木端微塵 エルピス(9) ネタバレ&考察

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木端微塵 は、浅川が思っていた気持ちです。

岸本は会社を辞め、実家に帰りました。そして、浅川はニュースエイトのキャスターをしながら、少しずつ体が壊れて行っています。

そんな時、村井が岸本にある人物を紹介しまいた。それは、大門副総理の義理の息子でした。

そんな第9話のネタバレです。

エルピス公式HP

主な登場人物

浅川恵那  長澤まさみ アナウンサー
岸本拓朗  眞栄田郷敦 フリーター
斎藤正一  鈴木亮平  フリージャーナリスト
本城彰   永山瑛太  雑貨屋?

大山さくら 三浦透子  通称:チェリー、ヘアメイク
村井喬一  岡部たかし 子会社異動
大門雄二  山路和弘  副総裁
松本良夫  片岡正二郎 死刑囚
大門亨   迫田孝也  大門の娘婿で秘書

滝川雄大  三浦貴大  報道局ディレクター
名越公平  近藤公園  チーフプロデューサー昇格
笹岡まゆみ 池津祥子  首都新聞記者
木村卓   六角精児  死刑囚の弁護士
岸本陸子  筒井真理  拓朗の母、弁護士
海老田天丼 梶原善   番組MC
篠山あさみ 華村あすか ボンボンガール

第9話のストーリー

裏事情

2019年8月、岸本は大洋テレビを退社しました。しかし、岸本が退社しても、会社はいつもと変わらず、今日も回り続けています。

その岸本の退社の際に起きたことが2つありました。一つは中村優香の風俗店で働いていたことが明るみに出たこと。もう一つは、岸本への退職勧告でした。

その中村優香のことが警察発表された際、ニュースエイトでの扱いを議論していました。

「待ってください。実は、この間うちがボツにした真犯人のネタ、週刊潮流に持ち込んでいるんです。18日の発売号に掲載されるので、それに合わせて被害者遺族の会の記者会見も予定していて。でも、今日このニュースを先に出してしまったら。。。」

浅川は、岸本から酷いことを言われましたが、一応気遣ってくれていました。しかし、ディレクター・滝川は「警察の正式発表」だから仕方ないと言うのでした。

「警察は中村優香が、風俗で働いていたことを以前から知っていたはずです。あえて今、発表するというのは、何らかの意図がるとしか思えません。つまり、印象操作なんじゃないかと」

浅川はニュースエイトで扱うことに抵抗します。しかし、正式な警察発表は、どこのテレビ局でも取り上げます。大洋テレビだけやらない訳に行かないのでした。

そこで浅川は、岸本に「せめて事前に謝ろうかと思った」のですが、結局は連絡しませんでした。

クビ

岸本が退社した後、浅川は食堂に食事を取りにいきました。その時、元ボンボンガール・あさみを見かけたのです。

人目を避けてあさみを連れ出すと、岸本の現状を聞き出そうとします。

「別れちゃったんですよね。付き合ってたと言っても岸本さん忙しくて、全然デートとかもしてくれなかったですし。とか思ってたら、会社クビになっちゃって。で、むりーってなっちゃって」

その辺の事情を浅川は知りませんでした。

「自分で辞表出したんじゃなくって?」

浅川が問い返しますが、あさみは「クビ」ということだけ知っていて、理由は知りません。

「これは本当かわからないんですけど。ハメられたって言ってました」

あさみと別れた浅川は、ヘアメイクのチェリーに電話してみます。

「たぶん、八飛署の刑事じゃないかって言ってました。浅川さんとも会ったことがあるって言ってて。あの浅川さん、こんなこと今更私が言うのもなんなんですけど。無理しないで下さい。なんだか怖くなってきて、岸本さんまでこんなことになって、なんか申し訳なくて」

村井の暗躍

古いアパートに酔って、一人で帰ってくる男がいました。その男に声を掛けたのは、村井でした。

「こんばんは、どうもお久しぶりです。どうっすか、久しぶりに1杯」

拒否される前に村井は言葉を続けます。

「違うんです、安心して下さい。報道どころかバラエティーからもハブられてですね、未練たらしく子会社に貼りついている、ただの板ワカメでしてね。前みたいな小難しい話、したくてもできませんから。まあ、斎藤の悪口でも魚に酒でも飲めればそれでね。大門の先生にかわいがってもらっている斎藤ですよ。斎藤もうちを辞めましたしね。またあたしい可能性が出てきたかなってね」

そう言うと、村井は自分の名刺を渡しました。そして、酔った男の反応を見て、返事も聞かずに帰っていったのです。

村井が会った男は、大門亨でした。

岸本退社の理由

浅川がスタジオに入ると、滝川に呼ばれました。

「わかったよ、岸本がクビになった理由。贈賄と脅迫。情報を得ようとして、八飛署の刑事に金を渡そうとしたらしい。しかも、それを録音して、さらに情報よこせって脅迫したんだと」

しかし、そんな大胆なことができるとは、浅川には思えませんでした。

「けど、やっぱそれは刑事の方が上で、金は受け取らず岸本とのやり取りを録音して上層部に持ち込んだんだそうだよ。想像以上にやばいやつだぞ、岸本」

それを聞いても、浅川は納得できません。というか、話しが滅茶苦茶です。

「どういうこと?刑事はお金を受け取らなかったんだよね?その会話を録音して、脅迫するっておかしくない?本当かな、それ」

浅川の理解は正しいのです。刑事は岸本から金を受け取り、そして情報をよこせと脅されたのです。そして、脅しの根拠の岸本の録音データは返さなかった(録音してなかった)ので、刑事は上層部に持ち込んだということです。

「浅川は岸本と縁を切った方がいいよ。わかってると思うけど、番組を背負ってる立場なんだから。トラブルの芽は摘んでおいてもらわないと」

滝川にそう言われ、浅川は体調を崩していくのでした。

あるべきもの

岸本、髭を剃って飲み屋へ行きました。待っていたのは、週刊潮流の編集長・佐伯でした。

「どう?岸本くん、うちに来ない?例のスクープに関しては悪いことしちゃったけど、俺としてはぜんぜんボツにするつもりはない。けどね、被害者が風俗で働いていたニュースの直後だとさ、タイミング的に最悪だったからひっこめたんだよ。また時期をみてるんだ。こういうのはさ、波を見るのが大事」

そう言って岸本をスカウトするのでした。

「重要なのは、本人の中にあるべきものがあるかどうか。君にはそれがある。まだそれしかないとも言えるけど。今回君はそれに振り回されたあげく、ニートにまで成り果てた訳だけど、一生それを棄てることもできない。死ぬ前奴隷なんだよ、それの。ただ、うちに来れば、それを飯のタネにすることはできるんだよ。考えてみてよ」

佐伯は岸本に「あるべきもの」「それ」と表現していましたが、何のことなんでしょうか?「正義感」でしょうか?真実を追う「ガッツ」や「探求心」とかでしょうか?岸本は持っていなさそうな「貪欲さ」や「野心」のような気もします。

ジャーナリスト・岸本

村井に言われ、岸本は名刺を作りました。

「ジャーナリスト、岸本拓郎」

東銀座で村井と待ち合わせると、村井からある人物を紹介されました。待ち合わせていたのは、大門亨です。

岸本は村井に紹介され、名刺を渡しました。

「随分若いですね」

亨はそう言うと、村井が説明します。

「若いからこそ書けるんですよ。気力と体力があって、かつバカじゃないとできやしません。こんな仕事は」

3人で話し合った後、二人で飲み屋に行くと、村井は岸本に誰だったのか説明しました。

「今会ったのはな、大門副総理の娘婿、大門亨。警察庁時代の元部下で、長女と結婚して、大門の秘書やってた。で、これが、あんたなんでこんな向いてないことやってるのってぐらい、クソマジメの男なんだよ。無駄に正義感強くてさ。あの大門にこの秘書なら、そのうちここから大門のボロ出てくるんじゃないかと思うじゃん。だからせっせと顔を売り込みに行ってた訳よ。垂れ込むならぜひうちにって、冗談めかしてさ」

村井と亨の関係を簡単に説明してくれました。そして、本題に入ります。

「2017年に大門が、自分の派閥議員の強姦事件をもみ消したってことがあってな。半年後に結局その被害者が自殺したんだけど、そん時にとうとう内部告発を俺に持ち込んできた訳。俺は当時報道にいて、当然二つ返事で引き受けて、証言VTRまで撮らせてもらった」

証言VTR

岸本は昔、亨を呼んで内部告発のVTRを撮影していました。

「江隅恭子さんが自殺した、その理由についてお話したいことがあるというこですが、お聞かせ下さい」

そうやって始まった撮影で、亨は証言したのでした。

「2017年4月8日、民自党衆議院議員カイバラマサトシが事務所のアルバイト、江隅恭子さんに酒を強要し、その後ホテルで酩酊状態のエスミさんを強姦しました。その後、彼女はそのことを苦に自殺しました」

カイバラ議員は、大門派の議員です。その時総務大臣だった大門から指示があったかと、亨に訊ねました。亨は「はい」と言って、詳細を語りました。

しかしそのVTRは、放送の直前でお蔵入りになってしまいました。それは、それまで一大臣だった大門が、副総理になったからでした。その肩書に上層部の腰が引けてしまったというのです。

「俺は、なんとか上を説得するから時間をくれって亨さんに言ったんだけど、亨さんは亨さんで迷い始めて、やっぱり取り下げさせてくれって言い出した。俺は絶対あきらめきれねえと思って、しばらくじたばたしてた。何度も上に掛け合ったり、亨さんの所に通ったりよ。そしたら、なんとある日、人事からビックリ仰天の内示がきたじゃねえか。お前は報道外す、来月からフライデーボンボンなって。で、翌月から俺のフライデーボンボン人生が始まったって訳よ。懐かしいな。かわいかったよね、ボンボンガール」

斎藤との関係

美容室で髪を切ってもらう浅川。隣から、美容師と客の話し声が聞こえてきました。

「善玉菌とか悪玉菌とか、本当はないんですよ。大事なのは、菌の種類がたくさんあって、バランスが取れてるってことなんですって。種類が少なかったり、どちかだけが多くなると、それが悪玉菌になっちゃう」

そんな話を聞きながら、浅川は自分や会社に当てはめて考えていました。そして、担当美容師が席を外した時、開いていた雑誌に目をやりました。そこには、元彼・斎藤のインタビュー記事が載っていました。流石に噂になった男のインタビュー記事を読んでいるなんて、美容師に見られる訳に行きません。

浅川は、まだ斎藤のことを引きづっていました。今だに斎藤の動向を気にするのは、どこかで信じているからなのでした。

「彼は決して彼自身の野心のために報道を棄て、政界に行こうとしている訳ではないのだと。実は、彼には密かな理想があって、例えばそれは本当に公正で自由な社会だったりして。その実現のために一人孤独に戦っているのだと、そう想像すると少しだけ元気がでる。我ながら、なんてバカなんだろう」

浅川はどこかでそう信じていているのでした。岸本がどこかで浅川を信じているのと、ちょっと似ているかも知れません。岸本は母親のように思い、浅川は父親のように信じている気がします。

斎藤の存在

岸本は、取材のために亨に会いに行きました。亨の家は、副総理の義理の息子の家とは思えないボロアパートで、中は閑散としています。

亨は、離婚届を妻に送ったと岸本に告げました。今は別居状態ですが、なかなか踏ん切りがつかない状態でした。そして、やっと覚悟ができたと言うのでした。

そして、亨は斎藤との関係を岸本に聞きます。岸本は「先輩だった」と答えました。

「彼は最近、大洋テレビをお辞めになって、フリージャーナリストとしてどんどんマスコミに登場している。そうして知名度をあげ、おそらく近い将来出馬することでしょう。大門としても、ゆくゆくは自分の地盤を継がせたいと思っていると思います。それぐらい、彼を買っているんです」

本来であれば、娘婿の亨が地盤を引き継ぐのが当たり前です。しかし、亨は離婚届を出すことで、その座から降りてしまいました。

「妻は心の優しい人でね。夫の僕が密かに自分の父親を憎んでいる、そのことで彼女には随分つらい目にあわせてきてしまった。前回僕がひるんだのも、そのせいでした。もし僕が大門を告発すれば、当然僕自身も罪に問われます。その時、果たして誰が彼女と子供を守るのか」

そこに村井の囁きがあったと言うのです。

「ただ村井さんが、今や斎藤さんという存在があると。大門と僕がどうなるとしても、斎藤さんが大門の地盤と、その娘と孫を守ろうとするはずだと。いずれ、それらを引き継ぐために」

岸本との共通点

岸本は素直にそれでいいのかと聞きます。

「ええ、残念ながらこれは僕の性分で。一人の議員が事務所アルバイトにきていた女性を強姦した。大門の秘書である僕は、被害者である女性ではなく加害者である男を守るために動いた。女性はその後、自ら命を絶った。自分の罪深さを忘れて生きていくなんて、僕にはできない。どうしても。背負い続けていくしかないんです」

それを聞いて、岸本は「僕も」と言いかけて止めました。亨は気になって聞くと、岸本は簡単に説明します。

「僕も、昔自殺した友達のことを思いながら、この仕事をやっています」

それを聞いて、亨は嬉しい気持ちになりました。

「そうですか。今、少し僕は、神様に感謝しました。このことをそういう岸本さんという方に預けることができるのだと思うと、真っ暗闇の中に一筋、細い光が差した気持ちです」

そして、本格的に取材が始まりました。

裏を取る

亨から聞いたことを纏めて、岸本は週刊潮流の佐伯の元へ持って行きました。

「終わりますよね、これ。大門、終わりますよね?」

岸本は大門を外すことを考えていました。大門がいなくなれば、報道への圧力が消えます。そして、間髪入れずに潮流で「本城彰のDNA一致」の報道をすれば、マスコミも大喜びで後追いすると考えていたのです。

「よし、慎重にやろう。とりあえず、この強姦被害者の遺族を当たってよ」

しかし、岸本は裏取りよりも、迅速に発表することが必要だと思っています。

「裏取らなきゃ。被害者の女性は警察に被害届まで出して、証拠まで提出したんだよ。なのに加害者が逮捕されなかったと言うことを被害者の側からも証言してもらうんだよ」

それでは、被害者家族を説得して証言を得るまで、どれだけ時間がかかるかわかりません。

「わかるけど、これは裏を撮らないとダメだ。ぶっちゃけうちは週刊誌だし、毎回裏をとってる訳じゃないよ。はなっから憶測だけで書き飛ばすこともある。でもこれは、正真正銘の真実として書かないと意味がない」

そして、裏を取る必要性について、熱く語りました。

「権力ってのは、瞬殺しかないんだよ。いかに一撃で倒すか。もたもたしてたら、反撃を食らう。裏取ってないスクープなんかゴシップ誌は飛びつくかも知れないけど、まともなテレビや新聞は、真偽が確認されるまでは、まずやってくれない。そんなことしてる間に敵は、全力で裏が取れないように潰してくるよ」

滝川の俗っぽさ

浅川は滝川に会議室に呼ばれました。

「例の岸本が持って来た真犯人のネタだけどさ、まあひとつの可能性として聞いて欲しいんだけど、ちょっととりあえず俺がやってもいいかな?俺がっていうか、ネット系のメディアに持ち込んでみてもいいかな?用は、いわゆるユーチューバーとか。まあ、ゴシップ系って人達がいて、ピンキリなんだけどその中には、現役のジャーナリストとか一目置かれている人達がいて、そういう感じの人に扱ってもらう」

しかし、それでは岸本の苦労が報われません。

「言ってもネットだから、ことの信憑性が格段に落ちちゃうのは免れない。とは言え、この真実をこのまま眠らせておくわけにもいかないじゃん。松本さんの冤罪証明、真犯人の逮捕。どちらも急がないといけないことは間違いない。噂レベルでも、広く知ってもらった方が絶対にいい」

滝川はそう説明します。しかし、どうしても岸本のネタを勝手に誰かに知らせることに抵抗を感じるのでした。

「いやいや、ネタじゃなくって事実でしょ。事実なんだから、岸本君も何もないじゃん。あいつが作った話ってなら、著作権とか発生するかもしれないけど。情報料として、岸本にも何パーか渡そうと思ってる。大事な話でしょ。ぶっちゃけ、相当な値段で売れると思うんだよね」

滝川の本音が出ました。扱えないスクープを、単純に金にしてしまおうと考えていたのでした。

浅川は、止める事しかできませんでした。

拉致

岸本は、電話で亨と話していました。

「それで、とりあえずご遺族には手紙を書いてるんですけど、なかなか進まなくてですね。超字が汚いんで、そこから気になったりして」

そんな岸本のことを亨は、なんだか優しい気持ちで受け入れていました。

「岸本さん、僕は大丈夫ですから。今日付けで大門の事務所も退職したんで。ですから、僕には本当に何のしがらみもなくなりました。もう一点の迷いもないんで、前回みたいに撤回しません。心配しないで下さい、岸本さん。どうか思うようにやって下さい。僕にできることがあれば、何でも言って下さい。北朝鮮のミサイルでも落ちない限り、落ちても生きてれば必ず駆けつけますから」

そんな亨からのエールを聞いて、岸本はがぜんやる気が出てきました。

電話を切った後、亨の家のインターフォンが鳴りました。亨が扉を開けると、亨は引っ張られて姿を消してしまいます。

葬儀

岸本が大門亨と最後に話したのは、8月29日だった。そして、5日後の9月3日、岸本は連絡を受けました。連絡をくれたのは村井でした。

「岸本、今大丈夫か?大門亨が死んだ」

9月3日未明、芝川港近くの路上に止まっていた車から、遺体となって見つかったというのです。遺書があったことから、警察は自殺と断定しました。しかし、大門亨には精神科への通院歴があり、遺族は病死の発表を希望したのでした。

大門亨の葬儀場は大きなお寺で行われていました。離婚届は出されていないようで、大門や亨の妻が親族として式に出席していました。そんな時、斎藤はマスコミ対応しています。

ひと段落すると、斎藤は煙草を吸いに喫煙所に行きました。そこに村井がやってきます。そして、マスコミと揉めていた理由を聞きます。

「揉めてないですよ。遺族写すなって注意してただけで」

それを聞いた村井は、爆弾を投げ込みます。

「なんで?本当は病死じゃなくって自殺だから?ってかもっと、本当は自殺じゃなくって他殺だから?」

顔色が変わる斎藤。村井を睨みつけます。

「怖い、顔。でも、本当に怖いのは斎藤くんじゃないよね。こんな怖いことさらっとやっちゃう人達だよね。ねえ斎藤くん。引き返すなら今じゃないかな?でないと、この先はもう、戻ってこれねえぞ」

それだけ言うと、村井は立ち去りました。斎藤は反論しようとしますが、言葉になりませんでした。

大門のコメント

村井が帰ろうとすると、大洋テレビの取材クルーと遭遇しました。大門のコメントが取れたかと確認します。

「取れましたよ。これが案外泣けるんですよ。いいの取れましたわー」

そう言って、持っていたボイスレコーダーを再生して、大門のコメントを聞かせてくれました。

「大門亨は、大変優れた私の秘書であり、また娘にとってはいい夫でした。彼の誠実さには、どれだけ助けられてきたかわからない。本当に我慢強い男でもあった分、病気の進行に気づかなかったことが悔やまれてならず・・・」

そこまで聞くと、村井はボイスレコーダーを取り上げ、地面に叩きつけました。あたかも大門にそうするように、足でボイスレコーダーを踏みつけます。最後に唾を吐いて立ち去るのでした。

木端微塵

それからしばらくして、ニュースエイトのオンエアーが終了しました。

浅川がスタッフと話していると、突然事件が起きます。椅子が飛んできたのです。

「ダン!」

驚いた浅川が音のした方を見ると、村井がセットに乗り込んできました。椅子を投げたのは村井だったのです。

「ざっけんな!ざっけんなよ、てめえら!どいつもこいつも、正義面しやがってよ。なにが報道だ、なにがニュースエイトだよ」

そう言いながら、テーブルをひっくり返し、椅子を振り回してセットを壊します。しばらくして、警備員とスタッフが村井を取り押さえました。

「そう木端微塵に壊れてしまえばいいと、本当は私も思っていたのかも知れない」

浅川はそう思いながら、涙を流していました。

考察

浅川が斎藤に抱いていた気持ちは、前回の考察と近い期待でした。しかし、浅川の気持ちは、斎藤を思うからこその気持ちです。そんな思い通りに進まないのかも知れません。

予告では、浅川と対峙する斎藤の姿が描かれました。なぜ、斎藤は大洋テレビのニュースエイトのスタジオに来たのでしょうか?岸本が持っている情報を、浅川が放送するのを止めるためか?放送した後の警告か?

第9話の流れからだと、浅川と斎藤の決別が描かれる雰囲気があります。そうだとすると、それは浅川が飲み込むことを止めることを意味するのだと思います。

そして、村井の言う「薄っぺらい正義感」で、スクープを読むのかも知れません。

しかし、どうしてもそれは、浅川が意識しないところで、斎藤が読ませるように誘導するのではないかと思ってしまいます。やっぱり、実は斎藤味方説を推したいと思います。

最後に

今回、大門亨が自殺に見せかけて殺害されたことで、岸本の計画はまた潰されてしまいました。以前、村井が言っていたことです。

「闇にあるものってのはな、それ相応の理由があってそこにあるんだよ。おもちゃみたいな正義感で手を出して良いもんじゃない」

岸本は亨が亡くなったことに責任を感じてしまうようです。元々、ヘタレの岸本ですから、当然です。

でも、そんなことで来週で終わるんでしょうか?日程的には終わるのですが、話しとして終わるような気がしないです。。。

来週の予告

大門を排除することができるのか?本城彰を犯人と証明できるのか?松本死刑囚の刑は執行されないのか?斎藤は味方なのか?

いろいろな要素がありすぎます。どう終わるのか、どう展開するのか、楽しみです。

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