哀愁しんでれら 映画 ネタバレ

映画・ドラマ
映画

哀愁しんでれら は、2021年に公開された映画です。

やんごとなき一族」を見ていて、土屋太鳳が気になって見てみました。

そうしたら、やんごとなき一族で義父・深山圭一役の石橋凌が、父親役で出ていてビックリ。

ただ、やんごとなき一族のような威厳のある父親ではありませんでした。

原作

カルチュア・エンタテインメントと蔦屋書店が主催する次世代のクリエイター発掘のためのコンペティション「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2016」でグランプリを獲得した企画を基に映画化したものです。

原作はありませんでした。

主な登場人物

福浦小春 :土屋太鳳
泉澤大悟 :田中圭
泉澤ヒカリ:COCO
福浦正秋 :石橋凌
福浦千夏 :山田杏奈
泉澤美智代:銀粉蝶
福浦一郎 :ティーチャ

映画ストーリー

小春の職場

水たまりに人形が落ちているゴミだらけの家に小春はやってきました。

玄関でチャイムを鳴らしますが、返事はありません。しかし、何度かチャイムを推していると、玄関ではなく、居間の窓を開けて女性が顔を出しました。

「児童相談所の者ですが、アスカちゃんのことで」

小春の先輩が声をかけると「娘が何ですか?普通にしてます」と言って、女性は窓を閉めようとします。その手を掴んで窓を閉めさせないようにする小春。

「アスカちゃんが元気か一目確認させてもらえませんか?」

そう声をかけて部屋を覗き込むと、アスカは歯を磨きながら手を振っていました。

子供の将来は、その母親の努力によって決まる

誰か忘れましたが偉人の言葉です。小春はいつもこの言葉を思い出します。

お母さんを辞めました

テレビのニュースでは、運動会をやり直せと言って校長を脅して逮捕されているモンスターペアレントの話題をやっていました。

あんな親にはなりたくない。小春がそう思ったのは、10歳の時に母親が家を出て行ったからでした。

出て行かないでと泣きながら母にすがる小春に対して、母はこう言ったのです。

あなたのお母さんは辞めました

不幸の連鎖

「わざわざ東京の私立にいかなくても」

妹・千夏の進学で、学費がネックになっています。小春と父・正秋が話しをしています。その時、風呂場から大きな音が聞こえました。祖父・一郎が倒れたのです。

ビックリして、救急車を呼ぶより早いと、自家用車に祖父を乗せて家族で病院へと急ぎます。その時、蚊取り線香が倒れてしまいましたが、誰も気づきませんでした。

急いで車を走らせていると、酔っ払いが自転車に乗って蛇行運転していました。その自転車を避けようとハンドルを切り損ね、街路樹へと車が突っ込んでしまいます。

仕方なく救急車を呼び、父親は事故処理のために現場に残ります。ただ、父親は晩酌でビールを飲んでいましたが、こうなっては仕方がありません。

救急車に祖父を乗せ、小春と千夏は病院へ向かいます。その救急車の中で、自宅が火事になっている無線を聞きます。蚊取り線香の火が燃え移ったのでした。

祖父は妹に任せ、警察で火事の事情聴取を受ける小春。終わった時には深夜になっていました。警察から送ると言われますが、小春の「彼氏の家が近い」と断りました。

そして、彼氏の所へ行くと、彼氏は他の女性を家に連れ込んでいます。驚くことに、それは小春の先輩でした。

王子様との出会い

彼氏の家を後にして、仕方なく歩いて帰る小春。そんな時、酔っ払って線路内で倒れる男性を見つけます。

人が轢かれるのを見たくないような、でもちょっと見たいような気持です。そして、関わりたくないと後ずさりしますが、やっぱり助けます。

「普段飲まないけど、同窓会で飲まされて」

しかたなく、近くの公園で汚れた服を洗ってあげ、タクシーを止めて載せてあげました。しかし、ちょっと走ったところでタクシーを降り、お礼がしたいと名刺を置いていきました。

小春の問題行動

「腕を掴まれてアザになったって。大問題だよ。白石からもびしっと言ってやってよ」

先日、小春が行ったアスカの母親からクレームが入りました。しかし、子供のために行った行動です。小春は悪いとは思っていません。

そして、先輩の白石は、彼氏の部屋で見た浮気相手です。

「失敗することはあると思う。人間だし」

負い目がある白石は、強く言えないのでした。

薬も毒となる

小春の実家の火事は、1階だけで済んだようです。元々1階は自転車屋で2階で生活していました。自転車屋はできませんが、生活はできるようです。

小春の父親は糖尿病です。自分でインシュリン注射をしています。

インスリンは生きるために必要だけど、たった1ミリリットルで死ぬんだって

悪いことが立て続けにあった父親は、生きるのにも嫌になっているようです。そして、頭を抱える問題は他にもあります。妹・千夏の進学の問題です。

千夏は、塾辞めて、進学諦めればいいと言っています。しかし、それは本心ではありません。家の事情を考えて発言していました。そんな状況にイライラして、小春にあたるのでした。

「職場で問題になってるんでしょ?自分の心配したら?」

人生が楽になる裏ワザ

「仕事と家族どっちが大事だっていうんだよ」

小春は友人とカフェで話しをしています。友人の一人は、小さな子供がいて、お腹に双子がいます。しかし、夫は「今夜も大切なお客様の接待」だと言って、家に帰ってくるのが遅くなるようです。

そんな中、小春が彼氏と別れるという話題に移ります。

「小春、ヒロムと別れるんだって。高1から10年も付き合ってきたのに?」

仕方ありません。行為の最中をモロに見てしまいました。

「めっちゃ腰振ってたからね、職場の先輩が」

笑い話にしていますが、かなりショックでした。そんな不幸続きの小春に友人が人生が楽になる裏技を教えてくれました。

夢や希望を全て捨てる

そんな人生つまんなそうと言いますが、そういうものなのかも知れません。

外車に乗ったお医者様


「怒涛の不幸が重なったんだから、そろそろ何かくれるって」

そう言って励ましてくれる友人。そう言えば、出会いはありました。

もらった名刺には、医者だと書いてあります。開業医です。

「白馬に乗った王子様より、外車に乗ったお医者様だって」

そう言われますが、連絡をするつもりはありませんでした。でも、連絡してもいいかなと、思い始めてもいました。

デート

小春が連絡すると、開業医はすぐに外車に乗ってやってきました。

ドレスを買ってくれて、キラキラした靴もお礼にと買ってくれました。

「僕が生きてるのは小春さんのおかげですから。
 電車で人が死ぬところって、絶対見たくないようで、ちょっぴり見たいものです」

二人は、買い物が終わってカフェで話しをしています。その時、医者だけあって、小春の顔色を見て、体調を気にかけてくれました。小春は、不幸続きであまり熟睡できていませんでした。

「彼氏に僕と会うこといいました?彼氏ともめごと?」

そう聞く医師・大悟。大悟には、彼氏がいるという話しはしていないはずです。

「あぁ、はじめて会った日、指輪してたから。今日はしてないけど」

その日で指輪を外したのでした。あの日浮気をされて、小春の中ではもう終わっていました。

紹介

「結婚はされてますか?奥さんに今日会うこと言ってますか?」

言っていないと言う大悟に「チャラい」と言う小春。しかし、大悟の妻は、交通事故で亡くなっていたびした

過ぎたことなんでと言って、大悟は笑います。そして、馬刺しの名店に今日行く予定をしているので、良かったら一緒にどうかと誘われます。

そして、大悟の海の見える自宅に案内され、そこで娘・ヒカリを紹介されます。

しかし、ヒカリは人見知りして、小春と話そうとしません。そして、ヒカリは目に眼帯をしていました。

子供を捨てる親は最低

なかなか打ち解けないヒカリ。そのヒカリの眼帯にマジックで目を書いてあげる小春。

それがきっかけで、ヒカリは喜び、一気に小春との距離が縮まりました。

「信じられない。ヒカリはちょっと難しい子なんだけど」

そう言って大悟は驚いています。小春も母親がいないので、妹の面倒はずっとみていました。だから、すぐに打ち解けられたのかもしれません。その話を聞いて、大悟は小春に聞きます。

「亡くなったの?両親は不仲だったとか?」

仲のいい家庭だったはずでしたが、母親は出ていきました。子供を捨てる親は最低だと小春は思っています。

大逆転

小春の父親は、大悟に仕事の世話をしてもらいました。そして、祖父は郊外の病院を紹介してもらい、入院費はいらないと言われます。

「教え子の命を助けてくれたので」

そう言われ、ありがたく受け入れました。そして、大悟の元妻の話しを聞きます。

「最低な女だった」

大悟の元妻は浮気をし、その浮気相手と車に乗っているところに事故にあって亡くなってしまったのでした。

大賛成

大悟がヒカリを連れて、小春の家に遊びにきました。大悟は妹の勉強を見てやります。そして、週1で家庭教師になってくれると言います。

何から何までお世話になって、小春の父親は感謝しきりです。しかし、大悟は「僕にできる事ならなんでもします」と言ってくれました。

「じゃあ、小春をもらってくれない?」

突然、父親がそんなことを言い出して、みんなびっくりします。しかし、ヒカリの反応はちょっと違いました。

「小春ちゃんがママなら大賛成!」

大賛成をいただいて、みんなが笑顔になっていました。

元彼

「許して下さい」

元彼・ヒロムは土下座して小春に謝ります。しかし、小春は許す気はありません。好きな人を作るからと言い立ち去ろうとします。回り込んで、再度土下座するヒロム。

「ごめんなさい。わかった、坊主にします」

そんなことを言う元彼にガッカリする小春。

「坊主にしますじゃねんだよ、してこいよ!
 切るなら髪じゃなく、ち〇ち〇だろ」

そう言うと、小春は元彼を置いて、立ち去りました。

プロポーズ

「あぁ、10年間もどこが好きだったんだろう?」

小春は大悟と一緒に買い物しながら、元彼の話しをしています。

買い物しているのは、ヒカリの誕生日プレゼントです。生地を買って、小春が何か手作りするようです。

「何年もお裁縫してないから、できるかな?ヒカリちゃんには内緒ね、サプライズだから」

そんな話をしながら、大悟は小春にプロポーズします。急に言われもと、戸惑う小春。しかし、「小春は26だけど、俺は41になる」と言って、大悟は時間がないことを伝えました。

結婚

大悟の家でヒカリの誕生日会をやります。

そして、小春が手作りしたプレゼントをサプライズで渡します。作ったのは筆箱でした。

「コハルちゃんの手作り!?」

そう言うとヒカリは大喜びです。早速、今使っている筆箱から、小春が作った筆箱にペンを移動させています。

「ねえ、本当に私でいい?」

小春は、プロポーズの答えを出す前に再度確認します。しかし、大悟はそれを聞いて、もう結婚する気満々です。

「ヒカリ!ママになってくれるって!」

そう言うと、今から役場に行って婚姻届けを出せば今日中に受理されると言って出かけました。ヒカリの誕生日が結婚記念日になるんです。

家族3人で婚姻届け出し、幸せな時間を過ごしました。

母親をちゃんとやる

大悟の妻は、ヒカリ2歳になる前に事故でなくなっています。そのため、ヒカリには母親の記憶はほとんどありません。

小春は何があったのかと聞きます。

「事故にあった時、男と一緒だった。大学生で、出会い系で出会った男だった。
 妻には親としての覚悟がなかった」

そう言う大悟に小春は、小春の母親も最低だったと伝えます。

「母親が出て行こうとした時、しがみ付いて出て行かないでって言ったら、あなたのお母さんやめましたって。酷くない?
 いつかであったら、殴ってやろうとおもってイメトレしてた。
 でも、もういい。私は、ちゃんとヒカリの母をやりたい」

小春の決意でした。

大悟の母

結婚の挨拶に大悟の母に会いに行きました。

「母親の愛情を知らないで育ったあなたが、母親になれるの?」

大悟の母親は車いすに乗っています。そして、今は郊外の高級老人ホームで過ごしていました。大悟の母は、母親になることと、母親であることは違うと言うのでした。

「親って難しいの。いくら努力しても褒められない。それを伝えたかっただけ。うちの子をよろしく」

最後には受け入れてもらえたようです。

結婚生活とヒカリ

朝、ヒカリを起こしにいく小春。ヒカリは起きていましたが、おもらししていました。

「パパには言わないで」

そう言われ、言わないことを約束しました。

そして、お弁当を作り、大悟とヒカリを送り出します。それから、小春は広い大悟の家を掃除してまわります。

そこで、2階に開かない部屋があることに気づきました。

小春が家事に忙しくしてるとき、ヒカリは学校の給食の時間、独りぼっちでした。そして、大きな声で泣いていました。

シンデレラのその後

「まさにシンデレラストーリーだよね」

小春の友人たちは、小春の結婚をそう言って祝ってくれました。

しかし、友人の一人は、不安もあると言います。

「私、シンデレラのストーリー怖いもん。
 一晩踊って、靴のサイズしか知らないのに結婚するなんて」

お伽話はハッピーエンドで終わりますが、その後はどうなっているのでしょう。

開かない部屋

早起きしてお弁当作りする小春。おにぎりを握る時に指輪を外します。そして、ヒカリを送り出して、掃除をします。

その時、開かない部屋が開いていることに気づきます。中に入って見る小春。

そこは、大悟が使っているアトリエでした。そして、今描いているのは、家族写真でした。

「見られちゃった。完成させて見せたかったのに」

大悟は入ってきて、照れながらいいます。部屋の中は大悟の宝物の部屋でもありました。ウサギのはく製もあります。小学生の時飼ってたウサギでした。

そして、10歳の時からの大悟の自画像を書いて飾ってありました。

いじめ?

ヒカリが帰宅すると、暗い顔をしていました。ワタルくんに筆箱を取られちゃったと言っています。

「いじめじゃなければいいんだけど」

小春は心配です。それを聞いた大悟は、学校に相談してくれないかと小春に言います。ただ、小春は再婚したばかりで、一人で学校に行ったら変ではないかと心配です。

そして、小春と大悟の二人で学校に行くことにしました。

「ワタルくんに取られたと言ってます」

学校は話しを聞いてくれますが、高価な筆箱だったのかと聞きます。しかし、大悟は冷静に理詰めで言います。

「値段ではないんです、盗まれたというのが問題なんです」

そんな話をしていると、職員室では怒鳴り込んできた母親がいて、その対応のために教師は席を外しました。

ヒカリの嘘

小春と大悟が帰ろうとすると、校医から新型インフルエンザの予防接種の話しを大悟にしてきました。話しをするので先に車に行くように小春はカギを渡されます。

その時、小春は担任に呼び止められました。

「お弁当を作る余裕がなかったら、学校で注文するようにしましょうか?」

小春にはどういうことかわかりません。毎朝作ってヒカリに持たせています。

「泣くんです。お弁当作ってもらえないって」

ヒカリが帰ってくると、お弁当は空になっています。ヒカリが嘘をついていることに気が付いた小春ですが、それについては聞かなかったことにしました。

そして、学校に行ったおかげで、ワタルが謝りにくることになっています。

ワタル

「だからやってないんだから本当に」

ワタルを連れてワタルの母親が謝罪にきました。しかし、ワタルは頑なに謝りません。

「結局、謝ったのは母親だけ、おしまいだよねあんな親」

大悟は「親」に対して、厳しい基準を持っています。

ただ、小春は考えていることがありました。ワタルとヒカリの関係です。ヒカリはワタルの気をひきたいだけかもしれないと考えていました。

「わかんないけど、恋心って複雑だから、小学生でも。
 昔好きだった男の子がクラスの人気の女子にいつもいじわるしてて、私は羨ましかった。
 私も意地悪して欲しいと思ってた。ヒカリもそうだったりするかな?」

そして、ヒカリの行動も心配です。おねしょや食事を食べさせないとしないなどの幼児退行です。

大悟は医者として、「再婚するとよくある」と言って取り合いません。

ヒカリは階段から二人の話しをこっそり聞いていました。

実家の変化とヒカリの行動

妹の千夏は、大悟の教え方が上手で、学力を上げていました。志望大学のランクを上げようとしていました。

父親は、大悟の紹介で納棺士としてデビューしました。その時の動画を家族で見ています。しかし、動画にはご遺体も映っていました。

「何事にも慣れちゃうんだよ」

父親はそう言って、気にもしません。

そんな時、一人で食事をしていたヒカリは、箸を使わず手で食事していました。小春が強く注意すると、「じゃあいらない」と言って食事を止めました。ここでも、幼児退行が出ていました。

理解してあげないと

ヒカリのことを父親にそうだんする小春。

「赤ちゃん返りがひどいの。どうしたらいいんだろう?」

しかし、父親は医者の大悟が言ってるんだから、大丈夫だろうと言います。それでも、小春は納得できません。母親としてできることがあるはずだと思っています。

「ヒカリのこと何もわからない。もっと理解してあげないと」

そう言う小春を父親は否定します。

「親ってそういうもんじゃないだろう?俺だってよく知らねえよ、コハルのこと。
 だけど、俺はお前の父親だ」

大悟の母親が言っていた「母親になることと、母親でいること」の違いを小春の父親はわかっているようでした。

大悟と母親の関係

小春の父親の話しを聞いて、大悟の母親に会いに行きます。

「あなた、ちゃんと子作りやってるの?」

大悟の母親は小春にそう聞きます。大悟の連れ子ではなく、自分の子がほしくならないのかと聞きます。しかし、小春はヒカリも自分の子供だと強く言うのでした。

大悟の母親は意地悪で言ってる訳ではありませんでした。小春に上手くやって欲しいので、厳しく聞こえるようなことを言っているのでした。

「私ね、ダイゴに嫌われてるの。仕方ないの、私が悪いことをしたです。
 小学校の頃、大悟はいじめられてて、何度も転校した。でも、どこにいってもいじめっこはいる。
 母さんはなにもしてくれないって、しつこく言われて手を上げたの。
 ダイゴの左耳はほとんど聞こえなくなってしまった。あなたは愛される母親になってね」

見なかったことにする

ある時、家のトイレが詰まってしまって、業者を呼んで見てもらいました。

トイレが詰まる原因は、異物が流されたからでした。それは、小春が作った「筆箱」でした。

ワタルに取られたはずの筆箱が、家のトイレで見つかったのです。

しかし、小春は見なかったことにします。出てきた筆箱を海に捨てました。

クルミとの関係

窓を開けて、空を見てるヒカリの同級生のクルミ。ヒカリは何をしているのかと聞きます。

「ワタル君と勉強するの」

そう言いながら、変わらず空を見ています。

ヒカリが「私もいい?」と聞くと、「ワタル君がいいって言ったらいいよ」と言うのでした。

大悟の真似をして左耳を触るヒカリ。

その場には、同じクラスの女の子がいました。

葬儀

小春とヒカリが葬儀に出るために着替えています。しかし、ヒカリは葬儀に黒い靴を履いていきたくはありません。どうしても赤い靴を履いて行きたいとわがままを言います。

どうしてもヒカリに黒い靴を履かせられなかった小春は、しかたなく赤い靴を履かせたまま葬儀に出席しました。

亡くなったのは、ヒカリの同級生クルミでした。案の定、赤い靴を履かせていることで、周りの父母に陰口を言われてしまいます。

そして、お焼香を済ませると、さっさと帰ることにしました。

その葬儀場は、小春の父親が働く葬儀場でした。

「小春、葬式に赤い靴なんて履かせちゃだめだ。
 いうことを聞かないじゃなく聞かせないと。コハルが非常識な母親だと思われる」

小春だってわかっています。だからこそ、ヒカリに履かせようとしました。でも、疲れてしまったのでした。

帰りにファミレスでパフェを食べるヒカリと小春。ヒカリはびっくりする発言をします。

「いっつも邪魔する、くるみちゃん。だから、ゲームオーバーになったんだね」

小春が壊れてくる

ヒカリは小春の化粧道具を使って、ぐちゃぐちゃにしていました。

「女の子なんだから化粧に興味もつだろう。無くなったら買えばいい」

大悟は簡単に考えていますが、小春は確信していることがありました。

「ヒカリは、いい子じゃないかもしれないよ」

悪いことをしていることを匂わせていますが、大悟にあったことを伝えることができませんでした。

そこで、小春は試してみることにしました。お弁当のおにぎりの具に5円玉やマグネットを入れてみました。しかし、ヒカリは帰ってきてもなにも言いません。

「ヒカリ、お弁当美味しかった?」

そう聞くと「おいしかったよ」と答えました。やはり、お弁当を食べていなかったのです。

壊れてくる関係

小春の友人の子供が発熱して、急遽大悟に見てもらっていました。

帰り際、小春に「旦那が浮気してた」と伝えます。

「このまま離婚するかも。私どうなっちゃうんだろう」

それを聞いて小春はキレてしまいます。
「私どうなっちゃうじゃなくってさ、子供の気持ち考えないの?
 親として無責任でしょ?」

そんなこと言われる筋合いはないと怒って帰って行きました。

その後、妹の千夏から電話がかかってきます。

偏差値至上主義の大介に家庭教師をしてもらっていて、高い偏差値の大学を受けろと言われています。そして、偏差値の低い大学を受けるなら、家庭教師の時間を返せと言われたと言うのです。

しかし、小春には考える力が残っていませんでした。

「知らないよ、あんたのことなんだから」

そう冷たく返してしまいました。そんな小春のことを妹に心配されてしまいました。

追放

小春が大悟の部屋でデッサン見ていると、突然ヒカリが現れました。驚いて大悟の宝物のウサギのはく製を倒してしまいます。そして、ウサギのはく製の耳が取れてしまいました。

それを見て、騒ぎ出すヒカリ。止めようにも止まりません。耳も付けようとしても付きません。イライラの頂点に達した小春は、「うるさい!」と言って、ヒカリを殴ってしまいました。

小春はヒカリにパパに言わないように言いますが、ヒカリは全部話しました。

「聞いたよ。耳が折れたのは100歩譲って事故だから許す。はく製だしね。
 でも、ヒカリを殴るのは事故じゃない。
 母親としての自覚がないの?
 子供の将来は、その母親の努力によって決まる
 ナポレオン・ボナパルトの言葉。母親失格です。出て行って下さい」

小春は反論しようとしますが、大悟は聞き入れません。

行く場所がない

仕方なく出て行く小春。

その時、ヒカリが追いすがってきました。自分のせいで小春が出ていくことに後ろめたさを感じたのかも知れません。

ヒカリが小春にしがみついて「行かないで」と言う姿は、見たことのある光景でした。

その姿に、小春の母親が出て行く時の姿とダブりました。しかし、「あなたのお母さんは辞めました」とは言わず、ただ「ごめんなさい」と謝ることしかできませんでした。

受け入れる

実家に帰ってみたものの、妹と父親と祖父は仲良くやっていました。ヒカリのことがあってから、実家の家族とは距離ができてしまって、帰ることができません。

しかたなく歩き回り、踏切で倒れてしまう小春。このまま電車がきて、終わってもいい気がしています。

しかし、そこに助けに来てくれた人がいました。大悟でした。

小春は、大悟と一緒に帰ります。そして、大悟の価値基準を受け入れることにしました。夢も希望も全部捨ててしまいました。以前友人が教えてくれた「人生が楽になる裏ワザ」です。

帰宅すると、ヒカリと一緒に大悟のデッサンのモデルをしました。

モンスターペアレント

ある日、ヒカリが泣きながら学校から帰ってきました。靴を履いておらず、靴下は泥だらけです。

大悟と小春は学校へ行き、学校放送を使って靴の盗難があったことを全校生徒に知らせます。

校長室で話し合いを持っている時に、ワタルが大きな声で言いました。

「クルミちゃんを突き落としたの、ヒカリちゃんだよ」

うちの子がやる訳ないでしょと言う小春ですが。ヒカリの言葉が頭を巡ります。

「いっつも邪魔するの、クルミちゃん。だからゲームオーバーになっちゃうんだね」

ヒカリだけ

「ヒカリに確認しなくていいんだよね」

帰りの車で大悟に確認する小春。どうしようか迷う大悟。

帰宅すると、大悟はヒカリに確認しました。しかし、ヒカリは否定し、暴れます。

「ヒカリはね、パパもままも大好きなのに」

そう暴れ騒ぐヒカリに思わず手を上げてしまいそうになる大悟。小春は大きな声で止めました。

自分が母親にされ、自分はそんな親にならないと決めていた大悟ですが、同じように手をあげようとしてしまいました。それを反省し、アトリエにあった宝物を全て燃やします。

「こんなの宝だなんてよく言えたよ。ヒカリだけでいい」

ヒカリのことを大切に思っていたのに、手を上げようとした自分に大悟は苛立っていました。

できること

家には、クルミを突き落としたという話しが広まり、落書きがされていました。「人殺し」や「エセ家族」や「成金」など、いろいろ書かれていました。

ショックを受けた大悟と小春は、二人で点滴をして落ち着こうとします。そして、どうやってこの状況を打破しようかと考えます。

「神様は乗りこえられる試練しか与えないっていうから」

そう言う小春に「神様なんてどうでもいい」と大悟は言います。その時、石が投げ込まれ、リビングのガラスが割られました。

「大ちゃんとヒカリを幸せにするって誓ったのに、ダメだな私」

反省する小春はできることを考えます。

そこに会ったのは「インフルエンザの予防接種」のチラシです。それを見て思いついた小春は、大悟に耳打ちして、抱きしめました。

予防接種

新型インフルエンザの予防接種のために学校に行く大悟と小春。

次々に生徒に注射していきます。その時、クルミの事故があった時に教室にいた同級生の女の子が手紙を小春に渡しました。

そして、家で開けてたのは、ワクチンではなくインシュリンでした。子供たちにインシュリンを致死量分、注射していたのでした。

注射が終わって、渡された手紙を見る小春。ヒカリちゃんへと書かれた手紙には、「ひかりちゃんは殺してないよ、みんなわかってる」と書いてありました。

ヒカリを信じよう、ヒカリの害になる物をなくそうと事件を起こした小春達。しかし、そもそもヒカリはクルミを突き落としてはいなかったのです。

しかし、それはもうどうでも良かったのです。小春と大悟とヒカリは、3人で授業をしていました。

感想

子供の親になるということは、子供を理解することではないようです。しかし、全てを受け入れる事でもありません。

強い意思を持っていたはずの小春が、夢も希望も捨て、全て大悟の基準に合わせた結果、凶悪事件を引き起こしてしまいました。

普通の親もモンスターペアレントも紙一重だと思うと、凄く怖くなりました。

それにしても、「君は永遠にそいつらより若い」でもネグレクトを描いていたように、多くの作品で子供と親の関係が描かれているのですね。最近、特に多くなった気がします。

ただ、子供が昔より賢くズルくなっている気がします。そういう意味で、自分の子供がヒカリのような子供だった時、自分がどうなってしまうか怖くなった作品でした。

今度は、もっと楽しい作品を見てみます。

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