新たな出発 舞いあがれ(21) ネタバレ

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新たな出発 は第21週のサブタイトルです。

やっと舞と貴司の気持ちが通じ合った先週。話はどんどんと進んでいきます。

騒音問題となにわバードマンのOBたちとの出会い。貴司の歌集と短歌教室。

そんな第21週のまとめです。

第20週「伝えたい思い」のまとめ。

舞あがれ!公式HP

主な登場人物

岩倉舞   福原遥     IWAKURAの営業
梅津貴司  赤楚衛二    舞の幼馴染、歌人でデラシネ店主
望月久留美 山下美月    舞の幼馴染、看護師

才津祥子しょうこ  高畑淳子    舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太こうた  高橋克典    舞の父、故人
岩倉めぐみ 永作博美    舞の母、株式会社IWAKURA社長
岩倉悠人はると  横山裕     舞の兄、執行猶予中

梅津勝   山口智充    貴司の父。のお好み焼き屋
梅津雪乃  くわばたりえ  貴司の母。勝の妻
望月佳晴  松尾諭     久留美の父。元ラガーマン

笠巻久之  古舘寛治    IWAKURAのベテラン従業員
結城あきら   葵揚      IWAKURAの従業員
リュー北條 川島潤哉    短歌担当編集者
御園純   山口紗弥加   毎報新聞記者
安川龍平  駿河太郎    舞の先輩。伝説の男。市役所職員
渥美士郎  松尾鯉太郎   舞の先輩。なにわ大学准教授

木戸豪   哀川翔     五島 船大工
浦信吾   鈴木浩介    五島 役場職員。めぐみの同級生
一太いった   若林元太    五島 舞の同級生、船大工見習い
山中さくら 長濱ねる    五島 みじょカフェオーナー

第21週のストーリー

結婚

2015年3月7日、貴司と舞の結婚披露パーティが開かれました。場所はノーサイドです。

先週告白したと思ったら、もう結婚。展開が早いような気もしますが、二人の長い付き合いからすれば、付き合っているという関係に意味がないのかも知れません。

そのパーティの前に、舞と貴司はお父ちゃんに結婚を報告していました。

パーティ会場には、懐かしい顔が見えます。

由良先輩と航空学校同期の倫子。

他にも一太と百花に似合ってると言われる、事務員の山田と営業の藤沢。さらに五島からおばあちゃん、信吾、豪、さくらも来ていました。

藤巻とアキラの席は、雪乃と勝と一緒の席です。

舞と貴司は家からノーサイドへ移動しました。ノーサイドに入る前に一呼吸置きます。

「どないしよ、また緊張してきたわ」

舞がそう言うと、貴司は舞と手を繋ぎました。その姿を見て、微笑む久留美。その久留美の先導で、ノーサイドに入ります。

披露パーティ

舞と貴司がノーサイドに入ると、みんなでクラッカーを鳴らして祝福します。

パーティでは、ビュッフェ形式で、食事をしながらみんな楽しそうにしています。

「アリゾナでパイロットされてるんですか?」

倫子が由良にそう質問しました。

「セスナ機でグランドキャニオン飛んでます」

そして、由良は倫子の左手の薬指に飛行機の指輪をしているのを見つけます。

「それ、婚約指輪ですか?おもしろいですね」

倫子のフィアンセはフランス人で、同僚のパイロットなのでした。

パーティも進み、久留美は父・佳晴に電話をしていました。パーティに来ると言っていたのですが、まだきていません。そんな時、ノーサイドの扉が開きまいた。

「ええから入れ」

そういう佳晴に連れられてきたのは、悠人です。裁判が終わってから、久しぶりの再会のようです。

悠人と佳晴が来て、パーティは更に盛り上がりますが、しばらくして悠人がノーサイドから出て行ってしまいました。その姿を久留美は見ています。

めっちゃ嬉しくて、ちょっと寂しい

柏木公園に一人でいる悠人を見つけた久留美は、途中で買ってきたビールを渡します。お金を出そうとする悠人。奢ると言う久留美に「そこまで落ちぶれてへん」と言うのでした。

しかし、悠人は素直にビールを飲みます。その悠人の隣に座って、一緒にビールを飲む久留美。

「これから、なにやったらいいんやろな。俺にできることは、金稼ぐことぐらいで」

悠人の愚痴に久留美は答えます。

「お金稼げるってすごい才能やと思いますけど。うちのお父ちゃんには、ひとつもない才能です」

悠人は「うん」と答えると、久留美は酔って素直な悠人を笑うのでした。

「嬉しかったな。大事な友達と、大事な友達が家族になりました。めっちゃ嬉しくて、ちょっと寂しいです」

久留美はそう言うと、缶ビール飲むのでした。

その頃、パーティはお開きになっていました。岩倉家の表札が「梅津・岩倉」になっています。

そして、家では、お母ちゃんとおばあちゃんが飲みなおしていました。

「急な話やったけん、この半年ずっとばたばたしとったとさ。リフォーム間に合ってよかった」

2階をリフォームして、夫婦の部屋を大きく作ったようです。

「舞がいったたとやろ、ここ住たかっち」

おばあちゃんは、舞がお母ちゃんを心配してくれたんだろうと言うのです。

「舞と、貴司君。私のことも考えてくれたとやろね。突然、一人にならんごと」

そう言うと、二人で乾杯します。お母ちゃんの目からは、自然と涙が溢れだすのでした。

新婚生活

リフォームした部屋で、舞と貴司は二人で過ごしています。

貴司は短歌を詠もうと、ノートとにらめっこしていました。

「今日ええ一日やったやんか。ずっと忘れないやろ。この幸せ、歌の中に閉じ込めようと思ってな。さっきから考えとんねん」

そして、こういう歌にしたなるような幸せをたくさん作ろうと、指キリする二人でした。

そして翌朝、舞と貴司はお弁当を3つ作りました。二人で美味しそうと、朝からイチャイチャしています。

お母ちゃんが起きてくると、二人の姿を見て微笑んでいました。

舞は、先に出かけるお母ちゃんにお弁当を持たせました。

事件

舞が更新しているブログにコメントがくるようになりました。そして、そのコメントを返すのも大事な仕事です。アクセス数も増えていて、嬉しそうです。

そんな時、女性職人の土屋が事務所に飛び込んできました。

「笠巻さんが腰やってしもて。動かれへんようになってて」

舞は、すぐに駆け付け、病院に連れて行きました。

「もうええで、一人で平気やって」

そういう笠巻を置いて行く訳にはいきません。そこに笠巻の娘が迎えにきました。

笠巻は仕事がある中来てくれた娘に「無理せんでええ、帰り」と言うのでした。

「ここまで来てんねんで、送ってく」

親子にしてはぎこちない会話。そんな二人の会話に舞は、口を出すことができないでいました。

その夜、お母ちゃんは舞に笠巻のことを話します。

「あんな、夕方電話あってな。退職したいって。いつ話ししようか迷ってはったみたいでな、今日のことで決めたって。いつまででもいて欲しいってゆうたんやけど、笠巻さん体がキツイって。土屋さんも仕事できるようになったし、自分がいてへんでもIWAKURAは大丈夫やっていいはんねん」

以前から引退を考えていた笠巻、ついに決断したのでした。

笠巻の事情

ある日、出勤してきた笠巻は、みんなに引退の挨拶をしました。

「みんなすまんな。引継ぎはしっかりやらせてもらうよって。わからんことあったら、何でも聞いてくれ」

手をあげる土屋。

「仕事辞めて、なにしはるんですか?」

そんな土屋にツッコミを入れながら、笠巻は答えました。

「だれがプライベートなこと聞けゆうた。まあせなや、家族サービスでもやろうかな」

その後、昼食でも土屋は笠巻に質問攻めをしています。そんな中、従業員の話題は、笠巻の今後です。

「結城さん、笠巻さんて趣味とかあるんですか?」

アキラは「朝から晩までネジのことしか考えてへん」と冗談ぽく答えます。

しかし、笠巻の奥さんは去年亡くなっているのです。そして、嫁に行った娘には、笠巻の孫にあたる男の子が一人。

アキラは舞にだけ聞こえる声で笠巻のことを話しました。

「どうなんやろな、家族サービス。この前笠巻さんがこぼしはったんや。娘さんが実家によりつけへんって。なんや、娘さんのこと奥さんに任せっぱなしやったから、何話してええかわからへんねんて」

娘とのぎこちない会話は、そういう理由があったのでした。

「この前の舞ちゃんの結婚式の後、酔った笠巻さん家まで送ってんけどな。笠巻さん家、プラモデルの箱ぎょうさんあんねん。これまでもな、うちの息子にってよう持ってきてくれはったんやけど、それもほんまはお孫さんと作るために買うてはるんやわ」

騒音と歌集のその後

ある時、営業から戻ってきた舞にお母ちゃんが、市役所の職員を紹介しました。

「実はですね、市内で騒音の苦情がありまして。御社と特定されている訳ではありません。ただ、近隣の住宅の方からお困りの声がありまして、どの工場かわからないので調査に参りました。騒音レベルを測らせてもらってもいいでしょうか?」

困惑するお母ちゃんですが、計測を了承しました。

それがあり、早く帰って食事を作る予定だった舞も、残業になってしまいました。舞は貴司に遅くなると電話します。

「急がんでええで、ご飯作って待ってる」

そう答える貴司は、デラシネで客を迎えていました。着ていたのは、北條です。

「ご飯作って待ってるか、平和な日常だね。血が騒がない?何にも縛られないで放浪して、短歌作りたいて思わない?」

しかし、貴司は「思わないです」と即答します。

北條は「人は変わるんだね」と言うと、ケーキをお祝いと言って貴司に渡します。

それは、貴司の歌集「デラシネの日々」が重版されたお祝いでした。

「ありがとうございます」

淡々とお礼を言う貴司に、北條は文句を言います。

「もっと喜びなよ。歌集が重版されることなんか、めったにないんだよ。異例の売れ行きなのよ。梅津さんって夢ないの?この間、秋月さんが長山短歌賞の佳作もらったじゃない。彼女の夢は100年後も読まれ続ける短歌を作ることなんだって。失恋も自分の力に変えて、いい歌作ってるよ」

家事の分担

遅くまでかかり、騒音の測定が終わりました。

「騒音レベルを測定させてもらったところ、基準の65dB以下でした。現時点で問題はありません」

問題があった場合には、防護壁を作ったり、機械を移設したりしなければなりませんでした。

「今、東大阪の工場、どんどん無くなってるでしょ。空いた土地に住宅が建って、工場と住宅が混在してしまうんですよ。引っ越してきた人はすぐ近くの工場の騒音が気になって、市役所に苦情を入れる。我々が工場に出向く。という訳でしてね」

市役所の職員は、そう説明してくれました。

その夜、夕飯を作ってくれていた貴司。お母ちゃんと舞と貴司で夕飯を食べます。

「IWAKURAも防音壁とか入れなあかんのかな」

舞の疑問にお母ちゃんは、他の工場にも聞いてみると言うのでした。

騒音の話はそこで終わり、貴司の作った夕飯を美味しそうに食べる舞とお母ちゃん。

「このままやったらあかんな。カジの分担決めよ」

舞がそう提案しますが、貴司は手が空いている人がやればいいと言います。

「ううん、そないしてたらな、いつのまにか貴司くんに負担かかることになんのや。工場は残業あるからな」

お母ちゃんも家事の分担には賛成です。

「自分の時間、ちゃんと作って欲しい」

舞の言葉に貴司も納得するしかありません。食後は北條の持って来たケーキを食べることにしました。

オープンファクトリー

新聞記者の御園から、舞は結婚祝いをもらいました。もらったのは、夫婦カップ。

「まだあんまり実感ないんです。仕事も忙しくて。昨日も早く帰るつもりやったのに市役所の方が来られて、結局遅くなってしもって。最近、騒音の苦情が増えてるみたいで」

新婚生活の感想を聞かれた舞は、仕事が忙しいと言うのでした。

そして、舞から騒音問題があると聞いて、御園は東京でもそうだったことを舞に教えてくれました。

しかし舞は、何とかしたいがどうしていいかわからないと素直に答えました。

「オープンファクトリーは?」

御園が提案したオープンファクトリーは、一般のお客さん呼んで、工場を見てもらったり、モノ作りの体験してもらうことです。

舞は早速家に帰ると、お母ちゃんと貴司に相談します。

「大人も子供もきてもらえる、大規模な社会見学」

そう言うと貴司は楽しい気持ちになりました。舞は楽しいだけでなく、住民との間の心の壁を壊すことを期待していました。

「ようしらん人相手だと、疑心暗鬼になる。けど、町の人の工場を知ってもらって、しっかりコミュニケーションとったら、ええ関係築けるんちゃうかってそういうことなん?」

貴司は歌人だけあって、言葉にするのが上手です。舞の考えを補足してくれる貴司のことを、おかあちゃは「ええ味方」と表現していました。

お母ちゃんは、2代目社長が集まる勉強会があるので、ここで相談してみたらどうかと言うのでした。

東大阪の明日を創ろう会

梅津で食事をしながら、「東大阪の明日を創ろう会」は開催されていました。

「あのみなさん、ご相談があります。オープンファクトリー、一緒にやりませんか?」

そう声をかけた舞。オープンファクトリーを説明します。

「町工場って何を作ってるのか、どんな人がいるのか、外から見てもわかりにくいですよね。町の人からしたら、それって不安なんやと思います。オープンファクトリーで工場のこと知ってもろたら、町の人との関係も良くなるんやないかなって」

そして、人手不足解消のためにも、工場を知ってもらう取り組みが必要だと力説しました。

しかし、参加者の反応は良くありません。

「これ、休みの日に職人を働かせるゆうことやろ。その分の給与もでえへんし」
「準備もいるわな。ただでさえ忙しいのに人で割けへんで」
「工場に一般人入れて、問題でも起きたらえらいことやしな」

小さな工場からすると、ハードルが高く感じてしまうようです。

その中で一人、金型製作所の曽根だけが舞に協力的でした。

「この間、騒音のことで市役所にお世話になったんですよね。その担当者がえらいアツい人で、私も何とか東大阪を盛り上げたいってゆうてはったんです」

そう舞に教えてくれました。舞はその担当者の名前を聞きます。

「安川さんです。相談してみたらどうですか?それから、俺にできることあったら、手伝います」

貴司の夢

デラシネで貴司が店番をして、店の奥では舞と子供達が勉強していました。

陽菜は舞に、宿題と企画書の作成を交換しようと持ち掛けます。宿題は短歌を作ってみるというものでした。

舞に断られ、陽菜は貴司に作ってくれとねだります。しかし、当然貴司も断ります。

「あんな、陽菜ちゃんの短歌は陽菜ちゃんにしか作られへんのや。ダイちゃんの歌もダイちゃんに作られへん。短歌作るっていうことはな、誰とも違う自分がここにおるでって胸を張ることやねん。そやから、自分だけの歌作らんと」

そうして貴司は、陽菜と大樹に短歌の作り方を教えることにしました。陽菜に最近会った面白いことを教えてもらいます。

「おとつい朝起きたらな、ママが仕事から帰ってきたところやってん。給食のお金ちょうだいってゆうたら、”無理、素寒貧すかんぴんや”言われた。どういう意味って聞いたら、ぜんぜんお金ないっていう意味やねんて。超ー悲惨なのに何かおもろかった」

そして、大樹にも同じように面白かったことを聞き、それを元に短歌を作るのでした。

その夜、部屋で一人、ノートを見ながら笑う貴司。

根岸陽菜
「いやなこと ふきとばすような 言葉やな すかんぴん ママ 大丈夫やで」

広田大樹
「すべり台 すべっただけで あながあく ズボン弱すぎちゃうんかお前」

それを舞に見せると、舞も笑うのでした。

「あんな舞ちゃん、今日ないつか短歌教室やれたらええなって思った」

貴司の新しい夢ができました。

伝説の男

曽根の紹介で、市役所職員の安川を紹介してもらいました。

舞が名刺交換をすると、安川の名刺には人力飛行機がプリントされていました。それを指摘すると、安川は自慢げに言うのです。

「お目が高い。ええ名刺でしょ。特注ですわ。それにこれ、僕が学生時代に作った飛行機なんです」

その言葉で、前に空山が言っていた伝説の先輩のことを思い出しました。

「もしかして、ターミガン号ですか?なにわバードマンの」

安川は嬉しそうに激しくうなずくのでした。そして、舞も自分がなにわバードマンにいたことを伝えると、安川は「岩倉さん?」と名前を憶えていてくれました。

そして、本題のオープンファクトリーの資料を安川に見せます。

「せやけど、2社でオープンファクトリーは難しいんとちゃうかな」

舞はそれでも、力を貸してもらえるように訴えます。

「他の工場の皆さんにもお声がけしたんですけど、人での問題と金銭的な問題が大きいことがネックになってしまって。安川さん、お力貸していただけないでしょうか?」

安川は前例のないことと、参加工場が少ないことで補助金がでるかどうか判断しかねていました。そこで思い出したのが、なにわ大学で准教授になっているなにわバードマンで舞と一緒だった渥美のことです。

「都市ブランディングが専門やねん。他の町にはない町の魅力を見つけて広げていくという活動や」

渥美に興味がないか聞いてみることにしました。

貴司の夢と北條の思惑

北條がデラシネに来て、貴司と話しをしていました。

「そろそろ第二歌集の準備をしようか。いま出したら絶対に売れるから。歌、ばんばん作って」

しかし、貴司にはやりたいことが見つかったのです。短歌教室をやりたいと北条に伝えました。それを聞いて、北條はテーブルに頭をもたげました。

「そんなこと。。。また地味だね。いくらとんのよ、授業料」

しかし、貴司は授業料を取るつもりはありません。それを聞いて北條は考えます。

「待てよ。いいわ、梅津さんが子供に教えてると絵になるな。よしわかった、短歌教室やればいいよ。取材陣呼ぶから記事にしてもらって、知名度と高感度いっきに上げようっていうの」

貴司の夢と北條の思惑は同じ方向を向いていませんが、なんとか開催することで決まりました。

しかし、貴司にはイベントを開催するノウハウがありません。家でも仕事する舞に貴司は聞きます。

「ほんならまず、何を教えたいか考えなな。次は、何年生を対象にするか決めるやろ、だいたいの人数決めたら、どこでやるんかいつやるんかも決まってくるんちゃう」

舞の助言で、考え方はわかりました。後は貴司が決めるだけです。

渥美の参加と市の援助

舞の先輩の渥美がIWAKURAにやってきました。舞は、企画書を見せて説明しました。

「乗った。うちのゼミ生にとっても、町づくりに直接関われるチャンスやわ。こちらこそ、一緒にやらせて欲しい。準備からオープンファクトリー当日まで学生が参加したら人手は足りるやろ」

渥美の申し出に舞達は喜びます。

「それ聞いたら、他の町工場も参加したいって言うかもしれません」

そして、規模が大きくなれば、市からの援助もでます。その結果を他の工場の人達を集めて、説明しました。

「皆さん、今回のオープンファクトリーになにわ大学の学生のみなさんにも参加していただけることになりました。そして、東大阪市から金銭的な援助も受けられるそうです」

「ほな、工場の負担はそないかからんってことか」
「スクラムっていうのがええやないか」
「みんなでスクラム組んででっかいことやってみたいな」
「うちも手伝うで」

参加者は増えて行きました。

飛行機を作る

そして、オープンファクトリーでは工場見学と合わせて、希望者にモノづくりのを体験してもらいます。

IWAKURAに参加する工場と、市役所から安川が来て話していました。

「お客さんと一緒に作るものを決めます。作っててワクワクするもんがええですよね」

みんなが考えているところに遅れて渥美がやってきました。ゼミの学生を連れてきています。

「そりゃ飛行機でしょ」

そして、そのアイディアを舞がデザインを描きました。四角い飛行機です。

「可愛いけど、形状がちょっと単純かな」
「この辺をしゅっとさせて」
「そしたら、翼を追加したらどうやろ。こんなん子供好きやろ」

舞だけでなく、渥美と安川も参加して、飛行機はプロペラが付いた複葉機になりました。

みんなで考えたデザインを図面に起こして、IWAKURAで舞が職人たちに説明します。

「オープンファクトリーでこの飛行機を作る予定です。まず、パーツ一つ一つを町工場で分担します。うちで担当するのはネジです。この車輪もネジなんです。当日はお客さんに組み立ててもらって、飛行機に仕上げます」

しかし、部品がたくさんあって難しそうです。

「大丈夫です。職人さんにそばについてもらって、教えていただきます」

舞は、その教えてくれる職人を笠巻にやって欲しいと思っていました。

「笠巻さんの娘さんとお孫さんにも来てもらえたらなって」

その提案にみんなは賛成しました。

青空短歌教室

オープンファクトリーより先に子供短歌教室が行われました。場所は柏木公園です。

取材に来たのは御園だけでなく、他の記者もいます。

「先生、最後がどうしても八個になるんやけど」

そう言われて貴司がどんな短歌なのか確認します。

下向いて じーっと見てた アリたちが おれたちよりも ならぶんきれいで

削る必要は感じません。

「これでええやん。ちょっとぐらいはみ出してええねん。気にせんと好きなこと書いて」

貴司がそうやってアドバイスします。

その時、公園の外から見てる女の子がいました。協力している舞が気づいて、女の子に声をかけます。

「お金持ってへん」

この短歌教室は、貴司の希望で無料でやっています。

「お金いらんで、一緒にやってみる?」

そう言って、舞は女の子を参加させました。その女の子が読んだ短歌が、貴司は気になりました。

木にのぼり ピースした子は キズいっぱい わたげはもっと 上までいくよ

「綿毛ってたんぽぽの?それ見た時、どんな気持ちになった?」

貴司に聞かれた女の子は「どこまでもどこまでも飛んで行きそうな気がして」と答えます。

貴司はそのどこまでも飛んで行くイメージで短歌にするようにアドバイスしました。

そんな感じで、大盛況のうちに短歌教室は終わりました。

帰ろうとした子供が、戻ってきて貴司に声をかけました。

「先生、短歌楽しかった。また教えてな」

笠巻の退職

笠巻の最後の日、作業着を返しに事務所にやってきました。みんなから見送られ、言葉少なく去っていく笠巻。舞が追いかけて声をかけます。

「笠巻さん、オープンファクトリーよろしくお願いします。お孫さん、来れそうですか?」

しかし、笠巻は苦笑いです。

「電話で聞いてみたんやけどな、工作苦手やから行きたないゆうてるみたいでな。なんや勉強も忙しいみたいでな」

笠巻の言葉に舞は、なにか協力できないかと考えました。そして、笠巻の娘を梅津に呼び出しました。

「オープンファクトリー来ていただけませんか?」

しかし、やっぱり娘はいい返事をしません。

「息子がな、おじいちゃん怖いゆうねん。あの通りほとんどしゃべらん人やろ。私もな、高校生ぐらいからしゃべらんようになってしもてて。せやから、息子の気持ちもわかんねん。お母さん生きてる時はまだよかったんやけどな。息子も嫌がるしって、だんだん実家から足遠のいてて」

娘の言うことも理解できます。しかし、会社を辞めた笠巻のためにも、笠巻と娘と孫の関係を修復したいと思うのです。

「せやから、来ていただきたいんです。息子さんだけやなくて、サチコさんにも。笠巻さん、ほんまに凄い職人さんなんですよ。若い人に教えんのもほんま上手で、社員みんなに慕われてるんです。せやから、働いてる所見に来てもらえたら、笠巻さんがどんな人か伝わると思います」

そう言って娘にパンフレットを渡しました。

おじいちゃんと孫

オープンファクトリーには、IWAKURAを始め7つの工場が参加しました。オチアイ工業、曽根金型製作所、山本金属加工業、IWAKURA、古田機工、的場金属製作所、穂積テックです。

舞が任されたのは、モノづくり体験の場所です。そこに笠巻の娘と孫・マサユキもやってきてくれました。マサユキは、笠巻を見ると嫌な顔をします。

舞が笠巻のいる作業台を指定して、マサユキは席に着きました。笠巻に教えられながら、マサユキは作り始めます。

「そのネジな、おじいちゃんが作ったネジなんやで」

笠巻とマサユキに会話がないので、舞が助け舟を出しました。

「ほんまに?こんなネジ作れんの?」

食いついたマサユキに更に話しかけます。

「おじいちゃんな、ネジ作るのめっちゃ上手なんやで」

今までマサユキが笠巻を見ていた目とは、変わったように感じます。

そして、おじいちゃんと孫で飛行機作りました。

打ち上げ

打ち上げは、いつもの梅津です。

「みなさんのおかげで第1回オープンファクトリー無事に成功しました。乾杯!」

安川の音頭で乾杯しました。

「第1回ということは、次もある?」

そう聞かれ、渥美は「なにわ大学としては継続したい」と言っていました。都市づくりの実習として、これ以上ないものです。

そして、模型飛行機も大人気でした。

「ほんならみなさん、次はもっとパワーアップしたオープンファクトリー、やりませんか?」

そう問いかける舞に、みんな参加したいという声をあげます。

「次回は準備から取材させて」

御園はそう言って、舞に協力すると言うのでした。

最後に

先週の告白から、今週の結婚まで、あっという間に過ぎました。

そして、舞は「オープンファクトリー」に新たな可能性を感じたようです。

来週は、舞が企業?東大阪の工場を繋ぐ仕事とは?

悠人も登場して、投資家としての意見を言っています。悠人、社長になったら?

来週の予告

残り1カ月で、どう展開するのか楽しみです。

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