歌子 は子供の頃から熱を出していました。
そして、今週は時は流れて1976年の秋、また熱を出している歌子でした。
今週は、東京で検査をすることになりました。何もかも上手くいかない歌子の物語です。
良子の生活
学校の前を通りかかる良子と2歳になった娘・晴海。
「どうしたの?」
そう晴海に聞かれて、なんでもないと帰っていきました。
その夜、良子は博夫に教員に復職したいと言います。
「私の名前は晴美ちゃんのお母さんじゃない。私は生きてる実感が持てない。社会参加もしたい」
進歩的な考えを持って勉強会をしていた良子です。当然と言えば当然の反応でした。
「3年前、自分の意志で仕事を辞めたんでしょ?」
博夫はそう言います。しかし、3年前とは状況が違っています。保育園に預けて仕事することもできます。
「那覇の両親に聞いてみる」と言う博夫は、都合よく那覇の両親を使っているようです。
離婚騒動で改心したのかと思いましたが、相変わらずの博夫でした。
賢秀の生活
珍しく、仕事を続けている賢秀。養豚場で働いています。
養豚場の娘・猪野清恵と言い争いをしていました。
豚の飼料についてです。
比嘉家では豚を飼っていた時期がありました。その関係で、豚の世話には慣れています。
しかし、清恵は理由もはっきりしない状態で資料を変えるなと怒っています。
ただ、今回は賢秀が言っていたことが、正しかったようです。
「ずっといてくれると助かるんだけどな」
猪野寛大に言われますが、相変わらず賢秀は夢を見ていました。
「そうはいきません。今の俺は仮の姿。早い所新しいビジネスチャンスを掴んで沖縄の家族を楽にさせてやらないと」
賢秀は「ハワイの豚の話を知ってるか?」と聞かれていましたが、その話は「また今度」と濁されていました。
※気になるかたはこちらの記事を見て下さい。
歌子の生活
病欠
熱を出している歌子。やはり、たびたび熱を出して、会社を休んでいました。
「社長が言うには、明日にでも出勤して欲しい」
そして、歌子の同僚の花城真一が比嘉家にやってきて、お母ちゃんと話しています。
お母ちゃんは謝ることしかできません。
その日は、歌子が熱を出したということで、良子がお見舞いに来ていました。
「ただの同僚のことあんなに心配する?今度会社に行ったら告白されるかもよ。彼は絶対本気だよ」
良子がそう言うと、まんざらでもない感じの歌子でした。
しかし、良子が煽るだけ煽るので、歌子が期待してしまっていました。
東京行き
お母ちゃんは暢子に電話をしました。
歌子を設備の整った病院で検査させるために、病院を探して欲しいというお願いです。
お母ちゃんは後悔していました。早く大きな病院で検査させていれば、歌子が元気に生活できていたかもしれないと。
それを聞くと、暢子は暢子の働くフォンターナのオーナーの大城房子に相談してみると応えていました。
そして、良子は東京行きの旅費と病院代を負担してくれました。これ、以前、前借りした300ドルでしょうか?
良子は、本当なら自分が教師へ復帰したいという相談をしたかったのですが、歌子のことを優先して話はしませんでした。
ただ、良子は検査をすることで、難しい病気が見つかった時、また金銭的に大変になることが心配でした。
退職
「病欠が多くて困るって言われたら、気まずくていられない」
そう言って歌子は、勤めていた運送会社の事務を辞めることになりました。
恥ずかしがり屋ですが、みんなの前で最後の挨拶します。
その挨拶が終わると、「今日はもう一つ報告がある」と言って、花城が呼ばれました。
花城は、経理の石嶺と結婚すると発表しました。
実は、花城が歌子のお見舞いの時に持って来た歌の本は、石嶺の読んだあとのおさがりだったのです。
「今度、私たちの家に遊びに来てね」
何も知らない石嶺は、歌子にそう話しかけました。
慌てて帰り、ショックを隠せない歌子。いつものように一人で海を見ていました。
東京上陸
優子と歌子が東京に到着しました。
智が、お母ちゃんと歌子を案内するようです。歌子は智に会えて嬉しそうです。
そこに和彦が合流しました。和彦が中学生だったころに会った以来の再会です。
そして、お母ちゃんと歌子は、暢子の下宿先の「あまゆ」にやってきました。
お母ちゃんはお土産にと、手作りのサーターアンダギーを持ってきました。歌子も恥ずかしがりながらも、挨拶します。
その後、智が暢子をからかう姿を見て、歌子は複雑な心境になります。
歌子は昔から智のことが好きでした。しかし、智は暢子のことが好きなのです。
三郎とお母ちゃん
「暢子が、何から何までお世話になってるようで」
そう言って、店の外で涼んでいた県人会会長・三郎に話しかけたお母ちゃん。
暢子ちゃんのことを見てるだけで元気になるんですと、三郎は言っていました。
そして、お父ちゃん・賢三も東京にいた時に三郎にお世話になっていました。
しかし、三郎が賢三に最後に会ったのは、戦争前だったようです。
お母ちゃんは、さらっと今まで出てきていない事実を語ります。
「賢三さん、房子さんとの約束を破ってしまったんです。
房子さん、きっと怒ってらっしゃるでしょうね」
お母ちゃんが店に戻ると、一人ぽつんと座っている歌子。やっぱり馴染めていないようです。
「疲れたから部屋で休む」
そう言うと、歌子は一人で部屋に戻ってしまいました。
成長していない
「大きいお風呂気持ちいいよ。歌子もお母ちゃんと行ってくれば」
銭湯から帰って来た暢子は歌子に声をかけます。しかし、歌子は横になったまま、何も言いません。
しかたなく、お母ちゃんは一人で銭湯へでかけました。
「少しでも食べて置いたら?明日、検査が終わるまで何も食べれないんでしょ?」
暢子が作った新メニューの試作品はテーブルに乗ったままで、手が付けられていません。
起き上がる歌子。
「検査、どうしても受けないといけない?
沖縄に帰りたい。今すぐ帰りたい。
検査の結果、もし手術や入院だったら、またお金が。。。」
迷惑をかけていることに引け目を感じている歌子です。暢子は「歌子が元気になるのが一番大事」と言いますが、歌子はそんな風には思えません。
「暢ねえねが羨ましい。
東京でみんなにかわいがられて、好きなことをして生き生きしてる。
そして、良子ねえねも暢ねえねも夢を叶えた。
うちだけ、同じところをグルグル回ってる。
子供の頃から一ミリも成長していない。
この先もきっと同じ。仕事も恋愛も結婚もなにもできないまま死んでいく」
検査
検査を受ける歌子。
しかし、検査結果はすぐにはでません。1週間後に検査結果がでます。
「上野動物園にパンダを見に行こう」
智にそう誘われますが、忙しいでしょと言って断ります。ご飯もいりません。
そして、それから1週間、歌子は暢子の部屋で過ごしました。
検査結果が出る日、待合室で待っている歌子とお母ちゃん。その時、歌子は言います。
「もしも、検査結果がすごく悪くても、お願いだから高い薬を使わないで。
こっちで入院は嫌。うちは、沖縄の家に帰りたい」
迷惑をかけていると思うことで、歌子はどんどん小さくなってしまっていました。
思い残すこと
家で待つ暢子は、歌子のためにイカスミジューシーを作っています。
そこに、お母ちゃんと歌子が帰ってきました。
「膠原病でも結核でもない。熱が出る理由は、今の医学ではわからないって」
そう言うお母ちゃんに「大きな病気だったって訳じゃないから」と声を掛けますが、歌子は納得できていませんでした。
「じゃあどうして、熱が出る訳?私だけ。。。」
一人部屋に戻ってしまいます。
お母ちゃんの気持ち
心配して見に来たお母ちゃんと暢子に歌子は言います。
「東京に来て良かった。生きてる間に一度は来てみたかったから。
暢ねえねや智にいににも会えたし、思い残すことは何もない。
どうせうちは幸せになれない。うちなんか死んでしまった方がいい。
うちさえいなくなれば、お母ちゃんもねえねえもみんな楽になる」
それを聞いて手を上げるお母ちゃん。しかし、殴りませんでした。歌子を抱きしめます。
「歌子だけじゃないんだよ。賢秀も良子も暢子も上手くいかないことがある。
どうしようもないことがある。
お父ちゃんもお母ちゃんもそんな時があったんだよ。
それでも、幸せになることを諦めないで、生きていかないといけないわけ。
そうしたら必ず、生きていてよかったって思える時がくる。
歌子にも必ずそんな時がくるから。
偉い人になんかならなくていい。お金が稼げなくても、夢を叶えられなくてもいい。
ただ、幸せになることを諦めないで生きてくれれば、それだけでお母ちゃんは幸せだから」
和解
「お母ちゃん、ごめんなさい」
お母ちゃんの気持ちを聞いて、涙を流す歌子。
本当は、歌子は死ぬのがこわいんです。生きていたいと思っています。
そんな歌子にお母ちゃんは優しく声を掛けました。
「生きることを怖がらないで、お母ちゃんがずっとそばにいるからね」
そして、暢子の作ったイカスミジューシーをみんなと食べます。
「お母ちゃん、うち生きてて良かった」
それが最高の褒め言葉だと暢子は言いますが、コロッと変節した歌子にツッコミを入れたくなりました。
パンダ
暢子は房子から有名フレンチレストランの食事券をもらっていました。
「勉強のため」と言う口実ですが、条件が「必ず妹さんと行くように」ということでした。
房子の大叔母としての優しさが伝わります。
歌子は沖縄に帰る前に暢子と二人で食事に出かけました。
しかし、暢子は道に迷ってしまいます。4年もいるにと歌子にも言われていました。
食事のあとは、上野動物園にパンダを観に行きたいと歌子が言います。
すっかり沖縄に帰りたい病は癒えたようです。
少しでも思い出を作って返って欲しいです。
房子とお母ちゃん
暢子と歌子が食事に行っている時、フォンターナにやってきたお母ちゃん。房子と二人で話しをします。
「賢三が私の店を手伝ってくれたのは終戦直後、彼が復員して間もない頃。
もう30年も前。短い間でしたけど息子みたいなものでした。
でも、一旦沖縄に帰って出直してくると言ったきり二度と帰ってきませんでした。
あなたと出会って、結婚したからだというのがわかったのは、ずいぶん後。
私は裏切られたと思って、ずいぶんひどい手紙を出しました」
そう賢三との関係を話してくれる房子。そして、お母ちゃんにひどい手紙を出したことを謝罪していました。
しかし、お母ちゃんこそ謝ることがあります。子供を引き取ってくれると言った房子に対して、最後の最後で断っていました。
「賢三はあなたのような方と家族になれて、幸せだったと思います」
房子は賢三も比嘉家のことも許してくれたようです。
「いつか、沖縄に来ることがあれば、やんばるまで来てください。
今住んでいるのは賢三さんが建てた家なんですよ」
そう房子に言うと、お母ちゃんは暢子が迷惑をおかけしてないかと尋ねます。
「怖いんです。あの子がどんどん大切な存在になって行くのが。
あの子の父親の時と同じように。でも、人間は同じ失敗を繰り返すんですね」
やっぱり、房子は暢子のことを大切に思ってくれていたんですね。
暢子の生活
ストーブ前
暢子が働き出してから5年目。
「ストーブ前」と言うのは、メインディッシュを作る仕事で、厨房の一番の花形。野球で言ったら4番バッターで、厨房の司令塔でもあります。
そこを先輩の矢作が1ヶ月限定で挑戦中でした。
実力が認められれば、限定で任せてもらえるようです。矢作は、新しいメニューを提案して認められてストーブ前になりました。
しかし、司令塔として、どうしていいのかわからない矢作。テンパって怒りまくって、上手くこなせませんした。メインを焦がしてしまって、二ツ橋と交代です。
「なんだよ、俺がストーブ前を外されたのがそんなにおもしろいか!どけっ」
暢子に八つ当たりする矢作でした。
見た目は大事
二ツ橋の仕事を見ている暢子。豚肉がとても美味しそうです。
「見た目も大事。醜い料理はお客様に出すべきではありません」
フォンターナとして、強いこだわりを持つ二ツ橋です。
「悔しいけどシェフがストーブ前だと安心する。腕は一流、人柄もいい、気配りもできる」
矢作も二ツ橋のことを尊敬していました。
そんな腕も人柄もいいシェフが独立しないのが、暢子は不思議でです。
「10年ぐらい前、独立して失敗して戻ってきたらしい」
矢作が来る前のことでしょうか?噂話しとして、暢子に教えてくれました。
新しいメニュー
「ミネストローネ、本当に君が?今までで一番、美味しい」
暢子が作ったミネストローネを常連のお客さんに褒めてもらって嬉しい暢子。ついつい、言葉遣いや態度が、一流レストランとに相応しくなくなってしまいます。
「お客様への態度と言葉遣いが悪い。謙虚さに欠ける。マイナス30点」
そんな暢子に房子は、新しいメニューを提案するようにいいます。合格したら、ストーブ前をとりあえず1ヶ月任せてもらえます。
そんな暢子をすごい目で見つめる矢作。悔しさが伝わります。
二ツ橋
フォンターナで仕事中、二ツ橋に電話がかかってきました。
大洗の実家からの電話です。深刻そうに話す二ツ橋。
「オーナー。来月、ちょっと親元に帰ってきたいので、1週間ほどお休みをいただけないでしょうか?
もしかしたら、そのまま大洗に引き上げることに・・・」
房子にそう告げます。房子は、「いつ辞めてもいいわよ、あなたの都合に合わせる」と冷たく返しました。
その話を聞いていた暢子は、二ツ橋に辞めないようにいいます。しかし、実家の都合では、撤回するのは難しいかもしれません。
二ツ橋の家庭の事情
二ツ橋が辞めるかも知れないという話しを、智に話している暢子。
智は、二ツ橋が房子に惚れているといいます。しかし、暢子にはさっぱりわかりません。
そんな時、あまゆに二ツ橋がやってきました。酒を飲んで、泥酔状態です。
その姿を見て心配する暢子に二ツ橋は話します。
「母に帰って、店を継いでくれと泣きつかれました。
父は年でガタがきているからと。
実家は、茨城の小さな洋食屋。私は店主の器じゃない。2番手があっている。
フォンターナの大城房子の右腕というポジションが、私にとって居心地のいい居場所でした。
私はわかっていた。わかっていながら現実から目をそむけ、未練がましくまとわりついていた」
そういう家庭の事情だったんですね。
二ツ橋と三郎
そこに三郎がやってきました。
歌子の病院を探してくれていたようです。
しかし、暢子はオーナーに大学病院を紹介してもらっていました。そのことを伝えると、それならいいんだと言います。
「三郎さん、うちのオーナーとどういう関係ですか?」
暢子は気になっていたことを聞いてみます。それを聞いていた二ツ橋は、おもむろに立ち上がると、三郎に掴みかかりました。
「あんたのせいで、あんたさえいなければ・・・・」
三郎を殴る二ツ橋。止めに入る客たち。大喧嘩です。
引き離されて、二ツ橋はタクシーに乗って帰っていきました。
そして、三郎も自宅へ帰りました。
退職届
二ツ橋が房子に退職届を出しました。
顔に傷がついた二ツ橋にどうしたのかと房子は尋ねます。
「野良犬にひっかかれまして」
そう言いますが、引っ掻くのは猫だと房子に指摘されます。しどろもどろになりながら、今月いっぱいで辞めることを房子に伝えます。
暢子はその話を聞いてしまいました。
試作品
ボロネーゼを作ってみた暢子。
みんなに試食してもらいます。そこには三郎もいました。
そこに二ツ橋がやってきました。先日のケンカで、一触即発の雰囲気です。しかし、二ツ橋は三郎に謝りにきただけでした。
「味見をお願いします。シェフの感想を聞かせて欲しいんです」
暢子は二ツ橋に試食をお願いします。
辞めてしまうからと言う二ツ橋を三郎は座らせます。
「食感を考えると、肉や野菜の切り方、歯ごたえの計算は悪くありません。
でも、今ひとつです。
このボロネーゼは、材料の色味が単調。もっと彩を加える工夫をした方がいい」
長年フォンターナのストーブ前を担当しているシェフとして、的確な指摘でした。
そして、三郎に「あの店辞めるのかい?」と聞かれ、はいと答えていました。
イカ
「暢子さん、来週の予定入ってます?」
二ツ橋は、仕入れ先を引き継ぐために、休みに連れて行きたい場所があると言うのです。
そして、連れて行ってもらった先は漁港でした。
新鮮なイカが水揚げされています。美味しそうなイカを近くの食堂で食べる二ツ橋と暢子。二ツ橋は、食事をしながら新メニューの進捗を聞きます。しかし、暢子は妹の歌子のことが心配で、集中して考えられていませんでした。
そんな暢子に二ツ橋はお願いをします。
「辞めた後、オーナーのことをくれぐれもお願いします」
みんなにも言いたいがチャンスがなくてと、二人になる機会ができたので、暢子にお願いしたのでした。
二ツ橋の過去
そして、二ツ橋は語りだします。
「オーナーは誤解されやすいタイプです。
お客様にとってより良いお店にしたいという思いが強く、スタッフに厳しく接したりすることもあります。
心の中は愛情で溢れているのに、その愛を素直に表現できない場合が多い。
オーナーほど、美しく優しく、知性と気品に満ち溢れた女性を知りません」
そんな二ツ橋の告白を聞いて、暢子は確信しました。
「二ツ橋さんはオーナーのことが好きなんですね」
そう言うと、動揺しながらも「後輩の話し」として話しをしてくれました。
「昔、そんな後輩がいました。房子に対する尊敬が、愛情に変わったんです。
10年前「清水の舞台」から飛び降りる決意で房子に告白しました。
しかし、「あなたの気持ちには答えられないわ。忘れられない人がいるの」と断られてしまいました。
オーナーが忘れられない相手は、別の女性と結婚しています。
その相手を突き止め、直接話をしました。
相手の男は、悪いのは俺だ、くれぐれもよろしく頼むと言っていました。
そして、オーナーに今まで通りの関係で結構ですから、お傍で働かせて下さいと言ったのです」
後輩の話しということでしたが、完全に二ツ橋の話しでした。
田良島の名言
「なりほどね。暢子ちゃんもその話を聞いてしまったのか」
あまゆ店主・順次に二ツ橋の話しを話すと、そういう答えが返ってきました。知っていたようです。しかし、教えてはくれませんでした。
順次と将棋を指していた新聞記者の田良島は、深い話しをします。
「わかってても、わかってないふりをした方がいいということもある。
世の中は、不公平で理不尽なことがいっぱいある。
惚れあってるのに結ばれないこともある。
頑張れば必ずハッピーエンドになる、訳でもない。
頑張っても頑張っても、どうしようもないことがあるのも人生。
だけどね、明日はきっといい日になると思うことが大事。
なにがあっても諦めないで、どうすれば少しでも楽しく、希望を持って生きていけるか考える。
料理作りも、新聞づくりも、そういう思いでやっているんっじゃないかな」
それを聞いた暢子は、歌子に楽しい気持ちになってもらうために好物を作ろうと思うのでした。
イカ墨パスタ
暢子はフォンターナで新メニューの試食会をやります。新メニューは、イカスミパスタです。
「見た目が、この店の料理にふさわしくないと思います」
そういう二ツ橋ですが、房子に促されて食べてみます。
「旨い」
他のスタッフからは好評です。
房子にも馴染みが深い沖縄料理にも使われるイカ墨です。
「イカスミは昔から、滋養強壮、病気の良薬、真っ黒な墨には抗菌作用があり、細胞を再生させると言われている」
そう説明してくれました。
「確かに見た目は良くない。真っ黒で、食べたら歯も歯茎も黒くなる。
でも、純粋で濃厚な旨味がある。美味しい」
二ツ橋からもお墨付きを頂きました。
結果は、一応合格。手は入れる必要はありますが、フォンターナのメニューに採用されました。
そして、暢子は2週間後からストーブ前を担当することになりました。しかし、使い物にならなかったら、すぐに降格という条件です。
撤回
「できることなら、このフォンターナで、オーナーの側で経験を積ませていただきたいと思っております」
二ツ橋は、辞表を提出しましたが、撤回したいと房子に申し入れしました。
房子の返事は簡単です。わかりましたと言って、辞表を破り捨てました。
暢子に辞めることを撤回したと伝えると、本当に良かったと喜んでいました。
「暢子さんのおかげです。人生も料理も見た目より中身が大事」
見た目が大事ではありますが、中身が伴っていない見た目は意味がないということでしょうか?
しかし、なぜ二ツ橋が撤回したのか、よくわかりません。誰かに何かを言われた訳ではないと思うのですが、イカ墨パスタだけで撤回できたのがよくわかりませんでした。
最後に
それにしても、なんだか話が唐突な気がしてなりません。
二ツ橋が辞めるのを撤回した理由がよくわかりませんでした。
そして、賢三と房子の約束。ただ、子供を引き取る話しを覆したことを謝ることができて良かったです。
冷たくて厳しいと思っていた房子の気持ちが、ちょっと見えた気がする1週間でした。
次回も大変そうです。
そして、気になっているんですが、暢子の友達の早苗は、大学を卒業しているはずです。どうなりましたか?