それぞれの恋心 ちむどんどん(12) ネタバレあり

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それぞれの恋心 は、暢子のぶこさとる、和彦と愛、賢秀と直美のお話しです。

時代は1978年4月。昭和53年です。

ちむどんどん公式HP

それぞれの現在

暢子の現在

暢子は、東京に出てきて丸6年です。

フォンターナは雑誌の取材を受けていて、暢子もインタビューを受けいました。

「イタリア料理は家庭で作るのは難しい」

取材でそう言われ、暢子は本格的な材料を使わなくても、日本で手に入る物で代用可能だと言っていました。料理に対する知識が増えて、料理人らしくなっていますね。

「イタリア料理に限らず、美味しい物はどれも勉強になります。
 料理の修業は年中無休ですから」

そう言う暢子に恋人はいるかと聞かれます。

「料理が恋人です。結婚願望は全くありません」

そう答える暢子でした。今が永遠に続けばいい、そう暢子は思っています。

和彦の現在

和彦は東洋新聞社で活躍中。文芸部のエースと呼ばれています。

デスクの田良島と沖縄の話しをしている和彦は、なんだかキラキラしていました。

「沖縄はライフワークなんです」

和彦は、中学生の頃、まだアメリカ領だった沖縄で生活したことがありました。

そして、その頃のことや、一緒に沖縄で過ごした父親のこともあってか、沖縄に思い入れがあるようです。

智の現在

今は食品卸の会社で働いていますが、智は独立する予定です。

そして、昔から好きだった暢子をデートに誘い、将来の話をしたいと思っています。

しかし、智の気持ちに暢子は気づいていません。

賢秀の現在

賢秀は養豚場で、真面目に働いているようです。給与日にしっかり給与をもらっていました。もう前借りはしていなさそうです。

そんな時、訪ねてきた女性に一目ぼれします。

「横浜の方で化粧品などを作っている、多田ただ直美なおみと申します。
 実は今経営の方が厳しくて。
 こっちの方に親戚がいて、少しでも足しになるかと思って行商しているんです」

賢秀は、直美を中に招き入れました。

売っている物は石鹸や洗剤などです。それを聞くと賢秀は、「石鹸、全部下さい」と言って、値段も聞かず、もらった給与をそのまま渡していました。

「お釣りはいりません」

そんな羽振りのいい賢秀を見て、直美は「若社長さん?」と勘違いします。それを否定しない賢秀。やってきた清恵きよえにお茶を出させようとします。

しかし、直美はお茶を辞退して、帰って行きました。

もちろん、賢秀に名刺を渡しています。賢秀は、もらった連絡先に連絡する気満々です。

縁談を断った清恵の気持ちも知らず、相変わらずひどい男です。

良子と博夫

良子の現在

今、良子は、夫の博夫ひろおと別居しています。実家の山原やんばるの家に住んで、そこから小学校に出勤していました。娘の晴海は、妹・歌子とお母ちゃんが見てくれています。

良子は、生徒にも後輩の先生にも厳しく指導しています。

「また知念先生の子が廊下を走っていましたよ。
 規則には理由があるんです。ぶつかったら大事になる。自覚を持って指導してね」

そして、授業で身が入らない生徒・仲宗根なかそねまことには、「やる気がないなら廊下に立ってなさい」と言って、立たせていたりしました。

登校拒否

「学校に来たくない?誠が?」

良子が叱った子供が、学校に行きたくないと言っています。しかし、お母さんがいくら理由を聞いても答えてくれなくって困っていました。

東京などでは、登校拒否児童が増えはじめた頃のことです。良子は思い当たることはありますが、認めたくありませんでした。

「誠はそんな子じゃない。私は誠のことを良く知ってる。性格も家庭環境も」

そう言いますが、本当にわかっているのでしょうか?

面談

「なにかいやなことあった?誰かにいじめられてるの?」

誠は母親と学校に来て、良子と面談しています。しかし、誠は何も言いません。黙っていたら何も解決しないと良子はいいますが、誠は黙ったままでした。

「帰る」

それだけ言うと帰ってしまいました。

誠の母親は、何も心当たりがありません。やっぱり学校での出来事が問題だったようです。

帰り際、誠は良子の後輩・知念先生とあやとりをしました。知念先生には心を開いているようです。

晴海と歌子

歌子が弾く三線で歌う、歌子と晴海。二人とも歌が上手です。

当時は高級だったバナナが食卓にありました。それを見た良子は、那覇の博夫の実家を説得できない博夫を責めます。博夫の実家は封建的な家柄で、良子が先生として働くことを認めてはいません。

「博夫さん、今日こそ那覇の実家の人を説得してみせるって張り切ってたよ」

そう言いますが、良子は信じられませんでした。

離婚!?

「やり直すなら早い方がいい。お前にその気があれば、いくらでも探してやる」

博夫は那覇の実家で、おじいにそう言われてしまいました。実家では、石川家にふさわしい嫁を求めています。

博夫は石川家の長男です。そんな博夫が良子の言いなりになっていることが許せないのでした。

「良子に本家の嫁の立場を言って聞かせます」

良子に言うことと実家で言うことが、まるで違う博夫でした。

二重人格

「二重人格だと言われても仕方がない。
 わかってくれ。俺だって好きで本家の長男に生まれたわけじゃないよ」

酒を飲んだ博夫が良子に電話します。

そんな頼りない博夫は理想主義で、難しいことを言うインテリです。そして、優しすぎる性格です。それが良子には不満ですが、博夫の立場も大変です。

おじいもおじさんも古い考えで、父親はその二人にたてつくことができません。その長男の博夫であれば、なおさらです。博夫と良子はどうなってしまうのでしょうか?

良子のせい

「私のせい?」

良子は誠の登校しない理由を聞かされていました。

原因は、良子にみんなの前で強く叱られたからでした。良子は、誠が勝手に後ろを向いたからだと言うのですが、床に落とした消しゴムを拾おうとしていただけでした。

そして、頭ごなしに叱られて、誠は説明する気がなくなりました。お母さんからも先生の言うことを聞けと言われて、誰にも相談できなくなったのです。

そして、この話は誠が知念先生に話したことです。良子は誠の家に話をしに行きました。

先生とお母さん

その夜、良子が帰宅が遅くなると、歌子が晴海を寝かしつけていました。

「ご苦労さんね、ご飯支度しようね」

お母ちゃんはそう言いますが、良子は食べる気分ではありませんでした。

そして、歌子は晴海が書いた絵を見せてくれました。先生をやっている良子の姿です。ただ、先生をしている良子の姿は見たことはないはずです。

歌子は、晴海に先生をしている姿を見せてあげたらと良子に言います。しかし、誠のことがあって、良子は自信をなくしていました。

「うちはまだまださ、先生として。晴海の母親としても歌子の方が向いてるかも」

そんなことを言う良子に歌子は、励まします。

「晴海もがんばってるのをわかってるから、わがまま言わないでいい子だよ。
 晴海は、そんなに頑張らなくてもねえねえが大好き。
 本当は、うちじゃなくて、良子ねえねえに甘えたいんだよ」

そして、晴海は寝てすぐだと時々寝言を言うことを良子に伝えます。それを聞いて、良子は「聞いてくる」と言って晴海の寝ている部屋に入って行きました。

歌子は、家族に何も貢献できてないと言っていましたが、ちゃんとみんなのためを考えてくれていました。

出会いを話す時

歌子がお父ちゃんの好きだった歌を三線を弾きながら歌っています。

途中で歌をやめ、お母ちゃんとお父ちゃんの馴れ初めを聞きたいと言う歌子。

しかし、おかあちゃんは答えず、良子に晴海が大きくなって聞かれたら、どう答えるか聞きます。

「先生になるために勉強している時に出会って、お父さんと一緒に沖縄の未来に考えていきたくて。お互い立派な先生に一緒になりたいと思ったから」

そう答えると、歌子もお母ちゃんも「素敵だね」と言ってくれました。

そして、昔を思い出した良子。「おやすみ」と言って、部屋に入って行きました。

和彦と愛

愛の現在

「結婚はしないって思い込んでた」

愛は、洋裁をしていた母の影響でファッションに興味がありました。そして、夢はいつかパリで働くことでした。それもあって、結婚なんて考えもしていませんでした。

そして、新聞社に入社してからは、パリ支局に配属されることを夢見ていました。しかし、今は諦めています。パリ支局は、ファッション好きだけでいけるほど、甘くはないとわかってきたのでした。

「結局、結婚して幸せになって欲しいという親の期待を裏切れないと思う」

東京では、女性の社会進出が当たり前になっています。しかし、女性の幸せは結婚だとされていた時代でもあります。

無い物ねだり

そんな愛は、暢子のことが羨ましいと思っています。いつも自由で、何にも縛られず、感じるままに生きているように感じています。

しかし、暢子は愛のことが逆に羨ましいのでした。オシャレで上品で頭もよくて、暢子が持っていないものばかりです。お互い無い物ねだりです。

暢子は今の現状が幸せで、ずっとこのまま暮らしたいと言います。しかし、愛はそうはいかないと言うのです。

「望むと望まないとによらず、変化は突然やってくるものだから」

結婚の話し

「先月行った、葉山のフレンチもなかなかだが、ここのイタリアンもいいね」

愛の両親と愛、和彦がフォンターナで食事をしています。愛と和彦の将来についての話しをしていました。

「籍を入れる前に一緒に住むのに気が引けるなら、式を早めてもいい」

愛は「まだ結婚すると決めた訳じゃない」と言いますが、両親は早く話しを進めたいようです。愛も和彦も新聞社の仕事が忙しく、話が進まないことに両親はヤキモキしているのでした。

暢子は、フォンターナで和彦達がいるテーブルの担当です。聞くつもりもなく、結婚の話しを聞いてしまいました。そして、ショックを受けます。

暢子は矢作に何歳の時に結婚したかと聞きます。驚く答えは「19」でした。矢作は、結婚は勢いがないと一生できないと言うのでした。というか、矢作が結婚していたのが驚きでした。

暢子と和彦

暢子のわじわじ

フォンターナのから帰宅した暢子。「あまゆ」では、和彦が一人で飲んでいました。

「ついに愛さんと結婚だね。おめでとう」

和彦は「あのさ、1杯付き合う?」と暢子と話したがっています。しかし、暢子はどうしていいかわかりません。

「ごめん。疲れたし、早く寝る」

と言って、部屋に入っていきました。なぜかわじわじ(イライラ)しているのか、暢子は自分でもわかりませんでした。

問題がないことが問題

「愛みたいな優秀な記者が、寿退社はもったいない」

田良島たらしまは、悩んでいる和彦にそう話しかけました。そして、中間管理職の自分に青春の悩みを打ち明けてみろと言います。

しかし、問題という問題がありません。愛の両親もいい人です。ただ、問題がないことが問題だと思うのです。

田良島は「悶え苦しめ」と言っていました。

困る暢子

和彦があまゆに帰ると、厨房で暢子がサーターアンダギーを作っていました。美味しそうな匂いがしています。

食べたいという和彦に食べさせる暢子ですが、暢子はいらないといいます。

和彦は話したいと思っていますが、暢子はどう対応したらいいのかわからず困っています。サーターアンダギーを食べないと言ってみたり、食べると言ってみたり、和彦の話しを聞きたくないと逃げようとしています。

そこに賢秀がやってきました。

賢秀はサーターアンダギーを一口食べて、胸ポケットへ入れて話し始めます。

「石鹸、安く売ってやる。俺はある人のため、人肌脱ぐことを決めた」

そして、賢秀は自分のはじめての恋心に驚いているのでした。ただ、和彦は置いてけぼりです。

暢子と智

デートに誘う

「デートに誘いたい」

智は、暢子をデートに誘いたいと思っています。そして、二人の未来の話しをしたいと思っています。

しかし、和彦は智の想いに気づいていませんでした。暢子も和彦も鈍感なんです。

智は暢子に次の休みがいつかと聞きます。そして、どこかに行かけようと言います。

しかし、暢子は「中華街」と即答します。以前行った時は、店に入る前に肉まん食べて、回鍋肉も青椒肉絲も食べれなかったからリベンジしたいと言うのです。そして、和彦と愛も含めて4人で行けば、少しずつ美味しい物をたくさん食べられると言うのでした。

早苗の結婚

久々に表れた早苗は、結婚するようです。

相手は親戚の紹介の「うちなんちゅ」のようです。早苗も東京に来てから6年が経ちましたが、結婚するのであればやっぱりうちなんちゅ同士がいいと思っているようです。

「暢子は?智にいにいと上手くやってる?」

早苗はそういうことに敏感です。しかし、暢子は鈍感です。

「なんで智?」

早苗は、小さい頃からずっと智は暢子のことが好きだったのを知っていました。でも、それは困ると暢子は言います。

しかし、他に好きな人がいる訳でもありません。ただ、自分の気持ちがわかってないだけなんだと思います。

デート

フォンターナで着替えている暢子。智とのデートはフォンターナになりました。

房子は、着替えた暢子に「覚悟はできてる?いってらっしゃい」と言って送り出します。

席には、スーツを着た智がいます。着替えてオシャレをした暢子をみて、喜んでいました。しかし、なんでわざわざ着替えないといけないのか、暢子はわかっていません。智はちゃんと着替えてデートしたかったのでした。

暢子は、ただフォンターナをお客様目線で見たかったので、フォンターナにしました。デートのことはすっかり忘れていました。

「今日は暢子に大事な話がある」

智は覚悟を決めて話そうとしていました。しかし、そんな大事な話しを逸らそうとする暢子。そこに和彦と愛がやってきました。

まずい!

愛と和彦は、ただ食事に来ただけでした。しかし、席は暢子の真後ろになって、お互い気マズイ雰囲気になってしまいました。

「いないものと思っていいからね」

愛はそう言いますが、暢子は気になって仕方がありません。

「暢子。俺は必ず、商売を軌道に乗せてみせる。
 そしたら、俺のもう一つの夢を聞いて欲しい、わかるよな?
 俺と暢子の将来のことについての話し」

そこまで智が言うと、思わず「まずい!」と立ち上がってしまいます。しかし、ここはフォンターナ。まずいと言う言葉はマズイです。

「マズイ!と思ったけどいい味付け。オリーブオイルがよく馴染んでる」

そう言って、何とかしのぎました。しかし、智は止まりません。

「明日から独立して商売をはじめる。
 しばらく休みなしで働いて、死に物狂いで頑張って、必ず成功させてみせるから。
 その時は、俺の話を聞いてくれな」

仕方なく受け入れる暢子。その様子を見て、心配そうな房子がいました。

独立

八百鶴やおつるの彼、独立して頑張ってるんだってね」

房子に声を掛けられた暢子。そうみたいですと、智のことを他人事のように答えていました。房子は突っ込んで「どうなるにせよ、逃げたらダメよ」と言うのでした。

そんな時、智が配達であまゆにやってきました。

「大丈夫か?そうとう疲れた顔してるけど」

県人会会長の三郎は、智を心配します。

「いや、ここが正念場ですから、今は少々つらくても頑張るしかないです」

そう答える智に暢子は「偉いね智は」と言って、労います。そして、智は差し入れでも持って事務所に遊びに来いと誘うのでした。それを受け入れる暢子。そんな暢子に智はある提案をします。

「あ、そうだ。沖縄から野菜を仕入れたいと思って、近々山原に帰ろうと思ってる訳。よかったら、暢子もどう?」

仕事で帰る智の邪魔になると断る暢子。智は智の母親にちゃんと報告したいと言うのでした。

「暢子が一緒にいてくれたら話しが早い。もちろん旅費は全部俺がもつ。考えておいて」

それはほとんどプロポーズです。しかし、一緒に親に挨拶に行くほど関係ができている訳ではありません。智が先走ってしまっています。

賢秀と直美

お誘い

賢秀が直美を連れて、あまゆにやってきました。そこで妹ですと紹介される暢子。

「こちらの直美さんは、ありえんぐらい律儀で情にあつい女性な訳」

暢子には、直美のことをそう紹介しました。賢秀は若社長であり、品川に本社がある従業員200人の会社だと直美に言っています。

そして、直美を暢子の働いているフォンターナに食事に誘います。しかし、フォンターナは賢秀が簡単に出入りできるほど、安いイタリア料理店ではありません。ただ、そんなことは賢秀には関係ありません。直美にいいカッコつけたいと思っているだけです。

「俺はしょっちゅう、うちの会社の社員を連れて食べに行っています」

そして、場違いじゃなければぜひと直美は答えていました。直美は社長が待っていると帰っていきました。賢秀は駅まで送っていきました。

婚約者

賢秀はフォンターナの前で直子を待っていました。

そこに直子がやってきましたが、他にも連れてきていました。社長と社員達です。困惑する賢秀でしたが、社員の一人が「婚約披露のお祝いだと聞いてきた」と言ったのを聞いて、賢秀は喜んでしまいました。

全員を引き連れ、フォンターナでランチです。

「特上のランチを人数分ね。それと、高いワイン、ボトルで人数分」

あいにく、特上のランチはありませんでした。それにグラスではなく、ボトルでワインとは豪勢というか、やりすぎです。

そして、婚約は社長と直美のことでした。それを聞いて、がっかりうなだれる賢秀でした。

暢子と智、和彦と愛

もなか

暢子は、房子に借りた本を田良島に返すために新聞社に持って行くように用事を頼みました。新聞社で働いていた暢子は、文芸部に行くのには慣れています。

文芸部には誰もいません。何度か声をかけると、奥から和彦が出てきました。田良島は帰ったというので、和彦に託します。

「うちのオーナーが田良島さんに渡してって。これはお礼の差し入れ。皆さんでどうぞ」

差し入れは最中でした。和彦は暢子に「一緒に食べない?」と聞きますが、やっぱり暢子は「お腹がすいてない」と断ります。しかし、お腹が鳴ってしまい、結局一緒に食べることになりました。

ケンカ?

「智と結婚するの?」

突然、確信に迫られ、同様する暢子。和彦は自身のことを相談します。

「僕はこのまま結婚していいのかな?」

愛の両親は白金台にあるマンションの名義を和彦に変更しようと言っています。しかし、名義変更してしまうと、結婚することになってしまいます。

「どう思う?」

暢子に聞かれても困ります。暢子は、恋愛も結婚願望もないと言います。でも、和彦は納得できません。智とデートしてる姿をフォンターナで見ています。

「ドキっとした。あんな暢子はじめてみたから」

そう言ってしまうと、さすがにマズイと思ったのか、和彦は言いなおします。

「まぁ、あれだ、馬子にも衣裳、豚に真珠っていうからな」

そんな和彦を見て暢子はイライラしてしまいます。

「なに、わじわじしてるわけ?
 何年も交際して親も賛成しているし、何が不満な訳?」

自分のことは自分で決める

和彦は愛と結婚することに不満はありません。でも、決めきれない気持ちがあります。

それを暢子に言われ、和彦はつい反論してしまいます。

「関係ないだろ、僕たち二人の問題なんだから」

そうなるともう止まりません。売り言葉に買い言葉。どんどん話はもつれてしまいます。

「だったら、相談しないで!」

「相談なんてしてない、ちょっと話しただけ」

「さっさと結婚したら?」

「するさ」

「だったら、もう終わり。終わりでしょ、何もかも」

暢子はやっぱり和彦のことが好きなのです。だからこそ、和彦と愛の話しを聞くと、わじわじしてしまうのです。

「変な言い方するなよ。暢子こそ、智とさっさと結婚しろ」

そう言われ、暢子はもう後に戻れません。

「自分のことは自分で決めます」

帰り際、暢子は愛とすれ違います。しかし、和彦には愛に状況を説明することができませんでした。

智、倒れる

暢子が智の事務所へ行くと、智は電話をしていました。

「頑張るしかないんです。嫁さんもらうんです。今はイタリア料理店で働いてて・・・」

そんな話を聞いてしまいました。困ってしまう暢子。

その時、事務所の中から崩れる音がしました。暢子が入ってみると、智が倒れていました。その時、電話が鳴りました。

県人会の活躍

「もしもし、追加発注ですか?」

電話は追加発注の電話でした。その電話を切った後、暢子は三郎達に連絡して、助けを求めました。

智を布団に寝かせ、看病する暢子。やってきたのは、県人会のメンバーと和彦もいました。

智は、「配達、いかないと」と言って起き上がろうとしますが、熱があって動くことは無理です。

そのため、三郎が中心になって、みんなで配達を手伝います。暢子は電話番です。

暢子はフォンターナに電話をして、房子に遅れる連絡をします。しかし、房子は今日は休んでいいと伝えます。智は東京や神奈川に身よりはいません。暢子に智を看病してあげるように言うのでした。

電話を切った房子の元にシェフの二ツ橋がやってきました。智の代わりに別の人が配達に来たこと、明日の仕入れが不安なことを伝えます。しかし、房子は県人会が助けるから仕入れは変えないと伝えました。

もやもや

「ただいま。受け持った分は全部終わったよ」

和彦が帰ってきました。三郎たちも配達終わって、さっき帰ったところでした。智は、睡眠不足で風邪をこじらせただけで、2~3日ですぐ治るという診断でした。寝ている智の隣で、和彦は暢子と話します。

「暢子、ごめん、この前」

暢子も、和彦に謝ります。和彦は考えていたことを暢子に話します。

「考えたんだけど、愛とのこと。僕の迷いと言うか、悩みと言うか、もやもやした感情の正体は、たぶん。
 彼女に対する不信感とか愛情の薄れとかではなく、おそらく」

もったい付けて結論を出す前に、思い出したことがありました。

「あ、しまった。愛があまゆにくるんだった」

和彦は急いであまゆにいきました。

ハグ

「本当に今夜、智くんの手伝いで遅くなったの?」

和彦は、愛との約束を忘れていたんじゃないかと問い詰められます。

「忘れるはずないよ」と言いますが、愛には嘘だとバレていました。

そして、愛は手を広げて和彦にハグを要求します。人前でハグするのは、恥ずかしい時代です。そして、キスを求めます。

和彦は、ハグをして愛に顔を近づけます。

そこに暢子が現れて、二人を見てしまいました。

酔いつぶれる

和彦と愛のラブラブな姿を見て、落ち込んでしまう暢子。

あまゆに帰ると、フォンターナのオーナー房子から何度も電話がかかってきたことを聞きます。

暢子は急いでフォンターナに行くと、オーナーの部屋で泥酔している賢秀がいました。

8本ワインを頼んで、半分は自分で飲んでベロベロです。

しかたなく、房子の部屋で休ませていたら、房子の秘蔵のワインも飲んでしまっていました。

怒った房子ですが、「美味しいお酒でも飲まないとやってられない」と言って、暢子に付き合わせるのでした。奥から出してきたのは、古酒くーす。泡盛が苦手だという暢子ですが、房子に言われ1杯だけ付き合うということになりました。

分かれ道

和彦は愛を駅まで送ると、あまゆに帰ってきました。暢子はフォンターナから電話があって、出かけたことを聞かされます。

そこには、三郎とその妻がいて、愛との婚約を祝福してくれました。

「和彦、飲もう」

そう言われますが、和彦はそんな気分ではありません。しかし、三郎は和彦の様子を見て、「いいから座りなよ」と強く同席を求めます。

和彦は、心の内を話し始めます。

「愛は、彼女には何の問題もないし、不足もない。僕にはもったいない女性です」

だったら幸せにしてやれと言う三郎に和彦は、「ただ、このまま結婚したらいけないような気がして」と上手く説明できないながらも、気持ちを話します。

「人間生きていれば、分かれ道に立つ。そのたびにえいやっと、どっちか選ばないといけない」

そう三郎が言うと、和彦は悩んでしまうのでした。

初恋

古酒はバニラの香りがして、まろやかな味わいです。泡盛が苦手な暢子でしたが、これなら飲めます。

酔った暢子はどんどん気持ちを話してしまいます。

「なんで今のままでいられないわけ。
 みんな結婚とか考えないで、なにもかも今のままでいればいいじゃない」

飲みやすい酒を飲んで、さらに酔う暢子。

「愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ愛の変化である」

ニーチェの言葉です。暢子には「にーちゃん?」に聞こえていました。そして、房子に聞きます。

「豚ですから、豚に真珠って言われたんです。
 どうやって恋をしてるんですか?山原の頃に戻りたいさ」

それを聞いて、恋をしたことを確信する房子。

「恋は、胸がどきどきして、ぼーっとして誰かのことを考えてしまう。
 答えはあなたしかわからない」

そう言われても、その答えが暢子にはわかりません。

「あなたのお父さんもお母さんもなぜか引かれあって、夫婦になって、だからあなたが産まれた。そういうこと」

房子に言われ、お母ちゃんやお父ちゃんに会いたくなる暢子でした。

暢子の思い

結局、朝まで房子を突き合わせ、フォンターナで飲んでしまいました。

暢子は「どうやったら幸せになるんですか?」と房子に聞きますが、房子は暢子がどうしたいかしだいだと言うのでした。

「恋人がいるのに好きとか言えないじゃないですか」

そう言った暢子。自分の気持ちにやっと気づきました。

あの日から、二人は惹かれあっていたのです。しかし、距離が二人を離れさせ、時間が忘れさせようとしていました。

最後に

ついに和彦への想いを自覚した暢子。智との関係はどうなるんでしょうか?

そして、和彦と愛はこのまま結婚してしまうのでしょうか?

こういう時は、中間管理職の田良島に聞くのが一番だと思います。

そして、来週は、この4人の関係がさらに密度を増しそうです。

来週の予告

4人の関係だけでなく、歌子の歌にも進展ありそうです。

来週も楽しみです。

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