廃棄物処理法違反 は、いわゆるポイ捨てなどを含むゴミ処理の犯罪です。
今、追いかけているのは「不動産投資詐欺」のはずです。どう絡んでくるのでしょうか?
そんな最終話のネタバレです。
主な登場人物
石田硝子 有村架純
羽根岡佳男 中村倫也
潮綿郎 さだまさし
大庭蒼生 赤楚衛二
羽根岡優乃 MEGUMI
羽根岡泰助 イッセー尾形
御子神慶 田中哲司
刀根泰士 坪倉由幸
最終話のストーリー
御子神と潮
どこかのバーで、御子神が潮と話しをしていました。
「結局ね、騙される奴は、騙され続けるんですよ。
力の弱い者には情報が回らない。知らないから、負け続ける」
そう言われた潮は、優しく反論します。
「スイミーって知ってます?弱くて小さな魚がたくさん集まる話。弱くて小さな魚は、たくさん集まっても弱いのかな?」
しかし、御子神はいつものように強気です。
「絵本?面白いこと言うね、綿郎さんは。弱い人間は集団になっても弱いままでしょう」
潮は、反論せず、受け入れます。
「そうね。絵本のようにはいかないか。魚の話ししたら魚食べたくなってきた。のどぐろでも食べたいな」
潮の動向
事務所では、石子と羽男が潮からきたメールを見ていました。
「何日かでかけてくるね」
しかし、詳しい話は何も書いていないので、石子と羽男は何がなんだかわかりません。
「質問しても返信ないし。もう、高岡さんの案件あるのに」
石子は愚痴を言いますが、潮が帰ってこないことには進展しないようです。
捜査状況
大庭が逮捕された件で、その後の捜査は難航していました。
「現在、証言にあったもう一人について、捜査をすすめています。付近の防犯カメラには犯行時間前後に10人ほどが通過していくものの、大庭タクさん以外の身元特定にはいたっていません」
大庭の弟・タクがもう一人いたことを証言しましたが、そこから捜査は進んでいませんでいた。
「現場に残されていたのは、黒こげになった2つのオイルライターのみ。これは、目撃者である大庭タクさんにより、亡くなった日向さんが自分に火をつけようとしたが着火せず。その後、何者かがガソリンに青いライターを落としたという証言と一致しています。
現場から数人分のゲソ跡(足跡)が見つかっており、特定を急ぐと共に日向さんに関係のある人物を中心にアリバイを探っていますが、有力な情報は得られていません」
捜査は暗礁に乗り上げているようでした。
声をあげませんか?
焼身自殺した日向の妻が、事務所に来ました。そこで、大庭に謝罪しました。
「申し訳ありませんでした。私が誤解して、大庭さんと弟さんにご迷惑を」
しかし、大庭はそれを許します。
「いえ、日向さんが証言してくれたから、弟の無実が証明されたんです」
そして、石子達は、日向の妻に話します。
「私共は、立場上”訴えてはどうですか?”とは言えませんので」
その言葉を受けて、大庭が日向の妻に提案します。
「俺から提案させていただきます。グリーンエステートを訴えてみてはいかがですか?俺も、名義貸しした責任がありますし、精一杯サポートします」
そう言われても、日向の妻は躊躇します。それを見て、羽男は大庭の現在を説明します。
「彼は勤務先を退職し、社長の座からも退いています。我々が詐欺を立証し、被害額を取り戻します」
そう言われ、日向の妻は、訴えることにしました。
刀根社長
刀根社長に会いに行く大庭達。待ち伏せしていたのは、駐車場でした。
「刀根社長、話しがあります。こちら、弁護士の羽根岡先生」
そう紹介すると、刀根は相手にしません。
「弁護士なんかと話すことはない」
しかし、大庭は引き下がりません。
「俺を騙してたんですね。俺のせいで弟が巻き込まれたんです。絶対このままにしません。詐欺の被害者にも協力します」
それでも、刀根は強気です。
「詐欺とかなに言ってんだよ。訴えるぞ、この野郎」
共同で訴える
石子と羽男は、潮が担当していた高岡と日向の妻を呼んで話しをしました。
「共同で訴えてみませんか?日向さんと高岡さんは、それぞれ別々の会社から詐欺被害にあわれた訳ですが、物件の特徴や手口、そしてリフォームを行った業者が同じであると、非常に共通点が多いんです。そのことから、同一グループの一体的な詐欺の疑いが浮かび上がりました。この二つの会社の関連を明らかにしつつ、ひとつの訴訟としてすることで、証拠も集まりやすくなりまます」
高岡は、相談にきてから1年が経とうとしています。不動産投資詐欺で支払ったお金が取り戻せないと大変なことになります。
「それで、一日も早く賠償してもらえるなら、ぜひ。これ以上長引いたら、整体院うっぱらって、路頭に迷うしかないんです」
日向の妻も、共同で訴えることに賛成しました。
そこで、大庭は高岡に質問します。
「ちなみに、高岡さん、この人物と面識ありますか?日向さんが被害にあった当時のグリーンエステートの社長です」
しかし、高岡はしりませんでした。
会社運が悪い
高岡と日向の妻から同意を得たことで、やる気を見せる羽男。
「うーん、見切り発車だけど、訴状出しちゃおうか?」
しかし、石子は反対します。
「いけません。二つが繋がっている根拠がまだ弱いです」
それは、羽男もわかっています。そんな二人を見て、大庭は「よし」と言うのでした。その「よし」に反応する石子と羽男。大庭にどうしたのかと聞きます。
「二人のこの感じにまた参加できてるのが嬉しくて。立場違うけど、対等な感じ?そういうの俺、職場で見たことないから。次こそは、そういう職場に就職します!」
せっかく就職した会社を辞めてしまった大庭。しかし、少しもへこんでいる様子はありませんでした。
「おう!頑張って下さい。大庭っち会社運悪いからな」
羽男がそう言うと、石子も「本当そう」と同意するのでした。
潮の調査
連絡が取れなかった潮が、事務所に帰ってきました。
潮はこの半年、高岡が騙された「四つ星ハウジング」のサカキバラ社長が経営しているバーに情報収集のために素性を隠して、常連となっていたのでした。先日来店した際、バーテンダーからサカキバラ社長から、昨年石川県と富山県にたびたび出張していたことを聞いていました。そして、古い物件を安く購入していた証拠と、詐欺に繋がるものが得られないかと現地に向かったのでした。
「現地のお土産。のどぐろとあぶらトリガミ」
それならそうと、言って欲しかった石子。
「だけど、簡単に証拠が出る訳じゃないし。そうするとほら、硝子ちゃんまた新幹線使っちゃダメだとか言うじゃん」
潮は警戒して、話さなかったのでした。しかし、石子は「さすがに言わないよ」と言います。それを聞いた潮は、怪しんでいました。
「本当?夜行バスにしろとか言わない?」
石子の代わりに羽男が答えます。
「それは言います」
しかし、すぐに石子が訂正しました。
「言いません」
しかし、潮が何の手がかりも得られてないと知ると、石子は「無駄な経費かい」と毒づいていました。
御子神の影
そして、潮は御子神と会った話しをしました。
「あ、御子神さんって知ってる?
あのさ、御子神さんってさ、サカキバラさんのバーの常連なのよ。で、僕が顔見知りになってね、ご高説を承っていたんだけど。その人の写真が、石川にあったのよ。ちょっと見てくれる?」
そう言って見せた写真は、サカキバラが社員たちと映っている写真でした。その写真の後ろに小さく映っていたのでした。
「サカキバラさんでしょ?その奥、この人御子神さんでしょ?」
そして、御子神がこっちを向いていて、もう一人御子神に向いて、こちらからは背中が見えるだけの人も映っていました。
「あ、こっちの人、刀根社長です。この感じ、絶対そうです。ベストの感じ」
そう証言をしたのは大庭でした。
「はい、きたー!刀根とサカキバラ繋がってたー」
羽男は大喜びです。そして、刀根とサカキバラの関係は、訴状を出してから探ることになりました。
常任理事
御子神は、環境省からの依頼で、委員会の常任理事になっていました。
委員会で御子神が話します。
「カーボンニュートラルは、気候変動の対策として議論の余地なく実施しなければならないものです。しかしながら、国や大企業がやってくれるんじゃないかと、考えている人がほとんどです。政策の立案を通じて、人と社会のマインドセットを変化させることが必要です」
もっともなことをもっともらしく言う、御子神でした。
やっかいな詐欺
訴状を出すと同時に、大庭はリフォーム会社に連絡を取ろうと電話をしていました。
しかし、調べれば調べるほど、厄介な詐欺だと言うことがわかりました。法律の抜け穴を通ってるのです。
羽男は大庭にどれぐらい厄介か説明します。
「大庭っちさ。大庭っちが貯金そこそこあって、マンション買おうとしているとするじゃん。で、マンションの部屋、見に行きたいよね?見に行って、フルリノベーションされた綺麗でオシャレな、理想的な部屋が見つかって。他の部屋は今人が住んでるから、生では見れないですけど。もちろん全室修繕されてて、これ人気だから早く申し込まないと買えなくなっちゃいますよ。買うなら今ですよって言われたら?」
そう聞かれて、大庭は「買います」と即答しました。しかし、石子がアウトだと言うのでした。
「ぶーアウトです。畳み1枚変えただけでも修繕と言えますから」
施工業者
それを聞いた大庭は、反論します。
「え?じゃあ俺が見た綺麗な部屋以外は、畳1枚変えただけのボロボロの部屋ってことですか?そんなの詐欺じゃないですか」
しかし、それが手口なのでした。
「でも、警察は大庭っちが確認しなかったのが悪いって言って動いてくれないんだよ。いつの時代にもいるんだよ、こういう搾取するずる賢い奴がさ」
だからこそ、二つの物件をリフォームした石川の施工業者もグルだと思って、連絡を取ろうとしていたのでした。
「グリーンエステートも四つ星もボロを出すとは思えないしね、攻めるとしたらその業者しかないと思う」
しかし、業者は電話に出ないのでした。
弱気
日向の妻から、石子に電話がかかってきました。
「訴え取り下げるか悩んでるんです」
そう切り出した日向の妻は、事情を説明してくれました。
「知らない人から嫌がらせの電話がかかってくるんです。
投資に手を出す方が悪いとか、自業自得だとか。ネットで叩かれて恥ずかしくないのかって言われると、そうなのかなって」
投資詐欺をした人からなのか、全くの他人なのかはわかりません。しかし、身勝手に批判する人はいるものです。
「奥様、この裁判は続けるべきです。投資に失敗したんじゃありません。騙されたんですよ。嫌がらせに関しては、すぐ調べますんで」
石子と羽男は、そう言って日向の妻を説得します。しかし、日向の妻は、批判されて弱気になっているのでした。
「奥様を無責任に責める人は、奥様を救ってはくれません。声をあげることで、ご自分を守って下さい。そうすれば、私たちは寄り添えます」
そう石子が言うと、日向の妻も納得していました。
笑って生きてくれ
大庭達は、ネットで不動産投資詐欺の件を扱っている記事を見つけました。
「それ、敵が炎上煽ってるのかも」
潮はそう言うと、なぜそう思うかを話しました。
「被告側の弁護士にね、犬塚っていう大手事務所のボスがいるの。この人は、勝つために手段を選ばないってタイプの人だから」
それを聞いて、石子は怒ると共に日向の妻に同情するのでした。
「戻って欲しいですね、笑顔。日向さんの手紙にあったように」
日向が残した遺書には「笑って生きてくれ」とありました。しかし、そういう状況からは、まだほど遠い状況にあります。
電話に出た
第一回口頭弁論の前日です。準備をする石子と羽男達。
「あーやばいやばいやばい。このままだとぜんぜん勝てる気がしない」
ただただ羽男は焦っていました。
「心の声が漏れすぎです」
石子はそう言って、羽男を落ち着かせようとします。
「でも、訴訟引き延ばしたら、高岡さんやばそうだしな」
もちろん、羽男も状況は理解しています。
そんな時も、大庭は電話をし続けていました。大庭は二人が焦る姿をみて、深呼吸するように言います。その時、鳴らしていた電話に相手が出ました。
「もしもし?ったく、しつけえな」
リフォーム業者
第一回口頭弁論の当日10時。潮と羽男はスーツを着て、法廷に行きます。
「硝子ちゃんなら、間に合ってくれるよ」
石子は先に出かけました。出かけた先は石川県です。電話でつながったリフォーム業者に証拠となる物がないか、聞きに行ったのでした。
「詐欺だってわかってたんじゃないですか?」
石子が会社まで行き、直接問いかけると、リフォーム業者は「何も言うことない」と相手にしません。その時、石子のことを遠くから見ている人がいました。
しかし、石子は気にしている場合ではありません。とにかく、急いで証拠を手に入れる必要がありました。
「息子さん、医学部に合格されたそうですね。SNSで見ました。
あなたにも事情があり、守ろうとしているものがあることはお察しします。でも、マンションにお金を出した方々にも、同じように事情があり、守ろうとする暮らしがあるんです。この先、民事の裁判で詐欺だと認定されれば、いずれ刑事事件化されるでしょう。そうなれば、あなたは罰せられることになります。
守りたいものがあるなら、どうか協力して下さい。ここでどう動くかによって、あなたや息子さんの将来が変わってくると思いませんか?」
しかし、業者は「うちはなんも」と言って取り合ってくれません。石子は何度も頭を下げてお願いしました。
羽男の父親
11時、裁判所のトイレで父親にばったり会う羽男。
「4月からね、部総括として赴任することになったんだ」
そう話しかけてきた父親に羽男は「そうですか」とだけ答えました。
「あの詐欺事件。今日の期日から、私が引き継ぐことになったから。急遽、前任者が退職するこになったんだ」
そう言うと立ち去ろうとする父親。しかし、歩みを止め、羽男に話します。
「事務所移籍の件、進めてるよ。向うに会えば、気持ちは変わるから。君の活躍、楽しみにしてるよ」
そう言うと、父親は立ち去りました。結局、羽男のことは見ていませんでした。
口頭弁論
裁判官の父親の目を気にしながら、羽男は裁判に臨みます。
「マンション購入時には満室であったにも関わらず、半年もしないうちに入居者が全て退去するという状況は、明らかに偽装が行われていたと考えます」
とにかく、父親の目が気になる羽男。
「全ての入居者が退去したのは、入居者の一身上の都合であり、会社側に責任を問うことは難しいと当職は考えます。また、満室を装うという言い分に関しても、仲介業者である被告らが関与したという明確な証拠がなく、事実無根の主張だと考えます」
被告弁護側は、余裕の反論です。
羽男達は、石子の到着を待っていました。石子が来れば、状況は変わるはずです。大庭は席を立って、石子に電話をしに行きました。
「原告代理人、今の指摘に関していかがですか?」
父親にそう聞かれ、羽男は答えます。
「えーそうですね。もう1回言ってもらってもいいですか?」
連絡が取れない
石子は、リフォーム業者から提供された証拠を持って、カバンを抱えて走っていました。
しかし、14時になっても、石子と連絡がつきません。羽男達の前回上手くいった「引き延ばし作戦」は、今回は失敗です。
「いい加減にしてください。裁判長、これ以上無意味です。法廷と言う場をどのようにお考えですか?そちらの小さな小さな事務所では、法廷経験が少ないという事情のおありなんだと思いますが、もう少し準備を整えて裁判に臨んでいただきたいですな」
被告弁護士にそう言われ、潮が謝罪します。
「申し訳ありません、犬塚先生。次の期日までには、ご迷惑をおかけしないように準備して参ります」
そう言うと、閉廷されました。
手が震える羽男。予定通りに行かず、フリーズしてしまうのでした。
潮は大庭に石子はどうしたのかと聞きます。
「ぜんぜん連絡つかないんです」
それには、潮も頭をひねっていました。
僕が記憶します
石子から電話がかかってきました。
「リフォーム業者の社長さん、刀根さんとの打合せを録音してて、そのボイスレコーダーを預かって向かってたら・・・」
バイクに乗った二人組がやってきて、石子の荷物をひったくり、逃げられたというのです。
「警察に調べてもらってますが、うーん。ごめんなさい、証拠が」
石子はひったくられた時に手を放さず、手首をケガしていました。羽男は「そんなのどうでもいいよ」と気にすることないと言います。
「これのぐらいのケガで済んだからいいけどさ、どうしてすぐ手を離さなかったの?」
潮が優しく石子に聞きます。
「大事な証拠だから」
それを聞いて、潮が証拠より大事なものがあると言うのです。
「僕にはこっちの”硝子”が大事なんだよ」
犯人特定
ひったくりに関して、潮は「さすがに弁護士がやったとは思えない」と言うのでした。
「もしかしてですが、リフォーム業者の社長とお会いした時、誰かに見張られてたんです。襲ったのがその方かわかりませんが」
そう言うと、石子はSNSを見て、その見張っていた人がいないか確認しました。
「あ、この人です。この人」
そう指さした人物を見て、潮が言いました。
「僕、この人バーで会ってる。御子神さんのおつきの人だよ」
それを聞いて、御子神がやらせたという可能性が出てきました。
「24時間ください。あいつのこと、僕が記憶します」
羽男はそう言って、御子神と対決する準備をするのでした。
特定班
車で移動しながら煙草を吸う御子神。ホテルにやってきました。そのホテルで、石子と羽男は待ち伏せしていました。
「御子神さん、いつも見てます」
羽男がそう言って声をかけました。石子は「喫煙されるんですね?」と聞きます。
「どうも。内緒にして下さい。喫煙ルームでもそう言われて面倒なので」
軽い感じで受け答えする御子神。その御子神がいる場所を特定した方法を羽男が説明します。
「ここにくればお会いできると思っていました。4年前の11月8日のインスタグラムにて、”あるホテルに住んでいる。賃貸にメリットなし”と投稿されています。さらに2ヶ月前の1月15日には、”ホテル暮らしももう4年”と。そしていつもお部屋から配信なさっているオンラインサロンの背景から、このホテルだと割り出しました」
そう言われた御子神は、いつもの軽い調子で「怖いな」と笑っていました。
「単刀直入に申し上げます。我々は、あなたが不動産投資詐欺事件に深く関わっているのではないかと考えています。原告代理人の羽根岡です」
そう切り込んでも、御子神は「何の話し?」ととぼけるのでした。
法律を作った人
羽男は、もう一歩踏み込んで質問します。
「あなたが彼女を襲わせて、証拠を持ち去ったのではないですか?」
しかし、同じように御子神は「何の話し?」ととぼけます。
「あなたの悪事を必ず証明いたします。
あなたのように法の抜け穴をすり抜けようとする人がいるから、法律がどんどん増えていくんです。そういう悪人を取り締まろうと毎年法律が変わる。それでもくぐり抜けてくるあなたのような人がいる。いたちごっこだ」
羽男がそう言うと、御子神は御子神流の返しをします。
「何の話かわかんないけど、法律って誰が作ったか知ってます?強い人間です。権力、影響力、そういう力が強い人間。彼らが世の中を良くしようと作ったルールです。ですが、だからこそ、どう転んでも自分たちが負けるようにはなっていないんです。カジノ見てよ、胴元が負けるようにできていない。そういうこと。法律も力の弱い人間が勝つようにはできていないんです。町弁さんにはちょっと難しい話だったかな。あ、まだ弁護士でもないか。ごめん」
羽男のことも、石子のことも知った上で、嫌味を言ってエレベーターに乗ってしまいました。扉が閉まる時、御子神は笑ったのす。
色辞典
証拠を盗まれ、石子はリフォーム業者に証言してもらいたいとお願いしました。しかし、リフォーム業者は「話すつもりはねえ」と言うのでした。
それは、リフォーム業者にどこからか手が回されたのかもしれません。
そんな時、大庭が事務所を出て外出しました。
信号待ちをしていた大庭は、何か気づきました。すぐに電話をする大庭。電話の相手は石子でした。
「ではすぐ警察に」
そう言われた時には、大庭は走って向かっていました。
「これでアイツを捕まえられるんじゃないですかね?」
どうやら、現場にいたもう一人が誰だかわかったようです。
「火をつけた犯人ともなれば、投資詐欺にも手が入るのではないかと。こちらも警察に連絡しておきます」
石子がそう答えると、大庭は色辞典を持って警察に向かいました。
青じゃなく緑
大庭は警察に飛び込むと、担当の刑事に事情を話します。
「いきなりすみません。俺の名前のこの字”蒼“って読むんですよ。だからこの字のつもりで蒼って証言したのかと確認したら、タクそうだって。”蒼”は緑色に近いブルーってことなんです」
タクが何度も何度も「蒼」と書いていて、ライターの色も「蒼」と証言していました。
「ライターの色は、青じゃなくて緑?」
警察も理解してくれました。
「で、俺、緑のライターを持ってる人を思い出したんです」
そう言うと、犯人の可能性のある人物を警察に話したのでした。
取り調べ
7日後、検察で羽男の姉・優乃が取り調べをします。
入って来たのは、後ろ手に縛られた刀根社長でした。
「刀根さん、どうぞ。あなたが日向さんに火をつけたんじゃないんですか?」
しかし、刀根は否定します。
「足のサイズは何センチです?」
刀根は27と答えます。
「コンセンサスというブランドの靴、お持ちですよね?どうなんです?」
あると答える刀根。
「足跡が現場から採取されたんです。あなたが持っている靴と同じサイズの」
それを聞いて、「俺だって証拠になるのかよ」と言う刀根。
「そこなんですよね。一般に流通している靴なので、これだけではあなたがあの日、公園にいたという証明にならないんですよ」
なかなか刀根までは結びつかないようです。
ライター
優乃は続けます。
「では、現場に残されていたライターについて、お伺いします。喫煙者ですよね?ライター使います?」
刀根は使うと言いました。
「現場に残されていたライターはあなたの物ではないですか?」
そう聞かれて、刀根は反論します。
「何を根拠に疑ってるんだよ。喫煙するだけで犯人なんですか?」
そう言われ、優乃は困ってしまうのでした。
「うーん、これも決め手に欠けるんですよね。色も形も一般的なものだから。でも、諦めません。私は刀根さんを怪しんでいますので」
自白
そう言われて安心したのか、刀根は余計なことを言ってしまうのでした。
「さっきのと一緒だよ。緑のライターなんて5万とあるんだろう」
それを聞いた優乃は、畳みかけます。
「あ?あたし、ライターが緑だなんて言いましたっけ?
目撃者は、もう一人が緑のライターで火をつけたと証言してるのですが、こんなに真っ黒なんです。これが緑だとわかるのは、あなたが犯人だからですよね?」
そう言われ、「適当に言っただけ」と言う刀根。もう遅いようです。
「緑のライター、お持ちでしたよね?会社のゴルフ大会のブービー賞の景品で、世界に一つしかないとか。あなたは起訴されることになるでしょう。その裁判では当然、今回の事件の背景にもなっているであろう不動産投資詐欺についても、明らかにしていきます。今のうちに全てうちあけ、反省の気持ちを示すことが量刑に大きな影響を与えると想像つきませんか?」
事件の真相
事務所では、刀根の取り調べの状況を話していました。
日向が自宅のPCから何度も送っていたメールがありました。その最後が、亡くなる前日のものでした。
「大庭社長、もう限界だ。法律でお前らを裁けないなら、俺はもうやるしかない。明日すごいものを見せてやる」
そのメールを見た刀根は、このすごいものが証拠ではないかと考え、あの日、日向を尾行していたのでした。日向は、タクを大庭と勘違いしました。そして、日向が自ら命を絶つことを刀根は期待して見ていましたが、日向のライターは火が付きませんでした。日向に近づき、自分のライターで火を放ったのです。
そして、刀根は不動産投資詐欺が誰の計画だったかについても、自白し始めました。
第二回口頭弁論
刀根の証言内容を羽男が読んで説明します。
「この不動産投資詐欺は、全て御子神氏が計画したものであり、自分の会社もサカキバラ社長の会社も指示に従っただけです。御子神氏から”証拠は出ない””大丈夫だ”など言葉巧みに言われ、詐欺行為に加担することになった。以上が被告代理人に断った上で、刀根さんから得た証言になります」
それを聞いて裁判官である羽男の父は、被告側の弁護士に答弁を求めます。
「そうですね。基本的に被告側の要求を認諾する方向で進めたいと考えております」
それを聞いて、潮は発言を求めました。
「先日はご助言いただき、ありがとうございまいた。お言葉通り、小さな小さな事務所が必死に準備をしましたら、どうにかなりました。厚く御礼申し上げます」
その言葉を最後に、閉廷しました。
握手する潮と羽男。それを笑顔で見る石子。
そして、潮は高岡と喜びを分かち合いました。
「お世話になりました。先生にお会いできて良かったです」
日向の妻は、石子にそうお礼を言うのでした。しかし、石子はパラリーガルで、弁護士ではありません。ただ、日向の妻には、どちらでも良かったのでした。
「でしたら、嬉しいです」
石子は否定もせず、日向の妻の好意を受け取っていました。
手助けはしない
羽男は裁判後、出てくr父親を待っていました。父親は出てくると「お疲れさまでした」と羽男に声をかけます。
「父さん。私は、頼りない弁護士なんです。ご覧いただいた通り動揺もするし、気丈にも振る舞えません。取柄である記憶力だって、一人で使いこなせません」
羽男がそう言うと、父親は否定しませんでした。
「そうだね。君は優秀ではないね。はっきり言って前回は、見るに堪えなかったよ。残念ながら、事務所へには紹介できない。私の信用にかかわるからね。今後一切、私は手助けしない。いいね?」
そう言われ、羽男は嬉しかったのです。
「はい。父さんの期待に応えられないのは申し訳ないと思っています。でも、やっと本当の俺を見てくれた、それが嬉しいです」
父親は町弁として頑張っている息子を、少し認めたのかも知れません。
「私と理想が違うんだ。君には君のやりたいことがあるんだろう。あるんだろう?頑張りなさい」
そう言うと、立ち去りました。
その二人のやりとりを石子は見ていました。
町弁の限界
警察から電話しながら出てくる御子神。そして、迎えの車に乗り込みました。
「どうして捕まらないんですか?」
御子神が釈放されたことを聞いた大庭が憤ります。
御子神は、事実無根を主張しました。そして、刀根の供述は苦し紛れに自分をまきこんだだけだと言ったのです。
そして、御子神が関与した証拠は、何も見つかりませんでした。
「それも、サカキバラに対する指示は捨てアカウントから。元をたどろうにも国内外何人も介していて、どうしたって御子神には繋がらないんだって」
羽男はそう説明しました。
「お金もどうも海外の会社を経由してマネーロンダリングしてるらしく、どうしても掴み切れないと」
石子も説明します。
「じゃあ、諦めるしかないんですか?」
そう言われ、羽男は限界を感じていました。
「これが町弁の限界か?」
町弁の執念
そんな時、蕎麦屋の塩崎がやってきました。
「相談に乗ってくれません?例の常連さんが話し聞いて欲しいって」
そう言われ、潮は話しを聞くことにしました。
「いくら掃除しても、通行人がゴミ捨てて行っちゃうから、キリがない」
そう相談していたのは、老婦人でした。
「もしかしてあの方って、話しが長いって愚痴ってた」
そう言われ、塩崎は「しーーーーっ」と言うのでした。
「物を捨てるっての言うのは犯罪なんだよね」
そう言って、潮は優しく話します。
「だから、ゴミ棄ててく人全員を訴えたいの、私は」
老婦人は、そう潮に言うのでした。
それを聞いて、何かを思い出す羽男。
「あ!」
羽男は、ヒントをくれた塩崎に抱き着きます。
「光が見えました。ちょっと時間はかかるけど」
そう言うと、石子もわかったようです。
「町弁の執念、見せてやろうか」
羽男は気合を入れますが、塩崎には何がなんだかわかりませんでした。
御子神、逮捕
ある日、いつものように喫煙所ではない場所で煙草を吸い、吸い殻を棄てる御子神の姿がありました。
立ち去ろうとすると、遠くに石子と羽男の姿が見えました。
そこに警察がやってきます。
「はい、そこのあなた。今、煙草捨てたでしょ?廃棄物処理法違反で現行犯逮捕」
そう言われ、驚く御子神。
「は?大げさすぎでしょ?」
しかし、警察は取り合ってくれません。
「警察で話聞くから、ね」
そのやりとりを聞いていた石子と羽男。
「やっちゃいましたね。御子神さん」
羽男はそう言って、笑っています。
「逮捕なんておかしいだろう」
そういう御子神に警察は言うのでした。
「一度や二度なら注意で済むけど、ずーっとやってたでしょ?」
それは、石子と羽男が見ていたのでした。
「この1ヶ月、あなたを監視していました。あなたは53回ポイ捨てし、その全てを回収したんです。DNA鑑定をすれば、あなたの物だと証明されますよ」
そう言うと、吸い殻を透明なビニールパックに入れ、御子神に見せていました。
弱い人間は弱いまま
「タバコのポイ捨ては、火災に繋がる非常に悪質な犯罪ですので、私が告発したんです。警察が受理してくれました」
石子はそう言うと、さらに一歩踏み出して言います。
「もう少しよろしいですか?あなたは以前、法律は力の強い人間たちのためにしか作られていないとおっしゃっていましたね。私はそうは思いません。毎年増えていく法律のほとんどは、力の弱い人の訴えに寄り添って作られたものです。その方々が声をあげた歴史なんです。力が弱いものも強い者も、同じ世界で平等に生きていくためのルール。法律は、そのためにできていくんだと思うんです」
しかし、御子神は否定します。
「で?だとしても、弱い人間はいつまで経っても弱いままです」
町弁として
連れていかれる、御子神に羽男が一歩踏み出して話しかけます。
「そもそも、力が弱くちゃいけないんですか?あなたが弱者と呼ぶ人たちの多くは、力が強くなりたいとは思ってないんじゃないですかね?彼らは誰にも迷惑をかけず、かけられることもなく、ただ普通に日常を送りたいと思う人達です。そして、そういう人達こそがこの社会を支えているんです。我々は法律に携わる者として、これからも真面目に生きる方に寄り添い、戦ってまいります。町弁として」
そう言われても、御子神には響きませんでした。
「あ、そう。戦うのは勝手だけど、こんな大した事ない罪じゃすぐ釈放される。結局、そこまでってことですよ」
しかし、それだけではありませんでした。
解任
御子神が逮捕されたことは、テレビのニュースになっていました。
「廃棄物処理法違反として逮捕されたのは、投資家として活動する御子神容疑者です。御子神容疑者が大した事じゃない、逮捕されるようなことじゃないと容疑を一部否認しています」
それを受けて、ネットでは拡散されていました。
「御子神、クビになったらしいよ。カーボンニュートラルの理事」
さすがに、環境省が廃棄物処理法違反で逮捕された人を理事にしておくのは難しいのでしょう。
そのこともあってか、潮法律事務所には相談の電話が多数かかってきていました。
ひと段落して、お茶を淹れようとする石子。潮が話しかけます。
「ありがとう。あ、しょうこちゃん、人生って案外短いんだよ。後悔のない人生なんてないけど、ひとつでも少ない方がいいんじゃない?」
そう言うと、封筒と取り出し、石子に手渡しました。
タクの書道展
書道展が開かれ、タクの作品も飾られていました。石子と大庭は、一緒に見にきています。
「今日はタクさん来ないんですか?」
そう聞く石子に大庭が答えます。
「外は得意じゃないので」
タクの作品は、青いインクで「晴」と書かれている大きな作品でいた。
「石子先輩と羽根岡先生は疑いを晴らしてくれた。そんなつもりで書いたんじゃないですかね?ずっと晴れていれば、傘はいらない」
大庭はそう解釈していました。
「真面目に生きる人の暮らしを守る傘となろう」が潮法律事務所のモットーです。しかし、それは、暮らしに問題がなければ、傘は必要ありません。そうあって欲しいというタクの思いなのかも知れません。
羽男の告白
事務所で、石子と羽男が超大盛カツ丼を食べながら話しています。
「ああ、言いそびれていたんだけどさ。やっぱ自分ひとりじゃダメだったわ、この前の裁判。まだ弁護士として一人前どころか、半人前にもなれてないなって感じてさ。だけど、石子さんと一緒だったら二人前どころか、それ以上になれる感じがあってさ。だから、これからも、俺の隣にいて下さい」
突然の羽男の告白です。
「え!?えーーーいやーーーー」
すごい顔で断る石子。
「なに?相棒として、パラリーガルとして、これからもよろしくお願いしますって、柄にもなく言おうとしたのに。なんだそのリアクション。もういいよ」
羽男は拗ねてしまいました。
「お断りしまーす。私、司法試験受けることにしました」
4度落ちていて、最後の司法試験を受けることに決めた石子。それは、羽男も驚いていました。
「弁護士になって、もっと依頼者の力になりたいと感じたんです。羽根岡先生のおかげで。
そして、私も二人なら二人前以上の爆盛になれると思ってますよ。だから、相棒弁護士として、先生の横にいてみせますから」
そう石子は言うのでした。
「でも、あれじゃない?願書、受付終わってるんじゃないの?」
羽男が聞くと、石子は答えました。
「お父さんが出してくれていました。自分から諦めるのはもう辞めます」
潮が渡した封筒は、受験票の入った封筒だったのでした。
石子を守る傘
司法試験会場前の交差点。しかし、一歩を踏み出せない石子。
石子は、昔の事故を思い出してしまうのでした。
そこに日傘を差し出す羽男が現れました。石子を守る傘です。
「いやー今日も暑いっすなー。日本の夏はおかしいよね」
そんな羽男に石子は毒づきます。
「またですか?なんとも絶妙なタイミングでいらっしゃいましたね。あ、ひょっとして、柱の陰にでも隠れていて、待っていたんじゃないんですか?」
そんないつもの調子の石子を見て、羽男は安心しました。
「思ったより元気だな。どこに柱があるんだよ。とっとと受かってこい」
そう言うと、石子は「行ってきます」と答えました。
そして、一歩踏み出す石子。事故の残像は消えたのでした。
最後に
.いやー終わってしまいました。楽しみだったドラマが終わってしまったー。
それにしても、いい最後でした。石子はストレートで東大へ入る程の頭の持ち主です。それが、事故の残像に苦しめられ、司法試験を落ちていたのです。羽男の傘で残像が消え、これで受かるはずです。
来年の春には、「石子と羽男2」で、二人の町弁の活躍と、大庭との三角関係がみられるはずです。切なる願望。
とにかく、有村架純と中村倫也のコンビは最高でした。
ありがとうございました。