パイロットになりたい 舞いあがれ(7) ネタバレ

映画・ドラマ
朝ドラ

パイロットになりたい は第7週のサブタイトルです。

スワン号のパイロットをやったことで、パイロットになりたい夢ができました。しかし、飛行機を作りたくて大学に入っただけに、なかなか言い出すことができませんでした。

そんな時、幼馴染の貴司と久留美も、岐路に立たされていました。

どうやって結論を出していくのでしょう?

そんな第7週のまとめです。

舞あがれ!公式HP

主な登場人物

岩倉舞   福原遥     航空工学を学ぶ大学生
梅津貴司  赤楚衛二    舞の幼馴染、看護学生
望月久留美 山下美月    舞の幼馴染、元システムエンジニア

才津祥子しょうこ  高畑淳子    舞の祖母でめぐみの母
岩倉浩太こうた  高橋克典    舞の父
岩倉めぐみ 永作博美    舞の母
岩倉悠人はると  横山裕     舞の兄、東大生

八木いわお   又吉直樹    古本屋デラシネ店主
梅津勝   山口智充    貴司の父。浩太の幼馴染のお好み焼き屋
梅津雪乃  くわらたりえ  貴司の母。勝の妻
笠巻久之  古館寛治    ネジ工場の従業員
望月佳晴  松尾諭     久留美の父。元ラガーマン

第7週のストーリー

航空学校に行かせてください

チームメイトの期待を背負って記録飛行に挑戦した舞。飛行機への憧れは、いつしか空を飛ぶことへの憧れに変わっていました。

久留美と話したことで、決心してお父ちゃんとお母ちゃんに話しをします。

「私な、旅客機のパイロットになりたいねん」

いきなり言われ、お父ちゃんもお母ちゃんも驚きます。

「航空学校に行ってライセンス取って、航空会社に就職したいと思ってる。私な、ちっちゃいころからずっと思っててん。強い人になりたいって。そやから、人力飛行機のパイロットに挑戦した。みんなの期待背負って、それにちゃんと答えたかった。そんで、空飛んでみたら、プレッシャーなんか忘れるぐらい楽しかった。このために生まれてきたんちゃうかってぐらい楽しかってん。お父ちゃん、お母ちゃん、お願いします。航空学校に行かせて下さい」

立ち上がって頭を下げて、舞は自分の気持ちを素直に話しました。

中退

そして、舞はもう準備を始めていることを伝えます。夏に受験して合格したら、大学を中退して航空学校に入学したいのです。

「中退?そんな中退って。はいそうですかって、聞けるはずないやろ。お母ちゃん、大学はちゃんと卒業して欲しい。あんた、ずっと飛行機作りたいゆうてきたやん。お父ちゃんも楽しみにしてんねんで」

しかし、お母ちゃんの反応は当然です。そして、お父ちゃんが作った部品を舞が作った飛行機に載せたい、それがお父ちゃんの夢でもあります。そして、お母ちゃんは大学を卒業して欲しいと言います。

「大学はちゃんと卒業して欲しい。それまでに考えたらええやん。一回、人力飛行機で飛んだだけやろ?それなのに・・・」

舞は必死に反論します。

「1回だけでもわかる。お母ちゃんだって、お父ちゃんと出会って大学中退したんやろ?その気持ちに間違いはなかったんやないの?」

お母ちゃんは鈍器で殴られたように固まってしまいました。ただ、自分が中退したからこそ、舞には卒業して欲しかったのかもしれません。

「お母ちゃんが反対なのはわかった。けど、諦めることはできへん」

そう言うと、家を舞は飛び出していきました。

親は心配しているもの

飛び出した舞は、バイト先のノーサイドに来ていました。そこでは、幼馴染の久留美がバイトしています。

「やっと言えたんやな」

久留美には状況を話していました。

「けど、わかってもらえんかった。大学はちゃんと卒業して欲しい。それまでによう考えって、お母ちゃんが」

オーナーは、親ならそう言って当然と言います。

久留美は、心配してくれるお母ちゃんがいていいなと言うのでした。久留美の父は仕事が続かず、久留美に心配かけてばかりです。

「子供が思うより、心配してるもんなんやで」

オーナーは、久留美をそう諭します。

「昨日の晩、お父ちゃんから電話かかってきて、久留美帰ってけえへんって。舞ちゃんのところ行ってるんちゃうかってゆうておいたけど」

オーナーに言われ、舞も久留美も家に帰ることにしました。

悠人からの電話

舞が家の前までくると、着信がありました。兄の悠人からです。

「親父らにゆうたんか?無謀な夢を」

それには舞は、無謀やないと反論しますが、反対されたことは素直に伝えました。

「せやろな。で、諦めたんか?」

舞は諦めていませんが、お母ちゃんに中退のことを言ってしまったことを後悔していました。

「お前がそんなこと言うとはな。びっくりした。舞がそんなこと主張するの初めてやろ。遅れてきた反抗期、どこまで続くかみものやな。ほな」

悠人は一方的に話すと、電話を切ってしまいました。

お母ちゃんの所にいったってええんやで

久留美も家に帰ってきました。

父・佳晴はキッチンで求人誌を広げながら、電話をしている最中でした。そして、久留美が帰ってきたことを知った父は、憎まれ口をたたきます。

「なんや、帰ってきたんかいな」

久留美はうんとだけ答えると、捻挫の心配をします。そして、父にちゃんと謝りました。

「ええよ」

父は謝らず、ただそう言うだけでした。

久留美が部屋に入ると、今までに母から届いた手紙を見ます。その手紙には、電話番号が書いてありました。そんな久留美は、リビングで寝ている父を気にして行ってみました。

そして、寝ている父に布団をかけてあげる久留美。

「お母ちゃんの所行ったってええんやで。お父ちゃんに気を使う必要あらへん」

久留美は「なにいうてんの」とだけ返事をして部屋に戻りました。

貴司の不在

貴の実家のお好み焼き屋では、貴司の母・雪乃と父・勝が店で心配していました。

「貴司、なんで帰ってこうへんのやろ」

貴司は、もう3日も帰ってきていません。そして、連絡もありません。

「会社に電話してみよ」

そういう雪乃を止める勝。

「やめとけ、彼女の所にいたらどうすんねん。恥かかすだけや」

しかし、雪乃は知っています。貴司に彼女はいません。

「あいつの全部、わかってるわけちゃうやろ。あいつは大丈夫」

勝はそう言いますが、雪乃の心配は抑えることができませんでした。

失踪

舞のお父ちゃんとお母ちゃんが、リビングで舞の話しをしていました。

その時、インターフォンが鳴ります。お母ちゃんが出ると、雪乃が泣きながら立っていました。

「めぐみさん、どないしよ。貴司が、貴司が・・・」

その声を聞いて、舞も部屋から出てきます。

「貴司がいてへんようになった」

それを聞いて、驚く舞。雪乃と勝を家に上げて話しを聞くことにしました。

「ここんところ帰ってきへんから、さっき会社に電話したら、3日前に退職届出してそのままやて。携帯繋がらへん」

舞も電話してみますが、貴司は電話には出ませんでした。

捜索

舞は久留美と合流して、貴司をデラシネに探しに行きました。

「閉店 今までありがとうな 店主 八木巌」

デラシネは閉店していました。舞も久留美も、閉店することは知りませんでした。

そして、貴司の行きそうなところを二人で探します。

その時、貴司はどこかの海辺にいました。置いていた携帯電話の着信履歴を見ます。

舞ちゃん、おかん、おかん、舞ちゃん、おかん、舞ちゃん。。。

貴司は、そっと携帯を閉じました。

その頃、舞と久留美は、ノーサイドにやってきました。

貴司が以前ノーサイドで書いていた詩を思い出します。

干からびた犬

舞は、何も知らなかったのではないことを知ります。貴司のことをなんか変だと気づいていたのですが、自分のことで精一杯だったのです。

絵葉書

商店街を舞と久留美と歩いてる時、舞の電話が鳴りました。相手は、貴司です。

「どこにおんの?心配したんやで」

舞はそう言って、貴司を心配します。

「今、五島や。舞ちゃんから、うちのおかんにゆうてくれへん?ちゃんと生きてるって」

舞は自分で言った方がいいと貴司を諭しますが、貴司から伝えることができないのでした。

「今は話しできへん。もう、限界なんや。せやから、舞ちゃんから伝えて欲しい」

それを聞いた舞は、雪乃に伝えることを請け負いました。そして、いつまで五島にいるのかと聞きます。

「わからへん。けど、見て見たかった景色があんねん。絵葉書の。これ、舞ちゃんがくれたんやで。ほな切るな、電池ないねん」

久留美も携帯電話に耳を近づけ、貴司の話を聞いていました。

「絵葉書って?」

久留美にそう聞かれた舞は、子供の頃に五島から絵葉書を送ったことを思い出したのでした。

五島に行ってくる

舞と久留美は、貴司の家のお好み焼き屋に行って、貴司から連絡があったことを伝えます。雪乃は、ひざから崩れ落ちるように安心していました。

しかし、五島に行った理由が雪乃にはわかりません。

「私もわからへん。すぐ電話切れてしもて。でも、ちゃんと生きてるから心配せんといてって、ゆうてた。貴司君、一人で考える時間が欲しいのとちゃうかな?せやから、知らん人ばっかりの五島にいったんかなって。私が五島に行ってくる。貴司君が元気か見てくる」

雪乃は自分が行くと言いますが、勝に止められます。

「雪乃、貴司が電話したん舞ちゃんや。俺らやなくてな。貴司の事信じて、舞ちゃんに任せてみようや」

そして、久留美も一緒に行くと言うのでした。

五島へ行く準備する舞。その頃、雪乃は舞の家で、お父ちゃんとお母ちゃんと話していました。

「貴司な、ちいちゃいころから本が好きでな。ホンマは大学で文学の勉強させてやりたかってん。けど、本人が就職するゆうてな。文学の勉強なんか大学行かへんでもできるゆうてな。親の反対を押し切って決めた就職やさかい、うちらに弱音吐かれへんかったんやわ。気ぃついとたらよかったのに」

雪乃は後悔してもしきれないのでした。

大瀬埼灯台

早朝、舞は出発します。隣の家の貴司の家に顔を出します。

「おばちゃん、行ってくるな」

舞がそう雪乃に声をかけると、雪乃が弁当を作ってくれていました。

「久留美ちゃんと食べて。貴司のこと、よろしゅう頼んます。帰ってくるの待ってるって伝えてくれる?」

そして、舞は久留美と合流すると、飛行機に乗って五島へ旅立ちました。

五島福中空港に着いた舞と久留美は、すぐにタクシーに乗り込みます。電話をしてみますが、やっぱり貴司には通じません。

「やっぱりでえへん?まだおるかな?」

久留美は、貴司がまだ五島にいるのか心配です。

「きっとおる。昔、貴司くんに送ったん大瀬埼灯台の絵葉書やねん。空と海が夕焼けに染まった綺麗な写真でな。一目見て、これは貴司くんに送ろうと思ってん。せやから、貴司君がゆうてた見たかった景色って、大瀬埼灯台の夕焼けやと思うねん」

舞と久留美は、急いで灯台へ向かいました。

貴司

灯台に着くころには、もうすっかり夕方になっています。急いで灯台へ上って行くと、そこにスーツ姿の貴司がいました。

「わざわざ来てくれんかっても良かったのに。僕は元気やで」

貴司は、元気なさそうな感じで、元気だと言うのでした。舞と久留美は、貴司に聞きます。

「なんでここの景色見たかったん?」

貴司は、ゆっくりと話し出します。

「僕もここに来たら変われるやないかって思ってな。入社して1年経っても営業成績最下位のままでな。他のやつにできてることが、なんでお前にできへんねんって、めっちゃ言われるようになって。普通は聞き流せるんやろうけど、僕には突き刺さって、痛くて、しゃあないねん」

そんな貴司でしたが、デラシネの八木には、自分の気持ちを素直に話せていました。しかし、デラシネが閉店し、八木がいなくなってしまいました。そうすると、貴司は会社に行くことができなくなったのでした。

詩のような貴司

そんな時、舞がくれた絵葉書を思い出したのでした。

「周りに溶け込んで、上手いことやろうとして、空っぽになってしもうた。僕には何にもない」

そんな貴司は優しすぎるのです。舞はしんどかったんやねと、貴司を労います。

久留美は、ここで何をしてたのかと聞きます。

「3日間、ここにおってん。最初は白い波ばっかり見ててな。そうしたら、海の色が綺麗やなって気ついて、近くから遠くへどんどん青色が濃くなるのを見てた。海の果てまで見てたら、そっから空が始まってた。無限の青やで。空がくらなったら、浮き上がるように星がみえてきてん。ただの闇やと思ってた空にこんなにぎょうさん星があったんやなって。今まで、狭い世界しかみえてなかったんやな。来て、良かった」

再会

舞はおばあちゃんに連絡して、船で迎えにきてもらいました。今日は、おばあちゃんの家に3人で泊まります。

貴司が風呂に入っている間に、舞は雪乃に電話しました。

「舞ちゃん、おおきにな。どれぐらいで帰ってくるって言ってた?」

舞は、貴司が気持ちの整理がついたら帰ると言っていたと雪乃に伝えました。

電話を切った時、来客がありました。一太でした。

「舞か?ばえーーー!祥子ばんばの家に急なお客だっていうち、母ちゃんが持って行けって。舞のことかー」

小学生ぶりなのでしょうか?懐かしい再会がありました。

そこに風呂上がりの貴司が現れます。そして、おばあちゃんもやってきて、一太に声をかけます。

「一太、帰ってたとね。一緒にご飯食べていかんね」

一度は同意したものの、貴司の存在が一太に遠慮させ、一太は帰っていきました。

変わり者

一太が持ってきてくれた魚を使って、おばあちゃんと舞と久留美と貴司、みんなで夕飯を食べます。

「そっで、逃げてきたとか?」

おばあちゃんのはっきりとした物言いに舞は、貴司の傷をえぐってしまうのではないかと心配します。

「逃げてきたとや事実や、ちゃんと認めた方がよかぞ」

そう言うと、貴司は今の気持ちを話しました。

「認めたら楽になって来ました。やっと心が溶けてきた気がします。海ってこんな色やった。空ってこんなに綺麗やったなってちょっとずつ思えて、違う自分になりたいと思って五島にやってきたのに、今のままでええんやって思えたんです。空にこんなに星があることも知らんかったのに、世の中のことは全部わかった、もうええって思ってました」

その言葉を聞いて、おばあちゃんは楽しくなりました。

「舞、おもしろか幼馴染たいね。難しいことはわからんけん、ここにきてよかったけんね」

そんな貴司のことを舞は「文学青年」とおばあちゃんに紹介しました。

「変わり者たいね」

おばあちゃんには文学青年は変わり者のようです。舞は、また言い過ぎていると、おばあちゃんに注意します。

「舞、そがん腫れもんごたあ扱わんでよか。貴司君も周りにあわせんでよか。自分の事ば知ってる人が一番強かけん、変わりもんは変わりもんでどうどうと生きたらよか」

そう言われて、貴司は楽になったのでした。

3人の今後

翌日、浜辺に舞、久留美、貴司の3人で行きました。

「貴司くんはこれからどないするん?」

舞は貴司に聞くと、貴司は答えました。

「ホンマの自分のまま、生きていける場所がどこかにあるかも知れへん。世界はこんなに広いんやから。その場所、探したい。もしかしたら、ないかもしれへん。けど、いろんな場所に行ってみたいと思う。そんで、歌を詠む」

貴司が見せてくれた手帳には、短歌が書いてありました。

「八木のおっちゃんに勧められてな、昨日の晩、星見てたら自然に出てきた」

星たちの 光あつめて 見えてきた この道をいく 明日の僕は

それを見て、久留美は「かっこええな」と言うのでした。

そして、貴司は大阪に戻って、勝と雪乃を説得することにしました。

久留美は、福岡に住んでいる母の元へ、会いに行くことを決めました。

「私もがんばるわ。お母ちゃんにはあかんって言われたけど、パイロットあきらめへん」

舞も改めてそう思うのでした。

迎えに行こう

お母ちゃんは舞の部屋で、ひとり考え事をしていました。そこにお父ちゃんがやってきます。

「めぐみ、舞からメールきた。五島に残るって。いろいろ考えたいんやて」

そう言われたお母ちゃんは、「うん」と答えました。

お母ちゃんは、舞の進路変更をどうしたらいいのかわかりませんでした。

「なあ、めぐみ。舞といっぺん話しおうてみたらどうや。迎えに行こうか、五島に」

そして、おばあちゃんに電話をかけました。

おばちゃんは、ジャムの出荷準備をしてるところでした。舞は、洗濯もの干しています。

「中退?大学はちゃんと卒業して欲しい」

洗濯物を干しながら、お母ちゃんの言葉が思い出されます。そんな時、おばあちゃんが舞に声を掛けました。

「舞、めぐみから電話があったばい。舞ば迎えにここにくるっちば、浩太さんも一緒っち」

そう言われて、舞は対決の日が迫っていることを感じました。

ジャム作り

縁側に座って、考え事をしている舞。そこに、船大工・豪がやってきました。立派な鯛を持ってきてくれました。

「お祝いたい」

しかし、舞には何のお祝いかわかりません。

「一太から来たとぞと。舞ちゃん、婚約者連れてきたばっち」

貴司のことを一太は、婚約者だと思ったのでした。舞は、「友達です」と否定しました。そして、まだ学生だしと言うと、豪はお母ちゃんの話しをしてくれました。

「めぐみちゃんだって学生の時連れて来たぞ、婚約者ば。じゃばって、祥子さんに反対されてさ、そんまま二人で大阪行って、それっきりや。くわしいことはしらん。おいがしっちょっとは、祥子さんがずっとめぐみちゃんのこと、心配しちょってたことたい」

そして、ジャムづくりの秘密も聞かせてくれました。

「祥子さんのジャム作りもさ、初めはめぐみちゃんのためやったとさ。いつかこの島に帰ってくるとじゃなかじゃっち。そん時にできる仕事がなかったら困るやろって」

ジャム作りは、お母ちゃんのためだったのでした。

二度と帰ってこんでよか

舞はおばあちゃんと二人で昼食を食べていました。

「ばんば、お母ちゃんが結婚する時、反対したん?ごめん、いきなりこんなこと聞いて」

おばあちゃんは、豪に聞いたことを悟ります。そして、反対した時のことを話してくれました。

その時、お母ちゃんは20歳の大学生です。お母ちゃんはお父ちゃんを連れて、おばあちゃんに結婚させて欲しいと言ったのです。

「ダメだ。この子が苦労するにきまっちょる。町工場のおかみさんなんち、世間知らずのお前にできるわけがなか」

決めつけるおばあちゃんに反発するお母ちゃん。

「勝手に決めつけんでよ。本当の夢ば見つけたと。浩太さんば支えて、一緒に工場ばやっていきたか」

お父ちゃんも、一生懸命おばあちゃんを説得しますが、おばあちゃんは折れません。

「あんたもわからんとね。こん子はまだ20歳の学生たい。教師になるって夢もあるとぞ。めぐみのこと本当に考えるなら、あきらめんね」

しかし、お母ちゃんの意思も固かったのです。

「やめてよ。もう決めたけん。浩太さんと一緒に大阪で生きていくけん」

売り言葉に買い言葉。おばあちゃんは言ってしまうのです。

「なら勝手にせれー二度と帰ってこんでよか」

そう言われて、お母ちゃんは東大阪へ行きました。

「一時の気持ちで、これまで頑張ってきたこと放りだすことは間違ってると思ってな。苦労するのがわかってから、黙って送り出すことはできなかった」

おばあちゃんは、そう言って後悔していたのでした。

決めつけ

おばあちゃんに迎えにきてもらって、お父ちゃんとおかあちゃんは家にやってきました。

おばあちゃんはキッチンに行き、親子3人で話しをします。

「飛行機作りたい気持ちは無くしてしまったんか?」

お父ちゃんの夢でもある、飛行機にお父ちゃんの部品を載せるという夢の行方を聞きます。

「もっとやりたいことがみつかってん。今は、パイロットになることだけを考えて、精いっぱい頑張りたい」

舞は、素直な気持ちを伝えます。

「お母ちゃんが心配してるのは、舞がパイロットに向いてるって思われへんことやねん」

舞は、お母ちゃんが決めつけたことに反発します。しかし、お父ちゃんが間に入って、お母ちゃんの言い分を最後まで聞くことにしました。

「パイロットは、人の命を預かって、きちんと目的地まで届ける、責任のある仕事や。立派な仕事やと思う。けど、誰にでもできる仕事やないと思う。女性のパイロットはほとんどいてへん。お母ちゃんな、あんたが男社会で道を切り開いていくタイプに思われへんねん。苦労するのが目に見えてる」

お母ちゃんは、あの時のおばあちゃんのように、苦労するとわかっていて素直に応援することができなかったのです。

しかし、舞も苦労するのは、重々承知です。

「せやから挑戦したいねん。私、人力飛行機のみんなと出会えて、ほんまに変わろうって思って、パイロットに挑戦した。パイロットはみんなの期待背負って飛ばなあかん。失敗したら自分のせいや。けど、空飛んで、楽しかった。涙が出るぐらい嬉しかった」

舞が一生懸命トレーニングし、ダイエットしたのは、みんなの期待を背負う人になりたかったからだったのです。

やってみ

「旅客機のパイロットになるのは大変かもしれへん。けど、飛行機にはな、旅行や仕事や誰かに会いに行くために、いろんな人が乗る。いろんな人の思いが乗ってると思うねん。責任が重い、厳しい仕事や。けど、私、そういう重いもんしっかり背負って、飛べる人になりたい。せやから、旅客機のパイロットになりたい」

そして、舞はお父ちゃんとお母ちゃんの姿を見てきたことを話します。

「小さいころ、お父ちゃんとお母ちゃん見てて、仕事って大変やなって思った。けど、お父ちゃんには夢があって、お母ちゃんがそれ支えてるって知ってから、しんどそうに見えたことないで。私も大変な思いして働くんやったら、自分がほんまに好きな仕事をやりたい」

舞は立ちあがって、頭をさげます。

「お願いします。航空学校に行かせて下さい」

お父ちゃんは、その気持ちを聞いて、舞を応援したくなりました。そして、お母ちゃんの気持ちを聞きます。

「わかった。舞が、そこまで考えてるんやったら、やってみ」

やっと許してもらえました。舞は「ありがとう」と嬉しそうです。そして、そばで見ていたおばあちゃんも、嬉しそうに笑うのでした。

本当の和解

「手伝うけん。これ、煮つけにすると?」

お母ちゃんは、おばあちゃんを手伝うためにキッチンに行きました。

「舞は自分の気持ちしっかり言えるようになったとね」

おばあちゃんは、舞が自分の気持ちを言えるように、舞とひと夏を過ごしました。そして、お母ちゃんにも言わなければならないことがありました。

「私も聞いてやればよかった。あんとき、めぐみの話しば、ちゃんと聞いてやればよかった。すまんかったね」

お母ちゃんは、ちゃんと謝ってくれて、出て行ったことを許してくれたことが嬉しかったのです。涙を溜めて、お母ちゃんを見つめます。

「めぐみは大阪で、ちゃんと幸せになったったいね」

そう言われ、お母ちゃんは泣きながら「あんがと、母ちゃん」と言うのでした。

あの時の久留美

舞の気持ちが、お父ちゃんとお母ちゃんに届いたちょうどその頃、久留美は福岡でお母さんに会っていました。

久留美は今まで送ってくれた手紙を見せました。

「これ、ありがとう」

久留美が大切に持っていてくれて、嬉しそうな母の姿がありました。そして、久留美は聞きます。

「なんで、お父ちゃんと私の事、おいってったん?」

しかし母は、その時は置いて行くつもりはなかったのです。

「佳晴さんが会社辞めた時、立ち直るまでめんどうみようと看護師の仕事をまた始めた。けど、佳晴さんはどんどん無気力になって、私がいてたらこの人このままいけんようになるって思った。佳晴さんにしばらく実家に帰るって言ったら、”せいせいするわ、お前と一緒にならへんかったら、俺もっとましな人間だった”。あの人そうゆうてん。久留美と家を出ようとしたら、久留美に”いけへん、私お父ちゃんとおる”って言われた」

そして、母は失意のうちに実家に帰ってきたのでした。

甘える久留美

「違う。私がいけへんかったら、お母ちゃん戻ってくると思った。ほんまは、戻ってきて欲しかった」

久留美は父を選んだのではなく、母を待つために残ったのでした。

「なんべんも帰ろうと思ったんやけど、一人で生きる道、選んでしもた。薄情な母親でごめんな」

母は、そう言って後悔していました。

「お母ちゃんの気持ち、ちょっとわかる気がする。お父ちゃん、変わらへん。仕事も長く続けへん。文句ばっかゆうて、自分で頑張ろうとせえへんねん。せやから私、頑張ってんねんで。あの時、お母ちゃんにゆうてしもたから、お父ちゃんとおるって」

そう言って、久留美は涙を流しました。そして、母に甘えます。

「たまにしんどいねん。ずっとこのままなんかなって思ったら。私、幸せになれるんかなって思って」

母はそんな風に思わせてしまったことを久留美に謝ります。

「私な、看護学校に通ってんねんで。お母ちゃんと同じ、看護師になる」

そう言われ、母は久留美を抱きしめるのでした。

普通がしんどい

そして、大阪では貴司が帰ってきました。雪乃は、貴司を叩きます。それを止める勝。

「まだしんどいんか?」

勝は貴司に聞きます。

「しばらく、考えたいねん。どないして生きていくか」

貴司は素直な気持ちを伝えました。

「お母ちゃんはあんたに普通に幸せになっもらったらええねん」

雪乃は多くは望んでいません。ただ、幸せになって欲しいだけです。

「その普通が、僕には難しいんよ」

しかし、貴司は今まで勝にも雪乃にも、そんなことを言ったことはありませんでした。それは、貴司が我慢していたからです。そして、その我慢をもうするのを辞めると、貴司は言うのでした。

「旅しながらその土地で働いて、自分の居場所を探したい」

貴司は、自分の気持ちを素直に言いました。

「なにゆうてんの?なにそれ、わからへん。わかる?」

雪乃は勝に聞きます。

「わからんけどな、お前がそうゆうんやったら、やったらええ。そんで、答え見つかったら教えてくれ。お父ちゃんもお母ちゃんも、お前のことわかりたいねん。それでええか?」

貴司は「うん」とだけ答えました。

「ここからいなくなってもお前とバッファローズは俺の希望の星やで」

なんだかんだ言って、勝も雪乃と同じぐらい、貴司が心配です。でも、いつまでも子供扱いできません。親離れしようとする子供から、上手く離れようと努力しているのでした。

一太の好きな人

さくらが営む「みじょカフェ」に舞はきていました。そこには、一太の父・信吾もいます。

しかし、舞がもう帰ると聞いて、さくらは寂しがります。

「むっちゃんも行ってしもうたし」

むっちゃんは、さくらの彼氏です。

長か遠距離恋愛もようやく終わってさ。ようやく一緒にいられるね言ってたら、新しい仕事でしばらく海外に行くって」

若い人は、島から出ていくばかりです。それについて、舞は一太はどうするのかと、信吾に聞きます。

「豪さんの造船所で働けんかなって思ってるようだよ」

そして、一太は中学時代は豪のところに入り浸っていました。

舞は、その豪の所にも挨拶にいきました。そこには、一太もいました。

「なんだ婚約者じゃなかったのか」

嬉しそうな、安心したような一太。

「さっきまで落ち込んでたんだ。昔から舞ちゃんのことが好きだったから」

さらっと暴露された一太の初恋ですが、舞はスルーするのでした。舞が一太に造船所の仕事をしたいか聞きました。

「俺は豪さんみたいにみんなの船、修理したい。舞は何になりたい?」

舞は「パイロットになりたいねん。ジェット機のパイロット」と答えました。

豪と一太は、「ばえーーー」と驚いていました。

お父ちゃんの謝罪

一人、仏壇に手を合わせるお父ちゃん。そこにおばあちゃんがやってきます。お母ちゃんがいないと、なんだか気まずい二人です。

「お母さん、めぐみさんを大阪に連れていったこと、許して下さい」

改めて、お父ちゃんはおばあちゃんに謝りました。

「僕は、めぐみさんのおかげで、なんとかこここまでやってこれたんです。子供達も育って、工場も大きくできて。僕、めぐみさんを幸せにするつもりが、幸せにしてもらってました。けど、その分お母さんには、寂しい思いをさせてしもて申し訳ありません」

お父ちゃんが謝ると、おばあちゃんも素直な気持ちで話します。

「めぐみはすぐ逃げて帰ってくるっちおもっちょった。けど、あんこは帰ってこんかった。そんが寂しくて嬉しかった。あんこもがんばったとやろ。浩太さん、めぐみば幸せにしてくれて、あんがとね」

そして、おばあちゃんも頭を下げました。

その時お母ちゃんは、立ち聞きしていて、涙を流していました。

舞が戻ってくると、おばあちゃんの船で、親子3人送ってもらいます。

「舞、飛行機」

おばあちゃんに言われて見上げた空には、ジェット機が飛んでいました。

最後に

舞は、あの日飛行機に乗った興奮を夢にして、実現することになりました。

しかし、まだ航空学校に入れることになっただけで、受験が控えています。さらには、ライセンスを取るのも、簡単な事ではありません。

それにしても、ちゃんと舞や久留美、貴司の苦悩を丁寧に描いていて、物語に深みが出ました。ちょっと前に見た朝ドラとは、違うのがわかります。

単純に比較はできませんが、比べてしまうのは仕方のない事かもしれません。

そして、来週は航空学校編に突入です。

来週の予告

どうなるのか、楽しみです。