ファミリーデイ は、企業が社員の家族を招いて行うイベントです。
小鳥が「チームビルディング」の一環として提案し、実施されたものです。
そして、佐奈に告白した功と佐奈の関係はどうなったのでしょう?
そんな第6話のネタバレです。
主な登場人物
成川佐奈 永野芽郁
小鳥智志 西島秀俊
須崎功 杉野遥亮
森本海斗 坂東龍汰
栗木次郎 前原滉
夏井恵実 青山テルマ
羽田早智 広末涼子
永瀬拓也 松尾貴史
成川美佳子 奥貫薫
第6話のストーリー
小鳥さんのこと
「好きだ。俺は佐奈が好きだ」
功に告白され、困惑する佐奈。
「人としてってことだよね?びっくりした。急に変なこと言わないでよ」
そう言って佐奈は誤魔化そうとしますが、功は本気でした。佐奈の問いかけに何も答えません。
「だってあの”社内恋愛禁止“のルール。ルールは守らなきゃだもんね。それに私たちは最高のビジネスパートナーな訳だし」
しかし、受け入れてもらえなかった功は、余計なことを聞いてしまいます。
「ビジネスパートナーって便利な言葉だよな。相手の気持ちを誤魔化すのにちょうどいい。小鳥さんのことはどう思ってるの?」
佐奈に誤魔化すつもりはありません。そして、突然「小鳥」の名前が出てきてびっくりします。
「羽田早智との関係を知ってあんなに動揺して。靴履いてもらったぐらいであんなに喜んで。おかしいだろう」
功は言いたいことを言うと「もういいよ」と言って帰ってしまいました。
妹からの電話
一人で帰宅する佐奈。ベッドに入っても、功とのことが頭から離れず、全く寝れませんでした。
その時、妹・依里から電話がかかってきました。佐奈は低いテンションのまま電話に出ます。
「ビジコン優勝した割にはテンション低くない?なんかあった?恋愛系?」
妹の鋭さに驚いてしまいます。
「朝から何言ってるの?用がないなら切るけど」
そう言うと、依里は本題に入ります。
「待って。あのさ。お姉ちゃん、いつになったら仕事落ち着く?」
佐奈は「来週くらいには」と答えますが、依里はそこまで待てないのでした。
「やっぱいいわ、じゃあね」
そう言うと電話を切ってしまいました。
微妙な関係
「いつも通り、いつも通りに」
そう言い聞かせながら出社する佐奈。栗木と恵実は朝からテンション高く挨拶します。
「おはよう。昨日は最高の一日だったな」
そこに功が出社してきました。まさかの佐奈とリンクコーデ。というか、もはやお揃いコーデでした。
「やっぱり気が合うな。よっ、最高のビジネスパートナー!」
そう囃し立てられますが、佐奈も功も全くノレません。功は無言のまま席に付きました。
そんな功との関係を気にして、ため息をつく佐奈。
「こうならないために社内恋愛禁止のルールを決めたのに。どうしよう」
しかし、答えは見つかりませんでした。
ベータローンチ
「みなさん、ビジコン優勝おめでとう。これでうちも、追加出資を検討します」
そう言うのは、ドリームポニーに出資してくれているベンチャーキャピタルの白金でした。
「一気に進めて、特許出願準備して、ベータローンチすべきだと思いますけど?」
ベータローンチは、アプリの体験版を特定のユーザーに絞って提供すること。正式なリリース前にアプリが十分に準備できているか確認することができます。
「じゃあ、エンジニアチームは早速アプリの精度を高めて下さい」
佐奈がそう言うと、功は顔も上げずに「わかりました」と答えました。
それを見た海斗は、空気を読まずに発言します。
「なんかありました?CEO(佐奈)とCTO(功)。なんか、目を合わせないし、空気が重いし」
佐奈は「そんなことないよ」と言ってかわすことしかできませんでした。
呼び出し
そんな時、羽田早智から佐奈に直接電話がかかってきました。
その電話を受けて、佐奈と小鳥は羽田の会社に向かいます。佐奈にも小鳥にも、早智が呼び出す理由はわかりません。
「とりあえず、小鳥さんと一緒に会社にくるように言われて。お友達なんですよね?」
佐奈が小鳥に聞くと、小鳥は友達だといいます。
「といっても、一度羽田社長のご自宅で食事をしたぐらいですが」
自宅に呼ぶ関係は、友達と呼んでいい関係なんでしょうか?佐奈は「まだ友達ってこと?」と勘繰ります。
そんな時、タクシーが急ブレーキを踏みました。前につんのめる佐奈に手を出して、守ろうとする小鳥。こういうことがすんなりできる男は、できる男です。
3年もよく頑張った
「佐奈となんかあった?」
栗木は功に聞きますが、功は「別になにも」と言って話してくれません。
「わかった。ビジコンの後二人で飲んで、ムードに飲まれて、そのまま告っちゃったとか?」
ドストレートに核心を突かれ、むせる功。その反応で、栗木は核心を突いたことを察します。
「会社が大事な時にルール破ってごめん」
そう功は謝りますが、栗木の反応は意外な物でした。
「本当になにやってるんだか。でも、3年もよく頑張ったよ」
栗木は功の気持ちを知っています。それで、3年も告白を我慢した功に頑張ったと言ったのでした。
海斗の不審な行動
功と栗木が話している時、作業スペースには海斗しかいませんでした。
海斗は、功のパソコンを触っていました。そこに恵実が戻ってきました。
「それ功のパソコンじゃん、なにしてるの?」
そう言われ、海斗はマウスをクリックして離れました。
「ちょっと指示書の確認を」
そう言う海斗の行動を不審がる恵実。
投資
羽田早智が社長を務めるサイバーモバイルに着いた佐奈と小鳥は、応接室に通されました。
「突然呼び出してしまってごめんなさい。
今朝の会議で決まったんだけど、サイバーモバイルはドリームポニーに投資をしたいと考えています。3億。
嘘じゃないわよ。スタディポニーキャンパスの技術はエドテックだけじゃなく、いろいろな分野に活用できる。特に今、仮想空間のメタバースは世界でも注目を集めていて、たくさんの可能性を秘めているわ。
それに、前に辛辣なアドバイスをした時のあなたと、この間のビジコンのあなたでは、自信のありようが違っていて、まるで別人のように見えた。小鳥さんの影響かしら」
突然名前を出されて驚く小鳥。
「これ、契約書です。そちらの財務担当は小鳥さんでしたよね?目を通していただければ」
そう言われ、小鳥は契約書を受け取りました。
チームビルディング
「最後にひとつだけアドバイス、いいかしら?」
早智にそう言われ、佐奈は「ぜひお願いします」と答えました。
「チームビルディングをしっかりね。
今こそ団結しなさいってこと。いつだって、成功の後にピンチはやってくるものよ。その時に耐えられるかどうかは、組織としての地盤がしっかりしているかどうか。せっかくいいプロダクトを考えたとしても、人間関係のいざこざで消えて行った企業はいくつも見てきたわ」
功との関係を思い出して、何も言えなくなる佐奈。
「チームビルディング、いい言葉ですね。勉強しておきます」
何も言えなくなった佐奈を見て、小鳥はそう発言しました。
「先ほどはフォローしていただいてありがとうございました」
佐奈は小鳥と二人になると。素直に謝りました。そして、功とケンカしたことを伝えます。正確にはケンカではないのですが、小鳥にはそう説明していました。そして、佐奈は功ときちんと話し合いをすると小鳥に伝えました。
「お二人なら、きっと大丈夫です」
小鳥はそう言ってくれました。
凛花と依里
佐奈は会社に戻ると、功と話しをするために、功に話しかける練習をしました。
「功、今話せるかな?」
「功、ちょっと話そう」
自然に聞こえるように練習して、オフィスに戻ると、そこには凛花の姿がありました。功にべったりくっついて、話しをしています。そんな凛花を凛花のSNSの写真と見比べる海斗の姿がありました。
「何しに来たの?」
ついそう言ってしまう佐奈に凛花は、「あの子に用があってきた」と言って依里を呼ぶのでした。
「私がここに呼んだの。まずは、あなたとちゃんと話した方がいいと思って」
凛花と佐奈は、功のことで、険悪な雰囲気です。しかし、人として凛花は、育ちがいいのだと思います。功のライバルとして対立はしていますが、意地悪な感じはありません。
依里の気づかい
佐奈と依里は、別の場所で話します。そこに小鳥がやってきて、お茶とお菓子を置いて行ってくれました。その時、小鳥の靴が佐奈がプレゼントした靴だと、依里は気づきました。依里が無理やり買った靴です。
「あの靴の人じゃん」
そういう依里を制して、佐奈は依里の話しを聞きます。
「私さ、美容師になりたいって話したことあったじゃん。あれ、本気で目指してみようかと思って。
そのためには、専門行って資格を取る必要があるでしょ?だから、進学費を稼ごうと思って、SNSで手軽に稼ぐ方法がないか凛花ちゃんに相談したの」
佐奈は凛花に話したことがショックです。でも、依里は依里で、佐奈が忙しそうだったから、気を使って話せずにいたのでした。今朝の電話も、それだったのです。
失業
「そもそも、なんで依里が進学費用?」
そう佐奈が聞くと、依里は言うのでした。
「だってお母さん、仕事クビになったんだもん。
最近よくセルフレジ見るじゃん?あれがお母さんのスーパーに導入されたらしくて、人員削減だって。15年以上の勤めてたっていうのにひどい話しだよね」
そんな時、凛花と功、栗木達は依里から聞いた話をしていました。
「いわゆるAI失業ってやつみたい」
佐奈の親の世代の再就職は、かなり厳しいことは予想できました。
「なんかさ、進学費すら払えない家庭があるなんてビックリしちゃう。うちらには、無縁な苦労だよね」
凛花は悪気があって言っている訳ではありません。ただ、環境として、裕福な環境にあっただけなのでした。
着信
佐奈の母は、再就職の面接を受けていました。しかし、採用されずお祈り(不採用)メールが届きました。その時、佐奈から着信が入ります。しかし、母は電話には出ませんでした。
会社では、困ってる佐奈に声をかけたい功ですが、声をかけれずにいました。そんな功に知らない番号から着信がはいりました。
母
階段で足を滑らせ、荷物をぶちまける佐奈。その荷物を拾ってあげた小鳥が聞きました。
「お母さまと連絡は取れましたか?」
しかし、佐奈の連絡に出てくれません。
「うちの母はいつもそうなんです。私に何も言ってくれなくて。お父さんが家を出て行った時も、専業主婦だったのにいきなり外で働くことになって。きっと辛かったと思うんですけど、弱音吐かず笑ってて。私が企業して仕送りができるようになった時も、お金はいらない、依里は一人で養えるって。ちっとも頼ってくれないんです。きっと私は、お父さんと同じだから。私の父も起業したんです。事業に失敗して借金を抱えて、それで母とも離婚したんです。だから母は、私の会社もいつかきっと失敗すると思ってるんだと思います。あのポニーだけが1家4人、幸せだった時の思い出なんです」
ポニーの思い出
「会社のロゴにもなったポニーのぬいぐるみがあって。父親に買ってもらったものなんです。本当に普通の家族だったのに」
佐奈にとって「大事なお守りみたいなも」と言っていたぬいぐるみです。小鳥は、その話を聞いて、アドバイスしてくれました。
「親に自分の仕事を認めてもらえないのは辛いですよね。一度お母さまと話せるうちに話した方がいいですね」
そして、小鳥が佐奈と一緒に駅とは反対方向に歩いていることに佐奈は気づきました。佐奈は話しを聞いてくれるために一緒に歩いてくれたのだと思います。しかし、小鳥は余計な負担を掛けないように言うのでした。
「ちょっと寄りたいところがありまして。では失礼します」
気遣いができる大人の男・小鳥なのでした。
ヘッドハンティング
功が受けた未登録の番号の通知は、ゲームアカデミアの社長・永瀬からのものでした。
「わざわざきてもらってごめんね。この間のビジコンで、君の素質に興味を持ったんだ。広い視野で柔軟な対応ができている、優秀なエンジニアである証拠だ。ぜひ、うちに来て欲しいと思ってね」
永瀬からの連絡は、ヘッドハンティングの連絡でした。そして、永瀬は話しを続けます。
「お父さん、須崎不動産グループのCEOなんだって?
君は教育格差が起きる一番の要因を知っているよね?経済格差。君は立派なお父さんに育てられて、幼稚舎から大学までエスカレーター式に一流の名門校に通ってきた。いわば、課金されまくりの特別待遇の人生だ。そんな君が教育格差をなくしたいという今の会社の理念に共感できるとは思えないんだけどね」
そういうと、超高待遇の労働条件を提示するのでした。
「君には、君に合った場所があるはずだ」
母の心配と娘
実家に帰る佐奈。
「突然なに?来るなら連絡ちょうだいよ」
母はそう言って扉を開けました。しかし、佐奈が連絡しても出なかったのは母の方です。
「依里から聞いた、仕事の事。どうして私に何も言ってくれないの?」
そう切り出す佐奈に母は、言うのです。
「あの子、本当におしゃべり。言った所で関係ないでしょ?」
しかし、関係はあります。母と娘2人の家族です。そして、佐奈は「依里の進学費なら私にも払える」と言うのでした。
「そう言うと思ったから言いたくなかったの。お金は自分のためにちゃんと取っておきなさい。会社だって、いつまでも上手くいくとは限らないのよ。
ITなんてお母さんにはわからないもの。不安定そうじゃない」
母は母なりに娘のことを心配してくれていたのでした。
「お父さんみたいに私も失敗すると思ってるだ?お母さんが私の仕事をどう思うか勝手だし、意地になるのもかまわないけど、それに依里を巻き込まないで。依里には私みたいに悔しい思いをさせたくないの。・・・ごめん、お母さんを責めたい訳じゃなくって」
母は「そろそろ夕飯作らないとね」と言って、話しを切り上げました。しかし、佐奈はまだ結論が出ていないと食い下がろうとします。
「依里の進学費だったら、お母さんが何とかする。とにかく、何とかする」
そう言って、話しは打ち切られてしまいました。
栗木の思惑
母との話は平行線で終わってしまいました。佐奈が一人で帰っていると、栗木から連絡が入ります。
「ゲームをクリアして、すげークーポンゲットした。たまには二人で飲むぞ」
そんな軽いノリに今は癒される佐奈。
指定されたバーに着くと、功が現れました。功も栗木に誘われて、やってきたのでした。
その時、栗木は、家で二人の仲直りが上手く行くように祈っていたのでした。
「あ、そういうこと」
栗木の気持ちに気づいた二人は、栗木の思惑に乗って、食事することにしました。
俺が欲しかったもの
佐奈はビール、功はオレンジジュースを注文しました。
「あのクーポンって、ドリンク一杯無料って、良くあるやつだよな」
栗木が言っていた「すげークーポン」は、普通のクーポンでした。
「本当だね。でも、クーポンもらえると、くじ引きにあたったみたいで、なんかテンションあがる」
そう言って喜ぶ佐奈。
「あ、これ、スタポニキャンパスにも取り入れられないかな。勉強頑張ったユーザーがクーポンもらえたら、もっとやる気出ると思わない?」
何でも仕事に結びつけてしまう佐奈。功も「アクティブユーザーが増えそう」と言って賛成していました。
「あと、言いそびれてたんだけど、羽田社長が3億円投資したいって言ってくれた」
やっと伝えることができました。それを聞いて、功も喜んでいます。そして、二人でハイタッチ。
しかし、なんだか微妙な空気になってしまいました。
「やっぱり、俺が欲しいのはこれだった」
惚れている
「今日さ、ゲームアカデミアの永瀬さんに会ってきた。それで、うちに来ないかって誘われた」
そう言われた佐奈は、驚いています。
「超いい条件だされてさ。さすが業界最大手は違うなって思って。設備も最先端だし、社内にサウナまであってさ。でも、断った」
断ったことを聞いて、一気に安心する佐奈。そして、功は、誘われたことで、気が付いたことがありました。
「どれも欲しくありません。たしかに、会社の理念に自分の経験からだと共感しきれない部分はあります。でも、それだけじゃないんです。自分がドリームポニーで働いているのは、一緒に働きたい人がいるからです。彼女が思いついたアイデアを形にしていくのが、僕のやりがいなんです」
功はそう言って、永瀬の誘いを断ったのでした。
そして永瀬に「惚れてるのか」と聞かれ「人として惚れています」と答えたのでした。
あの時、起きていた
「俺は結局、佐奈と仕事をするのが好きなんだ。だから、あの日のことは忘れて。俺も忘れる。俺たちは、最高のビジネスパートナーでいよう。それで、絶対に会社を成功させよう」
そして、食事をし、いつもの挨拶をして離れました。
「じゃあ、また明日な。貧乏少女」
「うるさい、坊ちゃん。また明日」
少し歩いて、佐奈は立ち止まって、振り返ります。そして、あの日のことを思い出します。
「もしお互いに30歳になって相手がいなかったら、結婚するのもありだよな」
そう功が言ったあの日。寝言で「うん」と言ったように聞こえていましたが、佐奈は起きていたのでした。寝言のように「うん」と言っていたのです。そして、その言葉を聞いて、涙を流していたのです。
「あの約束もなしってことかな?」
そう独り言を言って、立ち去りました。
仲直り
「佐奈、このデザインどう思う?」
功が佐奈にアドバイスを求めます。
「もっと優しい色味にしてみる?」
佐奈もいつものように答えていました。
「仲直りできたんですね?」
小鳥にそう言われ「功とは」と言う佐奈。しかし、母とは微妙な関係のままでした。
ファミリーデイの提案
「サイバーモバイルから3億円、正式に出資を受けることに決まりました」
そう佐奈がスタッフに報告すると、栗木は言うのです。
「これでようやくユニコーンも見えてきたな」
ポニーがユニコーン企業になる日も近いのかも知れません。
「ひとつ、皆さんにご提案が。ドリームポニーでファミリーデイをやりませんか?」
小鳥が提案しました。ファミリーデイは、社員や関係者の家族を会社に呼ぶものです。普段の仕事内容や環境を見てもらい、社員の家族同士の交流を深める取り組みです。
「たしかに、俺たちの仕事ってわかりずらいし、こういう機会に知ってもらうのもいいかもな」
功は賛成ですが、海斗は反対です。
「めんどくさいだけだと思います」
しかし、海斗に反対されても、小鳥はくじけません。
「手間はかかるかもしれませんが、これはチームビルディングの一環でもあるんです。
ファミリーデイを開くことで、メンバーの家族を知ることができます。そうすれば、もし誰かが家族の都合で急な休みが必要になった時に、もっとフォローし合える関係になれると思うんです。これから先、予想もしなかったトラブルが生じるかもしれません。そんな時に備えて、もっと我々の関係を強固なものにできればと」
そう説明されても海斗は反対です。
「プライベートの侵害です」
強制参加ではなく、呼びたい人だけでいいということで、開催が決まりました。
きっかけ
「小鳥さん、あの、さっきの提案って私に母と向き合う切っ掛けを?」
ファミリーデイは佐奈に対する心遣いだと思って小鳥に聞いてみました。
「日頃の感謝の気持ちを込めて、みなさんのご家族に楽しい1日をご提案できればと」
小鳥は佐奈のことは出さずに、そう説明しました。
そして、案内状は手紙で発送することにする小鳥。
「どうしてわざわざお手紙なんですか?」
佐奈にそう聞かれて、小鳥は答えました。
「その方が、ご家族へ会いを込められると思いまして」
小鳥らしいアナログな方法ですが、確かに気持ちは込められる気がします。
そして、そのファミリーデイのために部屋に風船を飾ったり、準備をするスタッフ達。
「なんか文化祭みたいだな」
そんな感じで楽しそうに作業していますが、海斗だけは違いました。
「僕は当日欠席でお願いします。用があるんで」
強制参加ではないので、それでも問題はありません。
佐奈は、母に手紙を書いていました。
ファミリーデイ
受付をする小鳥と佐奈。
栗木一家がやってきました。父、母、弟2人。もじゃもじゃ頭がそっくりです。
「小鳥さーん」
そう言ってやってきたのは、早智と息子・玲央でした。
「私までお邪魔して大丈夫だったかしら?」
早智はそう聞くと、小鳥は答えました。
「もちろんです。投資家の皆さんもファミリーです」
そして、玲央は佐奈に「お姉さん誰?」と聞きます。自己紹介する佐奈。
「かわいいね。ママの次に」
早智の教育は徹底していました。
そして、依里が彼氏を連れてやってきました。
「バスケ部のエース?」
佐奈がそう聞くと、今は「陸上部のエース」だと言う依里。佐奈とは違って積極的です。
「あそうだ、お母さん今日来られないっぽい。なんか仕事の面接が入ったみたいで」
依里はそう教えてくれました。残念そうな佐奈の姿がありました。
楽しんでるみんな
「いいオフィスじゃない?」
早智は、オフィスを見て回っています。
玲央は、スタディーポニーの体験をやっていました。
そして、栗木の弟達も、「むずかしかー」と言いながら、スタディーポニーを体験していました。
恵実の家族は海外にいるようで、テレビ通話で会社内を説明していました。
そして、大きな帽子をかぶった女性がいます。しかし、顔は見えません。
小鳥は、タブレットを使って、みんなが楽しんでいるところを動画で取っていました。
かっこいいお姉ちゃん
そして、そろそろ終わりの時間です。スタッフの家族たちを集めて、佐奈が挨拶をします。
「今日は楽しんでいただけましたか?
私たちはスタディポニーキャンパスを日本に留まらず、世界に発信し、誰もが平等に学べる環境を目指します。ご家族のみなさんも、ぜひ応援をお願い致します」
そんな姉の姿を見た依里は、功に言うのでした。
「うちのお姉ちゃんって、かっこいいんだね」
功は自分の事のように嬉しそうに「そうだよ」と言っていました。
大きな帽子をかぶった女性
「その帽子取ったら?なんで変装?」
功は、大きな帽子をかぶった女性に話しかけました。
「だって、見られるの功が嫌がるかと思って」
そう言ったのは、功の母親でした。しかし、父親は来ていません。
「チームビルディングは大成功みたいね」
早智から声をかけられた小鳥は「羽田社長のおかげ」と、ヒントをくれた早智にお礼を言っていました。
そして、残った名札が一つ。それは、佐奈の母の名札でした。
「すみません依里さん。一つ、お願いがあります」
小鳥は依里に何かお願いをしていました。
来るのかな
「なんかさ、改めてみんなの事大切にしなきゃって思った。
だって、みんなのことをあんなに大切に思うご家族がいるんだもん」
後片付けをしながら、佐奈は功に話しかけます。
「そうだな。またファミリーデイをやろう。今度は佐奈のお母さんが来れる日に」
しかし、佐奈は浮かない顔です。
「来るのかな?今日だって、本当に面接だったのかどうか」
佐奈は、受け入れてもらえていないことを自覚していました。
母、登場
「ここがあの子の会社?」
そう言いながら入ってきたのは、佐奈の母でした。小鳥は、準備していた名札を渡します。
「もうすぐ佐奈さん戻られると思うので、こちらでお待ちください」
しかし、ファミリーデイのイベントはもう終わっています。
「すみません、こんな時間に。小鳥さんが送ってくれた動画を見ていたら、一目でいいから実際に覗いてみたくなってしまって」
小鳥が依里に頼んでいたのは、小鳥が撮影した動画を母に送ることでした。それを見た母がやってきてくれたのです。
実は小鳥は知っていた
「あんなに楽しそうな笑顔で、こんなに立派なオフィスまで構えて、頑張ってるですね、あの子」
母は感慨深げに、そう言うのでした。
「私がここで働くようになったのも、佐奈さんのおかげなんです。
実は私、以前にも何度か佐奈さんを見かけたことがありまして。もう10年ほど前のことですが」
実は小鳥は昔から佐奈のことを知っていたのでした。
佐奈と偶然再会した図書館は、佐奈が勉強していた図書館でした。それと同時に、小鳥が勉強していた図書館でもありました。
学校に行けず、泣きながら図書館で勉強してる佐奈。本が取れなくて困ってる佐奈に、小鳥が本を取ってあげたこともありました。
「でも、しばらくして、スタートアップ企業のCEOになっていることを知り、本当に驚きました。
頑張っている姿に勇気をもらいました。それで、かねてからの夢にチャレンジしたんです。
そして運よくドリームポニーとマッチングをしました。
これはもう運命だと感じまして、今は楽しく第二の人生を歩むことができています」
佐奈は、陰で話を聞いていました。
やっぱり親子
「佐奈さんのおかげです」
そう言われ、泣きそうになる佐奈。
「わかってます。本当に立派な子です、あの子は。娘にはこれまで散々苦労をかけきました。悔しい思いもたくさんさせてきて、なのに私は、今になってまた心配をかけてしまっています。これ以上、情けない母親になりたくないんです」
母は母の矜持を持って娘に接したかったのです。母として何もできていない自覚がある分、佐奈に頼ることができないのでいた。
「佐奈さんは、昔感じた悔しさをバネに世の中を変えようとしています。とてもたくましく、優しい方です。そんな風にあたたかで豊かな女性になれたのは、きっとお母さまからたくさんの愛情を受けて育ったからじゃないでしょうか?」
そう言われて母は、涙を流していました。
「あの、大丈夫ですか?」
小鳥がそう聞くと、母は言うのです。
「すみません。花粉症です」
その答え、佐奈も言っていました。やっぱり親子ですね。
頼ってもいい?
「すみません、佐奈さんすぐに戻ると思ったんですが、電話しましょうか?」
そういう小鳥を母は制止ます。
「いえ、十分です。娘の仕事を知ることができて、なんだかホッとしました」
そこに隠れていた佐奈が現れました。
「来てくれてありがとう。私、今、ここで頑張って働いてる。いい同僚にも恵まれて、ちゃんとやってる。だから、もっと頼って欲しい」
佐奈はできるだけの言葉で、母に手を差し伸べます。
「お金の援助は受けられない。それだけはお母さんのプライドが許さない。でも、一つだけ、佐奈を頼ってもいい?新しい就職先を見つけたい。力を貸して欲しい。私にも見つかるかしら、小鳥さんみたいに」
そう言われて、佐奈は胸を張って答えます。
「大丈夫。任せて」
全力の職探し
「あらゆるビジコン、講演会、シェアオフィスで名刺交換してきましたから」
栗木はそう言うと、テーブルの上に大量の名刺を広げていました。人脈という人脈ではありませんが、佐奈は全力で母に合った仕事を見つけてあげたいと思っていました。
そして、家事代行サービスの会社を紹介しました。
その結果、無事再就職することがきました。
「どうして私を採用に?」
母は採用してくれた会社に聞きました。
「お子さんを2人も育てられたんですよね?それはもう、とてつもない戦力です。
成川さんの力を必要とするご家庭がたくさんあります。うちはフレックスで働けますので、ぜひ力を貸して下さい」
母がスキルだと思っていなかったことが、スキルとして十分通用することを知ったのでした。
運命と新たな問題
「小鳥さんがこの会社に来てくれて、本当に良かったです。これはもう、運命だったんですね」
そう笑う佐奈に小鳥も笑っていました。
そこに、功が飛び込んできます。
「佐奈、マズいことになった。スタディポニーキャンパスの特許が、もう他の会社から申請済みだと言われた。先に申請したのは、ゲームアカデミアだ」
今の時点では、どうしてそうなったのかわかりません。
技術を盗まれたということなのでしょうか?しかし、セキュリティには問題ないと恵実は言っていました。そうすると、誰かが情報を流したとしか思えません。
そこで海斗の映像が流れます。
これは海斗の仕業なのでしょうか?
「どうしよう。このままじゃスタディポニーキャンパスが作れない・・・」
佐奈の心配が現実になってしまうのでしょうか?
最後に
功と佐奈の関係は、また元に戻ってしまいました。しかし、佐奈が起きていて「うん」と言ったことがわかって、功との関係は進んでいく可能性が残されました。
そして、情報漏洩は、海斗の仕業なのでしょうか?
雰囲気的には海斗なのですが、海斗じゃないと信じたいです。