告白 はしないように社内規則に「社内恋愛禁止」と掲げていたはずです。
しかし、そんな簡単に割り切れないのが、人の心です。
そんな第5話のネタバレです。
主な登場人物
成川佐奈 永野芽郁
小鳥智志 西島秀俊
須崎功 杉野遥亮
森本海斗 坂東龍汰
栗木次郎 前原滉
夏井恵実 青山テルマ
羽田早智 広末涼子
永瀬拓也 松尾貴史
第5話のストーリー
プレゼント
男性用の革靴を選ぶ佐奈。
「男の人にプレゼント?お姉ちゃん、そんな人できたんだ?」
妹・依里に言われて、慌てて否定する佐奈。助けてもらったお礼にプレゼントしたいと思って選んでいたのでした。小鳥に助けてもらった時、革靴が壊れてしまったのです。
「でも、お礼にしては重いかな?毎日履くもんだし」
そんな佐奈に依里は、簡単に背中を押すようなことを言うのでした。
「迷うぐらいならあげなって。好きなんでしょ?その人の事」
しかし、小鳥に対する佐奈の気持ちは「好き」とは違うような気もします。ただ、すごく気になる存在ではあるのです。そして、佐奈の隙を見て、依里は勝手に注文してしまうのでした。依里はプレゼントの相手は、功だと思っていました。
「功はビジネスパートナーだから」
佐奈はいつもの説明を繰り返していました。
功の視線
功が出勤すると、荷物が届きました。中を開けてみると革靴です。
そこに出勤してきた佐奈が、自分の荷物だと言って功から荷物を受け取りました。間違えて、会社宛に送ったと言っていましたが、勝手に注文されて送り先を選ぶ暇がありませんでした。
「これ、もし良かったら。この前、助けてもらったお礼です」
小鳥を部屋に呼ぶと、革靴を渡す左奈。小鳥は中を確認して、佐奈にお礼を言います。
「こんな心遣い、わざわざすみません。靴、大切に使わせてもらいますね」
そのやり取りを功は見ていました。
パイオニアチーム
そんな時、佐奈のスマホに通知が来ました。ビジネスコンテストの書類審査の結果です。
「みんな、ビジコンの書類選考の結果が出た」
そう言うと、ぐっと溜めて、両手で丸を形作りました。そして、次の予定は、二次選考はピッチ、最終選考はデモになるようです。
「僕は絶対に負けません。CEO、二次のピッチで絶対コケしないで下さいね」
海斗にそう言われ、気合がはいる佐奈。
「絶対に優勝するべきだと思いますけど」
そこに投資をしてくれているベンチャーキャピタルの白金が差し入れを持ってやってきました。
「みなさんご存じの通り、ビジコンに出場するメリットは賞金だけではありません。優勝すれば社会的信用度も上がりますし、なにより大企業や投資家から資金調達をするチャンス!これを機に一気に飛躍するしかありません」
強い圧を掛けられてしまいました。佐奈はエンジニアチームは開発、小鳥と佐奈はパイオニアチームとなると言い出します。
開拓難航
佐奈は小鳥と待ち合わせしていました。小鳥がやってきますが、佐奈がプレゼントした靴は履いてくれていません。
「プロダクトプレイスメントのコラボができそうな企業、ピックアップしています」
小鳥はそう説明すると、一覧を佐奈に見せます。ビジネスコンテストの二次審査で、説得力があるピッチをするためにも、最低5社と新規にコラボのしたいと考えていました。そのためのパイオニアチームです。
ピックアップした企業を二人で回りますが、なかなか賛同をえることができません。ちょっと弱音を吐く佐奈に小鳥は、「開拓のしがいがありますね」と前向きに話すのでした。
好感触
「このように御社のブランドの服をアバターに着せることができます。コラボしていただけませんか?」
佐奈が切り出すと、「アプリでこの宣伝方法の実績はあるんですか?」と聞かれてしまいます。
「初の試みですが、ぜひ御社とチャレンジしていきたいと思っています」
そう言う佐奈。しかし、広告費を掛けてチャレンジするより、従来の広告の方が効果がわかりやすいと思われてしまいます。そこで、小鳥がメリットを説明します。
「そう言えば先日、アパレル業界は在庫の処理が問題になっていることを知りまして。
日本だけでも、年間15億着が売れ残り、その多くがブランド価値を保つために、廃棄処分されているとか。
たしかに、どのデザインの服がどれだけ売れるのか予測するのは難しいと感じました。
そこで役立つのが、この提案なんです。この手法の効果は宣伝だけではありません。データマーケティングにも活用できます。御社が今後発売したい服をスタポニキャンパスで先に配信することで、どのデザインがどの客層にどれぐらい人気かデータがわかります。今後服を作る際の生産量の参考になるかと。これは、従来の広告でできないことです。ぜひ、ご検討下さい」
反応はいい感じでしたが、その場では答えがもらえませんでした。
早智からの通知
その頃、開発チームは、新しく開発する「スタディポニーキャンパス」の打ち合わせをしていました。
「アバターはスタポニUのでいけるかな?」
先日リニューアルしたアプリの3Dにしたアバターが使えるかと聞く功。しかし、海斗は「作り直した方が、自由度が高く最適化したものが作れます」と答えました。ただ、二次審査まで開発期間がないことが功は気にしていました。
「僕が作ったら、流用でも新規でもさほど時間はかわらないかと」
力強い答えを聞いて、海斗に任せる功。
そこに、佐奈が帰ってきました。佐奈は開発チームの進捗状況を確認します。功は佐奈の開拓状況を聞きました。
「どこも返事待ち。でも、小鳥さんのおかげで、いい感触かも」
その場には小鳥はいません。小鳥はノートパソコンを栗木に預け、最新のウィルス対策ソフト入を入れてもらっていました。ただ、古い機種のために時間がかかっています。
「インストール終わってるよ」
そう佐奈に指摘された栗木は、ノートパソコンの画面を見ていました。そこに、羽田早智からメールがきて、見てしまいました。
「小鳥んのデート相手は羽田早智だったってこと?」
メルカリで売られてる
気分が落ちている佐奈。二次審査のピッチの原稿も進みません。
そこに功がやってきて、小鳥と羽田早智のことが気になるのかと聞きます。
「いや、別に。プライベートのことなんで、気にしてないよ。そりゃ、少しは驚いたけど。次郎ちゃんには余計なことを詮索しないように言っておいてね。
でも、ちょっと失敗したかな?小鳥さんに靴をあげたんだけど。この間迷惑かけたし、靴壊れちゃったから。でも、ぜんぜん履いてくれなくて、なんでなんだろうって思ってたんだけど。そういう相手がいたんなら仕方ないよね」
気にしてないと言いながら、やっぱり佐奈は気にしていました。
「今頃メルカリで売られてるかもな」
功は冗談でそう言います。佐奈は「そんなことないよ」とフォローしてくれるのを期待していました。そんな冗談を言い合って、少しは気がまぎれたようです。
「切り替えよ、まずは二次審査を通過しないと。
頑張ってくれているエンジニアチームのためにも、絶対に決勝行かないとね」
審査委員
ビジネスコンテスト二次審査当日。スタッフみんなが、会場にきていました。
佐奈は、すごく緊張しています。佐奈は今日のために起業した時に買った勝負ジャケットを着てきていました。
その時、パンフレットに審査委員の顔写真が載っているのを見つけます。そこには、羽田早智が載っていました。この間のメールの件もあり、みんなで一斉に小鳥を見るのでした。
その頃、羽田早智は、審査委員の控室に入りました。
一緒に審査するのは、ゲーム会社の社長・永瀬拓也です。永瀬とは古い付き合いのようです。
「10年前、君のピッチに乗って、ずいぶん儲けさせてもらったからね。今日も楽しみだ」
そう言われた早智も、いい出会いがあることを期待していました。
注目の的
羽田早智との関係を「お友達」と説明する小鳥。みんな彼女だと思っていました。
気を取り直して、佐奈はピッチの練習をします。控室には、ビジネスコンテストに参加する他の企業もいます。その中で、注目を浴びている佐奈。佐奈はメディアの取材を受けていて、生い立ちや高卒であることを何度も話していたのでした。
「あれが成川佐奈か。注目されている割に対したことないよな」
そんな声が聞こえてきました。
凛花
佐奈は、席を移します。そんな佐奈を心配して探す功。そこに凛花が現れました。
「LINEぜんぜん既読がつかないからさ、会いに来ちゃった」
そう言われ、功は「ってかさ、凛花って暇なの?」と聞いてしまいます。わざわざ休みの日にビジネスコンテストに来たのは、何か他に理由があると思う功。
「成川佐奈のピッチ、邪魔してやろうかと思って。それで会社が上手くいかなくなってなくなれば、功もあの子のそばにいなくていいでしょ?そうしたら、私だけのもの」
そんなことを言いますが、本当はビジネスコンテストを見に来たのではないかと功は考えます。しかし、凛花は「ビジコンなんか興味ないし。そんなことより、デートしよ」と言うのでした。
凛花は佐奈のことが羨ましいのかも知れません。
助けたい人
小鳥は佐奈を見つけ、コーヒーを差し入れしました。
「緊張するなと言われても緊張しますよね。それも、たった10分で魅力を伝えるなんて」
佐奈の気持ちに寄り添う小鳥。
「決勝に向けて頑張ってくれているみんなのためにも、絶対に失敗したくないんです。でも、そう思ったら、余計にがくがく振るえちゃって」
佐奈は小鳥の前では本音が言えるようです。
「よく緊張した時は、お客様をかぼちゃだと思えって言いますが、それは違いますよね。例えば、目の前にいる人を助けたい人だと思ったらどうですか?成川さんがビジネスを始めたきっかけも、自分のように満足の行く学習環境に身を置けない人たちを助けたかったからですよね。きっと、成川さんの言葉が届くはずです」
佐奈の緊張が少し解けたようなきがしました。
永瀬拓也
ビジネスコンテストの控室で、ノートパソコンを持ち込んで開発している海斗。
「それ、ライブラリ使わず実装しているの?」
そう声をかけたのは、ゲームアカデミアCEOの永瀬でした。
「ゲームアカデミアと言えば、ドラゴンバースやちびえもんゴー、アカデミアスイッチなど数々の名作を世に送り出しているあの、ゲームアカデミアですか?僕は以前御社が開催したeスポーツ大会で、小指を骨折した状態でも優勝しました」
オタク気質の海斗は、話したいことがあると早口になります。それも、大体自慢です。
そして、海斗の年齢が20歳だと知ると、永瀬は「その若さで、このレベル」と驚いていました。
ピッチ
ついにドリームポニーの順番がやってきました。佐奈は、まだ緊張しているようです。
「みなさんこんにちは、ドリームポニーの成川です。
大会が始まってそろそろ1時間。同じ椅子に座って、同じ画面を見て、お尻が痛くなってませんか?」
そう言って、少し場を和ませると、佐奈は本題に入っていきます。
「日本の教育現場もまさにこんな感じだと思うんです。同じ教室に同じ年齢の人達が集まり、同じ黒板を見つめる。このスタイルは明治時代から150年間変わっていません。
でも、今は一人ひとり個性が多様化し、学習スピードも異なりますよね?
教室と言う限られた空間で、相性のいい先生や気の合う友達で出会える人もいれば、そうでない人もいます。
そこで、ドリームポニーはもっと誰もが自由に学べる選択しを増やせると思い、このプロダクトを考えました。
その名も、スタディーポニーキャンパスです。
これは誰もが無料で通えるバーチャルな教育空間です。ここではユーザーが自分のアバターを使って、小学校や中学校、高校や英会話スクール、料理学校など、好きな学校を選んで好きな時に通えます。
年齢や性別、住んでいる場所に捕らわれない世界です。私たちはこれを無料で提供することで、もっと誰もが平等に学べる環境を実現します」
質疑応答
佐奈のピッチが終わり、質疑応答に入ります。最初に質問したのは永瀬です。
「大変意欲的で面白いプロダクトだとおもうんですが、全て無料で?どう収益を上げるつもりなんですか?」
この質問については、想定内でした。
「それについては、プロダクトプレイスメントを取り入れます。これまでアプリで掲載していたバナー広告では、ユーザー離れを生むリスクがありました。でも、この方法なら、木を隠すなら森の中、広告もキャンパスの世界観に取り込むことができます」
逆に、この質問がなければ話さなかったのでしょうか?本来ならピッチの中に入れる内容ではないのでようか?
そして、羽田早智も質問します。
「実際、そのやり方に賛同した企業はあるんですか?」
佐奈と小鳥が営業をかけ、なんと目標よりも多い10社から賛同を得ていました。
「この方法なら、同意を得たユーザーの行動履歴などを企業に提供することができ、データマーケティングに活用していただけます。エドテックという枠組みを超えて、多種多様な企業のみなさんと組むことで、全てのユーザーに対して無料を実現します」
二次審査結果
大会後、ビジネスコンテストのスタッフが参加者の集まる控室に来て、最終審査に進む2社を発表しました。
「それでは、決勝に進んでいただく2組を発表します。
一組目は、トップオブテック。そして、もう一組は、ドリームポニー」
最終審査への扉は開かれました。みんなで喜んだあと、すぐに最終審査の準備に取り掛かります。
「開発の部分については、功がピッチしてくれる?」
佐奈に言われ、やると言えない功。しかし、佐奈が功がダメなら海斗に頼むしかないかと言い出します。さすがにそれは無理だと思った功は、自分がやると言うしかありませんでした。
海斗の好物
「少しは休んで下さい」
寝る時間も惜しんで開発をする海斗のことを心配した小鳥は、海斗におにぎりを買ってきたのでした。
「僕はたらこ派です」
そう海斗は返すと、たらこのおにぎりを置く小鳥。
「居酒屋まっちゃんで食べた焼きたらこおにぎりが一番好きです。よく一人で食べに行きます」
小鳥と海斗の歓迎会が行われた居酒屋で、海斗の酒を間違って功が飲んで倒れたところです。
そして、開発はほぼ完了しました。
最終確認を行う海斗に、みんなの目が集まります。
「キャンパス内動作も、アバターの同期もできてる」
問題
「もう1か所確認させて」
最後まで功は確認作業をしていました。明日は最終審査です。デモで使うタブレットは、もう閉まってしまっています。そこで、小鳥は自分のスマホを確認用に提供します。
「あれ?固まった。落ちた・・・え?なんで?まさかバグ?」
その言葉を聞いて、寝てしまっていた海斗が起きて、確認します。
「アプリは正常です。原因は小鳥さんのデバイスですね。
スタポニキャンパスは高度な技術を使用しているため、アプリを動作させるための十分なメモリが必要になります。でも、小鳥さんのスマホが古くてクラッシュしました。
本番は、今まで通り高スペックの端末でやれば、問題はありません」
海斗はそう言って、一安心しました。
使えない人がいるのは意味がない
「あのさ、みんな」
と佐奈が言い出すと、功が割り込んで話し出します。
「改良しよう。小鳥さんのスマホでも動くように、アプリを軽量化しよう」
しかし、技術者として海斗は承服できません。
「無理です。そんなことをすれば、今まで築いてきた技術を棄てることになります。実装の組み直しが必要です。今から組み直すなんてバカだと思います」
それでも、功は諦めません。
「ごめん、海斗君。それでも改良したい。使えない人がいるんじゃ、意味ないと思う」
それに対して、海斗は猛反発します。
「また例の平等ですか?優勝したくないんですか?バカすぎて話になりません」
そう言うと帰ってしまう海斗。仕方なく、功は残ったメンバーで軽量化作業に入ります。
「栗木は端末のスペックを判定して分岐する処理の実装を、メグはアセットのローポリ化を頼む」
そして佐奈は、小鳥に手伝ってもらって、資料の修正にはいりました。
自慢の同期
功たちが軽量化作業をしていますが、時間的に間に合いません。
「ごめん、俺の責任だ。俺が海斗に頼りすぎてた」
それは、栗木たちも同じです。圧倒的な技術力に頼ってしまっていたのでした。
そんな時、資料の修正が終わった小鳥は、終電で帰宅するよう佐奈に言われていました。しかし、小鳥は行く場所がありました。それは、海斗がいるだろう居酒屋です。
小鳥が居酒屋に行くと、海斗は焼きたらこのおにぎりを食べていました。
「戻りましょう、海斗さん」
小鳥にそう言われますが、海斗としては最善を尽くしました。それを放棄する以上、海斗にはやることがないと思っています。
「まだみんな諦めてないみたいですよ。それに海斗さんが飲んでいるの、ジュースですよね?本当は心配してるんじゃないですか?
海斗さんがいなければ、スタポニキャンパスは生まれませんでした。
私の自慢の同期です。ビジコンに海斗さんと出たいです。最後まで一緒に作りましょう」
そう言われ、海斗は決めました。
これからが本番
海斗の作ったプログラムが難解過ぎて、理解できず困っていました。そこに帰ったはずの小鳥が戻ってきました。そして、海斗も一緒です。
「小鳥さんがあまりにしつこいので、たらこおにぎり分ぐらいは働きます」
そう言うと、一人黙々と作業をはじめました。
そして、朝。海斗が来たことで、なんとか軽量化ができました。
みんな、毎日の疲れと、最後の追い込みで、その場に倒れ込んでしまいました。しかし、作って終わりではありません。ビジネスコンテストでデモを披露するのが目的です。
「終わってないよ、これからが本番だよ」
佐奈だけが冷静でした。
よし行こう、貧乏少女
着替えに帰った佐奈は、先にビジネスコンテスト会場に到着しました。佐奈は、みんなが一旦帰って、会場にやってくるか心配です。
そこに小鳥がやってきました。そして、佐奈からもらった革靴を履いています。
「決勝で履こうと決めていたので」
喜ぶ佐奈に小鳥はそう答えました。そして、功やみんなが会場にやってきました。功も小鳥の靴に気づいていました。
会場に入り、準備をしていると、佐奈のジャケットが破けてしまいました。脇の部分で、どうやっても隠せそうにありません。
「私の勝負服が。。。1日中手を上げないのも無理だし。お裁縫道具もないし、時間もないし。もう・・・・」
困った佐奈に、自分のジャケットを着せる功。
「俺の着て。CEOがジャケット着てないとカッコつかないから」
そして、佐奈の袖を調整してくれました。準備が終わると功は「よし行こう。貧乏少女」と昔のように言うのでした。
最終審査
みんなで集合して、手を繋ぎ、気合を入れます。
「これが青春ってことでしょうか?」
小鳥は、みんなと一体になった気持ちをそう表現しました。しかし、海斗は「ただ手を繋いで、声掛けしただけですよ」と照れ隠しなのか、なんでもないことにしてしまうのでした。
そして、ついに最終審査です。
「スタディーポニーキャンパスは、子供から大人まで楽しく遊べる学習アプリです。
今日は小学校に登校してみましょう。
マイルームを出れば、ひとつの町のようなバーチャルな教育空間が広がっています。
最新の同期ライブラリを使用することで、スムーズな動作を実現しています。
そして、チャット機能を活用することで、遠方にいる友人ともスムーズにコミュニケーションを取れます。
これがあれば、大人になってから学び直したい人や、学校に馴染めず通いずらい人、経済的に苦しく進学できなかった人、転校して友達と離れ離れになってしまった人など、いろいろな事情を抱えた人達が、時間や場所、お金に縛られず平等に学ぶことができます」
指摘
羽田早智は、デモを見終わると、質問します。
「機能は理解できました。ただ、ピッチの時よりもライトな仕上がりになった印象を受けました。開発に時間が足りなかったんですか?」
しかし、佐奈は自信を持って言うのでした。
「いえ、これが私たちのベストです」
デモ終了後、周りの反応は、もう1社のトップオブテックが優勝するだろうという予想が大半だったようです。
結果発表
ついにビジネスコンテストの結果発表です。発表は審査委員長の羽田早智がします。
「それでは発表します。
スタートアップビジネスコンテスト2022最優秀賞は、ドリームポニーです。
優勝したドリームポニーには賞金1000万円が贈られます」
驚く佐奈、功。驚いたのは二人だけではありません。前評判はトップオブテックの方が良かったのです。
「どうしてですか?我々の方がはるかに技術力が上だったはずです」
そうトップオブテックが質問すると、羽田早智は「だからと言って、ビジネスが成功するとは限りません」と一刀両断するのでした。
私たちのベスト
最後の質疑応答で、佐奈はしっかり説明していました。
「これが私たちのベストです。これには理由があります。
はじめはもっと高度なアプリを開発していました。これだと、大量のメモリを使用するため、高スペックなスマホでない限り、快適に動かないことがわかりました。
そこで私たちは、今世の中に普及しているスマホでも十分動作するように、あえて技術を落としました。これにより、アプリを使用できるユーザー数が増加します。
なので、これが私たちのベストです。多くの人にとって使いやすいプロダクトこそ、幅広く受け入れられ、やがて世界に広がっていくのではないでしょうか?」
それを聞いて、最終判断がされたのでした。
「ビジネス的観点、アイディア、技術、三つのバランスが見事に取れた見事なプロダクトでした」
羽田早智は最後にそう締めくくりました。
それを聞いて、喜ぶ功と佐奈。功はハイタッチを準備しましたが、佐奈は功に抱き着きました。
告白
「功、いっぱいだけ飲まない?」
佐奈は功を誘いました。会社に戻り、二人だけで乾杯します。
「優勝だよ、優勝。これでポニーから1CMだけ角が生えた気がする。
ねえ、どうしてあの時、迷わず直してくれたの?改良の件、反対してもおかしくなかった」
佐奈は功が、修正すると言いだしたことが不思議でした。
「佐奈は嘘がつけないから。みんなが平等に使えないプロダクトなんて、ちゃんとピッチできないだろう?どうせステージの上でボロボロになる。だったら、直すしかない」
やっぱり、功は佐奈のことが良くわかっています。
「あの日、声をかけて、本当に良かった。だってそうでしょ?高卒でモグリだった私を、CEOにしてくれた。
功とだから、ここまでこられた。今日もさ、このジャケットのおかげで勇気をもらえた」
佐奈は素直に功に感謝していました。しかし、功は違うことを考えているようです。
「好きだ。俺は、佐奈が好きだ」
功は、今まで言えなかったことを言うのでした。
最後に
功が告白したのは、小鳥の存在があったからかも知れません。小鳥がいるから、焦ってしまったのかなと思います。
ドリームポニーは「社内恋愛禁止」です。これを破ったペナルティは、どうなるのでしょうか?
そして、ビジネスコンテストで優勝し、賞金を手に入れたドリームポニーは、これからどう発展していくのでしょう?
しかし、一筋縄では行かないようです。恋愛と家庭と仕事と、どれも問題ばかり・・・。
どうなるのか楽しみです。