クビ になった新町が、伊垣のために奔走します。
しかし、そんなに上手くは行きません。そんな時、超強力な助っ人が登場します。
そんな最終話のネタバレです。
主な出演者
新町亮太郎 綾野剛
新町果奈子(旧姓:糸山) 榮倉奈々
高柳雅史 反町隆史
深沢塔子 芳根京子
城拓也 中川大志
梅屋敷聡太 増田貴久
真崎かほり 岡崎紗絵
葛飾吾郎 高橋克実
伊垣尚人 神尾楓珠
矢崎十志也 横浜流星
最終話ストーリー
ビクトリーを去る
「君はクビだ。ビクトリーを解雇する」
そう告げられた新町は、高柳に挨拶にきました。
「いままでお世話になりました。僕は間違ったことをしたとは思っていません。”全てのアスリートにリスペクトを”素晴らしい言葉です。でも、社長はビジネスを優先されてるとしか僕には見えなくなったんです」
そう言うと、高柳は「企業なら当然のことだ」と答えます。
「でも、ビジネスにならないからと所属アスリートを解雇するなんて、そんなこと僕にはできません」
それに対して、高柳は釘を刺します。
「ビクトリーの所属アスリートを引き抜いて、独立するようなことは許さない」
過去のトラウマから高柳はそう言うのでした。しかし、新町はそんなつもりはありません。
「スポーツマネージメントはもうやりません」
そして、ビクトリーを去ることになりました。
裏切り
新町は、ビクトリーを辞めたことを伊垣に報告しました。
「ビクトリーを辞めた?」
海外移籍を視野に新町に依頼していましたが、裏切られる結果となりました。
「それはないですよ、俺は新町さんに任せるつもりでいたんですから」
しかし、ビクトリーを辞めて伊垣の代理人をすることは、新町としてはできません。
「でも、伊垣にとってマイナスになるかも知れないし、君はこんなところで終わっちゃいけない選手だ。ビクトリーにはちゃんと引き継いでもらうから。本当に申し訳ない」
そう言って、納得してもらうことしか、新町にはできませんでした。
代理人
そんな伊垣は、ビクトリーに呼ばれていました。高柳から紹介されたのは、代理人のミツオカでした。
納得いかないものの、仕方なく握手する伊垣。移籍の話をするために呼ばれたのです。
ミツオカは凄腕の代理人と噂されていました。
「もう15年以上の経験があって、去年レッズのワカツキ選手をACバドワに移籍させたんですって」
真崎の情報を聞いて、イマイチ納得できないスタッフ達。
「実はコンタクトを取りました。スペインのカルビアFCが伊垣さんに今日を示しています」
ミツオカは、伊垣のために移籍先を探してきていました。カルビアFCは、スペイン一部リーグの名門チームです。
「サッカー市場は常に動いています。ぐずぐずしていると、他の代理人が別の選手を売り込んできます」
そういうミツオカに伊垣は言うのでした。
「お願いします。僕をカルビアFCに行かせて下さい」
新町と塔子と城
塔子と城は、新しい選手との契約をしようとしていました。相手は、ゴルフのジュニア選手です。
「戸倉選手は、今年の世界ジュニアで優勝。まだ16歳の爽やかな男の子」
その情報を聞いた城は、スポンサーもノーと言えないような逸材に力が入っていました。
そんな時、塔子と城は町で新町を見かけます。自転車に乗ってフードデリバリーの仕事をしてるようです。しかし、その顔は落ち込んでいる訳でもなく、妙に楽しそうなのでした。
塔子は梅屋敷と一緒にいつものお店で食事をしました。
「やっぱりビクトリーで3か月働いたぐらいじゃ、キャリアにならないんだな」
そういう梅屋敷に塔子は、見た新町の感想を話します。
「でも、颯爽としてた。しかも、楽しそうだった。もっと落ち込んでるものだと思ったのに」
そう言うと、新町との会話を思い出すのでした。そして、今日はいつもと違って塔子が酒を飲みすぎ、寝てしまうのでした。
城は、留美はバーで飲んでいました。
「なんだかさ、すっかり張り切っちゃってさ。すっかり様になってたんだよ、新町さん」
そう言うと、城も新町との会話を思い出して、泣いてしまうのでした。
留美に頭を抱かれ、肩を借りて泣くのでした。
家族へ
新町は、1日フードデリバリーの仕事をして、帰ってきました。
「ぜんぜん風呂入ってもダメだな。足、パンパンだわ」
そんな新町を見て、妻・果奈子は笑っています。
「今日一日頑張った証拠だね。すぐ慣れるでしょ、元サッカー選手なんだから」
それにしても、サッカーを辞めた時の悲壮感はありません。それは、果奈子の仕事が上手く行っているから、余裕があるのかも知れません。
そして、新町はリビングに置かれた大きな段ボールを見つけます。「何これ?」と言って近づくと、中から娘達が飛び出して、新町を驚かせました。
「パパ、ビクトリー辞めちゃったの?」
「新しい仕事に変わったの?」
そう聞かれて、泉実と明紗を呼んで、新町は話をします。
「うん、そうなんだ。パパ、スポーツマネージメントの仕事はできないんだ。
説明するのは難しいけど。でも、パパ、ぜんぜん落ち込んでないよ。今は別の仕事に変わっちゃったけど、自分を見つめ直すというか、これからのことを考えるいい時間になったと思ってる。だから、大丈夫」
そう言う元気そうな新町を見て、娘達も安心するのでした。
世界にゴロゴロいる
先日ミツオカが言っていた移籍の話がなくなってしまいました。
「残念ですが、カルビアFCのフォワードポジションは、アルゼンチンの選手に取られてしまいました」
しかし、それでは伊垣は納得できません。
「大丈夫だって言ってたじゃないですか?ミツオカさん」
それを聞いて、高柳がフォローに入ります。
「サッカーの海外移籍はタイミングが必要なんです」
そして、ミツオカは正直な話をします。
「はっきり言って、伊垣尚人レベルの人は、世界にゴロゴロいます。ましてや、伊垣さんのポジション、日本人フォワードが海外で活躍するのは難しいんですよ」
それなら、最初から期待させないでもらいたかった伊垣。今更そんなことを言われても困ります。興奮する伊垣を落ち着かせようとする高柳。
信頼関係
伊垣は、過去のことを話します。
「僕は以前、騙されたことがあるんです。イングランドのチームに決まりかけてたんですけど、蓋を開けてみると控え選手としての契約だったんです」
しかし、それはよくあることです。トップに近いクラブでは、日本でしか実績のない選手にレギュラーを確約するのは難しいことです。
「それでも、代理人に金は入りますからね。あれでもう僕は、心から信用できる人じゃないとダメだと思ったんです」
そう言われて、ミツオカはイライラしてしまいます。
「私が信用できないと?」
そう言われ、伊垣は正直な気持ちを話します。
「申し訳ありません。ミツオカさんとはやっていけません。ビクトリーも辞めさせて下さい」
伊垣は出ていってしまうのでした。
反乱
伊垣が社長室から降りてくると、城が話かけます。
「伊垣さん、辞めちゃうんですか?」
そして、塔子も話しかけます。
「新町さんの所にいくんですか?」
しかし、それを聞いていた高柳が、割って入ります。
「彼に代理人は無理だ。アスリートの信頼に応える、力量も経験ない」
それを聞いて、塔子は我慢の限界に達しました。
「そんなこと・・・どうして、どうして無理なんですか、社長。
新町さんは、矢崎十志也さんの契約を成立させました。牧村ひかりちゃんも、古川舞さんのトリエステへの移籍も、新町さんがいなければ成立しませんでした。
新町さんは、ちゃんとスポーツマネージメントの仕事ができていたんです。アスリートに信頼されていたんです。新町さんを潰すようなことはしないで下さい。そんな社長は見たくありません。
私は、社長のために働いている訳じゃありません。アスリートのために働いているんです」
塔子がみんなに止められながらもそう言うと、高柳は突き放します。
「私のやり方が気に入らないというなら、会社を辞めてもらってもかまわない。深沢くん、城くんもだ」
そう言われ、塔子も城も「辞めます」と言うのでした。
そして、伊垣と一緒にビクトリーを後にしました。
3人で
フードデリバリーの仕事をしている新町の元へ、塔子がやってきました。驚く新町。場所をファミレスに移して、塔子と城、伊垣と話をします。
「もう、どうしてそんな・・・」
みんながビクトリーを辞めたことを聞いて、困ってしまう新町。しかし、伊垣は新町がいたからビクトリーに所属しただけで、新町がいなくなれば辞めても当然です。
「私と城くんは・・・」
塔子が話し出すと、城が後を続けます。
「簡単に言えば、新町さんのせいです。新町さんは無責任です。
伊垣さん裏切って勝手にビクトリー辞めちゃって。
なんのためにあんなに頑張ってエージェントの資格を取ったんですか?」
新町は、困惑しますが、それ以上に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
「それは、本当申し訳ないと思ってるけど、社長との約束もあるから」
しかし、伊垣は新町でなければダメと言います。
「聞きましたよ、伊垣さんがケガをしてリハビリしてた時、まだ現役だった新町さんが声をかけてくれたって」
伊垣は言いませんでしたが、新町と伊垣には接点があったのでした。
「絶対焦っちゃダメだよ。君は日本代表になれる選手なんだから。俺は全力で応援してるから、ね」
伊垣は、憧れの新町の言葉が嬉しくて、それが励みになって、その後ずっと頑張れたと言うのです。そして、城も塔子も、また一緒に仕事しようと言うのです。
「私たち3人で、伊垣さんの海外移籍を実現させるんです」
談判
みんなの思いを受けて、新町は高柳に会いにきました。
「伊垣尚人くんの代理人を務めさせてもらえないでしょうか?」
新町はそう言いますが、高柳の反応は良くありません。
「約束を破るのか?」
そう言われてしまいます。
「申し訳ありません。でも、これは彼の強い希望でもあります」
アスリートのためにやることを伝えると、高柳は鬼の形相でした。
「責任逃れのような言い方するな。自分はどうなんだ。君がやると言わなければ、そんな話しにならない」
そう言われ、新町はいい方を変えます。
「そうですね。僕も、いや、僕がやりたいと思いました。でも、スポーツマネージメントの仕事は、ビクトリーでやりたかった。社長、これが最後です。伊垣の移籍先が見つかったら、身を引きます。ですから、お願いします」
それを聞くと、高柳は「勝手にしろ」とだけ言うのでした。
オフィス
どうぞどうそと城が呼び込んだのは、城の自宅でした。
「城くんってこんなかっこいい部屋に住んでたんだ」
塔子は、城のあたらな一面を見た気持ちになります。
「でもなんか、殺風景だなー」
生活感溢れる家で生活している新町には、物足りなさが残る家でした。
「最低限の家具しか置いてないです」
そういい訳する城。
「いいじゃないですか、新町さん。とにかく、ここが今日から私たちのオフィス」
そう言って、新しい環境での仕事が始まりました。
全部当たる
伊垣の移籍先を探すために、まずは情報を整理します。
「スペインリーグと言っても1部リーグは20チーム、2部リーグ合わせて42チーム」
新町がスペインリーグの説明をします。
「当然、伊垣さんは1部リーグに行きたがってるんですよね」
単純に考える塔子ですが、そんな話は簡単ではありません。
「でも、スペインだけに絞るのは危険だよ。イングランドもイタリアもドイツもリーグはあるんだから。それにスペインで活躍するには圧倒的に足元のスキルが必要なんだ。
他にもリーグによって特徴があって、イタリアはフィジカルの強さが必要。イングランドは技術、スピード、フィジカル全てが高いレベルで求められる。そして、ドイツはとにかく体がでかくて強い。でも規律を重んじるドイツのサッカーは、日本の選手に比較的なじみがある。
それに、外国人枠の制限があるスペインとイタリアは、試合に出られるチャンスが限られている。でも、その制限のないドイツは、日本人選手にとって、プレイしやすい環境なんだ」
一番可能性のあるのは、ドイツリーグです。実際、多くの日本人サッカー選手が在籍しています。しかし、伊垣の希望はスペインリーグです。
「スペインも当たるけど、全部当たろう」
新町は、そう言うのでした。
意外な特技
新町、塔子、城は、各クラブに見てもらうための資料を作成していました。
慣れないパソコン作業をする新町。やっと資料ができました。
「よし、オッケー。伊垣尚人のスーパープレイ集と今年のアリアリーグ決勝トーナメントのプレイ集」
そして、それをどこに送るかがポイントです。それを新町が決めます。
「そのチームの戦術が伊垣さんのプレイスタイルに会っているか、フォワードに空きがあるか」
「伊垣さんが活躍できそうなチームを選ぶんですよ」
そう言われ、新町は頭を抱えてしまいます。
「あーーー嬉しいんだけどさ。情報が全て英語で、俺全くわからないんだよね」
英語は塔子が訳します。そして、城が意外なことを言うのでした。
「僕はドイツ語できますから」
新町と塔子は驚いていました。
第一段階クリア
伊垣は練習をしています。
そして、新町達は情報を集めていました。
城の部屋の3つの壁は、印刷した情報で埋め尽くされています。
そして、その情報から、資料の送付先を選びました。
資料を送付し、まずは第一段階をクリアしました。
打ち上げ
「ではでは、カンパーイ」
まずは、資料を送付したことで、打ち上げをする3人。
「お疲れさま。今できることは全部やり切った」
そう言うと、塔子と城を労う新町。
「この3人で会社作った方がいいと思う」
塔子の発言に城は乗ってきます。
「確かに、そっちの方が信用されるし、仕事の幅を広げていけそうですよね」
そして、名前をどうするかと城に尋ねます。
「ドリーマーズとかどうですか?」
そんなノリノリで話している2人に対して、新町はあっさり言うのでした。
「俺はできないよ。これが最後だって社長と約束したから」
しかし、こうなってはもう気にする必要はないと思っている塔子と城。
「どうして、そんなこと気にするんですか?」
「とっくに喧嘩、売ってるようなもんなんですよ」
そう言われても、新町には約束を破ることはできません。
「喧嘩売ってるというか、約束は約束だから」
同業者
そんな話をしていると、たまたま葛飾、真崎、梅屋敷がやってきました。雑談を交わします。
「伊垣尚人の移籍話、進んでるの?」
「上手く行かなかったらどうするの?」
「移籍できても、伊垣さんが活躍できなかったら、3人の収入にはならないんじゃないの?」
そんな質問を浴びせかけられますが、もう腹は決まっていました。
「その時は、その時です。活躍するまで貯金切り崩しながら、バイトでもなんでもしますよ」
塔子がそう言うと、新町も言います。
「でも、今は、そんなこと考えてなくて。今1番ワクワクしてるんです。
そして、城も続きます。
「でかい夢だけは持ってるです」
その言葉を聞いて、葛飾は店を移ろうと言います。そんな葛飾に一緒に飲もうと誘う新町。
しかし、今は同業者です。仲良くする訳にはいきません。
葛飾たちが去ると、新町は「寂しいな」と言うのでした。
梅屋敷は、バーで飲む塔子の背中を見つめます。そして、塔子も追うように梅屋敷を見つめていました。
やり直し
3日後、送付した資料を見て、打診してきたのは2つのチームでした。
「打診があったのはイングランドリーグのクーインズクラウンとイタリアリーグのウルビーノ」
しかし、どちらも2部リーグのクラブチームでした。それでは、伊垣は納得しません。
代理人の新町に判断をゆだねます。
新町は悩みます。
「もう一度やり直そう。ちゃんと向こうのチームカラーに合った資料を送ったか、検証するんだ」
許してあげてくれませんか?
ビクトリーでは、社長室で高柳と葛飾がビールを飲んで話をしていました。
「どうせ上手く行くはずがない。なんの実績もない代理人が動いたところで、興味を示すのはどこかの2部リーグのチームぐらいです。伊垣くんはすぐに新町君を見限ります」
高柳はそう見ています。
「社長は新町くんを甘く見ています。新町くんは力がある。夢の力ですよ。実は、居酒屋で3人に会いました。実に楽しそうでした。きっと夢を語りあってたんでしょう。まるで、あの頃の私たちのようでした。20年前、ビクトリーを立ち上げた頃の私たちです」
葛飾にとっては大切な思い出です。
「社長はスポーツマネジメントという仕事を日本で確立させるんだと熱く夢を語り、私はそれを聞いて、体が震えるほどの高まりを感じた。前も言ったでしょ、社長と新町くんは似てるって。改めてそう思いました。
新町くんを許してあげてくれませんか?私は、あの頃の社長に戻って欲しいんです。新町君も深沢くんも城くんも、許してあげてくれませんか?お願いします」
しかし、高柳はそれに答えませんでした。
葛飾が去ると高柳は、一人で新町の担当したアスリートの写真を見ます。そして、胸ポケットから、たった3人で始めたビクトリーの創業時の写真を見ました。
ただ、3人のうち1人は高柳を裏切った人物です。しかし、その説明はありませんでした。
塔子と梅屋敷
塔子がビクトリーを辞めてから初めて、梅屋敷は塔子を食事に誘いました。いつもの店、いつもの料理です。
「なかなか上手く行かないよ、そりゃ」
梅屋敷は、塔子を慰めていました。
「でも、もしこのまま決まらなかったらどうしよう」
塔子は心配で仕方がありません。
「塔子ちゃん、今日俺が誘った理由わかる?」
梅屋敷にそう聞かれても、塔子はわかりません。警戒する塔子。
「理由は、まあ本当は、俺がこんなこと言っちゃいけないんだけど、応援してるから。
最初から上手く行くなんてことなんて、ないよ。でも、諦めずに頑張り続けていれば、きっと何とかなるから」
そんな優しい言葉をかけられると思っていなかった塔子は、思わず泣きそうになってしまいます。
しかし、そんないい雰囲気にも関わらず、梅屋敷はいつものようにワインを飲んで寝てしまうのでした。
矢崎からの連絡
塔子は食事に出かけましたが、城と新町は、城の家で寝ていました。新町は机で寝ていて、朝早く目を覚まします。
「やばいなーもう1週間も連絡がない」
そこに電話がかかってきました。相手は、矢崎です。
「もしもし、矢崎どうした?」
新町が電話に出ると、矢崎が話しだします。
「すみません新町さん、こんな朝早くから。俺、時差ぼけでガンガンに目がさえちゃってるんですよ」
矢崎は日本代表戦を観戦するために日本に戻ってきていたのです。しかし、今回の日本代表戦は、国内組だけを招集しています。
「監督の戦術を理解するためにも、生で見ておきたいんです。それより新町さん、これから会えませんか?ちょっと話したいことがあるです」
そう言われ、新町は矢崎と会うことにしました。
矢崎のアシスト
新町は矢崎の家に行きました。
「新町さんさ、ビクトリー辞めたんでしょ?」
そう言われ、矢崎にちゃんと報告できていなかったと謝る新町。そして、矢崎に今は何をしているのかと聞かれます。
「FC東京の伊垣尚人って知ってるよね?今は彼の海外移籍を手伝ってる。まあでも、難しいね。全部に資料送ったんだけど、なんの音沙汰もないっていう」
それを聞いて、矢崎は「知ってますよ」と答えるのでした。
「新町さんさ、うちのチームにも伊垣の資料送ったでしょ?監督から聞きましたよ」
新町は矢崎もしるラインハルトが、伊垣に興味持ってくれたら嬉しいと思って資料を送っていました。
そして、矢崎はパソコンの画面を新町に見せると、教えてくれました。
「オリバーシュナイダー。選手獲得の決定権を持っているうちのGMです。今度の日本代表戦、見に来るそうですよ」
ドイツのサッカーチーム・ラインハルトのGMが、わざわざ日本まで試合を見に来ることに驚く新町。
「フォワードのベルナーがケガで離脱したんですよ。だから、俺が推薦しました。日本にいいフォワードが眠ってるって」
そして、伊垣が代表戦で結果を出せば、スカウトされる可能性は十分にあります。お礼を言う新町に矢崎は言うのでした。
「俺にできるのはこれぐらいです。あとは新町さん次第ですよ」
矢崎のアシストに決意を新たにする新町でした。
フォア・ザ・チーム
伊垣が代表に選ばれるのは、これが初めてです。スタジアムのロッカールームで、伊垣は新町と話します。
「正直、まだ実感湧かないです。やっぱり特別な空気なんですか?代表戦」
そう聞くと、懐かしがるように新町は話します。
「そりゃそうだよ。緊張感半端ないし、ゴール決めた喜びって言ったら、もうね。でも、伊垣、矛盾するようなことを言うけど、代表戦は自分をアピールするための試合じゃない」
新町は自分の考えを伊垣に伝えます。
「日本代表は、国を背負って戦うんだよ。負ける訳にいかない戦いだ。勝つためにどこまでチームに貢献できるか、それが一番大事。とは言いつつ、あのピッチに立ったらもう、冷静じゃいられない。フォワードはゴールを決めなきゃって焦る。本来のプレイができなくなる。自分を見失う。でも、そんな時は、胸に手をあてて、深く息を吸え。ゆっくり、深呼吸して、自分を取り戻せ」
そう言うと、新町は自分が代表戦の時に感じたこと、自分を取り戻すためにやったことを伊垣に言うのでした。
「フォア・ザ・チーム。結局それが、自分をアピールすることになる」
シュナイダー
日本代表戦は鹿島スタジアムで行われます。
そこにシュナイダーが到着しました。新町と塔子、城はシュナイダーを待っていました。
新町は自己紹介をし、塔子が伊垣のプレゼン資料をシュナイダーに渡します。通訳は城がしています。
「伊垣尚人の代理人です。ぜひ、彼に注目して下さい」
シュナイダーは何も言わず資料を受け取ると、スタジアムの中に消えて行きました。
そして、その頃、ビクトリーでも観戦していました。もちろん、新町の家でも観戦しています。
高柳とシュナイダー
高柳の元にもラインハルトのGMが来日する情報は伝えられていました。
それを聞いて、考え込んでいた高柳。シュナイダーに会いに行くのでした。
会いに行くと、シュナイダーは、高柳と嬉しそうに話していました。それを知らなかった真崎は、目を丸くして驚いていました。
「伊垣尚人、どうです?」
高柳がそう聞くと、シュナイダーが答えます。
「積極的な選手ではある、まだわからない」
このままでは、まずい状況でした。
思い出せ
新町たちは、ピッチの隅で、試合を観戦していました。
しかし、伊垣は、自分のサッカーができていません。城が見ても、焦っているように見えます。
シュナイダーは背番号12の柏原勇気が気になっていました。
その時、日本代表が失点してしまいます。
ピッチの伊垣に大声で声を掛ける新町。伊垣も新町に気づきます。
「思い出せ。思い出せ。自分を見失うな。自分を取り戻せ」
新町に言われたことを思い出す伊垣。深呼吸して、集中します。
そして、自分を取り戻すと、新町に拳を突き出します。
そしてゲームが再開すると、シュート!ゴールが決まりました!
新町だけでなく、塔子も城も、新町の家でも、ビクトリーでも大騒ぎです。しかし、観戦していたシュナイダーは冷静です。
その後、伊垣がもう1点決め、試合の結果は、3対1で勝利しました。
実力で勝ち取った
試合終了後、伊垣と抱き合う新町。そこにシュナイダーがやってきました。
「素晴らしい試合でした伊垣さん」
通訳を通して、シュナイダーはそう言いました。そして、新町にも声をかけます。
「代理人は君だったね」
そう言うと、続けてもう一言何かを言いました。新町に通訳するのは城です。城は興奮していました。
「伊垣さんにラインハルトに来て欲しいって」
それを通訳すると、新町も伊垣も大興奮です。
「ドイツで待ってます」
そう言うとシュナイダーは立ち去りました。
喜ぶ伊垣。新町たちにお礼を言います。
「いや、君の実力で勝ち取ったんだよ、伊垣」
そう言うと、また抱き合うのでした。
これでもうおしまい
そこに高柳と真崎がやってきました。
「新町くん、大事な話がある。ついてきてくれ」
そう言って連れて行ったのは、国立競技場でした。
「ここは多くのアスリートたちが、力の限り戦った日本のスポーツの聖地だ。
伊垣くんも当然、ここで活躍するだろう。
オリバー・シュナイダーとは以前からの友人で、私は本心から推薦した」
シュナイダーが伊垣を獲得した背景には、高柳の推薦もあったのでした。
「正直、君がここまでやれるとは思わなかった。けど、これでもうおしまいだ。君はもう、スポーツマネージメントには関われない」
それは、新町もわかっていました。
人生最高の瞬間
「はい、ありがとうございました。なんか、サッカーを辞めて、大の大人が飛び上がって喜ぶような、アドレナリンが出まくるようなことは、もうないと思ってました。でも、ビクトリーに入れてもらって、最初は裏方に回った歯がゆさはありましたけど、だんだんこの仕事がおもしろくなってきてました」
今までの思いを高柳に伝えます。
「スポーツマネージメントは最高だと思えるようになって、関わらせてもらったアスリート達、矢崎十志也、宮村ひかりちゃん、秀島修平さん、北芝謙二郎さん、三咲麻有ちゃん、新垣和人さん、吉木修二さん、古川舞さん、麻生健次郎、そして、伊垣尚人。僕は、本当にみんなに感謝しています。
今日なんて、伊垣がゴール決めた時は、自分がゴール決めた時よりも嬉しくって。誰かを応援するってこんな幸せなんだなって。こんな経験、自分ひとりじゃできませんでした。仲間たちがいてくれたから、家族がいてくれたから、ビクトリーがあの時僕を拾ってくれたから、人生最高の瞬間に出会えたんです。社長のおかげです。本当に、本当に、ありがとうございました。失礼します」
そう言うと、新町はスタジアムから出て行こうとします。
二択
高柳の耳には、スタジアムの歓声が聞こえていました。
「待ちなさい!」
高柳はそう言って、新町を呼び止めます。
「君に二つの選択肢をあげよう。ひとつは、この業界を去る。もうひとつは、ビクトリーに戻って、スポーツマネージメントを続ける。もちろん、深沢くんも城くんも一緒だ。
まさかこの年になって、自分の流儀を変えることになるとは思わなかった。いや、変えたんじゃない。取り戻したと言っていい。”全てのアスリートにリスペクトを”。ビクトリーを作った時、会社の理念にしたこの言葉は、私が心から思ってたことだ。アスリートの夢を叶えることが、スポーツマネージメントの醍醐味。君が、私に改めて教えてくれた。どうする?新町くん」
新町は、とめどなく溢れる涙を止めることができませんでした。
「ビクトリーに、ビクトリーに戻りたいです。またみんなと一緒に仕事がしたいです」
そう言うと、高柳と握手をしました。
国立競技場には、みんなが立って見守っていました。
新たな決意
新町は、朝、果奈子と子供達にビクトリーに戻れることになったことを報告しました。
果奈子と子供達は、驚きながらも喜んでくれてました。
「ということで、戻ってまいりました新町亮太郎です。改めてよろしくお願いします!」
その元気な挨拶を聞いて、梅屋敷は不満です。
「なに晴れやかな顔してるんだよ、少しはバツ悪くしろよ」
葛飾も黙っていません。
「塔子ちゃんや城くんのようにな」
そう言われて塔子と城が、新町に言います。
「そうですよ、新町さん」
「僕たちで戻りなんだから」
しかし、新町は気にしません。
「こういうのは、切り替えが大事なんですよね」
新町は自分のデスクに座ると、今まで携わったアスリートの写真を見て、改めて決意するのでした。
「全てのアスリートにリスペクトを」
最後に
いやーーーーー終わってしまいました。日曜日の楽しみが無くなってしまいます。
ただ、ドラマで簡素化されていたとは言え、なんの実績もない新人代理人の新町が、ドイツ1部リーグの強豪に売り込むことができたのは、やりすぎな感じもありました。そして、決定権のあるGMとは言え、口約束です。メディカルチェックも済んでません。本当に移籍できるのでしょうか?
細かいところがきになりますが、他には塔子と梅屋敷の関係も、進展するのか気になります。城と留美は、留美にゲットされるのは確定でしょうね。
それにしても、高柳を裏切った創業メンバーの1人は、顔しか出てこなかったんですけど、これでいいんでしょうか?もしかしたら、細かい所を残したのは、次回作への布石かも!?
とにかく、おもしろいドラマでした。楽しかったです。ありがとうございました。