バイカオウレン は第1週のサブタイトルです。
ウメに似た形の白い花を咲かせる常緑の多年草で、万太郎のお母ちゃんの好きな花として物語に出てきます。モデルになった植物学者・牧野富太郎が一番好きな植物だったそうです。
時代は江戸、子供の万太郎の生活から始まります。
そんな第1週のまとめです。
主な登場人物
槙野万太郎 森優理斗(子役) 病弱な酒造業を営む家の子供。植物が大好き
槙野綾 太田結乃(子役) 万太郎の姉。しっかり者
竹雄 井上涼太(子役) 番頭の息子。万太郎のお目付け役
槙野久 広末涼子 万太郎の母。病弱
槙野タキ 松坂慶子 万太郎の祖母。実質的に峰屋当主
幸吉 笠松将 峰屋で働く蔵人
坂本竜馬 ディーンフジオカ 天狗。
塚田昭徳 榎本孝明 土佐藩山内家の筆頭家老・深尾家家臣
第1週のストーリー
プロローグ
洞窟を歩く男の姿がありました。帽子をかぶり、蝶ネクタイをつけています。右脇にはスケッチブック、左脇にはカバンを下げていました。
植物学者、槙野万太郎です。
万太郎は、見たことのない植物を見つけると土佐弁で語り掛けます。
「おまん、誰じゃ」
万太郎は、幕末から昭和へと移り変わる時代の中をただ植物を愛し、天真爛漫に駆け抜けました。
「おまん、見たことないき。ひょっとして新種じゃないかえ。はじめまして!」
槙野万太郎
慶応3年(1897年)、少年・万太郎は家の軒下で生えてきた植物を見ていました。
そんな中、家では「甑倒し」が行われていました。万太郎の祖母・タキが挨拶をします。
「甑倒しとなりました。半年間、もろみの仕込みごくろうさんでした。今日は仕込みの総仕上げ、よろしゅうお願い致します」
甑倒しは、米を蒸すための甑を片付け、仕込みが終わったことを祝う日です。造り酒屋にとって大切な一日。
万太郎は家の軒下から姉・綾にひっぱり出されました。そして、甑倒しのために紋付袴に着替えて、母の元へ行きました。
「お母ちゃん、今日ご馳走じゃ」
この日、蔵元は壮大な祝宴を開き、半年間働いてくれた蔵人たちを労います。そのために料理やお菓子が振る舞われるのです。
万太郎は台所で高知の銘菓・山椒餅を懐へ入れると、外へ出かけて行きました。
綾はお母ちゃんの所に食事を持って行きます。
「なあお母ちゃん、万太郎なんでああながやろ。すぐ熱を出すくせにじっとしておれん。弱いくせにやりたがり。どれば心配かけちゅうがかわかってないがよ。お母ちゃんもおかゆ、もうちっと頑張らんと」
しっかり者の姉は、甲斐甲斐しくお母ちゃんの世話を焼きます。
「お母ちゃんは綾がしっかりしゆうき安心やよ。あとはもうちっと綾も笑ってくれたらね」
しかし、綾は「おかしゅうないと笑えんもん」と言うのでした。
倒れる
万太郎は友達の家に行く途中、裏道に入ると咳がで始めます。それでも、急いで友達の家にたどり着きますが、門をくぐったところで倒れてしまいました。
万太郎は峰屋まで連れていかれ、布団に寝かされます。
「走ったき、心の臓がびっくりしたかでしょ。今は肺の府も落ちついとりますき」
友達の家は医者のようで、万太郎を連れて帰るとすぐに診察することができました。
みんなは走ると体調を崩す万太郎に「なんで走ったか」と問い詰めます。しかし、万太郎からすれば、みんな走っていて、自分が走れないことが納得できませんでした。
「おまんはみんなと違う。ええき、寝ちょりなさい」
そう言われ、大人しく寝ているしかありません。
槙野家は代々、佐川の領主・深尾家の御用掛を勤め、苗字廃刀を許された豪商でした。土佐で酒造りを許されている豪商の中で、槙野家はもっとも由緒ある家の一つです。
「峰屋の末長い弥栄を祈りまして」
そうやって、今日は宴会が行われるのでした。
まれてこん方が良かった
宴会は、盛大に行われます。そこには峰屋の蔵人たちや、峰屋の分家筋も参加しています。
そこで、分家のおじさん達の話題は、顔を見せない万太郎でした。奥でこそこそ万太郎の話をしていると、タキに見つかり「分家は分家」だと叱られてしまいます。
その分家のおじさんが席を外し、外で万太郎の話しをしています。
「ばあさんも意固地になりよって。いっそ万の字は、生まれてこん方が良かったが」
その会話を聞いてしまった万太郎。万太郎はお母ちゃんの部屋に行きました。そして、お母ちゃんに抱き着きます。
「お母ちゃん、いらんかった?わし、生まれてこん方がよかった?」
突然の問いかけに驚くお母ちゃん。
「万太郎、母ちゃんね、万太郎が欲しゅうて欲しゅうてたまらんかったがよ。どういても欲しゅうて、裏の神社に毎日お参りに行きよったがよ。ほんなら万太郎がきてくれた。神さんがくれたがよ。万太郎にはお父ちゃんもついちゅう。なんちゃあ心配いらん」
しかし、万太郎はお父ちゃんに会ったことがありません。
「お父ちゃんは見えんようになっただけで、万太郎のことちゃんと守っちゅう」
そう言われても、万太郎には納得できませんでした。万太郎にすれば、見えないのはいないのと一緒です。
「いやじゃ、お母ちゃんもおばあちゃんも嫌いじゃ。大嫌いじゃ」
部屋を飛び出してしまう万太郎。お母ちゃんも体調が悪く、追いかけることもできずつらいのです。
天狗
裏山に走っていく万太郎は、神社を見つけました。これがお母ちゃんが毎日祈った神さんがいる場所です。
石段を上がっ行き、神社の敷地で万太郎は叫びます。
「神さん、おりますか?神さん、神さん、神さん。出てきて下さい。聞きたいことがあるがです。どういて、神さんのせいじゃに。わしがみんなと違うのは神さんのせいじゃに。神さんのあほ」
そんな万太郎を見ていた人が、木の上にいました。
「あはは。神さんをあほう呼ばわりするち。ふてえ坊じゃの」
万太郎は天狗だと思いました。
「天狗はええな」
そう言った武士は、坂本龍馬でした。
その頃、峰屋では万太郎の体調を心配した竹雄が部屋を覗きました。しかし、万太郎はいません。竹雄はみんなに万太郎がいないことを知らせ、お母ちゃんは仏壇で万太郎の無事を祈ります。
祖母・タキと母・ヒサ
そこにタキがやってきました。お母ちゃんは申し訳なさでいっぱいです。
「支えられんで申し訳ありません。私の体が丈夫じゃないばっかりにようよう授かった万太郎まで、弱く生んでしまいました。本当に申し訳ありません」
タキはヒサにはっきりと言ったことがありませんでしたが、この機会に伝えることにしました。
「わしもこの家に嫁いで来た身やき、嫁の務めはようわかっちゅう。おまんは、三べんも子が流れて、本当なら離縁するべきやった。もう子供を望むべきやなかった。おまんの体を思うがやったら。それでも、おまんにまたやや子ができて、さあ今度こそ家中みんなでおまんを守ろうと言う時に嘉平もうちの人も、あっけのう亡くなってしまった。ほんまに不安じゃったろう。けどおまんは、峰屋の跡継ぎを生んでくれた。おまんば、立派な嫁はおらん。万太郎は、わしの人生を照らしてくれゆう」
タキの言葉に救われるヒサ。しかし、それだけではありません。
「本当に私も、あの子のこの先を見守りとうございましたけんど、自分のことですきよくわかります。万太郎と綾を育てあげれんと申し訳ありません」
ヒサの体調を知ったタキは、ヒサに約束します。
「顔を上げ、ヒサ。謝ることはひとつもない。おまんは万太郎を生んでくれた、綾の親になってくれた。それで十分やき。万太郎を育てあげ、この峰屋を渡すまで、わしは死なんきね」
自分の勤め
「天狗は、熱を出す?わしはしょっちゅうだす。ちっと動いただけで苦しゅうなる。わしは弱おうて、みんなと違うがやと」
万太郎は龍馬の手を取り、つぶやきます。
「わし、生まれてこん方がよかったがやと」
それを聞いた龍馬は激怒します。
「はー!そんなこと言うガキは頭から食ろうちょる。生まれてこん方がよかった?ほんなら頭から食われても文句ないじゃろ」
嫌がる万太郎は逃れようと叫びます。そして、興奮しすぎて、気を失ってしまうのでした。
「坊、坊よ」
龍馬から起こされた万太郎は、木々を揺らす風や光を見て起きます。
「坊、生まれてこんほうが良かった人は一人もおらんぜよ。いらん命はひとつもない。この世に同じ命はひとつもない。みんあ、自分の勤めを持って生まれてくるがやき。己の命と心を燃やして、何かひとつことを成すために生まれてくるがじゃ。誰に命じられたことじゃない。己自身が決めて、ここにおるがじゃ。おまんも大きゅうなったら何でもできる。望むものになれるがやき。さあ望みや。おまんは何がしたいかぜ」
その問いかけに答えるより先に、二人の武士が龍馬を迎えにやってきました。
「下関にいることになっちゅうがき、人目につかんといて下さい」
そうして、天狗こと龍馬とは別れたのです。
どうしてこんな花が咲くのか
そこに迎えにくるお母ちゃん。綾と、竹雄に支えられています。
お母ちゃんの姿を見て、抱き着く万太郎。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
竹雄が誰かいたようだがと万太郎に聞くと、万太郎は「天狗じゃ」と答えました。しかし、綾は信じられません。
「本当におったかもね。ほら、天狗が春を連れてきたがやろうね。これ、お母ちゃんが一番好きな花。細うて、ちいちゃいね」
そう指さした先には、バイカオウレンが咲いていました。
「ほんでも冬の間、冷たい土の中でちゃんと根を張って、春真っ先に白ろうてこんなにかわいらしい華を咲かせてくれちゅう。この華はたくましい。命の力に満ちちゅう」
万太郎はお母ちゃんになんと言う花かと聞きますが、お母ちゃんは知りませんでした。
「名前は知らんき。どういてこんな華が咲くがか、不思議やね」
その言葉が万太郎の心に残りました。
「どういてこんな花が咲くがか」
峰屋の当主
万太郎が家に戻ると、玄関先ではタキをはじめ、みんなが待っていました。
「おまんはなんですか?今日はうちの酒を仕込むために働いてくれちょった蔵人らを、存分に労う日じゃ。蔵元は、酒を作ってくれるきやっていける。いくら礼を言っても足りん。そんな大事な日に、おまんはそれでも峰屋の当主かね」
大きな声で怒られた万太郎は、泣き出しそうになります。綾が助け舟を出そうとしますが、お母ちゃんが止めました。万太郎は泣かず、蔵人たちの前に立ちます。
「杜氏のおやっさん、蔵人のあんちゃんら。わしはいつもあんちゃんらのあの歌、聞きよった。倉の仕事、お酒もわからんけんど、あんちゃんらの歌を聞くと嬉しゅうて、熱が出てる時もぐっすり眠れて。おやっさん、あんちゃんら、どうかまた峰屋にきてくれますろうか」
万太郎は、そう問いかけました。
「坊、ありがとう存じます。わしらも峰屋で働けて幸せですき。また秋になったら参ります」
そう言って、万太郎の非礼を許してくれたのでした。そのやりとりを見たヒサは少し安心したようです。そして、分家のおじさんは、しっかりとした万太郎の物言いにがっかりしたようでした。
竹雄の仕事
その後、タキは竹雄を部屋に呼びました。
「竹雄、おまんは働きもんじゃ。ゆくゆくは市蔵、お前の父ちゃんのようにええ番頭になるじゃろう。けんど、明日からは家の仕事はせんでええ。それよりも万太郎のことだけを気にかけちょってくれたら、それでええ」
言われずとも、万太郎のことは心配しています。
「ほんじゃき、今日みたいなことは二度と起こしな。万太郎がだまって出て行く、そんなことが次あったら、おまんの落ち度じゃき」
竹雄は「はい」と受け入れるしかありませんでした。
そして、お母ちゃんは万太郎を探しに行ったことで、熱を出して寝ています。
万太郎はお母ちゃんのために、摘んできたバイカオウレンを絵に描いて、お母ちゃんの部屋に差し入れしたのでした。
塚田昭徳
馬に乗った武士が峰屋にやってきました。ヒサと碁を打っています。
「喜左衛門と嘉平、屋台骨を無くしてもう峰屋の酒が飲めんと案じたが、いらん心配じゃったの」
そう言われ、ヒサは胸を張ります。
「ええ、いらん心配でございます。私は、峰屋を孫に渡すまでピンシャンしときますき」
やって来た武士は深尾家家臣・塚田昭徳でした。
「今やこの土佐は、伸るか反るか、乾坤一擲の時。だが、民にはそれがわからん。潮の変わり目と浮足立つ者もおる」
タキは塚田の言っていることはよくわかりませんでしたが、峰屋の立場は変わりません。
「ご案じ下さらんでも、私たち峰屋は深尾のお殿様に引き立てられ、150年間暖簾を守ってまいりました。世の中がどう変わろうと、峰屋の忠義、変わることはございませんき」
そして、塚田に万太郎を紹介しました。
「塚田様、初めてお目通り致します」
万太郎はしっかりと挨拶することができました。
「そのうち寺子屋じゃのう。坊、名教館に通うか?」
そう問いかけられても、万太郎にはどこかわかりません。しかし、タキには塚田が言ったことの重大さがよくわかりました。名教館は、お殿様が御学問所のことです。
タキも万太郎も、申し出をありがたく受け、平伏しました。
この年の10月、土佐藩が提出した幕府に提出した建白書が、世の中を大きく動かします。世に言う「大政奉還」です。
禁忌を破る
その年の秋になり、杜氏と蔵人たちがやって来て、今年の酒造りが始まりました。
峰屋が忙しくなる一方、万太郎は文字通りお灸をすえられています。暴れる万太郎をタキの指示で押さえる竹雄。万太郎は竹雄に怒りますが、竹雄は放しませんでした。
万太郎は神社に逃げて行きました。その万太郎を竹雄が探しに来ました。
その時、村の子供たちが、万太郎と一緒に鬼ごっこしようと誘ってくれました。しかし、竹雄は構わず、万太郎を引っ張って連れて帰りました。
帰ってくると、一緒に遊ぶことができなかった万太郎は、竹雄を蹴ったり噛んだりします。それを見た綾が万太郎を怒りますが、万太郎は拗ねて酒造りをしている蔵へ入ってしまいました。
綾は万太郎を追いかけます。一瞬躊躇しますが、蔵に入りました。
仕込み中の樽が並ぶ蔵は、いい香りがしました。万太郎を探して進んで行く途中で、綾は捕まり、外に出されてしまいます。
「おなごが倉に入ったらいかんですき。おなごは穢れているがじゃ、入ったらいかん」
綾が怒られているのを聞いた万太郎は、出てきて自分が悪かったと説明しました。
「坊、おなごはいかんがじゃき。酒蔵の神さんがおなごを嫌うから酒が腐る」
昔のしきたりは変えることはできません。綾が入ったので、お清めの塩と酒をまいていました。
そして、蔵人・幸吉は、綾が髪飾りを拾いました。
綾の罰とお母ちゃんの病状
綾は、蔵に入ったバツとして、夕飯を抜かれることになりました。
「おばあちゃん、嫌じゃ。わしが悪いがじゃ。お姉ちゃんを許して」
しかし、許せる話ではありません。
「万太郎、おまんは峰屋の当主じゃ。酒蔵には酒蔵の掟があるがじゃき。わしも蔵には一歩たりとも立ち入ったことがない。おなごはいかんがじゃき」
そう言うとタキは立ち去ってしまいました。
「万太郎、そんなに泣かんといて。私が入りたかったじゃき。ええ匂いがした。あの蔵へ、いっぺんでいいき、入りたかったやき」
綾は入ってはいけないことを承知で入ったのです。
そこで、万太郎はお母ちゃんに会いに行いきます。しかし、お母ちゃんは病気で寝ている状況で会うことができません。
それでも入ろうとする万太郎。しかし、お母ちゃんは辛そうに寝ていのでした。
花をちょうだい
年が明けると、お母ちゃんはほとんど目を覚まさなくなっていました。
医者が呼ばれました。しかし、万太郎も綾も遠くで見ているだけしかできません。
「お姉ちゃん、お母ちゃんどうなるが?」
不安になった万太郎が聞くと、綾は悲しそうに言うのでした。
「冷とうなるがよ。冷とうて固うて、もう目を開けてくれんようになる」
死を受け入れられない万太郎。しかし、死は避けることができません。綾は万太郎の前では気丈に振る舞っていますが、人目のないところでは涙を流すのでした。
万太郎は何とかしたいと思い、裏山に一人で向かいます。石段を登り、天狗を探しますが、天狗はいません。
「天狗、来て。誰か、花をちょうだい」
万太郎は、花を探しに神社の奥の立ち入り禁止の場所へ行くのでした。
捜索
竹雄は綾に万太郎がいないことを知らせます。
「裏の神社に花を探しに行ったんやろ。私も行く、待っちゅうことはできんき。日が暮れる、早いこう」
綾と竹雄が探しに行きますが、神社にはいませんでした。万太郎が立ち入り禁止の中に入ったと思った綾は、竹雄を連れて入っていきます。また禁忌を破ってしまうのです。
「どういて万太郎なんやと思うたことがある。弱いのにやりたがり、迷惑ばっかりかける。勝手に倒れるし、つまらん葉っぱをずーっと見よる。うちの男衆とは、まるで違う。私と万太郎があべこべやったらって思ったことがある。あたしが男なら、蔵人みたいに働くんや。酒の神さんにも嫌われんと、峰屋の役に立つんや。けんど、違ごうた。私はああゆう風に人を笑わせることはようせん。万太郎は弱いけんど、万太郎じゃないといかんがやき」
綾は万太郎を認め、竹雄にそう話します。その時、雪が降ってきました。
万太郎は咳をしながらも、どんどん奥へと入り、花を探しています。そうして、やっと見つけた花は、崖の下に一輪だけ咲いていました。
花を摘むために崖のしたに降りた万太郎ですが、上ることができなくなってしまいます。
「どうしよう。誰か、来て。助けて」
そこに竹雄と綾がやってきて、二人で助けてもらうことができました。
「本当に坊はダメ坊じゃ。二度と離れませんき」
竹雄はそう誓うのでした。
あそこにおるね
朝までもつかどうかという医者の見立てを聞いて、タキはお母ちゃんに呼びかけます。
「ヒサ、まだいかん。しっかりし、万太郎は名教館に行く。綾も女らしゅうなる、しっかりし。おまんが見ちゃらんでどないするか」
しかし、お母ちゃんは反応しませんでした。医者に促されて、タキは子供達を呼びに部屋の外に出ました。
その時、扉が開いて泥だらけになった万太郎たちが帰ってきました。タキは万太郎を抱きしめると、お母ちゃんの元へ連れて行きます。
「お母ちゃん、花、採ってきたよ」
そう言った万太郎ですが、すぐに顔が曇ってしまいました。それは、お母ちゃんが好きな花バイカオウレンではなかったのです。お母ちゃんの好きな花を採ってこれなかったと泣きだす万太郎。
その時、お母ちゃんが目を覚まし、万太郎に手を伸ばしたのです。
「綺麗ね、万太郎。春になったらお母ちゃんあそこにおるきね。また会おうね」
それからお母ちゃんは、万太郎と綾の手を取ったまま、目を開ける事はありませんでした。
そして春、神社へ行く万太郎。神社にはバイカオウレンが咲いていました。
「咲いたね、万太郎。見えんなっても、ちゃんと根をはっちゅう。命の力に満ちちゅう。万太郎もね」
万太郎には、そう言うお母ちゃんが見えました。
「わしは、この花の名前が知りたい」
天狗に言われた、何がしたいか、万太郎は答えを出したのです。
最後に
第1週は万太郎の5歳の頃のお話でした。
最初の週にお母ちゃんが亡くなってしまうのは、ちむどんどんで第1週の最後にお父ちゃんが倒れたのを思い出しました。
来週は9歳になり、学問所に通うようです。それは、新たな出会いがあるはずです。体は強くなっているといいんですが、どうなっているでしょう?
それにしても、予告の動画ってないんでしょうか?
とにかく、来週も楽しみです。