ガセネタ エルピス(4) ネタバレ

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ガセネタ は、岸本が連絡を受け、受け取ったFAXです。

浅川のゲリラ放送の結果、事態は好転したように見えました。しかし、物事はそんなに単純ではありません。

斎藤と浅川の関係が深まっているようですが、目に見えない溝がある気がします。

そんな第4話のネタバレです。

エルピス公式HP

主な登場人物

浅川恵那  長澤まさみ アナウンサー
岸本拓朗  眞栄田郷敦 若手ディレクター
斎藤正一  鈴木亮平  政治部記者
????  永山瑛太  雑貨屋?

大山さくら 三浦透子  通称:チェリー、ヘアメイク
村井喬一  岡部たかし チーフプロデューサー
大門雄二  山路和弘  副総裁
松本良夫  片岡正二郎 死刑囚
海老田天丼 梶原善   番組MC

滝川雄大  三浦貴大  報道局ディレクター
名越公平  近藤公園  プロデューサー
笹岡まゆみ 池津祥子  首都新聞記者
木村卓   六角精児  死刑囚の弁護士
岸本陸子  筒井真理  拓朗の母、弁護士

第4話のストーリー

最後まで流せ

浅川がナレーション差し替えたと渡した映像は、八飛市の映像。事件を独自に調査した映像でした。その映像は、企画会議で「放送に適さない」とボツになったものです。

「止めろ、止めろ、止めろ」

プロデューサーの名越は、映像を止めるように言います。しかし、映像を止めてしまうと、番組に穴が開いてしまうかもしれません。名越はチーフプロデューサー・村井に意見を求めます。

「最後まで流せ」

反対派だと思っていた村井は、企画会議でも後押しするような発言をしていました。今回、このゲリラ放送でも、同じように流すことを認めてくれたのでした。

しかし、名越は村井が認めたことで、自分の責任はないと公言していました。

フロアでは、VTRが終わるとMCの海老田天丼こと、通称「海老天」がコメントしました。

「なるほどですね、この特集は第二回があるということですね」

海老天は、ゲリラ放送でも、全く動揺していませんでした。

その後、番組は無事に終わりました。しかし、誰もが腫物にふれまいとするように浅川から目を逸らしています。ただ、強烈な目力で凝視している岸本がいました。

そして、浅川は、プロデューサーに呼ばれるのでした。

叱責と打ち上げ

いつものスナックでの打ち上げ会場には、プロデューサー達と浅川は来ていませんでした。

「え?じゃあ海老天さん知ってたんですか?」

そう聞かれた海老天は、ゲリラ放送で動揺していなかった理由を語りました。

「うん、実は電話があったんだよ、浅川から。どうしてもやりたいVTRがあるんで、ゲリラで流しますって。絶対に迷惑かけないから、万が一の時は責任取って辞めますって。まあ、俺は番組が面白くなればなんでもいいからさ。おもしろかったよ、あのVTR」

その頃、プロデューサー達に呼ばれた浅川は、名越の叱責を受けていました。

「ありえねえよゲリラ放送なんて。お前は会社って言う組織の中の人間なんだよ。給料もらってる限り、組織からの命令に背く権利はないんだよ、お前にはさ。放送不適切!それがトップの判断だった。それを放送したってことは、お前ひとりが謝ればいいって話しじゃなくてさ。俺らの顔にまで泥を塗った訳だよ。いい年して、そんなこともわからねえのか」

ゲリラ放送をすると決めた時点で、浅川の腹は決まっていました。

被害者の姉からの電話

?責を受けて、一人で帰る浅川。玄関に岸本が待っていました。

「どういうことっすか?」

一緒にやってきた岸本にも内緒のゲリラ放送に岸本なりに怒っていました。浅川は、「ごめん」としか言えませんでした。

「海老天さんには相談して、俺には内緒なんですか?ここまで一緒にやってきたのに。映像だって僕が撮ったやつですよ」

岸本の怒りは、置き去りにされた怒りだったのです。

「巻き込みたくなかったんだよ。万が一の時には、責任取らなきゃいけなくなるしさ。そもそも君が言ってたじゃん。権力なんかと戦えないって」

岸本に告げないでのゲリラ放送は、ちゃんと考えてのことでした。

その時、浅川の電話が鳴ります。相手は被害者の姉・スミカでした。

「あの、両親が泣きながら電話してきたんです。晴美の親友だった子が放送見て、実家に電話してきたらしいんです。自分も晴美は、絶対下着を売るような子じゃないって思ってたって。12年間ずっと悔しく思ってたってたけど、今夜やっと晴らされたことが、晴美のために嬉しいって。本当にありがとうございました」

そう言われ、浅川は嬉しくて涙がこぼれ落ちました。感謝されるためではないとは言え、浅川を勇気づける電話でした。

視聴率

特集に対する反響は期待以上でした。意外にも批判はとても少なく、好意的な反応が圧倒的です。

  • 凄く面白かった
  • 続きが見たい
  • 事件をこのまま終わらせちゃいけない etc.

そのSNSの反響を見て、浅川は第二回をなんとしても作らせてもらわなければという気持ちになりました。その日、放送の視聴率が出ました。

「視聴率なんて、タダの数字」

そう自分に言い聞かせながら、届いた視聴率のメールを見てみます。

「6.5%」

平均視聴率4.2%。ひたすら低空飛行を続けているうちに、うっかり10年目を迎えてしまった長寿番組のフライデーボンボン。驚く数字になっていました。岸本と屋上で視聴率のグラフを見ながら話します。

「やばいっすよね、6.5%っすよ。見たことなですよ、こんな上がり方」

岸本はエナーズアイでゲリラ放送してから、急に上昇した視聴率のグラフを見て、興奮しています。

「落ち着け落ち着け、ここすっごく大事な所だから。局長とプロデューサーの意見を無視して、こんな数字取っちゃったんだから。おじさんたちのメンツは丸つぶれ、これからはもっともっと下手にでながら、ことを進めなきゃいけなくなったよ。おじさんたちのメンツとプライドは地雷なの。死んでも踏まないように歩かなきゃいけないんだよ」

浅川は嬉しさより、困惑の方が大きかったのです。

プロデューサーの嘘

屋上からの帰り道、浅川と岸本は廊下でばったり局長と会いました。

「局長、先週の放送は大変申し訳・・・」

浅川は、必死に低姿勢で謝ろうとします。しかし、状況はちょっと違うようです。

「いやー良かったね、エナーズアイの特集。いや、本当。たまにはいいよね、あんなマジなのも」

それを聞いて、浅川は拍子抜けします。

「あれ?局長は反対なさってたんじゃ?」

しかし、局長は反対してないと言うのです。浅川は、自分の勘違いだと取り繕うのに必死でした。

「第二回もやるんでしょ?なるべく早くやった方がいい。数字も良かったし。忘れられないうちに」

そう応援されたのでした。

企画会議

そして、フライデーボンボンの企画会議に浅川と岸本が参加しました。真面目そうな顔で話す名越の顔を見て、「放送不適切」は名越の嘘だったことに気づきます。浅川は、ずっといい人なのか悪い人なのか、名越のことを判断しかねていました。今回のことで、浅川は名越のことを「ただ単純に舐め切っている」と判断したのでした。

そして、意見を求められた浅川は、低姿勢で話し始めました。

「あの、先週のエナーズアイについては、プロデューサーの村井さん名越さんはじめ、みなさんに心からお詫び申し上げます。今後はこのようなことのないように皆さんのご協力を得て、第二弾を作らせていただきたいと思っております」

プロヂューサー達が「は?」と驚く顔が並びます。

「実は先ほど、局長からも、直々に応援いただいたところで。なるべく早くやってくれとおっしゃっていました。引き続き、誠心誠意取り組んで参ります。どうぞ、よろしくお願い致します」

局長が怒っていなかったことを聞いたプロヂューサー達は、結果的に追認する形になったのでした。

自分達の間違いを認めないために

消極的

浅川と岸本は、新聞記者・笹岡と会っていました。

「拝見しました、フライデーボンボン。もう素晴らしい。感激しちゃいました」

そう言うと、おばちゃんらしく、自分のペースで話しを始めました。

「本題なんですけど、ついこの間、女子中学生が殺された事件があったじゃないですか?どうも神奈川県警がほとんど捜査しないで終わらせるつもりなんですよ」

それは、最近起きた八頭尾山に遺体を遺棄した事件です。浅川たちが冤罪だと思っている事件も、同じ八頭尾山に遺体が遺棄されていて、同一犯の可能性を疑っていたのです。しかし、笹岡が言うには、その事件の捜査には、消極的だと言うのです。

「特別捜査チームも一応作られているんです。うちの記者によると捜査員が退職間近な人ばかりで、明らかに形っぽいんですって。おっかしいでしょ?その記者が、すごく大事なことを教えてくれたんですけど、どこだったかしら・・・これじゃないわ・・・ちょっと待って」

類似点

前回は資料を探すのに2時間かかりました。それを思い出した岸本は、このタイミングでトイレに行こうとします。しかし、今回はすぐに見つかりました。

「これこれ、今回の事件の被害者・ナカムラユウカさんの遺体には暴行された形跡があるにも関わらず、着衣の乱れはなかった。おそらく暴行後に犯人が着せ直したと思われると。態勢も棺の中にあるようにまっすぐに整えられ、腹部の上で両手が組まれていた。しかしなぜか、右足の靴だけがなかった」

詳細に調べた事件の情報を教えてくれました。そして、今度は別の資料を見せます。

「で、こっち見てください。この遺体の状況が、12年前の井川晴美さんの時の状況と全く同じなんですよ。やはり、両事件は、同一犯の犯行じゃないかって、ど素人の私だって思います。それなのに、警察が思わないはずがないんじゃないかって。だからこそ、ナカムラユウカ事件を捜査したがらないんじゃないかって思うんです。自分たちの間違いを認めないために」

第二弾の撮影

浅川と岸本は、井川晴美の遺体遺棄現場に撮影に来ました。浅川は、晴美の遺体があった場所に花を供え、手を合わせました。

12年前、晴美の遺体はこの場所にまっすぐ横たわっていました。しかし、前日の大雨により、半分水に浸かった状態だったのです。そのため、検出された体液はごくごく微量でした。そして、状態も悪かったために当時の技術ではDNA鑑定ができなかったのです。ただ、編人の血液型はA型だということは確定されました。

松本死刑囚の血液型はA型で、犯行時刻のアリバイがなく、自宅に家出少女・チェリーを住まわせていました。そして、警察での自白。さらに重大な目撃証言があり、これが逮捕の決め手となったのです。

浅川は事件現場でロケをして、それを映像にまとめていました。

目撃証言によると、身長160cm前後、40~50代の作業着の男性が、慌てたように山道をかけ降りてきて、自転車に乗って去って行ったと言うのです。

重大な目撃証言者

ニシザワタダシ

それを目撃したと証言した人物がいます。その人物を遠目から、浅川と岸本が見ていました。

車に乗ってやってきた男は、車を止めると降りてきました。そして、大声で怒鳴り、出てきた女性を車に乗せると、車で走り去りました。ニシザワタダシ、45歳。

捜査の初期段階では、別の目撃証言があったにも関わらず、それがいつのまにかなかったことにされていました。だとすると、ニシザワタダシの目撃証言はいったいなんだったのでしょう?

開かずの扉

「ニシザワタダシの証言が嘘だとしたら、再審あり得ますよね?」

岸本は簡単に考えているようでした。

「日本の裁判所で再審請求が認められるのは年2~3件しかなくて、開かずの扉って言われてる」

浅川は岸本に教えました。

「まじっすか。え?じゃあ、DNA再鑑定とかは?今の技術で再鑑定すれば、12年前の体液が松本さんの物じゃないってはっきりするんじゃ?」

岸本はそう言いますが、事態はそんなに簡単ではありません。

「そうかもしれないけど、DNAを再鑑定するためには検察側の同意がいる。再鑑定するかどうかも、検察が決めるようなもんだってこと。君は犯罪を犯して、捜査するか決めれるとしたら、どうする?」

岸本に聞くまでもなく、再鑑定は難しいのでした。

岸本は家に帰ると、弁護士の母親に再審請求の難しさを聞きます。

「難しいよね、再審請求は。ほとんど可能性ないからね。ママもパパの裁判を手伝ってたのが何個かあるけど、まあ全滅よ。再審請求して10年経って棄却って通知がきて、そこから即時抗告してまた回答待ちとか。通るまで10年やなくて、棄却しますって返事がくるまで10年よ」

そうやっているうちに亡くなる人がいますが、それが狙いじゃないかと思う程の時間が必要なのでした。

第二回放送

フライデーボンボンでは、第二回目の放送が行われていました。

「今週のエナーズアイは、先日反響が非常に大きかった特集、八頭尾山女子中学生殺害事件の第二回をお送りします」

そして、今回はゲリラではなく、ちゃんと許可を得た放送ができました。

「複数の目撃者とその矛盾」

一回目の放送から1週置いて放送した第二回は、目撃情報の違いと矛盾点を中心とした内容で、視聴率は7.1%まで上がりました。初回の好成績もまぐれではなかったことが証明されたのです。そして、翌週にはネットメディアを中心に世間の話題に上っていました。

「よかったよかった、浅川アイ」

エナーズアイですが、局長にはそんなことはどうでもいいことです。局長もご機嫌でした。激励してくれたばかりか、第三回は放送時間を5分多めにもらえることになりました。

棄却

木村弁護士を呼んだ浅川は、一緒に食事を取ろうとしていました。

「あの、すみません。再審請求が通った事例について詳しく知りたいということだったんで、いくつかピックアップしてきました」

そう言うと、資料だけ置いて帰ろうとします。浅川が席を設けたことを伝えますが、木村弁護士は固辞するのでした。

「ちょっと、言いにくいことを言わなくちゃいけないですよね。松本氏の再審請求が棄却されました。今日、裁判所から通知がきました」

浅川はショックを受けます。番組で放送した直後の棄却です。番組の放送が影響したのかを知りたがりますが、木村弁護士もわかりませんでした。

その再審請求が棄却されたことは、すぐにニュースになりました。それを斎藤も見ていました。

家に帰った浅川は、岸本に連絡します。

「冷静に考えましょう。フライデーボンボンですよ。エンタメとグルメの間で10分特集されたことで、裁判所が逆上して再審棄却ってあり得なくないですか?」

岸本は当然と言えば当然の判断をしていました。しかし、浅川には影響したのか、していないのかわかりません。その時、浅川は村井の言葉を思い出しました。

「一番初めに村井さんが私たちに言ってたこと覚えてる?敵はどこにいるかわからない。お前らはジャングルで棒きれ振り回してるバカなガキと一緒だって。おもちゃみたいな正義感で、余計なことするんじゃないって」

浅川と斎藤

「岸本くん、村井さんと名越さんに誤りに行くけど、一緒にくる?」

浅川は、再審請求が却下されたことで、大きなショックを受けていました。これ以上、放送することで逆に再審請求の芽を摘むのではないかと思っていました。

「中止しなくてもいいじゃないですか?数字もいいんだし」

岸本は、国家権力と戦うつもりはありませんが、せっかく高視聴率を取り、世間の評判もいいネタを手放したくありませんでした。そして、岸本自身の問題ですが、ただぼんやり生きていた時とは違って、正しいことをしたいと思うようになったのです。

しかし、浅川はすっかり参っていました。

そして、斎藤にメールをしました。

「この前、私に何の話をしようとしたんですか」

斎藤は、メールを確認すると、返信しました。

「今夜、行ってもいい?」

すぐに返事を返さず、浅川は考えてしまいました。

深夜の電話

岸本が深夜、一人仕事をしていると、受付から電話がかかってきました。

「視聴者の方から、八頭尾山の事件の件でお電話なんですけど、どうしましょう?」

岸本は、繋いでもらって、話しを聞きました。

「あの、自分、殺された井川晴美さんとちょっと、手紙のやり取りというか、してたことあるんですけど。その手紙に今読むと、これ犯人じゃないかと思われる男のことがかかれていて。」

岸本は元彼かと確認すると、電話の相手は「はい」と答えました。そして、その情報を警察に話していないか確認します。

「言ってないです。そもそも自分、学校も違ったから警察も来なかったし。付き合ってることも誰にも言ってなかったんで」

岸本は、その手紙を送ってもらうことにしまいた。電話の相手はファックスで送るといいました。

そうだよ

斎藤は浅川の家にやってきました。ドアを開けた瞬間、笑顔を作る斎藤は、モテる男なんだと感じます。

お土産にビールを買ってきた斎藤は、浅川が飲まないと言うと、一人で飲み始めました。

「この前、ここに来た時、私に話があるって言ってましたよね?あれって、なんだったんですか?」

浅川はすぐに本題を切り出します。しかし、斎藤は「なんで知りたいの?」と逆に質問しました。

「松本さんの再審請求が棄却されたんです。突然。冤罪の可能性を指摘する放送を2回放送した直後に」

その答えを聞いて、斎藤は笑うのでした。

「相変わらず、君の世界は君を中心に回ってるんだな。小学生みたいに。君が思ってるより世界は、君の関与してない所で回ってると思うよ。たまたまタイミングが重なっただけなんじゃないの?」

しかし、浅川は確信していました。

「確かに私は何もわかっていない。あなたからすれば小学生みたいなものなのかも知れません。バカにしたいだけしてくれてかまいません。でも、この件については、私の疑問は間違っていないはずです。この前、私になんの話しをしにきたんですか?何か大事な、ずいぶん慌ててしないといけない話しがあったはずなのに、私が特集の放送ができなくなったと言ったら、何も言わずに帰っていきましたよね?私に放送を止めさせたかったんじゃないですか?」

斎藤は「そうだよ」とあっさり認めました。

浅川の心理

斎藤はあっさり認めたものの、理由は教えてくれませんでした。

「まあ、知らない方がいいんじゃないかな。傷つくよ、君。知らない方がいいことがあるんじゃないの?」

そう言うと、斎藤は話しながら浅川の頬に手を伸ばしました。

「やめて」

浅川が拒否すると、斎藤は顔を近づけて言います。

「じゃあさ、なんでベッド買ったの?」

何にもなかった浅川の部屋にベッドが置かれていました。それを指摘され、何も言えなくなる浅川。そして、斎藤の求めるままに抱かれるのでした。

「悔しいけど、自分なんかには太刀打ちできないほどこの世界は残酷で、恐ろしいのだと思い知らせれてしまうようなとき、どうしようもなく抱かれたくなるのはきっと、この人が私よりずっとそういうことに詳しいからだ。守られているような気がしてしまう。抱かれているだけなのに。そしてこの人は、そんな私の心理についても、私より詳しいのだ」

その時、浅川の電話が鳴りますが、二人は気づくことはありませんでした。

ガセネタ

行為が終わった後、斎藤はすぐに服を着て帰ろうとします。

「また電話する」

それだけ言うと、斎藤は浅川にキスして帰っていきました。浅川がベッドで、何も聞き出せなかったことを悔やんでいると、インターフォンが鳴りました。おそるおそる画面を見ると、そこには岸本が立っていました。

オートロックの前で、出て行く斎藤と岸本が鉢合わせしてしまいました。岸本は浅川の家から斎藤が出てきた状況に焦ってしまいます。

斎藤にどうしたのかと聞かれ、岸本はしどろもどろになりながら、状況を説明します。

「被害者と付き合ってたという男が電話してきたんです。この手紙に犯人の名前が書いてあるっていうんです。ファックスなんで飛んでるんですけど、本物はばっちり見えるみたいなんです」

届いたファックスを斎藤に見せると、斎藤は岸本に聞きます。

「お前、まさか金とか払ってない?」

岸本は手付として5万円払っていました。そして、本物が送られてきたら、あと15万払うことで交渉が成立していました。

「たぶんな、その本物は送られてこないよ。ガセだよ」

そう言われ、がっくりと肩を落として帰っていく岸本でした。

負け続けてきただけ

岸本は、村井とホルモン焼き屋で飲んでいました。

「5万?お前払ったの?ガセだよ。だから言ったろ、冤罪なんか生半可な覚悟でやんなって」

斎藤の言葉だけでは信じられず、村井にも聞いてみたのでした。しかし、岸本の受け取り方は、想像の斜め上を行っていました。

「そうですよね。負けちゃダメですよね、これしきの事で」

もう諦めるかと思った村井は、岸本の「能天気バカ」なところに笑いながらも、少し見直すのでした。そして、岸本は浅川が降りそうな状況で、自分はどうしたらいいのかわからなくなっていたのでした。

「いいじゃねえかよ。やれよ、一人でも。男だろ?」

村井の言葉を聞いた岸本は、考え込んでしまいました。

「村井さん、いったい僕は、何に勝ってるって言うんですかね?」

突然話が変わった村井は、困惑しながら岸本の話しを聞きます。

「ずっとママにそう言われて育ってきたんですよ。裕福な家庭で、小学校から大学までずっと明王で、大手テレビ局で働いてる人生の勝ち組なんだって。でも僕、本当は何にも勝ててない気がするんですよね。結局、僕とママは、より負けてきたんじゃないかって。自分たちが勝ち組なんだって思い込むために必要以上に負けてきただけじゃんじゃないかって。なんか、最近そんな気がしてしょうがないんですよね」

村井は、それには答えず、岸本をある場所に連れて行きました。

岸本の傷

誤魔化し

村井は岸本を連れて、とあるビルの屋上にやってきました。

「お前、来てみな。あれ、お前の母校だろ。明王中学。2007年に中学2年生の生徒が自殺したろ?俺あの時、取材したんだよ。ここから、カメラ回してさ。よく考えたら、お前の同級生だよな。お前さ、何考えたの、当時。同級生がいじめで自殺した時にさ、お前はどのポジションにいるやつだったの?いじめるやつ?かばうやつ?見て見ぬふりするっていうありがちなやつ?」

岸本は、誤魔化そうとします。

「いや、僕はその・・・気付いてなかったというか、もう記憶もあんまりなくて」

しかし、村井はお見通しです。

「逃げんな!向き合えよ、自分が何に負けてきたのの向き合えよ。それができねえ限り、お前は一生負け続けて終わるぞ」

吐き出す

その言葉に泣きだす岸本。そして、今まで押し込めていたものを岸本は吐き出しました。

「僕は、裏切ったやつです。友達だったのに。。。掌に鉛筆の芯がいっぱい刺さってた手を見せてきたんです。でも、誰にも言えなかったんです。自分がいじめられるのが怖くて。だから、ママに行ったんです。でもママも学校に何も話さなかった。いじめの主犯が、学年で一番の有力者の息子だったからです。僕ら、負けたんです。決定的に負けて、それからずっと負け続けてる。一番嫌いで、許せないはずのやつらにこびへつらいながら。勝ち組にいさせてもらうために友達を見殺しにしてまで、それをなかったことにしてまで。だけど勝ち組って、どこが勝ってるんだよ」

岸本の目

岸本は放送前、スタッフ達と一緒に弁当を食べていました。しかし、岸本は一人うつろな目をしていました。浅川は、そんな岸本の変化に気づいていません。

放送が終わり、浅川はスタッフたちと、いつもの打ち上げに行きました。

浅川は岸本を目で追い、トイレに行ったところを待ち伏せしました。

「あのね、この前うちに斎藤さんが来てたこと、誰にも言わないで。向うに迷惑がかかるのは嫌だから」

しかし、岸本は何も言いません。うつろな目をした岸本は、何も言わず帰っていきました。

その時、浅川は岸本に恐怖を感じました。なぜか、脳天から真っ二つに切られたような気がしたのでした。

怖くなってトイレに駆け込む浅川。鏡に映った自分の顔を見つめます。浅川は、自分の弱さや愚かさや情けなさを、岸本に見抜かれたと思ったのでした。

その頃、別の場所でマンションのようなところから、転落した人がいました。見ただけでは男性か女性かわかりません。ただ、左手に赤いサポーターが見えました。チェリーかも知れません。

考察

斎藤が言わなかった理由

前回の考察で、斎藤が浅川の家に行ったのは、放送を潰すためだったと考察しました。

今回、斎藤がまた浅川にきて「そうだよ」と認めました。しかし、その理由は教えてくれませんでした。大門が関係しているかはわかりません。ただ、軽はずみに言えるような理由ではないようです。

やっぱり、大門が関係していそうです。

村井

チーフプロデューサーの村井は、ゲリラ放送を止めることもできましたが、止めませんでした。しかし、まだ村井が協力者になったわけではありません。

ただ、岸本の過去を聞き出し、岸本を覚醒?廃人?に形態を変化させる人物になりました。予告では、岸本が髭を蓄えて、おぼっちゃんから変化するようです。

どう村井が関わっていくのかわかりませんが、前回考察で書いたような単純に味方になる感じではなさそうです。

ガセネタなのか

視聴者から電話がかかってきた時、あまりにも曖昧な話しをするので、やっぱりガセネタだと思いました。しかし、本当にガセネタなんでしょうか?

斎藤は、継続させないためにガセネタだと言ったのかも知れません。

それは次週、本物の手紙が届くかどうかで決まります。

届いて、筆跡鑑定をして、本物だということになるのではないでしょうか?それは、謎の男に繋がるヒントになるのではないでしょうか?

現時点では、本物だと推測します。

最後に

それにしても、ハードな展開は見ごたえがあります。

浅川の摂食障害と睡眠障害は、生きる目的を見つけたことで、改善されたようです。

そして、岸本が「闇落ち」なのか「覚醒」なのか、大きな変化が起きたようです。

心配なのは、チェリーが転落したことです。下がコンクリートじゃなく土だったので、生きていてくれればいいのですが。。。

次回予告

高視聴率を取っても、不安が周りに押し寄せてきている予感が、ちょっと怖いです。