立て直す 必要がある沖縄料理店「ちむどんどん」。
暢子は現実を受け止め、改善を試みます。
同時期に、賢秀は清恵とケンカし、清恵が出て行ってしまいます。
どうなってしまうのでしょうか?
そんな第22週のネタバレです。
主な登場人物
比嘉暢子 黒島結菜 やんばる生まれ自分の店をもつ
青柳和彦 宮沢氷魚 暢子の幼馴染の元新聞記者。暢子の夫
石川良子 川口春奈 暢子の姉でやんばる小学校の先生
石川博夫 山田裕貴 良子の夫で名護の小学校の先生
比嘉歌子 上白石萌歌 暢子の妹。体が弱いが歌は上手い
比嘉賢秀 竜星涼 暢子の兄。どうしようもない人
大城房子 原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚
平良三郎 片岡鶴太郎 鶴見の沖縄県人会会長
田良島甚内 山中崇 東洋新聞社のデスク。和彦の元上司
砂川智 前田公輝 歌子に急接近中の幼馴染
青柳重子 鈴木保奈美 和彦の母
矢作知洋 井之脇海 元フォンターナの先輩
猪野寛大 中原丈雄 養豚場社長
猪野清恵 佐津川愛美 寛大の娘。過去にいろいろあった
第22週のストーリー
現実
意気揚々とオープンした「ちむどんどん」。
しかし、ちむどんどんの売上は落ち込む一方で、暢子の悪戦苦闘の日々は続いていました。
店の前でビラ配りをする暢子と歌子。それでも、集客にはつながりませんでした。
「開店から2ヶ月。このままお客さんが来なかったら、矢作さんの給料が払えなくなる」
そんな心配が頭に浮かぶ暢子なのでした。
遅れている支払い
和彦は智と歌子と一緒に話しをしていました。
「食欲が落ちてる?あの暢子が?おかわりをしない?暢子が?真剣?」
食いしん坊の暢子ですが、店の心配で食欲がなくなってしまっているのでした。その話を聞いて、智が驚いていました。
「お医者さんは順調だと言ってる。でも、このまま食欲が落ち続けると、お腹の子にも良くないんじゃないかって」
ただ和彦は、暢子だけでなく、お腹の子供のことも心配です。
「無茶だったかもな。身重の体で独立は」
厨房から矢作が声を掛けました。そして、そこに暢子がやってきます。
「智、遅くなってごめんね。これ、先月分」
そう言って、送れている支払いをするのでした。
「こっちは後回しでいいよ」
智は気を使っていいます。しかし、暢子はダメと言って押し付けるように渡しました。
「俺と暢子の仲なのに」
そう智は言うのですが、暢子はきっちりしたいのでした。
矢作と智
矢作は休憩時間だと言って、ラーメンを食べに行こうとします。
「店が困っているのに他人事ですか?いいアイディアないんですか?」
智が矢作に声をかけます。
「それを考えるのは経営者の仕事」
ただ矢作のスタンスは、いつもの通りです。
「矢作さんにも問題があるんじゃないですか?」
智がそういうと、暢子が代わりに「矢作さんはきちんとやってくれてる」と言うのでした。
「問題があるなら、厨房の外のこと」
矢作は、自分は問題がないことを強調するためにそう言うのですが、智にはそれが「歌子に問題がある」と聞こえます。
相変わらず、二人の仲は良くないままでした。
矢作とは違う
智に暢子達は一生懸命やってると言われ、矢作は疑問を呈します。
「慰めあってる暇があったら、もっと根本的な解決策を考えろ。
一生懸命は誰でもできる。客商売は結果が全てだろう?早めに閉店した方が傷が浅くてすむんじゃないのか?」
そう言う考えもありますが、暢子には店を閉めるという考えはありませんでした。
「結果が出せなきゃ潰れちゃうの!」
矢作にそう言われ、カチンとくる暢子。
「うちは矢作さんとは違います」
そう言われ、矢作は確認します。
「約束、覚えているよな?一日でも給料が遅れたり、きっちり全額もらえないなんてことがあったら、俺は即辞める。俺はこの店と心中するつもりはねえから」
謝罪
自室に戻って、悩む暢子。そこに歌子が食事を持ってきてくれました。
「さっきのは、ちょっと言いすぎと思う。イライラしてしまう気持ちはわかるけど、何もかも一人で抱え込まないで」
優しく歌子に言われて、暢子は反省します。そして、歌子は食事を促しますが、暢子は食べる気になれません。
「大した事できないけど、暢ねえねえのためなら何でもするから。少しでも食べてね」
そんな歌子の優しさが染みる暢子なのでした。
そして、暢子は矢作の元へ行きます。
「さっきはごめんなさい。ついカッとなってしまって、大変失礼なことを言ってしまいました。本当にごめんなさい」
それを聞いた矢作は、怒るどころか優しく励ますのでした。
「大したもんだ。俺は自分の店が傾いて来た時、俺は客が来ないのは天気や不景気、従業員のせいにして当たり散らした。謝ることができるお前は、大したもんだ」
そう言われ、暢子は恐縮してしまうのでした。
品川のホテルと契約
猪野養豚場では、品川のホテルの人がやってきて、契約をしようとしていました。
「ご覧の通り、うちは大規模な養豚場ではありませんが、その代わり1頭1頭に目が行き届いています」
寛大がそう説明すると、ホテルの人も納得していました。
「いやあ、私たちのホテルの料理長が、どうしてもこちらの豚を仕入れたいというのでお邪魔したんですが、確かにこの環境なら品質も信頼できます」
そう言われ、賢秀が図に乗ります。
「大切に育てた豚だから、命にきちんと感謝して、内臓、骨や皮まで届けたいんです」
そんな外面のいい賢秀を見て、ホテルの人は息子だと思うのでした。ただ寛大は、清恵を指して「娘はこっちで」と説明します。しかし、ホテルの人は更に誤解してしまいます。
「ああ、お婿さん。いいですね。娘さん夫婦が跡継ぎなら頼もしい。これは、もうこちらで決まりだね」
そして、契約書を取り出し、契約をするその時、あの男がやってきました。
ワクイ登場
「猪野さーん、こんちは」
あのフォンターナに現れた男「ワクイ」が立っていました。
「これのおかげで、やっと辿りついたぜ」
そう言って見せたのは、賢秀がフォンターナでおいて行った名刺です。
清恵に「帰って」と言われると、ワクイは言い返します。
「すぐに帰るよ、慰謝料さえもらえれば。お前は一方的に円満な夫婦関係を壊した。俺は、お前との離婚で精神的苦痛を受けた被害者」
賢秀にとっては、初めて聞く話しです。そして、清恵が結婚していたことを聞いて、驚いていました。
「お取込みのようなので、今日の所は失礼します」
契約目前だったのですが、ホテルの人はワクイの登場で逃げてしまいました。
「違うんです。待ってください」
寛大は呼び止めますが、構わず帰ってしまいました。
「これが最後の手切れ金ということでよ、清恵」
寛大はワクイを別の場所へ連れて行きました。そして、賢秀は事務所に残されたまま、暗くなるまで待っているのでした。
話は付けた
ワクイと話しを付けた清恵と寛大が、事務所に戻ってきました。
「おやっさん、さっきのホテルから電話で、取引は白紙に戻させてくれって」
賢秀はそう報告しました。清恵は自分のせいだと責めますが、寛大は「お前は悪くない」と言うのでした。しかし、清恵は、立ち去ってしまいます。
賢秀は、何があったのかと寛大に聞きます。
「結婚してたんだ、清恵。18歳で家出して、20歳の時だ。ひどい目に合ってた。俺が見つけ出して、金を渡して別れさせた。こっちの身元も連絡先も明かさずに。それから一切連絡を絶った」
それが、賢秀の名刺のせいで見つかってしまったのです。実家の住所は婚姻届けにも書くし、住民票も移すだろうから、わからないはずはないとは思うのですが。。。
「でも、きっちり話しをつけた。こんなこともあるかと思って、俺なりにあちこちに手は打ってあった。だから、これで、完全にあの男とは縁が切れた。・・・ちょっと疲れた」
そういうと、母屋の方へ寛大は行ってしまうのでした。また残された賢秀は、事務所で座っていました。
相談
フォンターナのシェフ・二ツ橋がちむどんどんに来ていました。
「何か打開策はないですかね?」
和彦がそう聞くと、二ツ橋はアドバイスしてくれました。
「必要経費を見直した方がいいと思います。例えば、仕入れ原価を落とすとか」
しかし、暢子は品質を落とすと、余計お客さんがこなくなると心配です。
「暢子さん、ちょっと聞いていただけますか?
私は昔、レストランを開いて、潰したことがあります。私なりに、地獄を見ました。最後は、息をするのも苦しくなり、誰も信じることができなくなりました。飲食業はどんな高級店でも、所詮は水商売と呼ばれることがあります。水商売の語源は江戸時代、芸者さんの仕事のことを泥水商売と呼んだことから始まったという説があります」
二ツ橋の教え
二ツ橋は、自分のことを例に出しながら、暢子に話しかけます。
「一見華やかに見えるけど、実態は泥水にまみれるような大変な仕事。流れる水のように不安定で、大雨が降れば流されてしまう。日照りが続けば、干上がってしまう。上手く行かない時に、目をつぶって、耳をふさいで、ただひたすら頑張るのは私は反対です。遮二無二突き進むより、失敗を認めてやり直す方が勇気がいって難しいことです。私はそれができませんでした。上手く行かない時は、たとえ悔しくても悲しくても辞めてもいいんです。一度止まって、休んでもいいんです。あなたは、飲食店で成功するために生きている訳ではありません。幸せになるために生きているんです」
二ツ橋は、そう教えてくれました。
ここ私の家
清恵が事務所に戻ってきました。賢秀は清恵を問い詰めます。
「俺に嘘をついて、騙したわけ?」
しかし、清恵は「友達の話し」として、自分の話していました。
「お前の話しだったわけ?」
素直と言えば素直なんですが、相変わらず賢秀は鈍い男です。
「あの男と、結婚してたのか?結婚してたこと俺に隠して」
しかし、清恵には賢秀の嘘となんら大差ないと思っています。
「一緒でしょ?養豚の仕事してること家族に隠して、ビッグになるだの、グレートなビジネスだの、嘘つきまくってるじゃん」
ただ、賢秀にはその自覚がありません。そして、嘘つき呼ばわりされて怒ります。
「いい歳して倍にして返すだの、沖縄の一番星だの言いながら、簡単に変な話に引っ掛かって」
清恵に本当のことを言われ、更にヒートアップしてしまいます。
「出ていけ。お前の顔なんてみたくない」
賢秀はそう言いますが、ここは賢秀の家ではありません。
「悪いんだけど、ここ私んち!」
そう言われた賢秀は「俺が出ていく」と言い直します。勝手にしろと言われた賢秀は、最後に捨てセリフを言うのでした。
「全部終わりやさ」
家出
賢秀は清恵に言った通り、出ていくことに決めました。そして、寛大にその旨話します。
「おやっさん。長い間、お世話になりました」
そういう賢秀に寛大は大事件を伝えます。
「清恵が出て行った」
清恵は、賢秀の名刺の裏に手紙を書いていました。
「さようなら、私が出ていきます。清恵」
追加融資
ラフテーを煮て、下ごしらえをしている時に信用金庫の坂田がやってきました。
「一応、私ども信用金庫としても、相談はしたんですが、追加融資はやはり。ここからは、無駄な経費を切り詰め、経営の健全化を提案するしか。そうだ、以前いただいた計画書と、現在の出納状況を見比べると。人件費が高くなっています」
それは、矢作の分の人件費でした。
「それは、きちんとした技術を持った料理人さんに働いてもらうことになったので」
次に、坂田は、仕入れのことを質問します。
「仕入れ原価はどうです?豚肉。沖縄からわざわざ仕入れるから、運賃の分高くなって」
しかし、これもどうしようもないことなのでした。
「うちの希望通りに加工してくれるところが、関東では見つからなくて」
そうなると、話しは人件費に戻るしかありません。
「この料理人さん、いります?現状の客数なら、多少技術が劣っても人件費の安い料理人の方がいいのでは?」
しかし、今はそうでも、これからのことを考えると、矢作を手放すことができないのでした。
「今でしょ?資金繰りに困ってるのは」
坂田の言うことの方が正しいのはわかります。ただ、矢作がいないと成り立たないのも、本当なのです。話しが大詰めになった時、坂田は次の約束のために慌てて出て行きました。いつもの感じのドタバタでした。
踏んだり蹴ったり
暢子は歌子に買い物を頼みました。それと入れ替わりに和彦が帰ってきました。
暢子と和彦は、自室で話しをします。
「原稿料入ったから、これだけ、なんとか」
暢子は和彦に感謝します。和彦は、原稿料でなんとかなるか聞きます。
「支払はなんとか、だけど矢作さんの給料までは・・・」
そこで、和彦は思い切った提案をしました。
「ズルズル引き延ばして結局辞めてもらうことになるより、早めに次の仕事を探してもらった方が誠実だと思う」
その時、厨房から声が聞こえてきました。
「おい!おい!いねえのか」
暢子達が折りていくと、鍋にかけていたラフテーが焦げていました。
「火かけたまま、店をあけるバカがどこにいるんだよ。
材料無駄にするようなやつに経営者なんか務まるか!しっかりしてくれよ」
それにしても、踏んだり蹴ったりの暢子なのでした。
重子の気づかい
和彦の母・重子とお手伝いの波子が急にやってきました。
「近くまで用事できたから、ついでに」
しかし、ちむんどんどんは開店準備中でした。重子は「すぐ帰る」と言うと、暢子のお腹の成長具合を確認していました。
「それで、どっち?決まってるでじゃないの?男の子?私は女の子だと睨んでるんだけど」
しかし、まだ確認できていないようです。重子は、せっかちで女の子だと思って、ピアノを買ってきていました。子供用の小さいピアノです。そして、波子に持ってきたものを出すように言うのでした。
持ってきたのは重箱で、スケトウダラと車麩の煮しめ、菱の実ご飯、菊のお浸し、いごねりが入っています。
「どちらも栄養満点です。私の田舎では、菊は妊娠中や授乳中には欠かせないもので、こっちのいごねりは貧血予防。プロの暢子さんにこんな田舎料理、差し出がましいとは思ったんですが」
あとを引き取って重子が続けます。
「たまには沖縄料理じゃないものをと思って」
心遣いに感激する暢子。たくさん持ってきて、暢子を気遣ってくれていることがわかります。
あなたのためじゃない
「あなたのためじゃない。お腹の子が食べるの。毎日3食きちんと食べてる?」
しかし、お店のこともあり、あまり食べられていないことを重子に伝えます。
「食べなきゃだめ。何があっても食べるの。
お腹が空かなくても食べるの。できるだけ一緒に食べてあげなさい。妻に食事を取らせるのも夫の仕事」
和彦は、素直に「はい」と答えました。
船長と航海
そして、重子は暢子のことを船長に例えます。
「あなたみたいに冒険をする女の子なんて、私の生きてきた世界ではありえなかった。
遠い南の島からたった一人でやってきて、自分で船を作って、広い海に漕ぎ出して、そんな生き方ができるあなたが羨ましい。あなたの冒険旅行を私たちも一緒に楽しみたい。私たちも船の乗組員のつもりでいるの。あなたの冒険旅行はもう、私たちみんなの冒険」
重子はだんだん乗って来たのか、立ち上がり身振り手振りを添えて話します。
「もちろん、晴れの日ばかりじゃない。大きな波もくる。嵐の夜もある。失敗しても、立ち止まってもいい。とにかくどんな時でも、食べるの。食べて、休んで、前よりもっと強くなって、素敵な船長に、お母さんになってね」
その言葉を聞いて、涙があふれだす暢子。
「ありがとうございます」
それだけ言うことができました。
清恵の捜索
養豚場では、寛大がほうぼうに電話して、清恵がきていないか聞いていました。
そんな時、清恵から手紙が来たことを賢秀が寛大に伝えます。
「お父さんへ208番の母豚はいつも予定日より分娩が早いので、気にかけて下さい。清恵」
自分のことより豚を気にする清恵。
「あのバカ、分娩のことより、自分の事心配せい」
そして、賢秀は寛大に提案します。
「探しましょう。二人で東京に」
そう言うと、寛大も決めました。
「保証人もいないもんな。手っ取り早く働くとしたら、住み込みの水商売だ」
そして、二人で東京へ捜索に行くことに決めました。
「本気で探せば、絶対に見つかります。行きましょう」
その頃清恵は、案の定スナックで髪を金髪にして働いていました。
「ヒットパレード」
どこにあるお店なんでしょうか?
休業
一人洗い物する暢子。和彦が自室から降りてきました。
「なんか手伝おうか?子供のためにも早く休まないと」
そう言って気遣ってくれる和彦に暢子は愚痴を言ってしまいます。
「向いていないのかも知れない」
それを聞いた和彦は、暢子に提案をしました。
「この間、ここで二ツ橋さんが言ってくれたこと、覚えてるよね?
”上手く行かない時は、たとえ悔しくても悲しくても、辞めていいんです。一度止まって、休んでもいいんです”
一旦店を閉めよう。辞めるんじゃない。一度立ち止まって、じっくり考えて、またやり直そう」
その言葉で、暢子は決心できました。和彦の胸で泣く暢子。
暢子は、ちむどんどんを一旦休業することに決めました。
見直し
暢子は休業してお店を立て直すべく、料理の味やメニューを見直すことにしました。
「出汁は料理の基本。そばはもちろん、他の料理にも使える味。メニュー全体の基本の味を考え直したいんです」
そう矢作に言うと、矢作も同意します。
「当たり前だと思っていたことから見直す、そういうことだよな?」
そして、二人の見直しの作業が始まりました。
帰国を祝う会
和彦は、田良島と一緒に二ツ橋に会いにフォンターナにきていました。
「暢子さんを励ますお食事会?」
ただ、和彦は名目は違うものを考えていました。
「名目は房子オーナーの帰国を祝う会ということでどうでしょうか?」
田良島も、オーナーなら何かいいアドバイスをしてくれるかもと期待していました。
「オーナーは基本的に独立した従業員にアドバイスしたり、手助けしたりすることは一切」
二ツ橋は、開催できるかどうか不安です。
「だからこそ、あくまで帰国を祝う会ということでどうでしょうか?」
そう言われ、二ツ橋も開催することを了承しました。
矢作とフォンターナ
帰国を祝う会は、フォンターナを貸し切りにして開催されました。
「ありがとうございます。本日は、心行くまでお料理とおしゃべりを楽しみましょう」
房子は元気そうにそう言うと、会が始まりました。
しかし、料理が運ばれてきても、暢子は手を付けられませんでした。
「暢子さん。話しは二ツ橋さんから聞いてる。最大の問題点はなんだと思う?」
房子は暢子にそう質問します。
「東京の人の口にもあうようにいろいろ工夫はしているんですけど」
暢子がそう言うと、房子がアドバイスしてくれようとします。
「どんな店にも共通して言えることは・・・」
そのタイミングで矢作が来ました。二ツ橋が呼んだのでした。
「久しぶり。元気ですか?」
房子に声を掛けられ、頭を下げる矢作。
「今更、どの面さげて」
前からいるスタッフには、嫌味を言われます。矢作は、そのスタッフに頭を下げます。
「あの、いろいろ、ご迷惑をおかけしました」
しかし、それにため息で答えたスタッフは、厨房に去っていきました。
賢秀と寛大がフォンターナにきた
賢秀が寛大が、清恵を探しながらフォンターナにやってきました。
「この前、清恵と一緒にきたんです。また来てるかもしれないし」
そう言うと、賢秀は寛大に設定を伝えます。
「大事なこと忘れてた。今日の俺たちは、投資関係の会社の社長と社員です」
しかし、そんなウソに慣れていない寛大は困惑します。
「間違っても豚とか口に出さないで下さい。豚、ダメ」
賢秀は寛大に念を押すと、フォンターナに入って行きます。
フォンターナには、暢子だけでなく、和彦や智もいました。
「今日はちょっと、うちの社長のお供で」
そう言うと、テーブルの料理を見て「美味そう」といって食べたそうにするのでした。
みんなの興味は、賢秀の仕事です。以前、マルチ商法に引っかかっているので、余計心配するのでした。どういった関係の社長さんかと聞かれ、賢秀は当たり前のように答えます。
「決まってるだろう、投資関係」
しかし、それだけでは信じられません。
「証券会社ってことですか?」
「会社は兜町ですか?」
立て続けに質問され、無理だと判断した寛大は、帰ろうとします。
「お手洗い案内しますね」
帰ろうとする寛大を捕まえる賢秀。しかし、寛大には荷が重く、話しを合わせることは無理です。
「いいですか?俺はもう腹が減って腹が減って」
空腹を満たすために、なんとか乗り切ろうと賢秀が言うのでした。
嘘はいや
賢秀と寛大がこそこそ話しをしている時、和彦は暢子に忠告します。
「店を休んでいることは賢秀に絶対に黙っておいた方がいい」
智も同意します。
「開店したお店は順調。何の問題もない」
しかし、暢子は嘘をつくのは好きではありません。
「嫌だ、嘘は嫌い。うち嘘とかつきたくない」
それでも、和彦は暢子を説得するのでした。
「いい、暢子。賢秀が本当のことを知ったら、必ず暢子を助けようとする」
それを聞いた智も、同じように言うのでした。
「また余計なことをするに決まってる。何するかわからんよ。子供のころから何回も」
そう言われると、暢子の考えも変わりました。
「であるね。嘘つこう。お店が上手く行っていないことは、絶対に秘密」
そして、賢秀と寛大は、席を用意され、一緒に食事をすることになりました。
豚が出てきがち
賢秀は席に付くなり、暢子に質問します。
「暢子、店は上手くいってるか?」
下手な嘘をつきます。
「でーじ順調さあ、ね」
その話が深くならないように二ツ橋が助け舟を出します。
「ところで、この前一緒だった女性は恋人ですか?」
丁度よく清恵になりました。
「恋人?あーあの女性は、こちらの社長の娘さん」
そう言うと、寛大が聞きます。
「また来ました?」
しかし、二ツ橋は「あれ以来、一度も」と答えるのでした。ガッカリする寛大。そして、やっぱり帰ろうと賢秀に言います。
「なんかあったの?」
そう質問されても本当のことは言えません。何もないと言うしかない賢秀です。
「にいにいは、社長さんのお嬢さんと仲良しなわけ?」
「やっぱり恋人関係?」
そう聞かれて、賢秀はいつものように返事をします。
「まさかや、あいつと俺では、豚に真珠」
豚はなしと言った本人が、豚を出してきました。止めに入る寛大。
「あ!あきさみよー。強情な女で、何を言っても豚の耳に念仏な訳」
そんな、どうしようもない賢秀なのでした。
焦げた肉
話しを逸らすように賢秀が暢子に聞きます。
「俺はいつ、暢子の店に行けばいい訳?」
それを聞いた二ツ橋が、また助け舟を出します。
「ポルケッタがやってきました!」
イタリアの伝統的な豚肉料理です。みんな美味しそうだと言いますが、矢作の皿は「コゲた肉」が乗っていました。何か言いたそうな矢作ですが、何も言わずに我慢しました。
イタリアと日本の共通点
食事をしながら、賢秀がまた聞きます。
「で、暢子の店は?」
話しを逸らすように、今度は和彦が房子に質問します。
「オーナー、以前イタリアにはイタリア料理の店はないと聞いたことがあります。イタリア料理は、イタリア各地の郷土料理の集合体だって」
その話に寛大も食いつきます。
「イタリア全20州それぞれが、その土地の風土や歴史が作り上げた食文化を大切に守っています。その土地のその食べ物に込められた思いを大事にして、初めて魅力的な料理になると思っている。日本も同じです。イタリアと日本の食文化には共通点が多い」
そして、具体的に話します。
「イタリア南部では、豚を棄てる所なく大事に食べる。それは、沖縄とも似てるでしょ?」
それに和彦も同意します。
「うちなんちゅは昔から豚肉の食べ方に知恵をこらして、鳴き声と蹄の他は全部美味しく食べてきたっていわれてますよね」
命を大切にいただく、素晴らしい精神です。
海から豚がやってきた
その話を聞いて、寛大が話します。
「沖縄と豚を語るうえで、忘れてはならない話しがハワイにもあるんです。ハワイの養豚業はある時期、沖縄移民が支えていたとも言えます」
その話にみんな食いつきます。
「私の両親は貧しい農家で、戦前に出稼ぎでハワイに渡り、沖縄移民の人がやっている養豚場で働いていたんです」
投資関係の社長という設定は、もうどこかに行きました。
「海から豚がやってきたという話しをご存じかな?沖縄の養豚は沖縄戦で全滅の危機に陥った。戦前には10万頭までいた豚が、数えられる程までに減ってしまった。それを知ったハワイの沖縄移民たちが、アメリカのネブラスカ州で大量の豚を買い入れた。何人かの有志が、豚と共に船に乗りこみ、オレゴン州のポートランドから出航。嵐にも強風にも負けず、長い長い航海をへて、沖縄に550頭もの豚を送り届けた」
その話を聞いて、和彦がメモを取っていました。
全養豚関係者が泣く
「彼らの願いはただ一つ。食糧難に苦しむ故郷沖縄を助けたかった。そんな命がけの航海があったからこそ、今でも美味しい沖縄料理が根付いているんだろう。あはは」
田良島は、和彦に「いい話聞けたな」と声をかけていました。
「なんか、掴めそう。さっきのオーナーの話し、海からきた豚の話し、なんか・・・」
不振を脱出するヒントが、見つかりそうな気がする暢子。その時、賢秀が泣き出しました。
「親父さん、なんていい話なんですか。
これを聞いて泣かないやつは人でなしやさ。今の話は養豚をやってる人間からしたら・・・」
みんな「養豚」に食いつきます。それを察した賢秀は、食べたい寛大を引っ張って帰っていきました。
よく耐えていた
食事会を終え、フォンターナから出たところで、暢子と和彦は房子に挨拶をします。
「オーナー、今日はありがとうございました」
房子は、結局言えなかったことを暢子に話しました。
「どんな店にも共通して言えることは、一番の強みは、同時に弱みでもあるということ」
その言葉を胸に、暢子と和彦は家に戻りました。
その頃、フォンターナの店内では、二ツ橋が矢作に声をかけていました。
「矢作さん、良かったら、飲み直しませんか?」
しかし、矢作は断ります。
「ありがとうございます。でも、これから店に帰って出汁の確認を」
断られた二ツ橋は、その場で話したかったことを伝えます。
「ずっと、見てましたよ。今日はよく、耐えましたね」
涙をこらえ、頭をさげる矢作。ちむどんどんに戻っていきました。
立ち聞き(1回目)
暢子と和彦がちむどんどんに戻ってくると、二人で話しをしていました。
「矢作さんには給料が払えないって、正直に言うしかないと思う」
和彦はそう言います。
「であるよね。矢作さんにも都合があるよね」
納得する暢子でした。
「やっぱり、辞めてもらうしか」
そう言って暢子を説得する和彦。
「矢作さんに申し訳なくて」
申し訳なく思う暢子なのでした。その話しを矢作は立ち聞きしてしまいます。そして、何も言わず立ち去りました。
「うちがもっと、しっかりしていたら」
暢子は反省するばかりでした。
共同経営の話し
矢作は呼び出されて、屋台にやってきました。そこで待っていたのは、一緒にフォンターナを辞めた桃木です。
「桃木、あの時は巻き込んですまなかった」
矢作は、そう言って謝りました。
「いや、今、矢作さんは沖縄料理やで働いてるそうですね。お互いあのフォンターナで修業した身じゃないですか。なんで沖縄なです?」
そう言われますが、矢作は黙ったままです。
「今度、俺、独立するんですよ。一緒にやりませんか?俺と共同経営。
今の店の常連さんが大地主で、出資してやるから洋風居酒屋をやってみないかって」
それを聞いて、矢作は条件を聞きます。
「俺と矢作さん、それぞれ50万ずつ。都合つければ、すぐにでも契約できます」
ちむどんどんが傾いている今、渡りに船の話しかもしれません。
でも、出資者がいるのにお金を出させるって、どういうことなでしょう?もしや、桃木の罠?
40万円の封筒
翌朝、暢子と和彦、そして歌子と話しをしていました。
「じゃあ、その40万円は信用金庫に?」
和彦が聞くと、暢子は答えました。
「支払のついでに、追加融資をもう一度頼んでみる。ごめんね、本当歌子にもバイト代出さないといけないのに」
しかし、歌子はバイト代をもらうつもりはありませんでした。そこに矢作は出勤してきました。
「出汁の確認、今日もやるよな?」
暢子は、矢作に話さなければと声を掛けます。しかし、信用金庫の坂田と待ち合わせの時間が迫っていました。
「うちたち、ちょっと出かけるので」
それだけ言うと、暢子と和彦は出かけてしまいました。
そして、カウンターの上には、支払いのための40万円が封筒が置かれたままです。
お金がない
暢子達が出かけた後、矢作は包丁を研いでいました。その時、カウンターの上に置かれた封筒を見つけます。中を見てみると、1万円札がみえました。矢作は、そのまま置きます。しかし、考えこんでしまいます。
「矢作さん、ちょっと買い物に」
急に声を掛けられた矢作はドキッとしますが、すぐに「あいよ」と声をかけました。
その頃、暢子たちは、あまゆで信用金庫の坂田と待ち合わせです。そこには、順次夫妻と智もいました。
いつものように遅れてきた坂田。出されたお茶を一気飲みします。
「坂田さん、あのご迷惑をおかけしてすみません。今日は直接お会いして、返済と、あたらめて追加融資のお願いをしたいと思いまして」
暢子はそう言うと、お金の入った封筒を出そうとカバンを探ります。しかし、ありません。
「忘れてきたかも」
そう言うと、あまゆからちむどんどんに電話を掛けます。しかし、誰も出ませんでした。
前科がある
電話をかけ続けると、やっと歌子が出ました。
「もしもし、歌子?カウンターの上に封筒があるでしょ?お金が入った封筒」
暢子が聞きますが、歌子は「ない」と言います。
「うちも買い物から帰ったばっかりで」
歌子も状況がわかりません。
「矢作さんは?」
暢子がそう聞きますが、矢作もいないと歌子は答えました。
電話を切った暢子は、みんなにお金がないことを伝えます。
「歌子が買い物から帰ってきたら封筒がなくなっていて、矢作さんもいないみたい」
すぐに智は「矢作が盗んだ」と言い出します。
「あれには前科があるだろう?暢子行こう。早く」
そう言うと、暢子と和彦と智は、ちむどんどんに向かいました。
信じてる
店に戻ってきた暢子、和彦、智は、店の中を探します。
「ない。どうしよう」
困る暢子に智はまた言います。
「あの男しか考えられない」
しかし、暢子はそんな人じゃないと矢作をかばいます。
「じゃあなんでない?暢子はお人好し過ぎる。泥棒がそんな早く改心するわけがない」
そんな言い方は許せません。しかし、智の言うことも理解できます。
「暢子、このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。どうするわけ?わかってるのか?」
智に問い詰められます。
「わかってる。だけど、それとこれは別さ。うちは矢作さんを信じてる。お店とかお金より、そっちの方が一番」
その時、矢作が帰ってきました。
謝る事じゃないよ
智は、矢作の顔を見るなり、強い口調で言います。
「金返せ!」
しかし、矢作はあっさりとした対応です。
「ああ、現金入りの封筒置きっぱなしにしてただろ。不用心だと思ったからレジの中入れといたぞ」
暢子がレジを見ると、封筒が入っていました。
「たく、金を雑に扱う人間は、経営者失格」
また矢作にダメだしされてしまいました。
「ありがとうございます」
お礼を言う暢子。そして、智は謝ろうと矢作に近づきます。
「さっき・・・」
しかし、矢作は言わせません。
「全部聞こえてたけどな。疑って当たり前。別に謝ることじゃねえよ」
いるの?いらねえの?
返済して、暢子は一人で帰ってきました。その時、矢作は帰るところでした。暢子は矢作を呼び止めます。
「矢作さん、とても言いにくいことなんですけど。今月分の給料、少し待ってもらえませんか?信用金庫に追加融資をお願いしたけど、どうしても。約束を破ってしまってごめんなさい。来月もちゃんと払うことができないかも知れません。うちの甘い見通しのせいで、矢作さんをこのまま引き留める訳にいきません。本当にごめんなさい」
それを聞いても、矢作は冷静です。
「店が傾いたら人件費を削る、当たり前だ。店を立て直すのに俺は、いるの?いらねえの?」
矢作にそう聞かれ、暢子は本音で話します。
「矢作さんが辞めてしまったら、お店を立て直すことも、営業することも無理だと思います」
それを聞いた矢作は、言うのでした。
「なら、辞めねえ。この店に残る」
しかし、給料が払える見込みがありません。
「必ずもらう。遅れた分は延滞金も上乗せして、きっちり払ってもらうから、帳面に書いておけ。俺は明日からもここで働く」
矢作の言葉に感激する暢子。
「ただし、一刻も早く店を立て直すこと。もちろん、俺もできることはなんでもやる。こっちも生活かかってるからな」
そう言うと、矢作は帰っていきました。
立ち聞き(2回目)
ちむどんどんを出たところで、智が矢作を待っていました。
智は何もいわず、土下座しました。
「ごめんなさい。疑ってすみませんでした」
そんなことをしてもらいたいと思っていない矢作は、人が見ていると困惑していました。
そして、そんな二人が屋台で酒を飲みます。矢作は、智に独立の誘いがあったことを伝えました。
「昨夜、しつこく言い寄られたけど、断った」
それを聞いた智は意外な気持ちになります。
「だけど、暢子の店と心中はしないって」
確かにそう言っていました。
「もう二度と、恩を仇で返すよう真似はしたくねえ。一度乗りかかった船、その沈まないようにできることをやる。それをきっちりできなきゃ、自分の船は持てねえって。頼りない船長だけどな」
矢作も暢子を船長に例えていました。
「確かに暢子は無鉄砲で無茶なところもあるけど、自分より相手のことを考える人間です。決して仲間を海に放り出すようなことはしません」
それは、矢作もわかっています。なにしろ、暢子と智の会話を立ち聞きしていたのですから。
「嬉しかったよ。絶対に辞めねえ。いつか絶対あの店を流行らせて見せる」
力強い矢作の言葉でした。そして、おばちゃんのようにどっちが支払うかで揉めていました。
どっきり大成功
暢子と矢作と歌子は、今日も試食をしていました。
「これが悪いとか、不味いとかじゃないんだけどな」
矢作が感想を言うと、暢子も同調します。
「わかります。軸って言うか、目指す所がはっきりしないから、完全に迷子になっていますね」
そして、暢子も矢作も悩んでしまいます。
「フォンターナの会で、何かヒントが掴めた気がしたんですけど」
根を詰めすぎる暢子に、歌子は休むように言うのでした。
その時、ちむどんどんをノックする人がいました。
「はい、どうぞ」
歌子が声をかけても、入ってきません。
そこで、歌子が出て行くと、隠れていたのはお母ちゃんと良子でした。
「どっきり大成功」
暢子が身重なのに、気を付けて欲しいです。
東京観光
突然やって来たお母ちゃんと良子に驚く暢子。
「いったいどうした訳?」
お母ちゃんは「東京観光」と言うのでした。
「ちょうど連休。どうしても晴海が飛行機に乗りたいっていうから、お母ちゃんも誘ってみんなで行こうと言うことになった訳」
良子がそう説明しました。
そして、博夫は娘の晴海と動物園に行っています。
「来るなら来るで電話してくれたら」
歌子はそう言いますが、歌子だって黙ってきていました。
「オープンしたばっかりで大変だと思って」
「すごい。東京でこんなお店を持つなんて」
おかあちゃんも良子も、感心していました。
これ
暢子は、矢作を紹介します。そして、お母ちゃんは店をやっていない理由を聞きます。
「お店は改装中なの?どこ?」
暢子は、苦し紛れに答えました。
「外から見えないところを」
そして、良子がおかあちゃんに「あれ」と言って声をかけました。
「今朝、作ったもの。みんなで食べて」
沖縄の料理を持ってきてくれたのでした。
「今、うちの小学校でやんばるの野菜をつかったうまんちゅ給食を出していて。
みんなのおかげで何とか。やんばるの、うちの村の野菜をとにかく活かした給食で、これが美味しいわけ。それとほとんど同じおかず。良かったら矢作さんもどうぞ」
手紙で書いた内容を暢子も歌子も読んでいました。そして、矢作も一緒に食べます。
持ってきたのは、ニガナの白和え、ピーマンチャンプルー、ゴーヤとトウモロコシとツナの和え物、ドゥルワカシー、ニンジンシリシリーです。
「このニガナ、美味しい」
「うん、うんめー」
暢子と矢作は、美味しそうに食べていました。
「良かった。頑張ったかいがあったね」
お母ちゃんは嬉しそうでした。
その時、暢子は「これ」と言って、何かに気づいたようでした。
誇らしい
お母ちゃんはこれから浅草です。店の外でお母ちゃんは歌子と話します。
「レビューショーっていうの?うちが見てもわからないからもったいないと言ったんだけど。
体調は?大丈夫?無理してない?」
歌子は「うん」と答えていました。
「お店は、上手くいっていないんだね」
お母ちゃんは気づいていました。
「うちは親だよ。顔見ればすぐにわかる」
ただ、歌子には自信がありました。
「きっと、たくさんお客さんがくるようになる。暢ねえねえは何があっても諦めないし、暢ねえねえにはうちがついてるから」
頼もしくなった歌子。弱気の虫はどこか行ったようです。
「歌子がそばにいてくれるなら、暢子は大丈夫。うちは歌子が誇らしいさ」
お母ちゃんにそう言われ照れる歌子。
「智とは仲良くやっている?」
そう聞かれて、歌子は驚いてしまいました。
その時、店の中から暢子と良子が出てきて、でかけようと言います。
「智にもよろしく伝えておいてね」
お母ちゃんはそれだけ言うと、良子と二人で出かけていきました。
見つけた足元の泉
お母ちゃんたちが行ってしまうと、見直しの再開です。しかし、暢子は「これ」だと思ったものがありました。
「見つけた。ついに見つけた。掴めた気がします。うちの足元の泉」
矢作も歌子もキョトンとしていました。しかし、歌子は披露宴で房子の祝辞を聞いていたから知っているはずなんですけどね。
ちむどんどんの再開に向けて、暢子は一から味付けを見直し、施策を重ねました。
「チキナー(シマナーの塩漬け)をを細かく切って、チャーハンにしてみましょう」
暢子は精力的に活動しています。精力的すぎるかも知れません。
「もう少し、味噌を控えてみて下さい」
矢作にそいう指示を出すと、和彦がやってきました。
「暢子、時間。もう休まないとダメだよ」
新メニューの試食会
今日は新メニューの試食会の日です。
新メニューは、ウンチェーイリチー、チキナーチャーハン、にんじんしりしりー、ニガナの白和え、パパイアンブシーなどを準備しました。
「うん、美味しい。素朴だけど、食材の味を最大に引き出されています」
二ツ橋にも高評価をもらうことができました。
「沖縄産じゃない材料を使っているのになんでかね?」
そう聞かれて、暢子は答えました。
「味付けの考え方を変えてみたわけ。丁寧な処理と素材の良さを活かす工夫に集中してみたんです。
フォンターナで身に着けた技術はうちの強みです。だけど、それが弱点になっていたんです。これまでのうちは東京の人の好みに合わせることだけを考えすぎてて、沖縄料理の元々の魅力を忘れていたんです」
元々の魅力を聞かれた暢子は説明します。
「故郷のやんばるで、大好きな家族みんなで食べて笑顔になった味。それを思い出して、材料の魅力を引き出す。手数をかけないことに全力を尽くしてみたんです」
それを聞いた智は言うのでした。
「よし、もっともっと新鮮な野菜を手に入れられるよう、頑張ります」
そして、看板メニューの沖縄そばも仕上げ直したい暢子。まだまだ、試食してもらいたいものがありました。
そして、ちむどんどんは12月1日より再開することが決まりました。
リリ
賢秀は清恵を探していました。
「この女性、この辺りで見たことないです?」
写真を見せながら、聞いて回ります。しかし、反応はよくありません。写真も見ずに「知らない」と言われてしまいます。
寛大の言った「手っ取り早く、働くなら水商売だ」と言う言葉を信じて、飲み屋があるところを回っているのでした。
そして、店から出てきた女性に声をかけます。
「猪野清恵って女、知りません?背はでーじ小さくて・・・」
しかし、やっぱり「知らないね」と言われてしまいました。
その店は、ヒットパレード。知ってるはずのお店でした。
賢秀は清恵のことを思い出します。そして、賢秀は自分の気持ち、清恵の気持ちに気づいたようでした。
そして、賢秀が去った後、そのヒットパレードから出てくる女性がいました。
「りり、変なのが探してたから気をつけな」
そういわれた清恵は、「はーい」と答えると、どこかへ出かけていきました。
順調
暢子と和彦は自室で寝る準備をしていました。
「病院の定期健診、何のなくて良かったね」
そう声を掛けると、暢子はお腹をさすります。
「動いた」
それを聞いて和彦が手をあてますが、わかりません。
「楽しみにまっているからね。元気で出てきてよー。いつか必ず、一緒に沖縄そば作ろね」
そう言うと、お腹の子が蹴って反応してくれました。
豚肉
試食ももう大詰めです。しかし、そばが決まりません。
「十分、美味しいと思うけど」
歌子はそう言いますが、矢作は物足りない気がします。
「何かが欠けているような、物足りねえ」
そして、歌子が気が付きます。
「もしかしたら、豚肉、かも」
それは、暢子も気づいていました。
「であるよね。やっぱり足りないのは、美味しい豚肉だよね」
そこにやってきた人がいました。
「ごめん下さい」
なんと、来たのは、清恵でした。
最後に
暢子は、どうして矢作をそんなに信用しているのでしょうか?
料理人としての腕を信じているのはわかります。しかし、智が疑ったようにお金の面に関しては、信用できる要素がないのです。だって、お金がなくて食い逃げしてたんですよ。
そして、第10週で前振りされていた「海を渡った豚」の話が回収されました。そんなに引っ張らなくてもよかったのではないか、とも思います。
あと、歌子にも、落ち着いたら給料を払って上げて下さい。でないと、「好きの搾取」になってしまいます。
そして、気になったのは、「にんじんしりしりー」が、ひらがなとカタカナで出てくること。どっちでも良さそうな気もしますが、基本的に沖縄の料理はカタカナで書いてある気がします。細かいですが、統一して欲しいものです。
来週は、清恵と暢子がどう関係するのか?とにかく、豚肉の仕入れ先は決まったようなもんです。そして、賢秀と清恵はどうなるのでしょうか?
残り3週?50年の物語となっているので、あと40年ぐらいは描かれないといけないのですが・・・。