ユニコーンに乗って は、7月から始まったドラマです。
若い起業家のお話しで、永野芽衣が主演です。しかし、あまりガツガツせず、ゆるい感じのドラマになっています。
そして、西島秀俊と一緒に中途採用される坂東龍汰は、「真犯人フラグ」で望月鼓太朗役で登場していました。
主な登場人物
成川佐奈 永野芽郁
小鳥智志 西島秀俊
須崎功 杉野遥亮
森本海斗 坂東龍汰
栗木次郎 前原 滉
夏井恵実 青山テルマ
羽田早智 広末涼子
第1話のストーリー
出会い
木の下で「C言語の教科書」を顔に乗せ、寝ている栗木。
そして、佐奈は警備員に追いかけられていました。佐奈が学生にぶつかって荷物を落とした時、助けてくれたのは功でした。
「すいません、バレちゃいました」
警備員を振り切って、栗木の元にやってきた佐奈と功。佐奈はモグリがバレて、警備員に追いかけられたことを栗木に話します。
佐奈は大学生ではありません。栗木に「どうしても授業聞きたい」と頼み、代返する代わりに授業を受けようとしていました。栗木は佐奈のことを「モグリちゃん」と呼んでいます。
「モグリ?モグリってどういうこと?うちの学生じゃないの?」
助けた功は、事情が分かっていませんでした。
佐奈は「高卒で普段はアルバイトして生活している」と自己紹介しました。
生い立ち
それから3年。佐奈は、功と栗木と共に起業していました。
「私も普通の大学生になりたかったんです。でも、なれなかったんです。
母子家庭で、お金がありませんでした。
いつも肩を並べていた人は恋人でも友達でもなく、妹でした。
周りの会話についていけず、図書館に引きこもるようになりました」
そう取材に語る佐奈。女性の若き起業家は、注目されやすいようです。そして、取材の際に苦労話しをすると、受けがいいと思って同じ話を繰り返ししてしまうのでした。
高校生だった佐奈は、ある日「羽田早智」の記事を読みました。
「ITの力でどんな差でも埋められる。
世の中には格差があります。
それをスマホ一台で埋めていきたい」
佐奈は、そう語る羽田に憧れるようになったのでした。
佐奈のスタート地点
ある日、佐奈は羽田の特別講義を聞く機会がありました。そして、質問することができました。
「貧乏でも、高卒でも、起業家になれますか?」
そう質問した佐奈。羽田の答えは「大企業に就職するよりもはるかに簡単です」と、力強いものでした。
そして、羽田に「起業したいんですか?」と聞かれ、佐奈は夢を語ります。
「はい、私の夢は全ての人が平等に学べる場所をつくることです」
それを聞いた羽田は「素敵な夢ね」と言ってくれました。
ドリームポニー
「私のように家庭の事情で進学できなかったり、周りと馴染めず学校に行きづらかったり、満足な教育環境に身を置けない人は少なくないと思います。
そうした教育格差をITの力で少しでもなくしたい。
そして、それが3年前にドリームポニーを立ち上げたきっかけです」
佐奈は、そう取材に答えていました。
ドリームポニーを設立して、学習アプリ「スタディポニー」を公開しました。スタディポニーは、自分を投影したアバターを作り、そのアバターと一緒に学べるアプリです。
そして、今後の目標を語ります。
「今後ますます事業を拡大させて、私たちが目指すのはユニコーン企業です。
かつてのメルカリやウーバーのように10年内に時価総額10億ドル以上の企業に成長してみせます。夢は大きくです」
現実
取材を受けて疲れた佐奈。功が労ってくれました。
そして、バグの修正の進捗を聞きます。しかし、エンジニア達の修正は、まだ終わっていませんでした。
そんな時、出資元の「ゴールドキャピタル」から呼び出しがかかりました。
「本日お呼びした理由、わかりますよね?」
そう聞かれ、佐奈は困ってしまいました。
「アプリのユーザー数が停滞している件でしょうか?」
正直にそう聞くと、ゴールドキャピタル側は厳しく指摘します。
「スタートアップ企業のほとんどが、3年以内に消滅すると言われています。
このまま業績が悪化すれば、あなたの会社は、半年後無くなりますよ」
そう言われてしまいます。担当の白金は、「私は、ドリームポニーを屍にするつもりはありません」と言いますが、特に提案などはありませんでした。
「我々が出資した資金で事業を営んでる以上、もっと真剣に取り組んでいただかないと困ります。
だいたい、成長スピードが遅すぎる。
ポニーではなく、チーター並みに走っていただかないと。
もっと、会社としての自覚を持ってください。
いつまでも学生気分の抜けない仲良しグループ。正直、おままごとですよ」
佐奈が語る夢とは異なり、厳しい現実を突きつけられました。
弱音
佐奈が会社に戻ると、スタッフが「白金さんなんだって?」と聞いてきます。
「新規サービスを考えてみたらって」
厳しく言われた言葉をだいぶオブラートに包んで、佐奈はみんなに話します。みんなは「新規増えてないからね」と自覚はあるようでした。
「さっきの嘘だろう?」
佐奈は功と二人になると、功に聞かれます。
「このままじゃ会社潰れるって。だから、成長スピード早めろって。
しかし、そのために人員が必要で、業績が悪い今、それは難しい。
そして、新サービスも考えられていなくって、もう何から手を付ければ」
そう弱音を吐いてしまいました。佐奈は、「ごめん、それを考えるのが私の仕事だよね」と言うと、いつもの佐奈に戻ろうとするのでした。
人材募集
「新しく、人を雇おうよ」
功はそう言ってくれました。
「実は前から考えてたんだ。3年前は新しかったアイデアも、今では他者に追随されて新鮮さがなくなっている。
現状を変えるために今できることは、新しい風を入れることだと思う」
そう言われ、佐奈はちょっと元気になりました。
「そうだね。前進するために即戦力を見つけよう」
SNSで「人材募集」の投稿をします。その反応は、世間ではいい反応で受け入れられていました。
小鳥
「シジュウカラだ」
そう言ってバードウォッチングをしていたのは、小鳥智志です。
「のんきに鳥なんて追いかけてる場合か?
その年で会社を辞めるなんて正気かよ」
友人にはそう言われました。しかし、小鳥はミスを部下に押し付けて、自分だけが上手くやることができませんでした。
小鳥は、地方の小さな銀行の支店長でした。部下がミスを犯したことで、その部下がローン会社に異動することになりました。しかし、本当は部下の責任ではありません。そう抗議すると、誰かが責任を取らないといけないと言われたのでした。
そして、部下ではなく自分が責任を取って、辞めることにしました。
「部下かばってって、かっこつけすぎだろう」
そう友人には言われましたが、小鳥は気にしていません。年齢的に安定を求める友人が多い中、小鳥は新たに「自分のやりたいこと」を探して、実現したいと思っています。
採用基準
小鳥は、登録した「リクウェズ転職マッチングサービス」からメールを受け取りました。
そして、マッチする企業は「ドリームポニー」でした。
その頃、ドリームポニーでは、採用基準をどうするかという話しをしていました。そこで重要視するのは、3点です。
「自走する力」「新しさ」「素直さ」です。
まず、育成している時間がないので「自走できる」即戦力が求められます。そして、日々進化する技術を持つ「新しさ」が必要です。最後は、柔軟に対応する力が必要なので「素直さ」も大事な要素です。
面接
面接日、ドリームポニーには沢山の応募者がやってきていました。
しかし、採用条件にマッチする人は、なかなか見つかりません。
最後の1組は、小鳥と森本でした。
「小島と間違えられますが、コトリです。48歳です」
そう自己紹介する小鳥。銀行の支店長ということでしたが、IT企業と関わりはまったくありませんでした。どちらかと言うと、地方の小さなお店が相手です。そして、プログラム言語も知りません。
「ドリームポニーに貢献できることを30秒でピッチ(プレゼン)してください」
そう言われて小鳥は、臆せず話します。
「私は、ITの分野に関して全くの素人です。
御社の理念である”ITの力で全ての人が平等に学べる場所を提供したい”に共感しました。
提供できるのは人生経験だけかもしれません」
森本
そして、もう一人。クセの強い森本です。森本は、大学生ですが、単位はオンラインで取ることができて、働くことに問題はないと言います。早口で話し、要するに自分が優秀であることをアピールしていました。
そんな森本がドリームポニーに貢献できるものは技術力でした。「コレです」と言って見せた3D画像は、大学生のレベルではありません。
「自作のレンダリングエンジンに既存の3Dアセットを組み込んで調整しました。
僕のこの技術があれば、あらゆるものをよりリアルに表現できます。
御社の2Dの方がチープでいいと言うなら、話しは別ですけど」
ちょっと鼻に着く感じはありますが、自己PRとしては十分な内容でした。
面接が終わり、小鳥は森本に話しかけます。
「貢献するってそういうことですよね。今日は何十年ぶりかに心が躍りました。
ありがとうございました」
素直なおじさんにどう対処していいかわからない森本。でも、少し嬉しそうでした。
選考
「なんなんだよ、最後の2人。どっと疲れたぞ」
面接が終わり、佐奈と功、栗木で、面接を振り返ります。
森本の技術は即戦力になると言う功ですが、栗木は反対です。
「ダメ。コミュニケーション能力が問題。あんなのチームでやっていけない」
しかし、「あの技術があれば、新しいサービスが思いつくかもしれない」と佐奈と功が賛成し、採用となりました。
そして、小鳥に関しては、考える余地もありませんでした。
「あんなに興味持ってくれたのは嬉しいよね」
と言いながら、即戦力とはほど遠いと言って不採用になりました。
妹
佐奈は、コンビニで弁当を買って帰りました。
その佐奈の家の前で、SNS動画を撮影している高校生カップルがいました。
「おっ。お姉ちゃんお帰り」
そう言ったのは、佐奈の妹・依里でした。
依里の彼氏は、バスケ部のエースです。佐奈が知ってる彼氏は、サッカー部のエースでしたが、また変わったようです。
「今日もダンクシュート決めちゃってさ。見る?」
「見ない」と言う佐奈。依里は姉のことが心配です。
「ドキドキキュンキュンしてる?」
そう聞かれ「毎日してる。ドキドキハラハラ」と答える佐奈でした。
「功くんは?元気?」
依里は功のことも知っているようです。「功くんがお姉ちゃんの彼氏だったらいいのにな」などと無責任なことを言います。しかし、佐奈は「あの坊ちゃんはビジネスパートナー」と言うのでした。
功の心配
「サナのやつ大丈夫かな?」
功は一緒に住んでいる栗木にそう話します。栗木は心配する功に「愛だね」と言いますが、功は「今はただのビジネスパートナー」と言って否定していました。
しかし、「今は」とつけている点で、まんざらでもない気持ちがあるのかも知れません。
功は大手不動産グループの一人息子です。しかし、起業したことで、実家とは疎遠になっているようです。
お祈りメール
「これが、噂に聞くお祈りメールか」
小鳥が受け取ったドリームポニーからのメールは、不採用の「お祈りメール」でした。
「いつの世も古い物は捨てられるだけ。
スタートアップなんて潰れていくだけなんだぞ」
そう友人には言われます。しかし、小鳥は全く諦めていませんでした。
羽田早智
朝、佐奈は、大手通信会社「サイバーモバイル」のCEOが交代するというニュースを見ました。そして、交代するのは羽田早智です。
羽田早智は、会見を開いていました。
「私が就任した目標は、起業家の育成です。
日本は企業後進国と言われています。
世界では、次々にユニコーン企業が生まれていますが、日本では数社のみ。
起業家精神をはぐくむ場がないこと。
失敗を恐れる日本の風土。
資金調達の難しさが、ユニコーン企業ができない理由です。
わが社で準備できるのは資金援助です。ユニコーン創出プロジェクト。
限定10社、1億円さしあげます」
未来はない
羽田が発表した資金援助のプロジェクトにドリームポニーは応募します。
女性の若い起業家ということで、採用されると楽観視していた佐奈達。書類選考の際には、自分のことをアピールする文章を「応募動機」欄にアツく書きました。
しかし、結果は落選。佐奈は羽田に会いに行くことを決め、会社を飛び出しました。
「羽田社長にアポイントメントを取らせていただけませんか?3分でかまいませんので」
しかし、受付では断られてしまいます。そこに羽田が通りかかりました。
「何の用?」
本人が突然現れ、動揺する佐奈。つい、本人に対して、呼び捨てしてしまいます。
佐奈はドリームポニーの名刺を差し出すと、羽田は「書類で落としたところ」と存在を認識していました。
「せめて理由を教えてくれくれませんか?」
そう食い下がる佐奈に羽田は厳しく言うのでした。
「あなたの目指すエドテック市場は、なんて呼ばれてるか知ってる?
儲からない事業よ。教育の分野は少子化で年々減少。
せっかく獲得したユーザーも受験が終われば離れてしまう。
そんな市場に援助してもユニコーン企業は生まれない。
そして、生い立ちを売りにして周囲の同情を買ってるようね。
世間からの注目を保ててるのは、貧乏で不登校でかわいそうな女の子だから。
あなた自信、この3年間何をしてきたの?
成長してないCEOの会社に未来はありません」
ミス
はっきりと羽田に言われ、落ち込む佐奈。そこに功から連絡がはいります。
「森記念図書館の人から連絡があって、16時に打ち合わせの予定だったろ?」
書類選考で落選したことで、予定をすっかり忘れていました。急いで駆け出す佐奈ですが、図書館には大幅に遅刻して着きました。
謝り、プレゼンをさせてもらおうとしますが、図書館の職員には「学生のノリ」と言われ、打ち合わせは中止になってしまいました。
落ち込む佐奈。図書館で一人静かに泣いていました。
そこで、偶然、小鳥と出会いました。泣いている佐奈を見て、「大丈夫ですか?」と心配してくれる小鳥。しかし、佐奈は「花粉症です」と言って一緒にテーブルにつきました。
何もない
テーブルの上には、IT関連の本が並んでいました。
「少し勉強を。ITやエドテックがおもしろくて。また御社にチャレンジしようと思います」
明るくそう言う小鳥。そんな小鳥に佐奈は「どうしてそこまで?」と聞きます。
「成川社長の理念に共感したからです」
小鳥はそう言いますが、佐奈は自信を無くしていました。
「私は、インタビューでは偉そうに語ってますけど、本当はCEOとして何もできてないんです。
いつまでも貧乏な生い立ちを披露するしか能がないんです。
今CEOでいられるのは、アプリ開発してくれているエンジニアチームのおかげなんです。
自分の実力じゃないんです。私には、何もないんです」
新しい夢
そう言う佐奈に小鳥は言います。
「でも、成川社長はCEOとして、一番大切なものを持ってる。
3年以内にスタートアップ企業が消える理由は、CEOが諦めてしまうことです。
何度も何度も同じ夢を一生懸命語るのは、過去に悔しい思いをしてきたからですよね。
それは今、私の新しい夢になりました」
小鳥は、支店長を辞めて、新しい一歩を踏み出せたのは「成川社長、あなたがいたからです」と言うのでした。
その言葉を聞いて、佐奈は涙が止まりません。
「花粉症の薬、買ってきましょうか?」
佐奈の言葉を素直に受け止めている小鳥。
「この夢さえ、持っていればいんですかね?」
佐奈は、少し自信が持てるようになりました。
新しい企画
そこに、心配して迎えにくる功。佐奈が小鳥と一緒にいることに驚きます。
「勉強していたみたい」
小鳥のことをそう説明する佐奈。その時、佐奈は図書館で新しい発見をしました。
「功、手伝ってもらいたいことがある。思いついた」
そう言うと、会社に帰りました。
再挑戦
羽田に会いに佐奈はまた出かけました。またアポイントメントは取れていません。
新しいビジネスを話そうとしますが、羽田は忙しく時間が取れません。そこで、荷物を持って部屋に着くまでの間という条件で、佐奈は羽田と話すことができました。
「大人だって学んだっていいんです。
誰もが無料で通えるバーチャルスクールをネットの仮想空間に作ります。
好きな時に好きな授業を受けることができます。
これが完成すれば、年齢や性別、お金も関係ありません」
それを聞いた羽田は「壮大な夢ね。壮大すぎて笑っちゃう」と言うのでした。
しかし、佐奈は「それがドリームポニーの理念ですから」と自信を持って説明しました。
羽田は言います。
「広告収入だけじゃ運営するのは無理。
でも、おもしろい。素敵な夢ね。
実現に近づいたら、また来て下さい」
そう言ってもらうことができました。
入社式
先日の採用試験で合格した森本の入社の火になりました。
「じつはもう一人、新メンバーがいます」
佐奈がそう言って紹介したのは、小鳥でした。
小鳥は採用基準を満たしていませんでしたが、それより大事なことを教えてくれました。「理念を共有できる人」です。
ドリームポニーの最初、功と栗木と起業する時に「佐奈の夢に乗っかりたい」と言ってくれました。それと同じように、小鳥は佐奈の理念を共有してくれています。
「私は同じ夢を共有できる人と仕事がしたい」
そう言うのでした。
小鳥はスーツ姿でやってきましたが、社員証を作る撮影の際には私服に着替えて、「ジョブズことり」になっていました。
最後に
前情報セロで見始めた「ユニコーンに乗って」でしたが、面白い切り口でした。
若い起業家のガツガツした感じがなく、ゆったりほんわかした感じがツッコミどころ満載でいいと思います。
西島秀俊が出ている作品をよく見ているのですが、今回も楽しい作品になりそうな雰囲気です。
次回も楽しみです。