翼にかける青春 舞いあがれ(4) ネタバレ

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翼にかける青春 は第4週のサブタイトルです。

10年経ち、大学生になった舞は、人力飛行機のサークルに入ります。そして、幼馴染の貴司はシステムエンジニア、久留美は看護学生になりました。

舞の大学生活の始まりです。

そんな第4週のまとめです。

舞あがれ!公式HP

主な登場人物

岩倉舞   福原遥     航空工学を学ぶ大学生
梅津貴司  赤楚衛二    舞の幼馴染、看護学生
望月久留美 山下美月    舞の幼馴染、システムエンジニア

刈谷かりや博文  高杉真宙    サークルの先輩、飛行機設計
由良ゆら冬子  吉谷彩子    サークルの先輩、パイロット
鶴田葵   足立英     サークルの先輩、代表

才津祥子しょうこ  高畑淳子    舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太こうた  高橋克典    舞の父
岩倉めぐみ 永作博美    舞の母
岩倉悠人はると  横山裕     舞の兄、東大生

八木いわお   又吉直樹    古本屋デラシネ店主
梅津勝   山口智充    貴司の父。浩太の幼馴染のお好み焼き屋
梅津雪乃  くわらたりえ  貴司の母。勝の妻
笠巻久之  古館寛治    ネジ工場の従業員
望月佳晴  松尾諭     久留美の父。元ラガーマン

第4週のストーリー

触ったらあかん

舞は18歳、航空工学を学ぶ大学生になりました。勧誘されたサークルは、人力飛行機のサークルでした。

主翼に見せられる舞。ついつい、触れたくて手を伸ばしてしまいます。

「触ったらあかん」

急に声をかけられ、びっくりして振り向いた時に翼の骨の部分を壊してしまいました。

「これ作るのにみんな春休み費やしたんやで、どうしてくれるの?」

舞は驚いてしまって、何も言うことができませんでした。一緒にきた友達は、ビビッて帰ってしまいました。

「ええから、行き」

そう促され、舞も謝ってサークルを後にしました。

悠人

夕食の時、今日の失敗を思い出す舞。お父ちゃんに心配されてしまいました。しかし、舞は何でもないと言って、サークルの話しをします。

「あんな、大学に飛行機作ってる人達がおってな。人力飛行機。発泡スチロールで作ったリブが並んでてん」

飛行機のことになると、お父ちゃんも興味があるようです。ニコニコと話しを聞いてくれました。

夕食後、お父ちゃんは工場へ行き、お母ちゃんと二人きりになりました。

「お兄ちゃんから電話あった?」

舞がそう聞くと、お母ちゃんは「ない」と言うのでした。お母ちゃんは諦めず、もう一度電話してみます。ちょっと過干渉な気がします。

その頃、兄・悠人は、株のトレーディングの最中でした。実家から電話がかかって来ているのは気づいていましたが、電話に出ることはしませんでした。

携帯電話の下には、「IMORI電機株式会社 内定者懇親会のご案内」という文字が見えました。内定はもらってるようです。

久留美からの電話

舞は、夕食の後、自分の部屋で飛行機の絵を描いていました。

その時、携帯電話が鳴りました。でも、知らない番号です。出てみると、幼馴染の久留美でした。

「あ、舞?私。実は今日、携帯買ってん」

それだけ言うと、バイトに戻ると電話を切ってしまいました。

久留美は、看護学校の1年生。学費は免除されているようです。そして、生活費を補うためにラグビーがコンセプトのカフェでバイトをしています。

頼りないお父ちゃんは、仕事を転々としているようです。

「お父さん仕事決まったんやて。今度は続いたらいいな」

カフェのオーナーにそう言われていました。

久留美が家に帰ると、父親・佳晴が夜勤の仕事に行くところでした。警備員のようです。

「似合ってる」

そう言われ、久留美のことを心配しながらも、嬉しそうに仕事に出かけていきました。

サークル入会

舞は、授業中も飛行機の絵を描いていました。そして、授業が終わると人力飛行機のサークル「なにわバードマン」の部室に顔を出します。

「何の用?

舞を見つけた由良に声を掛けられます。

「昨日はご迷惑をおかけしました。私に直すお手伝い、させてもらえませんか?」

舞は丁寧に謝ります。

「そない簡単なもんちゃうねん。帰り」

由良には取り合ってもらえませんでした。そこに他のサークルのメンバーがやってきました。

「この翼、ホンマ綺麗やったから。私にできること、何かありませんか?」

サークルの代表・鶴田は舞に聞きます。

「その翼、好きなん?うちのサークル入るか?」

そうやって、なにわバードマンに入ることになりました。

イカロスコンテスト

鶴田が、他の部員たちを紹介してくれました。人力飛行機は、1年をかけて作り、イカロスコンテストというコンテストに出るのが目標です。

そして、舞を怒った怖い先輩は、由良冬子。二回生で、パイロットです。

女性がパイロットだと言うことに驚く舞でした。

その時、人力飛行機の設計者・刈谷がやってきました。

みんな飛行機が好きな人ばかりで、胸が熱くなる舞でした。

貴司

「おっちゃん、こんばんは」

舞は、大学からの帰り、秘密基地だった古本屋に行きました。

「貴司くん、やっぱりおった」

貴司は高校卒業後、システムエンジニアになっていました。スーツ姿で、奥の座敷で本を読んでいます。

「人力飛行機のサークルにはいってん。飛行機好きな人がいっぱい集まってるんねん」

そう舞が報告すると、貴司はおっとりと言うのです。

「良かったな、ええもんに出会えて」

そして、貴司の初任給が入ったら、食事をごちそうしてくれることになりました。

「久留美ちゃんも誘ってどこか食べに行こう」

3人で集まるのは、久しぶりのようです。

コンテストにかける思い

舞は、リブの型紙を切る手伝いをしますが、失敗してしまいます。

「こうやって、手を固定すると切りやすい」

肘をテーブルにつけて、固定して着るように言われます。言われてやってみると、今度は上手く切ることができました。

「女の人がパイロットってビックリしました」

舞は、素直に感想を言います。

「男とか女とか関係ない、スワン号はあいつの体にあわせて作ってる」

そして、由良は朝から晩まで、減量しながらトレーニングして力をつけているのです。そして、そんな姿を見て、サークルのメンバーは1メートルでも先に飛ばしてやりたい、そういう思いで機体を作っているのでした。

落選と代案

代表・鶴田が手紙を持ってやってきました。みんなを集めます。

「今年のイカロスコンテスト、俺らは出られへん。不合格通知や」

みんなは、声が出ません。コンテストのためにみんなで努力してきたのですが、それに出られないと言うのです。

イカロスコンテストに出場するためには、厳しい書類審査を通らなければいけませんでした。

「書類審査で落ちるって、何がいけなかったんですかね?」

部員からの問いかけに鶴田が答えます。

「悪いことなくても、落ちることがある。機体コンセプトが被ったとか、ほかのチームの方が個性的とかな」

女性パイロットは個性的です。しかし、「色物枠だと思われた」というような意見もありました。

しかし、そんな意見に答えながら、鶴田は代案をだしました。

「ほんで、考えたんやけど、夏まで時間がある。記録飛行、挑戦せえへんか?」

それを聞いて、刈谷が声を上げます。

「1987年アメリカでラーイト・イーグルが記録した15.44㎞。女性パイロットの世界記録」

みんなに意見を聞き、記録会をすることになりました。

バイト探し

舞は、久留美が働いているカフェに来ていました。久留美は休憩になると、舞の席にやってきます。

「実はな、私もここで働きたいなおもて。部費が月に1万かかるのと、活動費が別に必要」

人力飛行機を作るのには、お金がかかるのです。舞は、サークルに入ったことで、親からもらうではなく、自分で稼ぐことにしたのです。

「ほな、今面接してもらい。善は急げや」

久留美は、そう言うとオーナーに面接してくれるように言うのでした。

「この子?合格や」

舞は一瞬で合格しました。

コーポレイトアイデンティティ

岩倉螺子製作所は、新しい機械を入れ、ネジを材料から作る会社になりました。特殊ネジの注文も順調に増え、二つの工場を持つ従業員18名の会社に成長しました。

おかあちゃんは、総務賢経理として支えています。

「ありがとうの心を忘れない、岩倉螺子製作所」

お父ちゃんは、会社のイメージアップのため、パンフレットやHPを作ろうとしていました。コーポレイトアイデンティティとして、キャッチフレーズを考えているのでした。

昼食で好み焼き屋で、みんなに見せますが、反応はイマイチです。

「ありがち」
「小学生の作文みたい」

近所の工場のおっちゃんたちは、手厳しいのでした。

毎日くたくた

舞がサークル・なにわバードマンに入って1月が経ちました。

「なあ、尾翼の幅広くするのはどうか?機体が安定しやすくなれば、由良が細かい操作をしなくてよくなる」

そんな感じで、人力飛行機の製作も大忙しです。

そして、バイト先も大賑わいで、毎日くたくたになっているのでした。

アツい思い

ついに貴司の初任給でごちそうしてもらう日になりました。ただ、ごちそうは、貴司の実家のお好み焼き屋です。

舞と久留美が先に到着していて、貴司が遅れてやってきました。貴司も忙しそうです。

貴司は、初任給で詩集を買っていました。それにしても、貴司は根っからの文系です。しかし、就職したのはシステムエンジニアでした。

「パソコン相手だから楽かなって思った。人間関係とか」

貴司は就職した理由を話します。

「働いてたら、本読みたいなとか詩書きたいなとか思う。自分の好きなものがはっきりして、夢に近づいている気がする」

理系の仕事についたことで、自分の好きな物がはっきりしたのでした。それを聞いて、久留美もアツい思いを話します。

「看護の学校入って、夢のスタートラインに立てた気がする。成績下がったら授業料の免除がなくなるし、勉強にバイトにお父ちゃんの心配。毎日くたくた。そやからこそ、負けられへん。めっちゃ燃えてるんね」

それを聞いて、舞は出遅れた感じがしてしまいました。

悠人の帰阪

そんなお好み焼き屋に、突然悠人がやってきました。サングラスをかけ、できる男感が漂っています。

「舞か、久しぶりやな」

舞の姿を見つけると、悠人は声をかけました。そして、貴司、久留美にも声をかけます。

「おなじみのメンバーやったか、元気やったか」

みんなと挨拶を交わすと、カウンターへ行きました。

「ほんとに悠人くん?しゅっとしてまるで芸能人やんかー」

そんなことを貴司の母・雪乃に言われています。

舞は2人に断って、悠人のところへ行きました。

「お兄ちゃん、いつ帰ってきたん?お母ちゃん心配してたんやで」

悠人は豚玉を食べたかったのですが、雪乃と舞の反対にあい、一度家に帰ることになりました。

ナレーションでは、悠人のことを「岩倉家の問題児」と表現していました。

乾杯

家では、キャッチコピーを考えているお父ちゃんと、パソコン作業中のお母ちゃんの姿がありました。

「努力と挑戦を積み重ね 夢の未来へ一歩ずつ 岩倉螺子製作所」

お父ちゃんは会心の作をお母ちゃんに見せますが、お母ちゃんの反応はイマイチです。そこに、舞が帰ってきました。そして、後ろから、悠人が帰ってきて、お父ちゃんもお母ちゃんも驚きます。

「悠人。どないしてた。元気やの?」
「電話ぐらいで!」

お父ちゃんもお母ちゃんも心配だったのです。そして、悠人は内定をもらったことを両親に伝えます。

「IMORI電機」

それを聞くと、お父ちゃんは大喜び。しかし、悠人はクールなままです。

「当たり前やん」

そんな温人とお父ちゃんは、ビールで乾杯するのでした。

いけずな悠人

「入ったらなにするの?」

お母ちゃんは悠人にそう聞きます。

「キツイの嫌やな。3年で辞めるつもりやねん。早う独立して投資家なんねん。俺な、大学の3年間で2000万円稼いでん。それを元手に3年で10倍にするつもりや」

しかし、お父ちゃんは否定的でした。勉強を頑張っていると思っていましたが、株で忙しかったのはお父ちゃんには受け入れられません。

「株かて立派な勉強やろ。頭使って研究して、自分の力で稼いだんやから」

そう言われ、お父ちゃんは「投資家になって何をしたいのか」と聞きます。

悠人は「金を稼ぐねん」と言います。

昔からモノ作りをしてきたお父ちゃんには、悠人の考え方がわかりません。夢がないことを心配します。

「指一本動かすだけで、億稼ぐ人間になる。あかんか?」

悠人は、冷静に淡々とそう言うのでした。

「それは夢やない。人っていうのはな、叶えたい夢があるから、しんどうても一生懸命働ける」

お父ちゃんのアツい言葉に悠人は反論します。

「ほな聞くけど、地道にコツコツやって、どんな夢叶えた?」

お父ちゃんの夢は飛行機の部品を作ることです。それは悠人や舞が子供の頃から変わっていません。でも、まだそれは叶っていませんでした。

「まあ、見とけ。寝る」

お父ちゃんは自分の部屋に去ってしまいました。

「なんでお兄ちゃんはいけずなことばっかり言うんよ」

舞は悠人のことを。

悠人と舞

自分の部屋で、舞が描いた飛行機の絵を見てるいると、悠人がやってきました。

「怒ってるのか?」

そう声を掛けられた舞は。

「別に怒ってへんけど。お父ちゃんにようあんなこと言えんな」

めっちゃ怒ってました。

「お父ちゃんが一生懸命働いてくれたおかげで、お兄ちゃんも私も好きな勉強できてんねんで」

そう言われ、悠人は「お前まで説教か」とうんざりするのでした。

「けど、お兄ちゃんにも夢があって、目標立てて頑張ってるんやろ?それは偉いと思う」

怒っていながらも、悠人のことを心配し、認めている舞でした。

「私な、人力飛行機のサークルにはいってんけどな。サークルにもそういう先輩がいてはんねん。意志が強くて、頑張り屋で、自分が立てた目標に向かって真っすぐ進んで頑張ってる先輩。その先輩はみんなに慕われてるけどな」

舞は由良のことを念頭に、悠人に皮肉を言うのでした。悠人は、「飛行機好っきやなぁ」と言っていました。

「舞もそういうこと考えねんな。志を持った強い人間になりたいってことやろ。ええんちゃう。舞はその方がおもろい」

悠人は舞が大人になったと感じたようです。

発奮

舞に部屋から出ると、悠人はお好み焼きを食べにいきました。

そして、悠人は翌日、東京に帰って行きました。

そんな息子の言葉に発奮したお父ちゃん、「人工衛星への挑戦」という講演を聞きにきました。

そこで、知り合いの曽根に会います。人工衛星に興味があるのかと聞かれたお父ちゃんが答えます。

「でっかい夢持つって気持ち、忘れたらあかんと思って。息子、目の前の仕事をこなす僕しか知らんのですわ。けど、そないしてコツコツやってたら、いつかでっかい夢かて叶う。親父としてはそこまで教えてやらな」

そんなお父ちゃんを褒めてくれる曽根さんでした。

フェアリング

舞は、サークル活動に精力的に参加していました。記録会に向けて、熱が入っています。

しかし、舞たち1回生は相変わらずリブを作る日々。舞は楽しそうに作っていますが、他の1回生たちは飽きてきているのでした。

人力飛行機をつくるために留年して、3回生を何度もやっている空山は、無言でリブを作り続けています。舞が話しかけても、返事してくれません。ちむどんどんでの、まもるちゃんのような感じです。

そんな時、部室に大きな発泡スチロールが搬入されてきました。

「1回生諸君、そろそろリブを作るのも飽きたやろ。明日からはフェアリング手伝ってくれんね」

刈谷は博多弁でそう言うのでした。

フェアリングは、空気抵抗を抑えるためにつける覆いのことです。発泡スチロールを削って、パイロットが乗るコックピット部分の覆いを作ると言うことのようです。

決起会

鶴田は、みんなを呼びました。

「みんな、聞いてくれ。今日航空協会に8月末日で、記録飛行を申請した。こっからがスタートやで。
それに先だってテストフライト、6月の第二日曜日にやる。ほんで、今から居酒屋で決起会や!」

そう言うと、空山がバイトをしている居酒屋で決起集会をすることになりました。

1回生はジュース、由良は水を飲んでいます。

「記録飛行、なんとかスタートラインに立ちました。記録飛行、飛ばすで!乾杯!」

舞は離れた席に座っている由良のことが気になっていました。由良は鶴田と話しをしています。

「由良先輩、今日も食べはれへんのですね」

舞が刈谷に聞くと、刈谷は言うのでした。

「スワン号は、由良の体格に合わせて設計してるって言ったろ。正確に言うと、未来の由良たい。スワン号が飛ぶ日の由良の体重と体力に合わせて設計してあると。もっと軽くて、もっと体力のある由良に。だけん、あいつはあげんして、体重制限とトレーニングを頑張っとるったい。最高に仕上がったスワン号と最高に仕上がった由良が、未来で待ち合わせしてると」

そんなロマンティックな言い方をするのでした。

潤いが欲しい

「由良先輩、ここよろしいですか?」

舞は、鶴田が席を離れたのを見て、由良の所へいきました。由良は、自分は食べずに、食事を勧めてくれました。

「リブ作るのうまなったな」

舞は由良が見ていてくれていたことに感激します。由良は照れ隠しなのか「大事なリブを任せてるんやから」と、舞ではなくリブを気にしていたと言うのでした。

舞が由良で話しをしていると、酒癖が最悪の部員・玉本から「由良には鶴田っていう恋人が・・・」と言われます。

しかし、由良は「いてまへん」ときっぱり否定しました。

「でも、鶴田は由良のことが好きだぞ。だから、記録飛行の段取りをつけてんねん」

それを聞いていた部員・佐伯は怒っていました。

「なんですぐくっつけようとするんですか?」

玉本は「プロペラ作ってる毎日に、なんかうるおい欲しいやんか」と言うのでした。

「人の恋愛で潤わんといてください。彼女おるんでしょ」

しかし、玉本はフラれたばっかり。佐伯に痛い所を突かれ、がっくり落ち込んでいるかと思ったら、寝てました。

動機

舞と同じ1回生の日下部は、サークルに入った動機を話しました。

「僕、ここにきたの刈谷先輩がいたからなんです。去年、イカロスコンテストで見ました。2回生にして全体設計を任された”なにわの天才刈谷博文”。天才ってついてました。ぼく、刈谷先輩に憧れてこの大学きました」

それを聞いて、同じく1回生の藤谷も動機を話します。

「俺のヒーローは鶴田先輩です。イカロスコンテストでの名言”翼が折れても心は折れへん”」

そして、刈谷は舞になんでサークルに入ったのかを聞きます。

「私は、二人みたいなはっきりした理由はなくて。けど、小さい頃から、飛行機が好きなんです。特に好きな飛行機を書き留めてきたんです」

スケッチブックにはいろいろな飛行機が描かれていました。そして、今作っている人力飛行機・スワン号の完成予想図も描かれていました。サークルのみんなに褒められ、楽しそうな舞の姿がありました。

夢の第一歩

テストフライトに向けて、みんなは急ピッチで製作を進めていました。

舞はトレーニング中の由良に水の差し入れをします。

「あの、先輩はなんでパイロットになろうと思ったんですか?」

そう聞くと、由良は教えてくれました。

「ずっと野球やってて、小2から小6まで四番でピッチャーやった。でも中一の時、打順が下がり始めてな。同じチームの男子がだんだん体おっきなって、遠くまで飛ばすようになって、私が渾身の力を込めた球も簡単に打たれてしまうねん。くやしかったわ。それまで男子に負けたことなかってんねんで。中2で野球辞めてぼんやりしてた時、図書館で見つけてん。アメリア・イヤハートの伝記」

そして、イヤハートの言葉を読んでいたら、元気なったと言うのでした。そして、将来はイヤハートのように空を飛ぶのが夢です。この人力飛行機は、夢の第一歩なのでした。

それでええんちゃう

そんな話を舞に聞かせた由良は、今度は舞にどうしてここにいるのかと聞きます。

「いままで、まわりに飛行機の話をできる友達がおれへんかったんです。みんなで飛行機の話しながら作業するのが楽しいんです。志、低いですかね?」

由良は、そう言う舞を優しく否定します。

「そんなことない。イアハートが何で飛ぶん?って聞かれた時、いつもどう答えてたか知ってる?”ただ、楽しいから”や。せやから岩倉も、それでええんちゃう」

そう言われ、舞は嬉しそうに笑うのでした。

テストフライト

テストフライトの日がやってきました。

舞たちは、夜が明ける前に集合して、トラックで機体を運びます。なにわバードマンOB達もやってきて、夜明けの風が止む時を待っていました。

そして、風が止みました。

由良はコックピットに乗り込むと、全員に声をかけ、ペダルを踏んでプロペラを回します。

ゆっくりと走り出すスワン号。そして、追いかける舞たち。スワン号は、徐々にスピードを上げていきます。そして、スワン号はゆっくりと飛び上がるのでした。

「飛んだ!」

喜びも束の間、スワン号は左に旋回して、落ちてしまいました。

原因

みんなが落ちた機体に駆け寄ります。そして、由良は意識はありました。しかし、出ようとすると、痛がります。すぐに病院に行くことになりました。

残りの部員たちは、部室に帰ってきました。

「刈谷先輩、なんで落ちたんですか?」
「離陸した時、風吹いたやろ」
「離陸時の風速は問題なかった」
「操縦ミスの可能性も」
「憶測でものを言うな」

部員達は口々に思ったことを言います。

「俺のミスたい。俺が由良なら対応できると思って、尾翼の幅を大きくしすぎた。それが原因やと思う」

刈谷は、そう結論付けました。その言葉を聞いて、鎮痛な面持ちのみんなでした。

由良の思い

由良が入院した病室に鶴田がやってきました。鶴田は、由良の状態を聞きます。

「先輩、スワン号、直りますか?」

由良は、自分事よりスワン号のことを気にしていました。

「骨折でした。完全に治るまで2ヶ月かかるって。すみません。こんなことになってしまって」

しかし、由良が悪い訳ではありません。鶴田はサークルでのことは、自分の責任だと言います。

「いや、私のせいです。突風に焦って、操縦桿を強く引きすぎました。退院したらちょっとずつトレーニング再開します。予定通り記録飛行できませんか?」

しかし、そんな無理はできません。記録飛行まで2カ月です。すぐに飛ぶことは無理でしょう。

「飛びたい気持ちはわかる。けど、お前には来年がある」

鶴谷そう諭されますが、由良は受け入れることができません。

「私が飛びたいんじゃないです。スワン号を飛ばしたいんです。先輩方の最後の夏、こんな風に終わらせたくないんです」

引退

部室では、鶴田がみんなを集めて今後の話しをしていました。

「全治2ヶ月やて。俺の考えを言うな。スワン号直して、予定通りに記録飛行やりたい。急いで直したら間に合うかもしれへん」

しかし、刈谷は反対です。

「急いで直した飛行機で、また事故を起こしたらどうするとや」

しかし、スワン号の構造に問題がある訳ではありません。ただ、スワン号が直ったとしても、パイロットがいません。鶴田は他のサークルから人を探すと言うのでした。

「飛ばせれば誰でもいいって訳じゃないでしょ。由良が乗るから徹夜作業もできるんですよ」

部員からは去年のコンテストのように鶴田が乗ったらどうだという意見がありました。

「スワン号は由良の体に合わせて設計してるから、鶴田だとデカすぎるし重すぎる」

それなら、舞はどうかと言う意見もありました。

「1回生には荷が重すぎる」

鶴田は、パイロットという重責を入ったばかりの舞に背負わせることができませんでした。

「ほな、これで終わりや。今年のなにわバードマンは。無理やていいよろうが、わからんとや。未練たらしく足掻くんやったら、勝手にすればよか。けど俺はごめんや。引退するけん」

刈谷は引退を宣言してしまいました。

そして、1回生の2人も、サークルを辞めると言って出て行ってしまいました。

舞が無理するの?

舞は、家に帰ると、お母ちゃんに相談します。

「お母ちゃん、私な、人力飛行機のパイロット、やろうかなって迷ってるんよ」

そう言うと、お母ちゃんは舞の心配をします。

「あぶないのと違うの?なんで舞がやらなあかんの?」

この辺は子供の頃の過保護のお母ちゃんから、変わっていないようです。悠人への過干渉も、同じかもしれません。

「私がやらな、スワン号飛べへん。みんなが一生懸命作った飛行機やねん」

そう言いますが、お母ちゃんは心配です。

「みんなのために、舞が無理するの?」

しかし、舞は何も言い返すことができませんでした。

本当に大変なこと

お母ちゃんの心配もわかる舞は、寝付けないまま朝になってしまいました。

そして、由良のお見舞いに行きます。

「来てくれたの、岩倉。遠いのに。やっと見舞いらしい見舞いもろたわ」

そう言うと、他の部員達は飛行機関係の本やグッズを持ってきたことを舞に教えます。

「岩倉、スワン号、壊してしもてごめんな。飛ぶとこ、見せたかったんやけどな」

もちろん、由良が謝る事ではありません。舞は、そんな由良にモヤモヤした気持ちを伝えます。

「先輩、私にパイロット、できると思いますか?」

由良は大変だと言います。舞も、由良が毎日一生懸命トレーニングしていたのを見て、大変な思いをしているのは知っています。

「本当に大変なのは、皆の期待を背負うプレッシャーや。楽しいだけじゃすまへん。苦しいことの方がずっと多いで。それでもパイロットやりたいと思うんやったら、やったらええ」

空山の思い

見舞いを終えて、舞は一人で部室にやってきました。

部室では、空山が一人で、スワン号の修理していました。何故直しているのかと聞く舞に、空山は答えました。

「これまでに僕が触れた人力飛行機は7つ。6年前、1回生の時に作ったのがナイトバードフォー。部員が26人おってよ。みんなのアイデアが詰まったおもしれえ飛行機になった。5年前が作ったのが、ターミガン号。ヤスカワ先輩がプロペラの作り方を変えたから、えれえ飛ぶようになったんよ。イカロスコンテストで3位。このスワン号のプロペラは、ターミガン号の魂を受けついじょる。ずっと前に卒業したヤスカワ先輩が、3日寝ずに考えた構造やけんね」

そして、空山はこのスワン号が最後だと言うのでした。

「このスワン号が、僕が触る最後の人力飛行機。ここ僕の居場所やったけど、もう卒業して地元の宮崎に帰らないかん。綺麗やとよ、飛行機が空を飛ぶとき、長い翼がしなって、本当に綺麗やと。僕は、スワン号が飛ぶところがみたいとよ」

いつもは口数が極端に少ない空山ですが、人力飛行機にかける思いは人一倍だったのです。

そして、空山の思いも受けて、舞は鶴谷会いに行きます。

「先輩、私にパイロットやらせて下さい」

最後に

イカロスコンテストに向かっていくのかと思ったら、突然の不合格。そして、代替え案の記録飛行も、由良のケガで暗礁に乗り上げました。

しかし、ここで舞は重大な決断をするのでした。

お母ちゃんの心配はありますが、舞は自分の意思でトレーニングを開始するようです。引退を表明した刈谷は戻ってくるのでしょうか?そして、スワン号は飛ぶのでしょうか?

来週の予告

来週も楽しみです。.

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