三度目の詐欺 ちむどんどん(19) ネタバレあり

映画・ドラマ
朝ドラ

三度目の詐欺 は、賢秀がひっかかった詐欺の回数です。

そして、その詐欺には必ず、あの男が絡んでいます。っていうか、同じ男に3回騙される賢秀って、どういう人なんですか?

そんな第19週のネタバレです。

ちむどんどん公式HP

主な登場人物

比嘉暢子のぶこ  黒島結菜  やんばる生まれコックの修業中。
青柳和彦  宮沢氷魚  暢子の幼馴染の新聞記者。暢子の夫。

石川良子  川口春奈  暢子の姉でやんばる小学校の先生。
石川博夫ひろお  山田裕貴  良子の夫で名護の小学校の先生。
比嘉歌子  上白石萌歌 暢子の妹。体が弱いが歌は上手い。
比嘉賢秀  竜星涼   暢子の兄。どうしようもない人。

大城房子ふさこ  原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚。
平良三郎  片岡鶴太郎 鶴見の沖縄県人会会長。
田良島たらしま甚内じんない 山中崇   東洋新聞社のデスク。和彦の上司。
砂川さとる   前田公輝  暢子にフラれた幼馴染

青柳重子しげこ  鈴木保奈美 和彦の母
我那覇がなは良昭 田久保宗稔 賢秀のビジネス相手
黒岩    木村了   ジャイアントビタミン商事

第19週のストーリー

新しい生活にちむどんどん

沖縄のやんばるの実家に、暢子から手紙がきていました。その手紙の中には、披露宴の写真は、とてもいい写真でした。

そして、良子と博夫の所にも、手紙が届いていました。暢子に夫婦茶碗を送っていた良子と博夫へ、お礼の手紙でした。

手紙にはこう書かれていました。

「披露宴では、みんなを驚かせてごめんなさい。
 あれから何度もよーく考えて、和彦くんにも相談して、気持ちは変わりません。沖縄料理のお店を開くと決めました。
 うち達は、ひとまずあまゆで新婚生活を始めました。重子さんの希望で同居はしないことになりました。
 新しい生活にちむどんどんしています」

アドバイス

フォンターナのオーナー・房子は、暢子の独立に賛成してくれています。しかし、特にアドバイスはしていません。

ある時、田良島がフォンターナの房子の部屋で、房子と話していました。そこにお茶を持って入ってくる暢子。イタリア中世史の話をしていたと思ったら、急に房子が話を変えます。

「飲食店を出す、独立するということは、まずターゲットを決める。どんな町で、どんな客層相手に、どのくらいの価格設定にするのか。イメージにあう物件を見つけ、一日の売り上げ目標を決める。家賃は3日分の売り上げで賄えるように抑える。住居兼店舗でない限り、全て二重に家賃、光熱費がかかってくる。固定費は必要最低限に抑える」

暢子はお茶を出すと、房子の言ったことをメモします。それを見とがめる房子。

「なに盗み聞きしてるの、お行儀が悪い。さっさと仕事に戻りなさい」

そうは言いながらも、暢子の独立を心配し、後押ししようとしてくれる房子なのでした。

しーちゃん

和彦の母・重子との関係は、一時の拒絶からは想像もできないぐらい、良好になっていました。

「葛飾北斎ですか?」

暢子が重子にそう聞くと、重子は更に言います。

「横山大観、竹久夢二の絵も飾ったらどうかしら?」

しかし、暢子のやるお店は料亭ではありません。沖縄料理屋です。そんなたいそうな絵を飾る必要がないのです。

「私は、暢子さんの腕を一流と認めているからこそ、絵画も一流のものがいいと言ってるの」

しかし、和彦に却下されていました。

「じゃあ、ひとつだけ。これだけは絶対に譲れない条件。和彦の仕事の足を引っ張ることはしない。それだけは許せません」

母の顔で重子はそう言うのでした。それに対して、暢子は「重子さん、それは大丈夫です」と約束するのでした。

「しーちゃん、そこは大事だから」

そう言えば、呼び名は重子の「しーちゃん」でした。

「しーちゃん、さん?」

ちゃん付けで呼ぶことができない暢子ですが、重子は重ねて注意します。

「しーちゃんにさんはいりません!」

みんなの心配

あまゆで、物件情報の書いた紙を広げる暢子。

「しかし、驚いたよ。一体全体、どうして沖縄料理の店なんだよ。イタリアン修行してきたのに」

三郎は不思議がっていました。

「なんで東京でお店を出すわけ?沖縄の人がいるこの辺でやればいいのに」

あまゆの主人・順次はそう言います。

「うちの商売敵になるから?」

順次の妻・トミはそう思っているのかと聞きます。

「沖縄を知らないお客さんにも、美味しいと喜んでもらえる店にしたくて」

暢子はそう言って、みんなの問いにいっぺんに答えていました。

「客単価はいくらぐらい?」

智も暢子のことを心配してくれています。

「まだ、決め切れていなくて。お店の大きさ、家賃の予算、考えてはいたんだけど、いざ決めるとなると迷ってしまって」

三郎の妻・多江も暢子のことを心配してくれていました。

「始めてお店を持つんだから、大変なのは当たり前。考え込まないで、なんでも相談してね」

二ツ橋の思い

暢子が仕事を片付けると、呼ばれていた二ツ橋の元へ行きます。包丁を研いでいた二ツ橋が話します。

「ご存じの通り、私は自分の店を潰したことがあります。矢作さんのお店は、長くは続きませんでした。暢子さんは今まで、フォンターナで何を学んできたんですか?
 もっともっと、この店で、オーナーの下でイタリア料理を極めたいとは思わないんですか?
 故郷の料理を大事に思う気持ちはわかる。だけど、ここまでイタリアンの修行を積んで、もったいないじゃないですか。
 夢や理想だけで飲食店はやっていけない。オープン当初は知り合いが集まりにぎわったとしても、半年先、1年先、その人気が続く保証はありません」

無駄にはしません

二ツ橋にそう言われますが、暢子の気持ちは変わりませんでした。

「簡単でないことは、よーくわかっています。フォンターナで働いてきたことに誇りも持っています。
 このお店でうちが学んできたことは、無駄にはならないし、絶対に無駄にはしません」

暢子はそう言い切りました。二ツ橋は、どこまでもオーナーの房子の立場に立っています。

「オーナーの気持ちも考えて下さい。オーナーは今まで、独立したいと言った従業員を一度も止めたことはありません。ただ相手が、暢子さんとなると、本心は・・・。
 一つだけ、約束して下さい。独立しても、月に1度、いや週に1度は時間を作ってこの店に顔を出し、オーナーにお店の状況を報告すること」

暢子は快諾しました。

「はい。嬉しいです。独立してもうちは、フォンターナの一員でいたいと思っていますから」

その二人のやりとりを立ち聞きしていた房子の姿がありました。

また退職

「という訳でまた、辞めさせて下さい」

賢秀は、何度目なのかもうわからないぐらい、養豚場を辞めています。そして、今回も辞めると言い出しました。

「あり得ない。社会人失格。もう二度と戻ってこないで」

清恵にそう言われますが、賢秀もそのつもりです。

「今回は戻りません。戻る訳にはいきません。貧しい妹の力になってやりたいです」

しかし、貧しさで言えば賢秀も変わりません。いや、もっと貧しいはずです。

「貧しいあなたがどうやって妹の力になるの?」

清恵に言われても、賢秀はへこたれませんでした。

「だからよ、店を出す金がなくて泣いてる妹がいる。そこにドカーンと1発当てた俺がふらっと現れる。夕暮れ時、鶴見の労働者たちが家路を急ぐ頃、暢子これ少ないけど結婚祝いやさ。好きに使いなと札束を出す。暢子は腰を抜かして俺に抱きついてくる。にいにいありがとう。いつか倍にして返すから。俺は父親代わりの長男として、当たり前のことをしたまでだ」

そんな妄想に付き合ってくる寛大。清恵はあきれていました。

「やんばるの母ちゃんも泣いて喜ぶ。さすが賢秀、沖縄の一番星さ。歌子も涙を流す」

付き合いきれなくなった寛大親子が出て行くように言うと、賢秀は「先立つものが」と言って、前借りをせがむのでした。

暢子の孤独

「たくさん見て疲れてしまった」

和彦が帰ってくると、物件の見過ぎで疲れてしまったと言う暢子。

「帯に短し、たすきに長しって訳?」

暢子が決めきれないことを和彦はそう表現しました。

「それもそうだけど、物件探しもお金の計算も、頭ではわかっていたけど、全部ひとりで背負うのがすごく・・・孤独を感じてしまって。こんなのは始めてで、自分でも驚いている」

今までは房子の存在が、暢子が伸び伸びやれた要因でした。しかし、独立すると言うことは、「何があっても守ってくれる存在」がいなくなるというこです。そして、資金的な心配も、暢子にのしかかっています。

「僕も、家族のみんなもついてるよ」

和彦は、優しく言ってくれました。

「わかってはいるけど、お店をやるとなると、結局は自分ひとりで責任を取らないと」

暢子は責任に押しつぶされそうになっていました。

我那覇

歩きながら、ラジオで競馬中継を聞いている賢秀。また馬券を外したようです。

その時、ぶつかってくる男がいました。我那覇です。

「あの時は、申し訳なかった。急な身内の不幸で、君に直接話す時間もなかった。申し訳ない。この通りだ」

そう言って土下座する我那覇。賢秀は許してしまうのでした。しかし、我那覇には2度も痛い目にあっています。というか、お母ちゃんが2度も借金をしています。一度目は、為替詐欺。二度目は、紅茶豆腐詐欺です。

「だけど、元気そうでよかったよ。相変わらず、いい目してるな。
 どうだ、俺ともう1度新しいビジネスに挑戦してみないか?」

そんな誘いに賢秀は聞く耳を持ちません。

「我那覇さん、いくらなんでもこれ以上鴨になる気は」

しかし、我那覇の方が一枚上手です。

「今度こそ、今度こそだ。時代の最先端を行くビジネス、5万さえあれば、あっという間に金が5倍、10倍だ。当てようぜ、二人で、人生の万馬券。間違いなく俺たちは、ビッグになる道を知っている」

騙されないと誓う賢秀ですが、騙されそうです。

信用金庫の人

三郎から信用金庫の担当者を紹介してもらいました。

「鶴見ホクセイ信用金庫の坂田です。
 事業計画書の方、拝見させていただきました。こちらに書かれている経費、設備費や内装費、そして運転資金の見積もり、少しずつ甘いと思います。ある程度、余裕を持って開店するためには、融資申し込み額を1割から2割増しで考え直された方がいいかと。
 なにより、物件を決めていただかないと、経費全体のめどが立ちません。まずは店舗物件の確定をされた方がいいかと」

そう言われ、早く決めると約束する暢子。坂田の方でも、物件を紹介できるようです。

そこまで話すと、次の約束の時間だと坂田は言って、あわてて出て行きます。

「あの担当さんで大丈夫かね」

坂田のことを心配する順次。しかし、三郎は「悪い奴じゃない」と言うのでした。三郎の紹介なら、心配しなくて大丈夫でしょうね。

200万円引換券

見積もりが甘いと言われますが、融資してもらう金額が増えるのは、不安な暢子には難しいかも知れません。そこに賢秀登場しました。

「暢子!和彦!結婚おめでとう」

賢秀は結婚祝いを持って来たというのです。しかし、暢子はいらないよと言うのでした。

それでも、賢秀は祝儀袋を暢子に手渡します。中身は「200万円引換券」と書かれた紙が入っていました。

「にいにいありがとう。でーじ嬉しいさ」
「助かるよ。ありがとう賢秀」

暢子も和彦も棒読みです。しかし、賢秀はそんなことは気にせず、今のビジネスについて話し出すのでした。

賢秀のビジネス

「アメリカ製ビタミン剤、ジャイアントスリーセブン。
 驚くなよ。アメリカではもう野菜や果物でビタミンを取らない。なぜならこのジャイアントスリーセブンがあるからで!」

つまり賢秀は、ビタミン剤を売り歩くセールスマンになったのでした。しかし、話しはそう簡単なモノではありませんでした。

「ただのセールスマンじゃありません。今の俺は、ジャイアントビタミン商事会社のエージェント代行。
 入会金5万円を払って会員になる。そうするとジャイアントスリーセブンを売ることができる。新しい会員を5人勧誘したら、エージェント代行になれる。エージェント代行には、平の会員が売った売上の3割が入る。さらに勧誘し、孫会員の売上の2割も懐に。会員が増えれば増える程大儲け。システムフロムアメリカ。どんなんか?わかった?」

暢子には理解できません。内容は理解できますが、それが仕事としてやっていけるものかがわかりません。

「やんばる高校卒業のお前には難しいか。特別にプレゼントする。じゃあ、次のアポイントメントがあるから。あばよー」

そういうと賢秀は去っていきました。そんないい話があるのかと、疑う暢子でした。

海外旅行と野菜嫌い

良子と博夫と晴海は、名護で一緒に暮らしています。

「今度の夏休み海外旅行どう?」

博夫の提案に良子も晴海も大喜びです。しかし、良子には心配事がありました。

「だけどうち、今学期から給食主任になったし、仕事大丈夫かな?」

心配する良子に博夫は諭します。

「実際に給食を作るのは調理員、給食のおばさんたちだろう?良子がそんなに根詰めなくても」

良子は昔から真面目です。博夫は簡単に言いますが、そう言う訳にはいきません。

「主任を任されたからにはそう言う訳には。うちの調理員には、安室のおばあって言って、子供の頃から良く知ってるおばあがいて、この人が頑固なわけよ」

しかし、博夫が「海外旅行、やめる?」と聞くと「行きたい」と言うのでした。

「海外旅行は行きたい。ずっとそのために質素倹約を心に決めて、いろんなことを我慢して貯金してきたんのに」

良子と博夫の話しを聞いていた晴海は、食事を終えました。

「ちょっと待ちなさい。晴海、また野菜残したの?」

晴海は野菜が嫌いです。博夫は好き嫌いがあっても仕方ない年だと、晴海をかばいます。

「博夫さんは晴海に甘すぎる。野菜嫌いを直そうと、いろいろやってるんだのに」

真面目過ぎる良子なのでした。

好き嫌い

給食では、野菜を残す子供がたくさんいます。

やんばる小中学校は他の学校と離れているため、校内で調理員が給食を作っていました。献立は栄養士が他の学校と共通のものを送ってきて、それを作る仕組みです。

「だから、なにか工夫して、残飯率を下げなきゃいけないです」

しかし、安室のおばあは、良子の話しを聞く気がありません。

「いうのは簡単、子供の好き嫌いは簡単には治らない」

そんなことは当たり前という感じで、安室のおばあは良子に言います。

「だから今、栄養士さんと相談して、給食の献立を改善しようと」

良子は真面目に改善策を考えていました。

「栄養士さんは、いくつも学校を受け持っていて、でーじ忙しいわけ。電話口では何とでも言える」

安室のおばあの言うことも、一理あります。そんな時、暢子から電話が学校にかかってきました。

マルチ商法

「ねずみ講?つい最近取り締まる法律ができたマルチ商法のことでしょ?にいにがマルチ商法始めたってこと?」

暢子は賢秀から聞いた話から、マルチ商法のことを知ったようです。それで、良子に連絡を入れたのでした。

「詳しいことはわからないけど、とにかくにいにいから電話あっても絶対入会しないでね」

良子や歌子は大丈夫ですが、賢秀に甘いお母ちゃんが一番心配です。急いで良子が帰ると、すでに実家に荷物が届いていました。

「母ちゃんがうちに相談もなく会員になってしまって」

歌子は困ったように良子に言うのでした。

「うちはビタミン剤より野菜食べる方が好きだから開けないけど、賢秀が一生懸命やってるのに応援してあげたいさ」

甘々なお母ちゃんはそう言うのでした。良子はこれ以上はダメだからねと、お母ちゃんに釘を刺すのでした。

良子のイライラ

晴海はやんばるの実家でご飯を食べていましたが、また野菜残していました。

「野菜食べないなら、ご飯はなし。もうなにもあげないよ」

良子はつい、きついことを言ってしまいました。

「良子、なにもそこまで言わないでも」

お母ちゃんに諭されますが、良子のイライラはピークに達していました。

「これはお母ちゃんには関係ないから何も言わないで」

つい、お母ちゃんにあたってしまう良子。

「良子ねえね、落ち着いて」

歌子に言われて、やっと落ち着きました。

「ごめんなさい、ちょっとイライラしてて。好き嫌いが多くて困ってるさ」

お母ちゃんはそんな良子を怒らず、晴海にしばらくやんばるの実家でご飯を食べていくようにいうのでした。

「ちょっと考えがあるさ」

そう言ってお母ちゃんは笑っていました。

野菜の声

「おばあ、これなに?」

晴海はお母ちゃんと一緒に畑仕事に出ていました。

「これは島らっきょ。あっちはシマナー(島菜)。ハンダマ(金時草)。
 畑とお話して、今日は何が美味しいか聞いてみようね」

そう言うと、モーウイ(赤瓜)を収穫し、その場で切って晴海に食べさせます。

「ほら、野菜の声が聞こえるよ。今日晴海ちゃんがお水をあげたから、明日はもっと美味しくなるねって言ってるよ」

そう言って、野菜のことを好きになってもらうところから始めるお母ちゃんでした。

優良物件

東京都杉並区にあるサンサン商店街に暢子と和彦は物件を見にやってきました。案内してくれたのは、信用金庫の坂田です。

「元々は魚屋をやっていた食堂で、オーナーさんがご高齢で店を畳まれ、状態はすごくいいんですよ」

そう言って紹介してくれたのは、綺麗で広い店舗でした。そして、二階があり、元々は住み込みの従業員のために使っていたようです。

「ひろーい。こっちにも部屋がある」

酒田は自信をもって勧めてくれていました。

決めた

やんばるの実家に暢子が電話すると、歌子が出て話しを聞いてくれました。

「いい物件が見つかって良かったね」

そう言ってくれますが、まだ心配事は残っています。

「でも、家賃がちょっと予算オーバーな訳。もし失敗したら、全財産無くして借金だけが残ってしまう。そう考えたら、決めるのが怖くなってしまって。うちは、向いていないのかね」

そうグチを言う暢子に歌子は言うのでした。

「大丈夫。暢ねえねえは昔から食べ物屋さんをやる運命な訳よ。
 ヤング大会、うちは忘れないよ。
 何もしてあげれないけど、聞くことはできるから、いつでも電話して」

歌子に言われて、昔を思い出す暢子。ヤング大会では、みんなに食べてもらうことで、幸せな気持ちになったのでした。

そして、電話を切ると暢子は「決めた!」と決断したのでした。

暢子のわがまま

信用金庫の坂田に見てもらった事業計画書。それを書き直してる暢子。和彦が帰ってくると、物件を決めたことを伝えます。

「うち、あの物件借りたい。あそこなら、きっと上手く行く気がする。確かに家賃は予算より高いけど、ほんのちょっとだし」

暢子の笑顔に安心するの和彦。

「良かった。最近ずっと難しい顔してたから。慎重に考えるのも大切だけど、最後はやりたいかで決めるしかない。応援する。僕は暢子の笑顔が一番好きだから。そうと決まれば、早く契約しないと。誰かに先を越されたら悔しいでしょ?」

和彦にも賛成してもらって嬉しい暢子。ですが、心配事はそれだけではありません。

「でも、一つ問題がある訳。契約して保証金を払ったら、すぐに家賃が発生する。本格的に準備に取り掛かるためには、なるべく早くフォンターナを辞めないと。
 ただ、そんなわがまま許されるかどうか。こんなに早くいい物件が見つかるとは思ってなかった。人によっては、何カ月もかかるって聞いたし」

考えても仕方ない暢子は、房子に話してみることにしました。

房子の優しさ

「その物件に決めたのね?契約はいつ?」

房子は単刀直入に聞きます。契約は月末を予定しています。

「間取りもリッチも悪くないですし、店舗の2階に住むことができるそうです。しばらくは、仕事をしながら開店準備をしていただき、どうでしょう?2ヶ月、3か月・・・」

二ツ橋は急に辞められると困るという思いで、房子にそう提案します。

「暢子さん、今月いっぱいで退職、それでいい?不都合があれば考慮します」

房子は、二ツ橋の言葉には耳を貸さず、暢子にそう言うのでした。房子は事情を分かってくれていました。それで、言い方はぶっきらぼうですが、暢子の意に沿って決断してくれたのでした。

「ありがたいです」

そういう暢子に房子は房子なりの言い方で送り出すのでした。

「辞めてく人間に余計な人件費かけたくないから」

賢秀を心配する人

養豚場では、寛大と清恵が重い荷物を運んでいました。

「男でが必要な時に限って・・・」

清恵は賢秀の不在を嘆きます。

「賢秀か、そう言えばしばらく音沙汰ないな」

寛大も心配のようです。

「変なもめごとに巻き込まれていなきゃいいけど。あのバカ」

清恵はそう言って心配していますが、寛大に心配してるのかと聞かれると「別に関係ないし」と言うのでした。

立派な犯罪です

その頃賢秀は、フォンターナに来て、房子に栄養ドリンクを売りに来ていました。

「これを飲めば、健康で長生きができるだけではなく、幸せのジャイアントビタミン仲間を増やし、会員になったみんなが金持ちになれるというスーパーハッピーなシステムなんです。本部発表では、なんと会員が毎週5人新規会員を獲得中!この勢いは、止まりませんよ」

自信満々に言う賢秀に房子は冷静に返します。

「それが本当なら、あっという間に日本の人口を越える。
 明らかにねずみ講。ねずみ講という立派な犯罪です。
 あなたは、その歩合だか配当金だかをもうもらったの?」

そう聞かれて「まだ・・・」と答える賢秀。

「いつもらうの?貴方は誰のためにこのビジネスを始めたの?大事な人に迷惑をかけたくなかったら、ちゃんと自分で真実を確かめてきなさい」

房子にそうどやされて、賢秀は騙されていたことに気づきました。というか、気づくのが遅いのです。素直に房子の言うことを聞いて、会社に向かうのでした。

事件

新聞社で田良島と和彦が話しをしています。

「お前はいいのか?フリーランスになって、沖縄をライフワークにする夢は?」

それを諦めるつもりは和彦にはありません。

「もちろん、諦めていません。でも今は、とにかく暢子の夢の実現を応援したいと思っています。もうしばらく、しっかり頑張らせてもらいます」

そして、暢子の店のことで、和彦は保険を準備しようとしていました。

「社員特別融資って制度ありますよね?万が一に備えて、どんな制度か知っておきたいんです」

そう言われた田良島は「総務に確認しておく」と言って、思い出したことがありました。

「金と言えば、暢子ちゃんの兄貴がねずみ講みたいな商売始めたって言ってたけど、まさかこれじゃないよな?」

そう言ってメモを見せてくれました。

ドンピシャ

田良島は聞いた話を和彦に教えてくれました。

「社会部の飲み仲間から聞いたんだが、いくつかの会社を警察はマークしていて、近々一斉に逮捕に動く予定だと。週刊誌も張り付いているらしい」

見せてくれたメモには会社名が書いてありました。

  • ニコニコフレンド企画
  • 南アルプス興業
  • 大西洋ビクトリー商事
  • 板井須小畑オフィス
  • マツゾノ信用事務所
  • ジャイアントビタミン商事

和彦が名刺を出すと、そこには「ジャイアントビタミン商事」と書かれていました。

田良島は驚いて「おい、ドンピシャ!」と叫んでいました。

違約金

賢秀が会社に行くと、もうすでに我那覇達が揉めていました。

「配当金を払って下さいよ」

我那覇達は、代表の黒岩に詰め寄っていました。黒岩の周りには、強面の屈強なボディーガードが並んでいます。

「配当金は、子供と孫、それぞれがノルマをクリアしたら半年以内に支払います。契約書に書いてある。ちゃんと読まないあなたが悪い」

報酬を支払う条件は、契約書に小さい字で書いてありました。そして、我那覇が入会する時には、そんな説明はありませんでした。今回は我那覇も騙されていた方のようです。

そこに賢秀は入っていきます。

「騙したんですね?これ、悪徳商法の犯罪なんでしょ?」

そう言うと黒岩は「ネットワークビジネス」だと言うのでした。

「俺は会員を辞めます。預けた契約金、返して下さい」

賢秀が詰め寄ると、黒岩は金を要求するのでした。

「ノルマを達成せずに退会する場合、違約金200万円を支払ってもらいます」

乱闘

200万円なんてお金はありません。そのお金を得るために仕事をしたのです。

「預けたお金、返して下さい。お母ちゃんがコツコツ貯めたお金、あれだけは返して下さい」

賢秀が黒岩の胸ぐらをつかんで詰め寄ると、殴られる賢秀。

「見ましたね、先に手を出したのはこいつら」

そう言って殴り合いを始めてしまいます。我那覇はその騒動を目に逃げ出しました。

不審な電話

名護の博夫の家に電話がかかってきました。

比嘉賢秀の妹を出すように電話口で言われます。

博夫は良子に電話を替わります。

「違約金?何の話しですか?200万?ここは沖縄県ですけど?」

そう言うと電話は切れてしまったようです。

金は生き物

暢子はバックを抱え、挙動不審になりながらあまゆに帰ってきました。

「どうした、腹でもいたいのか?」

三郎にそう声を掛けられると、訳を話します。

「郵便局と信用金庫でうちの開店資金を全てを。保証金と前家賃、その他含めての200万円。こんな大金持ち歩くの始めてだから、でーじドキドキして」

そう言うと、三郎に閉まっておくように言われます。

「甘く見てると痛い目にあうよ、昔の俺みたいに」

智は、若くして独立して自分の会社を立ち上げました。最初の頃は、若造だと舐められたこともあったようです。

「金は生き物、大事にしてくれる人の所に集まる。粗末にする人から離れていく。商売やるならきっちり肝に銘じておかなきゃ」

そう三郎に言われ、暢子はお金をしまいに行こうとしました。そこに電話が鳴りました。

「違約金、200万円?大至急持ってきてもらえますか?そうしないとおたくのお兄さんが」

賢秀は黒岩達に捕まっていました。

「ちょっと待って下さい。そこはどこですか?」

場所を聞くと、お金を持って走り出す暢子。

大乱闘ヒガ・ブラザーズ

田良島から聞いた情報を持って和彦が帰ってくると、暢子と入れ違いになったところでした。

和彦は暢子を追いかけます。そこに智も一緒にきてくれました。

会社に3人で到着すると、暢子は扉を開けます。

「暢子さん?お兄さんが約束守ってくれなくて困ってるんですよ」

そう言われ暢子は賢秀に確認します。

「悪いこととは知らなかったんだよね?」

賢秀の代わりに黒岩が答えます。

「お兄さんは全て承知の上で会員になられました。違約金はお支払できますか?」

手にしたお金を見る暢子。

「暢子、やめれ、俺なんかのために」

しかし、暢子は賢秀のためにお金を渡します。

「大げさだな。貧しい母親に育てられた貧しい兄妹だ」

黒岩にそう言われ「お母ちゃんをバカにするな」と黒岩を殴ってしまう暢子。

乱闘になります。暢子が殴られそうになると和彦と智も参戦しての大乱闘です。

パトカーのサイレンの音を聞くと、黒岩達は逃げてしまいました。追いかけようとする賢秀。それを暢子は止めました。

「にいにい、お金はもういいから」

戻ってこないお金

あまゆに戻ってきた暢子は、三郎達と話していました。

「まぁ警察には事情はわかってもらったし、田良島さんもだいぶ口添えしてくれて、賢秀がお縄になることはなさそうだ」

問題の賢秀は、警察署で別れて、和彦、智と一緒にいるようです。

「暢子ちゃんのお金は?」

トミが聞くと、三郎は答えました。

「それは、戻ってくる可能性は低いだろうって」

トミは納得いきません。暢子が何年も働いて貯めたお金と、借りてきたお金の全財産です。

「うちは、大丈夫です。にいにいが無事だったから、いいです。お店はまたいつか・・・」

地獄に落ちたような表情で、暢子は気丈に言うのでした。

ボロボロの3人

乱闘の結果、ケガをしてフラフラになって歩く賢秀、和彦、智。

「あんなへなちょこパンチで勝てるはずないだろう」

賢秀は和彦にそう言うと、和彦は言い返します。

「賢秀こそ、ボクサーのくせに」

口だけは達者な賢秀は、いい訳をするのでした。

「だからよ、素人相手に本気だせないさ」

近くにあったベンチに座る3人。このベンチは、我那覇と会ってそそのかされた時に座ったベンチでした。

関係ないって二度と言うな

ボロボロになって、子供の頃善一が責任者の共同売店で、悪さをした時のことをを思い出す賢秀。

「何人か仲間がいて、みんな万引きしたんだが、賢秀は俺の目を盗んでレジの小銭を」

お父ちゃんに善一はそう説明しました。そうすると、お父ちゃんは、善一の前で土下座しました。

「次にこいつがこんなことしたら、俺が刑務所に入る。すんませんでした」

そこまですると思わなかった善一は、お父ちゃんに止めてくれと言います。

賢秀は、自分のせいでお父ちゃんに頭をさげさせたことで、自分に腹が立っていました。

「ありえん!父ちゃんは関係ない!」

関係ないと言う賢秀にお父ちゃんは怒ります。

「関係ある。家族だのに関係ある!関係ないって言うな!二度と言うな!

そして、賢秀を抱きしめるお父ちゃん。

「お前は悪くない。悪いことしたけど、お前は悪い人間じゃない。お前が悪いとしたら、それは父ちゃんのせいだ」

お父ちゃんの遺言

そして、お父ちゃんは死の間際、「お母ちゃんとみんなを頼むよ」と言い残したことも思い出しました。

和彦と智の前で土下座する賢秀。

「すまなかった。俺は本当に情けない。大バカ者やさ。
 暢子に幸せになって欲しかった。母ちゃんに楽させてやりたかった。でも、ただそれだけなのに。
 俺は今度こそ心を入れ替えて地道に働く。何年かかっても、暢子の200万円、必ず、必ず倍にして返すから」

結局、倍にして返すと言う賢秀は、根本は変わってないのかも知れません。暢子の東京への旅費、紅茶豆腐の代金、今回のを合わせると400万円ぐらいでしょうか?その倍は800万円。80年代の養豚場だと、途方もない金額なのかも知れません。

もらってちょうだい

暢子は良子と電話していました。

「にいにいは無事、今は和彦君と智と一緒にいるはず。
 200万円は戻ってこないさ。だから、お店は諦める」

良子と暢子の電話の会話を聞いた博夫が、電話を代わります。

「暢子ちゃん、お金送ろうね。
 海外旅行に行こうと貯金してたから、暢子ちゃんの開店資金にして。良子に代わるね」

良子が電話を受け取ると、博夫に「本当にいいの?」と確認します。

あのにいにいがいたから、俺たちは結婚できたんだから」

博夫に抱き着く良子でした。しかし、その時賢秀は喜納金吾の父から金をだまし取ろうとしていたのです。確かに思いは博夫にぶつけましたが、どちらかと言えば歌の子の方がファインプレイでした。

「にいにいを助けるためなら、200万円使おうって博夫さんと決めた訳。うちが暢子の立場でも、迷わずお金を渡したと思う。にいにいが無事で良かった。どうもありがとう。本当に本当にありがとう」

暢子は、嬉しくて嬉しくて、仕方がありません。

「でも、いつ返せるかわからんよ」

そう言うと、良子は返さなくていいと言うのでした。

「もらってちょうだい。復帰の年から、一人で東京で働いて、何年頑張った?暢子のお店、楽しみにしてるから」

暢子はあふれ出る涙を止めることができませんでした。

さよならフォンターナ

良子たちからの援助を受けて、暢子は開業に向けて準備を始めることができました。

そして、フォンターナ出勤、最後の夜。

「本日をもって、うちはこのフォンターナを卒業させてもらいます。ここで7年間、たくさんのお客様の笑顔をみることができました。うちの人生の宝物です。みなさん、本当に、ありがとうございました」

スタッフにそう挨拶した暢子でした。

足元の泉

房子と暢子は二人でテーブルに座っていました。そこに、二ツ橋がワインを注いでくれます。

「一つだけ教えて。どうして沖縄料理なの?ずっとイタリアンの修行してたのに」

房子も、それは疑問でした。

「いろんな人に聞かれて、うまく言葉にできなくて、考えていたんです。
 小学生の時に和彦君がやんばるに来たんです。父がまだ生きていたころです。父と作った沖縄の蕎麦を食べてもらいました」

和彦は、「今まで食べた蕎麦の中で、一番おいしい」と言ってくれました。小さかった暢子は、踊って喜んだのでした。

「うちが料理をして誰かに食べてもらいたいのは、あの日の嬉しさが忘れられないから、父と作った家族と食べた美味しい物を食べてもらいたいからなんです。
 うちにとっては、足元の泉は、家族と食べた故郷の料理です。うちは、故郷の味で、たくさんの人を笑顔にしたい。だから沖縄料理のお店をやりたいんです」

それを聞いて納得した房子。

「大きな店で高級な料理を作ることだけが、料理人の幸せと限らない。その人が何をやりたいのかによりけり。ただ、何をやりたいのかわからないまま終わることが多い。沖縄料理の店をやりたい理由は、わかりました」

約束の内容確定

「オーナー、約束は必ず守って下さいね。
 うちがお店を開いたら、三郎さんと多江さんと泡盛で乾杯しにきて下さい」

そういう話はしましたが、やっぱり乗り気ではない房子。

「うん、始めるだけなら誰でもできる。こうしましょう。知らないお客様だけで、お店が満席になったら、私はあなたのお店に行く」

そうして、暢子と房子の約束は、決まりました。

最後の晩餐

「この店から独立する人みんなに言っていることを言います。
 どんなに苦しくても資金援助はしない、借金の保証人にもならない。
 たとえ親戚だと言っても、そのルールは変わりません」

そういう面で、房子の守りが固いことは暢子も知っていました。

「わかっています。だけど、ちょこちょこお店には顔を出させてもらいますね」

二ツ橋と約束したことです。

「来なくていい。あなたはこのフォンターナと関係なくなるし、私とも関係なくなる」

そう房子が言うと、暢子は「関係はなくなりません」と言います。

「いつかあなたは私のことを忘れるし、私もあなたのことを忘れる」

意地になる房子。

「うちは絶対にオーナーのこと忘れません。オーナー、うちのこと、忘れるんですか?」

そう言われ、何も言えなくなる房子。そこに二ツ橋が、最後の晩餐にぴったりの物を運んできました。それは、二ツ橋が作った「ナポリタン」でした。

ナポリタン!うちが一番最初に作った、イタリア料理です」

ナポリタンはイタリア料理ではありませんが、それも懐かしい思い出です。房子は忘れることができません。暢子との出会いが三郎と結び付け、賢三とも結び着いたのです。

房子と暢子はナポリタンを食べています。その姿をみて、二ツ橋は陰で泣いていました。

店の名前

後日、暢子と和彦は借りたお店に一緒にきていました。鍵を開けます。

「今日からここが・・・」

感激する暢子。和彦が言葉を続けます。

「暢子の店」

暢子は嬉しくて、興奮して「ちむどんどんが止まらない」状態になっていました。しかし、和彦は冷静です。

「オーナー、浮かれている場合じゃありません。
 お店の名前、いつお決めになるんですか?」

そう言われて「であるね」と考える暢子。

「ちむどんどん・・・」

暢子が言葉にすると、和彦は賛成します。

「お店の名前が?うん、いいと思う」

ちむどんどんに決まりました。

あまゆで送別会

「それでは、若い二人の門出を祝って、乾杯!」

沖縄県人会の人たちが集まって、あまゆで送別会を開いてくれました。

「ちむどんどんの開店はいつ?」

智にそう聞かれて暢子は答えます。

「内装工事が終わって、厨房の設備が整ったら、8月のはじめ頃には。
 三郎さん、多江さん、みなさんも、開店の日にはぜひいらっしゃってくださいね」

そう言うと、多江は「たまには鶴見にも顔だしてね」と言うのでした。暢子が東京へ来たその日から、三郎と多江にはお世話になっています。

県人会の人たちは暢子のチャンプルが食べれなくなると嘆いていました。

無職になる訳にいかないだろ

そんな送別会のあまゆに、和彦宛に電話がかかってきました。相手は田良島でした。

「僕、東洋新聞クビになるかもって」

詳細は翌日わかりました。週刊誌に東洋新聞の記者が悪徳商法の会社にいたと、写真付きで載るようです。

「うちの記者が悪徳商法に関わっていたとなると、読者はもちろんのこと、上層部も黙っちゃいない」

編集局長は、和彦と田良島にそう伝えます。編集局長は、フォンターナで和彦とケンカをした因縁の相手です。

「殴っちまったのか?」

田良島に聞かれ、和彦は「突き飛ばしたのは事実です」と答えます。

「暴力を認めるんだな。責任を取って退職届を書け。書きたくないと言うなら懲戒解雇だ」

編集局長にそう言われると、田良島が言います。

「俺が責任を取ります。俺が辞めるので、青柳は不問にして下さい」

編集局長は「処分は追って伝える」と言って去りました。

田良島は和彦が結婚し、暢子がフォンターナを辞めた今、無職になる訳にいかないと思って、言ってくれたのでした。

退職届

結局、退職届を書く和彦。暢子は「辞める?」と聞きます。

「うん、そうしないと田良島さんに迷惑が」

あんなに世話になった田良島に、これ以上迷惑をかける訳にはいきません。しかし、暢子は自分と賢秀が迷惑をかけてしまったと反省します。

「暢子も賢秀も、僕の大切な家族。後悔はしていない」

暢子に力強く和彦は言いました。でも、重子との「和彦の仕事の邪魔はしない」という約束は破ってしまいました。

その後の賢秀

養豚場に戻ってきている賢秀。働く姿を見て、清恵は賢秀に聞きます。

「今度は何を企んでるの?
 おかしいじゃん、顔にアザ作って帰ってきてから、休憩も取らずにずっと」

そう言われた賢秀は、清恵の肩を掴みます。

「清恵さん、僕は生まれ変わる。真面目に地道にコツコツ生きていくと決めた。もし、ご迷惑でなければ、ここで一生一緒に働かせて下さい」

清恵はドキっとしてしまいます。

「一生?一緒に?それは・・・つまり・・・」

そんなタイミングで寛大がやってきて、二人がいい雰囲気になっていると勘違いします。そして、意味不明なことを言って豚舎に行くのでした。それを追いかける賢秀。

清恵の心にあたたかな風が吹いたようです。

野菜嫌いを克服

その頃、お母ちゃんと晴海は畑仕事していました。

「今日は晴美ちゃんが、野菜のお刺身をお母さんと食べるんだよね?」

お母ちゃんがそう言うと、晴海は「うん」と元気に返事をしていました。

良子とお母ちゃんと一緒に、晴海が収穫したモーウイを切って生で食べます。野菜嫌いだった晴海の姿に驚く良子。

「おいしい!まーさん!お母さんも食べて!
 このモーウイ、うちが育てたんだよ。モーウイは赤瓜ともいう訳、煮物にしても、酢の物にしても美味しいよ。でも、畑で食べるの一番だ」

晴海は顔を泥だらけにして、美味しそうにモーウイを食べていました。

「特別な物でなくていい。うちらの目の前には、こんなに美味しいもので溢れている。お母さんたちもこの畑の野菜を食べて、元気に大きくなったんだよ」

良子は給食を残さないようにするためのヒントを見つけたようです。

関係ないってのシンクロ

和彦は東洋新聞を退職することになりました。

「この学芸部で学んだことを糧に、新たな自分の道を探して、頑張りたいと思います。長い間、おせわになりました。本当にありがとうございました」

暢子も一緒にきていました。和彦と暢子は田良島に個別に挨拶します。

「田良島さん、お世話になりました。
 いずれ新聞社を辞めるつもりでしたし、しばらくフリーの記者として、自分の企画書を持って出版社を回ってみます」

田良島はずっと無言でしたが、やっと口をきいてくれました。

「小さくないぞ、東洋新聞の看板を無くした代償は。ちょくちょく顔出せ、なんでも相談にのる」

しかし、和彦は辞めた人間が顔を出すのは迷惑でしょうと言います。

「迷惑じゃないよ、お前が勝手に決めるな」

そう言われても、和彦は田良島に迷惑をかけたくはありません。

「上層部は田良島さんにも目をつけています。僕と関わらない方が・・・僕は、東洋新聞社とも田良島さんとも関係ないですから」

ドン!田良島は机を叩くと、悲しみを湛えた目で、和彦を見ます。

関係ないなんていうなよ。二度と言うな

お父ちゃんとシンクロしていました。

新しい生活のスタート

暢子のお店「ちむどんどん」の開店まであと2ヶ月。二人は不安を抱えながらも、新しい暮らしを始めました。

「ごめんね、うちのせいで」

暢子は、和彦が仕事を辞めた責任を感じています。

「元々いつかは、新聞社を飛び出して、自由に仕事がしたいと思っていた。きっと神様がそのチャンスを与えてくれたんだ」

前向きに考えている和彦。そして、暢子のことを気遣います。

「二人で力を合わせれば、きっと上手く行く。傍に暢子がいてくれたら、百人力だよ」

そう言われて嬉しい暢子。

「うち、和彦君と結婚して良かった」

本当の意味での二人の新婚生活が始まります。

そんな時、暢子はお腹の調子を気にします。「お腹空いた?」と聞く和彦に暢子は言うのでした。

「ううん、むかむかする」

そして、和彦が近づいてくると、貧血のように倒れ込む暢子なのでした。

最後に

相変わらずの賢秀にドン引きしました。しかし、少しでも良い方向に向かってくれるのなら、それはそれでいい気はします。

そして、予告では矢作が3度目の登場です。そして、矢作の妻も出てくるようです。そう言われれば、矢作こと井之脇海は、賢秀こと竜星涼と「ひよっこ」で親友でした。これは、「ちむどんどん」でワンチャン意気投合して、親友になる線もあるかもしれません(たぶん、ない)。

そして、暢子のむかむかする腹痛は、きっとご懐妊ですよね?おめでたいことですが、開店直前にどうするんでしょうか?

来週の予告

あ、歌子と智は結ばれるんですか?