権田という男 ちむどんどん(17) ネタバレあり

朝ドラ映画・ドラマ
朝ドラ

権田という男 は、矢作が盗んだフォンターナの権利書で、大城房子から金を引っ張ろうとする人物です。

突然フォンターナに降りかかった厄災。どうやって振り払うのでしょうか?あの男が登場??

そんな第17週のネタバレです。

ちむどんどん公式HP

主な登場人物

比嘉暢子のぶこ  黒島結菜  やんばる生まれコックの修業中
青柳和彦  宮沢氷魚  中学生の頃沖縄で暢子達と過ごした。新聞記者

石川良子  川口春奈  暢子の姉でやんばる小学校の先生。
石川博夫ひろお  山田裕貴  良子の夫で名護の小学校の先生。
比嘉歌子  上白石萌歌 暢子の妹。体が弱いが歌は上手い。
比嘉賢秀  竜星涼   暢子の兄。どうしようもない人。

大城房子ふさこ  原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚。
平良三郎  片岡鶴太郎 鶴見の沖縄県人会会長。
田良島たらしま甚内じんない 山中崇   東洋新聞社のデスク。和彦の上司。
砂川さとる   前田公輝  暢子にフラれた幼馴染

青柳重子しげこ  鈴木保奈美 和彦の母
矢作知洋ともひろ  井之脇海  元フォンターナ従業員

第17週のストーリー

矢作再来

「オーナーに伝えてくれ、もらい忘れてた退職金、もらいに来たってな」

以前、突然退職した矢作ですが、今は麻布の一等地に自分の店を出したというのです。しかし、家賃が高い上に、初期投資しすぎて、結構な借金を抱えているようです。そして、客足が思うほど伸びず、資金繰りに困っているのでした。

そんなことがあった後、暢子出勤すると泥棒がフォンターナに入っていました。前日の売上金と、店の権利書を持っていったようです。

しかし、不思議なのは、店の窓ガラスも割られておらず、鍵も壊されていないことでした。

「私の見間違いかもしれないけど、夜遅く会合から戻ってきたら、矢作らしい人が店から出てきた」

すぐに警察に連絡しようとするスタッフを止めたのは、房子でした。

「矢作さんの名前は出したくない。みんなは仕込み始めて。まずは、今日のお客様が第一」

そう言うと、仕事に取り掛かるのでした。

東洋新聞に重子

和彦の母・重子が、和彦の勤める東洋新聞にやってきました。

「失礼します。青柳和彦の母、重子と申します。田良島さんは?」

そう言うと、田良島と話したいと言うのでした。田良島は、和彦が不在だと伝えると「存じております」と言うのです。そして、場所を移すことなく、みんなに見え、聞こえるように田良島の席で話しをします。

「単刀直入に申します。息子と比嘉暢子さんの結婚に反対して下さい。
 よーくご存じでしょ?あの沖縄のお嬢さんと何度もお会いになってるし、彼女が働いているレストランのご常連でもある。とにかく、私がそのような用件で尋ねてきたと和彦に伝えて下さい」

重子が反対する理由を田良島が聞くと「息子が不幸になります。家の格が釣り合いません」と言うのでした。そして、それだけ言うと、帰ろうとしするのでした。

田良島の推測

「期待してないですよね?私があなたに同調して、結婚に反対するとは思っていない。そんな期待は全くしていない。
 だけど、わざわざ、この職場の全員に聞こえるよう言いに来た。いろいろお調べになったんですね。なら、ご存じでしょう?
 暢子さんがここでバイトしてたこと。ここの連中は彼女の顔見知りですから、彼女の耳にも入る。自分が面倒な母親役を演じることで、自分たちが周りに迷惑をかけていると罪悪感を抱く。そうすると、二人の仲はだんだんおかしくなる。そこまで計算して青柳が不在の時にやってきた」

田良島の言うことは間違っていなかったようです。しかし、それ以上に重子は、和彦が不幸になるのをなにもせず見ている訳にはいかなかったのです。

「無駄ですよ。若者は自分の力で、障害を乗り越える。特に和彦君のように意思が強く、誠実な若者は。次は、披露宴でお会いしましょう」

そう田良島は重子に反論するのでした。そして、重子が和彦の席を見ると、そこには「中原中也詩集」が置いてありました。

それを見て、動揺する重子。自分の好みを知って読んでいたことで、驚いたのでしょうか?

助けを求めよう

閉店後、暢子が伝票の整理をしていると、二ツ橋が話しかけます。

「暢子さん、鶴見の三郎さんに一応知らせておいた方がいいと思うんです」

二ツ橋は、今起きていることだけでなく、これから起こるトラブルも想定して、三郎に力になってもらうことを考えていました。

三郎であれば、きっと力になってくれるはずです。そして、暢子は、ちょうど琉装を借りるために、三郎の家に行く予定がありました。

しかし、そこに登場した房子は、反対します。

「暢子さん、この件はこの店のスタッフだけの秘密。他の誰にも口外しないこと。わかった?
 二ツ橋さんも。私の命令は絶対」

そう言うと、暢子と二ツ橋に納得させるのでした。

三郎の役割

フォンターナのことを悩みながら、暢子は三郎の家へやってきました。ここには、東京に来た時に泊めてもらったことがありました。それからの縁です。

「会長、お世話になりました」

三郎の家の玄関に大勢の人がいて、三郎にお礼を言っているところでした。

「気にすんなよ、ゆいまーる(助け合い)って言ってな、困った時はお互いさまよ」

そして、その人達は帰っていきました。顔を出す暢子。三郎は暢子を家の中に招き入れてくれました。

三郎の妻・多江は、琉装の準備をしてくれています。実際に袖を通すと、とっても素敵です。母の願いもあり、これを借りて、暢子は披露宴で着ようと思っています。

「さっき、三郎さんにお礼言ってる人がいましたよね?」

試着しながら、暢子は多江に聞きます。知り合いの棟梁が、元請け業者とトラブルになったと言うのです。

「うちの人はトラブルを収めるのが仕事みたいなものだから。暢子ちゃん、何かトラブル抱えてるの?」

そう聞かれて、つい言ってしまいそうになる暢子。しかし、房子の指示は絶対です。

母の気持ち

「和彦君のお母さんに毎朝のお弁当、まだ続けてるの?」

多江は暢子に聞きます。暢子は続けていますが、今度改めて、フォンターナに招待するつもりです。

「私はもちろん、暢子ちゃんと和彦君の結婚に賛成だし、応援もしてるけど、和彦くんのお母さんの気持ちもわかる。
 生まれ育ちが違えば、習慣や考え方も違う。当然、暢子ちゃんと和彦君のお母さんも、自分とは違う生き方を認めるのは簡単じゃないしね。自分と他の人の生き方を比べても、仕方のないことなんだけど」

多江はそう言うと、母親の気持ちを聞かせてくれました。

「自分と誰かを比べて、悩んだことがあるんですか?」

暢子はそう聞きますが、多江はそれには答えず言うのでした。

「暢子ちゃんが困った時には、必ず力になるから、なんでも相談してね」

権田という男

和彦と重子がフォンターナに来る日を前日に控えた日、閉店後に店のドアをノックする音がしました。

ノックしたのは、見るからにガラの悪い人達。店に入ってくるとオーナーを呼ぶように言います。

「お待たせしました。オーナーの大城房子です」

房子が現れると、ガラの悪い人達の代表が名刺を出します。

「権田正造と申します」

しかし、房子は名刺を受け取りません。その態度を見て、権田はテーブルの上に名刺を置きました。

月島の方で小さな会社をやっていると名乗った権田は、フォンターナの権利書を取り出します。

「以前、こちらにお勤めだった矢作さんに融資をさせてもらいました。しかし、元金はもちろん利息の返済もおぼつかなくなった。これを返済に充ててくれと泣きつかれて、一応預かりました。退職金代わりに譲り受けたと」

権利書の出どころは、やっぱり矢作でした。そして、その矢作は夜逃げしてしまって、行方知れずになっているのでした。そして、権田は、銀座のフォンターナは儲かっていると言うと、権利書を買い取るように要求するのでした。

「これを買い取っていただきたい。1000万円で」

ビジネスの話し

買い取るように言われた房子ですが、きっぱりと断りました。

「私の実印は銀行の貸金庫にあります。実印も印鑑証明書もなくてどうするんですか?」

権田は房子にそう言われると、権利書だけを持っていても、どうにもならないことを認めて、ビジネスの話しをします。

「この店にうちの店で扱っている絵画と観葉植物を置いていただきたい」

言っていることはビジネスですが、要するに「みかじめ料」を払えということです。月々何万円かを払うことで、今まで通り営業ができると権田は言います。

「お断りします。うちはそのような取引は一切致しません。
 書類はいずれ取り戻します。私は貴方たちのような方々と、お付き合いするつもりはありません。お引き取り下さい」

房子がそう言うと、権田は「とことんお付き合いさせていただきますよ」と捨て台詞を吐いて帰っていきました。

動揺

権田達が帰ると、話しを聞いていたフォンターナのスタッフ達は動揺します。

「最悪だ。俺こういうのダメ。次の店探さないと」
「次ぎ来たらぶんなぐってやるよ」
「金で解決できるなら、解決しましょうよ」
「矢作もグルなんだぞ、俺らのことも知ってんだぞ」
「考えすぎ、俺はやりますよ」
「なにバカなこと入ってるんですか、お金払いましょうよ」

そんなスタッフに房子は謝ります。

「不愉快なものを見せてしまったことは謝ります。ごめんなさい。
 でも、大丈夫。この先どんなことになろうとも、みなさんのことも必ず守る。必ずです。
 私がこれまで、みなさんを裏切ったことがありますか?
 なにより、お客様には一切関係ない。皆さんも気にせず、明日からもいつも通り働いて下さい」

房子の発言で商機を取り戻すスタッフ達。そして、翌日には和彦と重子がやってきます。

三郎と房子の関係

「あのさ、それでね。お客様は一切関係ない。明日からもいつも通り働いて下さいって、でーじかっこよかったわけ」

暢子はあまゆに帰ると、和彦にだけ、今日会った話しを聞かせていました。

「それは素晴らしい。でも、オーナーは三郎さんと、昔の知り合いなんだよね?三郎さんは信用できるはずなのに、なんで相談しないんだろう?」

和彦は房子と三郎の関係を知りません。ざっくりとした内容ですが、知っていることを和彦に教えます。

「それは、オーナーと三郎さんは結婚するはずだった訳。詳しいことはわからないんだけど」

しかし、どうして結婚できなかったかは、わからないままでした。

三郎と多江

暢子の琉装を仕立てている多江。そこにやってきた三郎に話しかけます。

「明日、フォンターナにいらっしゃるそうですよ。和彦くんのお母さん。上手く行くといいですね」

しかし、だいぶ苦戦していて、現状ではひっくり返す方法が見つかっていません。

「今は、親が決めた相手と結婚しなきゃいけない時代でもないし。どんなに反対されても、負けないで欲しいってそう思ってます」

そうだなと言う三郎。房子と結婚できなかったのは、親が決めた多江と結婚しなければならなかったからでしょうか?多江は幸せですが、房子の幸せを奪ったと思っているのかも知れません。

バックアップ

和彦と重子がフォンターナにやってきました。

予約したテーブルに案内されると、暢子と房子が挨拶にやってきます。

「ごきげんよう。素敵なお店ですね」

そんな社交辞令の挨拶を交わしているところで、暢子は厨房に戻ります。作っていたのは、ペペローネ・リピエーノでした。

「美味しい。定員の皆さんもきちんとしていらっしゃって、素晴らしいお店です。このお料理、あなたが?」

重子に聞かれ「はい」と答える暢子。

「まだまだ未熟なところはありますが、見どころのある料理人だと思っております」

房子も暢子のためにバックアップしてくれるのでした。

縁は切れない

「可愛がって当然ですよね、お身内なら。
 大城房子さん。最終学歴は小学校中退。10代の時から屋台を引いてらっしゃたとか。戦後は闇市でご商売なさって、いろいろご苦労されたんですってね。
 沖縄二世なのにある時から沖縄県人会とは絶縁されたんですってね」

重子の調査は、かなりしっかり、細かい所まで調べていました。あまりにもズケズケと言う重子に和彦は、ハラハラしてしまいます。

しかし、房子は気にせず認めます。そして、縁は切れないというのです。

「いいえ、過去とは縁を切れません。
 過去も未来も含めて私の人生。昔のことを隠すつもりも、恥じることもありません。気のすむまでお調べになって下さい。
 でも、今は、この子が作った料理をごゆっくり楽しんでいただけると」

房子はそう言うのでした。

いつも通り

「お手並み拝見ね。さぞかし特別に作られたんでしょうね?」

重子がそう言うと、暢子は否定します。

「いつも通りです。オーナーに言われました。いつも通りの自分を信じろと。18の時に料理人になりたくてやんばるから出てきました。村には外食できるお店は1軒もなくて、沖縄ではレストランに行った経験は1度しかありませんでした。
 フォンターナに来てから、1日も欠かさず料理だけはしてきました。その自分を信じなさいと。
 亡くなった父が言っていたんです。大好きな人と美味しい物を食べると、世界中の誰でも笑顔になるって。お客様の笑顔のために作った、フォンターナのいつもの料理です。
 ごゆっくりお召し上がりください。失礼します」

暢子は暢子の気持ちの全てを吐き出し、厨房へ戻って行きました

厄災のはじまり

「おいコラ!どうしてくれるんだ!どうなってるんだこのお店は!なんとか言えコラ」

突然聞こえてきた罵声。トイレの壁から釘が出ていて、それで服が破れたと因縁をつける客がいました。二ツ橋がトイレに釘などないと否定しますが、嘘をついてるというのかと逆にすごまれてしまいます。

「オーナーは私です。お怪我はありませんか?後日、費用を弁償しますので、お名前とご連絡先を教えて下さい」

房子が対応すると、その客は名前も告げず「仲間連れて戻ってくるからよ。首洗って待ってろよ」と脅し文句を言って帰っていきました。

その会話を聞いて、騒然とする店内。それを落ち着かせようとしますが、客たちは我先にと帰っていきます。その中には重子の姿もありました。

「類は供を呼ぶ。品のないお店には、品のない客が出入りするの」

重子はそう言うのでした。

間違ったことしてる?

翌朝、重子のためにお弁当を作る暢子の姿が、あまゆの厨房にありました。そこに起きてくる和彦。

和彦は、東洋新聞に重子がきたことを暢子に話します。

「黙っててごめん。心配かけたくなかったから。昨日、フォンターナであんなこともあったし、今はこれ以上、母さんを刺激しない方がいいと思うんだ。だから、弁当は。。。。」

そう言いますが、暢子は止めるつもりはありません。

「持っていくさ。今日のはとっても美味しくできたから。うち、何か間違ってることしてる?」

暢子のやっていることは、間違ったことではないかも知れませんが、一般的に言って「的外れ」ではあると思います。しかし、暢子は、意思を持って続けることを決めていました。

「まくとぅそーけーいなんくるないさ。うちは、絶対あきらめない。よし、できた」

気が合う二人

重子は、いつも同じ喫茶店で、朝食を取っています。そのため、暢子の作ったお弁当は食べていません。お手伝いさんが二人分食べているのです。

その喫茶店に重子に会いにくる和彦。

「いい加減に目を覚ましなさい。貴方は騙されている。私たちとあのことは住む世界が違うの。あのオーナーさんも、闇市時代、県人会とのいさかい、いろいろあるのよ」

和彦が席に付くとすぐに重子は話し出しました。

「暢子は、今朝も弁当を作ってた。母さんに食べてもらうために」

しかし、重子はもう二度と届けてくれなくて結構と伝えるように和彦に言うのでした。

「言ってもやめないよ。暢子は、簡単には諦めない」

そう言われ、重子は「私もよ、その点は気が合いそうね」と言って帰っていくのでした。

月島のすっぽん

暢子がフォンターナに出勤してくると、入り口のドアには誹謗中傷の貼り紙がしてありました。そして、ゴミも散乱しています。

そして、無言電話がかかってきたり、7800円の支払いを1円でしようとする人がでてきます。

房子は弁護士に相談しますが、簡単には動いてくれなさそうです。

「明かな恐喝や暴力行為が認められない限り、警察に通報しても経過観察になるんじゃないかって。
 とにかく、被害の記録だけはきっちり取っておいて」

二ツ橋にそう指示しました。

それから2週間、フォンターナに対する執拗な嫌がらせは続きました。そのせいで、しだいに客足が遠のいてしまいました。

「弁護士仲間が言うには、権田は月島のすっぽんと呼ばれるほどしつこい男で、一度狙われたら私どもではどうも。。。」

弁護士は電話で房子にそう教えてくれました。「月島のすっぽん」は「月とすっぽん」ということでしょうか?

堪忍袋

暢子が疲れてあまゆに戻ってくると、三郎がいました。

「あの、あのですね。。。。」

暢子は三郎に相談したいのですが、房子の言いつけを破る訳にはいきません。

「あー・・・おやすみなさい」

そう言って、何も言えずに部屋に戻りました。

その後、フォンターナに田良島と和彦が来ていました。和彦は、暢子から聞いたことを田良島に相談していたのです。

「完全にプロの仕業、俺の手でなんとかしてやると言いたいところだが・・・」

そんな話をしていると、客が店で暴れ始めました。

「はっきり言え、料理がまずい、接客がなってない、なんでこんな店連れてきた!」

二ツ橋の我慢も限界です。

「全部あなたたちでしょ。ゴミも無言電話も、いい加減にして下さい」

そう言って二ツ橋が振り払うと、男は転んでしまいました。それで足が折れたと叫びだす男。どうすることもできませんでした。

二ツ橋には効果的

結局、ケガをしたと言う男と話がこじれているようです。

「向こうは顧問弁護士を通じて、告訴するの一点張りで、おそらく法外な治療費と慰謝料を要求してくるかと」

こじれさせるための演技だった訳ですが、二ツ橋には効果覿面でした。房子に迷惑をかけたと、責任を感じていました。

「オーナー私をクビにして下さい。この件の当事者は私一人。このお店は関係ありません。金を要求されるにせよ、告訴されるにせよ、私を解雇すれば私個人の問題になるはずです」

しかし、房子は認めません。そして、しばらく休業することを決めました。

「なによりお客様に迷惑をかけたくない。もちろん、その間の手当ては出すし、その先のこともちゃんと考える。二ツ橋さん、それでいいわね」

しかし、二ツ橋は「退職する」の一点張り。房子が認めなくとも、房子に迷惑をかけるなら辞める気持ちです。暢子に房子と店のことを託すと、房子が認めないと言っても、去っていきました。

良子へ

フロアに暢子と和彦だけが残っていました。

暢子は、いたずら電話がかかってきて房子だけだと心配だと言って残っています。しかし、遅くまで残るということは、重子へのお弁当が作れないということです。暢子はお弁当が作れないことを悔しがっていました。

「行ってくる」

和彦は立ち上がると、どこかへ行ってしまいました。決意を秘めた顔をしていたので、何か対処する方策を思いついたのかも知れません。

和彦がいなくなると、電話が鳴りました。暢子はいたずら電話だと思って、電話にでます。

「いい加減にして下さい」

しかし、電話の相手は良子でした。良子は博夫の実家で料理を褒められ、それから料理が楽しくなっていました。それで、暢子にラフテーの作り方を聞きたいという電話でした。

「今、それどころじゃないー」

そう言うと、暢子は良子に現状を話して聞かせました。

「そんな人いことする人いるわけ?二ツ橋さんって人はどうなる訳?臨時休業はいつまでなの?」

良子は、思いつく質問を次々に投げかけます。しかし、暢子にもそれはわかりません。そして、お母ちゃんには言わないように口留めするのでした。

「わかった。何もしてあげれなくてごめね。話しならいつでも聞くから」

そう言って良子は電話を切ると、暢子の代わりに怒っていました。

あの人が登場してきた

「もういいから帰りなさい。
 それと、あなたにこの前のこと謝らなきゃ」

房子は電話番をしてくれている暢子にそう話しかけました。房子が謝りたかったのは、和彦と重子がきた時、十分なおもてなしができなかったことでした。

それを聞いて、暢子は「こんな時にうちの心配なんか」と驚いてしまいます。そして、「あの・・・」と言いかけると、房子に「あなたにできることないわ」と言われてしまいます。

しかし、暢子は房子と飲みたかったのです。それを聞いてあきれる房子。カウンターで二人でワインを飲むのでした。

「こうして飲むのも、これが最後になるかもしれないわね」

意味深長ことを言う暢子。暢子が「どういう意味ですか?」と聞きますが、それに答えず暢子に「この店に来て何年?」と聞くのでした。

「7年目です。覚えています?はじめてあった時の事」

暢子がそう聞くと、房子はよく覚えていると応えました。

あの人の紹介状を持って来た。あなたがいなければ、私の人生にあの人が再び登場することはなかった。もう一生関わることはないと思っていたのに」

房子は遠い目をして、そう言うのでした。

「どうして、三郎さんと・・・あの・・・どうして三郎さんと結婚しなかったんですか?」

そう聞く暢子に、房子は昔話を聞かせてくれるのでした。

和彦の本気

走ってあまゆに帰って来た和彦。閉店準備をしていた店主・順次に三郎の居場所を聞きます。三郎はあまゆの店内で一人でいました。

「どうした?おっかねえ顔して」

入ってきた和彦にそう聞く三郎。

「ぶしつけなこと聞きます。三郎さんはどうしてオーナーと、房子さんと結婚なさらなかったんですか?」

突然の質問に驚きを隠せない三郎。三郎は「記者として聞いてんのかい?」と聞きます。

「違います。僕の愛する女性を幸せにするために、ひとつ相談事があるんです。でも、その相談をするためには、どうして三郎さんが房子さんと結婚しなかったか聞く必要があるんです」

三郎には和彦の言ってることがさっぱりわかりません。しかし、本気なのはわかりました。三郎は和彦に座るように言うと、昔話を聞かせるのでした。

三郎と房子の過去

「俺の親父は、沖縄から出てきて、会社を興した。仕事の世話したり、アパート借りれないやつの保証人なったり、沖縄出身者の父親代わりみたいなもんだった。そのくせ、俺には、沖縄の言葉を一切使わせず、いい学校に通わせた。
 つまり俺は、お坊ちゃんだった。それが嫌で嫌で若い頃は、ケンカ三昧だった」

そう言って、懐かしむように話す三郎。

その時、暢子は房子に話しを聞いていました。

「両親は山原村やんばるそんから働きにきて、私は鶴見で生まれた。山原に残してきた姉が、賢三の、あなたのお父さんの母親。姉は、私と一度も会わないまま亡くなってしまった。母は病気で、父は工場の事故で早くに亡くなった。妹は鶴見の知り合いに預けられ、私は日本料理屋で住み込みの下働き。必死に修行して、何年かしてようやく鶴見で小さい屋台を持って、妹を引き取れた。全部戦争前の話し」

そう言って、房子も懐かしがるのでした。

そして、屋台の仕事をしている時に、房子は酔っ払いに絡まれたことがありました。困っていると三郎がやってきて、房子を助けるために大喧嘩になったのです。ボコボコになって房子を助けた三郎。

三郎が房子に会ったのはその時が初めてで、三郎の一目惚れでした。

家の格

房子は当時のことを悲しそうに話します。

「相手は実業家の御曹司。釣り合う訳がない。それなのに、惚れちゃった。
 周りは大反対。お互いに不幸になるって言われ続けて、だんだん私と一緒になったらあの人不幸になるんじゃないかって」

三郎も周囲に反対されていました。

「俺はどうしても惚れた女と一緒になりてえと思った。だけど、来る日も来る日も、お前は騙されてる。住む世界が違うと言われて、強引に見合いさせられて。相手は県人会の中でも、家柄のいいお嬢さんだった」

それが今の妻・多江です。

あの人を捨てた

三郎は、その後のことを語ります。

「俺がくよくよしてるうちに房子は、俺の親戚に手切れ金渡され、姿を消した。そして、探さなかった。
 俺はあの人を捨てた、いくじなしなんだよ」

三郎はそう言うのでした。

「私はあの人を捨てた。手切れ金をもらって県人会を飛び出して、念願の料理屋を構えた。
 あの人は多江さんと祝言を上げた。それからしばらくして、三郎は戦争のために招集」

房子も同じように「捨てた」と思っていました。そして、召集される時、房子は陰から三郎と多江を見ていたのでした。見るだけ、声はかけない。そして、気づかれないまま帰ったのです。

多江のおかげ

「それじゃあ行ってくる。家は頼んだよ」

三郎はそう言って出征し、終戦後はシベリアに抑留されたのです。

「俺がシベリアから帰ってくるまで、多江はたった一人で家業を守り、県人会の面倒まで見てくれていた。今の俺があるのは、全部多江のおかげ。昔も今も、最高の女房だよ」

三郎は多江に感謝してもしきれない恩を感じていたのでした。そして、房子とのその後を聞く和彦。

「銀座でレストランやってるって話しは聞いてた。俺のことは憎んでるんだろう、合わす顔ねえだろう。償いのつもりで、あの人が幸せでありますようにって願かけて、大好きだった酒を絶った」

三郎は酒を飲んでいませんでした。そして、画面に映る時は、湯呑を持っていました。

房子の決断

「あの人私を憎んでるはず。今更合わせる顔もないし。多江さんとあの人に迷惑をかけたくない」

そう房子は言うのです。そして、昔話はこれで終わり、明日はフォンターナに権田がやってくると言うのです。

「明日は、みんなに休めって。一人で会うんですか?そんなのダメです。うちもきます。
 何ができなくてもいます。いさせて下さい」

房子が出した結論がどういうものかはわかりません。フォンターナの契約書を書いとるのか、ビジネスとして付き合うのか、それ以外なのか。

しかし、暢子は強いオーナーだとしても、房子を一人で戦わせるつもりはありませんでした。

そして、帰宅すると暢子は、今日聞いた話を和彦に話します。そして、和彦も三郎の話していたことを暢子に伝えます。そして、三郎も房子も、二人とも同じようなことを思っていることがわかりました。

「思いはすれ違ったまま、お互いに憎まれてると思ってるのか」

良子登場

朝、フォンターナに急いで出かけようとする暢子。そこに多江がやってきました。

「披露宴の衣装の件で、時間ある?」

しかし、今日はこれから権田と対決しなければなりません。ただ、そうとは言えない暢子は、ちょっとと言って断ります。

そして、あまゆの下宿賃を請求される暢子。部屋に戻って、お金を準備します。

その時、順二が冷蔵庫物が腐っていることに気づきます。「諦めるしかないか」と言った時、それを聞いていた人がいました。暢子の姉、良子です。

「どうしてあきらめるんですか?私、比嘉暢子の姉の石川良子です。いつもお世話になっています。
 おばさん。どうして、すぐに警察に届けないんですか?毎日嫌がらせをされて、このままではお店が潰されてしまいますよ」

良子が多江を捕まえて、そう問い詰めました。

全部言ってしまう

「ねえねえ、その話は、ダメ、やめて」

部屋に戻っていた暢子が降りてくると、良子に言わないように飛びつきます。

「弱いもの同士でもスクラムを組めば。
 権利書を取られた相手に毎日ゴミを捨てられたり、いたずら電話うけてるんですよね?私は知ってるです。
 おばさん、泣き寝入りしてはいけない。大きな力に屈してはならない。オーナーとして正々堂々、出るところに出て戦うべきです」

暢子が止めようとしても、良子は止まりませんでした。

「ストーップ、そこまで!ねえねえ、多江さんはオーナーじゃない。県人会長の奥さん多江さん」

良子は多江を房子と勘違いしていたのでした。暢子は「違う、違う、全然違う」と言って否定します。その関係を知らずに勘違いされると、通常より大きな傷をつけてしまうことになります。

「銀座のフォンターナのおばさん。こっちは鶴見の県人会長の奥さんの多江さん。
 悪い人に嫌がらせを受けてお店が潰れそうなほど、でーじ困ってるのは銀座のフォンターナのオーナーの房子さん」

暢子はつい全部言ってしまいました。

「はーーーーうちは何も言ってません」

しかし、もう遅いのでした。多江や順次に全部聞かれてしまいました。暢子は出かけると、残された良子は、多江達に詳しく話しをすることになりました。

一人、フォンターナで待つ暢子。そこに、権田の手下がやってきました。しかし、権田はいません。あとからやってくるようです。

「オーナーは銀行に」

暢子がそう言うと、「やっと権利書買い戻す気になったか。ちょっくら待たせてもらうぜ」と言って、勝手に座りだしました。

そこに、二ツ橋がやってきました。二ツ橋は突然「えいやーーー」と椅子を持ち上げて攻撃するふりをします。驚いて離れる手下たち。それを見た二ツ橋は、権利書を取ると、丸まって権利書を守ろうとするのでした。

「亀?」

そう言って驚く暢子。しかし、手下たちは黙っていません。丸まった二ツ橋に暴行を加え、権利書を取り戻そうとするのでした。

手を引く

「おい!それぐらいにしておきな」

そう言って登場したのは、着流し姿の三郎でした。同じ時、裏口には銀行から戻った房子の姿がありました。

「権利書を置いてとっとと出ていきな」

三郎がそう言うと、手下たちと乱闘になりました。

房子も出て行こうとしますが、三郎がいるので、出て行くのを躊躇ってしまいます。

「そろそろだな」

三郎がそう言うと、そこに権田が現れました。権田は、倒れている三郎を見ると、驚く発言をします。

「この店から手をひく」

そして、三郎を助け起こして、三郎に「平良さん、お怪我はありませんか?」と言うのでした。

驚く暢子は、どういう関係かを聞きます。

「平良さんにはシベリアでお世話になりました。平良さんは体を張って多くの仲間を、私のことも守ってくださいました」

うちの娘

昔話はまた今度だと言う三郎。

「一つ教えてください。この店の平良さんの?」

権田がそう聞くと、三郎は「縁もゆかりもない店だ」と言うのです。ただ、三郎は「うちの娘が働いてる」と付け加えました。

「そうでしたか。そいつは失礼致しました」

そう言うと、権田達は帰っていきました。

「渡しません。私だってやる時はやる男です」

終わってもまだ、丸まったままの二ツ橋。もう終わっていることを告げると、二ツ橋は痛そうに体をおこしました。

「そいじゃあな」

それだけ言うと立ち去ろうとする三郎。厨房の入口、房子がいることを三郎は知っています。しかし、合わせる顔がありません。そのまま、帰ろうとします。

約束

「待って下さい。三郎さんもオーナーも思い違いをしているんです。
 お互いに憎まれていると思っているんです。会わないといけない、絶対に会うべきなんです。
 うちのわがままかもしれないけど、二人はどうしても会わないといけないんです。
 上手く言えないんですけど。どうすればいいのか、わからん。シークワーサーが食べたい」

そして、どうすればいいかと二ツ橋に聞きます。しかし、二ツ橋は何のことかわからず、何も言えません。

「わかった!うちと和彦くんの披露宴は、このフォンターナでやることにします。
 三郎さん、披露宴には必ず出席して下さい。もちろん多江さんも一緒に。お願いします」

そう言われた三郎は「まずは、相手のお母さんのことが先なんじゃないのか?」と返します。

「ちゃんと祝ってもらえるようになったら、俺も多江も出席させてもらうよ」

暢子と三郎は約束しました。

今度は、厨房の扉の向こうにいる房子に、扉を開けるように言う暢子。

「今ここを開けるのはダメ。わかった。好きにしていいから」

強引に開けようとする暢子を押し止める房子。房子とも披露宴会場にすることを約束しました。そして、房子と三郎の再会は、また今度にお預けです。

食べ物で人の気持ちは変えられない

暢子は、あまゆに戻るとラフテーを作り出しました。翌日の重子へのお弁当です。

そして、重子のいる喫茶店に和彦がやってきました。重子の前に立つと、中原中也の詩をそらんじます。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちてゐた。
「月夜の浜辺」

そのことには触れず、重子は話し出します。

「お弁当はあきらめたようね。食べ物で人の気持ちを変えられるわけがない」

しかし、和彦の考えは違っていました。

「僕は沖縄に行く前、食欲が落ちて何も食べたくなくなっていた。沖縄で暢子と暢子の家族と出会って、また食べることが楽しくなっていた。美味しい物を食べる、みんなで笑顔で食べる。そんなあたりまえのことを大事にする家族だった」

そう言われた重子は「何がいいたいの?」と和彦に問います。

「披露宴は、フォンターナでやることにした。問題は解決した。
 美味しいものがいっぱい出る。母さんとも一緒に食べたい」

波子は味方

重子が家に帰ると、テーブルの上には弁当が置いてありました。

「奥様、暢子さんがまた。今日は一段と大きなお弁当で、ラフテーと言って沖縄風の角煮で」

家政婦の波子が、重子にそう伝えます。

「暢子、さん?」

暢子のことを親し気に名前で呼ぶ、波子のことが気になりました。それに気づいた波子は「失礼いたします」と席を外しました。

策はない

通常営業に戻ったフォンターナ。フォンターナの2階の席には、房子と田良島がいました。田良島もフォンターナについて、心配してくれていました。

そこに飲物を運ぶ暢子。そんな暢子に「わかってるわね?」と釘を刺す房子。

「このフォンターナで最高の披露宴をやるためにも、絶対に和彦君のお母さんに賛成してもらいます。

それを聞いた田良島が、「具体的に策はあるの?」と聞きますが。暢子にあるはずがありません。田良島もどうしていいのかわかりません。

「正面からぶつかってもなー」

そう言うのでした。

良子と賢秀の暴走

「正面からぶつかります。
 和彦君のお母さんに暢子と和彦君との結婚を認めてもらいます。暢子の幸せのために姉である私が」

良子はそう決意しました。

そんな時、養豚場で働く賢秀も、暢子のことを電話で聞いていました。

「わかった。長男である俺が上流階級気取りのおばさんに正面から体当たりやさ」

そして電話を切ると、場主の寛大ともひろの前に立つ賢秀。

「ああ、また辞める?」

賢秀は何度も辞め、何度も戻ってきていました。寛大は、また戻ってくるだろうと安易な気持ちで聞いたのでした。たぶん、戻ってきます。

重子の決意

暢子のラフテー弁当を食べる重子。

彼女の心はすぐい!
彼女は荒々しく育ち、
たよりもなく、心を汲んでも
もらえない、乱雑な中に
生きてきたが、彼女の心は
私のより真っ直ぐい。そしてぐらつかない。
「無題Ⅱ」

私はおまへを愛してゐるよ、精一杯だよ
私を身を棄ててお前に尽さうと思ふよ
「無題Ⅳ」

中原中也の詩を諳んじると、重子は改めて決意するのでした。

「和彦を不幸にするもんですか。絶対に許さないんだから」

最後に

フォンターナの最大の危機を脱しました。

今の時代であれば、銀座の名店のトラブルとして週刊誌に載ってもおかしくありません。さらに、SNSで拡散されていたら、すぐに復活することは難しかったでしょう。

しかし、暢子のピンチは続きます。重子が許してくれるかもそうですが、良子と賢秀が大暴れしそうな雰囲気です。ここで、喜納金吾が出てこないのかと、期待している自分がいます。たぶん、でません。

そして、物語は終盤で、今月終わってもおかしくない流れです。しかし、あと1か月はあるはず。これから、どう展開していくのでしょう?

来週の予告

良子と賢秀が暴れて、SNSが荒れないことを祈ります。

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