株主総会 までに、新しいゲームのイメージを見せる必要があります。
那由他は単身、SAGASでの開発に挑みますが、上手く行きません。
そして、隼人もある決断をすることになります。
そんな第8話のネタバレです。
主な登場人物
安積那由他 山﨑賢人
菅生隼人 松下洸平
富永海 岸井ゆきの
興津晃彦 オダギリジョー
宮沢沙織 麻生祐未
緒方公哉 柳俊太郎
森田聡 岡部大(ハナコ)
相良晶 玄理
富永繁雄 風間杜夫
各務英次 塚地武雅(ドランクドラゴン)
八重樫謙吾 でんでん
小山田賢雄 皆川猿時
井出大 馬場徹
第8話のストーリー
プロキシーファイト
株主総会まであと12日。
ファミリーオフィスが経済産業省の官僚とお茶をしていました。
「プロキシーファイトを行います。こちらの要求は興津社長をはじめ、現経営陣の退陣です。技術の市場開放に同意していただけない以上、致し方ないかと」
プロキシーファイトとは、プロキシー(議決権行使の委任状)を巡り、経営陣と経営陣に不満を持つ株主の間で繰り広げられる委任状争奪戦の事です。SAGASと宮沢ファミリーオフィス、株主から過半数以上の支持を得られた側が、実質上会社の経営権を得ることになります。
それは、今度の株主総会で勝負をかけるということです。
「会社は社長のものではなく、株主のものであるということを思い知ってもらいます」
宮沢ファミリーオフィスは、勝つ気満々です。
プロキシーの状況
SAGASでは、興津が委任状の集まり具合を気にしていました。
12日前の状況で、SAGASは14%、宮沢ファミリーオフィスは21%です。
「で、伊原総一郎とは連絡が取れるのか?」
伊原総一郎は、つむぎ生命の元会長で、SAGASの株の8%、6億株の大株主です。興津がSAGASを立ち上げた際に援助してくれた恩人でした。しかし、ここ数年は体調がすぐれず、表舞台には出てきていません。
「第一線を退いたとはいえ、業界内の影響力は健在。どちら側につくかで、風向きが変わります」
そう言われ、興津は小山田を会いに行かせることにしました。
アトムの思いと進捗
アトムでは、海と八重樫が夕飯のカレーを作っていました。
「姫、いけませんよ。鍋は、おいしくなりますようにとかき回すもんです。気持ちが晴れないのは、よくわかります。正直、私も曇り空です。おそらく会長も、各務も心の中は同じ気持ちですよ。成り行きとは言え、那由他さん一人に全てをしょい込ませたままでいいのかって」
そんな重い雰囲気のアトムでした。
その頃、那由他は興津に呼び出されていました。興津は、那由他に進捗を確認します。
「出力されたアニメーションの設置と、プレイヤーの入力によるベクトルデータとの賭け合わせた重み計算を調整するところで、手こずっています。でも、最初の・・・」
そんな細かいことを言われても、興津にはわかりません。那由他の話しを遮り、上手く行っているのかどうかを聞きます。
「いってません。新しい物を作ろうとしてるんだから当然だろう」
しかし、興津はそれでは困るのです。
「その程度か。アイディアが命の天才ゲームクリエイターなんだろう?その程度か?」
興津は那由他を煽ります。しかし、那由他としては、助けてくれと泣きついてきて、それを手伝っているという意識でした。
「ビジネスの提案をしただけだ。君は自ら選んでここに来た、違うか?株主総会まで11日だ」
興津との認識の違いが浮き彫りになりました。那由他は「時間がもったいない」と戻っていきました。
隼人を呼び止めた人
隼人は空港でティムと一緒に飛行機を待っていました。
「ごめん、やっぱりこないな。本当にごめん」
那由他と隼人は、ティムと一緒に飛行機に乗る約束をしていました。しかし、那由他はきません。出発が2週間遅れるだけだと那由他は言っていましたが、隼人は最後まで来る希望を捨てられなかったのです。
「いえ、那由他さんの気持ちもわかります。こんな状況ですから。行きましょう」
ティムに促されて、隼人は立ち上がりました。
そこに、黒いスーツ姿の男が現れました。
「菅生隼人さんですよね?」
隼人は行かなかった
ネットカフェの店長で那由他の先輩・森田が、那由他に会いに来ました。
「まさかお前がSAGASで働くとはな。アトムのみんなとはギクシャクしてるようだけど。でも、俺はお前の味方だ」
森田は、那由他がSAGASを恨んでいたことを知っています。
「っていうか、知ってる?ティムから聞いたんだけど、隼人のやつ一緒にシアトル行かなかったんだって」
驚く那由他。理由を森田に聞いても、森田も知りません。森田が隼人に連絡したのですが、連絡がつかなかったようです。
伊原総一郎
小山田は、興津の指示で伊原総一郎に会いにきました。しかし、体調が悪く面会できませんでした。
しかたなく、興津からの手紙を託すと、帰ろうとします。靴を履いているその時、奥から車いすに乗った男がやってきました。伊原総一郎でした。
「ガリバーの関係者?ガリバーに会いたいな」
昔とは違って、ガリバーになってしまった興津に会いたいと言うことのようです。小山田はその言葉を持って帰り、興津が伊原に会いにきました。
「偉くなったな。ガリバーみたいだ。ガリバーとそれを捕らえんとする軍隊、双方の意見を聞いてから決める」
委任状の行方は、SAGASと宮沢ファミリーオフィスの両方の意見を聞いて決めるようです。
伊原は背中がかゆいと、興津に背中をかかせます。
「人様に背中をかいていただく、本当に気持ちいい。俺ボケてる?そう思うなら、負けかもな」
伊原は興津にそう言うのでした。
隼人の動向
伊原のところから帰る興津と、すれ違う隼人。
隼人は、以前作ったシリアスゲームで、伊原総一郎に目をかけられていたのです。伊原は慈善事業に熱心でした。アトムの作るシリアスゲームに可能性を感じ、子供達の登下校ゲームにいち早く目をつけたのです。そして、5000万円の融資をしてくれました。
それ以来、隼人が作るシリアスゲームに惚れこんで、売り込みに力を貸すほどの仲になりました。
興津は、隼人が宮沢ファミリーオフィスについたことを悟ります。
「俺で役にたてればと受けました。公哉のことがあった日から、あなたは俺にとって許せない相手ですから。SAGASがある限り、俺たちは過去に縛られ続ける。俺たちは自由にゲームを作るべきなんです。これで全部終わりにするつもりです」
隼人の決意
ゲーム作りに苦戦する那由他。そこに興津がやってきて、那由他を呼び出します。
「菅生隼人くんのことだ。いずれ耳に入るだろうから、私から伝えようと思ってね。向こうの陣営についた。宮沢ファミリーオフィスのために働いている。彼は今、我々の敵だ。どうやら彼の望みは、うちを潰すことみたいだ。過去のしがらみから抜けて自由にゲームを作りたいって言われたよ」
そのことを聞いて驚く那由他。しかし、那由他は変わることはありません。
「親友が敵に回ったからと言って、ゲーム開発を降りたいなんていうなよ。敵対する以上、彼との接触は許されない。会うことはもちろん、電話もメールもするな。情報を流されたら困る」
興津に言われるまでもなく、情報を流すようなことはするつもりはありませんでした。
その頃、隼人は宮沢ファミリーオフィスと会っていました。
「伊原さんには快く迎え入れてもらいました。SAGASを潰します」
晶と隼人
隼人は、晶に呼び出されました。宮沢ファミリーオフィスの男が一緒にいるので、二人で少し離れて話します。
「何やってるの?那由多くんと敵対するなんて」
晶には責められてしまいます。しかし、隼人には隼人の思いがあります。
「何をしてるっていうのは、那由他だろう。SAGASの肩なんか持って。全部気に入らないんだよ。自分たちの都合で俺たちを振り回す興津も、その都合にまんまと乗ってSAGASに使われる那由他も。AGASが潰れれば、もう煩わされずに住む。俺も那由他も次のステージに行ける」
ただ、今敵対してしまうことは、終わった後に戻れないと晶は思っていました。
「隼人のやり方は間違ってると思う。こんなやり方じゃ、那由他くんと再出発どころか、一生那由多君のこと失うことなるよ。またジョン・ドゥ壊すことになってもいいの?」
そこで、宮沢ファミリーオフィスの男に「そろそろ」と声を掛けられ、隼人は晶と別れました。
スパイ
委任状の取得で、伊原総一郎はまだ未回答でした。
そんな時、宮沢の前に隼人がやってきました。宮沢は電話中でした。
「そうですか、開発が・・・」
宮沢は電話で用件を聞くと、すぐに電話を切りました。そして、隼人がやってきた用件を聞きます。
「伊原さんが宮沢ファミリーオフィスの株主提案に興味を示されました。市場開放について、今度じっくり話しを聞かせて欲しいそうです」
好感触に喜ぶ宮沢。説明をしに行くことを了承しました。
隼人は、宮沢がしていた電話のことが気になっていました。
「開発がと。すみません、聞こえてしまいました」
SAGASの進捗状況を知らせる電話だったのではないかと隼人は推測して聞きます。
「ええ、まったく進んでないそうです。株主総会では、デモンストレーション映像を流すつもりでいるようですが、このままでは間に合わないだろうと。そちらの方が、こちらとしては都合がいいですが。
そうですね。ふふふ」
SAGASにスパイがいるようです。
ぷよぷよ
那由他ばゲーム部屋で開発が進んでいないことを悩んでいました。気分転換にぷよぷよをやろうとします。そこに来客がありました。那由他がドアを開けると、興津が立っていました。
「報告があったんだよ。今のままでは株主総会までに満足なゲームが仕上がらないって」
そう言うと、興津は勝手に部屋に上がります。那由他は必死にやっていると反論します。
「必死?俺はそういう精神論が一番嫌いなんだよ。具体的な打開策を示してくれよ。君はあれか、テストは一夜漬けするタイプか?計画的に準備することができない人間か?間に合えば結果オーライ?そう言うやり方は、アトムのような小さい会社では通用するが、うちでは通用しない。朝までに打開策を示せ。寝ずに考えろ」
しかし、那由他はずっと考えていました。ぷよぷよの画面を見た興津は、遊んでいるだろうと那由他を責めます。
「パズルゲームは頭の体操になるし、考えが整理される。脳がリフレッシュされるって科学的にも証明されている。知らねえの?」
そう言われ、興津は「ぷよぷよか、聞いたことある」と答えるのでした。
原点
那由他はやったことがない興津を責めます。興津は、知識だけあればいいと言いますが、那由他は体験することでわかることがあると言うのでした。
そして、那由他はコントローラーを興津に渡しました。
「勝負しようぜ」
二人で並んでぷよぷよをすることにしました。初めてやったはずの興津は、思ったより上手です。
「あっさり勝てると思ったか?これはゲームと言うより、空間認識能力の問題だ。得意中の得意だよ」
そう言うと、興津は「昔のゲームはシンプルだな」と感想を言うのでした。
それに対して、那由他は「今のゲームは複雑になりすぎてる。原点に返るべきかも」と答えます。
経緯
「原点ねえ。君は俺をどう思う?どう見てる?」
興津は那由他に自分のことをどう思っているか聞きます。
「よく聞けたな。金儲けのために俺たちのゲームを奪った」
しかし、ここでも興津と那由他では認識が違うようです。
「誤解だよ。惚れこんだんだ。緒方公哉くんはうちに援助を断られたら、外資系のベンチャーに声を掛けようとしていた。そこは評判が悪くてな。君たちのゲームを奪うんじゃないかと思った」
興津からどういう経緯だったのかを聞くのは初めてでした。
「日本には優れた技術がたくさんある。その技術を持っているほどんとが、町の中小企業だ。その技術を守って、世界に発信したい。その気持ちを持ってSAGASを立ち上げた。君たちのゲームも同じだよ。結局ゲームを完成できなければもったいない。その時は、SAGASが代わってゲームを完成させるということで契約した。まあ契約なんて立場によって見方が変わる。こちらにそのつもりはなくても、君らにしたらゲームを奪った悪党なんだろう。理解されないことはわかっているよ。俺は日本中から嫌われているからね」
那由他は「人を大事にしなかったからだよ」と言うのでした。
孫の手
興津は、また伊原に会いに行きました。
「なに、またきたの?」
伊原の反応はそんな感じです。
「宿題が残っておりましたので。実は、昨夜の相手がしつこくて。夜通しゲームをするはめに。ゲームをしながら、会社を立ち上げた頃のことを思い出しました。理想に燃えていた青臭い頃。技術とは人です。データや製法だけを借りてきて、できるものではない。ですが私は、SAGASが大きく、ガリバーになるにつれ、利益ばかりを求めてきた。人を大事にしてこなかった。自分だけしか信じられなくなって、初心を忘れていたのかも知れません。私は初心に、会社は原点に立ち返り、これからは経営していきたいと思います」
そう言うと、興津は背中を書くための孫の手を置いて帰りました。
アトムへ
那由他は突然、アトムへやってきました。アトムでは、新しいガチャポンを作っていました。
「塗料見つかったんだ?」
元々付き合いのあった塗料メーカーに断られ、塗料を探していたのでした。
「SAGASでのゲーム作りははかどってるんですか?」
そう聞かれて、那由他は答えます。
「はい、と言いたいところですが、俺一人じゃぜんぜん。デジタルにアトムロイドの技術を移植するためには、開発者の知識とセンスが必要なんです。一緒にやって欲しいです」
しかし、アトムとしては、SAGASに手を貸すつもりはありません。
那由他は「興津って思ったより、悪いやつじゃないかもしれない」と言うのでした。しかし、それにもアトムの人達は反発します。那由他は説明します。
「いいやつだとは言ってない。でも、少なくともあいつの技術を守りたいって思いは、嘘はないと思う。一番大切なのはそこでしょ?技術を大事に思ってくれるやつなら、アトムロイドを返してくれるというのも口約束ではなく、きっと守ってくれると思います。だから一緒にやって欲しいんです。SAGASのためじゃなく、アトムのために。アトムのおもちゃを待ってくれている人のために。もう1回考えて欲しいです。お願いします」
那由他が頭を下げましたが、みんなの反応は冷たいものでした。
繁雄の気持ち
夜遅くまで工場で作業している繁雄。それを海が見て、声をかけました。
「お父さん、どうしたの?」
繁雄にそう聞くと「張り切ってるんだよ」と言うのでした。しかし、海は、繁雄の気持ちがわかる気がします。
「本当はモヤモヤしてるんじゃなくって?那由多くんのこと、どうしようかって」
そう聞かれた繁雄は、反発します。
「SAGASには手は貸さねえって決めたんだ。一旦決めたことを蒸し返すな」
それでも、海は変な方向に意地を張っているのではないかと思うのでした。
「なんだお前は。そもそも、SAGASに断りに行ったのはお前だろう」
繁雄の気持ちが揺れているようでした。
株主総会まであと6日
株主総会まであと6日になりました。
海と繁雄が、改めて断るためにSAGASにやってきました。
「繁雄さん、きてくれたんですか?」
しかし、繁雄は歓迎される話しをしにきたのではありません。那由他に断りを入れようとした時、大きな画面で動くキャラクターが目に入ります。
「兄ちゃん、何やってるんだ。ぜんぜんわかってねえな。この動き、イケてるか?」
突然、突っ込まれた開発者は驚きます。
「まさかアトムの技術を使ってゲームを作るってのは、このことじゃなねえよな?なんなんだこのへなちょこは!」
そう言うと、繁雄は突然仕事モードに入ります。
「いいか、キャラクターの動きってのは、リアリティよりデフォルメした方が迫力が増すんだ。俺たちにとって走るってのは、イケてねえ。だが、キャラクターにとって走るってことは、ほら、こうだ。リアルを追求しすぎて、ワクワクを無くしてる。夢を与えるのがゲームだろ」
アトムロイドを使って走る造形を見せ、みんなに感心される繁雄。そこから、断るどころか、開発に携わってしまいます。
「話しが違うんだけど」
海は、断りについてきたのですが、すっかり主役になってしまった繁雄を見て、苦笑いします。そして、アトムの全面協力を得て、ゲーム作りが始まりました。
株主総会当日
委任状は、SAGASが30%、宮沢ファミリーオフィスが38%となっています。そして、伊原総一郎の委任状はまだ回収できていません。
株主総会当日、隼人が宮沢と会って封筒を渡しました。
「伊原さんの委任状です」
SAGASは期待していた伊原の委任状を、宮沢ファミリーオフィスに撮られてしまったのでした。
そして、宮沢ファミリーオフィス側の委任された株式の総数は34億株になりました。SAGASは、22億株です。
「今日出席している、ほぼすべての人の委任状が必要ということです」
それは、那由他たちのプレゼンにかかっていまるということでした。
任意同行
興津たちが株主総会の会場へ向かっている途中で、警察が立ちふさがりました。
「興津社長、警察です。ご同行願います」
しかし、興津はなんのことかわかりません。
「顧客データの不正使用と言えばわかりますか?」
それでも、身に覚えがありませんでした。
「今から大事な株主総会があるんです」
そう言って、断ろうとすると、警察は言うのでした。
「だから、疑惑のある人に開かれちゃ困るんですよ」
任意の同行を断って心象を悪くすることを懸念した興津は、みんなに予定通りやってくれと言って警察に同行しました。
その時、映し出された小山田の顔。スパイは、この男のようです。
「不正競争防止法違反の容疑で、警察に連行されました」
株主総会で集まったマスコミは、興津が連行されたことを報道するのでした。
混乱
株主総会の会場に入って行きます。
「まずは皆様にご報告があります。本日、議場を務める予定でした代表取締役社長の興津でございますが、まことに申し訳ありませんが欠席となります」
その言葉を聞いて、会場内は怒号が飛び交います。その時、宮沢が手を上げて発言を求めました。
「私共、宮沢ファミリーオフィスは、本日の株主総会で審議していただく株主提案を出していました。興津社長と現役員の解任です。でももう、審議する必要なさそうです。今すぐ、決議を取りましょう」
その言葉に会場は賛同する声があがります。
「皆様、落ち着いて下さい。お静かに」
司会は、解消をなだめようと必死です。しかし、全く落ち着きそうにありません。
その時、那由他が壇上の中央に出ていきました。
最後に
隼人と別れ、有力者の委任状は奪われ、興津は連行されました。
絶体絶命の子の状況で、那由他は何を話すのでしょう?そして、大逆転はあるのでしょうか?
なんと、第9話で最終回。いつも通りなら、10話とか11話ぐらいやると思っていました。
とは言え、最終回がどうなるのか気になります。
大団円になるのでしょうか?