敗訴. 確実の状況をどう打開するのか?
争うのは「知る権利」「知られない権利」です。そして、相手はライバル・丹澤です。
そんな第8話のネタバレです。
主な登場人物
石田硝子 有村架純
羽根岡佳男 中村倫也
潮綿郎 さだまさし
大庭蒼生 赤楚衛二
羽根岡優乃 MEGUMI
香山信彦 梶原善
第8話のストーリー
友達だから
石子の父・潮に依頼が入りました。しかし、潮が不在だったため、石子が潮に電話を入れます。
「香山さんがぜひお父さんに依頼したいと」
その時、潮は外国人相手に相続の相談にのっていました。
「急ぎならさ、羽男くんに頼んでもらってもいいかな?今、僕さ、相続の相談乗ってあげてるの」
それを聞いた石子は、その相談もきっちりお金をいただくように潮に釘を刺します。しかし、潮は「友達だから」で請け負おうとします。そして、自分が担当できない香山の分も「ごめんなさい価格」で受けるように石子に言うのでした。
「そういう訳にはいきません」
潮は電波が悪いということにして電話を切りました。
隠れ家
潮の友人・香山を事務所に招いて、石子と羽男で相談内容を聞きます。そして、費用については、正規の値段をいただくことを香山に話します。
「あーもちのロン、正規の値段でいいよ。
うちも客商売だしさ、売上大事なのもわかるし。それに、彼にやってもらうのも嬉しいよ。凄腕の弁護士だって?綿郎さんから聞いてるし」
そう言われて嬉しそうな羽男。お値段を下げるように石子に言いますが、あっさり却下されてしまいます。
そして、依頼内容を聞くと、ちょっと変わった依頼でした。
「それがさー。うちの店、グルメサイトに載ったんだよ」
羽男が誹謗中傷を受けたのかと聞くと、香山は「いや、褒めてんだよ」と言うのです。
代わりに石子が説明します。
「香山さんのお店は、情報を全く出さない、隠れ家が売りなんです」
因縁の相手
香山から聞いた内容を石子が復唱します。
「7日前、香山さんがご自身の創作料理屋インサイドで調理をしていると、見知らぬ客がどやどや入ってきた。聞けば、グルメサイト、ウマレポのレビューを見たという。
レビューを投稿したのは、ハンドルネーム「おかわり名人」なる人気レビュアーであった。あわてて、美味レポを運営ドットエムに削除申請をしたが、できないと突っぱねられた。このままでは、隠れ家を謳う店のスタンスが守られないので、ドットエムを訴えたい」
聞いて確認した香山は、間違いないと同意します。
「この15年間、頑なに取材断ってきたのにこんなことになっちゃって」
羽男が今まで1度も取材を受けたことがないか確認します。
「ないないない、そこは死守してきたから」
そして、訴えるのはレビューを書いた「おかわり名人」ではなく、グルメサイトでいいのかと確認します。
「そっちもむかつくけど、削除頼んだのにやらなかった会社に腹が立ってるんだよ。損害賠償も要求したいし」
そして、削除依頼した時に担当した弁護士を聞くと、驚く相手でした。
羽男の因縁の相手です。
丹澤弁護士
石子と羽男は、丹澤に会いに行き、香山の主張を伝えました。
「インサイドは徹底して、紹介制というスタイルを維持し、店の秘密保持に務めてきました。しかし、今回の投稿で、築き上げた独自の価値が損なわれてしまったのです。これは営業権の侵害に該当します。即刻店舗情報を削除していただくと共に損害賠償・・・」
話しの途中で丹澤に遮られてしまいました。
「いいですか?羽根岡先生。ウマレポ投稿者には表現の自由があり、閲覧するユーザーにも知る権利があります。したがって、記事の削除には応じられないというのがこちらの意見であり、営業権の侵害には該当しないと考えます」
お互いの意見は平行線です。
「依頼人は、裁判も辞さない考えですが?」
しかし、丹澤も受けて立つつもりです。
「どうぞ、どうぞ、やりあいましょう」
そう言われた羽男は、ニヤリとするのでした。
常連客の証言
丹澤に会った後、石子と羽男はインサイドで常連客に話しを聞きました。
「みんな、常連の紹介か、マスターの知り合いだから、安心っていうのはあると思うね」
「そうそう、それに、マスターがその日の体調に合わせて、料理を即興で作ってくれるのが魅力なんだよね。常連相手だからできるというのはあると思う」
それは香山がこだわっている点でした。その日、その人に一番ベストなものを提供したいというのが香山のモットーなのでした。
「本当にいい店なんだよ。結婚記念日なんか、半額にしてくれるし」
「サービスいいよね」
常連客は口々にお店の良いところを教えてくれます。
「つまり、知らない人が来ない隠れ家でないと、この店の魅力は失われてしまうと?」
羽男が問いかけると、常連客達はみんな「はい」と答えます。
息子夫婦とアルバイト
常連客に話しを聞いて、証言の方向性は固まりました。そんな時、羽男が店内に飾られている写真を見つけます。
「あの写真は、常連の方々ですか?」
インサイド10周年記念の時の写真でした。映っているのは常連と、香山の亡くなった妻・あきえ。それ以外に息子・洋と、嫁・蘭が映っていました。
「息子さんたち証言してもらえないですかね?」
羽男がそう聞くと、息子は海外勤務だから無理だと常連客が教えてくれました。そして、もう1人、常連客と家族以外に映っている人がいました。
「あ、証言必要なら、さつきちゃんは?」
インサイドでずっとバイトしていた女性です。
「さつきちゃんなら適任だよ。この店のこと愛してくれてるし、いい仕入れ先調べて教えてくれるんだから、頼んでみてくれる?」
香山もそう言って賛同しました。石子と羽男は、さつきに連絡を取ることにしました。
ノマドワーカー
石子と羽男は、さつきが指定したカフェにやってきました。
「ここで仕事をなさってるらしいので、いつでも声かけてと」
羽男はカフェで働いていると勘違いします。
「ノマドワーカーらしく」
石子が説明すると、羽男は聞き逃したのか、何と言ったのか確認します。
「何て言った?ドナドナカー?デマドメーカー?ソバカレンダー?エビロブスター?」
そんなボケもスルーする石子。羽男は、ノマドワーカー(通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人)を知っていて聞いていたのでした。
おかわり名人
さつきを見つけると、石子と羽男は話しかけます。
「インサイドにはどれぐらいいらしたんですか?」
さつきは、10年ほどアルバイトをしていました。そして、アルバイトをしたきっかけは、香山の息子の妻・蘭の紹介だったのでした。さつきと蘭は、同じ大学の友人だったのでした。
「それで、実はですね。ウマレポにあの店の情報を投稿した人がいまして、こちらなんですけど、ご存じですかね?」
本題に入って羽男が聞くと、予想外の答えが返ってきました。
「ああ、これ投稿したの私です」
その答えに驚く石子と羽男。
「あなたがおかわり名人?え?インサイドはダメでしょ?隠れ家だってご存じですよね?」
そう羽男河聞くと、さつきはなんてことないように答えます。
「他の人が知らないお店を載せると、閲覧数伸びるんですよ。承認欲求ってやつです」
驚いた羽男は、さつきに状況を説明します。
「あなたがしたことは、業務妨害にあたる可能性があります。刑法第234条 威力業務妨害罪。こちら、削除していただけませんか?」
しかし、さつきは受け入れられません。
「ウマレポからしろって言われたら考えますけど、私はこのままでいいと思ってるんで」
さつきは店に恨みがある訳ではありません。そして、息子夫婦とも良好な関係です。
「蘭とはたまに会うし」
そう言うと、息子夫婦は海外赴任していないことを教えてくれました。
香山と息子夫婦
さつきがウマレポに投稿したことを香山に伝えると、驚いていました。
そして、息子夫婦が東京に住んでることを香山に聞きます。
「3年ほど前、洋と大げんかしたんですよ。この店にもう二度と来るなって。それを常連さんに言うのもなんだから、海外に行ったことに」
香山は疎遠になった理由を話してくれました。そして、それから一度も会っていないのでした。
「私、なんとかお会いできないですかね?幼いころからあなたを見てきた方です。裁判でこの店と香山さんのことを話してもらえれば、裁判官の心象も・・・」
しかし、香山の反応は微妙なものでした。
洋の気持ち
石子と羽男は、香山の息子と連絡を取りました。そして、事務所で話しを聞きます。
「むしろ、良かったんじゃないですか?」
息子・洋はそう言って、インサイドが公になったことを受け入れていました。そして、香山と疎遠になっている理由を教えてくれました。
「親父、45歳で会社辞めて、あの店やり始めたんです。もともとお客の数も少ないし、サービスばっかりして、儲けなんかほとんどなくて。母ちゃんが働いて支えてました。俺はそれを見てたから、大学の奨学金も借りて、手堅いところに就職して」
そして、社会人になって、香山が採算度外視でやっていると感じたと言うのです。このやり方じゃ潰れると感じていました。しかし、それでも、香山には言いませんでした。
ケンカの理由
3年前、香山の妻、洋の母が亡くなりました。その時に、香山に洋が言ったことがケンカの発端でした。
「あの店なんだけど、今のやり方でやっていけるの?ちゃんと経営考えなよ。いくらサービスしたからって、常連さんが親父の老後の面倒見てくれる訳じゃないんだし。常連さんに頼ってても、先細りする一方だろう」
しかし、香山は受け入れてくれませんでした。
「母ちゃんが犠牲になっても、まだわからないのかよ。親父のために寿命縮めたようなもんだろう」
洋は香山にそう言ってしまったのでした。
「お前、それ本気で言ってるのか?」
香山は洋にそう言うと、帰っていきました。それ以来、二人は会っていないのでいた。
それを聞いた羽男ですが、香山のために証言してくれるように洋に頼みます。
「いや、お店の情報がオープンになるのは賛成なんで」
そう言って、断られてしまいました。
ずぶ濡れの人
事務所に帰ってくると、石子は潮と話します。
「香山さん、あそこまで隠れ家にこだわる理由ってなんですかね?
採算度外視ではお店が傾いてしまうのも、香山さんわかっているはずです。なのに、なぜ洋さんのアドバイスに耳を傾けないのか」
潮は理由はわかりませんが、香山の気持ちはわかると言うのでした。
「まあ、香山ちゃんの気持ちもわかってあげようよ。お客さん第一にっていうのは、僕もよくわかるし」
そういう潮に石子は言います。
「誰かのためには、素晴らしい考えだと思います。誰かを助けるために他の誰かを苦しめていいんでしょうか?ずぶ濡れの人に傘を差し出すことで、他の誰かが濡れることになってもいいんですか?
お父さんが傘を差し出した後ろで、お母さんはずぶ濡れだったんですよ」
潮法律事務のモットーは「真面目に生きる人の暮らしを守る傘となろう」です。そうやって、潮も困っている人たちのためにやってきました。しかし、石子はそれが母親にとって負担だったのだと思っています。父親が人のためにしていた時、母親は父親の分まで苦労していたと思っているのでした。まるで、今回の香山と洋の関係のようです。
離婚の理由
潮に言うだけ言うと、事務所にやってきた石子。会談で座っています。そこに食事と飲み物を持ってくる羽男。
「ごめんなさい。気を遣わせてしまって。
あんなこと言いながら、自分もこの前ルール破ってますし。父を責める資格がないのもわかってるんです。けど、母を考えると」
そう言って、反省する石子でした。羽男は、石子の母のことを聞きます。
「穏やかで、自分より相手を優先するような」
そこまで聞くと、羽男は「それ、所長じゃん」と言うのでした。それを言われて、石子は笑うのでした。
「うふふ。確かに似てるかも。ずっとここで事務員として働いてたんです。父が採算度外視で引き受けてきても、母が外でも働いてなんとか支えて。でもまあ、その生活も限界で、離婚を。父の背中を見てきて、尊敬する気持ちはあるんです。ただ、いつまで経っても、母を苦しめたという気持ちも拭えず」
父親との距離感はそこから来ているかと聞く羽男。しかし、潮との距離感、言葉遣いが敬語なのは、石子自身もよくわかりませんでした。
「所長、ため口に戻りたがってたよ」
しかし、石子には、すぐには決めることができませんでした。
弁論準備手続き
弁論準備手続きは、裁判の迅速化のために、事前に裁判官と当事者間で、争点になっている事実と証拠を明らかにする手続きです。
「被告側は追加の証拠などありますか?」
裁判官にそう聞かれ、丹澤は話します。
「はい、証人をお呼びします。クサカベフミさんは鴨ヶ谷で、地域情報誌を発行している方でして。15年にインサイドの取材をし、記事を掲載しました」
しかし、羽男は取材を受けたことがないことは確認済みです。
「ご覧ください」
そう言って見せられたのは、取材受け、写真まで掲載された当時のタウン誌でした。
「このタウン誌も次回までにまとめて提出します。つまり、インサイドは過去に取材を受け、自ら情報発信した経緯があり、秘密保持を徹底してきたとは言い切れません。しかも、ウマレポに掲載されている情報は、これに掲載されている情報と大差ありません。すでに公開されている情報を改めて公開したところで、営業権の侵害には該当しないと当職は主張するつもりです」
それを聞いて、手が震える羽男でした。
まずい、まずい、ますい
事務所で事務仕事をする石子と潮の関係は、気まずい雰囲気が流れていました。潮は、石子に何か言おうとしますが、言えずに打ち合わせに行ってしまいました。
その時、羽男から石子に電話が入ります。
「まずいまずいまずい。香山さんどこにいるか探して。早く」
そして、香山の居場所を見つけ、石子と羽男は香山の元に向かいます。
「どういうことですか?過去に取材は一切ないって」
そう詰め寄る羽男に香山は平身低頭です。
「すっかり忘れてたんだよ。面目ない。うちの店がオープンしたばっかりの頃、常連の友達が趣味で作ってるからどうしてもって。10分ぐらいの雑談だったんだよ。それでデジカメでパチッと撮って終わりだったんだから」
それでも取材を受けたことに変わりはありません。そして、その取材の結果の客足を羽男は気にします。
「ぜんぜん。部数も少ないし、影響もなかったからすっかり忘れてたんだ。本当申し訳ない」
香山にそう言われますが、羽男のイライラは収まりません。
「過去に取材を受けた実績があるってのは、相当不利なんですよ」
香山は平身低頭のまま頼みます。
「そう言わずに頼むよ。昨日も香水むんむんの新規のお客さんが飲んで大騒ぎして、常連さんみんな帰っちゃったんだから。本当、雰囲気悪い悪いんだから。だからお願いします」
そう言うと香山は逃げるように車に乗り込んでしまいました。
ニヤリの正体
「もうだめだー丹澤のニヤリ顔思い出した」
事務所に戻ると、羽男のイライラは爆発してしまいます。石子に思いださないように言われても、羽男の頭に浮かんでくるのでした。羽男は丹澤の悪口を言って、気を紛らわせようとします。
「せっかく最近出てなかったのに」
手が震えてフリーズしてしまったことを羽男は思い出しました。そんな羽男の背中を叩く石子。
「なに弱気なこと言ってんだそこの弁護士!」
そして、羽男を元気づけることを言うのでした。
「今回の裁判、結構話題になっていて。同じように勝手に掲載されたお店とか、不当な低評価に悩んでるお店が、声を上げ始めているそうなんです。丹澤さん、ドットエムからプレッシャーをかけられているじゃないでしょうか?企業として、負けるわけにはいかないでしょうから、ね。腹が立ったニヤリ顔もプレッシャーの現れだとすれば、気持ち少しは戻りません?」
それを聞いた羽男は、気持ちを落ち着けて仕事をするのでした。
プレッシャー
ウマレポを運営するドットエムに呼ばれた丹澤。
「わが社に対し、この裁判を真似して投稿削除の依頼が殺到したんじゃたまったもんじゃない。確実に勝ってくれ」
丹澤はそうプレッシャーを掛けられますが、勝算はあります。
「負けるはずありませんよ。無能すぎてうちをクビになったやつに」
その返答を聞いても、ドットエム側は手をゆるめません。
「法律事務所はここだけじゃないからね」
最後に丹澤に釘を刺すのでした。
潮の健康志向
ウマレポ見てる羽男。お茶を出す石子。そこに蕎麦屋の塩崎がやってきました。
「今日注文してませんけど?」
石子がそう言うと、注文ではないと塩崎が言います。
「綿郎さんが新商品買ったから、君も試してみてって」
そう言って、潮の席に置いてあった段ボールを持ち上げます。どうやら、また健康グッズを買ったようです。石子がブーブー言うのを塩崎が止めます。
「まあそう言わんと、許してあげて。硝子ちゃんのためでもあるんだし。綿郎さんゆうてたよ。せっかくまた暮らせてるんだから、1日でも長く一緒に居たくて気をつけてるって。じゃあ、まいど」
潮の気持ちを知った石子でした。
絶句
塩崎が帰ろうとしているところに、大庭がやってきました。
「なんやーまだ諦めてないんかー」
大庭と石子が付き合っていることは知りません。塩崎も石子に好意を持っていますが、自分でないなら羽男ならと思っているのでした。しかし、大庭から想像を絶する言葉を聞かされます。
「いや、実は、お付き合いしてまして」
叫びだしそうな顔をして、何も言えず立ち去る塩崎。
「あれが絶句か」
そう言われていました。
すごく美味しいお店
大庭がやってきた理由を羽男は知っていました。
「気にせず行きないよ、デートなんだろう?」
そう言われた大庭は、羽男に背中を向け、石子と相談します。
「あの、よかったら羽男さんも誘っていいですか?何度もごちそうになってて、あと今日の店美味しいお店なんで」
そんな相談をしてから、羽男を誘いますが、全部聞こえていました。羽男は行かないよといいながら、大庭に「すごく美味しいお店」と言われ、結局ついていくことにしました。
御子神慶
大庭が連れて行ったのは、山形の郷土料理のお店でした。
「今日は奢らせてもらいます。臨時ボーナスももらったんで」
そう大庭は言うのでした。そして、大庭はいろいろかわいがってもらっていると言うのでした。
「この前もうちの社長に御子神さんとの食事会に連れて行ってもらったり」
それを聞いて、石子は驚きます。
「御子神さんって、あのエンジェル投資家の?」
御子神は、業種問わずに、創立間もない会社を中心に投資してる人です。オンラインサロンの会員1万人という有名人でした。石子は好きなドキュメンタリーで見たことがありました。
「でも凄いね、そんな凄い人紹介してもらえるなんてね。期待されてるんだね、大庭っちね」
そう言う羽男は、玉こんにゃくを箸で掴めませんでした。やっと食べると「美味い」と喜んでいました。
「よかったー。ウマレポ星4つで評価高いんです」
ウマレポを見ると、例の「おかわり名人」が星4つつけていました。
「山形出身の私も納得・・・」
それを見て、違和感を持つ羽男でした。
みなさん揃ってから
事務所に関係者を集めて話しをしようとしていました。さつきと香山は先にきて、話しを始めています。
「何か、恨みでもあるの?」
そう聞く香山に「そうじゃない」と答えるさつき。
「情報を出されたくないって知ってるよね?」
香山がそう問い詰めますが、まだ全員が集まった訳ではありません。
「あの、お話始めるの、少し待ってもらってもいいですか?みなさん揃ってからスタートしたいので」
羽男がそう言うと、香山の息子夫婦がやってきて、関係者が揃いました。
おかわり名人は2人いる
みんな揃ったところで、羽男が話し出します。
「では、単刀直入に申します。あなた、おかわり名人ではありませんね?」
そうさつきに問いかけます。しかし、さつきは自分だと言います。
「正確には、おかわり名人であり、おかわり名人ではない。こちらをご覧ください。おかわり名人のレビューをプリントしたものです。気付いたことがったのです。石子さん」
羽男は石子に説明を譲ります。
「記事によって、書き癖が違うんです。こちらは、美味しいを漢字で書いてあるのに、こちらはひらがなで書いてある。同じ記事の中で美味しいを統一して書いてあるのに、記事によって変わるんです。漢字の方は各記事はお味噌、お醤油など”お”を付けているのに対し、ひらながで書く記事は味噌、醤油という表現で統一されています。加えて、とある山形料理屋のレビューには山形出身と書かれていますが、さつきさん、山形出身じゃありませんよね?」
その結果、おかわり名人は2人いると結論付けたおでした。一人はさつき、もう一人はSNSで山形出身だと書いていた蘭でした。
インサイドへの思い
そして、蘭が説明します。
「おかわり名人って、お店めぐりが好きなさつきと私が共同で書いていたレビュアー名なんです。今回、インサイドのレビューは、私がさつきに頼んで投稿を」
香山はなぜそんなことをしたのかと問いかけます。
「私もインサイド大好きだし、洋も大切に思ってるでしょ?この人、お店のために農家さん探して、いい野菜がないか、いい仕入れ先がないか探して、支えようとしてたんです。その情報をさつきを介してお父さんに伝えて」
さつきから聞いていた仕入れ先は、洋が調べたものだったのです。
譲れないこと
蘭の話しの最後を石子が引き受けます。
「それで、情報が広がり、売り上げが増えれば、洋さんの言い分が正しかったと香山さんが認めてくれるんじゃないかと思ったんですか?」
認める蘭。さつきも香山の作る料理が美味しいと思っていて、みんなに知って欲しいという気持ちから手伝ったのでした。しかし、お店に来たけれど入れなかった人が、悪質なコメントを書いてるのをさつきは見つけてしまいました。
「思ったほど単純じゃなかったと気付いて。すみませんでした。投稿は削除してもらうようドットエムに依頼します」
さつきや蘭の話しを聞き、羽男は香山に提案します。
「どうですか?かやまさん、みんなインサイドを守りたかったんです。これを機会に訴えを取り下げてみては?」
しかし、香山は譲る気はありません。
「みんなの気持ちはよーくわかった。嬉しいよ。でも、すまない。隠れ家だけは譲れない」
それだけ言うと、香山は立ち去ってしまいました。
店舗情報の扱い
みんなを集めて、訴訟を取り下げようとしましたが、失敗に終わってしまいました。
「裁判を続くとなると何か手を・・・」
打開策がない石子と羽男ですが、おかわり名人が削除に応じたということで、また丹澤に会いに行くことにしました。
「訴訟継続中ではありますが、これ以上無益な争いを避けるために、あえて先に当事者間で話し合いをしたくやってまいりました。
実は、最初に投稿をおこなった”おかわり名人さん”とお会いすることができまして、本人が直接削除要請を出すことが決まりました。
ですので、おかわり名人さんによって掲載された店舗情報自体も、削除していただければ」
しかし、丹澤は譲れません。
「それは、お受けできません。これは、投稿された時点で、規約に基づきドットコム帰属する情報となり、個別の削除申請の対象になりませんので。では、後日法廷で」
どちらもマズイ
丹澤との話し合いは、不調に終わりました。
「まずいまずいまずい、どうする俺。考えろ考えろ考えろ」
しかし、落ち着いていられません。
「今回ばかりはダメかも知れない。どの判例を見ても、この流れを覆された例がないんだよ。もー」
そして、石子に「何かいい作戦ない?」と聞くのでした。
その頃、丹澤もマズイ状況です。ウマレポの騒動が広がっていたのです。
そして、ドットエムから弁護士に圧力がかけられていました。
「弁護士は絶対というのは避けるのですが、今回は絶対に勝ちますよ」
しかし、マズイなのは丹澤も変わりませんでした。
第2回口頭弁論期日
注目が集まっている法廷には、記者が多数来ていました。
「原告は既に、自ら店舗の情報を外部にオープンにしたことがあります。つまり、守るべき営業の利益を自ら放棄したのです。そのような矛盾をはらむ原告の主張は、法的な保護を享受するに値しません。以上から原告の請求は棄却されるべきだと強く主張をします。以上です」
丹澤は、最後の最後まで手をゆるめず、とどめを刺してきました。
「では、原告、被告、これで弁論を集結、判決と言うことでよろしいですね?」
裁判長がそう言うと、羽男が手を上げます。
「裁判長、原告の最終弁論は先ほど述べた通りです。ただ、最後にもう少しだけ追加をして弁論したいのですが、よろしいでしょうか?」
裁判長の許可を取り、羽男が話し出します。
打ち合わせ通り
「私は、知る権利があるように、知られない権利があるのではないかと考えています」
と切り出すことは、石子と練習した通りです。今回の裁判のために対策を取ってきていました。そして、羽男は続けます。
「大々的に知られたくないのは、おかしいことなのでしょうか?情報が広がらない方がいいと思う人がいるんです。情報が広がらないことで、守られている人もいます。原告が守りたいもの、それはお客様です」
羽男は、打ち合わせの通り、余裕を持って続けます。
「インサイドはわずか10坪の店です。それを一人で切り盛りしています。当然、対応できるお客様の数には限りがあります。なので、お客様が増えすぎないようにしたい。それが来てくださった方を守ることになるから。お客様の顔を見て言葉を交わし、その人にあった料理とお酒を作り、喜ばせたい。ひとりひとりに向き合いたい。それが、原告の流儀なんです。目の前にいるお客様を幸せにしたいと思うのは、いけないことなのでしょうか?今一度、皆様に考えていただければと思います」
羽男は練習の通りに話すことができました。
見事なしょんぼり
羽男の発言を聞き、丹澤も手を上げます。
「裁判長、被告からもひとこといいですか?
とても素敵な内容でした。でも、ここは裁判所です。すでに存在する法律にのっとり、その解釈適用を争う場所であり、今回のような情報自体の扱いを問題としたいのなら、立法作用すなわち法律を変える国会の仕事です。法律自体を変えたいのなら、政治家に訴えてみてはいかがでしょうか?」
その言葉に騒然とする場内。羽男の言葉で同情を買わせないと、丹澤も必死です。それを聞いた香山は、しょんぼりとしていました。
そして裁判後、丹澤は羽男達の元へ行きます。
「あんなに傍聴人がくるとは、どちらが勝つか知りたい人が多いんですね。では、判決でお会いしましょう」
丹澤がいなくなるのを待って、羽男は香山に話しかけます。
「良かったですよー香山さんのしょんぼり具合」
そう言われて香山は「そう?本当にこれで平気?」と打ち合わせ通りだったことがわかりました。
世間の評価
「ウマレポはドットエムが運営しているグルメサイトで、幅広い年代に利用されています」
ニュース番組で、そうやって今回の裁判が取り上げられていました。
そして、ネット上では、店側に同情の声が集まっています。
「知られない権利か、、響くわ、、」
「ネットに何でも書き込んだらあかん」
「ウマレポのユーザーの民度の低さよ」
「ひっとり続けたい店主がかわいそう」
「ウマレポなんかあてにするからあかんねん」
「お店の人可哀想だよね・・・」
それは、丹澤やドットエムも見ていました。
「裁判では、依然勝つ見込みが高いと思います」
そう言う丹澤に対して、ドットエムは言うのです。
「私たちのような企業は、ただ裁判に勝てばいいというわけじゃない。うちに苦情が殺到している」
そう言われて、丹澤は謝るしかありませんでした。
世論を味方
大庭が事務所にやってきて、石子と羽男を慰めます。
「見て下さい。原告に同情的なやつばっかりです。だから、裁判で負けても落ち込まないで下さい」
わざわざそれを言いに来てくれるのが、大庭なんです。そんな大庭に石子は説明しました。
「私たちの目的は依頼人の利益を守ることです。相手はいち企業であり、世間からの評判を気にするはず。なので、こちらが裁判に負けそうになることで、むしろ世論を味方に付けようと考えました」
その後を引き取って、羽男が話します。
「そこで、石子さんは記者に声をかけ、さつきさんという方にライター仲間を呼んでもらって、我々の戦う姿を世間に広めてもらった。つまり、今回の裁判は、負けるが勝ち」
しかし、最後の仕上げがまだ終わっていません。
「そろそろじゃないですか?」
そう言っていると、電話鳴りました。
勝ち
その電話は、丹澤からの電話でした。石子が出て、羽男に代わります。
「お電話変わりました羽根岡です。どうしました?」
用件は分かっていますが、かっこいい声を作って、冷静に電話に出ます。
「裁判所にはもう伝えたんですが、ドットエムは話し合いの結果、判決が出る前にインサイドの全情報をウマレポから削除することに決めました。ですので、そちらは慰謝料請求をなしにして、訴えを取り下げていただけませんか?」
これで勝負は決まりました。
「わかりました。依頼者の一番の願いは情報の削除であり、慰謝料については諦めてもいいと確認を取っておりますので、お受けいたします」
あくまでも冷静に羽男は話しています。
「ありがとうございます。では、失礼します」
電話を切ろうとしたところに羽男が問いかけます。
「丹澤先生、また法廷でお会いしましょう」
丹澤も負けてはいません。
「次はこうはいきませんよ」
それに対して「望むところ」まで言って、羽男は途中で電話切りました。
隠れ家への思い
決着はしましたが、羽男はまだ知りたいことがありました。羽男は潮に聞きます。
「あ、あの、教えていただけませんか?隠れ家にこだわっていた理由。
香山さんがどうしても知りたければ、綿郎さんに聞いてって」
そう言うと、潮は話してくれました。
「ああ、そう。いや実はね。あのお店の言いだしっぺ、香山ちゃんの奥さんなんだよ。商社マンとして毎日ロボットみたいに働きづめだった香山ちゃん見て、夢だったお店やったらって」
それが隠れ家をやり始めた理由でした。そして、隠れ家というのも香山の妻の提案だったのでした。
「お店が忙しくなりすぎちゃうと、またかやまちゃん無理するからって。つまり、香山ちゃんは、奥さんの思いを守るためにあのスタイルにこだわったんだね」
3人で
その頃、インサイドでも同じような話しをしていました。
洋と蘭がインサイドにやってきました。香山に話があると呼び出されたのです。そして、隠れ家の想いを洋と蘭に伝えたのでした。
「でよ、一日3組限定で、新規のお客さん予約受付しようと思って。お前が言った通り、常連の繋がりだけじゃ、先細りだしな。久しぶりに食っていけよ。新メニュー考えたんだ、味見していってくれよ、3人で」
蘭のお腹には赤ちゃんがいるのでした。
話し合える親子
潮は、最後に香山から聞いた話をしました。
「洋くんの意見も聞いて、少しだけやり方変えるって言ってたよ」
新規客の予約を取る話しです。それを聞いて、羽男は石子に聞こえるように言います。
「そうですか。それは良かったですね。まあ。元々、どっちが間違ってるという訳ではないですしね。お互いに少しずつ譲りあうのが大事かもしれないですよね」
自分が言われてると思った石子は。
「それ、私に言ってます?」
しかし、羽男は認めませんでした。
「別に。羨ましいですわ、話し合える親子。うちのは話しても無駄だから」
ため口
羽男が帰った後、無言になる石子と潮。
「あのね」
「おとうさん」
話しだでかぶってしまいました。潮が話し始めます。
「あの、今更なんだけど、お母さんや硝子ちゃんに苦労させてしまって、ごめんなさい」
素直に頭を下げる潮。
「今後僕が改められることがあったら、必ず一生懸命・・・」
そこまで言うと、石子は言葉を遮ります。
「いえ、弁護士としてのお父さんは、やっぱり私のあこがれです。お父さんはそのままでいて下さい。私も変わらず小言を言い続けますから」
石子の目には涙があふれていました。
「和菓子買って来たんだ、食べるか?」
場の雰囲気を和ませようと、潮が言います。
「お父さん、座ってて、私が出すよ」
石子は、やっと潮にため口で話せるようになりました。
衝撃の展開
羽男は気分よく自転車で帰っていました。そして、家に帰ると、扉の前に父親が立っていました。
「そろそろ、やりたいこともやり尽くしたでしょ?今の事務所は、佳男の相応しい場所じゃないよ。私が頼んで、別の場所の話しをつけてやる。来週の火曜日の午後、時間を作っておきなさい」
一方的に言う羽男の父親。話しを聞いてくれそうにはありません。
そして、同じ頃、大庭の家には警察がきていました。
「大庭碧さんですね?昨夜発生した放火事件の件で、ご同行願えますか?」
大庭は任意で連行され、逮捕されてしまうようです。
最後に
それにしても、世論を操作できて上手く行きましたが、この手は何度も使えないですよね。そして、勝ちばかり優先される世の中というのも考え物です。ドラマなので勝つのが前提なんでしょうけど。
とにかく石子と潮の関係が改善され、石子と大庭の関係がより進展した今回。
さらに、羽男の父が出てきて、大庭が警察に連れていかれました。
だいぶ不穏な空気が漂っていますが、次回どうなるのでしょう?
楽しみです。