迷いの解消。 は、アスリートにどれだけ寄り添うかで、解消できるか決まります。
今回、塔子は、今まで踏み込んだことのない、アスリートのプライベートに踏み込むことになりました。それは、新町の後押しがあったからです。
強引に話を勧めようとする高柳と新町との確執も、だんだんと表面化してきたように思います。
そんな第8話のネタバレです。
主な出演者
新町亮太郎 綾野剛
新町果奈子(旧姓:糸山) 榮倉奈々
高柳雅史 反町隆史
深沢塔子 芳根京子
城拓也 中川大志
梅屋敷聡太 増田貴久
真崎かほり 岡崎紗絵
葛飾吾郎 高橋克実
古川舞 田辺桃子
伊垣尚人 神尾楓珠
第8話ストーリー
ネットニュース
果奈子のレシピ本が、好評でネットニュースになっていました。
「元女子アナ糸山果奈子初のレシピ本が発売から即10万部越えの大ヒット!」
新町も子供達も驚いています。そして、果奈子自身も、こんなことになるとは想像していませんでした。
「レシピ本、第2弾も作り始めているし、講演の依頼もきてる」
そう教えてくれたのは果奈子の妹・留美です。グルメライターをやっていますが、今では果奈子のマネージャーのような仕事もしてくれていました。
「講演の内容ってどんな内容なの?」
果奈子が聞くと、依頼内容を留美は読み上げます。
「引退した元サッカー選手の夫に代わって、家族を養う立場になった糸山果奈子さんに女性の自立についてお話していただきたい」だって。
果奈子の不在
新町がどう思うか想像した果奈子は断るように留美に言うのでした。
「だって、亮ちゃんはビクトリーの正社員として頑張っていて、私が養ってる訳じゃないじゃん」
しかし、新町は果奈子にやるように言うのでした。
「やろうよ果奈子。果奈子は主婦として、セカンドキャリアを見つけた憧れの存在なんだから」
しかし、問題があります。講演会をするのは1か所だけではありません。広島、福岡、熊本、気仙沼に行くので、1週間ぐらい家を空けないといけませんでした。
「そりゃダメだ。亮ちゃんサッカーエージェントの大切な面接あるし」
それも新町は大丈夫と、果奈子の背中を押します。しかし、果奈子は無理だと思います。その時、娘の泉実も明紗も手伝うことを約束して、果奈子は講演会に行くことを決めました。
古川舞
「古川舞さん、あなたにイタリアリーグのトリエステから、移籍の話が来ました」
東京オリンピックでの古川の活躍を見て、スカウトが動いたようです。トリエステは一昨年リーグ優勝したイタリアの強豪チームです。そこからのオファーがきたのでした。
古川舞は、日本のVリーグでは少ないプロ契約の選手です。今所属しているチームでは古川だけがプロ契約です。
「トリエステに移籍すれば、選手としてもレベルアップできます」
「そこで活躍すれば、選手としての価値が上がり、年俸も跳ねあがる」
担当の塔子、秘書の真崎にそう説明されて、古川は嬉しそうな顔をしていました。
「古川さんのスポンサーからは、すでに承諾を得ています。どうか、されました?」
高柳が古川に話をしている時に、古川の顔が曇っていくのを感じました。
「私、行きません。
私は、東京ウィンディアにプロ契約で入ったんです。それなのに、リーグ優勝もできていません。今シーズンこそは、何としても優勝させたいんです」
せっかくの話を断ろうとする古川でした。
ビックチャンス
社長室での説明が終わると、古川は暗い顔で帰っていきました。
「あり得ない、まったくあり得ない話だ。世界最高峰のリーグから誘われてるんだぞ」
高柳は、古川が断ろうとしたことが理解できません。
「彼女が落ち着いたら、もう一度話してみます」
しかし、契約はタイミングです。今を逃せば、契約の話はなくなってしまう可能性があります。
「何を呑気なこと言ってるんだ。古川舞を説得しろ、深沢くん。
これはビクトリーにとって、ビックチャンスなんだ」
高柳にそう言われ、秀島を記者会見に出して炎上させてしまったことを思い出す塔子。
「わかっています。でも・・・彼女は責任感の強い人です。イタリア行きを断ったのは驚きましたけど、理由を聞くと納得するところも」
しかし、高柳はアスリートの判断が間違っていることもあると、説得することが必要だと塔子に言います。
反論
「アスリートの気持ちを一番に考えることが、私たちスポーツマネージメントの基本ですよね。”全てのアスリートへリスペクトを”がビクトリーの理念じゃないですか」
そう言って高柳に反論する塔子。
「古川舞は、日本のバレーボール界を背負っている選手だ。彼女が世界で活躍することが、日本のバレーボールを大きく進化させる。だから、彼女はイタリアに行かなきゃいけないんだ」
高柳の言葉を受け入れる塔子。説得すると言って社長室を出ていきました。
塔子が出ていくと、高柳は塔子が反論したことに驚いていました。そして、真崎に塔子と一緒に行動するように言うのでした。
「自分の役割、わかってるな」
頭を抱える
社長室から自分の席に戻ると、頭を抱える塔子。説得できるか、どうしたらいいのか、考えていました。それは、果奈子ファンの塔子が、新町が持って来た果奈子作の弁当のことを忘れてしまうほどの問題でした。
そして、そんな塔子を心配する新町。周りのスタッフ達も心配しています。
城の話では、古川は以前トルコリーグに1年間席を置いていたことがあったようです。
海外移籍がある古川が、移籍したくないと言っているのを説得することができるのかと、悩む塔子。
「塔子ちゃんが無理って言うなら、俺が代わるよ。そしたら、俺の評価も爆上がりだから」
梅屋敷がいつもの感じで塔子に絡みます。
「感じ悪い。梅屋敷さん、むかつく」
梅屋敷が塔子のことを名前で呼びだしたことに違和感を持つ城。
「社長、相当怒ってた。説得に失敗したら、マズイかも」
真崎がそう言うのを聞いた梅屋敷は、「今の話しはなしで」と無責任に言うのでした。
手伝う
そんな時、真崎は「私、手伝う」と名乗りを上げました。高柳からの命令だというのは隠したままです。
「かほりさんはマネージメントの現場を知らないじゃないですか」
城にそう言われて、だからこそ知りたいと真崎は言います。
「塔子ちゃんがどんな風にアスリートと接してるのか、そういうの見たら自分の仕事にも生かせると思って。ね?だから、お願い」
高柳からの命令を知らない塔子は、真崎の優しさだと思って受け入れました。
「あの、僕も手伝いたいです。バレーボールのことはわかってないですけども、アスリートを通してもっと学びたいし」
新町も名乗りをあげました。周りのスタッフは賛否両論です。
「元アスリートにしかわからない気持ちというのは、絶対にありますし」
「そんなんじゃ戦力ならないでしょ」
「いやいやいや、無知ゆえの強さというのもあるから」
新町は「戦力にならない」「無知」と言う言葉にひっかかりますが、そこはあえて触れませんでした。そして、塔子は手伝って欲しいと新町にお願いしました。
練習会場へ
バレーボール練習にやってきた新町、塔子、真崎。
「リベロって言ってたよね?サッカーにもリベロはあるけど?」
そう新町が聞くと、塔子はリベロを説明します。
「バレーボールのリベロというポジションは、レシーブ専門なの。だから、身長の低い選手でも務まるんだけど、正確にセッターに返すレシーブができないとダメなんです」
休みなしで2時間の練習の後、古川はコーチを呼び止め、個人練習を志願していました。
個人練習をするのは古川だけ、プロとしての自覚です。
高柳の弁当
「・・・来週にはスポンサーも決まります」
葛飾が高柳に報告にきていました。そして、仕事の話が終わると、高柳は自分の弁当を取り出します。
「そのお弁当は?」
葛飾に聞かれ、高柳は「自分で作った」と言うのでした。
それは、果奈子のレシピ本を見て、高柳が作ったものでした。高柳は10冊買っていましたし、果奈子のサインが入った本は、綺麗にカバーをかけられていました。
ちゃんと金を使うファンの鏡です。
コーチとの出会い
練習終わり、コーチが新町達の所にやってきて、古川の調子を話してくれました。
「古川、このところメキメキ調子をあげてきてますよ。あいつがいれば、今年こそ絶対に優勝できますから」
その後、古川がやってきて、コーチとの会話を気にしていました。
「宮野コーチ、古川さんに期待してましたよ」
新町がそう言うと、古川とコーチの関係を教えてくれました。
「いやー宮野コーチのおかげですから。トルコリーグから帰ってきて、調子を崩してた時期があったんです。その時、宮野コーチと出会って、今のチームに入って、私は調子を取り戻しました」
時間をください
その話を聞いて、ここぞとばかりに切り込む塔子。
「でも、イタリアにも優秀なコーチはいますよ。だから、それを理由にこんなビックチャンスを逃すのって・・・」
新町はアスリート寄りの感想です。
「でも、自分に合ったコーチに出会えるなんて、アスリートにとっては、本当にラッキーなことだよ」
新町の発言にイライラしながらも、塔子は古川に迫ります。
「古川さん。古川さんがトルコリーグから帰ってきて、今の東京ウィンディアに所属する時、もう一度世界に挑戦する気があるから、プロ契約のままでということで交渉しましたよね。だから、どうして断ったんだろうって。何に迷ってるんですか?
古川さん、本当のことを教えて下さい。アスリートの気持ちがわからないんじゃ、マネージメントができません」
しかし、古川は答えず、ただ「時間をください」と言うだけでした。
縛られている気がする
「考えさせて下さいってことは、イタリアに行きたくないってことじゃないってことだよね」
いつものレストランで梅屋敷は塔子と話していました。
「絶対そう。だって、トリエステの話を聞いた時、えーってなってたもん」
しかし、今日は塔子だけではありません。真崎も新町もいます。
「なんで連れてくるんだよ」
梅屋敷の心の声がダダ洩れしていました。
「プロ契約って、雇用とかも含めてリスクがある訳でしょ?古川さんが東京ウィンディアでプレイを続けたいっていうんだったら、そもそもプロ契約する意味がないんじゃない?」
真崎は、確信に迫る部分に疑問を持っていました。
「っていうか、アスリートはもっとわがままでいいと思うんだよね、例えば、矢崎十志也みたいに」
新町がそう言うと、塔子も「秀島さんとか?」と担当しているアスリートの名前を出します。
「傲慢っていうか、もっと自分を貫いてないと、トップの位置はキープできないと思うんだよね。でもさ、何か縛られてる感じがするんだよね、古川さん」
新町も古川が隠していることが気になっていました。
梅屋敷と塔子の関係
真崎や新町の話を聞いて、梅屋敷も理解できると言います。
「わかるわかる、俺もみんなから傲慢って思われてみたいだけど、それと同じだから」
何をいいだすのかと「は?」と言ってしまう塔子。そして、真崎は「トップをキープするためにってこと?」と梅屋敷の発言の真意を聞きます。
「ビクトリーの中でね」
梅屋敷がそう言うと、塔子は反論します。
「ビクトリーのトップは私です」
そんな張り合いはいつもの事ですが、真崎は二人の関係を知っていました。
「そうやって張り合ってるけど、たまに二人でご飯とか行ってたりするんだよね?さっきも店員さんにいつもありがとうございますって言われてたしね」
新町も注文前にワインが出てきたことが疑問でしたが、真崎の発言で理解できました。
「違います。私が梅屋敷さんの愚痴に付き合ってあげてるだけ。そういう勘違いをされるのが一番困る」
塔子は梅屋敷との関係を勘違いされたくはないようです。しかし、言っていることとやっていることが違っている気がするのは気のせいでしょうか?梅屋敷がワインを飲み干してしまうと、急に介護体制に入ります。
「あ、飲んじゃったよ。この人、実はお酒すっごい弱いの。でもって、お酒を飲むとすぐ寝ちゃうんです」
そう言うと、梅屋敷に水を上手に飲ませていました。
果奈子の外出
朝、果奈子の外出のために荷造りしている新町。
「帰ってくるの1週間後でしょ?」
そう聞くと、塔子は注意事項を説明しました。
「うん、そう。水曜日がビンと缶。木曜日が燃えないゴミの日。朝出してね。忘れないように」
忘れないようにと言った時の果奈子の顔が、真顔で怖かったです。
そこに子供達が起きてきました。下の娘・明紗は「行っちゃヤダ」と泣き出してしまいます。
しかし、上の娘・泉実がお姉ちゃんとして面倒みてくれるようです。新町にだっこされた明紗は、最後にはちゃんと「行ってらっしゃい」と言って、果奈子を送り出していました。
真崎の役目
高柳と真崎は一緒に外出していて、真崎がついて行った古川のことを報告していました。
「古川さんは100%イタリアに行きたくない訳ではないようです」
それを聞いた高柳は真崎に聞きます。
「深沢くんが背中を押したのか?」
真崎は正確に高柳に伝えます。
「というより、新町さんが」
それを聞いた高柳は、明後日古川を呼ぶように真崎にセッティングさせるのでした。
新町外し
高柳は新町を社長室に呼びました。
「麻生健次郎、知ってるよな?」
麻生健次郎は、100m、200m自由形の日本を代表するスイマーです。その麻生が、ビクトリーに所属することになりました。
「人気もあって実力もある。パリオリンピックの代表候補の一人だ。新町くん、君が担当しろ」
有力なアスリートを新町に担当させる高柳。しかし、新町には抱えている案件がありました。
「本当ですか?ありがとうございます。あ、でも、塔子ちゃんを手伝っていて。古川さんのことで」
その古川の案件から手を引かせたいために、新しいアスリートを担当させるようです。
「古川さんのことは、深沢くんに任せておけばいい。麻生健次郎に集中しろ。
まず、彼とコミュニケーション取りなさい」
高柳に言われ、「自分で言いだしたことだし」と渋っていた新町ですが、最後には頑張りますと言っていました。
麻生との対面
水泳の練習を見にきた新町は、その迫力に驚いてしまいました。
「あれが麻生健次郎。いい体してんなーキレッキレだな」
そして、練習後、麻生に挨拶します。そうすると、麻生は新町のことを知ってくれていました。
「新町亮太郎?もしかして?Jリーガーの新町さん?日本代表だった方ですよね。
一流アスリートだった方がマネージメントしてくれるなんて心強い。よろしくお願いします」
そう言って、第一印象から好印象でした。
チャレンジ
そして、マネージメントの依頼について、麻生からお願いがありました。
「実は、新町さんに相談があるんです。僕、プロになるつもりなんです。
僕は6歳の頃から水泳をはじめて、中学、高校、大学とずっと水泳をやってきました。そして、今所属している企業でも仕事は一切しないで、水泳に専念しています。でも、最近すごく思うんですよね。自分は恵まれすぎてる。いつも誰かに守ってもらってるって」
そのことは「いいこと」だと言う新町。
「でも、甘えが出てきちゃうんですよね。もっとハングリーにならなきゃって、すごく思うんです。
パリオリンピックに向けてもっと強くなるためには、自分を追い込まなきゃって。一人でやっていかなきゃって」
新町はデメリットも説明します。
「でも、プロになることは、ギャンブルでもあるよ」
しかし、そのデメリットよりも、必要な物が麻生にはありました。
「僕は、チャレンジしたいんです」
それを聞いて、新町は燃えるものがありました。
「そうだよな、アスリートはこうでなくっちゃな。失礼しました。じゃあ、早速スポンサーを探しましょう。プロ活動ができるめどが立ったら、麻生くんが所属している会社に改めて相談しよう」
いい感じで、最初の面談は終わりました。
スカウト
高柳にホテルのロビーに呼び出された古川と塔子。古川は高柳に呼び出されたことを警戒していました。
「たぶん、古川さんを説得しようと」
塔子も内容までは聞かされていませんが、そう答えました。
「時間をくださいって言ったのに」
そうであれば、古川にとっては不本意です。そこに、高柳が外国人女性を連れてやってきました。
「モニカ、彼女が古川舞です」
その外国人女性に古川を紹介します。外国人女性は、イタリアのバレーボールチーム・トリスタンのスカウト担当のモニカでした。
高柳が、旅費や滞在費を全額負担して、わざわざイタリアから呼んだのでした。スカウトが来たとなると、断りずらいはずです。スカウトと呼んだのは真崎から、「移籍する気はある」という情報を得たので、勝算があると判断したからでしょう。
3日の猶予
「年俸やイタリアでの生活に関するケアの内容は理解していただけましたか?」
通訳を挟んで、モニカに条件面の説明を受けた古川。
「十分すぎる条件だと思いますが、古川さん。まだ、迷ってらっしゃる?」
高柳が聞くと、代わりに塔子が答えました。
「それはしょうがないと思います。こんな急に話が進むなんて」
しかし、高柳は速度を緩めるつもりはありません。
「モニカは、スケジュールを変えてまで日本に来てくれたんです。それだけ、高く買ってるということなです」
ただ、そう言われても、古川は答えをすぐには出せません。
「すみません、少し時間をいただけませんか?今日、この場でというのはあんまりにも」
塔子は助け舟をだしました。
「私は3日間日本に滞在します。それまでにお返事をいただきたい」
モニカはそう言うと、今日の交渉は終了しました。
寄り添う塔子
交渉が終わると、塔子は古川と二人になりました。
「ごめんなさい。私もいきなりスカウトがくるとは知らなくて」
さすがに古川も強引なやり方を非難します。
「こんなやり方って、さすがにないと思います」
それを聞いて、塔子はできるだけ古川に寄り添うのでした。
「古川さん、貴方が嫌だというなら私はあなたの気持ちを尊重します。この話は断ります」
それを聞いて、古川は塔子に話をすることを決めました。
いい報告
「古川さんはどんな返事を返してくるんでしょうか?」
真崎は高柳に聞きます。
「あの条件で断るはずがない」
高柳は古川が断るはずはないと確信していました。そこに、新町がやってきました。
「ラインハルトの矢崎が、次のシーズンオフもビクトリーにサポートお願いしたいと言っています」
矢崎は、ドイツで活躍するサッカー選手です。新町に憧れ、新町を追い抜きましたが、二人の関係は良好です。高柳は、いい話として了承していました。
「あと、古川さんの件なんですけど・・・」
そう言いだした新町を制して、高柳は話し出しました。
新町の反発
「こういう話しはタイミングは勝負だ。ぐずぐずしてたらトリエステは別の選手を取りに行く」
そして、塔子にも知らせず強引にスカウトを連れてきたことについては、高柳なりの判断がありました。
「深沢くんは、彼女に寄り添い過ぎてる」
しかし、そこに新町は反発してしまいます。
「寄り添い過ぎてちゃいけないんでしょうか?
僕はビクトリーに入ったばかりですけど、何て言うか、ここに所属しているアスリートはみんな、もちろんビクトリーって会社を信頼してます。けど、それ以上にマネージメントを担当する人との人間関係を大事にしてるような気がするんです。
古川さんと塔子ちゃんの関係もそうだと思います。塔子ちゃんは頭ではイタリアリーグでプレイすべきだと思ってる。しかし、彼女が迷ってるのがわかるから、寄り添ってるからこそ、良くわかるから強く言えないというか、待ってあげてるんだと思います。その答えが出る前に、古川さんを追い詰めるようなことをするのはどうなのかなって」
会社全体の利益
それについては、高柳なりの考えがありました。
「君が私に意見するのはかまわない。しかし、ここにいる全員ビクトリーの社員だ。会社がなければスポーツマネージメントはできない。アスリートもサポートしてもらえない。私は会社全体の利益を考えている。
矢崎十志也の件を進めろ。それから、君に担当を任せた麻生健次郎のマネージメントも。サッカーエージェントの試験はどうなってる?君は自分の仕事だけをしっかりやるんだ」
サッカーエージェントの試験は翌日の予定です。高柳に言われ、新町は引き下がりました。
警戒
新町が退出すると、高柳は真崎に言うのでした。
「真崎くん、新町くんについて、何かあったらすぐ報告してくれ。
所属するアスリートを引き抜いて、独立するような人間がこの業界にはいる。私はそういうことは許さない」
高柳の警戒に取り越し苦労だと言う真崎。しかし、高柳の顔は真顔でした。その表情で真剣に思っていると知った真崎は「わかりました」と答えていました。
真崎を責めても仕方がない
塔子に古川が話したのは、不安ということでした。
「3年前、トルコリーグでぜんぜん結果を出せなかったじゃないですか?トリエステが自分を評価してくれるのは嬉しいです。でも、不安の方が大きくて。あの時見たいに、言葉もわからなくて、独りぼっちで、また自分の実力を出せないんじゃないかって。だから、すごく怖いんです」
塔子は古川になにも言えずに帰ってきました。会社に帰ってきた塔子は、新町に相談します。
「そりゃそうだよ。怖いって気持ちを抱えてイタリアに行っても、何もいいことないもん」
そこに真崎がコーヒー淹れてくれました。
「かほりさんは知ってたんですよね?スカウトが来ること。どうして教えてくれなかったんですか?どうしていきなり古川さんに答えを迫るような事を」
塔子は真崎を責めます。
「ごめん。私は、その・・・古川さんが決断するきっかけになればと」
真崎はそう言って弁解します。しかし、その結果、古川はますます悩んでしまったのでした。
「かほりさんを責めても仕方ないよ。3日で答えが出るかわからないけど、古川さんにゆっくり考えてもらおうよ」
新町はそう言ってフォローするのでした。
不協和音
葛飾は城と二人で食事にきていました。
「不協和音っていうかさ、城くんも感じない?うちの会社の雰囲気が変だなって」
しかし、城は全く感じていませんでした。
「社長がトリエステのスカウトいきなり呼んだこと。塔子ちゃん聞かされてなかったでしょ?新町くんも社長になんか言っちゃったみたいだし、かほりちゃんも様子もなんか変だし?なんか感じるでしょ?」
しかし、よく考えても城には心当たりがありませんでした。
「城くん、君は素直でいい子だな。君と話してると、自分が汚れた人間に思えてくるよ」
葛飾はそう言って笑っていました。
代理人ライセンス認定試験
「パパー見て!100点!」
泉実が見せてくれたのは、テストの結果でした。クラスで100点を取ったのは泉実だけでした。
「泉実、すごいじゃん。最近勉強頑張ってくれてたもんな」
新町は素直に泉実を褒め称えました。
「だって、パパもママも頑張ってくれてるからさ。ママは毎日うちの仕事頑張ってくれてて、テレビにも出たりしてるでしょ?パパだって忙しいのに毎日ご飯作ってくれて。夜遅くまでお勉強頑張ってるもん。だから私も頑張らないとって」
いい子に育っている泉実。サッカー選手を辞めた新町と口を利かなかった子とは思えません。そして、明紗はお絵描きを頑張って、パパの似顔絵を描いてくれました。
「パパ、明日はテストでしょ?あとは私がやるから、パパは勉強頑張って」
洗濯ものをたたみながら、泉実はそう言ってくれました。果奈子がいないからこそ、新町を思いやってくれているのだと思います。
泉実の言葉に甘えて、勉強する新町。
翌日、日本サッカーエージェント機構が開催する「代理人ライセンス認定試験面接」が行われました。
「自分が現役選手の時は、海外移籍は特別な選手だけのものだと思っていました。でも、今は違います。僕は、若い選手たちの力になりたいです」
新町は自分の思いを素直に面接ではなしていました。
お前を止めない
バレーボールの練習、宮野コーチは新しい選手をしごいていました。
「舞、イタリアリーグから誘われているらしいよ」
「シーズン前に行っちゃうんじゃない?」
「コーチは戦力として考えてないんだよ」
「だから宮野コーチはユキに入れ込んでるのか」
チームメイト達は、そんな噂話をしていました。
古川は練習終了後、宮野コーチに声を掛けました。
「コーチ、個人練習お願いします」
そう言われて、コーチは困ってしまいました。そして、古川を別の場所に呼び出して話をします。
「トリエステから移籍の話が来てるんだってな。どうして黙ってた。
トルコに行って、もう海外でやるのはうんざりだって思ったのか?行けばいいじゃないか、お前はプロだ、条件のいいチームに行く権利がある。いくべきだ。俺はお前を止めない」
そう言われて傷つく古川。塔子に会うと、古川は素直な気持ちを打ち明けました。
「コーチがトリエステに行けって。私、失恋しちゃいました」
恋心
新町が新たに担当する麻生のレースがテレビで中継されていました。
デッドヒートの上、麻生は見事1着。新町もスタッフ達も大喜びです。
しかし、一人塔子は頭を抱えて悩んでいました。
「塔子ちゃん、どうした?何かあった?」
新町が声をかけると、塔子は新町に相談します。
「古川さんが宮野コーチに恋愛感情を抱いてたなんて。ぜんぜん気付かなかった」
そう言うと、古川に言われたことを新町に話して聞かせます。
「私がトルコリーグから帰ってきて、自信を無くしてた頃に宮野さんに言われたんです。お前みたいないい選手がこのまま消えるのは絶対ダメだって。宮野さん、その時まだ現役選手だったんです。俺はお前のコーチに専念するって言って、一緒に東京ウィンディアに入団してくれたんです。それから私は調子を取り戻して、日本代表にも選ばれて。全部、宮野さんが。。。。」
献身的な宮野コーチがいてくれて、次第に恋心になっていったのでした。
戸惑い
その話を聞いて、新町は感動してしまいました。
「すごいな宮野さん、古川さんのために現役辞めてコーチって。でも支えられる側から、誰かを支える側になるというのは、相当覚悟っていうか」
それは新町に似ていました。今は、アスリートを支えて、家族を支えています。
新町は宮野コーチの戸惑いもわかるような気がします。
「宮野さん戸惑ったんじゃないかな?古川さんの移籍話がこんなに早くくるとは思ってなくって、だから気持ちの準備もできてなくって、それで突き放すようなこと言っちゃったんじゃないかな」
しかし、塔子は古川にどう声を掛けていいかわかりません。
プライベートに踏み込む
「古川さんは実は宮野コーチのことが・・・ぜんぜんわからない。なんてアドバイスしたらいいか」
そんな塔子に新町はアドバイスします。
「ねえ塔子ちゃん、アドバイスじゃなくって、もう一度同じ目線になって向き合ってみようよ。まだできることあるから。もっとアスリートに踏み込んじゃえばいいじゃない」
仕事としてアスリートと接してはいるものの、プライベートに踏み込むのは良くないと思っている塔子。しかし、新町は違いました。
「スポーツマネージメントは、アスリートの気持ちに寄り添うものなんでしょ?アスリートだって、一人の人間なんだから」
その時、真崎はお茶を淹れながら、塔子と新町の話を聞いていました。
白黒つけよう
新町と塔子は、宮野コーチに話をしに行きました。事情を話します。
「今のままじゃ古川さんは、トリエステに移籍するにしても、何かを諦めてイタリアに行くことになるんです。
ダメならダメでいいんです。古川さんの気持ちに応えてあげてもらえないでしょうか?
吹っ切れた気持ちで、結論を出してもらいたいんです」
そう言うと、結論を宮野コーチに委ねました。
そして、古川を呼びます。
「はっきり白黒つけよう古川さん。今のあいまいな状況で、そんなんじゃ決められないって思ったです。私、ここまでアスリートのプライベートに立ち入ったことってなかったのね?だから、ごめんね、正直これが正しいかわからないんだけど、とにかく今のままじゃダメだと思って」
そう塔子は言うと、古川を宮野コーチの待つ体育館へ誘いました。
支えていきたい
宮野コーチが古川を待っていました。
「俺もイタリアでプレイしたことあるんだ」
そう言って、自分の体験談を話し出します。
「1年だけだったけど、大変だったよ。レベルは高いし、いろんな国から来た連中がしのぎを削って競争するだろう。それに最初は言葉もわからなかったし。一人暮らしで、話し相手もいかなったしな。だから、頑張れとは言ったけど、お前のことが心配だ」
そう言って、古川のことを心配していることを伝えます。
「東京がウィンディアがリーグ優勝を決めたら、俺もイタリアに行ってやる。
イタリア語もわかるし、トリエステの臨時コーチになれれば一番いいんだけどな。なれなくてもだ、お前の話し相手にはなれる」
それを聞くと、古川は喜んでいました。
「本当に?来てくれるんですか?」
宮野コーチは素直な自分の気持ちを伝えてくれました。
「俺は、ずっとお前を支えて行きたい」
嬉しくて泣き出す古川。笑っているのか泣いているのかわからない顔で、コーチと向き合っていました。
契約
古川はトリエステと契約しました。
「トリエステはあなたを歓迎します」
そう言って、握手を交わしました。社長室から下の階へ行くと、スタッフみんなが古川を祝福します。
社長室に真崎と高柳の2人になると、真崎に聞きます。
「なぜ彼女は決断したんだ?」
真崎はスパイのようですが、社内を円滑に動かす情報屋のようでもあります。
「深沢さんと新町さんが、彼女の迷いを一つずつ解決してあげたんだと思います。
今のチームに迷惑をかけるとか、トルコリーグで結果を出せなかったとか、宮野コーチのこととか」
そう言って、新町と塔子の活躍を説明するのでした。
合格
新町が家に帰ると、留美から置手紙が置いてありました。
「子供達のご飯とお風呂は済ませてあります。夕飯は冷蔵庫に入ってます。留美」
陰に日向に手伝ってくれる留美に感謝する新町。
そして、新町は、届いていた手紙を確認していました。その中にエージェント試験の結果の封筒を見つけました。
「代理人ライセンス認定証を発行いたしました」
結果は合格です。伊垣との約束も守ることができました。
そして、その結果を果奈子に連絡しようとスマホを取ると、果奈子の講演会のことがネットニュースになっていました。
「アスリートのセカンドキャリアは、厳しい現実に直面することでもあります。主人も例外ではありませんでした。今はスポーツマネージメントの会社で頑張っていますが、ラッキーだったことは私自身が何かをしなきゃって思えたことです。
主人のおかげで、自分でも知らなかった可能性に気付くことができたんです」
そう話してる動画がアップされていました。それを見て、果奈子が頑張っている姿に新町は感動するのでした。
泉実の成長
果奈子が輝いている姿を見て、新町は自分は輝いているのかと自問自答するのでした。
そこに泉実がやってきました。新町がしんみりしているのを感じたようです。
「どうしたの?ママがいなくて寂しいの?」
そう新町に聞くのでした。新町は、そんなことないと言って、寂しいのは泉実だろうと返します。
「そんなことないよ、だってお姉ちゃんだもん」
泉実の成長に感動する新町。すごくうれしい気持ちになるのでした。そして、サッカーエージェントの試験に合格したことを報告します。
泉実は自分の事のように喜んでくれていました。
そして、泉実がやってきたのは、宿題がわからないところがあるからでした。新町にプリントを見せて、教えて欲しいといいます。
「真分数はどれですか?仮分数はどれですか?帯分数はどれですか?」
泉実に「パパわかんないの?」と聞かれても、新町の時代にはなかった言葉で、全くわかりません。
そこに電話がかかってきました。
違反通知書
麻生の家のポストに手紙が入っていました。その中身を見て、驚いて新町に電話したのでした。
「麻生君お疲れ。どうしたの?」
深刻な内容だとは思わず、新町は電話にでました。
「新町さん、違反通知書がきたんです。僕がドーピング検査で陽性だったって」
それは、新たな波乱の予告でした。
最後に
新町と高柳とに、微妙な溝が顕在化してきました。
最初は高柳が新町を認めていないだけだと思っていましたが、実績を作っても高柳には新町を受け入れられない部分があるようです。
この溝は、何か埋められるような溝なのでしょうか?高柳は新町の独立を心配するようなことも言い出しました。それぐらいの、価値観の違いに思っているようです。
最後に出てきたのは、「ドーピング問題」でした。これはアスリートにとっては、取り返しのつかない問題であり、どう対処するのか気になります。
会社とアスリートのどちらが大切なのか、それを迫られそうな気がします。
あと2~3回で終わりでしょうか?ラストまで目が離せません。