皮つき豚肉 を巡って、再会がありました。
豚肉は、暢子が一番欲しかったものです。そして、豚と言えば、賢秀と清恵です。
そんな第23週のネタバレです。
主な登場人物
青柳暢子 黒島結菜 旧姓比嘉。やんばる生まれ。自分の店をもつ
青柳和彦 宮沢氷魚 暢子の幼馴染の元新聞記者。暢子の夫
石川良子 川口春奈 暢子の姉でやんばる小学校の先生
石川博夫 山田裕貴 良子の夫で名護の小学校の先生
比嘉歌子 上白石萌歌 暢子の妹。体が弱いが歌は上手い
比嘉賢秀 竜星涼 暢子の兄。どうしようもない人
大城房子 原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚
平良三郎 片岡鶴太郎 鶴見の沖縄県人会会長
田良島甚内 山中崇 東洋新聞社のデスク。和彦の元上司
砂川智 前田公輝 歌子に急接近中の幼馴染
青柳重子 鈴木保奈美 和彦の母
矢作知洋 井之脇海 元フォンターナの先輩
猪野寛大 中原丈雄 養豚場社長
猪野清恵 佐津川愛美 寛大の娘。過去にいろいろあった
第23週のストーリー
珍しい豚肉
「リリーちょっと待って」
そう呼び止められたのは、猪野清恵でした。清恵は、実家の養豚場を飛び出し、カラオケスナック「ヒットパレード」で働いているようです。
「角煮用の豚肉もお願い。ほら、この前のすっごく美味しかったから」
そうママから買い物を頼まれました。
「うちの実家の。わかりました。知り合いのお店あるんで」
そう言うと、リリーこと清恵は、豚肉を買ってくると言うのでした。
「珍しいね、皮付き肉卸してるなんて」
そう言われ、なんだか懐かしそうな顔をする清恵。
「実家の養豚場で沖縄出身の人が働いてて、優秀な人なんです。その人のアドバイスで」
賢秀のことをそんな風に思っていたんですね。そう言うと、買い物に出かけていきました。
来店
再建しようと、ちむどんどんでは、試作のそばを作っていました。食べるのは、矢作と歌子です。
「何かが欠けているような、イマイチ物足りねえ」
そう言う矢作に同意して、歌子が言います。
「もしかしたら、豚肉かも」
それは暢子も感じていたことでした。
「であるよね、豚肉。やっぱり足りないのは、美味しい豚肉だよね」
そんな時、清恵がちむどんどんの前を通りかかりました。そして、看板の「ちむどんどん」を見て、入る気になりました。
「ごめんください」
そう言って扉を開け、目隠しのカーテンから店内を覗く清恵。
「いらっしゃいませ」
暢子は反射的にそう言ってしまいました。しかし、そんな暢子に舌打ちして、矢作は冷静に対応します。
「今、休業中で」
そう言われて、清恵は帰ろうとします。そこで、暢子はいいアイディアを思いつきました。
「あ、待って下さい。お食事にいらっしゃったんですよね?もしよかったら、食べて行ってください。
お代はいりません。その代わりにオススメのメニューを出すので、ぜひ感想を聞かせて下さい」
暢子は、身内ではない、清恵の感想を聞きたかったのでした。
暢子さん?
清恵は、席に付くと、水を出してくれた歌子に「沖縄の方?」と聞きます。
「うちと姉は、沖縄のやんばる出身で。姉が店を開きまして」
歌子は人見知りとは思えない程、流暢に会話しています。
「やんばるの・・・暢子さんですね?」
清恵は、つい言ってしまいます。暢子はなぜ名前を知っているのかと、びっくりしました。
「えっと・・・あれです。あれ」
そう言って苦し紛れに清恵が指さしたのは、食品衛生責任者の名前でした。
「うちが青柳暢子です。沖縄、お好きなんですか?」
そう聞かれて、清恵は「友達に沖縄の方で比嘉さん」がいると言うのでした。
困ったお兄さん
沖縄の比嘉という名前で、暢子と歌子は賢秀じゃないかと、冗談で話し合います。
「うち達のにいにいも、こっちに出てきていて、比嘉賢秀って言うんですけど、違いますよね?」
一応聞いてみた暢子。その鋭い質問に清恵は「違います」とだけ答えました。違っていると思っていた暢子は、比嘉の苗字について話します。
「であるよね。比嘉は沖縄で一番多い苗字らしいです。そのお友達の比嘉さんは何をなさってるんですか?」
そう聞かれて、清恵は「千葉で豚を」と言います。しかし、賢秀は家族に言っていなかったことを思い出して訂正します。
「ぶた、い関係の仕事を」
舞台関係、悪くない訂正でした。そして、清恵は気になることを聞きます。
「お兄さん、ここにはよく?」
そう聞かれた歌子は、賢秀のことを話します。
「まだ一度も。にいにいは風来坊でビックになるって言ってどこで何をやってるのか謎なんです」
それを聞いて、清恵はあきれた感じで言います。
「困ったお兄さんね」
打ち合わせ中
清恵が試食している時、ちむどんどんにやって来たのは、賢秀でした。それを智が見つけます。
「賢秀、なにやってる?」
そう声を掛けると、賢秀は「腹が減ったから」と答えます。
しかし、今は休業しています。そのことを賢秀に知られると、めんどくさいことになります。
「今はまずい。とにかく、まずい。飯は別な場所で。俺が奢るから」
そう言って智は賢秀をちむどんどんから遠ざけますが、賢秀は何かおかしいと思うのでした。
「俺が行くと何かまずいのか?」
智は、即座に嘘をつきました。
「中で、お前の誕生日パーティーの打合せをしている真っ最中なわけ」
しかし、賢秀の誕生日は「3か月後」でした。苦しい智は、嘘に嘘を重ねます。
「だからよ、どっきり誕生会。。。」
聞いたことないよ、どっきり誕生会って。
試食品
暢子は清恵に、店の新しいメニューを提供しました。
ハンダマの酢みそ和え、フーチャンプル、にんじんしりしりー、クーブイリチー、ラフテーです。
そして、看板メニュー予定のそばも出します。
「看板メニューの沖縄そばです。こっちは、コーレーグース。島唐辛子を泡盛に付け込んだ調味料です。お好みでかけてお召し上がりください」
沖縄そばを見るのも初めての清恵。いただきますと言って食べ始めました。
その姿を、暢子、矢作、歌子は厨房から見ていました。
感想
「ごちそうさまでしいた。お腹いっぱい」
全部の料理を官職↓清恵。そして、暢子達は清恵を囲んで、感想を聞きます。
「あの、出汁の味付け、麺の茹で具合、太さ固さ、他の料理のことでもなんでもいいので、ぜひ感想を教えて下さい」
そう聞かれて、どう答えていいか困る清恵。
「どれも美味しかったです。フーチャンプルは、味が良くしみていたし、にんじんしりしりーはいくらでも食べられそう」
それは嬉しいのですが、聞きたいのはそういうことではありません。
「何か不満な点とかは?」
重ねて聞く暢子。清恵は絞り出すように言うのでした。
「しいて言えば、豚肉」
暢子達は、自分達の感覚が間違っていないことに安堵します。
「そうだ。これ、良かったら使ってみて」
清恵は、頼まれて買いに行った皮つき豚肉を暢子に渡します。
「知り合いの養豚場の豚肉。いけない、もう戻らないと」
清恵は肉を渡すと、急いで帰り支度をするのでした。
源氏名
帰り際、暢子が聞きます。
「お住まいこの辺ですか?良かったら、名前を教えて下さい」
清恵は、近くの店で住み込みで働いていること、名前はリリーだということを告げました。
「暢子さんの料理を食べて元気が出た。どうもありがとう」
清恵は「一番大事な人に、酷いことをして」落ち込んでいたと言って帰っていきました。
「リリーさんって外国の人じゃないよね?」
清恵が帰った後、暢子は素直な疑問を話します。
「何も知らねえんだな。源氏名だよ。水商売の人がお店で名乗る名前」
矢作はそう教えてくれました。
最高の豚肉
問題点を「豚肉」と再認識した暢子達。しかし、今沖縄から仕入れてる肉は冷凍です。
「全ての条件を満たしてくれる、そんな仕入れ先がこの近くにあれば」
そう暢子はボヤキます。そんな時、清恵が置いて行ったものを開けてみる歌子。中身は、皮つき豚肉でした。
そして、調理してみます。
「なんだこれ、うんめー」
清恵が持ってきてくれたのは、最高の豚肉でした。しかし、明日にでも買いに行こうとしますが、どこで売っているのか聞いていません。そして、リリーがどこで働いているかも聞いていませんでした。
「この豚肉を絶対に仕入れたい。どこの仕入れ先かわかったら。リリーさん、また来てくれないかね」
盛り上がってるところ悪いんだけど
そこに賢秀と別れた智がやってきました。リリーが戻って来たのかと思った一同。落胆が大きいのでした。
「なぜ?ダメだった?」
智にそう言われ、暢子は説明します。
「今、すんごいことが起きたわけ。お客さんが豚肉を持ってきてくれた。
これでお店を復活できるかも。オーナーが言っていた知らないお客さんでいっぱいになる日も夢じゃないさ」
みんなで美味しいと盛り上がりますが、智はそれどころではありませんでした。
「盛り上がってるところ悪いんだけど、明日、賢秀のどっきり誕生会やらない?」
清恵は知っていた
飲み屋で見送るリリーこと清恵。
「最近、この辺に変な男がうろついてるんだって?りりーちゃんも気を付けてね」
清恵は「はーい」と返事をしていました。
そして、うろついているだろう賢秀のことを思い出すのでした。
「ちむどんどん。俺の妹がオープンした店の名前。ちむどんどんは、胸がどきどきするって意味」
賢秀が教えてくれていたので、ちむどんどんの看板を見て、入る気になったのでした。
「妹さんにうちの豚だって教えてあげればよかった」
清恵は心残りがありました。
誕生会準備
みんなでちむどんどんに飾り付けをして、誕生会の準備をしています。そこに三郎がやってきました。
「あちこち声かけてみたんだけど、なんせ昨日の今日だし、あまゆも今日は組合の宴会だって」
智の発言がみんなを巻き込んで大変なことになっています。
「お忙しいところすみません。和彦君も今日は取材でいないんです」
そう説明する暢子。
「それで、ドッキリの主役は?」
賢秀は、もうすぐ来る予定です。三郎にも三角帽をかぶらせて、準備万端で待っています。
バッタリ再会
豚肉の仕入れ先を教えようと、ちむどんどんに来る清恵。そこで声を掛けられました。
「おい!」
声を掛けたのは賢秀でした。
逃げ出す清恵。
「待て、話しがある」
賢秀にすぐ捕まってしまいました。もみ合いになっていると、商店街の人が声をかけてきます。
「お知り合いですか?」
清恵はとっさに嘘をつきました。
「こんな人知りません」
警察を呼ばれてしまいました。
びっくり誕生会
賢秀がちむどんどんに入ってきました。準備していた暢子達は、一斉にクラッカーを鳴らします。
「にいにい、お誕生日おめでとう!」
しかし、賢秀は浮かない顔です。それもそのはず、後ろから警察官が入ってきました。
「この男のご家族?」
そして、商店街の人達に「女の敵」や「この痴漢野郎」などと罵声を掛けられていました。
ただ、話しをすれば、すぐに疑いがはれました。そして、びっくり誕生会をしながら、賢秀に話しを聞きます。
「それで、家出した社長のお嬢さんはどこに?」
賢秀はそう聞かれて、賢秀が知りたいのでした。
「お前達も一緒に探してくれ。猪野清恵。背は小さくて、目がぱっちり、気の強い女で」
賢秀は写真をみんなに見せると、そこに映っていたのは、リリーでした。
「この近くのお店で住み込みで働いているって。にいにいが食べているその豚肉も、置いて行ってくれたわけ」
暢子がそう説明すると、賢秀は「豚肉」に反応します。
「賢秀、この間から豚という言葉に異常に反応している」
智にそう言われますが、賢秀はしらばっくれます。
結局、清恵のことはわからずじまい。そして、豚肉の仕入れ先もわかりませんでした。
やんばるの野生児の勘
誕生会が終わると、賢秀は立ち去ろうとします。そこに暢子が声をかけます。
「にいにい、リリーさんを探しに行くわけ?」
しかし、どこにいるのか見当もつきません。
「にいにい、リリーさんのこと、清恵さんのことが好きなでしょ?きっと、リリーさんも、にいにいと同じ気持ちだと思う」
暢子に突然言われ、びっくりする賢秀。
「リリーさん、言っていたよ。一番大事な人に酷いことをして、落ち込んでいるって。にいにいのことじゃない?」
そんなことを話してると思っていなかった賢秀。
「だからよ、昔結婚してたこと、俺に隠してたわけ。それで、俺もついカッとなって」
簡単にですが、二人の関係を話します。
「にいにい、後悔しているわけね。後悔しているよ、リリーさんも。リリーさん、必ず待っている。にいにいが迎えにくることを」
しかし、探し尽くしていました。
「探して、うちも探すから。にいにいが幸せになる相手は、リリーさんしかいない。やんばるの野生児の勘さ」
暢子にそう言われ、がぜんやる気をだす賢秀。
「冷えてきたさ。もう入れ、お腹の子に悪いよ」
そう言うと賢秀は去っていきました。
来客
暢子は、房子に電話をしてお願いしました。
「猪野清恵さん、リリーさんなのか、その人がまたフォンターナに行くかも知れないので、もし来たら連絡をいただけますか?」
そして、電話を切った房子の元に、シェフの二ツ橋がやってきました。
「オーナー、お客様が。前に一度、暢子さんのお兄さんといらっしゃった女性の方で、用件はよくわからないのですが」
いいタイミングでやってきました。
「猪野、清恵さん?もしかして、リリーさん」
そう言われて、清恵はびっくりしてしまいます。そして清恵は、房子に紙を渡します。
「暢子さんに伝えていただきたいんです。あの豚肉はここのだって。伝えてもらえればわかります。
ちなみに、暢子さんのお兄さんもここにいます。失礼します」
そう言うと、清恵は立ち去ろうとします。房子はそれを止め、話しを聞きました。
「もう関わらないと決めたんです。実家にも暢子さんのお兄さんにも。私が悪いんです」
房子は、清恵を引き留め、すこし付き合いなさいと言うのでした。
「昔の私と同じようなことを言ってるから。ワインはお好きかしら?」
一緒になりたい
あまゆで、三郎を相手に酒を飲む賢秀。
「疲れてるな。根詰めるなよ」
三郎にそう言われ、明日には千葉に戻らないといけないと言います。しかし、三郎にも千葉にいることは言っていませんでした。
「ちば、りよーこういう時は酒。強い酒、もってきてちょんまげ」
適当に誤魔化す賢秀。三郎は追及はせず、清恵と賢秀の関係を勘繰るのでした。
「いろいろ事情があるんだろうが、お前さんはそのお嬢さんに惚れてるな」
賢秀は一旦否定します。しかし、強い酒を飲んで、どんどん口が軽くなります。
「豚の仕事をしてることを家族にずっと言えなくて。だけど、あれと出会って、一緒に働いているうちに・・・」
三郎に言ってしまいました。
「だからよ、豚を一生の仕事にしたい。うちなんちゅとして、豚の仕事に誇りを持って、真面目にコツコツ」
そう言うと、三郎は受け入れてくれました
「つまり、そう思わせてくれた女と一緒になりてえ、そう言うことなんだろ?」
房子のアドバイス
房子と清恵は、ワインを飲みながら話していました。
「大げんかになった理由は、私が自分の過去を隠していたからで、言おう言おうとずっと思ってって。でも、あいつにだけは知られたくなくて」
そう言う清恵に房子はアドバイスします。
「彼に何もかも正直に話して、自分の気持ちを伝えれば?
あなた自身が一番わかってるでしょ?過去の自分に意地を張ってるなんてつまんない。心変わりしたっていい、嘘つきになったっていい。だって、好きな人と一緒にいたいじゃない。何度でもやり直せるのよ。今あなたが感じるままに、ちむどんどんする自分にだけ正直になりなさい」
房子の口からちむどんどんが出てくると思いませんでした。
清恵は、房子と話して、少しは整理がついたようです。
三郎のアドバイス
三郎は、賢秀にアドバイスします。
「惚れてるんだろう?草の根分けてでも見つけ出せ。そして、ただ一言、悪かった、あれは嘘だったと言え」
そう言われても、賢秀はなかなか受け入れることができません。
「いいんだよ。嘘ついたことのねえやつ、しくじったことのねえ奴なんかいるか?上手く言えなかったら、黙って後ろからがばっと抱きしめろ。それで全部伝わる」
そう言われた賢秀は、酒を一気飲みして、立ち上がりました。そして、颯爽と出て行くのでした。
「いま?居場所わかんねえんだろう?余計なこと言っちまったかな?まあいいか」
三郎もびっくりしていましたが、賢秀の心に火が付いたのでした。
迎えにきた
カラオケスナック「ヒットパレード」で、リリーこと清恵が働いていました。
客を見送った時、立っている男に気が付きました。それは、賢秀でした。賢秀と目が合います。
そして、ゆっくり近づく賢秀。後ろに回って、抱き着きました。
「なに?」
突然抱き着かれて、びっくりして賢秀を殴る清恵。
「伝わったか?」
賢秀にそう言われても、何のことかわかりません。
「くそ!騙された!」
悔しがる賢秀。だました訳ではないとは思いますが、上手くはいきませんでした。気を取り直した賢秀は、清恵に言います。
「お前を迎えにきた、一緒に帰ろう。千葉に、養豚場に」
大切な人
賢秀から一緒に帰ろうと言われた清恵ですが、気持ちとは逆のことを言ってしまいます。
「いやだね。千葉も豚も大嫌い。毎日汗かいて、泥んこになって働いて」
それを聞いた賢秀は「嘘つき」と言うのでした。
「お前は、豚の仕事に誇りと情熱を持っている。
おやっさんのことを尊敬していて、迷惑かけたぶん、親孝行しようと毎日コツコツ働いてたのに」
清恵は一生懸命働いていました。賢秀と働いていて、楽しい思い出もいっぱいです。
「なんで追いかけてくるの?放っておけばいいじゃん、私なんて関係ないでしょ?」
しかし、賢秀は「関係ある!」と強く言います。
「大切な人、見放したらいけない。これだけは間違いないわけ」
蹴集は、珍しくまともなことを言うのでした。
あの時の記憶
清恵は、賢秀が何を言いたいのか、わかっていますが、はっきり言われないとわかりません。
そして、賢秀は「もう昔みたいな思いはしたくない」と言って、昔の話をします。
「俺の家はド田舎のでーじ貧乏な家で、子供の時に父ちゃんが死んで、もっと貧乏になって。運動会に履いて行く靴も買ってもらえないぐらい貧乏だった」
そうしたらある日、房子から手紙が届いたのでした。
「4人のうち、誰か一人を東京で引き取りたい」
手紙にはそう書いてありました。しかし、賢秀は「豚の世話」があると言って断りました。その時、暢子が東京へ行くと言ったのでした。
「俺はあの時ほっとした。暢子が自分の口から行きたいと言ってくれて。内心ほっとした訳。本当は暢子も行きたくないとわかっていたのに」
そして、発車したバスを追いかけたのです。
「俺は、その時決めた。これからは、何があっても、大切な人を見話すことを絶対しない」
ずっと一緒にいたい
その話を聞いて、清恵は「なんで私」と賢秀に聞きます。
「大切なのに」
しかし、それではわかりません。繰り返し「なんで?」と聞きます。
「でーじ大切な人なのに」
はっきりしない賢秀に繰り返し「だからなんで?」と聞く清恵。
「好きだから。大好きで、ずっと一緒にいたいから」
やっと賢秀が言ってくれました。
お前じゃないとダメなわけよ
しかし、清恵には結婚歴があります。
「わたしは・・・」
その言葉を遮って、賢秀は言います。
「関係ない!」
しかし、清恵は受け入れることができません。
「家出して、ろくでもない男と結婚して・・・」
それでも賢秀は、「関係ない!」と言います。
「言ったじゃん、嘘つきの最低女だって」
清恵は、そう言って賢秀を責めます。
「それは、俺が間違ってた。謝る、ごめん」
そう言われ、清恵は間違っているのは自分だと気づきます。
「間違ってないよ!私は嘘つきで、最低なんだよ!」
しかし、最低に関しては、賢秀も負けていません。
「俺だって負けてない。万引きして、喧嘩して、家族に迷惑かけて、怪しい話に乗ってすぐ騙されて、みんなに嘘ついて。だけど、お前が教えてくれた。人間はやり直せる。何度でもやり直せるわけ。俺は、お前とやり直したいわけよ」
賢秀の気持ちを聞いて、清恵は揺さぶられます。
「本当にいいの?私で」
それに賢秀は答えます。
「お前でないとダメなわけよ。黙って俺の胸に飛び込んでこい!飛び込んでこい!早く!」
賢秀の言葉に泣いた清恵ですが、飛び込むことができませんでした。
お取込み中
そこに客が出てきました。
「リリーちゃん、次だよ、グッバイマイラブ。歌ってくれる約束・・・」
しかし、賢秀が答えます。
「歌わんよ。グッドバイは歌わんてば」
そして、ママも出てきました。
「リリーちゃん、お取込み中?」
そう言うと、客を連れて店の中に帰っていきました。
雷が鳴り、雨が降ってきました。
「歌うわけ?グッドバイを、歌うわけ?グッドバイ、歌うのか?」
賢秀に問い詰められても、清恵は決めることができませんでした。
「わかった。俺は千葉に帰る。おやっさんと二人で、コツコツ豚育てる。それでいいんだよな?今一緒に帰るって言わないと、二度と猪野養豚の敷居は跨がせない。それでいいんだな?」
清恵は「うん」と言って、一緒に帰るとは言えませんでした。賢秀は勝手にしろと言って、千葉へ帰りました。清恵は、ただ雨の中、立っているだけでした。
二人で決めろ
賢秀は、清恵と話した内容を寛大に話して聞かせました。
「つまり、清恵はもう二度とここには帰ってこない?」
そう言われ、賢秀は自分の気持ちを話します。
「俺のしたことが気に入らないなら、クビにして下さい。だけど、もし許してもらえるなら、俺はあいつの分も、この猪野養豚に骨をうずめる覚悟で一生懸命働きます」
その覚悟を聞いた寛大は、確認します。
「お前は本当にそれでいいのか?」
そこに清恵が帰ってきました。
「歌わなかった。ママに事情話して、店辞めてきた。
私は、好きな人の所に帰りますって。ここに帰らせて下さい」
そう言うと、敷居を跨がず、外で頭を下げる清恵。立ち上がる寛大。
「お前たちが決めろ。これからは、何もかも、お前達二人で決めていけ」
そう言われた賢秀は、清恵の荷物を取って、清恵を中に入れました。
あれだよ、あれ
それを見た寛大は、いつものように用事を思い出します。
「あれ?あれどこだ?あれだよ、あれ。タオルだよ」
タオルは首に掛けられていました。
「風呂だ、風呂沸かしにきたんだ」
しかし、風呂は沸いてると賢秀に言っていました。
「お、じゃあ、あれだよあれ、あれだ」
寛大は二人っきりにするために、どこかへ行くのでした。
「ただいま」
清恵が言うと、賢秀は「おかえり」と言います。それを聞いた清恵は、改めて「だだいま」と言うのでした。
清恵を抱きしめる賢秀。泣きそうになる清恵。
「おかえり」
隠れて見ていた寛大も、泣いていました。
沖縄そば完成
賢秀は養豚場で働いていることをようやく、家族に告げることができました。
「これが、猪野養豚さんの豚肉で作ったそば」
そして、和彦、智、歌子、矢作が試食をします。
「最高やっさ」
「うん、まーさん、美味しい」
「今までの豚と全く違う。豚肉だけでこんなに変わるんだな。スープが全く違う」
「うんめー。このそばなら勝負できる」
みんな合格点をつけ、とうとう看板メニューができました。
そして、ちむどんどんの当面の目標を発表します。
「友達や知り合いだけじゃなく、知らないお客さんだけで満席にする」
それは、房子との約束でもありました。
「あー久々にちむどんどんする」
暢子は、嬉しそうな顔をするのでした。
祈り
12月1日ちむどんどん再開の日を迎えました。
朝日に祈る暢子。暢子は、お腹の子に話しかけます。
「応援してね」
その頃、歌子は良子と電話をしていました。
「今日から営業再開?」
歌子は黙っていましたが、良子は和彦から聞いて知っていました。
「歌子ちゃーん、頑張ってね。沖縄から家族三人で応援してるから」
博夫も応援してくれています。
「歌ねえねえ、暢ねえねえ、ちばりよー」
良子と博夫の娘・晴海も応援してくれていました。
その頃、賢秀は養豚場で、寛大、清恵と一緒に働いています。朝日に向かって、手を合わせていました。
「お店の成功。あと健康、安産、世界平和」
欲張りな賢秀です。
そして、お母ちゃんは、賢三の遺影に手を合わせていました。
オープン
11時になりました。オープンします。
「スタートダッシュで、頑張って、いくんどー!」
暢子と歌子は手を合わせて、一緒に気合を入れます。しかし、矢作は乗ってきません。
「いや、俺はそういうのは」
暢子と歌子は、変なノリに付き合わせてしまって、矢作に謝っていました。
その頃、フォンターナでは、房子もちむどんどんのオープン時間を気にしていました。
そこに二ツ橋が入ってきます。
「予約の確認をお願いします」
そう言うと、予約のノートを房子に渡します。房子は気にしているそぶりも見せず、ノートを広げます。
「いよいよ再開ですね、暢子さんのお店」
二ツ橋にそう言われても、房子は気にしないそぶりです。
「別に興味ないから。辞めた従業員のことなんて。自分の仕事が一番」
しかし、房子の開いたノートは、さかさまでした。ベタな房子でした。
じっと我慢
しかし、12時になってもお客さんは来ませんでした。
「来ませんねーお客さん」
つい、暢子は愚痴ってしまいます。
「焦るな、始まったばっかり」
矢作にそうたしなめられます。
しかし、13時になっても、お客さんは来ませんでした。
「まあな、初日からそんなに上手く行くとは」
矢作も諦めムードです。
「そんなに甘くないですよね」
暢子もそう思っていました。
そんな時、歌子は一人立ち上がると、店の外に出ていきました。歌子は、深呼吸すると、お腹の中の「弱気の虫」をどこかに追いやります。
「沖縄の味、ちむどんどんです。本日、新装開店です」
一生懸命声をかけます。それを見て、暢子も一緒に出ようとします。
「お前はダメだ。外は冷える。座ってろ。信じて座ってろ」
そう言われて、じっと我慢する暢子でした。
再開一人目
歌子も中に戻って、諦めムードが漂っていました。その時、一人のお客さんが入ってきました。
「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ。こちらがランチのメニューです」
歌子が一生懸命に接客します。
「ジューシー?」
そう聞かれた歌子が説明します。
「ジューシーは炊き込みご飯で、今日はイカ墨のジューシーです。美味しくて栄養満点です。そばとセットもできます」
そして、お客さんは「沖縄そば、ジューシーセット」を注文するのでした。
「これがそば?普通のそばと全然違うね」
運ばれてきたそばを見て、驚くお客さん。どちらかと言うと、見た目はうどんに近いです。
そして、お客さんは無言でむしゃむしゃ食べるのでした。
しっかり完食すると、お会計をして帰ろうとします。帰り際、一言いいました。
「あ、美味かったよ」
それを聞いて、喜ぶ暢子、矢作、歌子。
それに連れてか、3人組と2人組のお客さんが入ってきました。
2週間後
そして2週間が経ちました。
豚肉をはじめ、素材を生かした味が沖縄料理をはじめて食べる人にも好評で、お客さんの数も少しづつ増えてきました。
重子と波子も来ています。
「美味しい。この前よりもずーっと」
「素朴だけど透き通っていて、優しい味です」
重子と波子に付き添っていた暢子と和彦ですが、忙しくなってきて、手伝います。
そして、二ツ橋と田良島も食べに来てくれました。
「メニューも変わったね」
料理名は元々の沖縄の名前にして、解説を付けていました。
「これなら、どんな料理かわかるし、なにより心がこもってる」
そして、二ツ橋には、盛り返したことを褒められました。
満席
再開後、一番最初にきてくれたお客さんが、今度は友人を連れてやってきてくれました。
座る前に「沖縄そば2つ」と注文していました。
しかし、連れてこられた友人は「沖縄そばねえ」と半信半疑な様子です。
「美味くて腰抜かしますよ」
そう言って、美味しかったことを伝えていました。
そんな中、暢子も懸命に働いています。
「おい、座ってろ。何回も言わせんな」
忙しいので、つい無理をしてしまう暢子。それを知って注意してくれる矢作でした。
しばらくして、満席になりました。
「おい」
矢作に声を掛けられた暢子は、まただと思って「座ります」と言います。
しかし、矢作が言いたかったのはそれではありません。歌子も気づいて、暢子によく見るように言います。
「知らないお客さんばっかり。知らないお客さんでいっぱいになった」
当面の目標をあっさりクリアすることができました。そして、これで房子を呼ぶことができます。
約束の日
暢子が故郷やんばるを離れて、8度目の冬。お腹の子と一緒に、夢をひとつ叶えました。
ちむどんどんが年内の営業を終えたその夜、房子が約束を守ってくれました。
房子と三郎と多江が、一緒に飲んでいました。
「では、暢子さんのお店に」
房子の音頭で乾杯です。
「何年振りなんだ、40年とかか?美味い、美味いな」
三郎も昔を思い出して、感激していました。
そんな姿を見てる暢子。房子に「少し座ってなさい」と言われていました。
そして、少し酒がすすむと、三郎は寝てしまいます。
「にんじんしりしりーです。さっとネギ油で炒めてあります」
房子と多江は、食べてくれました。
「美味しい」
「いい仕事です」
そう褒められ、嬉しそうな暢子。
「ネギ油は矢作さんの仕事です」
そう言われた矢作は、照れくさそうにしていました。
いろいろすまなかった
営業終了後、矢作が帰ろうとします。
「明日から女房と田舎に帰ってくる。本当に休んでいいのか?大丈夫か?」
矢作は暢子のことを心配してくれます。
「年末ぐらいゆっくり休んで下さい」
暢子はそう言って矢作を労います。
「身重のオーナーをおいて、そんなゆっくり休んじゃいられないよ」
矢作の心遣いが嬉しい暢子でした。そんな暢子に矢作が話します。
「ずっと考えてたんだ。俺とお前は何が違うのかって。俺はフォンターナでオーナーやシェフが”お客様の笑顔”って言うのを内心バカにしていた。技術があって、デカい町で美味い物だしたら勝ちだって。でも、やっとわかった。それじゃあ、続かねえんだって。ありがとう、今までいろいろすまなかった」
矢作がそう言ってくれました。暢子は嬉しくて涙が溢れます。
「矢作さんがいなかったら、ここまでやってこられなかったと思います。本当にありがとうございます」
そう言うと、矢作も涙ぐんでいました。
食いしん坊ママ
1980年(昭和55年)1月になりました。
暢子は出産を控え、医師と相談して入院することになりました。
手伝いのため、優子と良子が沖縄から上京してきました。お母ちゃんは落ち着かないのか、店の前を掃除しています。
「お母ちゃん、掃除がうちが」
歌子は、とてもしっかりしてきました。
「いいから、いいから。矢作さんがきたら、仕込みは言う通りすればいいんだよね?」
お母ちゃんは手伝う気まんまんでした。
「おばさん、暢子に荷造りさせて下さい」
智も来ていて、困っていました。
「いい加減にしなさい!」
店の厨房では、暢子が入院する時に持って行くお弁当を作っていました。おにぎりを食べながら、自分のお弁当を作る姿は、さすが食いしん坊です。
「お弁当に入りきらない物は今のうちに。お産は体力勝負さ。にんじんしりしりー病院では出ないよね?」
和彦も呆れて「まず必要な物から先に」と荷造りをするように言うのでした。
大事な話し
そんなバタバタのお店に、賢秀がやってきました。スーツ姿で、ちょっとイイ感じです。
「にいにい!元気だった?」
暢子がそう呼びかけると、賢秀は暢子のお腹を見て驚きます。
「お腹がでーじなってる!」
そして、賢秀がきた理由を話します。
「歌子から母ちゃんが来てるっていうから、飛んできたわけ」
そして、お母ちゃんと久々の体面です。
「賢秀、久しぶり。元気そうだね」
そう言って、嬉しそうにするお母ちゃん。
「母ちゃん、今日、大事な話があって」
賢秀はそう言うと、清恵を呼び入れました。
「今、世話になっている養豚場のお嬢さんで、猪野清恵さん。
母ちゃんと暢子以外、ちょっと席を外してもらおうかね」
そう言うと、大事な話しをするのでした。
ダイヤモンド
賢秀は改まって話します。
「母ちゃん、この人と結婚したいと思ってる」
それを聞いて驚いたのは、清恵でした。
「え?ちょっと、今日はみなさんにご挨拶しようとだけ」
賢秀にとって、挨拶は結婚報告だのですが、清恵には伝わっていませんでした。
賢秀は立ち上がり、片膝をついて、指輪のケースを取り出します。
「清恵、俺と・・・」
そう言って開けたケースに指輪は入っていませんでした。
「すまん、中身までは用意できなかった」
階段で話しを聞いていた和彦達は、賢秀に非難を浴びせます。
「えぇー」
「ありえん!」
「このぼってかす!」
その声に賢秀は怒ります。
「うるさい、外野は黙っとけ。今は買えないさ。だけどいつか、ダイヤモンドの指輪を買ってやる。だから、俺と、俺の嫁さんになってくれ!嫌か?いいだろう?皆見てるから、取り合えず良いってことにしておいてくれ」
そんなすがる思いで、清恵にプロポーズします。
「とりあえずって訳にいかないでしょ?」
そう言うと、清恵は黙ってうなずきました。
「おーーーーー!一生幸せにするからよ!沖縄の一番星だ!!」
聞いていますよ
せっかく盛り上がっていますが、清恵は話さないといけないことがありました。
「あの!お母さん、みなさん、私、言っておかないといけないことが」
そう言うと、賢秀は「余計なことは言わなくていい」と言います。しかし、そうはいきません。
「もう隠し事はしたくないの」
そう言って、話さなきゃいけないことを言おうとしたとき、お母ちゃんが話しました。
「聞いていますよ。清恵さんは強くて優しくて誠実で、賢秀にはもったいないぐらいの人って。賢秀は昔からわがままで、ケンカばかりで、欲張りで、騙されやすくて、だけど心の綺麗なまっすぐな子なんです。なにより、心が健やかなんです。これからいろんなことがあると思いますけど、何があっても二人で力を合わせて、生きて行って下さい。お願いします」
そう言われ、もう何も言えなくなる清恵。
「不束ものですが、どうぞよろしくお願い致します」
それだけ言うと、みんなが拍手してくれました。
生まれた
新年早々、良いことがありました。暢子は、お祝いにみんなで何か食べようと言います。
「うちのお弁当、すぐ食べられるよ。にんじんしりしりー美味しいよ」
そう言って厨房に入ると、異変を感じます。暢子は、破水しました。
「あ、あ、あにんじんしりしりー、それだけ清恵さんに」
そんなことを言いますが、それどころではありません。すぐに病院に行きました。
病院で待つ比嘉家のみんな。そこに重子と波子がやって来ました。
「生まれたの?どうなの?」
和彦のお腹を見ながら、そんなことを言う重子。
そんな時、暢子は分娩台にいました。力む暢子。
そして、元気な男の子が生まれました。
すこやかに
その一方はすぐに、ちむどんどんにも知らせられました。店は矢作を中心に、智となぜか清恵が手伝っていました。
「男の子、母子共に健康」
電話に向かって、みんなでおめでとうを言っています。
無事出産した暢子は、和彦と病室にいました。
「名前、どうするかね?」
暢子がそう言うと、和彦は自分のメモ帳を出して名前を見せます。
「健やかという字で、健彦。勉強や運動ができなくても、お金持ちにならなくてもいい。ただ、心の綺麗なまっすぐな人に育ってくれればいい。心が健やかなら、それで十分」
それを聞いて、暢子も賛成しました。
「心が健やか、健彦。うん、すごくいい。健彦、よろしくね」
最後に
皮つき豚肉を探すところから、賢秀と清恵が結びつきました。
そして、どうしようもなかった賢秀が、少しまともになったようです。
予告を見ると、健彦がすっかり大きくなっていました。そして、沖縄へ帰省するようです。
さらに、智と歌子の関係も、やっと発展の予感。どうなるんでしょう?
残り2週。どう締めくくるのか、楽しみです。