アスリートファースト オールドルーキー(5) ネタバレ

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アスリートファースト はスポーツマネジメントの基本です。

新町が勤めている会社ビクトリーの理念も「すべてのアスリートにリスペクトを」です。しかし、会社やスポンサーの都合で、アスリートに無理強いしてしまっていることもあるのかも知れません。

そんな第5話のネタバレです。

オールドルーキー公式HP

主な出演者

新町しんまち亮太郎りょうたろう        綾野剛
新町果奈子かなこ(旧姓:糸山)  榮倉奈々

高柳たかやなぎ雅史まさし         反町隆史
深沢ふかざわ塔子とうこ         芳根京子
じょう拓也たくや          中川大志
梅屋敷聡太        増田貴久
真崎かほり        岡崎紗絵
葛飾吾郎         高橋克実

三咲麻有まゆ         當真あみ
伊垣尚人         神尾楓珠

第5話ストーリー

城、見つける

フェンシングの練習会場に城と新町がきていました。

「あそこにいるのが、三咲麻有です」

そう言って紹介されたのが、フェンシング日本代表候補の三咲でした。

新町はフェンシングを見て、やってみたいと純粋に思いました。それで、三咲にフェンシングを教えてもらいます。

「フェンシング用語はほとんどフランス語です。
 マルシェと言ったら前へ。ロンぺと言ったら一歩後ろへ。ファンデブと言ったら突く」

微妙に様になっていませんでしたが、一生懸命覚えようとしていました。

スカウト

「メジャースポーツとは言えませんが、三咲麻有にはスター性があるんです。マネージメント次第では大化けする可能性があります」

城は、社長・高柳にそう説明します。

「とにかくかっこいいんです。そんでもって、マスク取ったら、めちゃくちゃ素敵で」

新町も城のフォローでそう言います。

そして、高柳は「仮契約」という形で、三咲と契約することを了承しました。新町も城を手伝うことになりました。

「城くん、自分で見つけてきてサポートするのは、初めてだよね?これだけは肝に銘じておけ。
 マネージメント次第で、一人のアスリートの未来が変わるかもしれない。君たちの仕事はそういう仕事だ」

高柳は釘をさすことも忘れていませんでした。

フェンシングのおもしろさ

早速、城と新町は三咲を呼び出し、パンケーキを食べながら話をします。

「太ると困るんで、甘いものは控えてるです」

そういう三咲は、果物以外のシロップなどの甘味料が入ってるものは、取らないようにしていました。

「フェンシングのおもしろさってどういうところですか?」

新町がそう聞くと、三咲は熱く話してくれました。

「フェンシングは駆け引きの競技です。だから、リーチが長くてスピードがあれば勝てるという訳ではありません。
 身長190㎝の選手と160㎝の選手が戦っても、160㎝の選手が勝つこともザラにあるんです。だから、私も小さい頃に大きい男の子に勝てるのが楽しくて、つい夢中になったんです。
 フェンシングはマイナー競技だし、お金にもならない。けど、素晴らしいスポーツだと思っています」

新町は「スポーツにメジャーもマイナーもありませんよ。アスリートはみんな輝いてます」と言うと、城は「三咲さんも輝いてます」と言うのでした。

アスリートとして

城は本題に入ります。

「うちの資料は読んでいただけましたか?
 僕たちは、ぜひ三咲さんをマネージメントさせていただきたいと思っています。
 三咲さんはオリンピック強化選手で実力もあるし、ルックスもいい。それに、三咲さんにはスター性があります。フェンシングを越えたスター性があります」

城はそう説明します。

「そんな。私がビクトリーさんのお話を聞きたいと思ったのは、マネージメントしていただくことで、フェンシングの活動費が得られるなら、フェンシングを世の中にもっと知ってもらえるならって思ったんです」

三咲は、スター性とかルックスではなく、アスリートとしてのマネージメントを求めていました。

「僕たちもマネージメントするからには、フェンシングそのものをメジャーにしていかないといけないと思っています。
 三咲さんがメディアに出ることで、こんな素敵な人がフェンシングやってるんだ、私も出たいって思う子供達が増えたらいいじゃないですか」

その通りではあるのですが、三咲は「メディアに出る」という部分に引っ掛かりました。

できません

「たとえば、テレビのスポーツバラエティーに出演するとか」

しかし、人見知りで恥ずかしがり屋の三咲は、自分ではできないと思っています。

「いきなりテレビじゃなくてもいいです。まずは、グラビアでも」

グラビアにも抵抗があります。

「練習の風景とかは?」

それならできそうな気がします。

「たまにあるじゃないですか?美しすぎるアスリートとか」

そういう目立ち方をしたい訳ではありませんし、三咲は自信がありませんでした。

ルッキズム

三咲と話したことを会社に戻って、みんなに話します。

「実際かわいいんだから、美しすぎるアスリートでいいじゃん」

梅屋敷は、無責任にそう言います。

「ルッキズム、外見で人の価値を決めてはいけない。今、一種の差別ですよ」

塔子と真崎は、そう言って安易な方向に行こうとするのを止めようとします。

「でも、テレビに出たくない、グラビアは嫌だ。フェンシングの話題だけなら取材を受けますなら、マネージメントのしようがないでしょ」

それはそうなんですが、人には向き不向きがあります。新町は「人見知りで恥ずかしがり屋なんですよ」と言って、三咲をフォローするのでした。

「ビクトリーに所属するからには、うちにもメリットがないとね」

葛飾は、梅屋敷のように直接的な物言いはしません。しかし、言っていることは、梅屋敷と変わりありません。それが、マネジメント会社がマネジメントするということなのでした。

塔子はエナジードリンクのコマシャールでちょっとしたセリフを言うのがいいいのではないかと提案します。しかし、そのセリフが言えないのでした。

城と新町は、サッカーをするように、二人で協力することを確認しあっていました。

塔子と梅屋敷

珍しく、梅屋敷が塔子を誘って食事にきていました。

「城のやつ、あんなに舞い上がって大丈夫なのかね?」

そう聞く梅屋敷に「どうですかね?」と気のない返事をする塔子。塔子は、梅屋敷に誘われ、警戒していました。

「梅屋敷さんが食事に誘ってくれるなんて、絶対なんか裏がある」

そう言いますが、梅屋敷は「裏なんてないよ」と言うのでした。もしかすると、梅屋敷は塔子のことが気になっているのかも知れません。

「深沢は何人担当してるんだっけ?」

塔子にそう聞くと、塔子は「8人です」と答えます。それに対して「俺は10人」と張り合う梅屋敷。そんな梅屋敷に「でも、先月の売上は私の方が上です」と更に張り合う塔子。

「たまには、ピリピリしないで楽しく食事しない?俺にだってオンオフ切り替えたいときがあるわけよ」

自分で張り合ったくせに、塔子にはそう言います。自分が勝った状態で、話を終わりたかったのかも知れません。

そして、1杯目のワインで良い出す梅屋敷。お酒が弱い梅屋敷は、いつも飲み会ではウーロン茶を飲んでいたのでした。

「じゃあなんでワイン飲んでるんですか?」

塔子がそう聞くと、梅屋敷は「女性と食事するときは、ワインだろう」とカッコつけていたのでした。

そして、ついに寝てしまう梅屋敷。寝言で「ごめんね、塔子ちゃん。。。」と言うのを聞いて、塔子は気持ち悪がっていました。しかし、いつも張り合っている二人ですが、本当は梅屋敷は仲良くしたいのだと思います。

スポーツマネージメントの人っぽい

新町の家では、果奈子と子供達が餃子を包んでいました。そして、新町はフェンシングの試合を見ています。

「海外の剣道みたいな感じでしょ?」

そういう果奈子ですが、新町は「いやーちょっと違うんだよね」と言うのですが、新町もまだうまく説明できません。

「どっちが勝ってるの?」

娘にそう聞かれ「こっちの選手にポイント入った。わかる?」と言いますが、子供達にはまだ難しいようです。

「ねえ、果奈子。スポーツとしてかっこいいんだよ。どうしたら彼女を世にだせるのかな?」

そうやって聞くと、果奈子は「亮ちゃん、スポーツマネジメントの人らしくなってきたね」と嬉しそうにしてくれます。それを聞いた新町も、それらしく見えていることが嬉しいのでした。

果奈子のセカンドキャリア

「果奈子はどうなの?インスタの方は?」

元人気女子アナウンサーだった果奈子は、結婚してからは、子育てで忙しくしていました。しかし、新町が現役を引退したことによって、経済的な危機が新町家に降りかかってきたのでした。

最初はインスタに娘のお弁当の写真を載せていました。それが人気になり、フォロワーが増えて、ちょっとしたインタビューも受けていました。

そこから話は進んでいたのです。

「実はお弁当のレシピ本を出版しないかって話しがきてて。本にするには50ぐらいレシピ考えないといけなくて。エッセイみたいなのも書かなきゃいけないし」

そういう果奈子に「果奈子、それすごいことだよ。絶対やるべきだよ、絶対!」と新町は後押しします。

「もうやるって言っちゃった」

果奈子もその気でした。家のローンもあるし、娘たちの教育費もバカになりません。そして、新町が契約社員から正社員になるまでは、なんとか家計を支えなければなりませんでした。

「どうする?本がバカ売れしたら?」

新町にそう聞かれますが、果奈子は冷静でした。

「そんなに上手くいかないって。でも、張り合いができたというか。人生のセカンドキャリが始まったみたいな」

そう言うと嬉しそうな果奈子でした。

生き生きした城

「まだ帰らないの城くん?」

真崎に声をかけられた城は、一生懸命資料を作っていました。

「三咲麻有のプレゼン資料、今日中に作りたいんで」

そう言う城に「珍しく生き生きしてるじゃん」と言う真崎。城はそれほど感情を表に出すような熱いタイプではありません。

「だって、僕が自分で初めて見つけたアスリートですよ。それに新町さんとの仕事だし」

新町のことは、サッカー選手時代にファンでした。その新町と一緒に仕事できることが、城は嬉しかったのでした。

伊垣の話し

サッカーの練習を見に来た新町。お目当ての選手は、伊垣というFC東京のフォワードやっている選手でした。先日、その伊垣から「助けて」と直接新町に電話がきていました。

「伊垣は日本代表候補にもなってるよね?
 人気もあって、実力もある君なら、とっくに誰かマネージメントしてるんじゃないの?」

新町は伊垣にそう聞きます。伊垣はマネージメントしてもらっていましたが、騙されたというのです。

「イングランドリーグに移籍できるって言われて、いろいろ任せてたんですけど、結局嘘で」

金銭的にも任せていた部分があるようで、騙されてお金が返ってきていないようです。

「僕がいろいろ甘かったんです。でも、エージェントは必要だから、誰かにお願いしなくちゃいけなくて。
 新町さんがスポーツマネジメントの仕事をされているって聞いて、みんなあの人なら信用できるって」

新町の人柄で、連絡してくれたのでした。ただ、新町はまだ「見習い」でしかありません。

「相談相手になってくれるだけでいいんです。僕、本当にサッカーのことしかわからないから、お願いします。新町さん」

そこで決めることはできず、一旦持ち帰ることにしました。

高柳の反応

「伊垣なら大歓迎だ」

高柳は、伊垣の実績から、そう判断しました。しかし、ビクトリーでは、まだ海外移籍のエージェント業務はやっていません。

「いずれそちらにも手を広げようと思ってたところだが、本人は来シーズンにも移籍したいと言ってるのか?」

ただ、伊垣はすぐに移籍したいという気持ちではないようです。

「あと、伊垣は僕にマネージメントして欲しいと言ってまして」

しかし、国内でのマネージメントはできますが、海外移籍に携わるためには、資格が必要です。新町は勉強して資格を取る気持ちでいました。

「それで、これを機に正社員になるなんてことは?」

踏み込んでみましたが、高柳には「まだ早い」と言われてしまいました。

ダメだ

早速、城は三咲のために撮影を組んでいました。フェンシングのユニホームでの撮影です。

そして、撮影した雑誌を高柳に見せます。高柳の感想は「アート作品だな」という一言でした。

「三咲さんは大変喜んでいます」

城は三咲の反応を伝えますが、それが良くありませんでした。

「三咲麻有を喜ばせるために君らは仕事してるのか?
 面白味がない、サービス精神がない。機内誌に出したって、見る人はごくわずかだ。
 この写真をみて、この子が魅力的だと思う人がどれだけいる?これじゃビジネスにならない。
 マネージメントするということが、どういうことか本人に理解させないとダメだ」

高柳はダメと言われて受け入れるだけでなく、大事なことを理解させなければ、三咲のためにもビジネスにもならないと言うのでした。

ファンサービス

「彼女に考え方変えてもらうしかないのかな?」

そう悩む城。その城に梅屋敷は言うのでした。

「だから言ったじゃん。人見知りだの、恥ずかしがり屋だのって、そんなのわがままだ」

しかし、タレントや芸能人のようにアスリートが急に愛想よくできるとも思えません。

「でも、新町さんは愛想よくやってたんでしょ?」

新町は、マスコミの対応も積極的にやっていた方のアスリートでした。それで、新町は「アイ・ハブ・ア・ドリーム!」という掛け声を使っていました。

「ファンサービスはファンサービスだけど、本気で思ってましたからね」

新町がそう言うと、梅屋敷はそれを三咲にやらせないといけないというのです。しかし、新町はどのアスリートも同じようにしないといけないことはないと思うのでした。

「そんな性格変える必要あるとは思わないですけどね。お先、お昼失礼します」

果奈子の弁当

果奈子が作ってくれたお弁当を新町は昼ご飯に食べます。みんなから離れてお弁当の蓋を開けると、綺麗でかわいいお弁当になっていました。

「すてきーーー果奈子さんのお弁当最高」

塔子は、新町のお弁当を見ると、そう言って喜ぶのでした。塔子は果奈子に憧れていたのでした。新町のお弁当の写真を撮る塔子。新町が食べようとすると「ダメです。これは果奈子さんの作品なんです」と言って、食べさせてもらえません。

「でも、美味しく食べてもらった方が喜ぶんじゃないんですか?奥さん」

助け舟を出されて、塔子も「食べてよろしい」と許してくれました。

「そう言えば、レシピ本出すんだって。お弁当のレシピ本」

塔子はすごい食いついて聞いてきますが、まだ出版されるのは先の話でした。

留美の協力

「手伝って欲しいです」

果奈子は妹の留美を家に呼んで、協力を依頼しました。お弁当のレシピは自分で考えるのですが、それを作るための材料や調味料の買い出しなど、やって欲しいことはたくさんあります。

「私来れるとしても、仕事終わってからだよ」

そう言う留美に「それでいい。締め切り迫ってるから、正直焦ってるの」と、果奈子は協力をお願いしました。

元々インスタは妹の留美にやってみたらと勧められて始めたものでした。それが、人気女子アナということもあり、人気になって、本の出版にまで至りました。

果奈子は、留美に感謝しても感謝しきれないのでした。

悲しくなる

「三咲麻有の魅力を伝えられて、かつ彼女が積極的にやりたいと思う企画」

城と新町は、二人で企画を考えていました。

「子供向け、フェンシング教室とかどうかな?」

新町の提案を城は却下します。

「新町さん。そんな地味な企画で、社長がいいと言うわけないですよ。
 でっかい企画を立てて、全国に顔と名前を売らないと」

しかし、三咲が希望していたのは、「フェンシングを広めたい」ということでした。新町はサッカー教室で子供達にサッカーの面白さを伝えたように、フェンシング教室をしてすそ野を広げたいと思っていました。

ただ、新町の発言は、マネージメント会社の社員というより、アスリート側に立った発言です。しかし、城はマネージメント会社側に立った発言で、どうしてもかみ合いません。

「かっこよかったのは、サッカー教室をやっていた新町さんじゃないですよ?ゴールを決めた新町さんです。悲しくなるようなこと言わないで下さいよ」

そう城に言われ、困惑する新町でした。

ファン高柳

「新町くん、新町くん。果奈子ちゃん本だすんだって?」

噂を聞きつけた高柳が、新町に確認します。

「必ず買いますって伝えてくれ。できれば、その本にサイン」

高柳は、果奈子のファンです。先日も果奈子が会社に来た時に2ショット写真を撮って、それをパソコンの壁紙にするぐらいのファンです。

「三咲麻有の件どうなった?しっかり結果だせ」

秘書の真崎は「新町さんの奥さんのことになると、社長は人が変わる」と言って呆れていました。

「私も果奈子さんの本にサインいただきたいです」

塔子もファンとして、サイン本が欲しいと言います。それに乗っかる葛飾と真崎。それを聞いて、興味はないものの「じゃあ俺も」と言い出す梅屋敷。さすがに「じゃあって」と新町は苦笑いしていました。

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城が電話を受けると、それは意外な問い合わせでした。

「機内誌を見た?え?」

問い合わせてきたのは、大手化粧品メーカーの「ナチュラ化粧品」でした。CEOが機内誌を見て、三咲麻有を新商品のイメージキャラクターにしたいという内容でした。

それを高柳に報告する城。その話を聞いて、自分も打ち合わせに参加することを告げます。

「私も行く。こんなチャンスめったにないからな。必ず取るぞ」

高柳は大きな案件を前に、前のめりになっていました。

CM打ち合わせ

打合せでは、CMの絵コンテを見せられます。その絵コンテを見て、浮かない表情の三咲。その三咲に意見を求められます。

「試合をしてるのはいいんですけど、その後がちょっと。。。無理です」

三咲の答えに驚く高柳。三咲の真意を聞きます。

「笑うとかしゃべるとか、そういうのはちょっと」

いきなりやれと言われても困るのもわかりますが、商品を持って笑うぐらいはやってみてもいいかなと思ってしまいました。

「三咲さん、あなたはこのCMに出ることで、フェンシングの活動資金を得るんです。それはわかってなきゃいけない。
 でも、あれも嫌、これも嫌というのは間違っています。アスリートではなく、一人の社会人として、守らなきゃいけないルールだと思っています。
 私たちスポーツマネージメントの仕事はアスリートにとってベストな環境を整えることです。でも、スポンサーさんにも、そのアスリートと関われて良かったと思ってもらわないといけません。これは、アスリートの持ってるエネルギーが、企業に伝わることで社員のモチベーションが上がり、お客さんにそれが伝わり、企業の力になっていく。そういう関係を作っていくことが一番いいんです。
 もう少し柔軟になって、話を聞いてみてはどうですか?」

高柳に説得されますが、三咲は考えを変えることができませんでした。

「頭ではわかってるんです。わかってるんですけど、私はアスリートでタレントじゃないし」

非情な通告

高柳は、打ち合わせの席での三咲の答えに失望したようでした。

「無理だな彼女は。
 彼女が自分が言っていることがわがままだってわかっていない。彼女の言い分聞いていたら、他のアスリートに影響が出る。うちは、三咲麻有をマネージメントできない。
 彼女にそう伝えろ」

城と新町は、高柳にそう言われ、三咲に伝えました。

「ナチュラ化粧品の企画はなくなりました。
 それから、ビクトリーとの契約もなしということで」

それを聞いて、三咲は納得していました。しかし、いきなり自分を変えることができません。

「私が悪いんですよね?でも、そういうものなんですね、スポーツマネジメントって」

会社側からの発言

「本当にいいのか、あれで」

三咲と別れ、新町は城に聞きます。

「言うこと聞いてくれないから。仕事なんだからって、割り切るべきです。社長の話しを聞いてわからないなんて」

城は責任は三咲にあると思っています。しかし、新町は違います。

「彼女は正直なんだよ。
 なあ、お前はどうしたいんだよ、城。彼女を見つけたのも彼女にスター性があるって言ったのもお前だろ。あの時の情熱、どこ行ったんだよ」

しかし、城は「社長がダメ」と言うからには、従わないといけないと思っています。

「社長は彼女にスポンサーの考えを理解しろって言ってるんだよな?でも、それって一方的じゃん。
 スポーツマネジメントの仕事ってなんだろう?アスリートファーストじゃないの?アスリートができないことを無理やりやらせるのが仕事なわけ?」

城は、そんなこと言っているつもりはありません。しかし、言いとしてはそう言っているのです。

「言ってるよ。言ってる。完全に会社側の立場から、ものを言ってるじゃん。アスリートをリスペクトするって言うなら、アスリート側の三咲麻有側の気持ちになってもう一度考えよう」

城は「新町さんの言ってることは綺麗ごとです」と言うのでした。

愚痴

城は、新町との別れ際に言ってしまいました。

「サッカー選手としては尊敬してましたけど、社会人としては何もわかっていませんよ」

言い過ぎたと思っています。しかし、間違っているとも思っていません。城は、真崎に愚痴ります。

「新町さんは、スポーツマネージメントを理解できてないんですよ」

そう言うと、真崎は反論します。

「私は城くんもどうかと思うけど。
 少しは社長に抵抗したの?
 じゃあ、お仕事としてやってたのね、スポーツマネージメントを」

そう言われ、納得できない城なのでした。

情のある人

葛飾と高柳は、二人で飲みに来ました。

「三咲麻有とは契約しなかったんですか?」

そう葛飾に聞かれ「ビクトリーの利益にならない人間はいりませんよ」と高柳は言います。

「シビアだな社長は。昔はもっと緩かったのに。
 広告代理店を辞められて、ビクトリーを立ち上げた頃ですよ。よく言ってたじゃないですか?今のままじゃアスリートは可愛そうだって。野球をクビになって、途方に暮れていた自分に声をかけれくれた時は、この人に一生ついて行こうと思いましたよ」

葛飾はビジネスとして高柳が非情になるのは理解しています。しかし、城や新町が落ち込んでるのを見ると、かわいそうになってしまうのでした。

「言ってやりたくなりましたよ、社長は本当は情のある人だぞって」

城を紹介して

留美は、お土産を持って手伝いにきてくれていました。新町は留美にお礼をいいます。

新町は留美に相談がありました。

「留美ちゃん、スポーツライターの知り合いいる?」

三咲を売り込むために、スポーツライターに記事を書いてもらおうと考えているようです。

「じゃあさ、もし紹介したら、私のお願い聞いてくれる?」

留美はそう言うと、城を紹介して欲しいと言うのでした。

新町の引退試合で、城を見て気になっていまいた。しかし、城とは、今は難しい関係です。

「今ね、城くんとはぎすぎすしてるんだよね」

そう言うと、「スポーツライター紹介しない」と言い出します。仕方なく、紹介することを了承しました。

メディアに出るということ

新町に塔子から電話が入りました。三咲が写真週刊誌に出ているというのです。

「美人過ぎるアスリート」

それについては、梅屋敷も気づいて、城に伝えていました。

その頃、三咲はコンビニで雑誌を見た男に目をつけられていました。

急いで帰る三咲。住んでいる寮の前まで男はつけてきていました。

「ついてこないで下さい」

三咲は男にそう言いますが、男は構わず距離を近づけます。そこに城が到着しますが、状況を見ているだけです。

タクシーが到着すると、新町が下りてきました。男に「誰だお前」と言われると「マネージャーだ」と言い返しました。そして、警察に電話するふりをする新町。男は逃げていきました。

三咲の危機がさったことを見て、城はそのまま帰っていきました。

前にもあった

新町は三咲に謝ります。

「ごめんなさい、僕たちがメディアに出そうとしたから」

しかし、新町のせいではありません。以前も、似たようなことがあったと言うのです。

「コーチにも言われてたんです。大きな大会で勝つと当然顔も知られてくるから気をつけなさいって」

本来であれば、マネジメントの契約ができていれば、三咲の安全を守るのも仕事でした。しかし、今は契約をしていないので、それはできません。今回は、気になった新町の機転で対処できただけでした。

新町は、三咲に「少しだけお話いいですか?」と言って、話をします。

騎士の十戒

「実は、あれから僕、三咲さんのためにできることがないかってずっと考えています。
 それに、フェンシングについても勉強しています。日本に武士道があるようにヨーロッパには騎士道がある。そして、その騎士道には「騎士の十戒」というものある。
 正義、勇気、慈愛、誠実、自制心、忍耐、礼節、統率力、忠誠、清貧。
 中世の騎士たちは敵の弱みに付け込むことは不名誉なことだと考えていた。騎士道精神とは、フェアプレイ精神の原点である。僕もフェアプレイにこだわっていました。子供たちのお手本になるような選手でいたいって。
 僕はもとアスリートとして、三咲さんの気持ちが想像できます。競技に集中したいって気持ちと競技以外に知ってもらわないといけないって言われて戸惑う気持ち。でも、それがわからいとマネージメントできないと思うんです。僕は見習いだけど、そう思うんです」

新町は考えていたことを三咲に伝えます。

「だから、ビクトリーと関係なく、あなたをマネージメントさせて下さい。三咲さんが本当に嫌がることは、絶対にさせません。お願いします」

フィールドに立ちたい

城は三咲のために作ったプレゼン資料をシュレッダーにかけていました。

「城くん、本当にもういいの?」

真崎にそう聞かれて「もう終わったことですから」と答える城。

「新町さんはまだ終わらせてないみたいだけど」

そう言われて新町のホワイトボードを見ると「スポンサーまわり」と書いてありました。

「もう一度だけ、考えていただけないでしょうか?もう少しだけ三咲麻有のアスリートの部分を強調していただけたら。彼女、前向きになれると思うんです」

そう言って、新町はナチュラ化粧品と交渉していました。

その打ち合わせ後、城は新町を待っていました。

「勝手になにやってるですか、新町さん」

城がやらないから、新町はやっていたのです。

「サッカーは監督が絶対じゃない。プレイしてるのは選手だよ。城くんがシュート打たないなら、俺が打つ」

そう言うと、城は「新町さん!僕だって、僕だって、フィールドに立ちたいんですよ!」と言うのです。

「じゃあ、入って来いよ。三咲麻有を見つけたのはお前なんだぞ。一緒にやろう、城」

そう言って、もう一度一緒にやることになりました。

私の負けです

世界女王となった江村美咲選手が、金メダル持って見せていました。

そこに新町と城がやってきます。

「ナチュラ化粧品さんが、三咲さんにあわせて、企画変えてもいいって言ってくれています。
 でも、100%三咲さんの意向に沿うものが出てくるかわかりません。そこで、先方の気持ちを汲んで、三咲さんも譲歩していただけないでしょうか?」

新町がそう三咲に言います。そして、三咲と新町がフェンシングの試合をして、1ポイントでも取れたらお願いを聞いて欲しいというのでした。

しかし、そんなに甘いものではありません。新町がどれほど一生懸命になっても、日本代表候補から1ポイントでも取るのは難しいのでした。ただ、簡単にあきらめるつもりはありません。何ポイントを取られても、転んでも、新町は諦めませんでした。

新町がヘロヘロになると、今度は城が試合をすると言い出しました。

その熱意に三咲は「私の負けです」と言うのでした。

再度打ち合わせ

三咲と新町、城は、再度ナチュラ化粧品で打ち合わせをします。

書き直してもらった絵コンテを見る三人。内容はアスリートの部分に焦点を絞ってはありましたが、笑うことはしないといけないようです。

三咲は「わかりました。よろしくお願いします」と言って受け入れました。

そして、問題は高柳の説得です。高柳が契約しないと決めたものを、勝手にCMの契約まで決めてしまいました。

契約

「なんだこれ。君らがブッキングしたのか?三咲麻有はうちの所属じゃない」

そう言って、高柳は激怒します。

「でも、大きな仕事が決まったんだから、所属ってことにしてもいいじゃないですか」

新町は簡単に言いますが、そんなことは会社ではあってはなりません。

「順番が違うだろう。私に黙って勝手なことをしたんだ、許しがたい」

高柳の怒りは収まりそうもありません。しかし、城は負けずに言います。

「間違ってたのはビクトリーの方だと思います。
 三咲さんとコミュニケーションが取れないまま、彼女が受け入れられない企画を押し付けてしまった僕たちが悪かったんです。
 アスリートファーストがスポーツマネージメントの基本ですよね?すべてのアスリートにリスペクトを、それがビクトリーの理念なんですから。三咲さんが世に出ることによって、彼女が更に活躍できる。フェンシングがメジャースポーツになる。それが結果として、ビクトリーの利益になる。新町さんも僕もそう思って、彼女と真摯に向き合いました。
 勝手なことをしたのは申し訳ないと思ってますけど、だからこそこの企画は成立したんです」

高柳は、言われたことを考え、結論をだしました。

「彼女は理解してるのか?いいだろう。三咲麻有と契約する」

葛飾に言われた「かわいそう」ということも頭をよぎったのかもしれません。

感謝

「新商品のイメージキャラクター三咲麻有さんです」

商品発表会で、三咲がマスコミの前に紹介されました。

「フェンシングの選手が起用されるのは初めてだということなんですが、ご自分ではどうですか?」

マスコミからの質問に実咲は答えます。

「私は人見知りなもので、正直恥ずかしくて。でも、これが切っ掛けで、皆さんにフェンシングのことを知っていただければ、こんなに嬉しいことはありません。
 ただこれは、私だけで決めたことではありません。ビクトリーというマネジメント会社の新町さんと城さんのお力添えがあって、決心できたことです。
 新町さんは日本代表にもなられた元Jリーガーで、私のようなアスリートの気持ちをとても理解して下さいました。そのような方のセカンドキャリアのステージにもなっているビクトリーさんに私は感謝しています」

三咲は名前を出して、感謝してくれました。そのことが嬉しい新町と城でした。

留美

新町は、ビクトリーに留美を呼んで、城を紹介します。

「城くん、こちら糸山留美さん。妻の妹です」

ちゃんと約束を果たした新町。城との関係が修復されたからこそ、実現できた紹介です。

「グルメライターやってます。もしよかったら、今度二人で美味しいビストロに行きませんか?」

そう言われ、即答で了解する城。軽い、軽すぎる。しかし、なかなかお似合いかもしれません。もしかしたら、城が義理の弟になるかも??

正社員

三咲が取材でビクトリーの名前を出したことで、各メディアがビクトリーを取り上げてくれていました。高柳の所には、取材の申し込みが何件も来ています。

「すごい宣伝になりましたね」

三咲のことを諦めなかった新町に対して、高柳は大きな報酬を準備していました。

「新町くん、今日から君は、正社員だ」

喜ぶ新町。早速、果奈子に電話します。

「給与も上がるし、ボーナスもでる!家のローンも払える」

そして、電話越しに子供達からも祝福されていました。

最後に

新町と城のコンビで、なんとか未来のスターと契約することができました。

そもそも、スポンサーのCMの内容を聞かないまま社長を出席させたり、三咲の意向を調整しなかったことが、間違いだったように思います。

それにしても、梅屋敷にしても城にしても、諦めが早すぎるのは、なんなんでしょうか?ビクトリーの社風?

あと気になるのは、伊垣の話はどうなるんでしょう?進展はありましたが、何にも決まっていないですよね。新たな火種にならなければいいんですけど。。。

次回は、アスリートとケガの話しです。

次回予告

楽しみです。