父の背中 は第14週のサブタイトルです。
昨年末の2回の放送で、やっと新規受注をすることができました。やっと、少し光が見えてきたように感じます。
そして、不穏な動きをしている悠人がやってきました。どうなっていくのでしょう。
そんな第14週のまとめです。
主な登場人物
岩倉舞 福原遥 パイロットを夢見る学生
梅津貴司 赤楚衛二 舞の幼馴染、旅人で歌人
望月久留美 山下美月 舞の幼馴染、看護師
才津祥子 高畑淳子 舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太 高橋克典 舞の父、株式会社IWAKURA社長
岩倉めぐみ 永作博美 舞の母
岩倉悠人 横山裕 舞の兄、天才投資家
梅津勝 山口智充 貴司の父。浩太の幼馴染のお好み焼き屋
梅津雪乃 くわばたりえ 貴司の母。勝の妻
望月佳晴 松尾諭 久留美の父。元ラガーマン
笠巻久之 古舘寛治 IWAKURAのベテラン従業員
結城章 葵揚 IWAKURAのベテラン従業員
御園純 山口紗弥加 新聞記者
第14週のストーリー
肩透かし
2009年IWAKURAは、リーマンショックの影響で経営危機に陥っています。そこに悠人がやってきました。
「さて、この工場なんぼになるやろか」
そんな不穏な発言をする悠人を舞が見かけて、声を掛けました。舞は悠人が工場のためにやってきてくれたことに嬉しく思っていました。
「工場案内するわ」
そう言うと、悠人に先立って工場へ入っていきました。
「広いやろ。人も機会も増えたからいろんなネジ作れんで」
悠人は工場の音も匂いも苦手です。
「お前よう平気で働けんな」
悠人が聞くと、舞は「私は好きやで」と言うのでした。
そして、笠巻とアキラがいて挨拶しますが、それより悠人は工場の機械の値段が気になるのでした。そして、悠人は「腹減った」と言って、お好み焼き屋の梅津に行ってしまいました。
「え?なんでお兄ちゃん」
てっきり工場のために何かをすると思っていた舞は、肩透かしをくらってしまうのでした。
損切
悠人は、夕飯は岩倉家で家族と一緒に食べました。舞は、悠人のために帯広の豚丼を作りました。
「美味いな」
悠人が喜んで食べていると、お母ちゃんは悠人にもっと帰ってきて欲しいと言います。
「大阪に来てんねんけど、手詰まってんねん。飯は仕事先の人と食べるし。訪問先の経営陣とか。仕事の話はええねん」
そう言って話しを遮ると、居間の隅に置いてある悠人が送った置物を見つけました。
「あれ、まだ飾ってんねや。売ったらいいのに。今プレミアついて俺が買った時の10倍の値段すんで」
その話題から、話しは急に現実に戻ってきました。
「やせ我慢せんと売ったらええのに。工場も」
工場の言葉に反応するお父ちゃん。冷静さを装いますが、イライラしている感じが出ています。発言の真意を悠人に聞きます。
「工場はまだ新しいし、機械も綺麗や。今やったら買い手もつくやろし。リーマンショックの後、倒産する会社いっぱい見てきた。ここらの工場もいっぱい潰れてるのや。なあ親父、損切って知ってる?値下がりした株、見限って売るってことなんやけど」
そう聞くと、損切について話しを続けます。
「たいていの人間はこの損切が下手でな。損失が出てるのにいつか巻き返せるはずや思て、自分を信じて損切せえへん。そんで、損失が膨らんでくんねん。なあ親父、借金増えって行ってるんやろ。傷が浅いうちに工場売るの考えた方がええんちゃう」
帰れ!
それを聞いて、お父ちゃんは冷静に反論します。
「悠人も知ってるはずや。うちの工場は、長い時間かけてちょっとずつ大きくしてきたんや。従業員と力あわせてな。一人一人が経験積んで、技術磨いてな。みんなで一歩ずつ進んできたから今のIWAKURAがあんねん。それを売るだななんて簡単にゆうくれるな。お金なんかに変えられへんねん」
しかし、悠人の主張は変わりません。
「わからん親父やな。なんでみんな損切できへんか教えたろうか。自分の失敗認めるのが怖いからや。せやから親父も現実に向き合って、工場売るのを考えたらどうや」
流石にお父ちゃんも怒り出しました。それでも、悠人は止めることができません。
「話しにならん。金に換えられんとか甘いことゆうて、結局親父は現実見る勇気ないねん」
それを聞いた舞は、「お兄ちゃんやめて」と悠人を制止しました。
「俺が悪い?心配してゆうてんねん」
悠人の正論は、正論だからこそ、受け入れられないのでした。そして、お父ちゃんに「帰れ!」と言われ、悠人は帰って行きました。
合理的な悠人
後日、舞は悠人をノーサイドに呼び出しました。
「お兄ちゃんも、心配して来てくれたんやろ。力になりたいって、ちゃんと伝わるようにゆうたらええやん」
舞はついついお説教モードになってしまいました。そう言われた悠人は、帰ろうとします。それを呼び止める舞。
「あんなお兄ちゃん。一緒に考えて欲しいねん。工場立て直す方法」
しかし、悠人の答えは「断る」でした。悠人は、被害を最小限にして、工場を売ることが必要だと考えていました。ただ、お父ちゃんも舞も受け入れることはできません。
「なあお兄ちゃん、私らちいっちゃい頃から、お父ちゃんずっと工場で働いてたやろ。朝から晩まで、休みの日も。そうやって工場、ちょっとずつ大きくして、いつか飛行機の部品作るっていう夢に近づいて。その大事な工場売れって言われても、お父ちゃん売れへんと思う。それだけやないで、お父ちゃんは工場で働いている人たちのことを考えて、このピンチ乗り切ろうとしてんねん。工場売ってしまったら、みんな働くことなくなるやん。家族みたいにずっと働いてくれた人やのに」
舞がいくら言葉を尽くしても、悠人には響きませんでした。
「甘いな。親父がどんだけ工場のこと大事に思っていようが関係ない。利益が出されへん会社は潰れるしかあらへん」
無責任
悠人の合理的な考えに、さすがの舞も怒ります。
「なんでそんなに冷たいんよ。他人事みたいに」
しかし、悠人はブレません。
「お前にとっても他人事やろ」
舞は本気で言い返します。
「ちゃうよ。工場のために何でもやれることはやりたいと思ってる。せやから、商品梱包の仕事、始めた」
それでも、悠人には響きませんでした。
「それはお前の自己満足やろ。お前来年にはパイロットになって家出て行くんやろ。その後、工場がどうなるのか考えたことがあんのか」
その言葉は、舞の核心を突く言葉でした。舞は何も言えなくなってしまいます。
「お前のやってることは、その場しのぎの親切やねん。どうせ手を放すなら、はなから助けん方がええ。無責任やぞ」
何も言えない舞を置いて、悠人は帰っていきました。
柏木の声
舞は何も言えないまま、ぼーっと座っているしかありませんでした。悠人が頼んだアイスは、テーブルに置かれたまま溶けてしまいました。
そこに久留美がやってきました。
「舞?アイスえらいことなってるで。あ、柏木さんと何かあったん?」
舞は久留美に悟られないように明るく「ちゃうよ」と答えました。そして、たまにメールしてることを伝えます。
「メールだけ?あんな、遠距離恋愛ってのはな、細目な連絡が絶対いんねん」
しかし、久留美も遠距離恋愛の経験がある訳ではありません。患者が言っていたことの受け売りです。
久留美にそう言われた舞は、家に帰ると柏木に電話してみます。
「もしもし、舞?どうした?」
柏木の声を聞いて安心する舞。柏木は舞の様子がおかしいことを感じ取って、何かあったかと聞きます。
「今、うちの工場大変やねん。せらやから、しばらく手伝うことにしてん」
それを聞いて、柏木は慰めの言葉を掛けることもできませんでした。
「そうか。パイロットには・・・なるんだよな?」
柏木からの問いかけに一瞬、舞は答えられませんでした。しかし、「なるよ」と明るく言うしかありません。
「勘が鈍らないように勉強もしておけよ」
そう言われ、舞は「うん」と答えるのが精いっぱいでした。
リストラ
「社長、今回の仕事が上手く行ったとしても、これで全て解決するわけやありません」
経理担当に声を掛けられたお父ちゃん。新規案件の受注はしましたが、売り上げが回復するまでには時間がかかります。
「間に合いません。今、人員整理しな、工場がもちません」
しかし、お父ちゃんは「それだけはできへん」と言って断ります。しかし、経理担当は、それでもお願いしますと強く迫ります。
そこにお母ちゃんが昼食から帰ってくると、お父ちゃんは話しを止め、出て行ってしまいます。
「なんかあったん?」
お母ちゃんは不穏な空気を感じ取り、経理担当に話しを聞きました。
「リストラを進めて欲しいと話しました。どうしても従業員を守りたいという気持ちは、ようわかります。せやけど、今リストラせな、IWAKURAはここで終わってしまいます。奥さんからも説得してもらえませんか?」
その会話を立ち聞きしている人がいました。前に舞に嫌味を言った女子従業員です。
沈みそうな船に乗っている仲間
その女子従業員は、食堂で食事をしている舞の席に座りました。そして、座るなり、頭が痛いと言い出します。
「頭痛い。ただの二日酔いです。昨日合コンで」
舞はスポーツドリンクを買ってきましょうかと言います。
「私にゴマ擦る必要ありませんよ。どうせ短い付き合いやし。お嬢さんが辞めるのが先か、私が辞めさせられるのが先か」
そういう女子従業員は「またリストラされる」と舞に伝えます。
舞は、心配そうな顔をするのでした。
「そういうの、なんかイライラするんですよね。私も沈みそうな船に乗ってる仲間、みたいな顔されんの。一人だけ救命胴衣着てるのに」
そんな嫌味を言われ、舞は何も言い返すことができませんでした。
諦めたくはない
舞は夕飯の時に、お父ちゃんに聞いてみます。
「なあお父ちゃん、また誰か辞めるの?」
しかし、お父ちゃんは「誰も辞めへんで」と答えます。
それを聞いたお母ちゃんは、お父ちゃんを刺激しないように優しく言うのでした。
「工場潰れてしもたら、従業員全員の仕事、無くなんで。それやったら、リストラの方がまだましなんと違うかな」
お父ちゃんは覚悟を伝えます。
「お父ちゃんな、機械は売っても仕方ないと思ってるわ。せやけどな、一緒に働いてきた仲間をクビにできへん。それだけはあかんねん。まだなんか手はあるはずや。諦めたくはない」
その時、お父ちゃんは苦しみだして、うずくまってしまいます。そして、医者にもらった薬を飲みました。
合格
舞は商品梱包の仕事をしていて、不良品を見つけました。それを現場に知らせに行きます。そこで、みんなが機械を囲んでいました。
「試作品の開発、この2、3日壁にぶつかとってな。でも結城がな、ええこと思いついたんやて」
そして、アキラが調整した機械からネジは、良さそうな雰囲気です。
「この方向でいけそうやな。アキラ、ようやった」
お父ちゃんは、できたネジに満足のようでした。
それからしばらくして、お父ちゃんが電話を受けていました。
「そうですか、ありがとうございます」
取引先からの電話でした。お父ちゃんは食堂へ行くと、みんなに伝えます。
「試作品、合格や。しっかり食べといてや。これから忙しくなんで」
その時、アキラが社長に声をかけました。仕事終わりに話があると伝えていました。
退職届
お父ちゃんとアキラは、会議室で話しています。アキラは、退職届を出しました。
「扇さんから、うちで働かへんかって誘われたんです。社長には、18の頃から散々お世話になって、こんな形で辞めるのは、ホンマ申し訳ないと思ってます。せやけど、3人育てるのは、お金がかかって」
アキラが自分で決めたことです。お父ちゃんは「もう決めたことなんやな」と、受け入れていました。
「恩を仇で返してしもて」
アキラはそう言いますが、お父ちゃんはそうは思っていません。
「それはちゃうな。チャラチャラしてたお前が、どんどん腕を上げていくのが楽しゅうてな。もう十分、恩は返してもらった。他所に引き抜かれるのは悔しいけどな、それほどの腕間になったってことや。誇らしいで」
アキラは何も言うことができませんでした。
お父ちゃんは「わかった」と退職届を受け取りました。
漫才コンビみたいやな
その夜、お父ちゃんは笠巻を誘って梅津で飲んでいました。しかし、胃潰瘍もあって、お父ちゃんは水を飲んでいます。
「はぁ、こんな時にお酒飲まれへんなんてな。会社立て直すから行くなって言えへんのが、ホンマ悔しいわ。いや工場、どないもならへんかもな」
そう言われても笠巻はいつものように、どんと構えています。
「しゃあない、そん時はそん時や」
そんな二人の会話を聞いた勝は、お父ちゃんに提案します。
「いざとなったら、一緒にお好み焼き屋やったらええねん。名前も梅津岩倉に変えたる」
お父ちゃんは「漫才コンビみたいやな」と苦笑いします。そうすると、勝は「漫才でもええで、一緒にやったる」と言って、お父ちゃんを励ますのでした。
決断
アキラが退職し、舞はいつものように検品と梱包作業をしていました。
そこに課長がやってきて、緊急の会議に行ってくると舞に伝えました。
会議の内容は、試作が合格し、量産化についてです。
「試作の合格もらった仕様で量産に入ります。あちらさんの話やと、注文は月に100万本以上になるっちゅうことや」
お父ちゃんは、顧客からの情報をみんなに伝えました。しかし、機械をフル稼働させても1日にできるのは、せいぜい5万本です。そして、納期は2週間後というのです。もう作り始めないと間に合いませんが、まだ本注文がきてません。本注文の前に作り始めるのはリスクがあります。
「本発注を待ってて納期間に合わんかったら、それこそ大事な取引先なくすことになる」
そう言われ、お父ちゃんは悩みました。
「作り始めよう」
お父ちゃんはリスク覚悟で、そう決断しました。
裏目
取引先から、お父ちゃんに電話が入りました。
「お世話になってます。この前お願いした試作品なんですけどね、設計が変更になりまして。せやから、申し訳ないんですけど、本注文はなしということでお願いします」
お父ちゃんは食い下がりますが、決定は覆るはずもありません。お父ちゃんは、取引先に向かいました。
「設計が変わった以上、ネジも変えることになりましてね」
担当者はそう言って、仕様が変更になったと言うのです。
「そんな、本発注に向けて、もう量産してるんです」
お父ちゃんはなんとか食い下がります。
「それは、うちがお願いしたことではありませんから」
お父ちゃんはリスク覚悟で量産に踏み切った訳ですが、それが裏目に出てしまいました。
「あれだけ在庫抱えてしもたらうちは終わりです。なんとかしてくれませんか?」
何とか決断を覆そうとしますが、覆ることはありませんでした。
夢に向かって
帰ってきたお父ちゃんは、一人機械を見て回っていました。心配した舞がやってきます。
「大丈夫?」
舞はそう声をかけました。
「今はちょっとな。大丈夫やないな」
怒る訳でもなく、悲しむわけでもなく、お父ちゃんは気丈に振る舞っています。舞は発注が亡くなったことを聞いていました。
「今までで一番しんどいわ。けどな、ココ無くすわけにはいかへん。ここはな、おじいちゃんの代から、IWAKURAで働いてきた全員で作った工場なんや。今までに何億っていう数のネジ、作ってきたんやろな。どんなネジ作ったかも、全部記録してあんねんで。笠やんなんかな、難しネジ頼まれたら、27年前に作ったあのネジがヒントになるんやないかって、記録探しに行ったりしてな」
お父ちゃんは工場に対しての思いを舞に聞かせました。
お父ちゃんのアツい思いに、舞も応えたい気持ちでいっぱいです。パイロットを諦める覚悟をしていたのかもしれません。しかし、お父ちゃんはこれ以上、舞に手伝ってもらう訳にはいかないと思っていました。
「舞、お父ちゃんはな、舞が自分の夢に頑張ってるのが嬉しいねんで。悠人もいつか、ホンマの自分の夢見つけてくれるって信じてるわ。舞はパイロット目指して頑張ったらええねん」
戻らなかったもの
お母ちゃんは電話をしていますが、相手は出ませんでした。そこに舞がやってきました。
「まだ起きてたん?」
お母ちゃんは電話を切ると、舞に聞きました。
「なんや寝られへんかって。お母ちゃん電話してたん?」
お母ちゃんは工場に電話していたのですが、お父ちゃんが電話に出ないと言うのです。心配になったお母ちゃんは、工場に見に行くことにします。舞も気になって一緒にいきます。
工場には誰もいません。しかし、事務所の電気はついていました。お母ちゃんは事務所にはいると、舞も続きます。そこで、お父ちゃんが倒れているのを見つけました。
救急車を呼ぶと、病院に行きました。すぐに手術が始まります。
舞とお母ちゃんは待合室で手術が終わるのを待っています。
手術中のランプが消え、先生が出てきました。
「パイパスの手術をしましたが、心臓の動きが戻ってきませんでした。手は尽くしましたが、大きな発作で、お助けできませんでした」
愕然とするお母ちゃん。
「うそやん。嘘やんな。。。。」
そう言うと顔をしわくちゃにして泣き出してしまいます。そして、舞と一緒に座り込んでしまいました。
最後に
新年早々、怒涛の展開になりました。
工場を守ろうと必死だったお父ちゃん。しかし、志半ばで倒れてしまいました。
舞は、どうするんでしょう?
そして、悠人は工場へ投資をしてくれるんでしょうか?
お母ちゃんは・・・立ち直れるのでしょうか?
ショック過ぎて、ちょっと頭が追い付きません。
工場を売って、五島に帰ったらいいんじゃないかなって思います。でも、お母ちゃんはお父ちゃんの遺志を継ぐのでしょうね。
来週からは週5話の通常に戻ります。どうなるのでしょうか?