事故物件 は、不動産取引や賃貸借契約の対象となる建物などで、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものをいいます。ただ、事故物件と呼ばないものもあるようです。
持ち込まれた相談は、その事故物件に関するものでした。依頼者を守ることができるのでしょうか?
そんな第6話のネタバレです。
主な登場人物
石田硝子 有村架純
羽根岡佳男 中村倫也
潮綿郎 さだまさし
大庭蒼生 赤楚衛二
羽根岡優乃 MEGUMI
高梨拓真 ウエンツ瑛士
高梨文香 西原亜希
六車瑞穂 佐藤仁美
第6話のストーリー
余韻
大庭は出勤途中、朝からイチャつくカップルをガン見していました。自分が告白して、石子と付き合うことになったら、あんな感じなのかなと想像している感じでもあります。
その頃、石子も大庭から告白されたことを思い出していました。
そこに、大庭が出勤してきます。しかし、大庭は何もなかったように普通です。石子は、すごく意識していました。
「もうすぐお別れだね。送別会何食べたい?」
所長の潮から聞かれた大庭は、
「所長の特製の無水カレーを。ブラジル酵素抜きで」
そう注文していました。
その時、事務所の扉をノックする音が聞こえました。
DMでの依頼
ノックしていたのは、羽男でした。事務所に入ってくるなり、石子に言います。
「石子さん、出かける準備だ。
TwittermpDMで依頼がきた。来たかったら来てもいいよ。いいよ、ついてきても」
実績のない天才キャラでしたが、効果があって舞い上がる羽男。
「ついてきて欲しいんですね」
石子に言われると、反論します。
「そんなこと、一言も言ってないよ。いつもついてくるから」
そして、潮はDMで依頼が来たことを「時代」だと感じました。
羽男が自慢話を始める声にかぶせて「行ってまいります!」と大声を張り上げて、石子と羽男は出ていきました。
依頼内容
依頼者宅に着いた石子と羽男は、依頼内容を確認します。
「高梨拓真さん、文香さんご夫妻は、1歳半になる双子の息子さんたちと共に、1ヶ月前この分譲賃貸マンションに引っ越してきた。
拓真さんは、仲間と立ち上げた中小企業向けの会計業務アプリ会社の業務が忙しく、文香さんは小さなお子さん二人の子育てを一手に引き受けて、元々育児ノイローゼ気味だった。そんな中、2週間前に郵便受けに手紙が投函されました。それを読んだ後、文香さんはふさぎこみ、4日前からは幻覚や幻聴が聞こえる状態に陥ってしまった」
依頼者の高梨拓真は、知っていたらこんな部屋は借りなかったと怒っています。
「あの、すみません。幻覚や幻聴というのは?」
そう聞くと妻の症状を話します。
「人の声が聞こえるとか、誰かいるって言い出したり。クリニックにも行ったんですけど、改善しなくて。夜泣きや幻聴で毎晩寝られず、昼間は寝てることが多くて」
怪文書
そして、投函されたという怪文書を石子に読むように言います。
「506号室でお年寄りが孤独死したことをご存じですか?その後住んだ方も僅か2ヶ月で出ていきました。その部屋は呪われている幽霊物件です。災いが起こる前に立ち去ることをお勧めします」
しかし、これだけでは脅迫とすることは難しいと羽男は判断しました。
「だから、助けていただけませんか?人が亡くなっているのを隠していた、この部屋のオーナーの不動産会社に責任取らせたいんです」
責任は、引っ越し費用の請求と契約の無効もだと高梨は言います。
「礼金がない代わりに、2年以内に退去すると違約金が発生するやつで」
2年以内に退去すると、家賃半年分の84万円を支払うという内容の契約書になっていました。
興味
「わかりました。私にお任せあれ。
ちなみに、Twitterをご覧になったということは、私に興味が?」
自分のブランディングが上手く行った事を確認したがる羽男。
「起業の時に相談に乗ってもらっていた弁護士の方が引退しちゃって。誰かいないか調べていたら、Twitterの自己紹介に大手事務所にいたって書いてあったので、この経歴の人ならと」
羽男のブランディングというより、前の事務所の大きさが判断する理由だったようです。でも、羽男は大満足です。
「お目が高い。さすがです。あはははは」
隣で白い目で見てる石子の視線が冷たかったです。
不動産屋の言い分
不動産屋に移動すると、対応に出てきた担当者を問い詰める羽男。
「御社が所有する506号室で、3年前に人が亡くなっていると告知する義務があったのではないかと考えております」
担当者が返答に困っていると、奥から社長の六車が出てきて、後を引き取りました。それでも、
「老人の孤独死や日常生活の不慮の事故死の場合、原則告知は不要だと思いますが」
そう言われても、構わず羽男は一気に話します。
「一般的にはそうです。しかし、本件の場合、死後数日経ち、周囲の住民が異臭に気づいたのちに死亡が確認されたようですね。当然、特殊清掃の対象になったはずです。このパターンは、宅建業法第47条第1号告知義務違反・・・」
しかし、六車も黙っていません。
「ですが、お亡くなりになった方がいるときちんと告知した上で、次の方に貸しています」
強者
その次の居住者は、高梨の前の住人です。
「その方は、なぜ2ヶ月で出ていかれたんですか?」
六車は、なんとなく歯切れが悪い感じで答えました。
「お仕事の都合と聞いています」
一気に結論までもっていく羽男。
「いずれにせよ、高梨さんと御社との不動産賃貸契約書には、貸主の契約不適合責任が規定されています。物件の瑕疵には居住する上で抵抗を感じる精神的瑕疵も含まれます」
六車も負けずに反論しました。
「亡くなった方の後に一人住んだだけではなく、うちは高梨さんに貸す前に物件をリフォームして、一新もしてるです。これ以上なにができると言うんですか?
さすがに、幽霊が出ると言うだけで、心理的瑕疵って言われても困るんですよ。不服なら、幽霊が出るから契約違反とでも言って、裁判でも起こしてみたらいかがですか?」
なかなかの強敵でした。
もう一つの手
「苦手なタイプだわー」
不動産屋から出てくると、羽男は石子に向かってそう言いました。
「裁判しても、相手側の調子だと、決着つくまで長引きそうですね」
幻覚や幻聴が聞こえると言う妻を、裁判が終わるまで住まわせておくのも酷な話しです。
「そうなると、高梨ファミリーも引っ越しできないし。なんとかしたい、でも裁判はできない。弁護あるあるだな」
羽男はそう言うと、石子は「矛先を変える」のはどうかと提案します。
「あの怪文書の犯人を見つけ、慰謝料を請求する」
二人の意見は一致しました。そして、羽男は、もう一つの希望も見えていました。
「結果次第でワンチャンあるよ。高梨さんの会社の顧問弁護士」
そう言うと、希望に満ち溢れた顔で高笑いするのでした。
管理人と管理組合
石子と羽男は、高梨と一緒に管理人とマンションの管理組合に集まってもらいました。
「管理人として、噂が広がるのも良くないと思い、管理組合のみなさんに集まってもらいました」
自己紹介すると、羽男は投函された怪文書を手に、切り出します。
「単刀直入にお伺いします。こちらの手紙を出した人物、思い当たりませんか?8月29日に郵便受けに入っていたようなんですが」
集まったメンバーはザワザワしますが、有力な情報は出てきません。そこで石子は、別の角度から質問します。
「ではみなさん、506号室で孤独死があったことは、ご存じですか?」
それについては、みんな知っているという反応でした。続けて石子が質問します。
「幽霊が出るという噂はあるんですか?」
そう聞くと「マンション内では」「次に住んだ方がすぐ出て行っちゃったから、噂が流れちゃったんですかね?」などと声が上りました。
「幽霊で出ていかれたんですか?」
続けて石子が聞きますが、短期間で交流がなく、顔も思い出せないという反応でした。
羽男はダメもとで管理人に前の居住者の連絡先を聞きますが、やっぱり断られてしまいました。
別の目的
「不動産会社もダメとなると・・・」
管理組合との話し合いが終わると、高梨はガッカリしていました。それを見て、石子は高梨に言います。
「どちらも引き続き調査を勧めます。
皆さん親しい印象を受けましたが、交流はあるんですか?」
高梨はマンションの状況を教えてくれました。
「同い年の子も多いんで、一緒に公園に行ったり、妻も子育てしやすいって喜んでたんですけど、まさかこんな・・・」
高梨は家の前までくると、子供の泣き声が聞こえていることに気づきます。急いで扉を開けると、妻の文香に声をかけます。
「文香さん、泣いてるけど、お願いできるかな?文香さん?」
しかし、文香の反応はありませんでした。しかたなく、石子と羽男に断りを入れます。
「今後の打ち合わせは電話で。一人泣いちゃうともう一人も起きちゃうんで」
双子育児が大変そうな高梨を見て、なんとかしてあげようと羽男は言います。しかし、それだけではなく、顧問弁護士も狙っていました。
「いけません!お金をいただく以上、依頼者は平等です」
石子の反応を聞いても、羽男は気にしていませんでした。
送別会
事務所の奥で、大庭の送別会が開かれました。参加者は潮、石子、羽男、蕎麦屋の塩崎です。
「それでは、大場君から一言お願いします」
そう言われると、大庭は立って挨拶しました。
「この3か月間、充実してて、あっという間でした。前の会社では、遅いとか要領悪いとか言われてたのに、ここではみなさんが仕事が丁寧だと言ってくださり、嬉しかったです。ありがとうございました」
前の会社は「職場いじめ」があった会社です。元々丁寧な仕事をするのでしょうが、そこでの扱いから比べれば、天国のような扱いだったのではないかと思います。
そして、大庭は、水ナスの糠漬けを食べて下さいと言って、大きな入れ物を取り出しました。しかし、急に水ナスの話が出てきて、みんな困惑します。
「大阪泉州地方の特産品です。一般的なナスと比べて、水分が多くて灰汁が少なくて」
困惑したのは水ナスが何かわからないからではありません。水ナスを持ってきた理由を聞きたかったのです。
「母が泉州出身で、センシュウ実家行った時に。あ、今のセンシュウというのは前の週のことなんですけど」
大庭の天然さが飛び出した会話でした。
鼻を触るサイン
大きなぬか床のプラスチックの容器を取り出した大庭。潮は石子にタッパーウェアに入れて分けるようにいいました。
石子と潮が分けるためにキッチンに生き、羽男がその様子を見ていると、塩崎が大庭に話しかけてきました。
「実らない恋だったね。君が硝子ちゃんを好きなことはわかってた。新しい職場で出会いあると思うから、がんばって」
そう言われて、まだ結果が出てないので、どう反応していいのかわからない大庭は、困った顔をしました。
そして、羽男が席に戻ると、大庭は羽男の隣に移動します。そして、何も言わず、羽男の顔を見ながら、大庭は自分の鼻をさすります。これは「告白したというの合図」です。
しかし、羽男はすっかり忘れていました。何度も大庭は自分の鼻をこすります。それは、見ていた塩崎も不思議な光景です。
「そんなにかゆいんか、鼻」
そう塩崎が言うと、鼻で羽男は思い出しました。
普通のふり
そして、送別会が終わると、羽男と大庭は途中まで一緒に帰ります。
大庭は、告白した状況を羽男に話します。そして、石子の答えは保留です。
「とってもありがたいのですが、もう少し考えさせていただけますか?」
それに対して大庭は「ゆっくり待ちます」と伝えました。
羽男は、告白して意識しあうのかと思っていましたが、あまりにも自然だったので、告白した気配を感じ取ることができませんでした。
「変な態度取ったら、石子先輩困ると思って、必死に普通のふりを」
大庭は優しい人です。ちゃんと上手くできていました。
その頃、石子はもらった水ナスを食べながらお茶を飲んでいました。そして、どう返事をするか悩み、頭を抱えていました。
育児休暇
高梨が事務所に来て、石子と羽男と今後の打ち合わせをしていました。
「防犯カメラ件、チェックの許可が下りたと管理人さんから連絡が。さっそく今日にでも」
そう話していると、高梨の電話が鳴りました。仕事の電話のようで、電話にでる高梨。
「すみません。午後には必ず。はい、失礼します」
そう言って電話を切りました。
忙しい姿をみて、石子は「育児休暇」を取ったのかと聞きます。
「取ってません。うちの会社友人と立ち上げて間もないんです。7名の小さなところですし、事務の女性が産休中で、僕が育児休暇と言うのはなかなか」
しかし、育児休暇は正当な権利です。羽男はそう言いますが、そんな簡単な話しではありません。
「法律としてはそうでも、綺麗ごとだけじゃ生きていけませんから。僕が休んだことで売り上げが下がったら、社員に給与を払えなくなる可能性もある訳で」
保活
高梨には双子の子供がいますが、子供の世話は全て妻・文香がみていました。
「本当は妻も、子供を保育園に預けて、仕事に復帰している予定でした。でも、なかなか入れなくて、キャンセル待ちしながら、毎日一生懸命二人の息子を育ててくれています」
そう言う高梨に石子は言うのでした。
「やはり、保活中なんですね」
保活は、認可保育園に入れるための活動のことです。待機児童が多い場所では、入れるのは大変なことのようです。
「調べてみてわかりましたが、保活にもポイントってあるんですね」
石子は高梨の為に、調べていました。ポイントというのは、その家庭が保育園に子供を預けなきゃいけないかの判断基準。保育園の必要性を数値化したものです。
「夫婦がフルタイムで共働きとか、近くに頼れる親族がいないとか、より保育園が必要とみなされた方に高いポイントが付くようになっているようです」
石子が保活を知らない羽男にそう説明しました。高梨は、追加情報を話します。
「民間の託児所を使ったことがあるとポイントが上がるんで、戦略的に一度預けて実績作るみたいな人もいるみたいで」
石子は調べた内容で「ベビーシッターが利用できる補助金制度」をまとめた資料を高梨に渡していました。
高梨にまた電話です。今度は仕事の電話ではないようです。
「で、妻は無事なんですか?」
ボヤ騒ぎ
高梨の妻は、入院することになりました。
「妻も息子も心配ありません。でも、妻は過労で数日入院に」
心配で駆け付けた石子と羽男に高梨はそう説明してくれました。
「でも、ぼやで住んで不幸中の幸いでしたね」
そう聞くと、高梨は考えていたことを話します。
「鍋に火をかけたままうたた寝なんて。妻を助けるつもりが、苦しめる羽目になってたのかも。
もう諦めます。マンションの方に言われたんです。幽霊騒ぎ、大げさにしないでくれって。資産価値下がったらどうしてくれるんだって」
高梨夫妻が追い詰められるいわれはありません。しかし、マンションの住人の反応も理解できます。
石子と羽男は怪文書の犯人を見つけることを約束しました。そして、高梨はシッターを探すと言っていました。
聞きたい2つのこと
大阪マドラスカレーで、石子と羽男は食事を取ります。このドラマに出てくる食べ物屋さんは、なんで大盛り、爆盛りの店ばかりなのでしょう?
食事を待っている間、羽男は石子の体調を気遣います。
「薬のおかげで落ち着いています。今度手術すれば問題ないようです」
そう聞いて、安心する羽男。そして、羽男にはもう一つ気になることがありました。
「告白されたんだって?大庭っちから聞いた。俺が好きなのって聞いてたから、教えてくれたみたい。こういうのってさ、聞いてたのに知らないふりしてるの気持ち悪いじゃない」
耐えきれず、羽男は聞いてしまいました。
ルール違反
「そういうのは言わずに心にしまっておくものです」
石子にはそう言われますが、羽男の興味はまだまだ尽きません。運ばれてきたカレーの量に驚きながらも、聞いてしまいます。
「オッケーするか悩んでるだって?
相棒じゃない、教えてくれない?
悩むというのがわからない訳。俺はいいなと思えば付き合うし、嫌なら断ればいいんだから」
都合のいい時だけ相棒扱いする羽男。しかし、石子の気持ちは単純に決められる状態ではありませんでした。
「そんな、単純なものじゃないんですよ。こんなあいまいな気持ちでいいものなのかどうか。
大庭さんはいいなって思う部分はたくさんあります。が、自分の好意が100%と言えない中、お付き合いしていいものなのかどうか、迷いがあります。ルール違反なんじゃないのかと。
固いねー
それと、事務所の経営が苦しく仕事に専念するべきなのか、恋愛はいかがなものかと」
相変わらず、固い石子なのでした。
羽根岡任三郎
マンションにカメラ画像を見に来た石子と羽男。
「あれ、エントランス1台だけですか?確か防犯カメラ2台ありましたよね?」
そう聞くと、管理人は「1台ダミーだから」と答えました。そして、その情報は、住人には説明してあるようです。
それを踏まえて、カメラ画像をチェックする2人。
「手紙が投かんされた日、高梨家の郵便受けだけに何かを入れたのはこの方だけですね」
黒いパーカーにズボン姿の人物が、カメラから顔をそむけるようにポストへ行き、紙を投函して、マンションから出ていくところが映っていました。
「女性か男性かも不明。特徴のない服装。ただ・・・」
そういうと、羽男は急に古畑任三郎のものまねをしだします。
「えーこの方、監視カメラの位置を知っている角度で入ってきて、最後まで顔を見せずに出ていかれました。普通、2台のカメラを気にしていたら、この角度にはなりません。このカメラがダミーだということを、この方わかっていらっしゃったんでしょう。つまりこの方は、マンションの住民である可能性が高いです。羽根岡任三郎でした」
ノーリアクションの石子でした。
君に任せよう
しかし、不審な人物はいましたが、誰かを特定することはできませんでした。
「いつもと違う行動をしている人物がいないか、投函される前後1週間の行動を洗い出しましょうか?」
石子はそう提案しますが、めんどくさがって羽男は「そこまでする?」と言うのでした。
「何が手掛かりになるのかわかりません。廊下、エレベーター等の防犯カメラをチェックすれば、どの部屋の住人からかわかりますので、管理人さんからそれをお借りして・・・」
そこまで言うと、羽男は石子に任せると言い出します。自分は他に調べることがあると言うのですが、石子にはめんどくさいだけにしか思えません。
助っ人
羽男に逃げられ、一人で防犯カメラをチェックする石子。そこに大庭がやってきました。
「羽男さんから手伝えないかと連絡があって」
そう大庭は説明しました。しかし、バイト料は支払うことができません。石子が説明すると、大庭は大丈夫と言うのでした。
「羽男さんが飯を奢ってくれるそうなんで」
そう言って、手伝ってくれることになりました。そして、大庭は紙パックのジュースを石子に手渡します。
「これ、どうぞ。懐かしくないっすか?」
高校の食堂にあった紙パックのジュースを懐かしくなって買ってきたのでした。
「よく売り切れてたじゃないですか。見かけた瞬間、すぐ買っちゃいました」
そう楽しそうに言うと、大庭は一緒に手伝ってくれました。
目撃者
防犯カメラ映像を見ていた石子が、事務所に帰ってきました。
「一応、何かやってらっしゃいますね」
羽男はデスクで仕事をしていました。
「なんだと思ってるの。ちゃんとやってます」
そして、カメラ映像を見た結果を石子に聞きました。
「マンションで聞き込みをしたあの日、エントランスを出た我々の後を105号室の谷さんが追いかけてきていたんです。
でも、思いとどまったようで、戻っていくまでの様子が映っていました。
その行為が気になり、先ほど話を伺ったところ、彼女は8月29日に怪しい人物を目撃しており、それを証言しようとしたが、住民を売るようで気が引けてしまったと言っていました」
石子と大庭の調査で犯人がことがわかりました。
高梨の生活
その頃、妻が入院中の高梨は、シッターを雇っていました。
朝、出かける時には、ゴミ捨てもします。
仕事が忙しいので、急いでいますが、そんな時ほどゴミ袋が破けてゴミが散乱してしまったりします。
妻が入院中で仕事は忙しくて、大変な日々を過ごしていました。
怪文書の犯人
荒川区役所の駐輪用の柱の陰で、誰かを待っている石子と羽男。
そこから出てきた女性に声をかけます。
「熊切さん。少しよろしいですか?」
そして、熊切を事務所に連れてくると、怪文書について話しをしました。
「この怪文書、あなたの仕業ではないかと考えております。
これが投函された日、パーカーにズボンといういつもと違う格好のあなたが、マンションから足早に立ち去るところを目撃された方がいたんです」
しかし、熊切は否定します。
「ちなみに刑法第222条脅迫罪が成立した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることになります。昭和35年の判例ではありますが、言い争いをしてる相手に”出火お見舞い申し上げます。火の元にご用心”と書かれた書類を送付し、実際に脅迫罪として逮捕された事案もあります。まぁ今回は、直接的な言い回しではありませんが・・・」
羽男はまくし立てるように判例を突きつけ、熊切を精神的に追い詰めます。そこで、石子が口を挟み、飴と鞭の「飴」を与えるのでした。
「まあまあ、先生。真実を話してくれれば、穏便に済ませますよね?」
羽男は「そうねえー」と言うと、熊切の反応を見ていました。
高梨はポイント高い
認めてくれない熊切のために、石子はさらに話します。
「保活のため、ですか?先ほども区役所の子育て支援課に行かれてましたよね?子供を認可保育園に入れることができず、職場に復帰できていないと聞きました。
防犯カメラによれば、あなたの旦那さんは朝早く出勤し、帰宅は毎日0時近く。土曜日も日曜日もないようです。一人でお子さんを育てないといけない貴方は、お子さんを保育園に・・・」
そこまで言うと、熊切は認めてくれました。
「すみませんでした。うち、谷さんみたいに私立の保育園にいれたくても、月8万円も払えないんです。だから認可しかないのに入れなくて。保活頑張ってるところに高梨さん越してきて、子供一人の私より、双子の高梨家の方がポイント高いんです。だから、つい・・・」
熊切には熊切の事情があったのです。しかし、だからと言って許せるものでもありません。
振り出しに戻る
石子と羽男と一緒に、熊切は高梨に謝罪にきていました。
「申し訳ありません。お詫びの慰謝料は精いっぱいお支払いします」
そう謝罪する熊切。しかし、高梨の反応は予想外のものでした。
「頭あげてください。慰謝料はいいです。腹は立つけど、しんどさはわかりますし。
それに妻が言ってましたから、スーパーで買い物中、二人の息子がギャン泣きしたらしく、その時途方にくれてた妻に熊切さんが”大丈夫?荷物持つよ”って声をかけてくれたって。
子育てで何もかも予定通りいかず、いっぱいいっぱいだった時にあの言葉で救われたって、何度も言ってました。妻も、僕と同じ思いだと思います」
熊切は、ただ無言で頭をさげました。
怪文書の件はこれで決着しました。しかし、慰謝料取らないとなると、振り出しに戻ってしまったことになります。石子と羽男は、不動産屋をなんとかすることを考えなければなりません。
SDカード
石子と羽男は、事務所で対策を協議していました。
「高梨さん、どんどんやつれていくな」
羽男がそう言うと、石子も「早く解決したいですね」と言うのでした。そして、不動産屋をどこから攻めるかと相談している時、来客がありました。
「こんにちは。へー弁護士事務所ってこんな感じ?」
マンションの高梨の隣に住む住人です。
「例の怪文書の手がかり、見つけたから教えようと思って」
しかし、それは解決しています。そう伝えると、犯人が誰だか気にします。
「犯人誰?ヒント、ヒント。ヒントもだめ?」
聞き出せないことを知ると、意味なかったと言うのでした。
「そっかー解決したんじゃ、意味なかったね、これ」
手にしていたのは、SDカードでした。
前の住人
持ってきたSDカードには、玄関のインターフォンの画像が入っていました。
「以前506に住んでた人が、回覧板持って来たことがあったらしくて、その時のインターフォンに残ってたの、旦那が思い出して。でも、もう解決したんでしょ?」
石子と羽男は、パソコンで画像を見て、画像の男をスマホで撮影していました。
しかし、その以前の住人はどんな人なのかわかりません。
「たまに朝から出かけてたことがあるから働いてたんだろうけど、昼間パチンコに入り浸ってる感じもあったし」
それを聞いて、石子と羽男は同じことを思いついたようです。
「もしかして、これ」
「俺も同じこと思ってた。一発逆転あるかもな」
そして、その男が来ているジャンパーのマークを見たことがある羽男。思い出して、飛び出して行きました。
それを見て、石子も追いかけようとします。潮にお客さんに「こんにゃくサブレ」を出すように言って、急いで羽男の後を追いかけました。
フォトグラフィックメモリー
猛ダッシュ羽男。それを追いかける石子。
羽男はある会社の前で立ち止まりました。
「ジャンパーのマーク見て。この車の事思い出した」
その会社の車に書かれたマークと、ジャンパーのマークは一緒でした。中に入って、話しを聞きます。
「たしかね、村井邦久って名前じゃなかったかな」
そう教えてくれたのは、社長でした。そして、従業員の履歴書を見せてくれます。石子が社長に働いていたのかと聞くと、事情を話してくれました。
「おう、金がない時だけな。根はまじめだから、面倒見てやってたんだ」
そこに事務員がやってきて、履歴書を取り上げます。
「うわーダメよ社長、こんなの見せちゃ。今、コンプラの時代なんですからね」
しかし、フォトグラフィックメモリーを持つ羽男は、一瞬で記憶することができました。
社長と事務員がいい争いを始めますが、石子と羽男はそそくさと帰りました。
「もう覚えたんですか?」
石子の問いに、羽男は自分の頭を指さして、記憶したことを伝えました。
新たな症状
高梨が妻の病院に来ていました。
「ごめん、起こしちゃた?」
高梨の気配に気づいて目を覚ます文香。
「ううん、ありがとうね、いろいろ」
高梨にそう言うと、高梨からお知らせがありました。
「ううん。悲しいお知らせ。イヤイヤ期はじまったかも。
おむつ変えよう、いやだ。お風呂入ろう、いやだ」
そんな話を聞いている時、文香は気分が悪くなってしまいました。
そして、吐きそうになっていました。
張り込み
文香の病院から、事務所を訪ねた高梨。しかし、石子も羽男も不在でした。
対応にでた潮は話しを聞きます。
「妻の体調のことで、ちょっとご報告したいことが」
そう言って高梨は話し始めました。
その頃、石子と羽男は張り込みです。張り込みらしく、あんぱん買って羽男に渡そうとする石子。しかし、羽男は受け取りませんでした。
そこに潮から石子に着信が入ります。
「あの高梨さん見えたんだけど、奥さんがね。芳香剤や柔軟剤の匂いで気分が悪くなるらしいんだよ。
で、僕ふと思ったんだけど、もしかして・・・」
そこまで言ったところで、待ち人がきました。前の住人、村井です。
石子は「かけ直します」と言って電話を切ると、村井の元に羽男と一緒に行って、話しをきくのでした。
ルームロンダリング
石子と羽男は、不動産屋に生き、六車と対決します。
「あのマンションの506号室に以前住んでいた、村井邦久さんとお会いしました。
彼は証言しました。あなたがたから金銭を受け取り、一定期間あの部屋に住んでいたと。これはルームロンダリングです。事故物件などの告知義務のある物件を告知することなく貸し出すために、入居者を入れるやり口です」
しかし、六車も黙っていません。
「その方が借りたいと言ったから貸したまでです」
それでも、羽男はひるまず続けます。
「あなた方の行為は、高梨さんに対する告知義務違反はもちろん、偽装工作を行い瑕疵のない物件であると意図的に貸し出した点をもって、詐欺罪に当たる可能性がある。その点については、徹底的に追及するつもりです」
そして、石子は二つの封筒を六車に提示します。
「それだけではございません。高梨文香のアレルギー科での診断結果と、506号室の室内空気環境測定の結果です」
シックハウス症候群
そして、後を羽男が引き取ります。これは、昨日二人で、しっかり打ち合わせをした内容です。
「我々はてっきり育児ノイローゼが酷くなったものだと思い込んでいたのですが、そうではなくあの部屋に原因があることが判明しました。
そして506号室の空気を調査した結果、ホルムアルデヒドの室内濃度が厚生労働省の指針値を遥かに超えていました。更に文香さんは、診断により、シックハウス症候群であることが判明しました。
つまり、あの部屋に入居してからの体調不良、睡眠障害によると思われる幻覚、幻聴症状はこれに起因していたんです。これはあなた方が高梨夫妻が入居する前に行ったリフォームが建築基準法に基づくシックハウス対策規制に反したものであったことは、検査結果からも明かです。
さらに奥様の症状は深刻で、化学物質過敏症を発症しており、今後柔軟剤、香水、整髪料など、香料を含むものの使用を控えるなど、生活が制限されます。ここまでの被害を出しておいて、言い逃れはできませんよ。
平成17年に建物内のホルムアルデヒドの濃度が行政水準を相当程度越えているとして、マンション販売業者の契約不適合責任を肯定し、売買契約の解除、および損害賠償が認定された判例がございます。本件の被害・・・」
まくし立てる羽男に六車はストップをかけます。
「待って待って。話し合いましょう」
ひるんだら一気に
これも打ち合わせ通りです。相手がひるんだら一気にいきます。
「まず、賃貸借契約の即時解除を認めていただきます。もちろん、違約金はなしです。そして、敷金、礼金、引っ越し費用、2年分の火災保険、前払いの家賃を含め、全て返還していただきます。さらに、シックハウス症候群の治療費と慰謝料、またボヤ騒ぎもシックハウス症候群の不眠が原因と考え、保険で支払われない水びだしになった家電の修理代、それによってかかったベビーシッター代もお支払いただきます」
六車はただ「そんな・・・」と言うことしかできません。
「お断りされるならそれはそれで結構ですが、その場合即刻訴訟を提起すると共に御社が宅地建物取引業を行う上で重大な違法行為を行ったことについて、監督官庁に告発致します。そうなれば、最悪の場合免許の取り消し、会社としても致命的なダメージを受けることが予想されますが、それでよろしいですね?
しかし、本件の賠償を履行していただき、今後は業務の適正化を徹底されるとお約束いただけるのであれば、これ以上の要求は致しません」
六車は、もう反論することができませんでした。ただ「わかりました」と言うだけです。
鉄道研究会
石子と羽男は、高梨夫妻に会いにきていました。
「待機児童少ない所に引っ越せたので、無事保育園決まりました」
石子が話しを聞いていると、羽男は双子と遊んでいます。
「それも二人がお金を取り戻してくれたおかげです」
高梨はそう言って感謝しますが、石子は「先生が」と言って羽男のおかげだと言うのでした。
「ねえ、カッコいい電車だね、これね」
羽男が双子と話している姿を見た文香は、近寄って行きます。
「すみません、このタイプは電車じゃなくて気動車って言うんです」
すごいマニアックな指摘に驚く羽男。
「すみません、僕ら鉄道研究会だったもので」
高梨はそう言って、マニアックな理由を教えてくれました。
産後パパ育休制度
幻聴や幻覚に悩まされた文香ですが、すっかりいつもの文香に戻ったようです。そして、高梨はこの期間の生活を振り返ました。
「数日、一人で子供見て、いろいろ至らなかったって気付きました。
これまでお風呂、湯舟入れるまでやって、あとは妻に託してたんです。でも、タオルで拭いて保湿クリームヌルまでやるとか、ペットボトル捨てるときラベル剥がすとか、そういう小さな努力で育休は取れずとも、妻の負担を少しでも減らせるんじゃないかと思いました」
石子は素敵な考えだと感心します。
「先日おっしゃった、”法律はそうでも綺麗ごとだけじゃ生きていけない”という言葉、胸に残ってるんです。今年の秋から産後パパ育休制度がスタートしますが、実際のところ小さい会社では利用できない方も多いんだろうなと、法律に携わる身としてもどかしかったんです。でも、高梨さんのように考えるだけでも、社会が変わっていく気がしました」
顧問弁護士
石子の発言が真面目すぎるといって、羽男は自分のことを売り込みます。
「ちなみに、私はいかがでしょう?
御社の顧問弁護士に。今回はいい仕事ができたと自負しております」
突然言われ、高梨は驚きます。
それに対して、高梨は答えました。
「とても、感謝しています。でも、まだ大きくない会社なので、その日が来た時に」
それを聞いた羽男は、嬉しそうに言っていました。
「社交辞令ではないと、受け取っておきます」
高梨は笑って、子供達の元へ向かいました。
「今のほほえみ、どっちだ?」
羽男が聞くと、石子は「社交辞令でしょ」とあっさり答えました。大声で「まじかーーーーーー!」と嘆いていました。
解決してみせるから
高梨一家と別れ、羽男は石子と帰ります。
「あの二人、先輩と後輩だったんだって。奥さんが先輩で。高梨さんにのろけられちゃったよ。
はじめは先輩って意識しかなかったんだけど、一緒にいるうちにどんどん好きになって、今じゃ彼女がいないと生きていけないとか言っててさ。すごいよね」
羽男の意図がなんとなくわかった石子。石子は冴えない顔をしていました。
「あのさ、プライベートが充実してる方が仕事頑張れるって話しもあるよ。事務所のこと心配だって言ってたけど、そこについては俺を信じなさいよ」
そこまで言われて、「大庭さんとのこと言ってます?」と石子は確認しました。
「今回みたいに俺が依頼もってきて、解決してみせるから。そこは心配いらないよ」
羽男の不器用な優しさですが、石子は「はい」と言って受け入れました。
思いを積み重ねて
大庭を呼び出した石子。大庭はもう待っています。石子は気合を入れて、出ていきました。
最初はぎこちない会話をして、歩きながら石子が話し始めました。
「あの、先日告白していただいた件ですが、嬉しかったです。大庭さんのまっすぐな所、いいなって思っています。お掃除をお願いしていない時も、気が付いた時にスイッチ周りをさっと拭いてくれる細かな気遣いや、それをやったと言わない奥ゆかしさも素敵だなと感じています。そして、何か説明する時にちょっと回りくどい所も誠実さの表れだなと感じています。
でも、それだけでお付き合いに踏み切っていいものか、悩んでいました。ですが、一緒に過ごす中で思いを積み重ねて、ゆくゆく100%になれれば、それはそれでいいのかもと思い始めました。お付き合いの定義が大庭さんと私で違うかもしれません。そのあたりは追々確認しつつとなりますが、ぜひ告白をお受けさせていただきたく存じます」
石子の言葉に嬉しくて、大庭は石子に抱き着きました。驚く石子。そして、正気を取り戻した大庭は、石子から離れました。
「あ、ごめんなさい、ごめんなさい。今のなしで。あ、いや、ありで。気持ちはありなんですけど、なしで。気を付けます」
そう言って、石子と二人で笑っていました。
最後に
まさか大庭の告白を受けるとは思っていませんでした。羽男のアシストが、上手く決まったようです。羽男が石子を気にしてると思ってたんですが、それはまだ先の話しでしょうか?ドロドロにはなりそうにないので、この感じでいくのかな?
そして、不動産屋の六車役の佐藤仁美は、有村架純と共演するのは「ひよっこ」ぶりでしょうか?すごく懐かしく感じました。
そして次回は、苦手な裁判があるようです。
楽しみです。