アトムの童(1) ネタバレ

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アトムの童 は10月から始まった日曜劇場のドラマです。

降板騒動で撮り直しもあったようですが、無事に始まってくれてよかったです。

アトムの童公式HP

前回の日曜劇場は「オールドルーキー」でした。

主な登場人物

安積あづみ那由他なゆた  山﨑賢人
富永うみ    岸井ゆきの
興津おきつ晃彦あきひこ   オダギリジョー

菅生すごう隼人はやと   松下洸平
緒方公哉こうや   柳俊太郎
森田さとし    岡部大(ハナコ)

富永繁雄   風間杜夫
各務かがみ英次   塚地武雅(ドランクドラゴン)
八重樫謙吾  でんでん
小山田賢雄けんゆう  皆川猿時

第1話のストーリー

ゲームの歴史

1978年インベーダーゲームが大ブームとなり、世界中が熱狂しました。

そして、1983年任天堂がファミリーコンピューターを発売します。

続いて、1994年ソニーがプレイステーションを発売しました。

それから時は流れ、ゲーム人口は世界で30億人を越えています。

そのゲームの開発は、大企業から個人技術者まで、いろいろな形で携わっています。

2015年

安積那由他は、仲間と一緒にゲーム作りをしていました。

DOWN WELL

それが、ついに完成しました。大喜びの那由他。

隣の人から怒られる程の大騒ぎです。

夢は世界的ゲームクリエイターです。

那由他の今

2022年、那由他はネットカフェの奥に住んでいました。

電話を受けると、バイクに乗って出勤するのでした。

出勤したのは、車の整備工場。今、那由他はゲームとは無関係の仕事をしているのでした。

融資課

やよい銀行では、融資課・富永海が接客していました。

そこに、アトム玩具の社長で父親の富永繁雄がやってきました。資金繰りの苦しい会社に追加融資の申し込みです。

しかし、持ってきた再建の計画書は杜撰なものでした。

「アトム玩具は子供だましのおもちゃは作りません。自分たちがワクワクするものを作ることです」

父親の夢はわかりますが、現実に即していないものでした。

「お言葉ですが、社長。どれだけの人がアトム玩具を知ってると思いますか?残念ながら知ってるのはマニアとオタクだけです」

そんな現実を突きつけられた繁雄は、海に「どうして娘に海と付けたと思う?」と問いかけます。大冒険して欲しいという思いからつけたのですが、再建案は冒険ではなくギャンブルだと海に言われてしまいます。

だからと言って、愛着がない訳ではありません。時代にあっていないと思っているのでした。

アトム玩具

海は、久しぶりに実家に帰りました。実家は相変わらずですが、郵便受けに入りきらない郵便物やチラシが、だらしなく下に落ちていました。

そして、実家の近くにアトム玩具があります。

「姫、姫じゃないですか!」

海を子供の頃から知る各務は、もろ手を上げて受け入れます。

「やよい銀行神田支店融資課からきました富永です。本日は御社の財務状況など詳しく調べさせていただきたくやってきました」

仕事としてやってきた海ですが、各務の声を聞きつけた八重樫も、構わず子供扱いするのでした。

社長室までの道のりには、売れ残って返品されたカプセルトイが山積みされていました。

そこに繁雄が現れます。何しに来たかと問われた海は、仕事できことを伝えました。

「融資する価値がアトムにあるか調べにきたんです。私はおもちゃが好きではありません。というか、おもちゃ屋という家業が嫌いです」

海は、繫雄にそう言うのでした。

ゲームショウ

繁雄は、海に黙って車に乗り込みます。後を追ってきた海は、一緒に車に乗り込みました。

着いたのは、幕張メッセで行われているゲームショウでした。繫雄は、カプセルトイの納品に来たのでした。

そのカプセルトイを海に任せると、繫雄は挨拶まわりに行ってしまいました。

海が納品を終えると、カプセルトイコーナーを見て回ります。

そこには、那由他がいました。アトム玩具のガチャをやろうとして、願をかけていました。あまりにも時間をかける那由他に海は声をかけます。

「せっかく願かけてたのに雑念入った」

そう言いながら回したガチャは、狙ったものではありませんでした。あと10回程度で、最後だと言う海に「ガチャは出会いだ」と那由他は言うのでした。

そこに、繁雄が倒れたと連絡が入りました。

eスポーツ大会

「やっぱここにいた。手伝え」

ネットカフェの店長・森田が那由他に声をかけました。しかし、那由他は自分のノルマはこなしています。

「行くあてのなかったお前を拾ってやって、店に間借りして住まわせてやって恩人だよね」

恩着せがましい奴は嫌われるよと言う那由他。

その時、観客の流れが変わりました。

「決勝戦、始まったようだな。行ってみようぜ」

森田にそう言われて行った会場は、人気ゲーム「スマッシュスライド」のeスポーツ大会の会場でした。

すでに試合は終わっていて、優勝者が決まっていました。優勝者へ表彰するために現れたのが、世界的ゲーム会社SAGASの社長・興津でした。

興津との関係

SAGASの社長・興津は、優勝賞金のを手渡すと、その場で新しいゲームの発表を行いました。

「スマッシュスライドの最新作、スマッシュライド4をリリースします」

そして、その場でダウンロードが開始され、あっと言う間に100万ダウンロードされていました。

「どうよ、感想は?」

森田は那由他に聞きます。

「安心した。金で釣るだけのペラペラのゲームで。こんなこと続けてたら、そのうちSAGASから離れる。あれは、俺のゲームだ」

興津との因縁があるようです。

新作の評価

「評価はどうだった?」

ある日、興津は部下に新作ゲームの評価を聞きました。

「ダウンロード数も課金額も1位でした。ただし、評価は2.5です」

しかし、興津は気にしていませんでした。SAGASの本業はインターネット検索サービスです。ゲームはSAGASの検索サービスに呼び込むための餌に過ぎないというのが持論のようです。

「評価が4.5の10万ダウンロードと、2.5の50万ダウンロードでは比較のしようがない。こんなチープなゲームがトップにいるなんてやばいよね」

その評価が4.5のゲームは、那由他たちが作った「DOWN WELL」でした。

墓参り

那由他は、墓参りにきていました。墓石には「緒方家の墓」と刻まれていました。

そして、緒方の家に行くところですれ違ったのは、菅生でした。那由他も菅生も声をかけず、那由他は握りこぶしを作っていました。

「毎年、顔を見せにきてくれてありがとう。もう、ゲームは作らないの?公哉、きっと楽しみにしてると思う」

友人の緒方公哉の実家で、公哉の母にそう言われてしまいました。

「もう、決めたんで」

那由他は、簡単にそう答えました。

「ねえ、何度も言ってることだけど、責任を感じる必要なんてないのよ。次に来る時は隼人くんと二人で」

そう言われ、那由他は何も答えませんでした。

後を継いで欲しい

脳梗塞で倒れた繁雄が、病棟へ移ることができました。

「今後は車いすでの生活になる可能性も覚悟して下さい。一部マヒが残る可能性があります」

医者からは、そう言われてしまいました。

「跡を継いでくれないか?海。お前に後を託したいんだ」

繁雄は海にそう言いますが、海には海の仕事があります。すぐに継ぐとは答えられません。

「娘のお前に継いでもらいたい。今のおもちゃは人気漫画やアニメのキャラばかり。99人がいらなくても、欲しくて欲しくてたまらない1人に届けたい」

そういう繁雄の気持ちもわかりますが、海はもっと現実的です。

海の思い出

幼い頃、海が絵を描いていると、繁雄がその絵を褒めてくれました。そして、その絵のキャラクターを、会社のマスコットにすることにしました。

マスコットキャラクターの名前は「ネッキー」です。

那由他がガチャで欲しがっていたのは、限定のネッキーでした。

しかし、いい思い出ばかりではありません。会社のために家庭を顧みなかった繫雄。海の母親は、家のお金を会社の支払いに回すような繁雄に愛想をつかし、出て行ったのでした。

興津と小山田

SAGASにやよい銀行の支店長・小山田がきていました。SAGASのメインバンクは、やよい銀行です。

対応する興津は、新しいゲームの話しを小山田にしていました。それは、現実のものをバーチャル空間に読み込み、ゲーム内のアイテムにするというものでした。

しかし、簡単ではないようです。

「その知識と経験を特許として持ってる会社がある」

その会社はアトム玩具です。興津は、小山田に相談するのでした。

技術を残すか会社を残すか

小山田は、海を呼んで、SAGASから相談のあった話しをしました。

「君の実家、アトム玩具の技術を欲しがっている。アトムロイドに代表される特許が必要らしくてね。50年蓄積したその技術をデジタルで取り込み、新しいゲームを開発したいそうなんだ」

海は、いい話だと思いながら聞きます。

「このままアトムが潰れることになったら、日本の損失だとまで言ってくれていた。会社を売ってくれたら、全社員をサガスで雇用すると言っていた」

父親・繁雄が倒れた今、願ってもない話が舞い込みました。しかし、一人で決めることができません。アトム玩具に行くと、社員の各務、八重樫に話しをします。

「その場合、アトムの屋号は残るんですか?」

八重樫にそう聞かれて、首を横に振る海。

「大事なのは、技術を伝えて残すことです」

海がそう言っても、各務も八重樫も、賛成することはありませんでした。

再会

那由他はネットカフェの個室でプラモデルの組み立てをしていました。自分の部屋の無音の空間ではなく、適度なノイズのある所で作るのが好きなのでした。

しかし、今日は違います。隣の個室から大きな独り言が聞こえてきました。

「あの、すみません。ちょっと静かにしてもらえますか?」

そう声を掛けた那由他。振り向いた相手は、海でした。お互いが覚えていましたが、偶然の再会に驚きます。

アトム玩具の評価

那由他は海がうるさすぎて、プラモデル作りに集中できないと言います。しかし、海は大げさだと言って、取り合いません。

「作り手の思いが、この小さいパーツ一つ一つに込められている。富永さんのデザインは細かくて大変なんだけど、その分愛を感じるんだよね?富永繁雄さん。造形師で社長をやっていて、アトムの魂みたいな人」

海は突然父の名前を出されて驚きました。しかし、悟られないように続きを促します。

「富永さん曰く、おもちゃ作りは仕事じゃなく遊びなんだって。遊びは24時間365日、楽しいだけだから、ずっと拘って作れる。って何かのインタビューで」

しかし、それが原因で家族はバラバラになってしまいました。

「24時間365日、おもちゃのことだけ?そばにいたら迷惑だね」

海は家族のこととは言わずにそう言います。那由他は、海よりもアトムに愛情をもっていました。

「そんな人に作ってもらえるおもちゃって、幸せだね。アトムは他所じゃ作らない、自分たちが作らなければ絶対世の中に出ないような物を形にしてて、それが凄いんだよね。作り手に熱がこっちも感じてワクワクするというか、アトムのおもちゃに元気もらったり励まされてる人、いっぱいいると思うな」

那由他のアトムへの評価は、かなり高いのでした。

火事

海は、那由他に言われたことを考えながら、実家に帰りました。自分が使っていた、部屋に行きます。

押し入れの奥に閉まった箱の中から、おもちゃを取り出しました。それは、父・繫雄が作ってくれて大事にしていたネッキーです。しかし、母が出て行った後、怒りに任せて、投げつけたものでした。

そこに八重樫がやってきました。いつもは使われていない部屋に電気がついていたので、見に来たのです。

「それ、まだお持ちでしたか。よく覚えていますよ。子供の頃は、どこにいくにも一緒でした。それほど大好きだったのに、その気持ちどこに行ってしまったんでしょうか?アトム、本当に売ってしまっていんでしょうか?」

八重樫が諭すように海に話している時、八重樫の電話が鳴ります。アトム玩具の工場が家事になったのです。

またゲーム作りたいと思わない?

「隣にいた人、ゲーム楽しそうにやってたな。あんなの見たら、またゲーム作りたいと思わない?」

森田は、海が楽しそうにゲームをしていたことを那由他に話します。そして、那由他にまたゲームを作る気持ちが芽生えてないかと聞くのでした。

「ゲームとはさよならしたんで」

那由他はそう答えました。

「お前のゲームに力もらっている人、たくさんいると思う」

しかし、那由他の気持ちは、変わりませんでした。

翌日、歯を磨く那由他がネットニュースをチャックすると、アトム玩具の火事のことが載っていました。

アトムを成長させたい

会社の焼け跡にやってくる、繁雄と海。そこにやって来たのは那由他でした。那由他は、二人を遠くから見ています。

「本当は、社員も技術も別の形で残そうと思ってたんだけど、こうなった以上それもできない。でも、うちには特許がある。それを売って、会社畳もう。わかって、お父さん。こんな終わり方、私だって悔しいよ」

海が繁雄にそう言いますが、繁雄は受け入れることができません。

「俺はアトムを成長させたい」

そういう繁雄に海は「この状況見てよ」と言います。成長どころか、再建すら危うい状況です。

「まったく酷い。すっかり焼け落ちた。だからって何だっていうんだ。俺たちだって、ここから始めればいんだ」

アトムを継ぐ

そういうと、車いすから落ちながら何かを探す繁雄。

「会社焼けても、おもちゃが好きで好きでたまらないって気持ちが残ってりゃ、それで十分じゃねえか。おもちゃなんて無くったって、誰も困らない。でも、あれば、ワクワクするし笑顔になる。俺たちはそういうものに人生かけてきたんだからよ」

繁雄のおもちゃに対する熱い思いに胸を撃たれる海でした。

「お父さんって本当バカだよね。お母さんが愛想つかせて出ていくわけだ。だけど、バカもここまでくると、いっそ清々しいって感じ。家庭壊して続けた会社なのに火事ぐらいで諦められたら、逆にふざけんなだよ」

繁雄は探していたものを見つけました。それは、アトム玩具の看板です。

「焼け跡からの再出発なんて、大冒険でいいじゃん。私、アトムを継ぎます」

海は、そう宣言するのでした。

支店長・小山田

那由他は、ゲームを作った部屋に行きます。あの「DOWN WELL」を作った、壁の薄いボロアパートです。しかし、入ることはせず、扉を閉めてしまいました。

その頃、海は会社を辞めることをやよい銀行に伝えました。

「本当にうちを辞めるのか?会社を続けるなら、資金が必要だろう。当てはあるのか?」

支店長・小山田からは、そう言って引き留められます。海は、銀行からは資金を借りれないことは、自分が良くわかっています。そのため、行政の融資を受けようと考えていました。

「行政の?そんなんじゃ足りないだろう?私が支店長権限で支援しよう」

協力してくれることに感謝する海ですが、海が出て行ったあと、支店長はニヤっと笑うのでした。

インディー開発者

海は、父や従業員の前で宣言します。

「ゲームを作る。私たちにはあのサガスが欲しがる技術がある」

しかし、残った社員は、父親を含めても3人。海を入れて、4人です。

今は、パソコンさえあれば作れる時代ではあります。資金も何もありませんが、個人で作りたいものを作る「インディー開発者」がいるような時代です。

「今や、ネットに上げれば、世界中の人たちがダウンロードして遊べる。大量生産も大量の在庫を抱える必要もない。50年間ワクワクを追及してきたうちなら、そのノウハウを使って、大手に負けないおもしろいゲームが作れるんじゃないですか?」

そう希望をもつものの、パソコンを使える人がいないのが現状でした。

ジョン・ドゥ

海は、やよい銀行の先輩・井出の、ゲーム会社の伝手を頼ろうとして呼び出しました。

「はっきり言うけど、有名なクリエイターは大手の会社で囲われている。報酬もえげつない額。アトムで払えるのか?」

そんな報酬を支払えるお金は、アトムにはありません。しかしその時、井出がある人物を思い出しました。

「あ、ジョン・ドゥは?」

海も、ジョン・ドゥについては調べていました。しかし、SNSではDMも連絡先も公開していません。

「ジョン・ドゥだからな。ジョン・ドゥは英語で”名無しの権平”。その名の通り、だれもその正体を知らない。あだ名はゲーム業界のバンクシー。ゲームは1作。探してみないか?」

井出はそう言うと、「DOWN WELL」のバグを探すように海に提案します。

ソフトウェアには必ず、バグと呼ばれるプログラム上のエラーがあります。大手ゲーム会社は、そのバグを取り除くのに、守秘義務を徹底させた専用の社員を雇っています。しかし、資金のないインディー開発者にはそんな資金はありません。そこで、テスト版をネットに公開して、世界中のプレイヤに遊んでもらい、エラーがあったら報告してもらうということをしているのでした。

「つまり、バグを見つけることさせできれば、その報告のためにネット上でコンタクトを取れる」

それを聞いた海は、実家を仕事場に改造して、アトム玩具を再開するのでした。

バグ探し

那由他がネットカフェに戻ってくると、海がきていることを森田が教えてくれました。

「遊んでる場合?火事になったんでしょ?実家アトムだよね?そんな時に呑気にゲームなんてしてるなよ」

実家がアトム玩具だということを知っていることに海は驚きます。しかし、那由他は「ファンっていうものは、そういうもの」と言って、焼け跡を見に行ったことは言いませんでした。

海は、バグを見つけて、ジョン・ドゥと連絡を取るためにネットカフェに来ていました。

「ゲームを一緒に作って欲しいって、お願いしたいです。ゲーム業界のバンクシーが6年ぶりの新作を出すとなったら話題になる。意地でもバグを見つける」

ゲームは好きじゃない

そう意気込む海に那由他が現実を突きつけます。

「あのさ、バグを見つけるってどんだけ大変な作業かわかってる?トライアスロン往復した後にケーキの食べ放題食うくらい吐き気のすぐことだから。例えば、同じドアを何千回、何万回と開けてみたり。あらゆるアイテムの組み合わせを何百万通りって試してみたり。このゲームをリリースしたのは6年前。あらゆるバグが出尽くしている。いまさらバグを見つけるなんて、めちゃくちゃ広い原っぱで1本の針を見つけるような・・・」

せっかくの那由他の説明ですが、そんなことは海にだってわかっています。海はそれでも、バグを見つけることが必要だったのです。

「だから、なに?崖っぷち女は、へこたれてないの?それより手伝ってよ。うちが潰れたら、二度とうちのおもちゃで遊べないからね」

那由他に協力を求めますが、那由他は「ゲームは好きじゃない」と言って断りました。

期待してしまう

那由他は思い出していました。

興津にゲームを奪われこと。友達が死んだこと。

そんなゲームを拒否する那由他に、森田は言うのでした。

「なんで言わなかったんだよ。俺がジョン・ドゥだって。あそこまでの覚悟を見て、何も思わないのか?
公哉が死んだのはお前のせいじゃない。ゲームを作る資格がないなんて思う必要はない。未練があるから取って置いてあるんだろう、その鍵。あの部屋の鍵だろ?本気でもうゲームを作る気がないなら棄てちまえよ。いつまでも持ってられたら、こっちも期待しちまうんだよ」

そう言われた那由他は、またあの部屋にやってきました。今度は、中に入いります。長年使われていなかった部屋は埃だらけです。プレイステーション・ワンが置いてありました。

そして、金庫の中にはアイディアノートがありました。ゲームのアイディアを書いた物です。

天才

那由他はネットカフェに戻ると、寝ている海を起こします。

「おい、起きろ。言っただろ、トライアスロン往復した後にケーキの食べ放題食べるようなもんだって。起きろ、話しがある。つーか、死んじゃうぞ」

しかし、海は起きません。ただ、「生きてる」とだけ言って、眠りに落ちてしまいました。

そして、海がやっていた「DOWN WELL」を久々にやってみます。その腕は衰えていませんでした。

ネットカフェの店員が森田を呼びに行きました。

「なにもの?」

店員が森田にそう聞くと、森田は一言だけ呟きます。

「天才」

那由他は、バグがあるとすればラストステージだと言って、そこまで進めてくれていました。そして、森田に「あとは自分でやれって」と海に伝えるように言って去っていきました。

本当に見つけやがった

那由他は、ゲームの部屋を掃除しています。

楽しそうにパソコンを組み立てたり、掃除機をかけたりして、バグの報告を待っていました。

その時、海はネットカフェでラストステージを繰り返していました。

そして、ついにバグを見つけることができました。

那由他は、その時修理工場で仕事をしていました。通知がきて、本当にバグを見つけたことに驚き、頭をぶつけてしまいます。

来客

バグの報告をしてから、海はアトムに戻って連絡を待っています。

「ピンポーン」

来客を知らせるインターフォンが鳴って、やってきたのはSAGASの社長・興津でした。

興津は、火事のお見舞いにかこつけた敵情視察に来たのです。少人数でこじんまりとしたアトムを見て、それだけの人数でおもちゃを作られるんですかと聞きました。

「業態を変えたいと思って」

海はそう答え、ゲームを作ることを話します。しかし、興津はその業態の変更に否定的な意見を言うのでした。

「せっかく世界に通用する技術を持ちながら活かせないのであれば、宝の持ち腐れじゃないですか?今すぐ、うちのこの技術を譲っていただきたい。SAGASのユーザーを通して、世界中にアトムの技術の素晴らしさを知らしめることができます。あなた方の技術を日本の宝だと思っているから、申し上げているんです」

中途半端

そして、アトムにもメリットがあることを説明します。

「今や、ゲームは宇宙開発と同じテクノロジーで作られています。アトムにそれがありますか?中途半端なゲームに消費するよりも、世界の頂点に立てるゲームに使われる方が世のためではないですか?SAGASは確実な成功をあなた方にお約束します」

それは、そうなのかもしれません。しかし、海はまだ作ってもないゲームのことを中途半端だと決めつけられたことに憤慨します。

「アトムが培った技術はアトムが一番使えると信じています」

そう反論しますが、興津も引き下がりません。

「なるほど。お金は言い値で結構です。いくらでもお支払します。アトムさんの現状を考えると、それが最善ではないですか?」

ジョン・ドゥ登場

「相変わらずだな。6年前と同じ」

そう言って現れたのは、那由他でした。しかし、興津は覚えていませんでした。

「覚えていませんか?俺は忘れたことないです。ジョン・ドゥと言えばわかりますか?」

その名前を聞いて、興津は思い出しました。那由他は、続けます。

「あんたはゲームのことを何にもわかってねえよ。だからSAGASのゲームはダメなんだよ。テクノロジーとか、ハイスペックとか、どんだけ金をかけたとか、そんなものはゲーム本来のおもしろさとは関係ない。ゲームの面白さは、アイディア。あんたらの金満ゲーム、アイディアが勝つところを、俺が見せてやる」

そう言われても興津は慌てたりしません。

「なるほど。アトムのゲームはジョン・ドゥさんが作るんですか?それは楽しみです」

そういうと、帰っていきました。

ゲームを作らせてくれ

興津が帰ると、那由他は改めて挨拶します。

「さっき、バグの報告受け取った。俺にアトムのゲームを作らせてくれ」

それに対して、海は「日本人じゃん」と言うのでした。名前が横文字だったので、てっきり外国人かと思っていたのでした。

それには、那由他も「そこ?」と困惑します。

とにかく、海はやっと見つけたジョン・ドゥと一緒にゲームを作ることに決めました。

そして、那由他がアトムで気になったものがありました。

「それより、これ初めて見たんだけど」

それは、マニアの那由他でもしらないネッキーの絵でした。

「それ、姫が書いた絵を社長がデザインしたネッキーです」

そして、八重樫は海を「ネッキーの生みの親です」と紹介しました。

デモ画面

「で、どんなゲームを使ったらいいでしょうか?」

そう聞かれた那由他が答えます。

「こんだけキャラクターがいるんだから、そのまま使ったらいい」

そういうと、那由他が作ったデモ画面を見せるのでした。ただ、まだ中身はありません。ゲームの内容も含め、これから作るのです。

共同名義

社長・繁雄は、退院することができました。

その頃、森田はネットカフェでニコニコと仕事をしていました。

店員に「店長嬉しそう」と言われ、答えます。

「ずっと待ってたから。あいつが復活するの」

しかし、那由他がゲームから離れた理由を店員は知りませんでした。

「興津のせいです。興津のせいで、ジョン・ドゥはバラバラになったんです。実は、ジョン・ドゥは2人の共同名義なんです。那由他と、もう一人。菅生隼人ってやつ」

もう一人のジョン・ドゥ

菅生の姿は、SAGASにありました。

興津に呼ばれたようです。

「次のプロジェクトはぜひ任せたい。6年ぶりとなるジョン・ドゥの新作」

そう言うと、菅生と興津はしっかりと握手をしていました。

那由他と再会して、那由他を潰すために、もう一人のジョン・ドゥを招聘したのでした。

考察

火事の原因

物語の展開として、アトム玩具が家事になったことで、ゲーム開発への舵を切ることになりました。

しかし、この火事は、どうして起きたのでしょうか?

SAGASはアトム玩具の特許を欲しがっていました。そこで、アトム玩具を続けられないようにすれば、特許を売るしかないと思ったのではないでしょうか?

実行犯は誰かはわかりませんが、黒幕は興津だったのではないかと思っています。

しかし、特許は手に入りませんでした。

特許

SAGASが欲しがる特許は、結局、融資の担保にされてしまうのだと思います。

そして、資金繰りが苦しくなったアトム玩具は、特許を手放すのではないでしょうか?

あるいは、他社に特許の使用許可を出すことで、収益を得て開発する可能性もあります。

これは、陸王からの推測です。

菅生隼人

興津が新たなプロジェクトを菅生に任せました。那由他の作るゲームに対抗するためです。

それはきっと、上手くのでしょう。しかし、ゲームができた後、菅生は興津から離れてしまうのではないでしょうか?

そして、バグが出て、SAGASは収拾がつかない状況に陥るのではないでしょうか?

SAGASはから離れた菅生は那由他と組み、新たなゲームを作ることになると考えます。

そして、そのゲームが大ヒット。アトム玩具は再建される、そういう流れなのかと考察します。

最後に

オダギリジョーの悪役は、「大豆田とわ子と3人の元夫」以来でしょうか?カムカムでのトランぺッターであり、いいお父ちゃんも良かったですが、知的な悪役もよく似合います。

そして、山崎賢人を見ると、「陸王」かと思ってしまいます。地上波ドラマで見るのは「ドドメの接吻」以来でしょうか。

そう言えば、陸王では、零細企業の足袋屋がマラソン用のシューズを作る話しでした。特許の関連も含めて、なんか似てる気が・・・。

どらぐらいの規模なのか、どういうゲームなのかにもよりますが、そう簡単に人気ゲームが作れるとは思いません。企画力はともかく、SAGASが経済的にも人員的にも上であり、それを覆すゲームというのは、どういうものなのでしょうか?

次回予告

期待して見たいと思います。

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