入ってきました。そして、荒金がやってきた本題に入ります。

「実は一つご相談がありまして、ボーリガード社をご存じでしょうか?」

ボーリガード社は、高級自動車の生産で有名な会社で、航空機分野では世界トップクラスです。

「実は弊社は、ボーリガード社の研究開発案件を抱えております。その中で、航空機に使われる新型エンジン用のボルトを試作する話がきています。もしご興味がありましたら、御社でこのボルトを作ってみませんか?」

証明してもらいたい

お母ちゃんは、まず仕事の依頼という意味かと確認します。

「もちろん、正式な発注を見据えた試作と考えております」

荒金の返答に驚くお母ちゃんと舞。しかし、お母ちゃんは冷静です。

「ほんま、ありがたいお話なですけど。弊社は先ほどご覧いただいた通り、航空機部品に関して経験がありません。新しい分野に参入する余裕は、とても。。。」

そう答えたお母ちゃんに舞は口を挟みます。

「あの、どのようなボルトか、図面見せていただくことは可能でしょうか?」

舞は図面も見ずに断ることができないと言うのです。それを聞いた荒金は図面を見せてくれます。その図面は、部外秘の図面です。しかし、図面も見ずに判断できないこともわかっていて、見せてくれたのです。

「あの、少し検討する時間、いただけませんか?」

舞がそう答えると、荒金は躊躇しながらも、現状を教えてくれました。

「実はこれ、アサギリ工業さんにお願いしてる案件なんです。ただ、試作が遅れておりまして、他にできる所がないか探していたんです。申し訳ありませんが、お返事は早めにお願い致します」

最後にお母ちゃんは、なぜ依頼してくれたるのかと聞きました。

「航空機産業は、新たな力を必要としてますし、舞さんがセミナーで発言したように本当に中小企業がその力となりうるのか、私はとても興味があります。御社には優れた技術があるとおっしゃいましたね。それを証明していただきたいのです」

頑固者

舞は、会社の主要メンバーを集めて検討することにしました。

しかし、部品の図面をみただけで、難易度の高さがわかる職人たちは、引いてしまいます。

「笠巻さんはどう思いはります?」

お母ちゃんは、一番のベテランの笠巻に意見を求めました。

「正直なところ、難しいと思う。これ新型エンジン用に開発されたニッケル基合金で作ることになるわな。これまでIWAKURAで一遍も扱ったことのない素材や」

難しさを指摘された舞は、「東大阪の他所の工場に手伝ってもらう」という持論を提案しました。しかし、図面を見ただけでは、どこに何を頼んでいいのかもわかりません。雲をつかむような話だと、職人たちは二の足を踏みます。それでも、舞は諦めません。

「難しいからこそ、IWAKURAでやりたいです。この試作成功したら、IWAKURAはもっと成長できると思います。笠巻さん、IWAKURAがこれまでやってこれたのは、チャレンジするのを止めへんやったからやないですか?」

笠巻はお父ちゃんとのチャレンジの日々を思い出しました。

「他所の工場には私が頼みに行きます。私、どうしてもこれやりたいんです」

舞は必死に笠巻に頼みます。

「お父ちゃんも頑固やったけど、あんたそれ以上やな。そこまでゆうんやたら、できることやってみよか」

笠巻の協力を得てIWAKURAは、初めて航空機部品に挑戦することになりました。

お母ちゃんたちの心配

仏壇の前でお母ちゃんは、お父ちゃんに報告しました。

「浩太さん、IWAKURAで航空機の部品、試作することになってんで。舞がな、お父ちゃんの夢叶えるんやって。良かったな、浩太さん。見せてあげたいな。IWAKURAのみんなが、浩太さんの夢叶えようって頑張ってるとこ。リーダーは舞なんやで。あの舞が。あははは」

そんな時、貴司の母・雪乃がやってきました。お好み焼き屋を休んで、温泉に行ったお土産を持ってきてくれたのです。お母ちゃんは雪乃を家に上げて、二人でお茶をしました。

「舞ちゃんがプロジェクトリーダーゆうて、大したもんやんか」

小さい時から知っている舞の成長を雪乃は驚いています。

「大企業が集まるセミナーでもな、あの子手上げて発言してん。ビックリしたわ」

それはお母ちゃんも同じです。自分の気持ちを上手く言えず、熱を出していた子供時代を思うと、驚く成長です。しかし、お母ちゃんには心配がありました。

「せやけど、仕事ばっかりやねん、あの子。今も工場で金属とにらめっこしてる。熱心なのはええけど、あの子もう27やで。そろそろ、結婚とか考えてもええんちゃうかなって」

それは雪乃にとっても悩みでした。

「今の若い子はのんびりしてんねんて。うちの貴司なんか一生独身ちゃう?短冊に短歌書いてモテるのは、平安時代までやっちゅうねん」

そんな井戸端会議をしているのでした。

夢の準備

お母ちゃんの心配を他所に、舞のプロジェクトが走り出しました。

航空機の部品は、高熱や振動といった過酷な環境にさらされるため、非常に高い品質が求められます。部品ひとつひとつの出来が、人の命に係わるのです。

アキラと検討する舞。実際に試作品を作ってみました。しかし、最初から上手くはいきません。

今回の素材のニッケル基合金は、硬くて加工が難しいため、何度も失敗を繰り返しながら最適な加工方法を探していきます。

舞は、お父ちゃんの「歩み」ノートのように、日誌をつけていました。そして、試作品の開発と並行して、認証規格の取得の勉強をしています。

JISQ9100とは、航空機部品を製造するために必要な認証規格です。IWAUKRAが本格参入する場合は、これを取得する必要があります。舞は、先の夢に向かって一人密かに準備を進めていたのです。

長井金属

昼食、寝不足の舞は、うとうとしてしまいます。それを山田に心配されてしまいました。

そして、上手く行かない状況を打破するために長井金属の長井さんに相談することにしまいた。

その長井金属と言えば、以前辞めてもらった小森がいる会社です。

お好み焼き屋の梅津に長井に来てもらい相談しようとしますが、やってきたのは小森でした。社長の長井は急用でこれなくなり、代わりに小森がやってきたのでした。

「うちでニッケル基合金扱ってんねん。せやけど頭部成形が上手いこといかへんねん」

笠巻は小森にそう相談しました。

「うちではニッケルは温めてつこてるんです。プレス機つこて、電気炉から出したもの直接叩いたら加工しやすくなるんです。まあ、IWAKURAにある機械では無理やと思いますけど」

舞は小森に機械を使わせてもらえるようお願いしました。笠巻も、小森から頼んでもらえるようにお願いします。

「わかりました。勘違いせんでな。あくまで先代と笠巻さんのためやから」

小森の行く先

小森の口添えもあって、機械を使わせてもらえることになりました。

「この機械も喜んでるわ、最後に浩ちゃんの夢のために働けてな」

長井の言う「最後に」が気になる舞。

「ゆうてへんかったっけ?うち、来月で会社畳むことにしてん。あと次いでくれる子供もおれへんし、これぐらいが潮時やろ。職人らの再就職先、探してるところや」

長井は先日の相談の時に長井に「IWAKURAに戻られへんか」と聞くように言っていたのです。しかし、小森は言い出しませんでした。

舞は会社に戻ると、お母ちゃんと笠巻に話しました。

「その話してくれへんかったってことは、小森さん戻ってきたくないんですかね?」

リーマンの影響で仕方なかったとは言え、あの時はそうするしかなかったのです。

「小森さん前にゆうてくれはったんです。IWAKURAで働いていることが俺の自慢やって。そういう会社になれるようにこれまで頑張ってきましたもんね」

お母ちゃんはもう一度、小森と話すことにしました。

体験入社

小森が会社にきてくれました。舞とお母ちゃん、笠巻とで話しをします。

「小森さん、戻ってきてくれませんか?」

しかし、小森の答えは否定的なものでした。

「俺いっぺん、いらんって言われたんすよ。あんときどんだけ悔しかったか、悲しかったか」

そうは言う小森ですが、長井が会社を畳んだ後は、行く先が決まっていません。

「小森さん、会社の都合でツライ思いさせて本当に申し訳ありませんでした。IWAKURAでは、もう誰にもそんな思いさせたないって思ってます。安心して、気持ちよう働いてもらえるようにこの4年間で会社変えてきました」

お母ちゃんは丁寧に説明します。そして、小森にお願いしました。

「一日だけ、IWAKURAに来てもらえませんか?今のIWAKURA、見て欲しいです。それでも、ここで働きたないって思い張るんやったら、私たちは諦めます」

これな、俺が作って、初めて褒められたネジや。あんたのお父さん。

五島の課題

五島のみじょカフェでは、「知嘉島の未来を考える会」が開かれていました。参加者はおばあちゃん、船大工・豪、役場勤め・信吾、さくらです。あとから、一太も参加しました。

「どがんしても、こん島にきてくれる人ば増やしたか。そのためのアイディアばください」

出てきたアイディアは予算のかかるものばかりでした。

  • ハリウッドの撮影スタジオか映画館
  • 昆虫博物館
  • ばらもん凧博物館
  • 水族館
  • 蝋人形の館
  • 無人島にテーマパーク

建物を建てる予算はありません。

腹が減った一太は「むっちゃんの気まぐれパスタ」を注文しますが、さくらと結婚したむっちゃんは昼寝中でした。

「昨日二人で夜釣りばいっとっちさ。夫婦になってもデートば必要っち」

そんなさくらの話から、「釣り教室」を開くのはどうかという話しになります。その時、おばあちゃんは「舞にもきいてみらんば」と言って、舞に電話するのでした。

「ええと思う。営業先でもな、釣りが趣味やっていう若い人、結構おんねん。その人らに五島の話ししたら、みんな行きたいってゆうてたよ。五島で釣り教室やったら、都会の人も来てくれると思う。私も昔さくらさんに釣り教えてもろて、めっちゃ楽しかったしな」

舞は嬉しそうにそう答えるのでした。

試行錯誤

ネジの頭の部分の加工を続けています。電気炉で熱を加え、圧造しています。しかし、なかなか上手くいきません。

「これ50本目っすよ」
「圧造だけでもう20日目ですもんね」

アキラは圧造の責任者として、温度調整を細かくやってみようと提案しました。そこに、遠くから見ていた小森がやってきました。

「時間を変えてみたらどうや。温度を変えるやなくて、電気炉に入れてる時間をなごうしてみたらどうや」

その提案を受けて、電気炉に入れている時間を調整しながら加工することにしました。

ある日のの夜、長井金属工業が幕を閉じました。その送別会に舞や笠巻、アキラ、小森も参加しました。

「それで圧造の方は上手くいったんやな?」

笠巻にそう聞かれ、アキラは胸を張ります。

「はい、小森さんが手伝ってくれたんでなんとか。あとは笠巻さんお願いします」

笠巻も転造の加工方法について、考えていることがありました。

「それなんやけどな、圧造が温感やったら、転造も途中で温めながら加工せなあかんやろな。1個ずつ加工できる丸ダイス使おう思てんのや」

そう言うのでした。

師匠の師匠

それからほどなくして、小森がIWAKURAに戻ってくることになりました。みんなで小森を迎えます。

「あの、戻るにあたって一つお願いがあるんです。俺も航空機部品の試作に関わらせて下さい。先代の夢、俺も一緒に叶えたいんです」

その小森の言葉に舞は感激して「ぜひお願いします」を頭を下げました。

そんな小森も一緒に笠巻は、笠巻が技術を教えてもらった先輩の工場へ行きました。そこで、温めながら1本1本加工できる機会を貸してもらうことになっていました。しばらく使っていなかった機械を動かしてみる笠巻。

「変わってへんな、笠やん若い頃から手際ようて、腕前ぴかいちやったんや」

笠巻の師匠がそう言うと、舞は「IWAKURAの大黒柱です」と答えました。

それから、何本も何本も試行錯誤を繰り返していきます。

舞は毎日日誌を付けていました。そして、ついにその日は来ました。

「よし、ええんちゃうか。どうぞ、リーダー」

そうやって見せてもらったネジは、図面通りのネジでした。

受賞

舞は、嬉しそうにデラシネを訪ねました。そこには貴司がいます。

「なんと、エンジン用のボルトが完成した!」

貴司も大喜びしてくれます。

「ありがとう。チーム東大阪で頑張ってん」

そんな時、デラシネの電話が鳴ります。貴司が電話に出ました。

「長山出版の北條と申しますが、梅津貴司さんはいらっしゃいますか?」

貴司は自分だと答えます。

「先日応募された短歌50首ですが、梅津さんのオリジナル作品で間違いないでしょうか?それでは・・・」

貴司は電話を切りました。心配した舞が貴司をのぞき込みます。

「僕の短歌が、長山短歌賞受賞したって」

貴司はまだ信じられないように言います。

「え、ほんまに?すごいやん、おめでとう!」

舞は貴司の手を取り、大喜びしました。

「ありがとう、舞ちゃんのおかげやで」

舞は手伝いはしましたが、特に何もしていません。

「私はなんもしてへんよ。貴司君がずーっと頑張ってきたんが報われたんや。せや久留美にも電話せな。びっくりするやろな、久留美」

しかし、久留美は電話に出ませんでした。

プロポーズと不穏な影

電話に気づかない久留美は、ノーサイドで彼氏の八神先生と一緒にいました。

八神は、テーブルの上に指輪のケースを置いて、久留美に開けるように言います。

開けてみると、そこには大きなダイヤが付いた指輪がありました。

「久留美ちゃん、僕と結婚して欲しい」

その頃、家に帰ってきた舞は、お母ちゃんと夕飯を食べていました。

「貴司くん、短歌賞なー。ついに才能が花開いたんやな」

お母ちゃんも嬉しそうです。

「才能だけちゃうよ。ええ歌作りたいって頑張ってきた努力が実ったんやと思う」

舞がそう言うと、お母ちゃんは舞と同じだと言うのです。

「舞も同じやな。努力が実って、航空機部品ができた」

しかし、できただけではダメです。

「けど、来週からの品質検査通らんとな。航空機部品の検査ってめっちゃ厳しいねんて」

そんな話をしている家の外には、悠人の姿がありました。温人は家に入らず、そのまま立ち去って行くのでした。

最後に

久留美は、仕事を頑張って、やっと幸せを掴もうとしています。

それにしても、最後の悠人は何だったのでしょう?家にも入らず、梅津でお好み焼きも食べずに立ち去りました。2013年に大きな経済的な事件は、キプロス・ショックぐらいしか起きなかったと思うのですが・・・あ、長井の会社を閉じたことで、損害を被った?・・・んなわけないか。

それにしても、予告を見るとそんなに楽観視できそうな雰囲気がなかったのが心配です。

来週の予告

悠人、五島に行って、翼を休めたらいいのに。

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