愛の覚悟 は、大野愛の覚悟であり、愛することの覚悟でもあります。
愛と和彦は結婚をすることが決まっていました。しかし、愛は誰にも相談できず悩んでいることがありました。そして、智と暢子にも進展があります。
さあ、どう展開するのでしょうか?
第14週の主な登場人物
比嘉暢子 黒島結菜 やんばる生まれコックの修業中
青柳和彦 宮沢氷魚 中学生の頃沖縄で暢子達と過ごした。新聞記者
大野愛 飯豊まりえ 和彦の恋人。新聞記者
砂川智 前田公輝 暢子のことが好きな暢子の幼馴染
大城房子 原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚
二ツ橋光二 高嶋政伸 フォンターナのシェフ
石川良子 川口春奈 暢子の姉でやんばる小学校の先生
石川博夫 山田裕貴 良子の夫で名護の小学校の先生
比嘉賢秀 竜星涼 暢子の兄。どうしようもない人。
西郷久雄 高木渉 年に1回フォンターナに来る客
西郷めぐみ 新井美羽 久雄の娘。亡き母を忘れられない
水国和歌子 駒井蓮 青森出身。賢秀に助けられる
第14週のストーリー
近況報告
暢子がやんばるのお母ちゃん、良子、歌子の元へ、手紙送って近況報告をしています。
受け取った歌子は、今日も体調がすぐれないようです。パジャマのまま、良子、良子の娘・晴海、お母ちゃんを送り出していました。そして、晴海は、もう小学生になりました。
暢子の手紙には、智は得意先が増えて、商売が軌道に乗っていること。そして、和彦と愛は新居が決まり、もうすぐ結婚することを伝えていました。
和彦は結婚を機に鶴見から引っ越します。しかし、結婚式場も探せていません。新聞記者という仕事が忙しくて、和彦と愛が一緒に見に行く時間が取れていませんでした。
そんな時、和彦は愛の父親から電話を受けていました。引っ越しの日取りを早く決めるようにという電話でした。せっかちでごめんと謝る愛。
「僕がのんびりしてるから」
和彦はそう言いますが、のんびりしているからだけなのでしょうか?暢子との距離が、縮まったり遠のいたりしている現状。和彦は、愛との結婚に踏み切れないのではないでしょうか?
そして、暢子は、お盆には休みを取って、やんばるに帰る予定です。
沖縄角力大会
「年に一度の県人会の遠足だから、この角力は余興のようなものさ」
あまゆ店主・順次が言っていました。その角力大会は毎年行われていて、2年連続智が優勝していました。
その日は、珍しく暢子も休みでした。暢子が参加することを聞いた和彦は、「じゃあ、僕も参加してみようかな」と言うのでした。和彦は中学生の頃、沖縄に住んでいた時に、沖縄角力を教えてもらっていました。
しかし、賢秀、智に比べ、弱かったのです。それを暢子にいじられます。いじられても、和彦は怒りませんでした。
ボルチーニのリゾットの思い出
フォンターナでは、暢子にストーブ前を任せてくれるようになっていました。
そこにやってきたのは、西郷という年に1回、娘の誕生日に予約する父と娘の親子でした。
暢子が料理を作っていると、房子は「違う、そうじゃない」と暢子に言います。西郷に出すメニューは「ボルチーニのリゾット」と決まっていました。
5年前に西郷の妻が亡くなりました。その妻がフォンターナで食べた最後の食事が「ボルチーニのリゾット」だったのです。その日、たまたま手に入った材料で作ったものでした。その味を西郷の妻が気に入って、それ以来西郷にはボルチーニのリゾットを出していたのでした。
「フォンターナはそういう店でありたい。
思い出の味、思い出の場所を提供し続ける店でありたいと」
それが房子の想いでした。
再婚
そして、リゾットを食べ終わった頃、娘・めぐみのために誕生日ケーキ出しました。
その日、西郷はめぐみに大事な話しをするつもりでいました。
「私のお母さんはお母さんだけだから」
そう言うと、フォンターナを飛び出して行くめぐみ。西郷は再婚をめぐみに相談したのでした。相手は、妻が入院中に世話をしてくれていた看護師です。
その話を聞いた愛は、父親を取られる寂しさに理解を示します。しかし、めぐみも将来結婚することを考えると、父親の寂しさも考えてあげて欲しいと言う和彦。
「一番大事なのは経済的な基盤。早くに父親を亡くしているから、よくわかる」
智は、実体験から、そうやっていうのでした。暢子の父・賢三が生きていた時には、比嘉家から智の家にごちそうを分けてあげたこともありました。
そして、その話から自分の話に持って行こうとするのが智です。
「次に大事なのが、価値観。例えば、同じ田舎の出身。親兄弟のことを良くわかってるとか」
しかし、暢子は結婚について、まだぜんぜん考えられませんでした。
記事の反応
「読んだよ、愛ちゃんの記事」
暢子は愛達と一緒に徹夜で書いた記事を読んだことを伝えます。
「実は、社内では評判が良くないの」
愛は、「女性の視点に偏り過ぎているといってる上司」がいると言います。そして、そういう目が社会の目なのではないかと、抗議がくるのを心配していました。
ケンカ
和彦が愛を送って、暢子と智の二人になると、外からケンカの声が聞こえてきました。
「なんだこのやろう、舐めんじゃね」
あまゆの扉を開けると、殴られてあまゆの中まで転がり込んできた人がいました。殴られたのは、賢秀でした。
「暢子見てたよな。先に手を出したのは相手だよな」
そう言うと、手加減せずにケンカできると気合を入れています。暢子は、賢秀が昔ボクサーだったので、手加減するように言います。
それを聞いてビビって逃げる2人組。大事にならずに済みました。
賢秀がケンカをした理由は、絡まれた女性を助けるためでした。明るいところで助けた女性の顔を見て、賢秀は一目ぼれしてしまいます。
「美らかーきさ」
水国和歌子
賢秀が助けた女性の名前は、水国和歌子でした。
和歌子は、青森県の出身です。川崎のおもちゃ工場に集団就職で出てきたものの、不景気で倒産してしまいました。そして、寮を追い出されてしまい、一緒に上京した友人の家で居候していましたが、ケンカしてしまったのでした。
しかたなく、田舎に帰ろうと思ったのですが、持っていたお金では汽車賃が足りません。途方に暮れてたところを不良に絡まれて、賢秀に助けられたのでした。
「東京はおっかね、もうこりごりだ」
そういう和歌子を県人会会長の三郎がしばらく泊めてくれることになりました。そして、県人会の遠足の角力大会を手伝えば、バイト代を支払うと言ってくれました。そうすれば、田舎に帰ることができるはずです。
和歌子は喜んで、三郎の世話になることを決めました。
西郷の予約
ある日、フォンターナでミーティングが行われていました。その場で、西郷の予約が入っていることを伝えられます。
「19時半、西郷様3名。お嬢様ともう一人女性を連れてやってきます」
どうやら、例の再婚相手を連れてくるようです。料理に困る暢子。しかし、房子はボルチーニのリゾットを提供すると言うのでした。
「ボルチーニのリゾットはお母さんとの思い出の味、それで本当にいいんですか?」
暢子の心配は当然の事です。しかし、房子は言うのでした。
「料理はお任せしますとのことだったので、フォンターナでできる最高のおもてなしを提供します」
お母ちゃんと善
「早苗は結婚して、新婚旅行は北海道」
やんばるの共同売店で、責任者の善一がお母ちゃんや地元のばあば達にそう話していました。そして、「ラベンダー畑がでーじ綺麗らしいよ」と早苗から聞いた話を善一はしていました。
「死ぬ前に一度は行ってみたい」というお母ちゃんに善一と一緒に行けばいいと言う地元のばあば達。
「こんなんして並んでたら、夫婦にしか見えないよ」
そう言ってからかわれていました。
良子と博夫
「晴海、何書いてるの?」
居間で絵を描く晴海に聞く良子。晴海は父・博夫の絵を描いていました。来週博夫がやんばるに来たら、渡そうと思っています。
博夫の実家は前時代的な家で、女は家にいろというのが方針です。しかし、それに反発する良子は、博夫と別居してやんばるの実家で生活していました。
「博夫さん、石川の家との話し合いはどうなってるの?」
歌子にそう聞かれますが、良子は何も答えられませんでした。
その頃、博夫は那覇の実家でおじい、おじさん、父親と話しをしていました。
「再婚?」
博夫に離婚して再婚するように迫るおじい。
「高校を卒業して花嫁修業中。代々首里の家柄で、この石川の家にふさわしい。
嫁の立場もわからない女はさっさとあきらめれ。離婚しろ」
おじいとおじさんの意見に従うしかない博夫の父親。博夫が助けを求めても、「おじいとおさむおじさんの言う通り」としか言えません。
「離婚はできません。お願いします」
博夫は抵抗していました。
反響
愛が書いた特集記事の反響がはがきできました。デスクの田良島は、それを愛に見せます。
「大きな励みになりました」
「胸のすく思いです」
「勇気をもらいました」
女性からの声です。愛が書いた記事が読者に届いたのです。頑張ったかいがありました。そのはがきを呼んで、涙があふれる愛でした。
忘れることはできません
西郷がフォンターナにやってきました。めぐみと再婚相手の女性も一緒です。席に着いためぐみは、暗い顔をしていました。
「お待たせしました。ボルチーニのリゾットでございます」
房子の言う通り、いつものリゾットを提供しました。料理の名前を聞いて、再婚相手は話します。
「無くなったお母さまが、病室でこの料理のことを話してくれたことがあります」
一口食べ、めぐみはいいます。
「私は、母を忘れることはできません。
母とこの店で、このリゾットを食べた思い出は、私にとって特別で大切な思い出です」
そう言われ、再婚相手の女性は「忘れないで下さい。お母さまのこと」と言うのでした。
「とっても素敵な方でした。私はもちろん、他のどんな女性にもお母さまの変わりは務まりません。
だけど、あなたが認めてくれるなら、少しずつでもお友達になりたい。
もちろん、あなたが嫌なら、きっぱり諦めます」
決意した気持ちはめぐみに届いたようです。
「父さん。また、来年もこのお店に来たい。マチコさんと3人で」
暢子の夢
暢子と房子は、房子の部屋でワインを飲んでいました。
「今日改めて、本当にいいお店だなと思いました。うちも、いつかこんなお店をやってみたい」
そう言う暢子に「やればいいじゃない」と簡単に言う房子。まだまだ考えられない暢子ですが、そんな暢子に房子は活を入れます。暢子が一流の料理人になる為には、自分の店を持つ必要があると言うのでした。
房子は、17歳の時に最初のお店を持ちました。屋台の飲み屋をやり、日本料理の店、それから洋食屋をやりました。そして、これからという時に戦争になったのです。空襲で何もかもなくして、焼け跡の闇市でゼロからの再スタートを切ったのでした。そして、戦後は、蕎麦屋、洋食屋、大衆食堂、飲み屋とやりました。
「その間、一度も結婚しようと思わなかったんですか?」
そう聞く暢子に「何度かそんな分かれ道もあったけど、私の場合両方は無理だった」と言うのでした。そして、暢子にどんな店をやりたいのか考えるように言うのでした。
お母ちゃんの再婚話し
大おじさんが、お母ちゃんに話があるとやってきました。
「縁談がある。優子さん、あんたのさ。再婚しなさい」
突然の話にびっくりするお母ちゃん。誰が相手かと聞くと、「善一さんと」と言われます。近所のおばあ達の話のタネにはなっていましたが、正式に再婚の話になるとは思っていませんでした。
「よく考えて返事してくれ」
そう言って、大叔父さんは帰っていきました。
夢
日曜日、あまゆは、沖縄角力大会のために休んでいました。
大会では毎年、遠足の参加者にお弁当が配られます。今年は暢子の特製弁当。魚とゴーヤの天ぷらのお弁当です。
鉄だってくれている和歌子と話しをする暢子。
「いつかは自分のお店を持ちたいなって思ってる」
そう言う暢子。和歌子の夢を聞きます。
「めんこいお嫁さん。真っ白い花嫁衣裳を着ること。
暮らすのは、どこでもいい。まじめで正直で頼りになる人なら」
そうの話しを聞いている賢秀の姿がありました。
「おはよ。何かあったら、俺を頼りにしていいからね」
そう和歌子に声を掛けます。賢秀にお礼を言って、和歌子は先に会場へ行きました。
「俺は決めた。今日の角力大会で優勝して、和歌子ちゃんにプロポーズする」
すぐに惚れてしまう賢秀。それを見て、またかと呆れる暢子の姿がありました。
角力大会
沖縄角力大会の1等には、黒糖20kgが送られます。
「和歌子ちゃん、あっちにグレートなシートを用意しておくから、あとで一緒に食べよう」
賢秀は、和歌子のことしか見えていません。
暢子は、暢子の作ったお弁当を食べて、みんな喜んでいる姿に嬉しくなりました。
そこに愛がやってきました。
「お角力まだ始まってない?和彦にちょっと話しがあって」
そう言うと、暢子は愛にもお弁当を渡します。嬉しい気持ちといいのかという気持ちの両方で、暢子にもらっていいのか聞きます。
「愛さんは、県人会の大事なお客さん」
そう言うと、愛はお腹が減っていたと言って喜んでいました。
暢子のおかげ
「沖縄風の天ぷらなの?」
暢子のお弁当を食べる愛。沖縄の天ぷらは、衣を分厚くして、出汁をきかせて作ると暢子は説明していました。
「暢子ちゃんには本当に感謝している」
暢子は鈍感なところがあります。
「昨夜遅くまで仕込みして、朝早く起きて料理したかいがあったさ」
そう言います。しかし、愛がいいたかったのは、お弁当のことだけではありません。
「暢子ちゃんのおかげで、自分が本当は何をしたくて、何にちむどんどんするかわかった。あの日、4人で過ごした時間を一生忘れない」
そう言うのでした。
人生をかけた取り組み
「気合入ってるな」
三郎は順次と一緒に智に話しかけます。
「今日優勝したら、暢子にプロポーズします。
内緒でお願いします。プロポーズはサプライズでやりたいから」
そう言われ、誰にも言わないことを誓う三郎と順次。
そして、智のところから、智の対戦相手の和彦の所へ行きます。
和彦は智に勝てるとは思っていません。参加して、取材することを目的としてエントリーしました。しかし、順次が余計なことを言います。
「相手が悪かったね。智の人生がかかってる訳さ。
智、優勝したら、暢子に正式プロポーズするって」
それを聞いて、同様する和彦。
「でも、優勝しなかったら?」
順次は「プロポーズは延期さ」と言います。そして、しゃべりすぎだと三郎に怒られていました。
おしゃべり順次
「和彦、見ませんでした?」
愛は和彦を探していました。三郎と順次は、「あっちにいたよ」と教えます。そして、また順次は余計なことを言ってしまいます。
「緊張してたよ。今日の角力に智の人生がかかってるだからね」
口を滑らせる順次を三郎が止めます。しかし、勘のいい愛は「人生って、結婚とか?」と言います。
愛が知っていると思った順次。
「智が優勝したら、暢子ちゃんに正式プロポーズする話」
と、全て話してしまいます。
「それを和彦も聞いたんですね」
何かを悟った愛。暢子がやってきたこともあって、暢子と一緒に和彦の所へいきました。
順二は三郎に嫌味たっぷりに怒られたのでした。
やっとわかった
愛と暢子が和彦の所へ行くと、和彦は暢子が作った弁当を食べていました。美味しいか聞く和彦。
「やっぱり美味しいよ、暢子の料理。
今まで食べた天ぷらの中で、一番美味しい」
そう言われて大喜びする暢子。ただ、暢子の心は揺れてしまいました。海を見ながら、「諦めたんだから」と一人つぶやくのでした。
「実は相談があるんだけど。昨日、田良島さんに呼ばれて・・・」
愛は和彦に話しかけます。しかし、和彦の眼には、暢子しか映っていませんでした。愛が話しかけている途中に「やっとわかった」と言って、愛の話を遮ります。
「聞いて欲しい。僕たちの結婚のことだけど、僕はやっぱり・・・」
和彦がそこまで言ったところで智きました。沖縄角力が始まります。和彦は愛を置いて、会場に向かいました。
和彦vs智
沖縄角力は、まず組み合ったところから始まります。そして、背中がついた方が負けです。
「1本勝負、ハイ」
始まると、余裕そうな智、懸命にこらえる和彦。暢子が近くで応援しています。負ける訳にいかない和彦。
激闘の末、横になって倒れる二人。
行司の順次は最初に智を勝者にしましたが、周囲からは和彦だと言う声がかかって、軍配を上げ直します。そうすると、今度は智だと言う声がかかり、収集がつかなくなります。
三郎は「同体。取り直し」と言って場を収めました。
そういうことなんだね
取り直しになって、智は本気モードです。しかし、和彦も負ける気はありません。
智に食らいつく和彦。一生懸命なのが伝わってきます。それを見ていた愛。
「そういうことなんだね」
そう独り言を呟きます。愛は勘がいいので、和彦の気持ちがわかっていました。しかし、それを認めなかったのでした。でも、暢子へプロポーズさせないように懸命に頑張る和彦を見て、はっきりわかったのでした。
そして、決着。勝者は智でした。
智に手を借りて起きる和彦。しかし、そのまま倒れてしまいました。
駆け寄る愛、暢子。和彦は、担架で病院に運ばれました。
ハンデ
和彦に勝ったあと、どんどん勝ち上がる智。しかし、途中で足を痛めてしまいました。
「いよいよ次は決勝だね」
暢子が智を心配してやってきました。そして、決勝の相手は「やんばるの一番星」の賢秀です。賢秀は賢秀で、優勝して和歌子にプロポーズするつもりで、気合が入っています。
智の足のケガは「大したことない。ちょうどいいハンデ」と強がっています。
しかし、暢子は心配です。智の決意も知らず、仕事に影響したら困るからと、棄権した方がいいと勧めます。
「やめない、俺は絶対、優勝するから」
暢子は、そう言う智に「そんなにして黒糖欲しい訳?」と、相変わらず鈍感な感じで言うのでした。
そして、15分の休憩の後、決勝戦が行われることになりました。
愛のリーク
「和彦君、大丈夫?」
病院に行った和彦に付き添っていた愛が帰ってきました。
「まだ病院で寝てるけど、先生も軽い日射病だと思うから大丈夫だろうって」
そう言われ、暢子は安心します。
「和彦君、智相手によく頑張ったね。びっくりした」
暢子はなぜ和彦があんなに懸命に頑張ったのか知りません。愛からすれば、呑気に映ったかもしれません。そんな愛が、暢子に伝えます。
「知ってる?智くん優勝したら暢子ちゃんにプロポーズするんだって」
愛は意地悪でそう言ったのか、覚悟を決めさせるために言ったのか、わかりません。ただ、暢子に対して悪い感情を持っているようには見えませんでした。
「困っちゃうよね、勝手にそんなこと言われても」
そう言って、困っている暢子を気遣うのでした。
和歌子の同居相手
「おら、賢秀さんと出会って良かった。
明日、青森さ帰ります。言われたんです。お前みたいな弱虫は、都会暮らしは似合わねって」
それを聞いて、賢秀はまたいいかっこします。
「誰がそんな、和歌子ちゃん。仕事は俺が紹介するから、決勝戦で俺が勝ったら・・・」
言い出せない賢秀。その時「和歌子!和歌子!」と呼ぶ声が聞こえてきました。
「たけし!」
和歌子は駆け寄ります。そして、抱き合う二人。
「心配したど、突然飛び出してまうがら」
どうやら、寮を追い出された和歌子が身を寄せていたのは、たけしの家だったようです。
「青森の実家に電話したら、鶴見の沖縄県人会に世話になってるっていうから。
おらが悪がった。おら和歌子がいねえとダメなんだ」
突然のたけし登場で、置いてけぼりの賢秀。
「たけし、この人、賢秀さん。仕事を世話してくれるって。たけしのことも頼んでみよう。
賢秀さん、お願いできますか?」
もちろんと答えた賢秀ですが、プロポーズどころか告白する前に振られてしまいました。
「確認だけど、二人は?」
一応、二人の関係を確認すると「結婚の約束をしている」と言われてしまいました。
賢秀は、フラれたショックで、廃人になってしまいました。
決勝戦
「賢秀、なにやってるんだ」
三郎達が呼びに来ました。15分の休憩は、もうとっくに終わっていました。
そして、決勝戦。
廃人と化した賢秀は、棒立ちです。組み合いますが、全く力が入っていません。
そして、一瞬で負ける賢秀。黒糖20kgは智のものです。そして、暢子へのプロポーズの権利を勝手に得ました。
智が勝ったことで、大変なことになったと思う暢子の姿がありました。
プロポーズ
「片付け手伝わないと、もう行こう」
防波堤の先、智に呼び出された暢子は、気配を感じて逃げようとします。
「言い忘れてたけど、3連覇おめでとう。
今日はとことん飲めるね。黒糖20kgだった、すごいね。
将来お弁当屋さんやるのもいいかなって思いついたんだけど、どう思う?」
雰囲気を台無しにしようと懸命に話す暢子。しかし、智は止められません。いきなり抱きしめる智。
「結婚しよう。必ず幸せにする」
ど真ん中の直球でプロポーズする智。しかし、暢子は受け入れられません。
「友情だと思う。智がうちに感じているのは愛情じゃなくって友情だと思う」
暢子はそう言います。しかし、智も引くことはできません。
「違う。俺はずっと、やんばるにいた頃から暢子が好きだった。暢子のためにこっちに出てきて、暢子のために」
智は自分の思いをぶつけました。
ごめん
「うちらが結婚しても上手くいくはずないさ」
暢子は、どうしても受け入れる気はありません。諦めたとは言え、今日、また和彦のことが好きだということを再確認してしまったのですから。
「だったら、俺が我慢する。いつも、なんでも暢子に合わせる」
必死な智ですが、暢子は首を横に振ります。
「和彦のことが、好きなのか?」
そう智に言われても、本当のことは言えません。
「うちは料理に集中したい。自分のお店を持つと言う夢もある。智のことは大好きさ。でも・・・」
どうしても、暢子は智を受け入れることはできませんでした。
「俺が叶えてやる。暢子の夢を。がんがん働いて、ばっちり稼いで、暢子に店を持たせてやる」
智はそう言いますが、そういう暢子の気持ちを考えない所が、暢子に受け入れてもらえない部分ではないかと思います。
「そういうことじゃないさ。うちの夢はうちが自分の力で叶えんと」
何度智が「幸せにしてみせる」と言っても、暢子は受け入れません。首を横に振るのでした。
「うちは、嫌。ごめん。智、ごめん」
暢子の気持ちを智はわかってあげることができません。そして、智の思いをわかってあげることができない暢子。二人の気持ちは平行線です。
「ダメなわけよ。暢子じゃないと。ダメ。暢子じゃないと!」
そう言うと走って去ってしまう、智。足は大丈夫なようです。
角力大会後
「泣きはらした目で帰ってきた?」
あまゆでは、三郎と妻、順次と妻の4人で話しをしていました。暢子は1人で帰ってきたようです。そして、智がプロポーズしたはずですが、その結果を知りません。
「ということは、そういうことなんだろうな」
なんとなくわかった三郎ですが、順次は鈍感でわかっていません。そんなところに和彦が降りてきました。
「和彦くん、おはよう。体調はどう?朝ごはんあるよ」
しかし、和彦は元気のない様子で、食事を断り出社していきました。和彦は、病院から暢子より先に帰ってきて、智が優勝したことを確認して部屋に籠ってしまったようです。
「じゃあ、知らねえよな」
三郎はそう言うと、考え込んでしまいました。
「賢秀君は?」
そう聞かれても、誰も知りませんでした。
賢秀のその後
「おい!起きろ!」
賢秀は職場の用途運上へ戻ってきていました。そして、養豚場の事務所で、失恋のやけ酒で泥酔しています。そこを清恵に起こされますが、起きれず清恵に抱き着いてしまいます。
「すきやんどー」
夢の中で告白する賢秀ですが、清恵は自分に言われたと思ってしまいます。
そこに清恵の父・寛大が現れて、抱き合う二人を見てしまいます。まずい所に来たと思った寛大は、「寄り合いの組み合いだよ」と意味不明なことを言って、去っていきました。
暢子のその後
フォンターナで働く暢子は、暗い表情でした。振ったのですが、智との関係が気まずくなってしまいました。楽しかった時間も、智のプロポーズで終わってしまったのです。
そこに、智が配達にやってきます。気まずそうなのは、智も一緒です。暢子に伝票にサインをしてもらって、帰っていきました。
乗り越えるには、ちょっと時間がかかりそうでした。
愛と和彦のその後
「大丈夫?体調」
愛は、出社してきた和彦を気遣います。
「実は、式場の下見のことなんだけど。
どうして話したいことがあって、昨日言いかけたことなんだけど。
全部、なかったことにしてくれ。
愛と結婚する資格はない」
朝会って、最初にすごい爆弾を持ってきた和彦。しかし、勘のいい愛は察していました。手紙を渡す愛。
「記者らしく要点を纏めてみました」
そう言うと、和彦の前から去っていきました。
実は、愛は田良島から「東洋グラフ」に移籍するという話しを持ちかけられていました。以前書いた愛の記事を読んだ編集長が、愛を指名したのです。ただ、3年間フランスに駐在して記事を書くことになってしまいます。
「夢だったパリ。一歩踏み出す決断をしました。
あなたが想像できないくらい、あなたが好きでした。
和彦は暢子ちゃんのことが好きだよね。
私は前に進むことを、あなたの幸せを心から祈っています」
手紙にはそう書いてありました。
お母ちゃんの再婚話しのその後
共同売店に出勤するお母ちゃん。思い悩んでいました。そして、共同売店で働く善一に話します。
「実は、再婚のことで。うちと善一さんの」
それを聞いて驚く善一。善一も聞いていなかったのでした。それを聞いて喜ぶおかあちゃん。善一にとってもいい迷惑だと、笑うのでした。
「俺は優子さんと結婚したい」
しかし、善一は本気でした。周りが善一のことを考え、おかあちゃんに話しを持っていったようです。
「真面目な顔して冗談言わないで下さい」
そうやっておかあちゃんは笑います。
そこに歌子が来ていました。おかあちゃんの再婚話に動揺する歌子。
暢子と和彦
「ただいま。もう大丈夫?体」
あまゆの前で座っている和彦に声をかける暢子。和彦は思い詰めた表情でした。
「ちょっと話してもいいかな?」
そう言うと、暢子に愛との結婚がなくなったことを伝えます。
「僕は、暢子のことが好きだ。ずっと好きだったんだ。自分でも気づかないふりをしてたんだ」
突然の告白。驚く暢子。そして、和彦はすぐに引っ越すといいます。しかし、暢子は智のプロポーズを断りました。そのことを知らない和彦。暢子が断ったことを聞くと「じゃあ、智と結婚しないの?」と確認します。
「結婚しない。それで、どこに引っ越すわけ?」
そう暢子に聞かれると、「なら、引っ越さない」と言うのでした。
智と結婚する暢子を見たくないので引っ越そうと思っていた和彦。本当は、暢子とずっと一緒にいたいと思っています。
「だから・・・」
「ダメ」
二人の想いがぶつかります。そこに三郎が顔を出しました。
タイム
「ちょっといいかい?やんばるから緊急の電話があって」
そう言うと、暢子に電話を繋ぎます。緊急の電話は良子からでした。お母ちゃんが再婚する話を歌子が聞いて、良子に相談したのです。そして、暢子に「どうしよう」と電話してきたのでした。
「待ってて、すぐ帰る」
そう言って電話を切ると、和彦に言います。
「タイム。さっきの話し、ちょっとタイム。うち、やんばるに帰らないと」
暢子は自分の部屋に帰ってしまいました。置いてけぼりの和彦。タイムされた話は、いつ進むのでしょうか?
最後に
ついに暢子と和彦は、お互いの気持ちを素直に言えるようになりました。
しかし、その前におかあちゃんの再婚話しをどうするか家族会議をしないといけません。善一と夫婦になると、暢子は親友の早苗と姉妹になります。それはそれで、いいような気もしますが、話は入り組んでしまいそうです。
来週はやんばるに帰省する暢子が久々にお母ちゃん、良子、歌子に会います。そして、音ちゃんとお母ちゃんの過去とは?
来週も楽しみです。