アカデミー賞にノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」を、映画館で鑑賞してきました。
原作も含めた感想です。
以下、ネタバレを含みます。
原作
価格:748円 |
原作は村上春樹の短編集「女のいない男たち」の中の「ドライブ・マイ・カー」がベースになっています。
ただ、他の短編の設定も組み込まれています。
例えば、「シェエラザード」の交わるたびに不思議な話を聞かせてくれるという内容。
他には、「木野」の妻が男と不倫しているのを目撃するというのも、含まれています。
それ以外に、「イエスタデイ」「独立器官」「女のいない男たち」の3編を含めた、合計6編の短編が入った短編集になっています。
どの短編も、女に去られた男の話しです。
特に好きなのは、「木野」でしょうか。
妻の不貞を知り、会社を辞め、青山でバーを始めた木野。 宣伝をまったくしていなかったので客はまったく来なかったが、一番最初に気に入ってくれたのが灰色の猫。 それから、家賃を払えるようになるぐらいには、客がくるようになります。 しかし、秋に猫が突然来なくなり、1週間のうちに3匹の蛇を見かけます。 それは、なにか悪い「モノ」がやってくる予兆でした。
という内容です。
映画のストーリー
家福(西島秀俊)は、役者として舞台に立ちながら、演出も手がけている。
脚本家である妻(霧島れいか)は情事の後、不思議な物語を語り始める。
海外の演劇祭へ行くための飛行機が悪天候で飛ばなくなった日、急遽帰宅した家福が見たのは、妻が不倫している現場だった。
ある日、家福は妻から「今晩帰ったら少し話せる」と家を出るときに声をかけられる。
しかし、彼女は何も家福に語らないまま、クモ膜下出血でこの世を去ってしまう。
2年後、家福は広島の演劇祭での演出を依頼され、東京から愛車で向かう。
滞在は長期にわたるため、主催者側は専属ドライバーを用意していた。
車のなかで台詞の確認をする家福は、その申し出を固辞するが、若い女性ドライバーみさき(三浦透子)の運転に感心して、愛車の運転を任せることにする。
演劇祭の出演者のオーディションを行うが、応募者のなかにかつて妻と不倫関係だった高槻(岡田将生)がいることに気づく。
家福たちが参加するワークショップの模様が多くの時間を割いて描かれている。
人生の再生の物語になっている。
感想
感想
映画的な評価については、正直よくわかりません。
短編を原作にしているので、映画化するとどうしても尺が足りなくなるのはわかります。
ただ、設定を複雑にすることで、かなり歪んでしまっている印象です。
例えば、みさきの実家へ行くことになりますが、広島から北海道へ車で行くことになります。
原作は東京の設定ですので、みさきの実家に行くにしても、東京から北海道へ行く方がまだありそうな気がします。
そもそも、みさきの実家に行く話にはならないんですけどね。
そして、原作では俳優の家福ですが、演出家もすることに変更になって、ワークショップの占める割合の大きさが、大きすぎるような気がしました。
ゆるい春樹ストとして
村上春樹のファンとして、映画化は嬉しいです。
ただ、本来の短編の良さが出ているかと言われると疑問があります。
特に、長編でなく短編なのが問題だと思います。
短編は、説明も多くない状態で、設定を与えられます。
その設定を丸呑みした状態で、物語を読むことになります。
そして、不思議や恐怖をそのまま受け入れることで、物語が成立しています。
長時間の映画化をすることによって、設定の説明が必要になってしまうと、世界観がチープになってしまう印象があります。
最後に
小説も映画も、見る人、読む人で評価が変わるものです。
このドライブ・マイ・カーも、人によって評価が違うのは当然です。
個人的には、あまり評価できない作品だったと思います。
しかし、アカデミーの評価はちょっと違うのかなと思います。
これからアカデミー賞の発表になりますので、賞を取るか期待して見ていきたいと思います。