逮捕 石子と羽男(9) ネタバレ

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逮捕 された大庭。どうなってしまうのでしょうか?

そして、羽男は父親の指示で新しい事務所に行ってしまうのでしょうか?

そんな第9話のネタバレです。

石子と羽男公式HP

主な登場人物

石田硝子しょうこ  有村架純
羽根岡はねおか佳男 中村倫也
うしお綿郎   さだまさし
大庭おおば蒼生  赤楚衛二

羽根岡優乃 MEGUMI
羽根岡泰助 イッセー尾形
御子神みこがみ慶  田中哲司
刀根とね泰士  坪倉由幸

第9話のストーリー

任意同行

大庭が帰宅すると、警察に包囲されてしまいました。

「大庭蒼生さんですね?昨夜発生した放火事件の件で、署までご同行願えますか?」

そして、見せられたのは防犯カメラ映像のスクショでした。

「これ、あなたですよね?」
「これは、あなたなのですか?」

しかし、大庭は答えませんでした。

逮捕

羽男が帰宅すると、待っていたのは、裁判官をやっている父親でした。父親は、町弁を辞めて、新しい法律事務所で働くように言います。

「私は、事務所を変えるつもりはありません」

羽男は、そう言って父親の申し出を拒否します。

「向うなら、君の能力を十分生かせるから」

相変わらず、羽男の話しを聞かない父親。羽男は重ねて事務所を変えないと伝えようとしますが、父親の逆鱗に触れてしまいました。

「佳男!今そうでも、行きたくなるよ。君の好きな金箔屋のゼリー」

そう言うと父親は帰っていきました。

「いつまで子供の頃の記憶で止まってるだ」

そう独り言をつぶやく羽男。その時、石子から電話がかかってきました。

「あのー今日、土曜日なんですけどー」

いつものおちゃらけた感じで電話に出ますが、電話の向こうはそんな状況ではありませんでした。

「大庭さんが逮捕されたそうです。今、留置場にいるようです。放火事件だそうなんですけど、詳しいことは何も」

羽男は切り替え「すぐ向かう」と言うのでした。

俺がやりました

羽男は、さっそく大庭に面会に行きました。

「大変だったね。で、何?どういう経緯で誤認逮捕されたの?」

羽男は大庭が放火したとは思っていませんでした。

「俺がやりました?」

大庭の言葉に驚く羽男。

「放火したってこと?」

そう聞くと、大庭は「はい」とだけ答えました。

「理由は?どうしてなにも言わないの?」

しかし、大庭は何も語ろうとしません。

「もう、話すことはありません」

それだけ言うのでした。

石子の心配

そして、羽男は接見後、事務所に戻りました。

「どうでしたか、大庭さん?やってないですよね?」

ただただ石子は心配して、羽男にそう聞きます。

「やったって。それ以外は黙秘している。何が何だかわからん」

その事件はテレビのニュースでも、流されていました。

「東京都妹尾せのう市の公園で放火される事件が発生し、焼け跡から身元不明の遺体が見つかりました。
 放火の疑いで逮捕されたのは、埼玉県戸田市に住む会社員26歳で、付近の防犯カメラに火が出た直後に走り去る容疑者の様子が映っていたということです。警察は、殺人の疑いについても、調べています」

取り調べでは、厳しく大庭が聴取されていました。

こんな形での挨拶

石子と羽男は、大庭の実家にやってきました。

「本当に蒼生が?自分がやったと」

しかし、大庭の両親も、大庭がやったということが信じられません。

「今日も大庭くんにお会いしてきますので、結果を報告します」

羽男はそう言うのでした。

「石田さん、蒼生からお付き合いしてるって聞いてます。息子がお世話になっております。こんな形でのご挨拶になってごめんなさいね」

大庭の母は、石子に対してそう挨拶しました。

石子の動揺

石子と羽男は、現場を見に来ました。

「こんなことするか大庭っち。でも、やったって言ったしな」

どうしても羽男は信じられません。

「確認ですが、大庭さん自分でやったって言ったんですね?やったのって聞いて頷いただけだと、ぜんぜん変わってきますよ、わかってますか?」

石子は厳しい言葉を使って、羽男に必死にニュアンスを聞きます。

「なに?俺がやりましたって言ったんだよ」

それだけでは、石子は納得できません。

「それ、どういうニュアンスで言ってます?言わされている感じとか、辛そうだったとか、そういう・・・」

さすがにくどく感じた羽男は「は?」と聞いてしまいました。

「すみません。八つ当たりをしております。黙秘してるから接見禁止ですし、できることなくて。そもそも、私がパラリーガルじゃなきゃ良かったんですよね。資格さえあれば」

石子は心配し、動揺していました。

「一回落ち着こう。動揺してるよね、めっちゃ俺もしてる。俺だってやってないって信じたいよ。でもさ、信じたいって気持ちで動いてたら、あれでしょ?”弁護士倫理に反します!”でしょ?話してくれるまで、俺が何回でも会いに行くから」

ただ羽男は、石子を安心させようと、優しく話すのでした。

不動産詐欺の準備

大庭の事件は、連日ニュースでやっていました。事務所のテレビでやっていることに気づいた潮は、石子のためにもテレビを消しました。

「お父さんのそれ、準備に時間かかってるね?」

すっかりため口になった石子が、潮が担当している案件について聞きます。

「詐欺はほら、なかなか証拠が集まらないだろう?まぁ、できることからやるしかないね。できることからコツコツと」

予習

家に帰った羽男は、御子神の動画を見ていました。

「彼氏が忙しくて会えず悲しんでいる友人に、何て言葉を書ければよい?」

その質問に御子神が答えていました。

「会えないのが悲しい。それって、好きを再確認できたともいえるんじゃないですか?」

それは、石子と大庭のことで、使えると思ってるようです。

その時、インターフォンが鳴ります。突然、石子がやってきたのでした。

「突然すみません。パラリーガルとしてできることを考えてきました」

そう言われ、部屋に入るように言う羽男。しかし、石子は「自分のルールに反する」と言う理由で、玄関で話すと言います。

「んなこと言ってる場合かよ、俺だよ俺。何も起こらないよ」

そう言われ、石子も渋々納得して、部屋に入りました。

「今、大庭っちと会えない状況な訳じゃない?でもこれ、好きって気持ちを再確認できて、逆に良かったのかもしれないね」

先ほどの動画の答えを丸パクリする羽男。しかし、石子の反応は「は?」でした。

羽男は間違いましたと言って、本題に入ります。

「羽根岡先生にお願いがありまして」

そう言うと、石子は書類を羽男に見せました。

手紙

石子と話した通りに、羽男は大庭の面会にきました。

「事件か事故かの決め手がなく、警察は両方の線で操作を進めるみたいだけど。君は人を殺したの?
何も言わないか?」

そう言うと、羽男が出したのは手紙でした。

「石子さんからの手紙」と言って、羽男は読んで聞かせました。

「大庭さん、体調は崩していませんか?あなたが黙秘を貫いているということは、何か私たちには簡単には言えない事情を抱えているんだと思います」

そう書き出し、そして大庭に寄り添います。

「だけど、私たちは大庭さんと働き、共に時間を過ごす中で、あなたの姿を見てきました。
 職場の友人を助けようと必死に戦った姿や、元気のない時に笑わせようとしてくれた姿、何かを説明しようとするけど、気持ちが先に立って、上手く説明できない姿。でも、その分思いがしっかり伝わる姿。自分を飾らず、マイナスなことまで正直に言ってしまったり、驚くときは”え、そんなに?”ってぐらいリアクションが大きくなる姿。たくさんの大場さんの姿を知ってるからこそ、何か正しい理由があって、口を開くことができないんじゃないか?そして、それにより大庭さんが苦しんでいるんじゃないかと、とても心配しています」

傘を差しだす番

そして、核心に迫ります。

「私たちは、どんな事情があるにせよ、あなたの力になりたい。大庭さんも、私と羽根岡先生を信じて下さい。声を上げていただけなければ、お手伝いすることができません。今度は、私が傘を差しだす番です。ずぶ濡れの私を助けてくれたように、私たちが大庭さんを雨から守ります。全て終わって、自由になったらまた一緒にご飯を食べましょう」

その手紙を聞いて、頭を下げる大庭。

「すみませんでした。黙ってて。ずっと、どうしていいかわからなくて。けど、お二人を信じて話してもいいですか?」

羽男は「もちろん」と優しく話しました。

かばいたかった人

大庭は事件の日のことを話してくれました。

「俺、弟を守りたかったんです。
 あの夜、たまたま実家に帰ってて。弟が散歩に俺のジャンパー持って行ってて、1時間ぐらいして帰って来たんです。玄関で大きな音がして、行ってみたら怯えててケガもしていて、何かあったんだって思いました。けど、すごく怖がっていて、まともに話せる状態じゃなくて。次の日、防犯カメラに俺が映ってたって聞いて、弟が俺の着て行ってたのを思い出して」

それで、大庭は弟がやったことだと思ったのでした。

「弟はやってないと信じる気持ちとどうなんだって気持ちがぐちゃぐちゃで、けど弟は捜査されるのは絶対に避けたいから」

大庭はそう言って弟をかばっていたことを話してくれました。

かばう理由

しかし、羽男には、納得できませんでした。

「ごめん。俺も姉弟いるけどさ、なんでそこまでして弟さんをかばうの?」

大庭は言葉を選びながら、丁寧に話してくれました。

「弟のタクは、その・・・生まれつき人と接するのが苦手で、昼間出歩くこともできない感じなんです。夜中散歩するのもそういう理由で。タクは絶対取り調べに耐えられないって思うんです。俺、容疑者のままでいます。今、俺がやってないって言ったら、タクが捕まるから。だから俺の代わりに羽男さんと石子先輩で、タクが無実だって証明してもらえませんか?」

依頼と条件

大庭からそう依頼されても、かなり問題がありました。

「いや、ちょっと待ってよ。無理だよ。大庭っち、自白してるんだよ?もし俺たちが弟さんの無実を証明できたとしても、大庭っちの自白を覆せるとは限らない。有罪になる可能性だってある。そんなの危ないよ」

しかし、大庭には頼る人は石子と羽男しかいません。

「リスクが大きいのはわかっています。なんとかタクを守りたいんです」

仕方なく、羽男は大庭に条件をつけるのでした。

「君は一切しゃべるな。何を聞かれても黙っておけ。今後事件がどう展開しても何もいうな。少なくとも、弟さんに捜査が及ぶことはない。その間に俺たちは、できるだけのことをやる。だから、それまで頑張れ」

それを大庭に納得させた羽男は、更に条件を付けるのでした。

「ただ、何の調べもせずに弟さんがやってないと決めつける訳にいかない。だから、そこはフラットな立場で調べるよ。それと、勾留満期がきて、いよいよ起訴されるってなったら、俺は大庭っちはやってないってことを話す。立場上、やってないことをやってるとは言えないよ」

大庭は受け入れていました。

タク

タクは書道家で、実家で作業していました。

「あの日の様子をタクさんにお伺いできればと」

石子と羽男は、大庭の母親に確認を取って、タクと話しをします。

「タク、お客様。蒼生のお知り合いの人」

大庭の母親は、タクにそう言って石子と羽男を紹介しました。

「こんにちは。書道の仕事をされているそうですね」

石子が声をかけると「はい」と返事をしました。

「昔からお得意なんですか?」

そう聞かれたタクは「わかりません」と答えます。

そして、羽男が飾られている筆を勝手に触ると、状況が一変します。

「ダメですダメですダメです」

タクは、筆に触ると焦るのでした。

気を取り直して、石子が事件のことを聞きます。

「伺いたいことがあるんです。4日前の夜、タクさんはどちらで何をしていましたか?散歩に出かけられたそうですね」

そう言われて、タクは火のついたジッポライターを思い出して動揺してしまいました。

フリーズの理由

石子と羽男は、タクが動揺してしまったことで、話しを聞けずに帰ってきました。

「放火とか殺人とか、そんな風には見えませんでした」

石子の率直な感想です。しかし、羽男は釘を刺します。

「断定はまだできないよ」

そして、タクの様子を見た羽男は、自分のことを話し出しました。

「俺さ、フリーズしたり手が震える原因が良くわかってなかったんだけど、たぶんあれ父親なんだわ。小さい頃から心の揺れを人に見せるなとか言われてきて。動揺するとその隙に付け込んでくる奴がいるからって」

それを聞いた石子は、裁判官という仕事柄、そう教えたのだと思います。

「で、いざ弁護士になってさ。法廷って逃げ場がないじゃない。どうしたってプレッシャーと向き合わなきゃいけなくて。でも、所長とか石子さんって逆じゃん。動揺してても、寄り添って支えようとしてくれる。
 でも、この間、久しぶりに手が震えてさ。最近起こってなかったのになんでだよって思ってたら、あの時隣にいなかったんだよね。石子さんが。
 なんでこんな話しになったんだろう?その、傍に寄り添ってくれる方だからタクさんも、石子さんにだったら話してくれるんじゃないかなってこと。だから頑張ろう」

羽男なりに石子に期待しているのでした。

エコでクリーン

環境省が主催した講演会で、御子神が講演していました。

「君たちは全員バカだ!今、いらーっとした人?はい、危険です。僕ビジネスに感情って1パーセントも必要ないと思ってるんですよ。怒り、動揺、不安、全部邪魔です。だから負けるやつは、何度も負けるんです。判断を見誤らせるもの、それが感情です」

御子神はそういう極論からの論理の展開をするような人物なのでした。

「環境省の方から、常務理事の件、依頼させてもらえませんかと」

講演後、部下からそう聞かれた御子神は答えます。

「いつでもいいですよ」

そして、誰もいない喫煙所でタバコを吸おうとします。

「喫煙所、1階にもありましたよ」

そう言われ、御子神が反論します。

「人に見られたらイメージ崩れちゃうでしょ?エコでクリーン!」

そして、ジッポライターで火をつけるのでした。

被害者

石子と羽男と潮が昼食を取ろうとしていました。

カレーを箸で食べようとする羽男。

「それ、お箸で食べるんですか?」

石子にそう指摘され、羽男は「割ってあげたの」と取り繕うのでした。そこに塩崎がやってきました。

「塩崎でーす。まいど。器の回収にあがりました」

しかし、これから昼食です。

「ごめんごめん。今日立て込んでて、これからお昼なんだよね。ごめんね」

潮が塩崎にそう言います。

「じゃあ俺もここで食べていいですか?いそがしくてー。お得意さん増えたのはいいんですけど、めちゃくちゃ話しの長い人がいて困ってるです」

塩崎が大声で愚痴るのを聞きながら、昼食を食べます。その時、ニュースで大庭の事件をやっていました。

「あ、あ、あ、あ」

そう石子が言って、塩崎の発言を止めます。そして、テレビの音量を大きくしました。

「焼死体の身元判明 タクシー運転手 日向理一郎さん50歳。
 日向さんの遺体からガソリンの成分が検出されていて、出火の経緯について捜査を進めている」

ニュースで出た名前を石子がメモっていました。

日向の妻

羽男は早速検事に連絡を入れ、日向の遺族に会えるように繋いで欲しいと依頼します。

「どうですかね。先方が望まれないかと。その場合、担当検事としてはお繋ぎすることはできませんが」

しかし、日向の妻は、会ってくれることになりました。喫茶店で待ち合わせしました。

「本日は、お時間いただきまして・・・」

そう話し始めると、日向の妻は割って話し始めます。

「私も、夫がどうして死ぬことになったのか知りたいので。犯人は、なんて言ってるんですか?」

そう聞かれ、羽男は「何も話していない」と伝えました。

「関与してるに決まっています。大庭が夫を殺したんですよ」

日向の妻は断定的にそう言うのでした。

グリーンエステート

それを聞いた羽男は、根拠を聞きます。

「夫はグリーンエステートに騙されたんです。契約解除を申し立てても返金してもらえず、警察にも詐欺とは言えないと突き放されて」

日向の妻は当たり前のように言いますが、石子と羽男には初耳の会社でした。

「不動産仲介業者ですよ。は?調べてないんですか?夫と私は、老後のために貯めていた資産を投資にまわしてたんです。足りない分は借金までして。夫はあの日、大庭社長に会いに行くと言って出て行ったんです」

それでも、羽男には謎しかありません。

「すみません、大庭社長というのは?」

そう聞くと、日向の妻は「グリーンエステートの社長」だと言うのでした。そして、日向の妻が見せてくれた登記簿にも大庭の名前が載っていました。

「代表取締役 大庭蒼生」

日向の妻は、返金で揉めたんだろうと言うのでした。

名義貸し

日向の妻の話しを聞いて、羽男はすぐに大庭に会いに行きました。そして、何の悪気もない感じで話してくれました。

「元々俺が入社したナカマルの刀根社長は、グリーンエステートの社長でもあったんです。社長、ゆくゆくは俺にグリーンエステートを任せたいって言ってくれて。
 9月に転職して、11月の食事会で言われました。君はうちのエースだからって。先に名義だけ社長にしておくって」

そんな怪しい話に乗った大庭。

「期待されてるの嬉しかったし、月10万の役員報酬出すって」

そんな上手い話があるはずがありません。

「アホか。ダメだよこんな怪しい話のっちゃ。刀根って人は、何か狙いがあって大庭っちに名義貸しさせたんだよ」

羽男が常識的な話しをしました。そして、大庭は裏切られたことにショックを受けていました。

原因は大庭

羽男は話しをまとめます。

「つまり、登記簿にある大庭っちに会おうと思った。しかし、背格好の似ているタクさんを大庭っちだと思ったということか」

しかし、タクはまだ何も話していません。

「俺のせいだったんですね。タクをかばおうとしてたつもりだったけど。そもそもあいつが巻き込まれたのは」

大庭は自分のせいでタクを巻き込んでしまったことに気づきました。

「タクさん、帰って来た時ケガしてたって言ってたよね?日向さんは恨みからタクさんに火をつけようとした。でも抵抗されて、その流れで自分に火が。
 この仮説がだたしければ、タクさんの正当防衛ということも」

羽男はそう言いますが、勾留満期まであと7日です。

蒼生とタクの繋がり

面会を終えた羽男が石子に連絡を入れて、正当防衛の可能性を話しました。

「俺は日向さんが自分でガソリンを用意した線で探ってみるよ」

羽男がそう言うと、石子も状況を話します。

「こちらも調査続けますが、グリーンエステートは何度きても不在です。周囲の人も、人の出入りを見たことがないと。一区切りついたら、大庭さんの実家にも寄ってみます」

そして、石子が大庭の実家に行きました。大庭の母親が対応してくれました。

「蒼生が逮捕されて以来、あの子、同じ文字をずっと書くんです。蒼の蒼いって字をひたすら。事件のことを知らないはずなのに。あの子なにか感じてるのかも知れませんね。蒼生とは一日一回、電話する仲でしたから」

そう言って、タクの現状を話してくれました。石子はタクに話しかけます。

「タクさんにどうしても聞きたいことがあります。あの夜、日向さんとなにがあったんですか?」

しかし、タクは答えません。母親が答えるように言いますが、事件のことは答えてくれませんでした。

不動産詐欺

高岡という依頼人が、潮に会いにきていました。

「訴える準備はできてるんですが、もう一手足りないというかですね」

潮がそう説明しますが、高岡は納得していません。

「もう1年ですよ。生活するのも苦しくて、金が必要なんだよ。早く取り返して下さい。お邪魔しました」

そう言って帰って行きました。

それを聞いていた石子は、高岡の案件の話しを潮に聞きます。

「整体師の高岡さんは、お客さんだった四つ星ハウジングの社員から、不動産投資の話しを持ちかけられたの。石川県のマンションで、相場よりうんと安くオーナーになれる物件を紹介されたのね。
 決断を迷っていると、既に入居者は満室のため、すぐに家賃収入が見込めるから絶対に損をしないと言われて契約をした。でも、満室であること、遠いことを理由に内見をしなかった」

それを聞いて、石子は驚きます。

「焼死した日向さんも同様の条件で購入してたの。日向さんは富山のマンションですが、ほぼ同じ。こちらは、契約後入居者が次々出て行ってしまい、家賃収入はゼロに。誰もいなくなった部屋に入ると、水回りはボロボロで、修繕が必要な状況だったそうで。警察に相談しても詐欺だと立証できず」

それを聞いて、潮は「同じだな」とつぶやくのでした。

「手口があまりにも似てるよね?この詐欺、マニュアル化されてるんじゃないかな?」

石子はそう考えていました。

全く関係のない恨み

羽男は、ガソリンスタンドや、日向の勤めていたタクシー会社に調査にいきました。そして、タクシー会社の防犯カメラの映像で、ある事実を見つけたのでした。

石子と羽男は、事務所に日向の妻を呼び、話しをします。

「日向さんは、トラックからガソリンを抜き取っていました。おそらくこれを持って大庭さんに会いに行ったのかと。
 実は、日向さんが不動産仲介をした昨年の3月、大庭さんはグリーンエステートには在籍していないんです。その頃、彼はこちらの中古車販売店で働いていました。つまり、グリーンエステートとは全くかかわりがなかった」

それを聞いて、納得いかない日向の妻。

「でも、調べたら社長でした。去年の12月です。騙されたと感じてすぐ」

しかし、それを聞いて、大庭の関与がないことを確信しました。

「大庭さんが社長になったのは、去年の11月です。それも名義だけで、彼は他の会社の一社員に過ぎません。何かあった際に責任逃れできるように利用されたんだと思います」

そして、愕然とする日向の妻。

「じゃあ、大庭さんは、全く関係のない恨みを夫にぶつけられ、殺人の疑いもかけられているというこですか?」

そして、石子は日向の妻が知っていることを教えて欲しいとお願いしました。

遺書

日向の妻は、カバンから封筒を取り出しました。

「夫が大庭さんに会うと言って出て行った翌日、机の引き出しから見つけました。当初は殺そうと考えていたようです。でも、殺人を起こしたら私に迷惑がかかると思って、自殺を」

そう言って見せてくれたのは、日向の遺書でした。

「綾、これから大庭の前で火をつけて死にます。ノイローゼで命を絶ったと思わせれば、保険金が下りる。こんな方法しか思いつかなくてごめん。綾、このことは絶対に秘密だ。綾これからは、笑って生きてくれ」

綾は日向の妻の名前です。日向は大庭の前で自殺することで、不動産詐欺で失った金を取り戻そうとしていたのでした。

「私たちをだました悪人が、誤解されたまま殺人犯になればいいと思ったんです。私が夫の代わりに殺してやるって。でも、人違いだったなんて」

日向の妻は、反省していました。

「あなたが話して下されば、大庭さんは救われます」

そう言われ、日向の妻は全て話すことを約束してくれました。ただ、石子は確認しておく必要がありました。

「確認しますが、保険金は支払われなくなります」

それを聞いて日向の妻は、納得した上で話すと言うのでした。

「夫は本当は優しい人なんです。彼も無実の人が罪に問われることは望まないと思います」

目撃証言の必要性

日向の妻は、石子と羽男が立ち会った場で、検事に遺書を提出しました。

「すいません。提出しなくてすみませんでした」

それを受け取った検事は、日向の字だとしても、筆跡鑑定すると言うのでした。

「遺書だけじゃ自殺と断定できないって。目撃証言必要になってくるか。今からもう一度タクさんに会って、話しを聞いてくる。でも、それで何にも聞けなかったら、大庭ッちは何もやってないとは・・・」

大庭を無罪にできな可能性があることを羽男は大庭に伝えました。

「全部俺が悪いんです。すみません」

それに対して、羽男は優しくも厳しく言います。

「そうだね。確かに良く考えずに名義貸しした件と、理由があったにしろ自分がやったと供述した件は、反省すべきだと思うよ。でも、それ以上の反省は、する必要がないから。ちょっと、自分のこと責めすぎ。それに、本当に責められるべきなのは、大庭ッちでも日向さんでもなくて、人をだます奴だ」

タクの決意

石子と羽男は、大庭の実家で母親と話しています。

「亡くなった方が自殺だと証明されるには、あと1手足りない状況です。何より、一度罪を認めてしまっています」

それを聞いて、母親は驚いていました。

「まさか、タクのためだったなんて。あの子が罪を被って、タクや私たちが喜ぶと思ったんですかね?
本当にタクが何かしたんでしょうか?」

ただ、タクに話しを聞かないと、石子と羽男は何とも言うことができません。

「それもまだわからないので、話しを聞かせていただきたいんです。もし、放火殺人と判断されれば重い量刑がかかります。なんとかタクさんに話しをしていただきたいんです」

それをタクは、聞いていました。そして、日中ですが、一人で出かけていきました。

もう一人いた

大庭の実家に妹尾警察から電話がかかってきました。そして、母親と石子と羽男は、一緒に警察に向かいます。

「一人でここまできたんですか?」

タクは、一人で警察に来たのでした。

「ええ、突然。で、公園のこと見たと言ったまま、黙り込んでしまったんです」

しかし、タクは部屋の中を歩き回り、供述するような状況ではありませんでした。

「話したいことがあるなら、まとまってから」

そう警察官が言うと、石子は「もう少し待って」と言うのでした。そして、タクは窓辺に座ると、話します。

「兄ちゃんは、僕をかばっただけです。僕は、あの日・・・」

タクは、あの日突然日向に声を掛けられました。

「おい、大庭。こうなったのは、お前らのせいだからな。俺はお前らを許さない」

日向はそう言うと、自分でガソリンをかぶったのでした。そして、ジッポライターが落ち、ガソリンに引火したのでした。

「じゃあ、あなたが、あの場所から逃げた人物なんですか?」

タクはそう聞かれると、素直に「はい」と答えていました。

「日向さんはあなたを罵った後、自分で火をつけたということですか」

しかし、矢継ぎ早に質問され、混乱するタク。

「まあ、今の証言内容は、状況証拠と照らし合わせても無理がないように思います。もちろん、検証はします」

警察官がそう言って立ち去ろうとするとことで、タクが口を開きました。

「もう一人、いた。公園に、いた」

不起訴

そして、勾留満期当日。事務所に検察から連絡が入りました。

「大庭蒼生さんが偽証した点は咎めなければいけませんが、大庭タクさんの証言を検証した結果、不起訴処分とすることになりました」

そして、大庭は起訴されず、帰ってくることが決まりました。

出迎える、石子。大庭は、駆け寄ります。そこに立ちはだかる羽男。

「良かった、良かったね。お帰り。お帰りなさい」

石子が抱き着いて出迎えたかったのですが、羽男に邪魔され、ケンカになりました。しかし、その状況も含めて大庭は嬉しかったのでした。二人まとめて抱き着きます。

「ありがとうございました。お二人のおかげで、俺も弟も捕まらずに済みました。そして、ごめんなさい。嘘ついたのも心配かけたのも」

それを聞いて、石子は安心しました。

「すんごい心配しました。でも、タクさんすごい頑張って」

今、警察署の前で3人で抱き合っている状況です。羽男は「一旦離れよ」と言って、落ち着かせていました。

謎の会合

ある日、御子神が酒を飲みながら、話しをしていました。

「あはは、結局ね、騙されるやつは騙され続けるんですよ。力のない者には、情報は回らない。知らないから負け続ける」

その話している横には、なんと潮の姿がありました。

この関係は、どういう関係なのでしょうか?

最後に

大庭の逮捕は、事なきを得ました。

しかし、気になるのは、なぜ「突然日向が大庭の弟と出くわしたのか?」です。大庭は日向が来ることは知りませんでした。アポも取っていない状態で、たまたま散歩中のタクに会ったのは偶然だったのでしょうか?なぜタクを大庭だと思ったのでしょうか?それは、もう一人いたから、なのでしょうか?

そして、いろいろありましたが、次回は最終回です。面白い作品が多かった夏ドラマですが、この「石子と羽男」は、その中でも上位にくる楽しみなドラマでした。終わってしまうのが、残念です。

そして、最終回は刀根&御子神との対決、になるのでしょうか?潮はどうかかわってくるのでしょうか?

次回予告

楽しみです。

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