図南の翼 十二国記(7)

読書

図南の翼 は十二国記シリーズで、舞台は、恭州国(恭国)です。

時代は、陽子の時代から約90年前の話しです。

珠晶しゅしょう

珠晶は、恭国に住む豪商の娘です。まだ12歳です。

幼い頃から父親に溺愛され、何不自由無く育てられてきました。

ただ、先王崩御より27年に渡る王不在により、国はどんどん荒廃していっています。

そのため、官として国を支えることを目指そうとします。

しかし、学校の学頭が妖魔に殺されて庠学しょうがくが閉校になってしまいます。

「王がいないと国は成り立たない」

自ら王になるべく、家出して蓬山へ昇山することを決心します。

頑丘がんきゅうとの出会い

騎獣を狩る朱氏しゅしの頑丘は、金剛山の麓にある恭国いぬいの町の宿屋で、珠晶と出会います。

家から騎獣と金を持ち出して家出していた珠晶は、無謀なまでの威勢のよさを見せます。

麒麟に会って王になるために、麒麟のいる蓬山ほうざんへ昇山すると言います。

そのため、道案内として黄海こうかいに慣れた頑丘を雇うことにします。

蓬山は、十二国記の世界の中心にある山です。そこには、麒麟が成長するまで過ごす場所であり、神聖な山でもあります。

そして、その蓬山にたどり着くまでにあるのが、妖魔が住むという黄海です。

黄海は、危険な場所です。しかし、その黄海で騎獣になる妖魔を狩る人達もいます。

それが朱子であり、頑丘もその一人です。

王の気配

蓬山を囲む荒れ地・黄海へ入るためには、決まった日に扉が開くのを待つしかありません。

珠晶と頑丘は、その日を待って黄海に入っていきます。

珠晶が旅の途中で出会った青年・利広りこうとも再会し、他の昇山者と共に蓬山を目指すことになります。

昇山する行為は危険が伴います。そのため、多くの昇山者は固まって移動する方が安全です。

旅が進むにつれ、頑丘など黄海に慣れた者達は、この旅の異常さに気づきます。

旅をする者達にとって、都合が良すぎるのです。

妖魔の襲撃が少なく、かつ安全に進むために効率がいいのです。そして、旅の被害自体も少なかったのです。

もちろん、良い事ではあるのですが、それはあることを意味しています。

旅の一行の中に「鵬(王となる人物)」がいると噂するようになっていました。

妖魔

蓬山への道中に強大な妖魔が住み着いていることが分かりました。

頑丘らは、より安全にと森の中を迂回することを提案します。

しかし、同じ一行にいた室季和しつきわを筆頭にして、一部の昇山者はそのまま進むことを選びました。

それでも、安全のために迂回しようとする頑丘。他の昇山者がそのまま進むのを見捨てるような行動に、珠晶は怒り喧嘩別れしてしまいます。

珠晶は室季和と行動を共にしますが、妖魔の襲撃されてしまいます。

妖魔に恐れをなした室季和や騎乗に乗った者達は、徒歩の随従や荷物を捨て去ってしまいます。

室季和の馬車に同乗していた珠晶は、逃げることはしませんでした。

残された徒歩の者と合流して、移動することを選びました。

頑丘の決断

頑丘や利広らは、命からがら逃げてきた室季和らから事情を聞きます。

追ってくるであろう妖魔から逃れて蓬山へ急ぐか、危険を冒して珠晶や残された人々を救うか、二者択一を迫られます。

結局、利広が頑丘を雇って二人で珠晶の救出に向かうことにしました。

そして、頑丘達と行動を共にしていた昇山者は、妖魔から逃れるために先を急ぐことになりました。

妖魔退治

珠晶は、取り残された人々と合流します。

そして、自らを囮にして、妖魔を倒すことを試みます。

妖魔を退治することは成功しますが、珠晶は妖魔の最期の抵抗に巻き込まれ行方不明になってしまいます。

その直後、頑丘らが到着しました。

珠晶に救われた人々は、彼女を慕い、頑丘達と共に必死で捜索します。

犬狼真君けんろうしんくん

一人はぐれた珠晶は、何とか自力で元の場所に戻ろうとします。

しかし、迷ってしまい、挙句に別の妖魔と遭遇してしまいます。

その時、珠晶を探していた頑丘と利広に発見され、間一髪で救われました。

しかし、その救出の際に頑丘は重傷を負ってしまいます。

頑丘の血の匂いに妖魔が集ってきてしまうため、利広と珠晶に先に行くよう指示します。

しかし、珠晶は頑なに拒否します。そのため、利広のみが救援を求めるためその場を離れました。

珠晶と頑丘は、乗騎のはくを犠牲にして逃げようとします。

その時、神仙の犬狼真君に助けられました。

この犬狼真君が、仙人になる前の名前が更夜です。妖魔に育てられた更夜が、人の世界から妖魔の世界へ旅経った後、仙人になっていたのですね。

犬狼真君と別れたところで利広と再会しました。

その時、30余騎の集団が突如として現れます。

その中には、女仙達に混じって。金の髪を靡かせる男(麒麟)の姿がありました。

麒麟が王気をたどり、王となる珠晶のもとにやって来たのでした。

そして、その王が約90年後、陽子の元へ行こうとしていた祥瓊しょうけいと出会うことになります。

感想

まだ紹介していませんが、利広も別の物語にも出てくる人物です。

しかし、それはまた今度の機会に紹介したいと思います。

十二国記は、十二の国にそれぞれ物語があり、深く厚みのあるシリーズになっています。

そして、登場人物がそれぞれに絡み合っていくのも面白いですね。

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