決断の時 は第15週のサブタイトルです。
急に亡くなってしまった舞の父・浩太。しかし、会社に借金が残り、働く従業員も残っています。
そして、残されたお母ちゃん、舞、悠人は、どんな決断を下すのでしょう。
そんな第15週のまとめです。
主な登場人物
岩倉舞 福原遥 パイロットを夢見る学生
梅津貴司 赤楚衛二 舞の幼馴染、旅人で歌人
望月久留美 山下美月 舞の幼馴染、看護師
才津祥子 高畑淳子 舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太 高橋克典 舞の父、株式会社IWAKURA社長
岩倉めぐみ 永作博美 舞の母
岩倉悠人 横山裕 舞の兄、天才投資家
梅津勝 山口智充 貴司の父。浩太の幼馴染のお好み焼き屋
梅津雪乃 くわばたりえ 貴司の母。勝の妻
望月佳晴 松尾諭 久留美の父。元ラガーマン
笠巻久之 古舘寛治 IWAKURAのベテラン従業員
結城章 葵揚 IWAKURAのベテラン従業員
第15週のストーリー
訃報
五島に住むおばあちゃんはお父ちゃんの訃報を聞くと、大阪に行こうと出かける準備をしていました。
出かける前、仏壇の前でお父ちゃんと話したことを思い出しました。
「お母さん、僕はめぐみさんがいたからこれまでやってこれたんです。子供達も元気に育って、工場も大きできて。僕、めぐみさんを幸せにするつもりが、幸せにしてもろてました」
そんな感慨にふけっているところに貴司がやってきました。
「おっちゃん、亡くなったって?なんで?」
おばあちゃんは説明します。
「心筋梗塞ってゆちてた。今から大阪に行ってくるけん」
それを聞いた貴司は、一緒に行くと言うのでした。
母の強さ
葬式も終わり、お骨を持って帰ってくる岩倉家と隣の梅津家の一同。
「いろいろお世話になって、ありがとうございました」
お母ちゃんが梅津の人達に挨拶すると、舞たちも一緒に頭を下げます。
「めぐみさん、ちゃんと寝た方がええよ」
雪乃にそう声を掛けられ、お母ちゃんは気丈に笑うだけでした。そして、貴司は舞にしばらくこっちにいると伝えました。
家に帰り、位牌を前に涙が溢れてくるお母ちゃん。それをおばあちゃんが優しく抱きしめます。
「こがんなことになって。こがんつらいことってあるとやろか。母ちゃん、よお耐えられたねぇ。父ちゃん死んだ時」
そう言われ、おばあちゃんは答えます。
「めぐみがおったけん。まだ中学生で、めぐみばちゃんと育てんばっち、それだけば考えて夢中で働いとった」
やっぱり母は強かったのです。
保留
ひと段落すると、お母ちゃんはテーブルで名刺見ながら連絡していない人がいないか、チェックしていました。その向かいでは、悠人が仕事のメールをしていました。
舞がお風呂から上がってくると、お母ちゃんを手伝おうとします。しかし、手伝ってもらうほどのことではありません。そんな時、メールが終わった悠人が切り出しました。
「工場どないすん?こういう話しは早い方がええ。俺もしょっちゅう帰って来られるわけやないし」
それを聞いて、舞は悠人をたしなめます。
「お母ちゃんのこと考えて。お葬式終わったばっかりやで」
しかし、悠人も悠長にしている訳にはいきません。悠人は「売るのが一番ええって」と、お母ちゃんに決断を求めました。
「せやけどな、悠人。お父ちゃんは工場、売るつもりなかった。立て直すことだけ、考えてた。そのお父ちゃんの気持ち、大事にしたいねん」
舞もなんとか続けられる方法がないかと悠人に訊ねます。
「親父がおらんようになった今、状況は悪なってんねん」
お母ちゃんはすぐには決められず、回答を保留しました。
悠人の気持ち
悠人は、自分の部屋に座ってお父ちゃんのことを思い出していました。最後に会ったのは、帰れと言われて帰った時です。
そこにおばあちゃんがやってきました。
「悠人や、工場売った方がよかっち思っちょっとね。継ぐつもりはなかとか」
おばあちゃんの問いかけに食い気味で悠人は答えました。
「無いです。俺の仕事は投資やし、この世界で一流になるために努力してきたんです。投資家として冷静に計算して、今工場を売るのがベストやと判断した、それだけです」
それを聞いても、おばあちゃんは悠人を否定することはしませんでした。
「賢かね。じゃばってん、人間やバカ力が出る時もあっとぞ。向かい風が強かげんが、強くなることもあっとさ」
以前にもおばあちゃんは似たようなことを言っていました。
念書
お父ちゃんの訃報を聞いて、信用金庫がやってきました。
「こんな時に恐縮ですが、ご主人の代わりは誰になる予定でしょうか?」
お母ちゃんは、まだ決まっていないことを伝えます。
「たしか息子さんがいらっしゃいましたよね」
しかし、悠人は継ぐつもりはありません。
「それなら会社を畳むという選択肢もあります。今、会社を畳まれた場合、融資している全額をご返済していただける可能性が高いです。私共はこの選択肢が岩倉さんにとって、決して悪いものではないと考えております。決断が遅くなると資産価値が下がって、会社を畳んでも借金が残ってしまうリスクがあります」
信用金庫としては、貸したお金を返してもらう方法を考えていたのでした。しかし、お母ちゃんはまだ決められていません。
「けど、今すぐには。主人はこの工場、なくしたないっていう一心で苦労を重ねてまいりました。もうちょっと、待っていただけませんでしょうか?」
そこに舞がお茶を運んできて、同席しました。
信用金庫は、責任の所在をはっきりさせるために、念書を書くようにお母ちゃんに言います。
「こちら念書です。今後、会社をどうするにせよ、今ある仕事を続けるために責任の所在をはっきりさせておく必要があります。奥さんが社長代行をするという念書です。こちらに名前と日付をお願いします」
おかあちゃんは、念書に署名し捺印しました。
お父ちゃんの靴
舞が工場から家に帰ってくると、出しっぱなしの履物を下駄箱にしまおうとしました。その時、お父ちゃんの履いていた革靴が目に入ります。お父ちゃんが靴を磨いていた時のこととが甦ります。
舞は涙を流していました。そこにお母ちゃんが帰ってきます。
「舞、どないしたん」
そう聞かれた舞は、お父ちゃんの靴を抱きしめながら言うのでした。
「靴、あんのに、お父ちゃん・・・」
そんな舞を見て、お母ちゃんも一緒に涙を流すのでした。
笠巻の後悔
社長代行をすることになったお母ちゃんですが、早くも会社をどうするのか決断を迫られていました。
舞は検品と梱包の仕事を続けています。その時、課長がやってきて、財務担当の古川が辞めることを舞に伝えました。
頼りにしていた古川が会社去り、お母ちゃんはは更なる窮地に立たされました。そんなお母ちゃんは、笠巻に相談しました。
「めぐみさんはどないしたいです?」
梅津のテーブルに二人で座ると、笠巻にそう聞かれました。
「できることやったら、会社続けたいと思ってます。それが、社長の願いやったし。けど、会社続けるんやったら、私が社長やるしかない。それは、無理だと思うんです」
お母ちゃんの言うことを聞いて、笠巻はお父ちゃんが工場を継いだ時の話しをしました。
「社長が先代から工場継いだときな、俺は無理やと思ってんで。ネジのこと何も知らん若い奴が、ちっちゃい工場どこまで守れんねん。持ってせいぜい1年、2年やろな。せやのに社長は2年どころか、30年も守り続けて、こないおっきい工場にした。大したもんや」
しかし、そのお父ちゃんの頑張りが笠巻にとっては、後悔する部分でもありました。
「せやけどな、そない頑張らへんかったら、社長はまだ元気やったかも知れん。せやよって、めぐみさん無理することあらへんねん。自分と舞ちゃんのことをよう考えてな」
そう言われ、お母ちゃんは更に考え込むのでした。
お母ちゃんの決断
先日会社を辞めた章が、線香を上げに来ました。
「お葬式に伺われへんかって、ほんますみませんでした。これから、IWAKURAはどないなるんですか?」
章の率直な問いかけに、お母ちゃんは「畳むわ」と答えました。
舞は、お母ちゃんが畳む決断したことに驚いています。
「お母ちゃん、ホンマに工場辞めんの?なんで?まだ助かる方法、あるかもしれへんやん」
舞に聞かれ、お母ちゃんは答えました。
「お父ちゃんやったら、そうやな工場立て直せたかもな。けど、お母ちゃんには無理や。時間が経つにつれて、状況は悪なる一方やろう。悠人が言うように今売っといたら、何年かでも会社残れるかもわからへんしな」
しかし、舞には受け入れることができません。
「ずっと、ずっと工場守るって頑張ってきたやん。今売ってしもたら・・・」
それでも、お母ちゃんの決断は揺るぎません。舞に「他に方法があらへん」と答えました。
お母ちゃんの決断を舞は必死に覆そうとしますが、それをおばあちゃんが止めました。
「舞、めぐみも悩んで決めたことやけん」
親孝行
舞はお母ちゃんの決断を、一人部屋で悩んでいました。その時、柏木から電話がかかってきました。
「今、話せるか?どうしてるか心配でさ」
舞は、素直に自分の気持ちを伝えます。
「ごめんな。あんな、うちの工場畳むことになってん。お父ちゃんがおらんようになって、工場までなくなるとか、ホンマしんどいわ」
それを聞いた柏木は、舞のそばに行こうかと言います。
「ううん、大丈夫。私より、お母ちゃんの方がずっとしんどいと思うねん。もっと力になりたいのにどないしたらええんか」
柏木は「パイロットになって、親孝行すればいい」と舞に伝えます。
しかし、舞は「うん」と答えたものの、どうしても踏ん切りがつかないのでした。
説明会
お母ちゃんの決断を、社員を集めて説明しました。
「IWAKURAを畳むことに決めました。本当に申し訳ございません。今、この会社を丸ごと引き受けてくれる人を探してます」
社員は、自分達のことが不安でたまりません。丸ごと引き受けてくれる会社があれば、そのまま残れる可能性があるのです。しかし、リーマンショックのこの時期に、そんな会社があるかどうかもわかりません。
「主人は常々、IWAKURAの技術力はどこにでも誇れるもんやってゆうてました。絶対、見つかるとお持てます。せやからみなさん、今ある仕事、最後までやってもらえへんやろか。どうか、よろしくお願いいたします」
頭を下げるお母ちゃん。笠巻はすぐに「わかった。精いっぱいやろ」と声を上げてくれました。その声に社員は、みんな賛同するのでした。
その声を聞いたお母ちゃんは、最後に連絡事項を話します。
「それから、信金の方々が工場を見にきはります。なんや落ち着けへんことかもしれへんけど、いつも通り仕事して下さい」
信用金庫がくるのは、この工場にどれだけの価値があるかを見に来るためです。
おばあちゃんの船
キッチンでおばあちゃんとお母ちゃんが二人で話していました。
「明日、帰ろうかとおもっちょる。家のこともせんばやし、船の仕事もある。大丈夫ね?」
お母ちゃんは笑顔で答えました。
「およ、来てくれてあんがと。ざーんまに助かった。船の仕事、大変じゃなかと」
年齢も考えて、お母ちゃんはおばあちゃんにそう問いました。
「平気たい。40年も続けてたら、やすんでる方が落ち着かんとさ」
それはお父ちゃんも言っていたことでした。
「母ちゃん、父ちゃん死んだ時、どうして船ば引き継ごうかと思ったと?」
おばあちゃんは、ちょっと懐かしむような顔で話すのでした。
「一緒になってからずっと、ユウイチさんとあの船で漁ば出てったけん、どうしても売る気になれんかったとさ。ユウイチさんとの思い出が、ざーまに詰まっちょる。あん船にのれば、今もまだ二人で働いてる気がすっとさ」
どこにいてもトビウオ
舞は、久留美と貴司と一緒にノーサイドに来ていました。
「そっか、工場無くなんのか。おばちゃん、大丈夫?」
お母ちゃんは忙しそうに働いていますが、そんなにすぐに立ち直るとは思えません。
「もっと、母ちゃんの力になりたかったのに悔しいわ。柏木さんにな、パイロットに成るのが親孝行や言われた。けど、お母ちゃん置いて、私だけ前に進んでええやろか」
舞は葛藤していたのです。素直に話せる幼馴染に、やっと自分の気持ちを伝えることができました。
「え、待って。パイロット、諦めるつもり?諦めて、舞に何ができるん?ごめん、言い方悪いな。せやけどな、舞には自分のやりたいこと、諦めんといて欲しいねん」
久留美は、せっかく航空学校を卒業したばかりの舞のことが心配です。
「私は、お母ちゃんを助けたい。工場なくなんのも嫌や。今はそれしか考えられへん」
舞がそう答えると、貴司は独特の表現をするのでした。
「ほな、そないしたらええやん。誰かのために頑張ってる舞ちゃん、幸せそうやし。あんな、トビウオは水ん中おってもトビウオや」
それは貴司が舞に送った絵葉書に書いた短歌の表現でした。しかし、久留美はそれを知りません。どういう意味かと貴司に訊ねます。
「歌人に解説求めるのは野暮やで」
そんなやりとりも、幼馴染だからこそできるやりとりです。
歩みノート
翌朝、貴司はおばあちゃんと一緒に五島に帰っていきました。
舞は変わらず工場で働いて、事務所へ行くとお母ちゃんはいませんでした。
舞は、お父ちゃんが使っていた机に触れみます。その時、机の下に段ボールがあるのを見つけました。入っていたのは、お父ちゃんが書いていた「歩みノート」です。
そのノートは、岩倉螺子製作所から株式会社IWAKURAになった時から、お父ちゃんが着けているノートです。ネジのアイディアや日々のことを日記のように書いていました。舞はパラパラとめっくて見ます。
「昨夜舞から、初フライトがうまくいったとメールあり。舞が夢に向かって一歩ずつ進んでいくのが嬉しい。どんなパイロットになんのかほんまに楽しみや。僕は子どもの頃から飛行機が好きで飛行機の部品を作るのがずっと夢やった。せやけどこの年になって新しい夢ができた。舞が乗る飛行機にIWAKURAの部品を載せたい。舞が安全に安心して飛べる部品を作りたい。それが僕の夢で僕にできる応援やと思う」
そんなお父ちゃんの気持ちを知った舞は、一人「ごめんな、お父ちゃん」とつぶやくのでした。
二度と取り戻せない
舞は決意を固め、悠人を訪ねました。
「IWAKURAに投資して下さい」
そう言って頭を下げた舞。しかし、悠人は「断る」と即答するのでした。舞がその理由を尋ねると、至極まともな答えが返ってきました。
「投資家として判断したからや。会社続けるんやったら、経営者になるのはお袋やろ。無理や」
舞はお母ちゃんが社長になるなら、自分が支えると悠人に言います。
「お前な、あんなちっちゃい工場のためにパイロット諦めるなんてアホなんか」
舞は工場がなくなることになっても、寂しくないのかと悠人に訊ねますが、悠人は「ぜんぜん」と意に介しません。
「工場無くなってしもたら、もう二度と取り戻されへんねんで。後から悔やんでも遅いんやで。ケンカしたまま二度と会われへんくなったんと同じで。お兄ちゃん」
悠人の心残りを舞は、敏感に感じていたのです。痛い所を突かれた悠人は「はよ帰れ」と追い返そうとします。
「もうええわ。私とお母ちゃんで何とかする」
そう啖呵を切った舞に悠人は、売り言葉に買い言葉で言わなくてもいい言葉を言ってしまうのでした。
「それは良かった。俺もそれどころちゃうからな」
舞は、もう何も言わず出て行きました。
お母ちゃんが間違ってた
夜、お母ちゃんが舞の部屋へ行くと、舞は机で寝ていました。手元には、お父ちゃんの歩みノートがあります。
お母ちゃんは歩みノートを見て、改めてお父ちゃんの不在を感じのでした。
翌朝、起きてきた舞は、朝早く工場に行こうとするお母ちゃんと会いました。
「視察来る前に掃除しておこうとおもて」
お母ちゃんと一緒に舞も工場に行くと、朝早くに工場が開いていました。工場には、従業員がすでに出勤して工場を掃除していました。
「社長が残したもん最高の状態で見せんとあかんよってな」
それがIWAKURAのプライドです。お父ちゃんが言っていた「ええ仕事は機械の手入れから始る」を実践していたのでした。
そして、信用金庫の視察がきました。お父ちゃんがいた時のように活気ある工場になっていました。その工場の雰囲気を見て、お母ちゃんは考え直すのでした。
「舞、お母ちゃんまちごうてた。会社、潰せへん。続ける」
その言葉に泣き出す舞。
「私も手伝う。梱包の仕事だけやなく、事務でも経理でもなんでもやる。お母ちゃんと一緒に頑張る」
決断と覚悟
お母ちゃんは、決断したことを信用金庫に説明しました。
「IWAKURA続けたいと思ってます。私が社長になります」
しかし、信用金庫は無謀だ言って反対します。ただ、信用金庫側にも味方はいました。若い社員が後押ししてくれました。
「あの、僕は、奥さんやったら社長が務まるんやないかと思います。ずっと岩倉社長の近くで経営を見てきましたし、技術について詳しくなくても笠巻さんや職人さんが助けてくれると思うんです」
若手社員にそう言われ、信用金庫の上司はお母ちゃんに覚悟を聞きます。
「当面の運転資金はどうされるんです?当信用金庫では、これ以上融資の返済を待つことはできません。資金のあてはあるんでしょうか?」
お母ちゃんはお父ちゃんが残してくれた生命保険を当面の運転資金にする覚悟です。
それでも、当面の運転資金でしかないので、信用金庫はリストラをすることを要求するのでした。
覚悟を決める時
お母ちゃんは、社員を集めて大事な話しをします。
「みなさんにご報告があります。岩倉の身売りは辞めました。私が経営を引き継ぎます。主人がみなさんと一緒に大きいしてきたこの工場、託したないからです」
しかし、従業員の反応は否定的でした。
「お気持ちはわかりますけど、奥さんが経営って無茶やわ」
「これ以上赤字がかさんだら、リストラされる人が出てくるんちゃいますの?」
「奥さん、社長はリストラだけはせえへんって頑張ってきはったんやで」
「そうですよ、社長の遺志はどうなるんですか?」
いろんなことを言いだす従業員を遮って、笠巻が発言します。
「ちょっとみんなええか。確かに社長はリストラせんでもええように頑張りはった。けど、頑張って頑張って、俺らのこと守ろうと無理重ねて、亡くなってしまいはったんや。めぐみさんは、覚悟決めてここに立ってはる。俺らも覚悟決める時とちゃうか?」
笠巻の言葉を聞いて、文句を言うのを止めて、みんなは考えるのでした。
リストラ
事務の仕事を教えてもらう舞。そこに営業の従業員が帰ってきました。
「ヤスナカ工業さんが来月で取引停止したいって」
お父ちゃんからお母ちゃんに社長が変わって、先行き不安ということで取引を止めたいというのです。
お母ちゃんは営業と一緒に直接行ってかけあいましたが、結果は変わりませんでした。
夜、お母ちゃんは履歴書見て悩んでいました。
「新規受注どころか、お得意さん1件無くしてしまった。最低でも3人リストラせんとあかん。辞めてもらう3人にはちゃんと再就職先も探してな」
お母ちゃんは徹夜して、3人を選びました。
2人との面談はすんなり行きましたが、残り1人の小森だけが退職を受け入れてくれませんでした。
取柄
それから1ヶ月経ちました。舞は、知り合いの会社に電話して再就職先を探します。しかし、どこも人手が足りてると言われてしまいます。
ある日、遅く帰ってきたお母ちゃん。嬉しそうな顔をしていました。
「再就職先、見つかった。2人共。あとは小森さんやけど、強引には進められへんしな」
そんなお母ちゃんのために、舞は小森を説得しようとします。
「そういうのあかんのとちゃうか?会社辞めろって圧力かけるの、あかんやろ。俺はそんなにこの会社にとっていらん人間なんか?前の社長はこんなことせえへんかった」
小森は舞の前から去っていきました。そこに笠巻がやってきて、一緒に食事を取ります。
「小森かて、会社困らせたい訳やないねんで。たぶんプライド傷ついたんや。納得のいく会社見つかったら、気も変わるんちゃうかな」
舞は小森のことを笠巻に聞きました。
「小森はな、飛び抜けた技術がある訳やない。けどな、あいつは一切手を抜けへんのや。どないつまらん仕事言いつけられても、腐らんでようやる。立派な取柄や」
それを聞いて、舞は再就職先を探すのでした。
小森のプライド
舞は近所の工場の人に会って、梅津で話しを聞いてもらいました。
「職人の再就職先ね。すまんな、うちで雇ってやれればいんやけど」
そして、小森の特徴を聞くと「金属加工がよさそう」と言って、知り合いのナガイを紹介されたのでした。
しかし、小森は「探してくれって、俺頼んだか?」と拒否します。
「いえ、実はナガイさんに小森さんが働いてるところ見てもろたんです。小森さんのこと、しっかりとしたええ職人さんってゆうてはりました。勝手にすみません」
小森はお守りを取り出すと、その中からネジを取り出しました。
「これな、俺が作って初めて褒められたネジや。あんたのお父さん、これがIWAKURAのネジやってゆうてくれはってな。IWAKURAのネジは他と違う、金型の調整を徹底的にやるから、ネジの立ち上がりがぜんぜん違う。ここで働いてるっちゅうことが、俺の自慢でな。せやのに。。。けどな、俺が辞めなIWAKURAが潰れてしまうんやったら、しゃあないわ」
そう言うと、小森はなんとか受け入れてくれました。
「小森さん、私戻ってきてもらえるように精一杯頑張ります」
舞は小森にそう約束するのでした。
別れ
舞が工場から家に帰ってくると、家の前に柏木がいました。柏木が何度も電話していても、連絡がつかなかったので、やって来たのでした。
「ちょっと話したくて」
そう言うと舞と一緒に近くの公園に行きました。その姿をお母ちゃんは見ていました。
「工場を続ける?博多エアライン、どうするんだ?」
柏木は核心に切り込みます。
「内定、辞退する」
苦しそうに絞り出す舞。
「どうして?あんなに頑張ったじゃないか。パイロットになるために一生懸命勉強して、訓練して、誰よりも空飛びたがってた。今パイロットを諦めたら後悔する。違うか?」
柏木は論理的に話しますが、舞の気持ちは変わりません。
「後悔するかもな。けど、今ここ離れたら、絶対後悔する。お母ちゃん助けて、工場立て直したい。それが、今の私にとっての一番大事なことや」
その言葉で柏木は、理解しました。
「本当に決めたんだな。本当はさ、かすかにそんな気がしてた。でも、そういう舞だから、好きだった。短い間でも、一緒に空目指せて幸せだった。頑張れよ」
舞が「柏木さんも」と言うと、柏木は帰って行くのでした。
ほんまにええの?
家に帰って部屋で一人泣く舞。そこにお母ちゃんが入って来ました。
「柏木さんとなんかあったんやな」
泣きながら舞は話します。
「別れた。目指すものが違ってしもた」
お母ちゃんは舞を悲しませるために工場を継ぐことを決めた訳ではありません。舞は、お母ちゃんの気持ちがわかったので、小森のことを伝えました。
「お母ちゃん、小森さんがナガイさんの所で働いてくれるって。小森さんと約束してん。戻ってきてもらえるように精一杯頑張るって。一緒に頑張ろう」
お母ちゃんは複雑でした。しかし、舞の決断を受け入れます。
「ほんまにええの?」
そう言うと、二人で抱き合うのでした。
最後に
舞がパイロットを諦めると聞いて、別れを告げた柏木。柏木は、パイロットじゃないと舞を受け入れられないということなんでしょうか?
歩む道は違っても、舞のことを考えてあげることはできると思うのですが。なんだか柏木にモヤモヤしてしまいました。
そして、新しい登場人物も発表されました。その中に安川というなにわバードマンの先輩がいます。そその安川先輩は、プロペラの作り方を変えた安川先輩でしょうか?気になります。
来週は、舞とお母ちゃんの挑戦のようです。っていうか、悠人はそろそろ協力してくれ。
来週も楽しみです。