買収提案 ユニコーンに乗って(9) ネタバレ

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買収提案. は、羽田早智から突き付けられた提案です。

そして、功の父親の会社に問題が発生。この問題をどう対処するのでしょうか?

そんな第9話のネタバレです。

ユニコーンに乗って公式HP

主な登場人物

成川なるかわ佐奈さな  永野芽郁
小鳥ことり智志さとし  西島秀俊
須崎すざきこう   杉野遥亮
森本もりもと海斗かいと  坂東龍汰
栗木くりき次郎じろう  前原滉
夏井なつい恵実めぐみ  青山テルマ

羽田はねだ早智さち  広末涼子

第9話のストーリー

買収提案

早智に呼ばれた佐奈は、驚く提案を受けました。

「ドリームポニーを買収したい。つまり、M&Aということ。
 年齢や国籍を問わなければ、世界のエドテック市場で戦える。私もそう気付かされたの。誰もが自由に学べる教育環境が整えば、これまでの教育システムでは埋もれていた新たな人材を育成することができる。彼らのアイディアにより、新たなビジネスが生まれれば、起業家の育成にも繋がる。だから、私たちサイバーモバイルは、世界水準のITインフラを活かして、教育事業に参入することに決めたの。聞いてる?」

佐奈は、素直に驚いていて、固まってしまいました。

「一度、真剣に考えてみて」

早智にそう言われ、佐奈は持ち帰ることにしました。

功の反応

佐奈は会社に戻ると、功を呼び出して話しをします。

「突然そんなこと言われても、驚くことしかできなくて、混乱してる」

佐奈は素直な感想を功に伝えます。

「そりゃ、そうだろう。それにしてもなんでこのタイミング?スタポニキャンパスが軌道に乗ってきて、これからっていう時に」

功の疑問もわかります。

「それに、自分たちで必死に育ててきたこの会社を手放すなんて、考えられない。私は、功たちとドリームポニーを大切に育てていきたい」

佐奈がそう言うと、功も賛成しました。自分達の会社が人の手に渡るなんて想像できませんでした。

「良かった。断る方向で話しをしておくね。みんなにもこういう提案があったことは報告しておこうかな」

そう言うと、次のミーティングで話しをすることにしました。

みんなの反応

ミーティングで早智の提案をみんなに話しました。

「羽田社長は、ドリームポニーを乗っ取ろうとしてたんですね」

海斗はそう言う反応でした。

「最低だよな。あんな大企業に乗っ取られたら最後、俺たちは言いなりになって、ドリームポニーはドリームポニーでなくなる」

栗木の反応も似たようなものです。

「でもさ、アメリカじゃスタートアップが大手に買収されるのってステータスだけどね。ユニコーン企業に成長する前に早い段階で会社を手放すCEOも増えてるし」

恵実の感想は、欧米的発想なのでしょう。

「日本でもそういう考えが広まってるのは知ってる。でも、ドリームポニーは私にとって体の一部みたいなもので。だから私は、CEOとしてこの会社を自分たちの手で大切に育てていきたい」

佐奈は、そう言って断ることを宣言しました。

「私も創業メンバーの思いを尊重したいです。この会社を大切に守ってきたのはお三方だと思うので」

最後に小鳥が発言して、ミーティングは終了しました。

功の父親の会社

「須崎不動産グループ、不正アクセス被害を受け個人情報流出 450万件」

テレビで、そう伝えていたようです。流出した情報には、顧客のクレジットカード番号も含まれているようです。前回凛花が知らせてきたのは、このことでした。

「俺には関係ないよ、大丈夫。ほら、仕事、仕事」

功は、心配でしたが、みんなの前では気丈に振る舞っています。

「関係なくはないでしょ。お父さんの会社でしょ?
 今日は急ぎの仕事がないから、帰っていいよ。そばにいてあげて」

佐奈にそう言われ、功は実家に帰ることにしました。

父の思い

功が実家に帰ると、父親は出かけるところでした。

「父さん、大丈夫なの?」

功がそう聞くと、父親は暗い顔で答えます。

「功、すまない」

そして、それだけ言うと、車に乗り込み出かけてしまいました。実家に帰ると、母親がいました。

「さっきさ、父さんに謝られた。なんでだろう?」

そう聞くと、父親の想いを教えてくれました。

「ずっと頑張ってきたからね。功には一番いい状態で会社を譲りたいって。昔からそう。会社で不祥事を起こせば、功が学校でいじめられるかもしれないし、いつも自慢できるお父さんでいないとって、いつもそんなことを気にして、ずっと真面目にやってきたのよ」

功は、初めて聞く、父の思いでした。

断りさせていただきます

佐奈は、早智の会社へ行って、買収提案の回答を伝えます。

「M&Aの件ですが、お断りさせていただきます。ドリームポニーの理念に共感して下さったことは大変嬉しいです。ですが、これからも自分たちの手で会社を大きく成長させていきたいんです」

それを聞いた早智は、佐奈にヒントを与えるのでした。

「そう。残念だわ。あなたは視野の広いCEOかと思ったんだけど」

それを聞いて、佐奈は驚いた様子でした。

「この話は、なかったことで」

早智に言われ、買収提案はなくなりました。しかし、早智の言った言葉の意味を考える佐奈の姿がありました。

後輩

早智のところから、佐奈は帰ってきました。会社の前には、功がいました。佐奈は、功に状況を聞きます。

「いろいろ気を遣わせてごめん」

功は佐奈に謝ります。しかし、功が謝ることではありません。

そんな時、声をかけてきた男性がいました。

「ああ!お久しぶりです、須崎先輩、成川さん」

顔を見て、誰か思い出した佐奈と功。

「先輩たちが大学にいた時なんで3年ぶりですかね。改めまして、須崎不動産の若宮です」

その男性は、功の後輩で、功の父親の会社に勤めています。

「あの頃の夢、叶えたんだ」

佐奈は、若宮の夢を聞いていました。

風通しの良くない企業

若宮は、須崎不動産の建物オタクなのでした。大学時代には、功にまとわりついては、”お父様の会社に入社させて下さい”と言っていたようです。

そして、今日功に会いに来たのは、須崎不動産のことでした。

「今日は例の情報漏洩の件で、先輩にどうしてもお願いしたいことがあって伺ったんです。
 この技術を、須崎社長にプレゼンしていただけませんか?前々からセキュリティシステムの古さは、社内で問題視されていたんです。だから、僕はこのキープロテック社が開発した最新技術を導入したらどうかと上司にプレゼンしたですが、聞き入れてもらえなくて」

聞き入れられなかった理由は、その会社が実績のないスタートアップ企業だからでした。

「本当、大企業って風通しが悪くて、僕の声なんて社長に到底届かない。だから、先輩から伝えてもらえませんか?この技術があれば、今回の件だって防げていたはずなんです。お願いします」

そう頼まれ、功はプレゼン資料を受け取るのでした。

新しい風

功が受け取った資料を佐奈も読みました。

「その技術、凄かったね。なんかさ、ちょっと昔の事思い出しちゃった」

そう言うと、昔の話しを功にします。

「会社を立ち上げてすぐの頃、私たちには何の実績もなくて、どこに営業に行っても会社が実在するのか自体怪しまれて。渡した名刺は即ゴミ箱行き」

それを聞いて思い出す功。

「あったな。それで佐奈、ぜったい棄てられない可愛い名刺を作るって言ってた」

そんなこともありました。

「今思うと、頑張る方向、ちょとズレてたよね。でも、あの頃は、なんでも挑戦できてた。失うものはないから、前だけを向いてさ。功のお父さんの会社も、新しい風を入れられるといいよね」

佐奈に言われ、功は考えます。

「前にここで言ってくれたでしょ?現状を変えるために今できることは、新しい風を入れることだと思う。それが切っ掛けで小鳥さんと海斗くんがきてくれた。そのおかげで、スタポニキャンパスも開発できたし、出資も決まって、会社も成長できたよね?」

重要視するのは確実性

功は実家に行き、父親が帰ってくるのを待っていました。

「この技術を見て欲しい。父さんの会社の若宮くんっていう社員が俺に教えてくれた。これを使えば情報を暗号化できる。仮に今回みたいに情報を盗まれたとしても、解読される心配がなくなるんだ。こういう意見を言ってくれる若い社員がいたのに、父さんのところまで届いてなかったんだよ」

功が説明しますが、父親は取り合ってくれません。

「話しは以上か?当然だな。何の実績もない会社が作った技術、信用するわけがない」

しかし、新しい技術に実績なんてありません。

「うちが重要視するのは確実性だ。何をするにも審議を重ねて安全性を確かめてからだ」

大きな会社になればなるほど、保守的な考えになることが多いのでしょう。

「そんなんだから、風通しが悪いとか言われるんだろう?」

功は父親に反発します。しかし、父親は考えを改める気持ちはありませんでした。

「それが、長きにわたり会社を守るということだ」

それだけ言うと、立ち去ってしまいました。

外国人ユーザーの声

ミーティングでアプリのレビューを見せる佐奈。

「最近、日本でスタポニキャンパスを使ってくれている外国人ユーザーも増えてきた」

それも複数ありました。

「僕の地元の子供達にも使ってもらいたい。早くスタポニキャンパス、英語版作って」

そんな好意的なレビューでした。

「それで、予定よりは早いけど、この段階で海外展開に向けて動き出したいと思う」

そう佐奈は宣言しました。自分達が作ったアプリが、全世界に向けてリリースされるのです。ただ、問題がない訳ではありません。

「でも、海外展開のために国ごとにいろいろリサーチしないとだよね」

違うのは言語だけではありません。文化や教育スタイルも、国によって違います。慎重にローカライズしていかないといけません。

「ユーザーが増えてもサーバーが落ちないようにITインフラも強化しないとな」

功の発言に海斗が補足します。

「果てしない作業です。今の体制だと、全部の作業が終わることには、ここにいるみんな、おじいちゃんおばあちゃんです」

実際問題として、一から作るとなると、そうなってしまいます。

「でも、海斗くんのいう通り。現実的に考えて時間はかかるし、何か方法考えないとだね」

みんなの話を聞いて、小鳥はもどかしい気持ちでいっぱいです。

「なんだかもどかしいですね。こうやって我々のアプリを必要として下さる方々がいるのに、すぐに応えられないというのは」

それを聞いて、早智の言ったことが気にかかる佐奈でした。

何を選ぶのか

小鳥に早智から連絡が入りました。

「今度の日曜日、なにしてます?」

早智に誘われ、フィールドアスレチックにやってきました。早智は子供の玲央を連れてきています。

「成川さんから聞きました?M&Aのこと」

早智はそう切り出すと、小鳥の反応を気にします。小鳥は「はい」とだけ答えました。

「羽田社長は会社を乗っ取るつもりだとか言って、みんなで悪口言ってたんじゃないですか?」

早智にそう聞かれて、慌てる小鳥。

「仕方ないですよね。M&Aは日本ではまだまだ悪いイメージも強いし」

早智も、どう反応されるのか、わかっていました。小鳥は、早智に質問します。

「羽田社長は、以前大切に育てられたファッションのECサイトの会社を大手IT企業に売却されていますよね?あれはどうしてですか?」

そう質問されて、早智は素直に話します。

「大切だからです。大切な我が子のように思うから、手放した」

しかし、小鳥は真意が掴めません。どういうことでしょうと、更に聞きます。

「いつか玲央も私の手を離れて、巣立つ時がくる。きっとそれは寂しいしツライ。でも、その自立した先で、たくさんの人達と出会って、成長してくれたら、それが一番嬉しい。会社も自分の手だけで育てるよりも、外の人たちの手を借りて、もっと大きく成長して欲しいって思ったんです」

それを聞いて、成長のための買収提案だったことに気づきました。

「そうは言っても、手放すのは寂しいし、何を選ぶかはCEO次第です」

敵対的な買収ではありません。ドリームポニーにとって必要なことだと思っても、佐奈がいいと言わないことをすることはできませんでした。

佐奈にはついて行けない

休日、会社で一人で作業する佐奈の姿がありました。そこに栗木がやってきます。

「昨日財布忘れちゃってさ、取りにきた」

そして、佐奈に何をしてるのか聞きます。佐奈の机の上には「コンサルティングの実務」など、M&Aの本が乗っていました。

「え?どういうこと?なんでM&Aの勉強なんかを?」

そう聞かれて、佐奈は答えます。

「海外展開を視野に入れた時に、他の企業はどうしてるか調べたら、こういう方法を取るってことを知って、リサーチの一環だよ」

しかし、栗木は納得できません。

「買収の話なら、もう終わったろ?みんなが俺たち3人の思いを尊重してくれて断るって決めたのに、なに一人でこそこそ蒸し返してんだよ」

それに佐奈は反論します。

「そんなつもりじゃないよ。でも、ユーザーの声は?配信を待ってくれてる人達は海外にもいる。その思いに少しでも早く答えたい」

それでも、栗木は納得できません。

「だったら、新しく人を雇うなり、今いるメンバーで頑張ればいいじゃん。なのに買収って・・・佐奈がそんな冷たい考えの人間だと思わなかった。俺は反対だから。もしココを手放すようなことになったら、俺はもう佐奈にはついて行けないから」

そう言うと、栗木は立ち去りました。

栗木と功の立ち位置の違い

家でネットニュース見てる功。さまざまなことが記事になっていました。

「須崎不動産、典型的な大企業病」
「時代遅れなやり方に若手社員が続々と離職」

そこに栗木が帰ってきました。栗木の反応がおかしいことに気づいた功は、栗木にどうしたのか聞きます。

「佐奈のやつ。俺たちを裏切ろうとしてる。M&Aのこと蒸し返して、一人でこそこそ勉強してた。あり得ないよな」

しかし、それを聞いた功は「そっか」とだけ、答えました。その反応に反発する栗木。功は、改めて説明します。

「俺も漠然と、このままでいいのかなって。もしかしたら、佐奈も同じ思いな気がして」

それを聞いた栗木は、反発します。

「ドリポニは、俺たちがこの3年散々苦労して育ててきた会社だろう?金じゃ買えない思い出がたくさん詰まってる。何が何でも自分たちで守り抜くべきだろう?」

しかし、功の考えは変わってきていました。

「会社を守るってどういうことなのかな?父親の会社を見てて思った。昔からのやり方とか、今の状態を保つことに拘るのは、本当に会社を守ってるって言えるのかな?」

それを聞いた栗木は、部屋から出て行ってしまいました。

ノマドワーク

栗木は急に有休をとって休んでいます。功と佐奈の雰囲気を見て、小鳥が察しました。

「何かありました?もしよかったら、今日はノマドワークしませんか?」

そう言って佐奈と功を連れてきたのは、図書館でした。そこで、小鳥は二人から話しを聞きます。

「実は、次郎と喧嘩しちゃいまして」

そう言うと、栗木から佐奈がM&Aの勉強してたことを聞いたと伝えます。

「反対する次郎の気持ちもわかるし、前に進むために新しい方法を探したい佐奈の気持ちもわかる。だから、俺もなにが正解かわからなくて」

功はそう言って悩んでいるのでした。

「あんなに怒る次郎ちゃん、初めて見た。それだけ、会社を大事に思ってくれてるってわかるから、どうしたらいいんだろう?」

佐奈も悩んでいます。

「そうやって悩むのは、必要な時間です。悩むだけ無駄だと思われがちですが、きちんと立ち止まって考えることで、今までの事を振り返ったり、本当に大切なことに気づいたりすることができますから。それだけ、悩むということは、3人にとってドリームポニーは大切な場所なんですね」

そう言って、3人で話しました。

立場の違い

ノマドワークを終え、小鳥は直帰しました。佐奈と功は、二人で帰ります。

「私たち、小鳥さんに助けてもらってばっかりだよね」

佐奈は、素直な感想を功に伝えます。

「うん、小鳥さんがいなかったら、今頃どうなってたんだろうな。本当に新しい風になってくれたよな」

そして、話しは功の父親の会社の話です。佐奈は、後輩の提案までしか、話しを知りません。

「そう言えば、お父さんの会社、どうなったの?あの新しい技術、聞き入れてくれた?」

功は困った感じで声耐えます。

「全然ダメ。無名のスタートアップ企業の技術ってだけで門前払い」

それを聞いて、佐奈は言います。

「もっとさ、相手のことを知れたらいいのにね。
 私たちもそうだけど、大企業とスタートアップって、立場や環境が違いすぎて、お互い良くわかってない所があるでしょ?だから、なかなか受け入れられない」

そう言うと、良いことを思いついた佐奈。功に話して聞かせるのでした。

父親拉致

朝、功の父親が家を出て、迎えの車に乗り込みます。その車の運転手は、功でした。

「今日の会議は11時ですよね?その前に1時間だけ、俺たちに時間をください」

そう言うと、答えを待たず車を走らせます。向かったのは、ドリームポニーです。会社の前では、佐奈が待っています。

「はじめまして。ドリームポニーCEOの成川です」

功の父親に会うのは初めてです。

「スタートアップ企業をご覧になるのは初めてですよね?今日は私たちの会社を知って行って下さい」

そう言われた父親は「誰も頼んでないんだがね」と言いながらも、二人に従うのでした。

個別ファミリーデイ

「今日はファミリーデイじゃないんですがね」

功の父親がくると聞かされた栗木は、そんな愚痴を言っていました。

そこに佐奈と功、功の父親がやってきます。

「ここが主に作業するメインルーム。功が率先してデザインを考えてくれました。明るい雰囲気と社員一人一人の個性やカラーを大事にしています」

小鳥は、父親に挨拶します。カラーの違うスタッフに驚く父親。会釈して返します。

「今のが小鳥さん。前に焼酎を持たせてくれた、俺の同僚。小鳥さんは中途採用なんだけど、最初はITに不慣れで、正直俺はこの会社に合ってるのかなって疑ってたんだ。でも、小鳥さんの人生経験は俺たちに足りない所をカバーしてくれることばかりで、信頼する仲間なんだ」

そして、ワークスペースには恵実と海斗がリラックスしながら作業していました。

「ここは遊ぶスペース?」

父親は、思ったことを質問します。

「いえ、会社は毎日通う場所です。なので、来るのが楽しくなるような場所にしたいです。それに、エンジニアはパソコンと向き合う時間が長いので、少しでもリラックスしてもらいたくて」

そう佐奈が説明すると、恵実と海斗は技術的な話をしていました。その姿に驚く父親でした。

見返して欲しい

最期はミーティングスペースです。3つのルールの中の「朝会には必ず参加」に反応する父親。

「毎日、CEOの佐奈自らが、メンバーに会社の問題やミッションを共有するようにしてるんだ」

功が説明して、佐奈が補足します。

「私一人の頭で考えるよりも、いろんな価値観を持つメンバーの意見を踏まえて決断した方が、より良い答えを導けると思うので。みんなが意見を言いやすいようにフラットな関係を築けるようにしています」

その時、見た目年上の小鳥の作業を、年下の栗木がチェックしていました。

「俺たちがこうやって働けてるのは、過去の実績よりも将来に期待して応援してくれる人がいるからなんだ」

功は、スタートアップ企業について説明します。

「スタートアップが持つ自由な発想やスピード、柔軟性は父さんの会社にもきっと役に立つ。お互いが足りないピースを埋めあうことで、一緒に成長できる道が必ずあると俺は思う。
 だから、こういった技術にも目を向けて欲しい。父さんの会社が変わるきっかけがあると思うから。俺は謝罪会見の時、会社を背負って立つ父さんを見て、心からかっこいいと思った。だから、こんなところで立ち止まって欲しくない。古臭いとか言っている連中を見返して欲しい」

しかし父親は「もう、1時間たったな」と言って、車に戻って行きました。

届いていた

佐奈の考えたスタートアップ企業を知ってもらおう企画でしたが、反応はあまりよくありませんでした。

「今日は来てくれてありがとう」

見送りにでた功がそう言うと、父親は佐奈に向かって言います。

「おもしろい会社を作ったね。あなたは」

そう言われて、喜ぶ佐奈。

「あのプレゼン資料のデータ、俺のパソコンに送っておいてくれ」

父親が功にそう言うと、功に自分の名刺を渡します。

反応はイマイチかと思いましたが、ちゃんと父親に届いていたようです。

私がやるべきこと

功の父親に話しをしたことで、佐奈の中にも芽生えるものがありました。

佐奈は遅くまで、自分の机で作業します。それを見て、小鳥が声を掛けます。

「何か手伝うことありますか?」

しかし、佐奈は「これは私がやるべきことなので」と言って、申し出を断りました。

そして、佐奈は本を読み、翌日の朝会のためにノートにまとめます。

次郎ちゃん、どうかな?

朝会で、佐奈はみんなに改めて話しをします。

「今日はみんなに私から話したいことがあります。
 サイバーモバイルとのM&A、やっぱり前向きに検討したいと思う」

それを聞いて、微妙な表情の栗木がいました。

「買収って聞くとさ、やっぱり大企業に飲み込まれちゃうってイメージがあって、私も最初は抵抗があった。でも、本当は、会社という枠組みを超えて、お互いに成長していくための方法なんだと思う。私たちだけでスタポニキャンパスを世界に広めようとしたら、今だと足りないピースがありすぎて、10年、いや20年はかかるかもしれない」

これからのドリームポニーの問題点を定義して、その問題点を解決する方法を提案します。

「それって、本当に正しいのかな?私が一番大事にしたいのは、みんなが頑張って作ってくれたこのスタポニキャンパスを、少しでも早く必要としてくれている人に届けること。そのために、サイバーモバイルが持つ技術や経験、ノウハウなどあらゆる力を取り入れたい。それに、私たちが目指すゴールはユニコーン企業じゃない。もっとその先にある誰もが平等に学べる場所を作ることだと思うから。次郎ちゃん、どうかな?」

同じパターンはない

名指しされた栗木は、自分の気持ちを素直に話します。

「佐奈の言うことはもちろんわかる。でも、俺やっぱヤダよ。俺は、この場所で、ここにいるみんなとだから楽しくやってこれた。大企業なんかに飲み込まれたりしたら、ドリポニがドリポニじゃなくなる」

それに対して、佐奈は丁寧に説明します。

「たしかに、変わる部分はあると思う。これから会社がもっと大きくなっていく上で、どうしても必要な変化が出てくると思うから。でも、変化って、そんなにダメなことなのかな?最初は3人でスタートした私たちだって、メグがきて、海斗くんがきて、小鳥さんがきて、いろんな刺激をもらって大きく変わったでしょ?はじめは分かり合えない部分もあったけど、お互いいい部分をシェアすることで、素敵な変化がたくさんあったと思う」

そして、M&Aについて調べたことを話します。

「それに、M&Aについて調べたら、ひとつとして同じパターンがないってわかった。だから、私たちは、私たちに一番あった方法ですればいいと思う。CEOは私が変わらず続けていくし、ドリポニの理念は何があっても絶対変えない。みんなには今まで通りここで働いてもらえる環境にする。そうなるように私が責任を持って、羽田社長に交渉するから。だから、信じてついてきて欲しい」

ドリポニが温かい理由

二人の話を聞いて、功は言います。

「やっぱりブレないな。うちのCEOは」

それぞれが感想を言います。
「信じるに決まってるんじゃん」
「僕はここで働けるなら、なんでもかまいません」

それを聞いて、栗木も決めました。

「わかった。俺も佐奈について行く」

涙を流し、ぐちゃぐちゃになっている栗木。そんな栗木を見て、海斗は冷静に言います。

「鼻水が垂れてます」

いい雰囲気をぶち壊しますが、いつものことと言えば、いつものことです。

「ドリポニがこんなに温かい会社なのは、栗木さんがいるからなんですね」

小鳥がそう言うと、佐奈も賛同しました。

「はい。頼もしい創業メンバーです」

記者会見

それからしばらくして、「サイバーモバイル×ドリームポニー共同記者会見」が開かれました。

佐奈を待つ功。そこに白と黒の印象的な衣装を着てやってくる佐奈。その姿を見て、功が驚きます。

「え?ダメ?羽田社長にコーディネートしてもらったんだけど」

功の反応に不安になる佐奈ですが、功はちゃんと「似合ってる」と言いました。

そして、共同会見は立って行われます。まず、早智が話し出しました。

「買収と聞くと悪いイメージを持たれる方も多いかと思いますが、そのイメージを変えて行きたいと思っています。歴史ある企業と可能性に満ちた新しい存在が交わることで、必ず大きなイノベーションを生み出すことができます」

それを受けて、佐奈が話します。

「ドリームポニーはこれからサイバーモバイルと手を組むことで、世界水準のITインフラや海外へのパイプなど、必要な力を惜しみなく活用し、さらに飛躍していきます。私たちがもたらす教育の未来にどうぞご期待下さい」

起業家精神

その会見は、ドリームポニーでも見られていました。

スタッフに交じって、ドリームポニーに投資していたベンチャーキャピタルの白金もいました。

その白金は、条件のすり合わせで力を貸してくれていたのです。初めて担当したのがドリームポニーということで思い入れがあって、会見を見ながら泣いていました。

「まあ、担当VCとして当然のことですけど。ドリポニさんが我々の手を離れるのは寂しいですけど、成川CEOは最高にいい選択をしたと思いますけど

語尾に「けど」をつけるので、口の悪い恵実には「ケド男」と呼ばれていました。そして、海斗にも言われています。

「最後までけどけど、言ってますけど

会見では、質疑応答になっていました。

「羽田社長に質問です。なぜ数あるエドテック企業の中から、パートナーとしてドリームポニーを選ばれたのですか?」

それに対して、早智は明確に答えました。

「その理由は、彼女です。アイディアと強い信念で周囲を巻き込み、突き進む起業家精神は、弊社にとって起爆剤となり、大きな影響を与えてくれると思いました。M&Aで優秀な人材を仲間に迎え入れることによって、ビジネスは飛躍していきます。次世代の新しいCEOとして、成川佐奈さんの更なる活躍に期待したいです」

そうして、会見は終わり、佐奈と早智は固い握手をしていました。

功と父親の関係

父の名刺を見つめる功。功は実家にいました。そこに父親が帰ってきます。

「またきてたのか?そうだ、あのセキュリティの技術、社内で検討することに決まったぞ」

功の提案を受けて、社内で検討してくれたのでした。

「本当に?良かった。
 あのさ、実は他にもいろいろ、父さんの会社とスタートアップが組めば、おもしろそうなビジネスがいろいろあって、良かったら聞いてくれるかな?」

功は、一度は勘当同然の関係になりましたが、父親を尊敬し、父親との関係を再構築したのでした。そして、新たな道を見つけたのかも知れません。

小鳥と功

功は小鳥と待ち合わせしていました。やって来た小鳥は、電動キックボードに乗って来ました。

「前々から小鳥さんと二人で飲んでみたかったんです」

そう言って、功は小鳥と一緒に居酒屋に入りました。

「私も誘ってもらえてうれしいです。なんか照れますね」

小鳥もまんざらではない様子です。しかし、功はジュースを飲んでいました。

「あの、小鳥さんは転職する時、怖くなかったんですか?ずっと一緒に働いてきた同僚と離れて、何も知らない分野に身一つで飛び込むなんて」

功は、この先のことへの参考として、聞いておきたかったのです。

「怖くなかったと言ったらウソになります。でも、その怖さも人生の醍醐味だと思っています。怖いと思うことは、新しいことに挑戦できているということです。だから、そんな自分を誇らしく思うことにしたんです。今は、毎日ハラハラして、テーマパークにきているみたいです」

怖いを楽しんでいる小鳥を見て、功は素直に関心します。

「やっぱり凄いな、小鳥さんは」

そう言われて、小鳥は功たちへの憧れを口にしました。

「そうですか?須崎さんや栗木さんに憧れて、キックボードにも乗るようになりました」

だから乗っていたのです。

「小鳥さんがいれば大丈夫ですね、佐奈も」

意味深長な発言をする功なのでした。

功が決めたこと

ある日、功は佐奈と栗木を呼んで話をします。

「俺、ドリームポニーを辞めようと思う」

突然の辞める発言に驚く2人。佐奈は、辞める理由を聞きます。

「俺はずっと親に言われるまま生きてきた。でも、佐奈と出会って、自分の夢を持って、自分の足で歩いてる姿を見て、いつか俺もこんな風になりたいと思った。佐奈の夢が俺の夢になって、俺だけじゃ絶対見られない、たくさんの景色を見させてもらった。でも、俺は今、俺だけの夢を見つけた。俺はこれから父親の会社で、大企業とスタートアップを繋ぐ架け橋になりたい。きっとそれは、あの家に生まれて、ここでみんなと働いて、経験を積んできたからみられた夢なんだ。だから、挑戦したい」

功はもう決めていました。今回の父親の会社の問題で、自分と父親の関係も見直すことができました。

「そんな、応援するしかないだろう」

栗木は、受け入れてくれました。

「私も、功が決めたことを尊重する」

佐奈も受け入れます。

そして、最後に佐奈とハグをするのでした。

「今までありがとう。楽しかった」

功が佐奈を抱きしめましたが、最後には佐奈も功を抱きしめていました。

最後に

いろいろな問題がありましたが、功が会社を辞めてしまいました。

これまでは、「社内恋愛禁止」ということで、モヤモヤする関係でした。しかし、辞めたら、もう付き合っても大丈夫な気がします。ただ、佐奈と功との関係や性格を見ると、すんなり付き合うなんてことは、できないですよね。

そして、小鳥と佐奈の関係は?近くにいるからこそ、はぐくまれる関係ってあると思うのですが、最終回に佐奈と早智の小鳥を巡るバトルが起きたり・・・しないですね、はい。

それぞれの関係はどうなるのか、ドリームポニーはどうなるのか、気になります。

最終回の予告

楽しみです。

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