武田信玄 からの依頼!?
「元彼の遺言状」第3話は、相続した法律事務で町弁としての事件の物語です。
町弁
前回の森川家の相続問題で麗子が相続したのは、亡くなった村山がやっていた「暮らしの法律事務所」でした。
村山がやっていたのはいわゆる「町弁」です。
町弁は、主に地域住民から依頼を受ける弁護士のことです。
大手弁護士事務所を辞めた麗子は、麗子の意思とは異なりますが、今は町弁としてやっています。
「奈良漬を食べた」
運送会社の乗車前のアルコール検査で引っかかって、社長のスネを蹴り上げたという女性の接見にきている麗子。
しかし、女性はアルコールを飲んでないといいます。
血中アルコール濃度0.03%が検出されたということで、奈良漬け軽く60枚は食べないとならないほどの血中濃度です。
「ゆうくんがあいつと俺、どっちが大事なのって言うから、やけ食いした」
そう言う女性の彼氏が嫉妬したのが、犬のパトラッシュでした。
そして、拘留される女性の依頼で、パトラッシュの散歩を引き受けることになりました。
雑用係
篠田は、麗子の事務所に居候しています。
パトラッシュの散歩を引き受けた麗子に、なぜ引き受けたのかと聞いています。
「ドライバー仲間に宣伝するって言うから。一般市民の”どうでも案件”はお断りよ」
そんな麗子が期待しているのが、以前勤めていた法律事務所でやっていたような企業案件です。
「ハクバイ食品から顧問弁護の件で連絡あったよ、丁重にお断りするって」
しかし、法外な顧問料を吹っ掛ける麗子は、なかなか上手くいかないようです。
「有栖川グループからあった?M&Aの件」
それも連絡なし。代表弁護士(一人しかいない)が担当すると言っても、小さな弁護士事務所では難しいようです。
「電話があったのは、離婚調停の依頼とカラオケスナック同士の騒音トラブルの仲介」
結局、町弁の仕事ばかりです。
そんな時、弁護の依頼の電話が鳴りました。「弁護依頼、武田信玄から」
秋須坂の事件
タクシーで向かう麗子ですが、火事があって通行できません。
しかたなく、タクシーを降りて、歩いて向かうことにします。
消火活動をしていますが、バケツリレーで火を消していました。
消防車は到着していますが、ホースから水が出ないと焦っています。
火事騒ぎがあったのは「レストラン望月」でした。そこを通り過ぎると、事件のあった「進藤不動産」があります。
その進藤不動産の前で刑事の橘五郎、部下の松田に声を掛けられました。
被害者は、進藤マサオさん。ゴルフクラブで撲殺されていました。
そして、「通報者は武田信玄さん、弁護士が来るまで何も喋らない」と紹介を受けました。
武田信玄さんはホストクラブ「戦国」の自称No.2です。本名は「黒丑マスヤ」。「苦労しますや」とも聞こえます。
黒丑の話
不動産屋の進藤が3ヶ月前に家にやってきて、立ち退きの話しをしていました。
最初は、立ち退きをお願いしてきた感じでした。
それが、1ヶ月前に人が変わった感じで、「1ヶ月以内に出て行け!」と高圧的になったと言います。
麗子は、立ち退きが嫌で殺したのかと疑います。
しかし、黒丑は進藤不動産に来たのは「交渉しにきた」と言います。
そして、灰皿に何かを燃やしたような燃えカスがありました。黒丑は「俺じゃないっす」と否定しています。
立ち退きの交渉と何かの燃えカス、黒丑は十分に怪しい存在です。
紗英の訪問
翌朝、事務所へ出勤してくる麗子より早く、事務所に紗枝が来ていました。
紗英は前回の軽井沢の事件の関係者で、麗子と篠田と面識があります。
「事務所の開業祝い持ってきた。鍵も開きっぱなし」
篠田は、紗英が訪問した理由を「友人の結婚式の二次会」だと推理しますが、全くのハズレ。
紗英は、株主である企業のクルージングパーティがあるのでやってきたと言います。
そして、開業祝で持ってきたのは「特選黒毛和牛A5ランク」のお肉。篠田はすき焼きにします。
紗英が出席するパーティは「常國建設」が主催でした。
常國建設は、秋須坂の再開発をして、ショッピングモールを建てる計画があるようです。
黒丑家の話
武田信玄こと黒丑を保釈させた麗子が、事務所で黒丑の話しを聞きます。
黒丑が言うには、不動産屋があの辺の地主で、まとめて売りに出すと言っていたと言います。
しかし、黒丑の家は祖父の持ち物で、黒丑が1歳の時に引っ越してきたようです。
その証拠に、家賃払ったことないと言っていました。
黒丑家の持ち物であれば、関係のない不動産屋が立ち退きを迫るのはおかしい話です。
そんな黒丑が家族のことを話し出しました。
「みんなの帰る場所がなくなる。弟と家族4人幸せだったな。
突然親父が会社をになって、親父はショックで俺やお袋に暴力を振るいだした。
俺が中学の時にお袋は出て行った。次は、弟が出て行った。お袋が呼び寄せたんです。
お袋は弟の方がかわいいかったんだと思う。
そして、三年前に親父もどっかに行ってしまいました。
諦めたくなかった。いつかまた家族で暮らすために俺はホストになりました」
しかし、麗子は話も聞かず、どこに出すのかプレゼン資料を作っています。
黒丑の可能性
城東区役所から出てきた麗子を待っていたのは、刑事の橘でした。
いろいろ聞き込みをして、この1ヶ月人が変わったように進藤は立ち退きに強引だったことを調べていました。
そして、黒丑には動機があった。動機だけじゃなく、進藤不動産に指紋もベタベタ残していたといいます。
それも、立ち退き区域の賃借契約書がまとめてあったファイルの場所にです。
しかし、黒丑家の賃貸借契約書はありませんでした。
黒丑が言うには、土地は黒丑家の持ち物です。しかし、契約書がまとめてあったファイルを探していた黒丑。なにか、おかしいですね。
そして、灰皿に何かを燃やした形跡がありました。燃やす必要のあるものなんて、他に何があるのでしょう?
プレゼン
常國建設に麗子が訪問しました。
「ショッピングモール建設計画について、提案をお持ちしました」
そう言って渡したのが、黒丑が話していた時に作っていたプレゼン資料でした。
建設区域の立ち退き交渉について、この1ヶ月ほどで強引に進めていたことを麗子は知っています。
立退反対の声も上がっているようで、集団訴訟の可能性もチラつかせていました。
そして、「一斉に立ち退かせる秘策があります」と持ちかけました。
建設区域の水道管は老朽化していて、火事が起きた時には消防車も役に立ちませんでした。
そして、行政も理解していますが、修繕工事に着工するのが15年後の予定だということもつかんでいました。城東区役所で調べたことは、これだったんですね。
そしてなにより、殺人事件の弁護をやっているので、誰よりも早く状況を教えることができます。それが、麗子の最大のメリットになります。
常國建設の担当者からは、「それは素晴らしい、早速上と相談させていただきます」といい感触を得ました。
「取り急ぎ、内部資料を貸していただけますか?」
そう言って資料を借りると、麗子はテンションが上がりました。よっしゃ!
麗子の計画
黒丑の話しに感動した篠田は「冤罪を晴らしてやろうよ」と意気込みます。
篠田は黒丑側について、立ち退かないようにしたいと思っていました。
しかし、麗子の考えは違っていました。
立ち退き対象は82軒。そのうち、立ち退かせるのは、未だ交渉中の48軒です。
立ち退き1軒1000万で見積もりを出してあり、さらに1ヶ月以内に立ち退かせたら、成功報酬で1億と鼻息が荒くなっている麗子。
「いずれは代表顧問となって、何十倍もの顧問料をいただく。
お金にならない仕事はしない主義なの」
常國建設の担当者の好感触もあって、麗子はやる気満々でした。
レストラン望月
「反対集会やってた」
篠田が、立ち退き反対、ショッピングモール建設反対の集会をやっていたと言います。
そして、反対派の会長は望月。火事が起きたのレストラン望月が、反対派の会長でした。
しかし、麗子は冷静です。
「だから私が必要なの。
法に則り、合理的かつ迅速に立ち退きを完了させる」
常國建設のために、必要なのは自分だと改めて思った麗子でした。
そして、借りてきた資料を見て、賃貸借契約書のない家があることに気づきます。
それは、黒丑の家でした。登記簿上も所有者も、殺された不動産屋です。
黒丑の言っていたことと、現実は異なっていました。
嘘
黒丑の家に行き、再度話しを聞こうとしますが、残念ながら不在でした。
そこで、隣の家に話を聞くことにしました。隣の家は「尾形」。
その尾形家の所有者が、資料では「黒田浩平」になっていました。
尾形に黒丑の家のことを聞くと、話がだいぶ違っていました。
「父親は厳しいというか、そっちの筋の人。。。
奥さんは出て行った訳ではなく、亡くなりました。
黒丑の弟さんはいないはず、一人っ子でした。
そして、父親はココ何年の間、見ていません」
だいぶと言うか、ぜんぜん違います。
そして、庭の手入れをしている尾形に「庭の手入れは奥さんが?」と聞きます。
しかし、尾形自身が大学で植物の研究しているために手入れをしている庭だと答えました。
奥さんは、義父が脳梗塞で倒れたので、その看病に施設のそばで暮らしているようです。
篠田の推理
アガサクリスティの「そして誰もいなくなった」を例に、見立て殺人だったのではないかと推理する篠田。
そして、黒丑の家の庭に躑躅が咲いていましたが、1本だけ色の違う赤い躑躅がありました。
「なぜ花の色が変わったのか?あの躑躅の下には何かが埋まっている。犯人は黒丑」
しかし、麗子は全く取り合わず、「証拠、探してみれば?」と言うだけでした。
麗子の言葉で証拠を探そうと、火災現場の写真を見ている篠田。
そこに紗英が現れます。
「ホテルにいても暇なのよ」
そう言って、篠田と一緒に火災現場の写真を見ます。放火犯は、必ず現場に戻ってくるといいますが、どうなんでしょう?
「グレーの男性は?」
紗英は何かを見つけたようです。
麗子の脅し
麗子がホストクラブに行くと、武田信玄はNo.2ではなく8位でした。
買い出しから戻ってきた黒丑に麗子はきつく言います。
「あんた、私に嘘ついたわね。これが最後よ、賃貸借契約書はどこ?
あの殺人があった日、それを取り戻そうとして行ったんでしょ?
灰皿の燃えカス、契約書を燃やしたんじゃないでしょうね?
言っとくけど、もうすぐ立ち退きがはじまる。契約書がなければ一銭も入らないわよ。
常國建設はとんでもなく優秀な弁護士(麗子)を雇ったわよ(まだ決まっていない)」
黒丑にプレッシャーをかけますが、何も答えは得られませんでした。
黒丑家の庭を掘り返す
紗英が火事現場の写真から、グレーの上着を着た人がどの写真にも写っていることに気が付きました。
「小さな頃から一度見たものを覚えてる。幼稚園の時いじめたやつの顔とか」
能力はちょっと違いますが、今回はお手柄でした。
そして、その画像をUSBメモリに入れさせる麗子。
そこに、警察から電話がかかってきました。
呼び出された麗子は、黒丑家の前で橘達と合流します。
塀の外から黒丑家を見ると、黒丑が庭を掘り返していました。
警察が声をかけると、逃げ出す黒丑。
しかし、麗子に声を掛けられ、観念して捕まりました。
ただ、警察がその後庭を掘っても、結局何も出てきませんでした。
麗子はUSBメモリに入れた写真のデータを橘に渡しました。
赤い花の下には死体?
結局、何も見つからなかったために釈放された黒丑。
ただ、家の庭を掘り返してただけなので、捕まえておく理由がありません。
そんな黒丑に麗子は、ちょっと付き合いなさいと言って、関東理科大学へ連れて行きました。
「事件の夜、進藤不動産で何があったのか、なんであんたが庭を掘ったのか、はっきりさせる」
麗子はそう言います。
黒丑は、赤い花が咲いていたのは、父親が誰かを殺して埋めたからだと思ったと言っていました。
しかし、土の影響で花の色が変わる植物は紫陽花ぐらいだそうです。
躑躅の場合は、花の色が変わるのは遺伝現象。死体が埋まっていても、花の色が変わることはないと言うのです。
関東理科大学へ連れてきた理由は、大学内にある1本だけ色の変わった躑躅を見せることと、お隣の尾形に話を聞くためでした。
犯人
「質問があるんですが、秋須坂にボヤ騒ぎがあったんですが、先生いませんでした?」
紗英が見つけたグレーの男は、尾形でした。
尾形は、買い物の帰りにたまたま出くわしたということを言います。
そして、麗子と篠田は、尾形を追い詰めます。
「家事は放火でした。放火の犯人は不動産屋の進藤さん。
その放火の現場を、あなたは目撃したんじゃないですか?
それで、進藤不動産に行った。
放火の件は黙っててやる、その代わりに自分の家は立ち退かなくて済むようにしろ、と」
交渉が決裂した尾形は、進藤をゴルフクラブで殴り、撲殺したのです。
撲殺した理由は、進藤不動産と尾形の家の借地契約を交わしたのが、尾形の義父の名前でした。
実は、尾形の家は奥さんの実家だったのです。
立ち退き交渉で、契約者の義父と話をさせろと尾形は言ったのです。
しかし、義父はいない、だから尾形は困ったのです。
脳梗塞でリハビリ中と言っていましたが、警察が調べた結果、義父も奥さんもどこにもいませんでした。
「庭に埋まっているものを掘り起こして、ほかに移すおつもりですか?」
麗子がそう言うと、尾形は逃げ出しました。
しかし、黒丑に阻まれました。
灰皿で燃やしたもの
緒方家の庭を掘り起こすと、尾形の義父と奥さんの骨が見つかったと警察から連絡がありました。
そして、進藤の殺害も尾形は認めたようです。
黒丑は「名コンビって感じでした」と言いますが、麗子は「優秀な弁護士とただの雑用係よ」と言うのでした。
そして、まだわかっていないことを麗子は黒丑に聞きます。
「灰皿の燃えカスのことだけど?契約書ね?」
しかし、灰皿で燃やしたことは認めましたが、契約書は見つからなかったといいます。
燃やしたものは、進藤を説得するために持っていった「賄賂」だといいます。
それは、系列のキャバクラの割引券でした。
なんで燃やしたの?と麗子が聞くと、
「ホストの社長の家康さんに内緒で持ち出したから、バレだら超怒られると思って」
黒丑は、そう答えました。
麗子には全く理解できません。
「燃やしたことも理解できないけど、それで説得できると思ったのも理解できない」
黒丑家賃貸借契約書の行方
「お父さんヤバいやつだったかもしれないけど、馬鹿じゃなかったようね。賃貸借契約書は、最初からなかったのよ」
麗子は黒丑にそう言いました。
進藤不動産は創業45年で、黒丑のお爺さんは進藤の先代の縁戚にあたる。おそらく、お爺さんは契約書を交わさず、なあなあで家を借りてずっとそのままだったんだろうといいます。
「民放162条 所有権の取得時効」
他人のものでも、契約書なしに20年間善意の元に所有していたら、自分のものになるって法律があるです。
父親が住み続けろって言ってたのは、そう言うことだったのです。
「立退料、がっぽり取ってやる」
黒丑にそう誓う、麗子でした。
そして、常國建設との契約は、
「契約、無かったことにさせていただきます」
そう言われてしまいました。
最後に
展開が早くていいのですが、1話に詰め込み過ぎじゃないですか?w
この事件も2回に分けてよかった気がします。
来週の予告を見ると、また森川栄治が出てくるようです。回想だけかも?
楽しみに来週を待ちたいと思います!