結婚披露宴 ちむどんどん(18) ネタバレあり

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結婚披露宴 がついに開かれます。

和彦の母・重子は出席するのでしょうか?そして、暢子がプロポーズを断った智は出席するのでしょうか?

そんな第18週のネタバレです。

ちむどんどん公式HP

主な登場人物

比嘉暢子のぶこ  黒島結菜  やんばる生まれコックの修業中
青柳和彦  宮沢氷魚  中学生の頃沖縄で暢子達と過ごした。新聞記者

石川良子  川口春奈  暢子の姉でやんばる小学校の先生。
石川博夫ひろお  山田裕貴  良子の夫で名護の小学校の先生。
比嘉歌子  上白石萌歌 暢子の妹。体が弱いが歌は上手い。
比嘉賢秀  竜星涼   暢子の兄。どうしようもない人。

大城房子ふさこ  原田美枝子 フォンターナのオーナーで暢子の親戚。
平良三郎  片岡鶴太郎 鶴見の沖縄県人会会長。
田良島たらしま甚内じんない 山中崇   東洋新聞社のデスク。和彦の上司。
砂川さとる   前田公輝  暢子にフラれた幼馴染

青柳重子しげこ  鈴木保奈美 和彦の母

第18週のストーリー

マーケットの思い出

フォンターナは閉店時間。店の中には良子と和彦がいました。

「これ、サーターアンダギーと、うちの母が作ったアンダースー(沖縄油味噌)です。

良子は突然東京に行くことにしたにも関わらず、ちゃんとお土産を準備してきていました。

「優子さんにもよろしく伝えて下さい」

房子は、良子にそう言ってお礼をいうのでした。そして、同席していた暢子は、お母ちゃんに和彦の母親のことは内緒にするように、再度釘をさすのでした。それを聞いて、申し訳なさそうな和彦。

「あの、和彦君のお母さんにとって重要なのは、家柄や学歴、つり合いで、愛情なんかは価値がないと?」

良子がそう質問すると、和彦が答えました。

「うん、僕の両親の間には愛情や信頼関係はなかったのかも?だから家族団らんやいい思い出がないんだ」

それを聞いて「うちらは、楽しい思い出はたくさんあるよね?」と話す良子。

「あるある、家族みんなで行った那覇のレストランとか」

和彦のお父さんが、比嘉家に招かれ夕飯をごちそうになったお礼にレストランへ連れて行ってくれたのでした。暢子達の生れてはじめての外食でした。

「和彦くんは?家族で外食してた?」

良子がそう聞きます。

「外食はしてたけど、両親はいつもケンカになるから、あまりいい思い出はないかな。あ、マーケット・・・」

戦後の闇市と呼ばれていた場所での食事の記憶が、和彦にはなんとなく残っていました。

重子が求めているもの

重子は家で、中原中也詩集を読んでいました。

家で中原中也詩集を読む重子。

私は随分苦労して来た。
それがどうした苦労であったか、
語らうなぞとはつゆさへ思はぬ。
またその苦労が果たして価値の
あったものかなかったものか、
そんなことなぞ考へてもみぬ。
「わが半生」

和彦にひどいことを言われたことを思い出し、重子は涙ぐむのでした。

その頃、和彦は一人新聞社で、中原中也詩集を読んでいました。

色々のことがあったんです。
色々のことをした来たものです。
嬉しいことも、あったのですが、
回想されては、すべてがかないい
「初夏の夜」
私の魂はたゞ優しさを求めてゐた。
それをさうと気付いてはゐなかった。
「聖浄白眼」 自分に

重子は優しさを求めていたのではないかと、和彦は気づきました。

良子の恩返し

良子は暢子の部屋に泊まり、寝る準備をしていました。そして、明日には沖縄に帰る予定です。

「ごめんね、ゆっくり東京案内もできなくて」

暢子はそう言って謝ります。

「ううん、うちの勝手で急に来ただけだから、顔が見られてよかった」

そういう良子ですが、暢子は申し訳なく思っていました。

「心配かけているよね?でも、うちもねえねえに会えて嬉しかった。ありがとう」

しかし、良子は恩返しだと言うのです。

「うちは子供の頃から、一人でなんでもやらないといけない。人に頼ることは恥ずかしいと思ってた。
 本当は弱くて、欠点だらけの人間なのに。今、うちが幸せなのは、家族みんなのおかげ。何があっても、うちの味方でいてくれるから。
 もしみんながいなかったら、空回りして失敗ばっかりだったと思う。どうしたの?」

話す良子の顔をじっと見つめる暢子。感謝の気持ちが出ていました。

良子と暢子

「うち、ねえねえの妹で良かった。うちも、失敗ばっかりさ。もしかしたら、この結婚も。。。
 和彦君のお母さんの言う通り、うちと和彦君は釣り合わない。和彦君を不幸にするかも知れない」

暢子は弱気になっていました。房子の過去を聞いて、諦めない気持ちでいたはずです。しかし、難攻不落の和彦の母に、実際はめげていたのでした。

「ありえん!暢子には値打ちがある。暢子と結婚する人は幸せ。それはうちが保証する」

そう言って言い切ってくれるのでした。

「なんで言い切れる訳?うちはねえねえみたいに頭がいい訳じゃない。歌子みたいに歌が上手じゃない。ただの食いしん坊なのに。どこに値打ちがあるわけ?」

そう聞く暢子を良子は全肯定するのでした。

「ここにある!このままの暢子でいい。
 暢子はうちの大好きな自慢の妹。誰がなんと言おうと暢子は暢子のままでいい。なんて言ったらいいわけ。うちは本当に暢子のことが大好き」

暢子も良子のことが大好きです。そして、二人で抱き合う時、思い余って頭突きしあってしまいました。それでも、良子に肯定されたことで、暢子の自信は戻ってきたようです。

暢子からの提案

喫茶サーカスでは、毎朝の恒例で重子が朝食を取っていました。そこに和彦がやってきます。

「明日、フォンターナに来て欲しい。それともう一つ、暢子から提案がある。暢子と僕と母さんと、三人で同居しよう」

突然の同居提案に驚く重子。

「一緒に暮らせばもっと分かり合えると思う。和彦君の子供の頃のことが聞きたいし、沖縄に居た頃の和彦君の話しも聞かせてあげたい」

暢子はそう言ったのでした。それを聞いて和彦も思い出したことがありました。和彦も家族で楽しく過ごした思い出があったのです。

「母さんには、ない」

重子はそう言い切りました。しかし、和彦はめげずに思いを伝えます。

「暢子となら、あの頃みたいに楽しく暮らせるような気がして。
 父さんが死んで、僕は逃げた。母さんと僕は価値観が違う、住む世界が違うと決めつけた。母さんの気持ちも知ろうとしなかった。酷いこともたくさん言った。けど、母さんがずっと僕を愛してくれたから、今僕は人を愛することができる。家族の幸せな思い出があるから、僕も家族を持って幸せになりたいと思える。母さんへの感謝を、当たり前のことを、長い間忘れていた。
母さんは僕を生んでくれたこの世でたった一人の大切な人。これからはけして、母さんを一人にはしない。ありがとう、母さん。明日、フォンターナで待ってる」

それだけ言うと、和彦は立ち去りました。そう言われた重子の目には涙が光っていました。

美味しくないもの

「明日の重子さんのメニューまだ決まらない?」

房子は暢子にメニューを聞いていました。しかし、暢子は毎日お弁当を作る中で、沖縄料理もイタリアンもお弁当に詰めてしまっていました。

そうすると、房子は意外な提案をするのでした。

「美味しくないもの、出しましょう」

そして房子が準備したものは、暢子の想像を超えるものでした。二ツ橋は「懐かしいですね」と言っていました。

「試しに作ってみたの。料理は美味しいだけじゃない。忘れていた思い出を呼び起こすものでもある」

房子にそう言われ、暢子は食べてみます。房子の言う通り、美味しくはありませんでした。

「思い出を呼び起こす?」

房子に言われても、なんだか納得が行かない暢子でした。

良子の暴走

良子が和彦の家にきました。暢子のために、暢子と和彦の結婚を許してもらいたいとお願いに来たのです。しかし、家の前までくると、急に腰が引けてしまうのでした。そこで、沖縄に入る歌子に電話します。

「和彦君のお母さんのところに?
 行った方がいいよ、絶対に行った方がいい。ねえねえがいかないと、にいにいが行くかもよ」

歌子にそう言われ、俄然勇気が湧いてくる良子なのでした。そして、電話を切る前に歌子に言われます。

「預けてたあれ、持った?必ず渡してね」

歌子から何かを預かってきたようです。

そして、和彦の家の前で深呼吸する良子。インターフォン鳴らそうとしますが、やはりすぐには押せませんでした。

賢秀の暴走

良子が家の前でもじもじしているところに声を掛けてきた人がいました。賢秀です。

突然の賢秀の登場に驚く良子。

「妹をコケにされて、黙ってられない。ここはゴットファザーの出番さ。
 父親代わりの長男として、きっちり落とし前を付ける。
 ファミリーの幸せのためなら、俺はいつでも命をかける」

相変わらずの賢秀です。この考え方が、どれほどのトラブルを起こしてきたことか。そんな賢秀を帰らせ、良子は自分が話した方がいいと言うのでした。

重子達の反応

そんな二人のやり取りを家の中で、家政婦の波子が見ていました。

重子にどうしたのと聞かれると「家の前に怪しげな女性が」と伝えます。

そして、賢秀がくると「奥様、一人増えました。人相の悪い男です」と報告していました。

家の前でケンカする良子と賢秀。人の家の前で、騒がしいことこの上ないです。そして、インターフォンがあるのに直接玄関の扉をノックする賢秀。

「どなた?」

用心のために箒を持って、波子が対応します。

「石川と申します」
「比嘉賢秀と申します」

比嘉と聞いて暢子のことを思い出す波子。扉を開けて対応します。

「突然押しかけて申し訳ありません。暢子の姉、良子です」
「兄のドン、賢秀です」

波子は重子に雇われていますが、暢子のことを応援してくれています。兄妹がきた理由をわかってくれたようです。

「わかりました。その代わり、私が帰って下さいと言ったら帰っていただけますね?」

突破と破壊

家の前にいる男女が誰かわからず、重子は部屋のソファーの陰に隠れていました。そこに波子が戻ってきて、状況を説明しました。

「奥様、申し訳ありません。突破されました」

そうして、良子と賢秀を部屋に呼び込みました。

「暢子さんのお兄さんとお姉さんです」

そうして部屋に入った賢秀は、勝手にオルゴールを触って壊していまいます。

兄妹喧嘩

気を取り直して、重子は座るように二人に言います。

「どうぞ。牛飼いのお兄さんも手短にお話をうかがいます。」

良子は、お土産を持ってきていました。

「これ、沖縄の母からお土産のアンダースーです。サーターアンダギー。沖縄の麩。黒糖、お茶、歌子のカセットテープ

そして、出すだけ出すと、賢秀に「まさか手ぶら?」と聞くのでした。

「俺は嫌いやさ。賄賂とか、袖の下とか」

そう言って良子と言い争いになります。

「兄妹喧嘩は後にしてくださる?ご用件は?」

そう重子に言われ、賢秀が話しだすかと思いきや、良子にふるのでした。そこでも、良子と賢秀の言い争いが始まります。

「お話がないようでしたら・・・」

重子がそう切り出すと、良子は突然土下座するのでした。

失礼な発言の数々

良子は重子に向かって「お母さん」と言うと、重子は言い返します。

「あなたにも、あなたの妹さんにも、お母さんと呼ばれる筋合いはありません」

そう言うと、今度は賢秀が「おばさん」と重子を呼ぶのでした。

失礼にもほどがあります。驚く重子をよそに、良子と賢秀がまた言い争いです。

「あの!人の家に来て、いきなり兄弟喧嘩しないでいただけます?」

重子にそう言われると、良子は「暢子と和彦の結婚を認めて下さい」と頭を下げるのでした。

「たしかに、ドジでおっちょこちょいな食いしん坊で、のんびりしているようでせっかちな所もあって、足が速いんです」

賢秀が的を得ない発言で、場をかき回します。

「兄の説明ではわかりにくいとは思いますが、本当に家族思いのいい子なんです」

良子がそう言うと、賢秀は重ねて失礼な発言をします。

「暢子のためには、こんなおばさんでも披露宴にきてもらわないと」

重子はあきれ果てていました。

差し金

「俺たちのお母ちゃん、披露宴で琉装するの楽しみにしてるんです」

賢秀がそう言うと、良子は畳みかけるように言います。

「暢子は悩んでます。めったに悩まない呑気な子なのに、でーじ悩んでるんです。
 自分と結婚することによって、和彦君が不幸になってしまうじゃないかって。
 自分の事より人のことを心配する、本当に優しい子なんです。
 お母ちゃんに心配かけないようにでーじ悩んでるんです」

重子は兄妹がやってきたのは、母親の差し金だと思います。

「うちのことは何を言われてもいいし、にいにいのことはもっと何を言われてもいいけど、お母ちゃんを悪く言うのだけは、絶対に許さん!」

良子は、お母ちゃんの名誉のためにも、ついついキツく言っていまいました。

「失礼しました。じゃあ、暢子さん?暢子さんに頼まれて?」

良子の剣幕に驚いた重子は素直に謝って、暢子の差し金かと聞きます。

「勝手にきたんだに、勝手に。見たらわかるだろう」

賢秀はそう言いますが、見てもわかるはずがありません。

「うちも兄も誰からも頼まれていません。だいたい兄にこんな大事なことを頼んだりしません」

良子がそう言い、賢秀が「みたらわかるだろう」と言います。

重子は「それはなんとなく」と言うのでした。

いちゃりばちょーでー

「住む世界が違うとか、おばさんには、いちゃりばちょーでーの気持ちがないわけ?」

いちゃりばちょーでーは、一度会ったらみんな兄弟という沖縄の言葉です。

重子は「もう結構です」と言って、二人に帰るように言います。

「頼むよおばさん。俺はもう、さんざん子供の頃から家族に迷惑をかけてきた。これでまた、俺のせいで暢子が結婚できないとかになったら、俺は豆腐の角に頭打って死ぬしかない訳。暢子をちゃんと見てやってちょうだい。あいつのどこが気に食わない?俺の大事な大事な大事な大事な妹なわけよ」

賢秀は最後の最後に大切なことを言いました。その時、波子が部屋に入ってきました。

「では、お約束ですので、そろそろ」

そう言われて、良子と賢秀は帰っていきました。

二人が帰ると、重子は言います。

「はあ。母親の顔が見てみたいわ」

それを聞いた波子は「披露宴でお会いになれるのでは?」と言うのでした。

お見通し

沖縄では、お母ちゃんが良子の娘・晴海とお絵描きをしていました。そして、歌子は三線の手入れです。

歌子はお母ちゃんに良子の夫・博夫から電話があったことを伝えます。

「博夫さんから電話で、晴海のお迎え、明日の昼ぐらいになるって」

それを聞いたお母ちゃんは、歌子に聞くのでした。

「あ、そう。良子は今晩帰ってくるの?急に東京へって、なんだったのかね?」

しかし、歌子は本当のことは言えません。

「ほら、披露宴の段取りがいろいろあるみたいで」

なんとか誤魔化そうとしますが、お母ちゃんはお見通しです。

「大丈夫なのかね?なにか心配事があるんでしょ?暢子のことで」

そう言われても歌子は「何もないよ」と言って笑うしかありませんでした。

「うちは知らない方がいんだろうけど」

お母ちゃんは、やっぱりわかっているのでした。

歌子のカセットテープ

部屋で中原中也詩集を読む重子

こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに
私は頑なで、子供のやうに我儘だった!
私はおまへのやさしさを思ひ、
また毒づいた人を思ひ出す。
「無題」

そして、和彦が生んでくれてありがとうと言ったことを思い出す重子。

そこに波子がやってきました。そして、良子が置いて行った「歌子のカセットテープ」を見て、それは?と聞くのでした。

重子は、ステレオデッキにカセットテープを入れ、聞かせます。

テープの中身は、歌子からのメッセージと歌でした。

「和彦くんとの結婚を認めて下さい。私じゃないです、暢ねえねえ、じゃなくて暢子です。うち・・・私、歌います」

テープの録音で緊張してグダグダになっている歌子。そして、お母ちゃんの「夕飯できたよ」も録音されていました。

「暢子さんのご家族は愉快な方ばかりですね」

波子は好意的に受け止めてくれていました。

特別メニュー

約束通り、和彦と重子がフォンターナにやってきました。

「この時間は貸し切りにさせていただきました」

そう言われ、重子は「いったい何を企んでらっしゃるの?」と、警戒していました。

そして、運ばれてくるのは、特別メニューです。

「前菜のソップレッサータです」

重子が食べると、普通に美味しいと感じました。しかし、和彦は「いつもの味と違う」と感じていました。

「秋のミネストローネです」

エビの頭が丸ごと入っているスープでした。さすがに、これには驚いていました。

「コトレッタ・アッラ・ミラネーゼです」

クジラの肉のようです。

「特製のお寿司です」

イタリア料理のお店のフォンターナで、寿司がでてくるとは思っていなかった和彦は、驚いていました。それも、米ではなく、おからのお寿司です。

闇市の味

「やっぱりこれ、懐かしい。毎日お腹を空かせてた、終戦直後のお父さんと良く行った、闇市の味。
 オーナーもよくご存じですよね?」

重子はそう言って房子に話を振ります。

「あまりにも材料がなくて、今では考えられないような料理がありました。
 本日の特製メニューは、終戦直後の主に闇市で出されていた料理です。
 ご承知の通り、材料が不足していたことから、苦肉の策で生まれたものです。
 前菜は豚の代わりに魚肉ソーセージを。スープは当時進駐軍スープなど、いろいろな呼び名があったものをイメージして、本来は一緒に使わない素材を組み合わせました。カツレツは牛肉の代わりに当時多かった鯨肉とネギを使いました。
 そして、お米も生魚もままならなかった頃のオカラのお寿司。ネタは野菜やこんにゃくで工夫してあります」

一番幸せだった時期

重子は当時のことを思い出して、和彦に聞かせます。

「お父さんが戦争から生きて帰ってきてくれた時、母さんは本当にうれしかった。自分でも驚いたわ。親同士が決めてた結婚で、好きでもない相手と思っていたのに。
 あの頃は、食べ物が足りなかった。闇市には何でもあったけれど、値段がどんどん上がって。私の実家もあの頃はお金がなくって。そんな時、あなたが生まれた。何年かして、闇市はマーケットと名前を変えて、あなたを連れて3人ででかけたわ。まだこういう料理を食べていたわ。美味しくなかったのよ。今考えるとね。
 でも、あの頃、それが美味しかったの。不思議ね。生活が豊かになるにつれて、言い争うようになった。戦争中の世の中も、戦後の物のない暮らしも、私は大嫌い。子供には、絶対に味あわせたくない。でも、ひょっとしたら、あの頃が私の人生で、一番幸せだったのかも」

思い出が支えてくれるもの

和彦と重子は、美味しくない料理を完食しました。

最後に暢子が、重子に思いをぶつけます。

「私は、一度、自分を信じられなくなりました。和彦君を不幸にしてしまうかもしれない。そう思い始めていました。思いとどまらせてくれたのは、姉です。私は、和彦君にとって相応しくないかも知れません。でも、私を信じてくれている家族は、素晴らしい家族です。家族との思い出は、私が世界中に自慢できる宝物です。私を信じてくれているフォンターナのみなさんもです。ここで過ごした歳月は、胸を張って誇れる宝物です。
 重子さんにも、大切な思い出、宝物があって、うちとはぜんぜん違うものだと思います。でもきっと、どちらも、大切な宝物のはずです。それを教えてくれたのは、和彦君のお父さんでした。重子さんの大切な思い出の味を作れたらと思いました」

和彦と和彦の父親が沖縄にいた時、暢子達に特別授業をしてくれたことがありました。和彦の父親は「明日が今日よりも良くなると言う信念を思い出が支えてくれます」と言っていたのでした。

しーちゃん

暢子の話を聞いていた重子は言います。

「披露宴はイタリア料理でお願いしますね。あと、沖縄料理も食べさせて欲しいわ」

重子は、結婚を認めてくれました。そして、披露宴に出ると言ってくれたのです。

「来年の春でしたよね?楽しみにしています」

暢子と和彦は「お母さん」と呼びます。しかし、重子は呼び名を変えるように言うのでした。

「しーちゃん、と呼んで下さる?私、孫ができても、お祖母ちゃんと呼ばれたくないの。しーちゃん、ダメ?」

涙があふれている暢子。重子の希望の呼び名で呼んでみるのでした。

「いえ、そんなことは。しーちゃん」

披露宴の前

時は、1979年(昭和54年)3月です。沖縄の比嘉家に暢子から手紙が届いていました。

「お母ちゃん、ねえねえ、歌子、お元気ですか?
 もうすぐ披露宴です。決めることが多くて大変だけど、和彦君と準備を進めています。フォンターナのみなさんも、披露宴のメニュー作りに協力してくれて、本当にありがたいです。
 当時は、和彦君のお母さんの希望もあって、沖縄料理も振る舞うことになりました」

そして、フォンターナでは、沖縄料理の味付けを暢子に確認しています。

重子は、披露宴で着る衣装を波子と一緒に選んでいました。

「はじめはドレスで、あとから着替えるのはどうかしら?
 暢子さんもウェディングドレスで始めて、途中で琉球の衣装に着替えるんでしょ?」

しかし、波子に反対され、留袖になりました。

賢秀は、披露宴で歌を歌うつもりで練習しています。しかし、養豚場の清恵に止められていました。

そして、歌子はまた熱を出しています。心配している暢子でした。

最大の心配事は、智です。プロポーズを断ってから、1年近く会っていないようです。手紙に「もし智に会うことがあったら、よろしく伝えて下さい」と書いていました。

どこからきて、どこへ行きたいのか

暢子は披露宴のメニューを房子に相談していました。

イタリア料理
 グリッシーニ
 前菜(カルパッチョ)
 パスタ(アニョロッティ・デル・プリン?)
沖縄料理
 盛り合わせ
 (ミヌダル・ビラガラマチ・ジーマーミー豆腐)
デザート
 ウェディングケーキ
 黄金シークワーサー

しかし、房子は「私の許可はいらないわ」と言うのでした。そして、房子の出した宿題はどうなってるかと暢子に聞きます。

「あ、自分のやりたいお店のイメージですよね。実はまだ・・・なかなか」

そういう暢子に、房子は考えるいい機会だと言うのでした。

「披露宴をやるということは、これまでお世話になったみなさんに感謝の気持ちで、今の自分にできる精いっぱいの美味しい物を食べてもらうということ。自分がどこからきて、どこへ行きたいのか。考える一番の機会です。無駄にしないように」

暢子は納得していました。

久々の智

歌子が縁側で一人歌を歌っていると、智がくる。

「上等さ。暢子もきっと喜ぶはずさ」

しかし、歌子は一人の時はちゃんと歌えます。ただ、人前に出ると、緊張からか歌も三線も上手く弾けません。それはテープ録音の時でも一緒でした。

そして、智は、頼みごとがあると歌子に呼ばれたのでした。

「暢ねえねえの披露宴の日、うちを那覇の空港まで送ってくれない?
 お母ちゃんたちは前の日に出発するけど、うちは名護で最後の練習があって、当日の朝の飛行機で行くわけ」

そう説明すると、智は当日の朝、迎えにくることを約束しました。

「それで、その・・・披露宴のことなんだけど、智にいにいも・・・」

歌子は智にも出席して欲しいと言います。しかし、智は出席する気はありません。

「その話はなし。俺がいたら、せっかくの披露宴が台無しになるさ」

そう言うのでした。

当日のフォンターナ

そして、いよいよ暢子と和彦の結婚披露宴の日になりました。

「本当に良かったんですか?結婚式に出席なさらないで」

二ツ橋が房子にそう言うと、房子は「私は披露宴会場の責任者」と言うのでした。

「三郎さんと多江さんもいらっしゃるんです。ちゃんと隠れずに受付に居て下さいね。
 暢子さんにきつく言われていますので」

二ツ橋にそう言われ、気が重い房子なのでした。

そして、披露宴会場に続々集まってきました。うろうろ落ち着かない房子。

「味付けの最終確認」や「座席表の紙が」や「前菜が」など、何かと理由をつけて、受付にいないようにします。しかし、そんな姿を二ツ橋に注意されるのでした。

「オーナー、三郎さん達がもうすぐつくはずです。もう逃げられませんよ。オーナー、オーナー、オーナー」

追い立てられ、受付に追いやられる房子でした。

発熱

「歌子?準備できてるか?」

智がやんばるの歌子の元へ行くと、歌子は部屋で倒れていました。

「ちょっと熱が。披露宴には絶対行く。智にいにい、お願いがある」

歌子は、一人で東京まで飛行機で行き、さらにフォンターナまで一人でいかないといけません。しかし、熱がある歌子は、一人で行くことができないので、智に一緒にきてくれるように言うのでした。

三郎と多江と房子

フォンターナに三郎と多江がやってきました。その姿を見た房子は、手鏡を出して化粧を確認します。その辺は、何歳になっても乙女ですね。

「おひさしぶりです」

平静を装って、挨拶する房子。

「家内の多江です」

三郎も平静を装っています。

「はじめまして。あの・・おめにかかれてよかったです。思った通りの方でした」

多江にそう言われると、房子も「私も、同じことを思っていました」と言うのでした。

産まれる

フォンターナの電話で、良子は賢秀と話しをしていました。

「来れないってどういうこと?妹の披露宴より大事な用事ってなに?」

良子はそう問いただします。

「俺だって”時間よ止まれ”をグレートに歌いたかったわけ」

その時、養豚場の清恵がやってきて、賢秀に「生まれるよ」と言うのでした。

それを聞いた賢秀は良子に言います。

「生まれるわけ、予定より早く。それも3頭いっぺんに」

そう言うと、電話を切って豚の元へ向かいました。

歌子、迫真の演技

「これと、これね。忘れ物はないね」

歌子をフォンターナの前まで送り届けると、荷物を渡して智は帰ろうとします。

「何言っているの?ここまできて」

歌子にそう言われますが、智は那覇までの約束が羽田までになり、フォンターナの前まで来させられました。その時、倒れる歌子。

「お願い。うちをお店の中まで連れて行って」

躊躇している智。そこに中から三郎が出てきました。三郎はフォンターナの裏口に行きます。

「おい、歌子ちゃんと一緒に智が来てるぞ。こっちこっち」

そう言って、電話を切った良子を呼びます。そして、ちょうど賢秀の席が空いたことを智に伝えます。

「智、沖縄から歌子と一緒に?にいにいがこれなくなったから、にいにいの席に座って」

その時、倒れていた歌子は、サッと立ち上がりました。

「今日は熱は出てないさ」

その時、中から沖縄県人会の人達がやってきて、智をフォンターナの中に運び込んだのでした。

歌子は良子の結婚にも大きく手を貸していました。

お母ちゃんへ

お母ちゃんはオーナーの部屋で、うろうろと落ち着かずにいました。

「うちの方が緊張してきてしまって」

お母ちゃんに座るように言うと、暢子が大事な話しをしだします。テーブルの上には、お父ちゃんの写真が乗っていました。

「お父ちゃん、今日は一生に一度の、うちがお母ちゃんにできる、精いっぱいの感謝の日です。
 どうか、天国から見守っていてください。
 お母ちゃん、長い間、お世話になりました。うちは、お嫁に行っても、ずーーっと、お父ちゃんとお母ちゃんの娘だからね」

そう言うと、暢子はお母ちゃんに抱き着きました。

「ありあり。暢子、ドレスが崩れてしまうよ」

それでもかまわず、暢子はお母ちゃんに抱き着くのでした。

披露宴開幕

「新郎新婦の入場です。盛大な拍手でお迎えください」

司会は田良島が務めます。

賢秀の席にはタキシードに着替えた智の姿がありました。どこから調達したのでしょう?

乾杯の挨拶は三郎。親友の早苗もきています。

「ここで、新郎新婦のご友人、砂川智さんからご挨拶をちょうだいしたいと思います」

突然呼ばれた智は「聞いてないんだけど」と言いながらも、ちゃんと挨拶するのでした。

「砂川智です。一言挨拶させていただきます。
 暢子とは幼馴染で家族も同然。こっちに出てきてからも数えきれないほど思い出があって、できればお嫁になんか行って欲しくはありません。と言いたいところですが、これほどお似合いな二人はいません。結婚、おめでとう」

房子の挨拶

「続きまして、新婦の職場のオーナー大城房子さんより、お祝いの言葉をいただきます」

そう言うと、房子は慣れた感じで、挨拶をします。

「暢子さん、和彦さん、ご両家のみなさま、本当におめでとうございます。
 今日は暢子さんが働いてくれているフォンターナの話を二人に贈らせて下さい。フォンターナとは、イタリア語で”泉”。ドイツの哲学者ニーチェの言葉に由来します。”汝の立つ処深く掘れ、そこに必ず泉あり”。
 私が立つ足元の泉とは、屋台から続けてきた飲食という仕事、イタリア修行での経験です。そこを深く掘り続けていきたい。そんな気持ちを店の名前に込めました。
 暢子さん、和彦さん、若い二人の目の前には明るい未来が開けています。しかし、人生山あり谷あり、どうか足元を深く掘り、見つめて泉を掘り当てて下さい。お二人の末長い幸せをお祈りして、お祝いの言葉とさせていただきます」

琉装と沖縄料理

重子に博夫と良子が挨拶に行きました。

「あのー先日は、良子が突然お邪魔して申し訳ありませんでした」

しかし、重子は笑って許してくれるのでした。

「さて、新郎新婦の支度も整ったようです」

そう田良島がアナウンスすると、琉衣で登場する暢子と和彦。

お母ちゃんの夢が叶いました。

「暢子、ありがとう。とっても綺麗さ」

琉装を見た重子は「やっぱり私も琉装にすれば良かったかしら」と言うのでした。

そして、暢子が重子のために準備した沖縄料理が振る舞われます。ジーマーミー豆腐、クーブマチ、裏チキチヌク、ビラガラマチ、ミヌダル。ぜんぜんピンときませんが、フォンターナで出される沖縄料理は、品が感じられました。

産まれた

その頃、養豚場では子豚が生まれていました。

そして、賢秀と清恵が肩を寄り添って、ソファで寝ています。

それを見た清恵の父・寛大が、二人にひざ掛けを掛けてあげるのでした。

この二人も、そろそろ決めて欲しいですね。

どこへ行くのか

房子が三郎と多江に挨拶をしています。三郎には、先日大きな借りができました。

「こんなにおめでたい日を迎えられるなんて、私たちは幸運です。
 またいつか、ゆっくりお話させて下さい」

多江がそう言うと、房子は言うのでした。

「近い将来、あの子のお店ができましたら、ぜひご一緒させて下さい」

その時、歌子の歌が流れます。三線を上手に弾き、「椰子の実」を上手に歌うのでした。

そして、最後の料理が運ばれてきました。

「最後は、父から教わった沖縄の蕎麦です。そして、おにぎりにいつも母が作ってくれるアンダースー。油味噌を添えてあります。
 どちらも家族と食べてきた大事な思い出の食べ物です。家族への感謝の気持ちを込めて作りました」

みんなが美味しいと言う言葉、食べて嬉しそうにする顔を見て、暢子は思いつきます。

「これだ!うちは、決めました。ずっと自分が独立してお店をやるなら、どんなお店をやりたいのかわからなくてもやもやしていたけど、今日ずーっと探していたものが見つかりました。
 うちは・・・うちは、沖縄料理のお店を開きます」

突然の宣言は、ヤング大会のスピーチと同じです。房子は驚いて「え!?」と言っていました。

最後に

火曜日、賢秀と良子が重子の家に行ったところは、見るに堪えませんでした。コメディにしたかったのだと思うのですが、賢秀が酷過ぎて、見ていられませんでした。

それにしても、歌子は大活躍です。良子の結婚の手伝いをし、智を暢子の披露宴に出席させたのは、大手柄でした。歌子は何もできないと言いながらも、家族の幸せのために、尽力しているのです。

そして、暢子がやりたいお店が決まりました。しかし、思い付きはどうなるのでしょう?重子とは同居するのでしょうか?そして、賢秀と歌子の恋は、進展するのでしょうか?

来週の予告

昭和も終盤ですが、平成から令和まで続くんですかね?終わりはどこ??